JP4374267B2 - 金属酸化物成形体の搬送方法 - Google Patents

金属酸化物成形体の搬送方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄鉱石や製鉄廃棄物などの酸化金属を含有する物質と炭材などの還元材とからなる酸化鉄塊成物(以下、成形体とも言う)を炉内に投入して、加熱・還元し、還元鉄塊成物を炉外に排出する回転炉床式還元炉において、酸化鉄等を原料として製造した水分を20〜25質量%含有する成形体を、回転炉炉床に均一にコンベヤを用いて搬送する金属酸化物成形体の搬送方法に関する。
一般に、回転炉床式還元炉に投入される鉄鉱石や製鉄廃棄物などの酸化鉄主体の酸化金属と炭材などの還元材とからなる原料は、成形されて酸化鉄塊成物となった後、炉内に投入されて、加熱・還元され、生じた還元鉄塊成物は炉外に排出される。その際に原料の成形体は、焼却飛灰などの減容固化材と一緒に直接搬送コンベヤに搭載・搬送され、バンカー等に貯蔵されるか、トラック等の運搬手段に切り出され、加熱・還元する回転炉炉床に投入されて最終処理が行われる。しかし、これら成形体に含有される水分は、通常約10〜15%質量%で、しかも硬化剤の混合により処理された成形体は塊状になり易いために搬送設備への付着等の問題が少なく、回転炉床への成形体の供給量がそれほど変化することがない。
しかしながら、原料となる酸化金属と炭素を含有する粉体が元々多量の水分を含んでいる場合は、その他の原料と一緒にスラリー化し、そのスラリー液を脱水機で脱水して、水分が20〜25質量%のケーキ状とした後、成形機で成形する場合があり、生じた成形体は、依然として水分を多量に含み、このままの状態で通常の機長の長いコンベヤ等に落下させた場合には、その落下はほぼ垂直状態のため、殆どが搬送設備上に付着・堆積し、さらには変形して搬送できないという大きな問題がある。一旦、搬送設備に付着すると、搬送設備の折り返し部に成形体が回り込み、次工程の回転炉床式還元炉への成形体の投入量が安定せず、歩留まりも悪化する。また、搬送設備に付着・堆積し、積層状態になると、成形体同士の付着が一層激しくなり、更に、投入量の不安定化、歩留まり悪化が増大する。
本発明は、鉄鉱石や製鉄廃棄物などの酸化金属含有物質と炭材を含む原料の1部が多量の水分を含んでいるため、その他の原料と一緒に混合してスラリー化し、それを脱水して成形し、生じた成形体をコンベヤで搬送して、回転炉床式還元炉に投入するプロセスにおいて、成形体の水分が20〜25質量%と多くても、コンベヤでの成形体の変形、付着や回り込みを回避し、炉内に安定装入を可能にすることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべくなされたもので、その要旨は、以下の通りである。
(1)酸化金属と炭素を含有する粉体を含むスラリー液を水分率20〜25質量%に脱水し、成形機で成形体とした後、装入コンベヤを介して還元炉に投入するに際し、該成形機の出側に乗り継ぎ傾斜コンベヤを成形体吐出方向と一致する方向に配して成形体を受け、かつ、該傾斜コンベヤの傾斜角度は、前記装入コンベヤ搬送面に対して20〜50°とし、かつ該傾斜コンベヤの搬送速度を成形体吐出速度よりも遅い10〜80%の速度で該成形体を装入コンベヤへ搬送することを特徴とする金属酸化物成形体の搬送方法。
(2)前記装入コンベヤのトラフ角を15〜25°としたことを特徴とする(1)に記載の金属酸化物成形体の搬送方法。
尚、本発明で言う水分率とは、水分率(質量%)=(成形体中の水分の質量/水分を含む成形体の全質量)×100、のことであり、式中の分子の水分とは、成形体を110℃で平衡含水率となるまで加熱したときに、蒸発する水分のことである。
本発明により、酸化鉄塊成物である成形体を搬送設備に付着させることなく装入コンベヤを介して次工程の回転炉床式還元炉に均一に分散して安定装入を可能にした。
図4に本発明に係る回転炉床式還元炉の全体プロセスの1例を示す。原料の混合スラリー化設備5で、水分を多量に含む原料と、その他の原料を混合し、スラリー化する。その後、ポンプで脱水機6へスラリーを送り脱水され、スラリーから水分を多く含むケーキ状になる。その後、成形機7で成形され、水分率20〜25質量%の成形体となる。成形体は、乗り継ぎ傾斜コンベヤやその後の搬送コンベヤを含む搬送設備8により搬送され、回転炉床式還元炉9へ投入される。搬送設備8の途中に乾燥設備(図示せず)を設けて、事前に成形体を乾燥する場合もある。
本発明者らは、本発明が対象とする酸化鉄主体の酸化金属と炭素等の原料の1部が多量の水分を含む場合(例えば、スラッジ等)、水分をあまり含まない原料とも一緒にスラリー化し、脱水し、成形機で成形して、水分率20〜25質量%の成形体とする。、このままの状態で通常の機長の長いコンベヤ等に落下させた場合には、その落下はほぼ垂直状態で大半が装入コンベヤを含む搬送設備上に落下し変形し、付着・堆積して、搬送できないという問題に加え、一旦、搬送設備に付着すると、搬送設備、特に装入コンベヤの折り返し部への成形体が回り込み、搬送設備上での付着・堆積・積層すると、成形体同士の付着が一層激しくなり、成形体の回転炉床式還元炉への装入がより一層不安定となるという問題を克服するため、何らかの機械的手段で解決できないか思考錯誤した。
その結果、従来、水分を多量に含む成形体を成形機から排出して、搬送設備である装入コンベヤへ載せて、成形体を回転炉床式還元炉へ搬送する場合、機長の長い装入コンベヤにほぼ垂直状態で直接落下させていたものを、一旦機長の短いコンベヤを乗り継ぎ用コンベヤとして成形機直下に、かつ機長の長い装入コンベヤ上に配すれば、ほぼ垂直状態での落差の大きい落下による成形体の変形、崩壊、付着が防止できることを見いだした。
しかしながら、上記乗り継ぎコンベヤを成形機直下に配置しても乗り継ぎ方向と成形体の分散が必ずしも所望通り満足される訳ではなく、例えば、図1(a)に示すように、例えば、成形体の含有水分が20〜25質量%の場合、成形体の吐出方向と搬送方向が直行する方向に乗り継ぎコンベヤを介して装入コンベヤを配した場合には、装入コンベヤ上の成形体落下範囲、約50mm2 で成形体が多層積層し、後工程での成形体の分離が出来ないことが判明した。一方、図1(b)に示すように、例えば、本発明が対象とする成形体の含有水分が20〜25質量%の場合、成形体の吐出方向と搬送方向が平行する方向に乗り継ぎコンベヤを介して装入コンベヤを配した場合には、成形体は成形体の吐出幅方向に広がって展開し、次の搬送手段である装入コンベヤへの乗り移り、および後工程での成形体の分離が容易であることが判明した。このように、本発明においては、乗り継ぎコンベヤおよび装入コンベヤを成形機で成形された多量の水分を含有する成形体の吐出方向と搬送方向が平行する方向に配することが必要である。
次に、上記乗り継ぎコンベヤおよび装入コンベヤを幾ら成形体の吐出方向と搬送方向が平行する方向に配しても、乗り継ぎコンベヤの搬送角度を考慮しないと、依然として従来のような成形物の崩壊の問題が解決できないことを知見した。即ち、図2(c)に示すように、乗り継ぎコンベヤを装入コンベヤに対し急傾斜で配置した場合、例えば、傾斜角60°で配した場合には成形機から乗り継ぎコンベヤまでの落下高さが大きく、乗り継ぎコンベヤおよび装入コンベヤ上での成形体の付着を回避することは出来なかった。そこで、本発明者らは、上記乗り継ぎコンベヤの傾斜角を種々変更して上記成形体の付着程度を観察した。その結果、乗り継ぎコンベヤを装入コンベヤに対し、図2(a)のように傾斜角30°、および図2(b)のように傾斜角45°に配した場合には、乗り継ぎコンベヤ上での成形体の付着もなく、しかも装入コンベヤ上での成形体の崩壊も解決しうることを突き止めた。乗り継ぎコンベアの傾斜角度は、装入コンベヤ搬送面に対し20〜50°が変形、崩壊、付着が無く良好であり、好ましい。このように、本発明は、成形機の出側に機長の短い乗り継ぎ傾斜コンベヤを成形体吐出方向と一致する方向に配して一旦成形体を受け、装入コンベヤに成形体を搬送することとした。なお、本発明に用いる乗り継ぎ傾斜コンベヤの形状は特別な形状を有するものでなく、通常の平ベルトからなるコンベヤであることが好ましい。
しかしながら、上述したように、成形機の出側に機長の短い乗り継ぎ傾斜コンベヤおよび装入コンベヤを成形体吐出方向と一致する方向に配して一旦成形体を受け、装入コンベヤに成形体を搬送しても、乗り継ぎ傾斜コンベヤ上で依然として成形体の積層状態が解決されていないことが分かった。そこで、本発明者らは、これを解決するには、成形機からの成形体の吐出速度と乗り継ぎ傾斜コンベヤの搬送速度との相対速度を制御すれば解決できるのではないかとの知見の元に、成形機からの成形体の吐出速度aを通常の操業条件である15m/分の一定として乗り継ぎ傾斜コンベヤの搬送速度bを低速から高速の5水準に変更して乗り継ぎ傾斜コンベヤ成形体の積層状態との関係の実験を試みた。その結果を表1に示した。表1の実験内容は以下の通りである。
A:成形体水分率20.8質量%、乗り継ぎ傾斜コンベヤの搬送速度1.4m
/分、 (b/a×100=9.4%)
B:成形体水分率21.2質量%、乗り継ぎ傾斜コンベヤの搬送速度2.2m
/分、(b/a×100=14.6%)
C:成形体水分率22.7質量%、乗り継ぎ傾斜コンベヤの搬送速度10.0
m/分、(b/a×100=66.7%)
D:成形体水分率24.1質量%、乗り継ぎ傾斜コンベヤの搬送速度12.4
m/分、(b/a×100=82.9%)
E:成形体水分率24.1質量%、乗り継ぎ傾斜コンベヤの搬送速度18.0
m/分、(b/a×100=120%)
表1の実験結果から、Aの条件では乗り継ぎ傾斜コンベヤ上で成形体が多層に体積して次工程に支障を来たした。しかし、B、Cの条件では乗り継ぎ傾斜コンベヤ上での成形体の付着がなく搬送可能であった。一方、D、Eの条件では乗り継ぎ傾斜コンベヤ上に成形体が付着して剥離しなかった。このように、本発明においては、乗り継ぎ傾斜コンベヤ搬送速度(b)を成形機からの成形体の吐出速度(a)より遅くすること、更なる多条件の実験結果から、好ましくはb/aの比を10〜80%の範囲とすることで成形体の多層堆積、成形体の付着が回避できることを見い出した。
このように、本発明においては、成形機の出側に機長の短い乗り継ぎ用コンベヤを20°〜50°傾斜させた機長の短い乗り継ぎ傾斜コンベヤを成形機からのを成形体吐出方向と一致する方向に配し、かつ乗り継ぎ傾斜コンベヤ搬送速度(b)を成形機からの成形体の吐出速度(a)より遅くすること、好ましくはb/aの比を10〜80%の範囲とすることで一旦成形体を受け、搬送コンベヤに成形体を搬送することで従来の問題点を一挙に解決しうるようになったものである。
なお、上記乗り継ぎ傾斜コンベヤの材質についても各種材質を用いて試験したが、材質を従来のゴム製コンベヤとした場合には、原料の成分等によっては、成形体の乗り継ぎ傾斜コンベヤ上での付着が発生する場合もあったが、フッ素樹脂製コンベヤとした場合には原料の成分等に関わり無く、20〜25質量%と多量の水分を含む成形体であっても成形体の付着は見られず搬送可能であった。この効果は、従来のゴム製コンベヤ表面にフッ素樹脂をコーティングしたコンベヤでもその効果は同じであった。従って、上記乗り継ぎ傾斜コンベヤの材質は、フッ素樹脂製コンベヤとするか、またはゴム製コンベヤ表面にフッ素樹脂をコーティングしたコンベヤとあることが好ましいが、フッ素樹脂をゴム表面にコーティングすることはコスト面で不利であるので、より好ましくはフッ素樹脂製コンベヤを用いる方がよい。
また、本発明者らは、水分率20〜25質量%の成形体について装入コンベヤベルトのトラフ角(装入コンベヤ長手方向断面でみた場合のコンベヤ端部の傾斜角)と成形体搬送性、付着性との関係を調査した。その結果、トラフ角が10°以下の場合には装入コンベヤベルトが蛇行し安定搬送が出来ず、また、30°を越える場合には装入コンベヤベルト中央部に成形体が集合し、次工程での成形体の分離が不可能であった。一方、トラフ角を15°〜25°、好ましくは20°とした場合には、装入コンベヤベルトが蛇行もなく、また成形体のベルト中央部への集合もなく安定して搬送することができた。
Figure 0004374267
本発明による実施例を図面に基づいて説明する。図3(a)、(b)に示したように、酸化金属と炭素を含むスラッジのスラリー液を脱水機で水分を21〜23重量%に脱水後、成形機1で長軸が1.5〜3.0cmの円筒状の成形体2に成形し、この成形体を成形機直下に、約45°の傾斜角を持たせたフッ素樹脂からなる機長の短い平ベルトからなる乗り継ぎ傾斜コンベヤ3を成形体吐出方向と一致する方向で、かつトラフ角20°を有する機長の長い装入コンベヤ4上に配し、成形体吐出速度15m/分、乗り継ぎ傾斜コンベヤの搬送速度10m/分で成形体を乗り継ぎ傾斜コンベヤ上に受けた。次いで、この成形体を還元炉に直結した装入コンベヤに散布した。この時の装入コンベヤのトラフ角は20°であった。その結果、多量の水分を含む成形体であたっても何ら、成形体の付着もなく、しかも成形体の崩壊もなく搬送、装入できた。
(a)は成形体の吐出方向と乗り継ぎ傾斜コンベヤの搬送方向を直角とした状態を示す図、(b)は成形体の吐出方向と乗り継ぎ傾斜コンベヤの搬送方向を同一方向とした状態を示す図。 (a)は乗り継ぎ傾斜コンベヤの装入コンベヤに対する角度を30°とした状態を示す図、(b)は45°とした状態を示す図、(c)は60°とした状態を示す図。 (a)は本発明による乗り継ぎ傾斜コンベヤを配した成形体の搬送状態を示す正面図、(b)はその平面図。 本発明に係る、回転炉床式還元炉の全体プロセスの1例を示す図。
符号の説明
1…成形機
2…成形体
3…乗り継ぎ傾斜コンベヤ
4…装入コンベヤ
5…原料の混合スラリー化設備
6…脱水機
7…成形機
8…搬送設備
9…回転炉床式還元炉

Claims (2)

  1. 酸化金属と炭素を含有する粉体を含むスラリー液を水分率20〜25質量%に脱水し、成形機で成形体とした後、装入コンベヤを介して還元炉に投入するに際し、該成形機の出側に乗り継ぎ傾斜コンベヤを成形体吐出方向と一致する方向に配して成形体を受け、かつ、該傾斜コンベヤの傾斜角度は、前記装入コンベヤ搬送面に対して20〜50°とし、かつ該傾斜コンベヤの搬送速度を成形体吐出速度よりも遅い10〜80%の速度で該成形体を装入コンベヤへ搬送することを特徴とする金属酸化物成形体の搬送方法。
  2. 前記装入コンベヤのトラフ角を15〜25°としたことを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物成形体の搬送方法。
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