JP4372415B2 - ２機能カテーテルハンドル - Google Patents
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- A61M25/0133—Tip steering devices
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、２本の異なるコントロールワイヤを操作するための２機能カテーテルハンドルに関する。
【０００２】
【従来の技術】
多年に亘って、電極カテーテルが一般的に医療用に使用されている。これらの電極カテーテルは、心臓を刺激して電気活性をマッピングし、電気活性が異常な部位をアブレートする。
【０００３】
使用するときは、電極カテーテルを主要な静脈、または大腿動脈などの動脈に挿入し、目的の心臓の部屋に導入する。心臓内において、カテーテルの先端部を正確な位置及び向きに配置制御することが極めて重要であり、これによりカテーテルの有用性が決まる。
【０００４】
操舵可能なカテーテルが一般によく知られている。例えば、特許文献１に、ハウジングを備えた制御ハンドルを含むカテーテルが開示されている。このハウジングは、その先端部にピストン室を有する。ピストンはピストン室に配置され、長手方向に移動可能である。カテーテル本体の基端部がピストンに取り付けられている。プーラーワイヤがハウジングに取り付けられている。このプーラーワイヤは、ピストン及びカテーテル本体の内部を通っている。プーラーワイヤの先端部は、カテーテルの先端部分に固定されている。この構造では、ハウジングに対してピストンを長手方向に移動させて、カテーテル本体の先端部を曲げることができる。特許文献１に開示されているこの構造は、一般に１本のプーラーワイヤを有するカテーテルに限定されている。
【０００５】
あるカテーテルの構造の場合、２本以上のプーラーワイヤが必要である。例えば、カテーテル本体を回転しないで２つ以上の方向に曲げ得るカテーテルのような２方向カテーテルが望ましい場合、２本以上のプーラーワイヤが必要になる。２本以上のプーラーワイヤ、及び複数のプーラーワイヤ制御用の制御ハンドルの例が、特許文献２及び特許文献３に開示されている。しかしながら、これらの特許文献２及び特許文献３に開示されているカテーテルハンドルは、ある種の適用例によって望ましいプーラーワイヤをカテーテル本体に対して基端方向に同時に移動させることができないようになっている。しかしながら、他の適用例では、カテーテル本体に対して複数のプーラーワイヤを同時に基端側に移動させることが望ましい。
【０００６】
【特許文献１】
米国再特許第０３４，５０２号明細書
【特許文献２】
米国特許第６，１７１，２７７号明細書
【特許文献３】
米国特許第６，１８３，４６３号明細書
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
カテーテル本体に対して複数のプーラーワイヤを同時に基端側に移動させることができるカテーテルハンドルが要望されている。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、２機能カテーテルハンドルに関する。この２機能カテーテルハンドルは、カテーテル本体及びそのハンドルを含むカテーテルに対して２本の制御用プーラーワイヤを同時に動かすことができる。一実施形態では、本発明は、基端部、先端部、及び概ね中空の内部を有するハンドルハウジングを含むカテーテルハンドルに関する。ハンドルハウジングの内部に配設された基端部、及びハンドルハウジングの外側に延在する先端部を有する第１の可動部材が設けられている。この第１の可動部材は、ハンドルハウジングに対して長手方向に移動可能である。第２の可動部材がハンドルハウジングに対して移動可能に前記ハンドルハウジング内に設けられている。回動すると前記第２の可動部材が長手方向に動くように、回動部材がハンドルハウジングに取り付けられている。
【０００９】
特に好適な実施形態では、本発明は、基端部、先端部、及び概ね中空の内部を有するハンドルハウジングを含むカテーテルハンドルに関する。長手方向のスロットを有するコアが、前記ハンドルハウジングの内部に設けられている。ハンドルハウジングの内部に配設された基端部、及び前記ハンドルハウジングの外側に延在する先端部を有する第１の可動部材が設けられている。第１の可動部材は、ハンドルハウジングに対して長手方向に移動可能である。第２の可動部材が、コア及びハンドルハウジングに対して長手方向に移動可能に前記コアの長手方向のスロット内に配設されている。第２の可動部材はねじ面を有する。可動部材はハンドルハウジング上に設けられ、第２の可動部材のねじ面と噛合する雌ねじ面を有する。可動部材を回動させて、第２の可動部材を長手方向に移動させることができる。
【００１０】
別の実施形態では、本発明は、本発明のカテーテルハンドルを含むカテーテルに関する。このカテーテルは、基端部、先端部、及び内部を通る内腔を有する細長い可撓性のカテーテル本体を含む。中間部分が、カテーテル本体の先端部に取り付けられている。この中間部分は、基端部、先端部、並びにその内部を通る第１のオフ軸内腔及び第２のオフ軸内腔を有する。中間部分は、カテーテル本体と別の部品であっても良いし、またカテーテル本体と一体であっても良い。上記したようなハンドルが、カテーテル本体の基端部に取り付けられている。カテーテル本体は、直接取り付けても良いし、また、例えばコアに取り付けるなどして間接的に取り付けても良い。第１のプーラーワイヤが、カテーテル本体の内部及び中間部分の第１のオフ軸内腔を通っている。第１のプーラーワイヤは、ハンドルの第１の可動部材に固定された基端部と、カテーテルの先端部或いはその近傍に固定された先端部とを有する。プーラーワイヤが固定されるカテーテルの先端部は、例えば中間部分や、その中間部分に取り付けられる別のアブレーション或いはマッピングアセンブリなどの心臓に挿入される先端部のあらゆる部分を含み得る。第２のプーラーワイヤが、カテーテル本体の内部及び中間部分の第２のオフ軸内腔を通っている。第２のプーラーワイヤは、ハンドルの第２の可動部材に固定された基端部と、カテーテルの先端部或いはその近傍に固定された先端部とを有する。特に好適な実施形態では、第１のプーラーワイヤの先端部が中間部分に固定され、カテーテルが更に、前記中間部分の先端部に取り付けられた概ね環状のマッピングアセンブリを含み、マッピングアセンブリを収縮させるべく、第２のプーラーワイヤがそのマッピングアセンブリのオフ軸内腔を通って、そのマッピングアセンブリの先端部或いはその近傍に固定されている。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明の上記した及び他の特徴及び利点は、以降の添付の図面を参照した詳細な説明から明らかになるであろう。
【００１２】
本発明は、２本の独立した偏位制御ワイヤ即ちプーラーワイヤを操作するためのカテーテルハンドルに関する。図１に示されているように、カテーテル１０は、基端部及び先端部を有する細長いカテーテル本体１２と、そのカテーテル本体の基端部に取り付けられた制御ハンドル１６と、そのカテーテル本体の先端部に取り付けられた中間部分１４と、その中間部分に取り付けられたマッピングアセンブリ１７とを含む。
【００１３】
図２を参照すると、カテーテル本体１２は、１本の軸内腔即ち中心内腔１８を有する細長いチューブ状構造を含む。但し、必要に応じて複数の内腔を設けることもできる。カテーテル本体１２は、可撓性即ち曲げることができるが、長さに沿っては非圧縮性である。カテーテル本体１２は、任意の構造にすることができ、また任意の好適な材料から形成され得る。現在において好適な構造は、ポリウレタンまたはＰＥＢＡＸ（登録商標）から形成される外壁２０を含む。この外壁２０は、カテーテル１０の中間部分１４が制御ハンドル１６の回動に一致して回動するように、カテーテル本体１２の捩り剛性を増すべく、ステンレス鋼などの埋め込みブレードメッシュを含む。
【００１４】
カテーテル本体１２の外径は極めて重要というわけではないが、好ましくは好ましくは約８フレンチ（内径１．５ｍｍまたは外径約２．６７ｍｍ）以下であり、更に好ましくは７フレンチ（内径１．２５ｍｍまたは外径約２．３３ｍｍ）以下である。同様に外壁２０の厚さも極めて重要というわけではないが、中心内腔１８が、プーラーワイヤ、リードワイヤ、及びその他のワイヤやケーブルなどを収容できるように十分に薄くするのが好ましい。必要に応じて、捩り剛性を増大させるべく外壁２０の内面に補剛チューブ（図示せず）を設けることもできる。特に好適なカテーテルは、外径が約２．２９ｍｍ乃至２．３９ｍｍ（約０．０９０インチ乃至約０．０９４インチ）、内径が約１．５５ｍｍ乃至約１．６５ｍｍ（約０．０６１インチ乃至約０．０６５インチ）の外壁２０を有する。
【００１５】
図２及び図３に示されているように、中間部分１４は、３つのオフ軸内腔を有する短いチューブ部分２２、第１のプーラーワイヤ６４を受容する第１の内腔３０、第２のプーラーワイヤ６５を受容する第２の内腔３２、並びにマッピングアセンブリ１７のための支持部材２４及びリードワイヤ５０を受容する第３の内腔３４を含み、これらについては以降に詳述する。チューブ２２は、好ましくはカテーテル本体１２よりも可撓性に富んだ好適な非毒性材料から形成される。現在において好適な材料には、ブレードポリウレタン、即ちブレードステンレス鋼などのメッシュが埋め込まれたポリウレタンがある。それぞれの内腔の大きさは、極めて重要というわけではないが、リードワイヤ、プーラーワイヤ、及び支持部材を十分に受容できる大きさである。
【００１６】
カテーテルの有効長さ、即ちマッピングアセンブリ１７を除く患者に挿入できる部分は必要に応じて自由に変更できる。好ましいカテーテルの有効長さは、約１１０ｃｍ乃至約１２０ｃｍの範囲である。中間部分１４の長さは有効長さに対して比較的短く、好ましくは約３．５ｃｍ乃至約１０ｃｍの範囲であり、更に好ましくは約５ｃｍ乃至約６．５ｃｍの範囲である。
【００１７】
中間部分１４にカテーテル本体１２を取り付けるための好適な手段が図２に示されている。中間部分１４の基端部は、カテーテル本体１２の外壁２０の内面を受け止める外周ノッチ２６を有する。中間部分１４とカテーテル本体１２とは、接着剤などで取り付けられる。
【００１８】
別法では、カテーテル本体１２と中間部分１４は単一のチューブから形成され得る。このような設計は、例えばカテーテル本体と中間部分とが同数の内腔を有する場合に有用である。
【００１９】
必要に応じて、スペーサ（図示せず）を、カテーテル本体１２の補剛チューブ（含まれる場合は）の先端部と中間部分１４の基端部との間に配設し得る。スペーサが、カテーテル本体１２と中間部分１４との接合部の可撓性の移行部となり、折れたり捩れたりしないで接合部がスムーズに曲がるようになる。このようなスペーサを有するカテーテルについは、米国特許第５，９６４，７５７号に開示されており、言及することを以って本明細書の一部とする。
【００２０】
図３乃至図７に示されているように、中間部分１４の先端部にはマッピングアセンブリ１７が設けられている。このマッピングアセンブリは、内部を通る２つのオフ軸内腔１１４及び１１６を有する非導電性のカバー２８を含む。マッピングアセンブリ１７の形状を付与する支持部材２４の先端部は、非導電性カバー２８の第１の内腔１１４内を通る。しかしながら、必要に応じて、支持部材２４を用いないで、非導電性カバー２８がマッピングアセンブリ１７に目的の形状を付与するように設計しても良い。
【００２１】
マッピングアセンブリ１７は、概ね直線状の基端領域３８、概ね環状の領域３９、及び概ね直線状の先端領域４０を含む。詳細を後述するように、基端領域３８はその軸が中間部分１４の軸に概ね平行になるように、その中間部分１４に取り付けられている。基端領域３８は、中間部分１４内に含まれていない露出部を有するのが好ましい。この露出部の長さは、好ましくは約３ｍｍ乃至約１２ｍｍの範囲であり、より好ましくは約３ｍｍ乃至約８ｍｍの範囲であり、更に好ましくは約５ｍｍであるが様々な長さにし得る。
【００２２】
概ね環状の主領域３９は、図４乃至図６に示されているように平坦な環状ではなく、極僅かに螺旋状である。この主領域３９の環の外径は、好ましくは約８ｍｍ乃至約３５ｍｍの範囲、より好ましくは約１２ｍｍ乃至２０ｍｍの範囲、更に好ましくは約１５ｍｍである。直線状基端領域３８とほぼ環状の主領域３９との移行領域４１は曲線状になっており、図５に示されているように基端領域３８を環状主領域３９の上にして側面から見ると、中間部分１４に沿った基端領域３８が曲線領域３９と角αを成す。この角αは、約７５度乃至約９５度の範囲であり、好ましくは約８３度乃至約９３度の範囲であり、更に好ましくは約８７度である。主領域３９は、図５に示されているように時計回りに曲げることもできるし、図６に示されているように反時計回りに曲げることもできる。図６に示されているように、移行領域４１が主領域の中心に近づくようにアセンブリ１７を９０度回動させると、中間部分１４に沿った基端領域が主領域と角βを成す。この角βは、約９０度乃至約１３５度の範囲であり、好ましくは約１００度乃至約１１０度の範囲であり、更に好ましくは約１０５度である。
【００２３】
支持部材２４は形状記憶合金から形成される。すなわち、外部から力が加わると元の形状から変形し、その力が取り除かれると実質的に元の形状に戻る。支持部材２４に好ましい材料は、ニッケル／チタン合金である。このような合金は通常、ニッケルが約５５％でチタンが約４５％であるが、ニッケルが約５４％乃至約５７％の範囲で残りをチタンにしてもよい。好適なニッケル／チタン合金は、形状記憶性能、延性、強度、耐腐食、電気抵抗、及び耐熱に優れたニチノールである。非導電性カバー２８は任意の好適な材料から形成できるが、ポリウレタン或いはＰＥＢＡＸ（登録商標）などの生体適合性プラスチックから形成されるのが好ましい。
【００２４】
一連のリング電極３６が、マッピングアセンブリ１７のほぼ環状の主領域３９の非導電性カバー２８上に設けられている。リング電極３６はプラチナや金などの好適な導電性の固体材料から形成できるが、プラチナとイリジウムの組み合わせが好ましく、接着剤などで非導電性カバー２８上に取り付けられる。別法では、リング電極は、プラチナ、金、及び／またはイリジウムなどの導電性材料で非導電性カバー２８をコーティングして形成することができる。このようなコーティングは、スパッタリング及びイオンビーム堆積などの技術で形成し得る。
【００２５】
好適な実施形態では、各リング電極３６を形成するために、先ず非導電性カバー２８に孔を形成する。次に、電極リードワイヤ５０を孔の中に送り、リング電極３６をリードワイヤ及び非導電性カバー２８上に溶接する。リードワイヤ５０は、非導電性カバー２８と支持部材２４との間に延在する。
【００２６】
アセンブリ上のリング電極３６の数は、必要に応じて様々にできる。リング電極の数は、好ましくは約６個乃至約２０個の範囲であり、より好ましくは約８個乃至約１２個の範囲である。特に好適な実施形態では、アセンブリは１０個のリング電極を有する。リング電極３６は、図７に最もよく示されているようにほぼ環状の主領域３９に沿ってその回りに概ね等間隔で配置されるのが好ましい。特に好適な実施形態では、各リング電極３６の中心間の距離は約５ｍｍである。
【００２７】
図７及び図８は、特に好適な電極構造を示す図である。カテーテルの先端部から見ると主領域３９が平坦な環状に見えるため、図７及び図８では主領域３９を平坦な環状として示しているが、ほぼ環状の主領域３９は上記したように極僅かに螺旋状である。ほぼ直線状の先端領域４０は、ほぼ環状の主領域３９に接線を成し、接点４３で主領域と接している。第１の電極３６ａは、ほぼ環状の主領域３９上に設けられた基端領域３８に最も近い電極である。第２の電極３６ｂは、ほぼ環状の主領域３９上に設けられた先端領域４０に最も近い電極である。第１の電極３６ａは、好ましくはほぼ環状の主領域３９の外周に沿って配置され、接点４３に対して角距離θを有する。この角距離θは、約５５度以下、好ましくは約４８度以下、更に好ましくは約１５度乃至約３６度の範囲である。第２の電極３６ｂは、好ましくはほぼ環状の主領域３９の外周に沿って配置され、接点４３に対して角距離ωを有する。この角距離ωは、約５５度以下、好ましくは約４８度以下、更に好ましくは約１５度乃至約３６度の範囲である。第１の電極３６ａは、好ましくはほぼ環状の主領域３９の外周に沿って配置され、第２の電極３６ｂに対して角距離γを有する。この角距離γは、１００度以下、好ましくは８０度以下、更に好ましくは３０度乃至７５度の範囲である。必要に応じて追加の電極（図示せず）を中間部分１４、概ね直線状の基端部分３８、移行領域４１、及び／または概ね直線状の先端領域４０に沿って設けることもできる。
【００２８】
図３に、中間部分１４とマッピングアセンブリ１７との接合部が示されている。非導電性カバー２８が、接着剤などで中間部分１４のチューブ２２に取り付けられている。支持部材２４が、第３の内腔３４から非導電性カバー２８の第１の内腔１１４を経てマッピングアセンブリのほぼ環状の主領域３９内に至っている。支持部材２４の基端部は中間部分１４の第３の内腔３４内に至っているが、中間部分１４の可撓性を損なわないように、その先端部に近い約５ｍｍの位置で終わっている。しかしながら、必要に応じて支持部材２４の基端部がカテーテル本体１２にまで延びるようにもできる。
【００２９】
また、リング電極３６に接続されたリードワイヤ５０は、非導電性カバー２８の第１の内腔１１４、中間部分１４の第３の内腔３４、カテーテル本体１２の中心内腔１８、及び制御ハンドル１６の中を通り、高周波エネルギー源（図示せず）に接続されたコネクタ３７の基端部まで至っている。カテーテル本体１２の中心内腔１８、制御ハンドル１６、及び中間部分１４の基端部を通る部分のリードワイヤ５０は、保護シース６２に覆われている。保護シース６２は、好ましくはポリイミドであるが、あらゆる好適な材料から形成され得る。保護シース６２は、その先端部がポリウレタン接着剤などで第３の内腔３４内に接着され、中間部分１４の基端部に取り付けられている。
【００３０】
マッピングアセンブリ１７のほぼ直線状の先端領域４０は、マッピングアセンブリ１７の先端部が組織に侵入しないように非外傷性になっている。図示した実施形態では、先端領域４０は、Microspringが販売するワイヤサイズが約０．１１４ｍｍ（０．００４５インチ）で内径が０．２８６ｍｍ（０．００９インチ）のコイル、またはCordis Corporation（Miami, Florida）が販売するミニガイドワイヤなどの、例えばステンレス鋼から形成される密に巻かれたコイルスプリング４４を含む。コイルスプリング４４は、非導電性カバー２８の第１の内腔１１４内を通り、その基端部がポリウレタン接着剤などで短寸のチューブ４５内に取り付けられてから、非導電性カバー２８内に接着またはその他の手段で固定される。チューブ４５は、非導電性カバー２８程は可撓性に富んでいないが、支持部材２４よりは可撓性に富み、マッピングアセンブリ１７の長さに沿って可撓性が変化している。先端領域４０の先端部には、好ましくはポリウレタン接着剤４６でキャップが形成されており、体液がマッピングアセンブリに進入しないようになっている。図示された実施形態では、ほぼ直線状の先端領域４０の長さは約１２．７ｍｍ（約０．５インチ）であるが、例えば、約６．４ｍｍ乃至約２５．４ｍｍ（約０．２５インチ乃至約１．０インチ）の範囲で任意の長さにすることができる。マッピングアセンブリ１７はシース内に導入する時に直線状にしなければならないため、後述するように、ほぼ直線状の先端領域４０は、カテーテルをガイドシース内に挿入するためのアンカーとして機能する十分な長さを有するのが好ましい。アンカーとしての機能するほぼ直線状の先端領域４０を有していない場合は、マッピングアセンブリ１７は、ガイドシース内に挿入されるときに抜け易い。更に、必要に応じて、蛍光透視下でのマッピングアセンブリ１７の位置決めを補助するべく、先端領域４０はその少なくとも一部を放射線不透過性材料から形成することができる。
【００３１】
上記したように、２本のプーラーワイヤ６４及び６５がカテーテル内を通っている。第１のプーラーワイヤ６４は、中間部分１４を曲げるために設けられている。第２のプーラーワイヤ６５は、マッピングアセンブリ１７を収縮させるために設けられている。プーラーワイヤ６４は、制御ハンドル１６からカテーテル本体１２の中心内腔１８を通って中間部分１４の第１の内腔３０に延びている。同様にプーラーワイヤ６５も、制御ハンドル１６からカテーテル本体１２の中心内腔１８を通っているが、中間部分１４の第２の内腔３２内に延びている。第２のプーラーワイヤ６５は更にマッピングアセンブリ１７の第２に内腔１１６内に延びている。後に詳述するように、第１のプーラーワイヤ６４の基端部は制御ハンドル１６内に固定され、その先端部は中間部分１４に固定されている。後に詳述するように、第２のプーラーワイヤ６５の基端部は制御ハンドル１６内に固定され、その先端部はマッピングアセンブリ１７の先端部に固定されている。
【００３２】
各プーラーワイヤ６４及び６５は、ステンレス鋼やニチノールなどの任意の好適な金属から形成される。各プーラーワイヤ６４及び６５は、テフロン（登録商標）コーティングなどのコーティング（図示せず）を有するのが好ましい。各プーラーワイヤの直径は、約０．１５２ｍｍ乃至約０．２５４ｍｍ（約０．００６インチ乃至約０．０１０インチ）の範囲が好ましい。
【００３３】
図示された実施形態では、第１のプーラーワイヤ６４は、その先端部が図３に示されるようなＴ字形アンカーで中間部分１４の先端部に固定されている。このＴ字形アンカーは例えば皮下針などの短寸のチューブ状ステンレス鋼８０を含み、チューブ状ステンレス鋼８０内に第１のプーラーワイヤ６４の先端部が挿入されてからこのチューブ状ステンレス鋼８０が加締められて、その第１のプーラーワイヤが固定されている。チューブ状ステンレス鋼８０の先端部は、ステンレス鋼リボンなどから形成されるクロスピース８２に溶接などにより固定されている。このクロスピース８２は、第１の内腔３０の先端部の先に配置されている。クロスピース８２は、第１の内腔の開口よりも大きいため、その開口内に引き込まれることはない。第１の内腔３０の先端部は、好ましくはポリウレタン接着剤である接着剤などにより満たされている。中間部分１４の第１の内腔３０内において、第１のプーラーワイヤ６４は好ましくはTeflon（登録商標）などのプラスチック製プーラーワイヤシース（図示せず）に受容されており、中間部分が曲がったときに中間部分の壁部内に侵入しないようになっている。別法では、第１のプーラーワイヤ６４は、類似の要領で中間部分１４の側壁に固定される。このとき、Ｔ字形アンカーは、第１の内腔３０を超えて配置されるのではなく側壁のノッチ内に延在する。このような設計は、米国特許第６，０６４，９０８号に開示されており、参照することを以って本明細書の一部とする。
【００３４】
第２のプーラーワイヤ６５は、第１のプーラーワイヤ６４と類似の要領で、マッピングアセンブリ１７の第２の内腔１１６の先端部に固定されている。Ｔ字形アンカーが第２のプーラーワイヤ６５の先端部に取り付けられ、非導電性カバー２８の側壁のノッチ内に延在し、その位置でポリウレタン接着剤などにより固定されている。プーラーワイヤ６４及びプーラーワイヤ６５の固定には、他のあらゆる好適な方法を用い得る。
【００３５】
図示した実施形態では、カテーテル本体１２内に２つの圧縮コイル６６が配置されている。プーラーワイヤ６４及びプーラーワイヤ６５はそれぞれ、対応する圧縮コイル６６に覆われている。各圧縮コイル６６は、カテーテル本体１２の基端部から中間部分１４の基端部まで延在する。圧縮コイル６６は、ステンレス鋼から形成されるのが好ましいが、任意の好適な金属から形成され得る。各圧縮コイル６６は密に巻かれていて、可撓性を有し曲げ易いが耐圧縮性である。各圧縮コイル６６の内径は、対応するプーラーワイヤ６４及び６５の直径よりもやや大きくするのが好ましい。プーラーワイヤ６４にはTeflon（登録商標）コーティングが施されているため、プーラーワイヤ６４は圧縮コイル６６内を自由にスライドできる。圧縮コイル６６の外面は、例えばポリイミドのチューブからなる可撓性の非導電性シース６８で覆われている。
【００３６】
各圧縮コイル６６は、その基端部が基端接着部７０によりカテーテル本体１２の外壁２０に固定されており、その先端部が先端接着部７２により中間部分１４に固定されている。両接着部７０及び７２は、好ましくはポリウレタン接着剤などを含む。接着剤はシリンジなどにより、カテーテル本体１２の表面から中心内腔１８に至る孔から注入される。このような恒久的な孔は、例えばニードルなどでカテーテル本体１２の外壁２０を穿孔し、その後で十分に熱を加えて形成され得る。次に接着剤をその孔から圧縮コイル６６の外面に導入すると、毛管作用により接着剤が外周部全体に行き渡り、圧縮コイル６６全体を覆う接着部が形成される。必要に応じて、圧縮コイル６６を長手方向の別の位置に固定しても良いし、また接着剤で固定しなくても良い。
【００３７】
制御ハンドル１６の好適な操作により、カテーテル本体１２に対して各プーラーワイヤ６４及び６５を長手方向に移動させることができる。図９乃至図１１に、本発明に従った制御ハンドル１６の実施形態が示されている。制御ハンドル１６は、長手軸、基端部、及び先端部を有する概ねチューブ状のハウジング８６と、そのハウジングの長手軸に沿ってそのハウジング内に延在する概ねチューブ状のコア９０とを含む。図示した実施形態では、コア９０は、製造を容易にするためにハンドルハウジング８６に固定される別の部品であるが、必要に応じてハウジングと一体形成してもよい。コア９０は、ハウジング８６の基端部を超えてその外側に延在する基端部と、ハウジング８６の先端部を超えてその外側に延在する先端部とを有する。カテーテル本体１２は、当業者に一般に知られている接着接合及び収縮スリーブなどの手段によって、または任意の他の好適な方法によってコア９０の先端部に固着されている。カテーテル本体１２の内部を通るプーラーワイヤ６４及び６５、リードワイヤ５０及び他のワイヤ、チューブまたはケーブルは、コア９０の内腔即ち通路８８の中を通る。但し、リードワイヤ５０は明瞭にするために図９乃至図１１には示されていない。細長いスロット１０２が、コア９０の長さの一部に延在する。
【００３８】
ピストン８４は、コア９０に覆われるようにハウジング８６内に取り付けられている。ピストン８４は、チューブ状の先端部８５及び半環状の基端部８７を有する。半環状の基端部８７は、その内面がチューブ状コア９０を受容するような形状になっている。ピストン８４の形状の厳密さは、本発明には極めて重要というわけではない。ハンドル１６は組み立てられると、ピストン８４の先端部８５の一部がハンドルハウジング８６の先端部の外側に延在する。ピストン８４の先端部８５にはねじ８９が設けられており、そのねじ８９に対応する雌ねじ（図示せず）を有する母指制御部９２をピストン８４に取り付けるために用いられる。ピストン８４に母指制御部９２を取り付けるための好適な構造は、２０００年４月１０日に出願の米国特許出願第０９／５４６，３１０号、名称「操舵可能なカテーテル用の単一歯車駆動二方向制御ハンドル（Single Gear Drive Bi-Directional Control Handle for Steerable Catheter）」に開示されており、参照することを以って本明細書の一部とする。このような設計では、ユーザーは、ピストン８４を直接或いは母指制御部９２を介して押したり引いたりして、ピストン８４をハンドルハウジング８６に対して長手方向に摺動させることができる。
【００３９】
第１のプーラーワイヤ６４の基端部は、好適な方法によりピストン８４に固定されている。図１２に示されている実施形態では、ピストン８４の基端部は、傾斜した縁１１９を有する概ね矩形の開口１１７を含む。開口１１７は、ピストン８４の壁部を貫通している。開口１１７の基端側には、ピストン８４の壁部を貫通しないようにその壁部に溝１２１が形成されている。溝１２１の幅よりも小さい幅を有する小溝１２２により、溝１２１と開口１１７が連結されている。第１のプーラーワイヤ６４が、コア９０の内腔８８及びスロット１０２、ピストン８４の開口１１７、及び小溝１２２を経て溝１２１内に至っている。第１のプーラーワイヤ６４は、プーラーワイヤアンカー１２４によって溝１２１に固定されている。このプーラーワイヤアンカー１２４は、小溝１２２を通過した後に第１のプーラーワイヤ６４の基端部を加締めなどにより固定する短寸の皮下針ストックを含むのが好ましい。プーラーワイヤアンカー１２４の直径が小溝１２２の幅よりも大きいため、第１のプーラーワイヤ６４の基端部が小溝１２２内に引き込まれることはない。開口１１７の長さは、ピストン８４がハウジング８６に対して最も先端側に移動した時に開口１１７がハウジング８６の外側に出ないように制限されている。しかしながら、開口１１７は、第１のプーラーワイヤ６４が曲がったり捩れたりしない角度でその開口１１７を貫通できる十分な長さにするのが好ましい。
【００４０】
カテーテル本体１２がコア９０に取り付けられているため、ピストン８４をハンドルハウジング８６及びコア９０に対して基端側へ移動させると、ピストン８４及び第１のプーラーワイヤ６４がカテーテル本体１２に対して基端側に移動する。このような動きにより、中間部分１４が第１のプーラーワイヤ６４の通る第１のオフ軸内腔３０側に曲がる。
【００４１】
図９に示されているように、第２のプーラーワイヤ６５の基端部が、好適な方法によりコア９０のスロット１０２内に配設されたねじスライド１００に固定されている。図示した実施形態では、ねじスライド１００は、一表面に沿ってねじ１０１が設けられている概ね矩形で中実のプラスチック片を含む。このスライド１００は概ね矩形の孔１０３を有し、この孔１０３に、上記した第１のプーラーワイヤ６４と同様の要領で、第２のプーラーワイヤ６５の基端部がプーラーワイヤアンカー１２５で固定されている。
【００４２】
ねじスライド１００は、回動しないでスロット内を長手方向に移動できるようにコア９０のスロット１０２に配設されているため、ねじスライド１００とコア９０との横方向の相対移動が可能となる。ハンドルハウジング８６は、ハンドルが組み立てられるとねじスライド１００のねじ面１０１が突き出る窓１０４を有する。窓１０４は第１の窓縁１１８及び第２の窓縁１２０を有し、これによりねじスライド１００の横方向の動きが制限されている。
【００４３】
ねじスリーブ９８が、ハンドルハウジング８６の第１の肩部１０６と第２の肩部１０８との間に取り付けられている。ねじスリーブ９８は、ねじスライド１００のねじ山１０１と歯合する雌ねじを有するため、ねじスリーブ９８を回転させると、ねじスライド１００がコア９０のスロット１０２内を長手方向に移動する。ねじスライド１００をハンドルハウジング８６内にスライド可能に配設するための別の構造も本発明に従って用い得る。例えば、ねじスライド１００が、コア９０のスロット１０２内ではなくコア９０上またはその周りに配設することもできる。
【００４４】
第２のプーラーワイヤ６５の基端部がねじスライド１００に取り付けられ、コア９０がカテーテル本体１２に取り付けられているため、ねじスライド１００がコア９０に対して長手方向に移動すると、それに応じて第２のプーラーワイヤ６５がカテーテル本体１２に対して移動する。従って、ねじスリーブ９８を回転させて、第２のプーラーワイヤ６５をカテーテル本体１２に対して基端方向に移動させると、マッピングアセンブリ１７の直線状の先端領域４０もカテーテル本体１２に対して基端方向に移動して曲がる。マッピングアセンブリ１７の直線状の先端領域４０が曲がると、マッピングアセンブリの環状の主領域３９が収縮してその直径が小さくなる。
【００４５】
一実施形態では、ねじスリーブ９８は長手方向のスリットを有し、delrynなどの可撓性材料を含む。ハンドルハウジング８６にねじスリーブ９８を取り付ける場合、ハンドルハウジング８６の肩部１０６と肩部１０８との間に配置するべく、ねじスリーブ９８をそのスリットに沿って広げてから、ハウジング８６を覆うように取り付ける。別法では、ねじスリーブ９８を２つの半分の部品から形成し、それらをハウジング８６に取り付けてから、溶接、接着剤、ねじ、またはリベットなどで連結する。図示した実施形態では、ねじスリーブ９８にグリップスリーブ１１２が取り付けられており、これによりスリーブを回し易くなり、ユーザーが使い易くなっている。グリップスリーブ１１２は、ゴムなどの高摩擦面を含み得る。グリップスリーブ１１２はまた、ねじスリーブ９８をハンドルハウジング８６に取り付けるときに、そのねじスリーブ９８を保持するのに役立つ。
【００４６】
図示した実施形態では、ねじスリーブ９８はハンドルハウジング８６の外周の全体を覆っている。必要に応じて、ねじスリーブ９８は、ハンドルハウジング８６の外周の一部のみを覆う別の回転可能な部材に替えても良い。
【００４７】
必要に応じて、コア９０の所定の位置にハンドルハウジング８６を保持するためのファスナー（図示せず）を設けても良い。このような構造については、２０００年４月１０日に出願の米国特許出願第０９／５４６，３１０号、名称「操舵可能なカテーテル用の単一歯車駆動二方向制御ハンドル（Single Gear Drive Bi-Directional Control Handle for Steerable Catheter）」に開示されており、参照することを以って本明細書の一部とする。
【００４８】
使用する場合、好適なガイドシースを患者に挿入して目的のマッピング位置にその先端部を配置する。本発明と共に用いられる好適なガイドシースの例には、Cordis Webster（Diamond Bar, California）が市販するPreface（商標）ブレードガイドシースがある。シースの先端部をある動脈の中に案内する。本発明に従ったカテーテルを、その先端部がガイドシースの先端部から突出するまでガイドシース内を送る。カテーテルをガイドシース内を送るときは、マッピングアセンブリ１７を直線状にしてシース内を移動できるようにする。カテーテルの先端部が目的のマッピング位置に配置されたら、ガイドシースを基端方向に引いて、可撓性の中間部分１４及びマッピングアセンブリ１７がシースから突き出るようにし、支持部材２４の形状記憶に従ってマッピングアセンブリ１７が元の形状に戻るようにする。次にマッピングアセンブリ１７を肺静脈または他の管状領域（冠静脈洞、上大静脈、または下大静脈）内に挿入し、そのマッピングアセンブリ１７のほぼ環状の主領域３９の外周部がその管状領域の内周面に接触するようにする。ほぼ環状の主領域３９の少なくとも約５０％、より好ましくは少なくとも約７０％、更に好ましくは少なくとも８０％が管状領域の内周面と接触するのが好ましい。
【００４９】
電極３６の環状構造により、管状構造の内周面の電気活性を測定できるため、電極間の異所性拍動の検出が可能となる。ほぼ環状の主領域３９の大きさにより、心臓或いはその近傍の肺静脈または他の管状構造の直径に沿った電気活性の測定が可能となる。これは、環状の主領域３９の直径が肺静脈や冠静脈洞の肺静脈の直径に概ね一致するためである。更に、図４に示されているように主領域３９が平坦な環状ではなくやや螺旋状であるため、ユーザーがマッピングアセンブリ１７を管状領域内に案内し易い。マッピングアセンブリ１７の主領域３９の外周が、マッピングする管状構造の内周よりも大きい場合は、上記したように制御ハンドル１６を用いて第２のプーラーワイヤ６５を長手方向に移動させてマッピングアセンブリを縮小させることができる。
【００５０】
本発明のハンドルは、上記したカテーテルの設計に限定されるものではない。本ハンドルはまた、特に、２方向カテーテル、またはカテーテル本体の先端部即ち中間部分を曲げるために２本のプーラーワイヤを有する他のカテーテルに有用である。このようなカテーテルは、米国特許第６，１７１，２７７号、同第６，１８３，４６３号、同第６，１９８，９７４号、同第６，２１０，４０７号、及び同第６，２６７，７４６号、並びに２００１年３月３０日に出願の米国特許出願第０９／８２２，０８７号、名称「プーリー機構を有する制御ハンドルを備えた操舵可能なカテーテル（Steerable Catheter with a Control Handle Having a Pulley Mechanism）」及び２００１年４月３０日に出願の米国特許出願第０９／８４６，７３２号、名称「非対称２方向操舵可能カテーテル（Asymmetrical Bidirectional Steerable Catheter）」に開示されており、これらを参照することを以って本明細書の一部とする。
【００５１】
これまでの説明は、現在において好適な本発明の実施形態を参照して行った。当業者であれば、変形が本発明の原理、概念、及び範囲を逸脱することなく、上記した構造の変更が実施可能であることを理解できよう。従って、前記説明は、添付の図面及びそれを用いた説明に正確に従った構造及び方法に限定されるものではなく、完全で公正な範囲を有する前記した請求の範囲に一致し、請求の範囲をサポートするものと解釈されるべきである。
【００５２】
本発明の実施態様は以下の通りである。
（実施態様Ａ）
制御ハンドルであって、
基端部、先端部、及び実質的に中空の内部を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記内部に配設された基端部、及び前記ハウジングの外側に延在する先端部を有すると共に、前記ハウジングに対して長手方向に移動可能な第１の可動部材と、
前記ハウジングの前記内部に設けられ、かつ前記ハウジングに対して長手方向に移動可能な第２の可動部材と、
回動により前記第２の可動部材を長手方向に移動させることができる、前記ハウジングに取り付けられた回動部材とを含むことを特徴とする制御ハンドル。
（１）前記第１の可動部材及び前記第２の可動部材を、前記ハウジングに対して基端方向に同時に移動させることができることを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（２）前記第２の可動部材が前記ハウジングに対して回動して移動するのではないことを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（３）前記第１の可動部材の前記先端部或いはその近傍に取り付けられた母指制御部を更に含むことを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（４）前記回動部材が、前記第２の可動部材のねじ面と噛合する雌ねじ面を有することを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（５）前記ハウジングの前記内部に配設された、長手方向のスロットを有するコアを更に含み、前記第２の可動部材が前記スロット内に摺動可能に配設されることを特徴とする実施態様（４）に記載の制御ハンドル。
【００５３】
（６）前記ハウジングの前記内部に配設された、長手方向のスロットを有するコアを更に含み、前記第２の可動部材が前記スロット内に摺動可能に配設されることを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（７）前記コアが、その長さの少なくとも一部を通る内腔を有することを特徴とする実施態様（６）に記載の制御ハンドル。
（８）前記第１の可動部材が実質的に管状であって、前記コアの一分を受容するように配設されることを特徴とする実施態様（６）に記載の制御ハンドル。
（９）前記ハウジングが実質的に管状であって、前記回動部材が前記ハウジングの全周の回りに延在することを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（実施態様Ｂ）
制御ハンドルであって、
基端部、先端部、及び実質的に中空の内部を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記内部に配設された、長手方向のスロットを有するコアと、
前記ハウジングの前記内部に配設された基端部、及び前記ハウジングの外側に延在する先端部を有すると共に、前記ハウジングに対して長手方向に移動可能な第１の可動部材と、
前記コアの前記長手方向のスロットに配設され、かつ前記コア及び前記ハウジングに対して長手方向に移動可能であって、ねじ面を有する第２の可動部材と、
前記第２の可動部材の前記ねじ面と噛合する雌ねじ面を有することにより、回動により前記第２の可動部材を長手方向に移動させることが可能な前記ハウジングに設けられた回動部材とを含み、
前記ハウジングに対して前記第１の可動部材及び前記第２の可動部材を同時に基端方向に移動させることができることを特徴とする制御ハンドル。
（実施態様Ｃ）
カテーテルであって、
基端部、先端部、及び内部を通る内腔を有する細長い可撓性のカテーテル本体と、
基端部、先端部、並びに内部を通る第１の内腔及び第２の内腔を有する、前記カテーテル本体の先端部に位置する中間部分と、
前記カテーテル本体の前記基端部に取り付けられた実施態様Ａに従ったハンドルであって、前記カテーテル本体が前記ハウジングに取り付けられている前記ハンドルと、
前記カテーテル本体の内部及び前記中間部分の前記第１の内腔を通ると共に、前記ハンドルの前記第１の可動部材に固定された基端部、及び前記カテーテルの前記先端部或いはその近傍に固定された先端部を有する第１のプーラーワイヤと、
前記カテーテル本体の内部及び前記中間部分の前記第２の内腔を通ると共に、前記ハンドルの前記第２の可動部材に固定された基端部、及び前記カテーテルの前記先端部或いはその近傍に固定された先端部を有する第２のプーラーワイヤとを含むことを特徴とするカテーテル。
（１０）前記第１のプーラーワイヤの前記先端部が前記中間部分に固定されていることを特徴とする実施態様Ｃに記載のカテーテル。
【００５４】
（１１）基端部、先端部、及び内部を通る内腔を有すると共に、前記中間部分の先端部に取り付けられた実質的に環状のマッピングアセンブリを更に含み、前記第２のプーラーワイヤの前記先端部が前記マッピングアセンブリの前記内腔を通り、前記マッピングアセンブリの前記先端部或いはその近傍に固定されていることを特徴とする実施態様Ｃに記載のカテーテル。
（１２）前記第１の可動部材及び前記第２の可動部材を、前記ハウジングに対して基端方向に同時に移動させることができることを特徴とする実施態様Ｃに記載のカテーテル。
（１３）前記回動部材が、前記第２の可動部材のねじ面と噛合する雌ねじ面を有することを特徴とする実施態様Ｃに記載のカテーテル。
（１４）前記制御ハンドルが更に、前記ハウジングの前記内部に配設されたコアを含み、前記コアが、前記第２の可動部材がスライド可能に配設される長手方向のスロットを有することを特徴とする実施態様（１３）に記載のカテーテル。
（１５）前記制御ハンドルが更に、前記ハウジングの前記内部に配設されたコアを含み、前記コアが、前記第２の可動部材が摺動可能に配設される長手方向のスロットを有することを特徴とする実施態様Ｃに記載のカテーテル。
（１６）前記第１の可動部材が実質的に管状であって、前記コアの一部を受容するように配設されることを特徴とする実施態様（１５）に記載のカテーテル。
【００５５】
【発明の効果】
カテーテル本体に対して複数のプーラーワイヤを同時に基端側に移動させることができるカテーテルハンドルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に従ったカテーテルの斜視図である。
【図２】本発明に従ったカテーテルのカテーテル本体の拡大側断面図である。
【図３】本発明に従ったカテーテルの中間部分とマッピングアセンブリとの接合部の拡大側断面図である。
【図４】本発明に従ったマッピングアセンブリの模式的な斜視図である。
【図５】本発明に従った時計回り型のマッピングアセンブリの模式的な斜視図である。
【図６】図５に示したアセンブリに対して９０度回転させた本発明に従った反時計回り型のマッピングアセンブリの模式的な斜視図である。
【図７】本発明に従ったマッピングアセンブリの模式図である。
【図８】第１の電極と第２の電極との関係を示す本発明に従ったマッピングアセンブリの模式図である。
【図９】本発明に従ったカテーテルハンドルの側断面図である。
【図１０】図９のカテーテルハンドルの破断図である。
【図１１】図９のカテーテルハンドルの組立斜視図である。
【図１２】図９のカテーテルハンドルのピストンの模式図である。
【符号の説明】
１０ カテーテル
１２ カテーテル本体
１４ 中間部分
１６ 制御ハンドル
１７ マッピングアセンブリ
２０ カテーテル本体の外壁
２４ 支持部材
２８ 非導電性カバー
３０ 第１の内腔
３２ 第２の内腔
３４ 第３の内腔
３６ リング電極
３６ａ 第１の電極
３６ｂ 第２の電極
３８ 直線状の基端領域
３９ 環状の主領域
４０ 直線状の先端領域
４１ 移行領域
４３ 接点
４４ コイルスプリング
４５ チューブ
５０ リードワイヤ
６２ 保護シース
６４ 第１のプーラーワイヤ
６５ 第２のプーラーワイヤ
６６ 圧縮コイル
６８ 非導電性シース
８０ チューブ状ステンレス鋼
８２ クロスピース
８４ ピストン
８６ ハウジング
８８ 内腔
９０ コア
９２ 母指制御部
９８ スリーブ
１００ スライド
１０１ ねじ面
１０２ スロット
１０４ 窓
１０６ 第１の肩部
１０８ 第２の肩部
１１２ グリップスリーブ
１１４ 第１のオフ軸内腔
１１６ 第２のオフ軸内腔
１１７ 開口
１１８ 第１の窓縁
１１９ 傾斜した縁
１２０ 第２の窓縁
１２１ 溝
１２２ 小溝
１２４，１２５ アンカー
【発明の属する技術分野】
本発明は、２本の異なるコントロールワイヤを操作するための２機能カテーテルハンドルに関する。
【０００２】
【従来の技術】
多年に亘って、電極カテーテルが一般的に医療用に使用されている。これらの電極カテーテルは、心臓を刺激して電気活性をマッピングし、電気活性が異常な部位をアブレートする。
【０００３】
使用するときは、電極カテーテルを主要な静脈、または大腿動脈などの動脈に挿入し、目的の心臓の部屋に導入する。心臓内において、カテーテルの先端部を正確な位置及び向きに配置制御することが極めて重要であり、これによりカテーテルの有用性が決まる。
【０００４】
操舵可能なカテーテルが一般によく知られている。例えば、特許文献１に、ハウジングを備えた制御ハンドルを含むカテーテルが開示されている。このハウジングは、その先端部にピストン室を有する。ピストンはピストン室に配置され、長手方向に移動可能である。カテーテル本体の基端部がピストンに取り付けられている。プーラーワイヤがハウジングに取り付けられている。このプーラーワイヤは、ピストン及びカテーテル本体の内部を通っている。プーラーワイヤの先端部は、カテーテルの先端部分に固定されている。この構造では、ハウジングに対してピストンを長手方向に移動させて、カテーテル本体の先端部を曲げることができる。特許文献１に開示されているこの構造は、一般に１本のプーラーワイヤを有するカテーテルに限定されている。
【０００５】
あるカテーテルの構造の場合、２本以上のプーラーワイヤが必要である。例えば、カテーテル本体を回転しないで２つ以上の方向に曲げ得るカテーテルのような２方向カテーテルが望ましい場合、２本以上のプーラーワイヤが必要になる。２本以上のプーラーワイヤ、及び複数のプーラーワイヤ制御用の制御ハンドルの例が、特許文献２及び特許文献３に開示されている。しかしながら、これらの特許文献２及び特許文献３に開示されているカテーテルハンドルは、ある種の適用例によって望ましいプーラーワイヤをカテーテル本体に対して基端方向に同時に移動させることができないようになっている。しかしながら、他の適用例では、カテーテル本体に対して複数のプーラーワイヤを同時に基端側に移動させることが望ましい。
【０００６】
【特許文献１】
米国再特許第０３４，５０２号明細書
【特許文献２】
米国特許第６，１７１，２７７号明細書
【特許文献３】
米国特許第６，１８３，４６３号明細書
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
カテーテル本体に対して複数のプーラーワイヤを同時に基端側に移動させることができるカテーテルハンドルが要望されている。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、２機能カテーテルハンドルに関する。この２機能カテーテルハンドルは、カテーテル本体及びそのハンドルを含むカテーテルに対して２本の制御用プーラーワイヤを同時に動かすことができる。一実施形態では、本発明は、基端部、先端部、及び概ね中空の内部を有するハンドルハウジングを含むカテーテルハンドルに関する。ハンドルハウジングの内部に配設された基端部、及びハンドルハウジングの外側に延在する先端部を有する第１の可動部材が設けられている。この第１の可動部材は、ハンドルハウジングに対して長手方向に移動可能である。第２の可動部材がハンドルハウジングに対して移動可能に前記ハンドルハウジング内に設けられている。回動すると前記第２の可動部材が長手方向に動くように、回動部材がハンドルハウジングに取り付けられている。
【０００９】
特に好適な実施形態では、本発明は、基端部、先端部、及び概ね中空の内部を有するハンドルハウジングを含むカテーテルハンドルに関する。長手方向のスロットを有するコアが、前記ハンドルハウジングの内部に設けられている。ハンドルハウジングの内部に配設された基端部、及び前記ハンドルハウジングの外側に延在する先端部を有する第１の可動部材が設けられている。第１の可動部材は、ハンドルハウジングに対して長手方向に移動可能である。第２の可動部材が、コア及びハンドルハウジングに対して長手方向に移動可能に前記コアの長手方向のスロット内に配設されている。第２の可動部材はねじ面を有する。可動部材はハンドルハウジング上に設けられ、第２の可動部材のねじ面と噛合する雌ねじ面を有する。可動部材を回動させて、第２の可動部材を長手方向に移動させることができる。
【００１０】
別の実施形態では、本発明は、本発明のカテーテルハンドルを含むカテーテルに関する。このカテーテルは、基端部、先端部、及び内部を通る内腔を有する細長い可撓性のカテーテル本体を含む。中間部分が、カテーテル本体の先端部に取り付けられている。この中間部分は、基端部、先端部、並びにその内部を通る第１のオフ軸内腔及び第２のオフ軸内腔を有する。中間部分は、カテーテル本体と別の部品であっても良いし、またカテーテル本体と一体であっても良い。上記したようなハンドルが、カテーテル本体の基端部に取り付けられている。カテーテル本体は、直接取り付けても良いし、また、例えばコアに取り付けるなどして間接的に取り付けても良い。第１のプーラーワイヤが、カテーテル本体の内部及び中間部分の第１のオフ軸内腔を通っている。第１のプーラーワイヤは、ハンドルの第１の可動部材に固定された基端部と、カテーテルの先端部或いはその近傍に固定された先端部とを有する。プーラーワイヤが固定されるカテーテルの先端部は、例えば中間部分や、その中間部分に取り付けられる別のアブレーション或いはマッピングアセンブリなどの心臓に挿入される先端部のあらゆる部分を含み得る。第２のプーラーワイヤが、カテーテル本体の内部及び中間部分の第２のオフ軸内腔を通っている。第２のプーラーワイヤは、ハンドルの第２の可動部材に固定された基端部と、カテーテルの先端部或いはその近傍に固定された先端部とを有する。特に好適な実施形態では、第１のプーラーワイヤの先端部が中間部分に固定され、カテーテルが更に、前記中間部分の先端部に取り付けられた概ね環状のマッピングアセンブリを含み、マッピングアセンブリを収縮させるべく、第２のプーラーワイヤがそのマッピングアセンブリのオフ軸内腔を通って、そのマッピングアセンブリの先端部或いはその近傍に固定されている。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明の上記した及び他の特徴及び利点は、以降の添付の図面を参照した詳細な説明から明らかになるであろう。
【００１２】
本発明は、２本の独立した偏位制御ワイヤ即ちプーラーワイヤを操作するためのカテーテルハンドルに関する。図１に示されているように、カテーテル１０は、基端部及び先端部を有する細長いカテーテル本体１２と、そのカテーテル本体の基端部に取り付けられた制御ハンドル１６と、そのカテーテル本体の先端部に取り付けられた中間部分１４と、その中間部分に取り付けられたマッピングアセンブリ１７とを含む。
【００１３】
図２を参照すると、カテーテル本体１２は、１本の軸内腔即ち中心内腔１８を有する細長いチューブ状構造を含む。但し、必要に応じて複数の内腔を設けることもできる。カテーテル本体１２は、可撓性即ち曲げることができるが、長さに沿っては非圧縮性である。カテーテル本体１２は、任意の構造にすることができ、また任意の好適な材料から形成され得る。現在において好適な構造は、ポリウレタンまたはＰＥＢＡＸ（登録商標）から形成される外壁２０を含む。この外壁２０は、カテーテル１０の中間部分１４が制御ハンドル１６の回動に一致して回動するように、カテーテル本体１２の捩り剛性を増すべく、ステンレス鋼などの埋め込みブレードメッシュを含む。
【００１４】
カテーテル本体１２の外径は極めて重要というわけではないが、好ましくは好ましくは約８フレンチ（内径１．５ｍｍまたは外径約２．６７ｍｍ）以下であり、更に好ましくは７フレンチ（内径１．２５ｍｍまたは外径約２．３３ｍｍ）以下である。同様に外壁２０の厚さも極めて重要というわけではないが、中心内腔１８が、プーラーワイヤ、リードワイヤ、及びその他のワイヤやケーブルなどを収容できるように十分に薄くするのが好ましい。必要に応じて、捩り剛性を増大させるべく外壁２０の内面に補剛チューブ（図示せず）を設けることもできる。特に好適なカテーテルは、外径が約２．２９ｍｍ乃至２．３９ｍｍ（約０．０９０インチ乃至約０．０９４インチ）、内径が約１．５５ｍｍ乃至約１．６５ｍｍ（約０．０６１インチ乃至約０．０６５インチ）の外壁２０を有する。
【００１５】
図２及び図３に示されているように、中間部分１４は、３つのオフ軸内腔を有する短いチューブ部分２２、第１のプーラーワイヤ６４を受容する第１の内腔３０、第２のプーラーワイヤ６５を受容する第２の内腔３２、並びにマッピングアセンブリ１７のための支持部材２４及びリードワイヤ５０を受容する第３の内腔３４を含み、これらについては以降に詳述する。チューブ２２は、好ましくはカテーテル本体１２よりも可撓性に富んだ好適な非毒性材料から形成される。現在において好適な材料には、ブレードポリウレタン、即ちブレードステンレス鋼などのメッシュが埋め込まれたポリウレタンがある。それぞれの内腔の大きさは、極めて重要というわけではないが、リードワイヤ、プーラーワイヤ、及び支持部材を十分に受容できる大きさである。
【００１６】
カテーテルの有効長さ、即ちマッピングアセンブリ１７を除く患者に挿入できる部分は必要に応じて自由に変更できる。好ましいカテーテルの有効長さは、約１１０ｃｍ乃至約１２０ｃｍの範囲である。中間部分１４の長さは有効長さに対して比較的短く、好ましくは約３．５ｃｍ乃至約１０ｃｍの範囲であり、更に好ましくは約５ｃｍ乃至約６．５ｃｍの範囲である。
【００１７】
中間部分１４にカテーテル本体１２を取り付けるための好適な手段が図２に示されている。中間部分１４の基端部は、カテーテル本体１２の外壁２０の内面を受け止める外周ノッチ２６を有する。中間部分１４とカテーテル本体１２とは、接着剤などで取り付けられる。
【００１８】
別法では、カテーテル本体１２と中間部分１４は単一のチューブから形成され得る。このような設計は、例えばカテーテル本体と中間部分とが同数の内腔を有する場合に有用である。
【００１９】
必要に応じて、スペーサ（図示せず）を、カテーテル本体１２の補剛チューブ（含まれる場合は）の先端部と中間部分１４の基端部との間に配設し得る。スペーサが、カテーテル本体１２と中間部分１４との接合部の可撓性の移行部となり、折れたり捩れたりしないで接合部がスムーズに曲がるようになる。このようなスペーサを有するカテーテルについは、米国特許第５，９６４，７５７号に開示されており、言及することを以って本明細書の一部とする。
【００２０】
図３乃至図７に示されているように、中間部分１４の先端部にはマッピングアセンブリ１７が設けられている。このマッピングアセンブリは、内部を通る２つのオフ軸内腔１１４及び１１６を有する非導電性のカバー２８を含む。マッピングアセンブリ１７の形状を付与する支持部材２４の先端部は、非導電性カバー２８の第１の内腔１１４内を通る。しかしながら、必要に応じて、支持部材２４を用いないで、非導電性カバー２８がマッピングアセンブリ１７に目的の形状を付与するように設計しても良い。
【００２１】
マッピングアセンブリ１７は、概ね直線状の基端領域３８、概ね環状の領域３９、及び概ね直線状の先端領域４０を含む。詳細を後述するように、基端領域３８はその軸が中間部分１４の軸に概ね平行になるように、その中間部分１４に取り付けられている。基端領域３８は、中間部分１４内に含まれていない露出部を有するのが好ましい。この露出部の長さは、好ましくは約３ｍｍ乃至約１２ｍｍの範囲であり、より好ましくは約３ｍｍ乃至約８ｍｍの範囲であり、更に好ましくは約５ｍｍであるが様々な長さにし得る。
【００２２】
概ね環状の主領域３９は、図４乃至図６に示されているように平坦な環状ではなく、極僅かに螺旋状である。この主領域３９の環の外径は、好ましくは約８ｍｍ乃至約３５ｍｍの範囲、より好ましくは約１２ｍｍ乃至２０ｍｍの範囲、更に好ましくは約１５ｍｍである。直線状基端領域３８とほぼ環状の主領域３９との移行領域４１は曲線状になっており、図５に示されているように基端領域３８を環状主領域３９の上にして側面から見ると、中間部分１４に沿った基端領域３８が曲線領域３９と角αを成す。この角αは、約７５度乃至約９５度の範囲であり、好ましくは約８３度乃至約９３度の範囲であり、更に好ましくは約８７度である。主領域３９は、図５に示されているように時計回りに曲げることもできるし、図６に示されているように反時計回りに曲げることもできる。図６に示されているように、移行領域４１が主領域の中心に近づくようにアセンブリ１７を９０度回動させると、中間部分１４に沿った基端領域が主領域と角βを成す。この角βは、約９０度乃至約１３５度の範囲であり、好ましくは約１００度乃至約１１０度の範囲であり、更に好ましくは約１０５度である。
【００２３】
支持部材２４は形状記憶合金から形成される。すなわち、外部から力が加わると元の形状から変形し、その力が取り除かれると実質的に元の形状に戻る。支持部材２４に好ましい材料は、ニッケル／チタン合金である。このような合金は通常、ニッケルが約５５％でチタンが約４５％であるが、ニッケルが約５４％乃至約５７％の範囲で残りをチタンにしてもよい。好適なニッケル／チタン合金は、形状記憶性能、延性、強度、耐腐食、電気抵抗、及び耐熱に優れたニチノールである。非導電性カバー２８は任意の好適な材料から形成できるが、ポリウレタン或いはＰＥＢＡＸ（登録商標）などの生体適合性プラスチックから形成されるのが好ましい。
【００２４】
一連のリング電極３６が、マッピングアセンブリ１７のほぼ環状の主領域３９の非導電性カバー２８上に設けられている。リング電極３６はプラチナや金などの好適な導電性の固体材料から形成できるが、プラチナとイリジウムの組み合わせが好ましく、接着剤などで非導電性カバー２８上に取り付けられる。別法では、リング電極は、プラチナ、金、及び／またはイリジウムなどの導電性材料で非導電性カバー２８をコーティングして形成することができる。このようなコーティングは、スパッタリング及びイオンビーム堆積などの技術で形成し得る。
【００２５】
好適な実施形態では、各リング電極３６を形成するために、先ず非導電性カバー２８に孔を形成する。次に、電極リードワイヤ５０を孔の中に送り、リング電極３６をリードワイヤ及び非導電性カバー２８上に溶接する。リードワイヤ５０は、非導電性カバー２８と支持部材２４との間に延在する。
【００２６】
アセンブリ上のリング電極３６の数は、必要に応じて様々にできる。リング電極の数は、好ましくは約６個乃至約２０個の範囲であり、より好ましくは約８個乃至約１２個の範囲である。特に好適な実施形態では、アセンブリは１０個のリング電極を有する。リング電極３６は、図７に最もよく示されているようにほぼ環状の主領域３９に沿ってその回りに概ね等間隔で配置されるのが好ましい。特に好適な実施形態では、各リング電極３６の中心間の距離は約５ｍｍである。
【００２７】
図７及び図８は、特に好適な電極構造を示す図である。カテーテルの先端部から見ると主領域３９が平坦な環状に見えるため、図７及び図８では主領域３９を平坦な環状として示しているが、ほぼ環状の主領域３９は上記したように極僅かに螺旋状である。ほぼ直線状の先端領域４０は、ほぼ環状の主領域３９に接線を成し、接点４３で主領域と接している。第１の電極３６ａは、ほぼ環状の主領域３９上に設けられた基端領域３８に最も近い電極である。第２の電極３６ｂは、ほぼ環状の主領域３９上に設けられた先端領域４０に最も近い電極である。第１の電極３６ａは、好ましくはほぼ環状の主領域３９の外周に沿って配置され、接点４３に対して角距離θを有する。この角距離θは、約５５度以下、好ましくは約４８度以下、更に好ましくは約１５度乃至約３６度の範囲である。第２の電極３６ｂは、好ましくはほぼ環状の主領域３９の外周に沿って配置され、接点４３に対して角距離ωを有する。この角距離ωは、約５５度以下、好ましくは約４８度以下、更に好ましくは約１５度乃至約３６度の範囲である。第１の電極３６ａは、好ましくはほぼ環状の主領域３９の外周に沿って配置され、第２の電極３６ｂに対して角距離γを有する。この角距離γは、１００度以下、好ましくは８０度以下、更に好ましくは３０度乃至７５度の範囲である。必要に応じて追加の電極（図示せず）を中間部分１４、概ね直線状の基端部分３８、移行領域４１、及び／または概ね直線状の先端領域４０に沿って設けることもできる。
【００２８】
図３に、中間部分１４とマッピングアセンブリ１７との接合部が示されている。非導電性カバー２８が、接着剤などで中間部分１４のチューブ２２に取り付けられている。支持部材２４が、第３の内腔３４から非導電性カバー２８の第１の内腔１１４を経てマッピングアセンブリのほぼ環状の主領域３９内に至っている。支持部材２４の基端部は中間部分１４の第３の内腔３４内に至っているが、中間部分１４の可撓性を損なわないように、その先端部に近い約５ｍｍの位置で終わっている。しかしながら、必要に応じて支持部材２４の基端部がカテーテル本体１２にまで延びるようにもできる。
【００２９】
また、リング電極３６に接続されたリードワイヤ５０は、非導電性カバー２８の第１の内腔１１４、中間部分１４の第３の内腔３４、カテーテル本体１２の中心内腔１８、及び制御ハンドル１６の中を通り、高周波エネルギー源（図示せず）に接続されたコネクタ３７の基端部まで至っている。カテーテル本体１２の中心内腔１８、制御ハンドル１６、及び中間部分１４の基端部を通る部分のリードワイヤ５０は、保護シース６２に覆われている。保護シース６２は、好ましくはポリイミドであるが、あらゆる好適な材料から形成され得る。保護シース６２は、その先端部がポリウレタン接着剤などで第３の内腔３４内に接着され、中間部分１４の基端部に取り付けられている。
【００３０】
マッピングアセンブリ１７のほぼ直線状の先端領域４０は、マッピングアセンブリ１７の先端部が組織に侵入しないように非外傷性になっている。図示した実施形態では、先端領域４０は、Microspringが販売するワイヤサイズが約０．１１４ｍｍ（０．００４５インチ）で内径が０．２８６ｍｍ（０．００９インチ）のコイル、またはCordis Corporation（Miami, Florida）が販売するミニガイドワイヤなどの、例えばステンレス鋼から形成される密に巻かれたコイルスプリング４４を含む。コイルスプリング４４は、非導電性カバー２８の第１の内腔１１４内を通り、その基端部がポリウレタン接着剤などで短寸のチューブ４５内に取り付けられてから、非導電性カバー２８内に接着またはその他の手段で固定される。チューブ４５は、非導電性カバー２８程は可撓性に富んでいないが、支持部材２４よりは可撓性に富み、マッピングアセンブリ１７の長さに沿って可撓性が変化している。先端領域４０の先端部には、好ましくはポリウレタン接着剤４６でキャップが形成されており、体液がマッピングアセンブリに進入しないようになっている。図示された実施形態では、ほぼ直線状の先端領域４０の長さは約１２．７ｍｍ（約０．５インチ）であるが、例えば、約６．４ｍｍ乃至約２５．４ｍｍ（約０．２５インチ乃至約１．０インチ）の範囲で任意の長さにすることができる。マッピングアセンブリ１７はシース内に導入する時に直線状にしなければならないため、後述するように、ほぼ直線状の先端領域４０は、カテーテルをガイドシース内に挿入するためのアンカーとして機能する十分な長さを有するのが好ましい。アンカーとしての機能するほぼ直線状の先端領域４０を有していない場合は、マッピングアセンブリ１７は、ガイドシース内に挿入されるときに抜け易い。更に、必要に応じて、蛍光透視下でのマッピングアセンブリ１７の位置決めを補助するべく、先端領域４０はその少なくとも一部を放射線不透過性材料から形成することができる。
【００３１】
上記したように、２本のプーラーワイヤ６４及び６５がカテーテル内を通っている。第１のプーラーワイヤ６４は、中間部分１４を曲げるために設けられている。第２のプーラーワイヤ６５は、マッピングアセンブリ１７を収縮させるために設けられている。プーラーワイヤ６４は、制御ハンドル１６からカテーテル本体１２の中心内腔１８を通って中間部分１４の第１の内腔３０に延びている。同様にプーラーワイヤ６５も、制御ハンドル１６からカテーテル本体１２の中心内腔１８を通っているが、中間部分１４の第２の内腔３２内に延びている。第２のプーラーワイヤ６５は更にマッピングアセンブリ１７の第２に内腔１１６内に延びている。後に詳述するように、第１のプーラーワイヤ６４の基端部は制御ハンドル１６内に固定され、その先端部は中間部分１４に固定されている。後に詳述するように、第２のプーラーワイヤ６５の基端部は制御ハンドル１６内に固定され、その先端部はマッピングアセンブリ１７の先端部に固定されている。
【００３２】
各プーラーワイヤ６４及び６５は、ステンレス鋼やニチノールなどの任意の好適な金属から形成される。各プーラーワイヤ６４及び６５は、テフロン（登録商標）コーティングなどのコーティング（図示せず）を有するのが好ましい。各プーラーワイヤの直径は、約０．１５２ｍｍ乃至約０．２５４ｍｍ（約０．００６インチ乃至約０．０１０インチ）の範囲が好ましい。
【００３３】
図示された実施形態では、第１のプーラーワイヤ６４は、その先端部が図３に示されるようなＴ字形アンカーで中間部分１４の先端部に固定されている。このＴ字形アンカーは例えば皮下針などの短寸のチューブ状ステンレス鋼８０を含み、チューブ状ステンレス鋼８０内に第１のプーラーワイヤ６４の先端部が挿入されてからこのチューブ状ステンレス鋼８０が加締められて、その第１のプーラーワイヤが固定されている。チューブ状ステンレス鋼８０の先端部は、ステンレス鋼リボンなどから形成されるクロスピース８２に溶接などにより固定されている。このクロスピース８２は、第１の内腔３０の先端部の先に配置されている。クロスピース８２は、第１の内腔の開口よりも大きいため、その開口内に引き込まれることはない。第１の内腔３０の先端部は、好ましくはポリウレタン接着剤である接着剤などにより満たされている。中間部分１４の第１の内腔３０内において、第１のプーラーワイヤ６４は好ましくはTeflon（登録商標）などのプラスチック製プーラーワイヤシース（図示せず）に受容されており、中間部分が曲がったときに中間部分の壁部内に侵入しないようになっている。別法では、第１のプーラーワイヤ６４は、類似の要領で中間部分１４の側壁に固定される。このとき、Ｔ字形アンカーは、第１の内腔３０を超えて配置されるのではなく側壁のノッチ内に延在する。このような設計は、米国特許第６，０６４，９０８号に開示されており、参照することを以って本明細書の一部とする。
【００３４】
第２のプーラーワイヤ６５は、第１のプーラーワイヤ６４と類似の要領で、マッピングアセンブリ１７の第２の内腔１１６の先端部に固定されている。Ｔ字形アンカーが第２のプーラーワイヤ６５の先端部に取り付けられ、非導電性カバー２８の側壁のノッチ内に延在し、その位置でポリウレタン接着剤などにより固定されている。プーラーワイヤ６４及びプーラーワイヤ６５の固定には、他のあらゆる好適な方法を用い得る。
【００３５】
図示した実施形態では、カテーテル本体１２内に２つの圧縮コイル６６が配置されている。プーラーワイヤ６４及びプーラーワイヤ６５はそれぞれ、対応する圧縮コイル６６に覆われている。各圧縮コイル６６は、カテーテル本体１２の基端部から中間部分１４の基端部まで延在する。圧縮コイル６６は、ステンレス鋼から形成されるのが好ましいが、任意の好適な金属から形成され得る。各圧縮コイル６６は密に巻かれていて、可撓性を有し曲げ易いが耐圧縮性である。各圧縮コイル６６の内径は、対応するプーラーワイヤ６４及び６５の直径よりもやや大きくするのが好ましい。プーラーワイヤ６４にはTeflon（登録商標）コーティングが施されているため、プーラーワイヤ６４は圧縮コイル６６内を自由にスライドできる。圧縮コイル６６の外面は、例えばポリイミドのチューブからなる可撓性の非導電性シース６８で覆われている。
【００３６】
各圧縮コイル６６は、その基端部が基端接着部７０によりカテーテル本体１２の外壁２０に固定されており、その先端部が先端接着部７２により中間部分１４に固定されている。両接着部７０及び７２は、好ましくはポリウレタン接着剤などを含む。接着剤はシリンジなどにより、カテーテル本体１２の表面から中心内腔１８に至る孔から注入される。このような恒久的な孔は、例えばニードルなどでカテーテル本体１２の外壁２０を穿孔し、その後で十分に熱を加えて形成され得る。次に接着剤をその孔から圧縮コイル６６の外面に導入すると、毛管作用により接着剤が外周部全体に行き渡り、圧縮コイル６６全体を覆う接着部が形成される。必要に応じて、圧縮コイル６６を長手方向の別の位置に固定しても良いし、また接着剤で固定しなくても良い。
【００３７】
制御ハンドル１６の好適な操作により、カテーテル本体１２に対して各プーラーワイヤ６４及び６５を長手方向に移動させることができる。図９乃至図１１に、本発明に従った制御ハンドル１６の実施形態が示されている。制御ハンドル１６は、長手軸、基端部、及び先端部を有する概ねチューブ状のハウジング８６と、そのハウジングの長手軸に沿ってそのハウジング内に延在する概ねチューブ状のコア９０とを含む。図示した実施形態では、コア９０は、製造を容易にするためにハンドルハウジング８６に固定される別の部品であるが、必要に応じてハウジングと一体形成してもよい。コア９０は、ハウジング８６の基端部を超えてその外側に延在する基端部と、ハウジング８６の先端部を超えてその外側に延在する先端部とを有する。カテーテル本体１２は、当業者に一般に知られている接着接合及び収縮スリーブなどの手段によって、または任意の他の好適な方法によってコア９０の先端部に固着されている。カテーテル本体１２の内部を通るプーラーワイヤ６４及び６５、リードワイヤ５０及び他のワイヤ、チューブまたはケーブルは、コア９０の内腔即ち通路８８の中を通る。但し、リードワイヤ５０は明瞭にするために図９乃至図１１には示されていない。細長いスロット１０２が、コア９０の長さの一部に延在する。
【００３８】
ピストン８４は、コア９０に覆われるようにハウジング８６内に取り付けられている。ピストン８４は、チューブ状の先端部８５及び半環状の基端部８７を有する。半環状の基端部８７は、その内面がチューブ状コア９０を受容するような形状になっている。ピストン８４の形状の厳密さは、本発明には極めて重要というわけではない。ハンドル１６は組み立てられると、ピストン８４の先端部８５の一部がハンドルハウジング８６の先端部の外側に延在する。ピストン８４の先端部８５にはねじ８９が設けられており、そのねじ８９に対応する雌ねじ（図示せず）を有する母指制御部９２をピストン８４に取り付けるために用いられる。ピストン８４に母指制御部９２を取り付けるための好適な構造は、２０００年４月１０日に出願の米国特許出願第０９／５４６，３１０号、名称「操舵可能なカテーテル用の単一歯車駆動二方向制御ハンドル（Single Gear Drive Bi-Directional Control Handle for Steerable Catheter）」に開示されており、参照することを以って本明細書の一部とする。このような設計では、ユーザーは、ピストン８４を直接或いは母指制御部９２を介して押したり引いたりして、ピストン８４をハンドルハウジング８６に対して長手方向に摺動させることができる。
【００３９】
第１のプーラーワイヤ６４の基端部は、好適な方法によりピストン８４に固定されている。図１２に示されている実施形態では、ピストン８４の基端部は、傾斜した縁１１９を有する概ね矩形の開口１１７を含む。開口１１７は、ピストン８４の壁部を貫通している。開口１１７の基端側には、ピストン８４の壁部を貫通しないようにその壁部に溝１２１が形成されている。溝１２１の幅よりも小さい幅を有する小溝１２２により、溝１２１と開口１１７が連結されている。第１のプーラーワイヤ６４が、コア９０の内腔８８及びスロット１０２、ピストン８４の開口１１７、及び小溝１２２を経て溝１２１内に至っている。第１のプーラーワイヤ６４は、プーラーワイヤアンカー１２４によって溝１２１に固定されている。このプーラーワイヤアンカー１２４は、小溝１２２を通過した後に第１のプーラーワイヤ６４の基端部を加締めなどにより固定する短寸の皮下針ストックを含むのが好ましい。プーラーワイヤアンカー１２４の直径が小溝１２２の幅よりも大きいため、第１のプーラーワイヤ６４の基端部が小溝１２２内に引き込まれることはない。開口１１７の長さは、ピストン８４がハウジング８６に対して最も先端側に移動した時に開口１１７がハウジング８６の外側に出ないように制限されている。しかしながら、開口１１７は、第１のプーラーワイヤ６４が曲がったり捩れたりしない角度でその開口１１７を貫通できる十分な長さにするのが好ましい。
【００４０】
カテーテル本体１２がコア９０に取り付けられているため、ピストン８４をハンドルハウジング８６及びコア９０に対して基端側へ移動させると、ピストン８４及び第１のプーラーワイヤ６４がカテーテル本体１２に対して基端側に移動する。このような動きにより、中間部分１４が第１のプーラーワイヤ６４の通る第１のオフ軸内腔３０側に曲がる。
【００４１】
図９に示されているように、第２のプーラーワイヤ６５の基端部が、好適な方法によりコア９０のスロット１０２内に配設されたねじスライド１００に固定されている。図示した実施形態では、ねじスライド１００は、一表面に沿ってねじ１０１が設けられている概ね矩形で中実のプラスチック片を含む。このスライド１００は概ね矩形の孔１０３を有し、この孔１０３に、上記した第１のプーラーワイヤ６４と同様の要領で、第２のプーラーワイヤ６５の基端部がプーラーワイヤアンカー１２５で固定されている。
【００４２】
ねじスライド１００は、回動しないでスロット内を長手方向に移動できるようにコア９０のスロット１０２に配設されているため、ねじスライド１００とコア９０との横方向の相対移動が可能となる。ハンドルハウジング８６は、ハンドルが組み立てられるとねじスライド１００のねじ面１０１が突き出る窓１０４を有する。窓１０４は第１の窓縁１１８及び第２の窓縁１２０を有し、これによりねじスライド１００の横方向の動きが制限されている。
【００４３】
ねじスリーブ９８が、ハンドルハウジング８６の第１の肩部１０６と第２の肩部１０８との間に取り付けられている。ねじスリーブ９８は、ねじスライド１００のねじ山１０１と歯合する雌ねじを有するため、ねじスリーブ９８を回転させると、ねじスライド１００がコア９０のスロット１０２内を長手方向に移動する。ねじスライド１００をハンドルハウジング８６内にスライド可能に配設するための別の構造も本発明に従って用い得る。例えば、ねじスライド１００が、コア９０のスロット１０２内ではなくコア９０上またはその周りに配設することもできる。
【００４４】
第２のプーラーワイヤ６５の基端部がねじスライド１００に取り付けられ、コア９０がカテーテル本体１２に取り付けられているため、ねじスライド１００がコア９０に対して長手方向に移動すると、それに応じて第２のプーラーワイヤ６５がカテーテル本体１２に対して移動する。従って、ねじスリーブ９８を回転させて、第２のプーラーワイヤ６５をカテーテル本体１２に対して基端方向に移動させると、マッピングアセンブリ１７の直線状の先端領域４０もカテーテル本体１２に対して基端方向に移動して曲がる。マッピングアセンブリ１７の直線状の先端領域４０が曲がると、マッピングアセンブリの環状の主領域３９が収縮してその直径が小さくなる。
【００４５】
一実施形態では、ねじスリーブ９８は長手方向のスリットを有し、delrynなどの可撓性材料を含む。ハンドルハウジング８６にねじスリーブ９８を取り付ける場合、ハンドルハウジング８６の肩部１０６と肩部１０８との間に配置するべく、ねじスリーブ９８をそのスリットに沿って広げてから、ハウジング８６を覆うように取り付ける。別法では、ねじスリーブ９８を２つの半分の部品から形成し、それらをハウジング８６に取り付けてから、溶接、接着剤、ねじ、またはリベットなどで連結する。図示した実施形態では、ねじスリーブ９８にグリップスリーブ１１２が取り付けられており、これによりスリーブを回し易くなり、ユーザーが使い易くなっている。グリップスリーブ１１２は、ゴムなどの高摩擦面を含み得る。グリップスリーブ１１２はまた、ねじスリーブ９８をハンドルハウジング８６に取り付けるときに、そのねじスリーブ９８を保持するのに役立つ。
【００４６】
図示した実施形態では、ねじスリーブ９８はハンドルハウジング８６の外周の全体を覆っている。必要に応じて、ねじスリーブ９８は、ハンドルハウジング８６の外周の一部のみを覆う別の回転可能な部材に替えても良い。
【００４７】
必要に応じて、コア９０の所定の位置にハンドルハウジング８６を保持するためのファスナー（図示せず）を設けても良い。このような構造については、２０００年４月１０日に出願の米国特許出願第０９／５４６，３１０号、名称「操舵可能なカテーテル用の単一歯車駆動二方向制御ハンドル（Single Gear Drive Bi-Directional Control Handle for Steerable Catheter）」に開示されており、参照することを以って本明細書の一部とする。
【００４８】
使用する場合、好適なガイドシースを患者に挿入して目的のマッピング位置にその先端部を配置する。本発明と共に用いられる好適なガイドシースの例には、Cordis Webster（Diamond Bar, California）が市販するPreface（商標）ブレードガイドシースがある。シースの先端部をある動脈の中に案内する。本発明に従ったカテーテルを、その先端部がガイドシースの先端部から突出するまでガイドシース内を送る。カテーテルをガイドシース内を送るときは、マッピングアセンブリ１７を直線状にしてシース内を移動できるようにする。カテーテルの先端部が目的のマッピング位置に配置されたら、ガイドシースを基端方向に引いて、可撓性の中間部分１４及びマッピングアセンブリ１７がシースから突き出るようにし、支持部材２４の形状記憶に従ってマッピングアセンブリ１７が元の形状に戻るようにする。次にマッピングアセンブリ１７を肺静脈または他の管状領域（冠静脈洞、上大静脈、または下大静脈）内に挿入し、そのマッピングアセンブリ１７のほぼ環状の主領域３９の外周部がその管状領域の内周面に接触するようにする。ほぼ環状の主領域３９の少なくとも約５０％、より好ましくは少なくとも約７０％、更に好ましくは少なくとも８０％が管状領域の内周面と接触するのが好ましい。
【００４９】
電極３６の環状構造により、管状構造の内周面の電気活性を測定できるため、電極間の異所性拍動の検出が可能となる。ほぼ環状の主領域３９の大きさにより、心臓或いはその近傍の肺静脈または他の管状構造の直径に沿った電気活性の測定が可能となる。これは、環状の主領域３９の直径が肺静脈や冠静脈洞の肺静脈の直径に概ね一致するためである。更に、図４に示されているように主領域３９が平坦な環状ではなくやや螺旋状であるため、ユーザーがマッピングアセンブリ１７を管状領域内に案内し易い。マッピングアセンブリ１７の主領域３９の外周が、マッピングする管状構造の内周よりも大きい場合は、上記したように制御ハンドル１６を用いて第２のプーラーワイヤ６５を長手方向に移動させてマッピングアセンブリを縮小させることができる。
【００５０】
本発明のハンドルは、上記したカテーテルの設計に限定されるものではない。本ハンドルはまた、特に、２方向カテーテル、またはカテーテル本体の先端部即ち中間部分を曲げるために２本のプーラーワイヤを有する他のカテーテルに有用である。このようなカテーテルは、米国特許第６，１７１，２７７号、同第６，１８３，４６３号、同第６，１９８，９７４号、同第６，２１０，４０７号、及び同第６，２６７，７４６号、並びに２００１年３月３０日に出願の米国特許出願第０９／８２２，０８７号、名称「プーリー機構を有する制御ハンドルを備えた操舵可能なカテーテル（Steerable Catheter with a Control Handle Having a Pulley Mechanism）」及び２００１年４月３０日に出願の米国特許出願第０９／８４６，７３２号、名称「非対称２方向操舵可能カテーテル（Asymmetrical Bidirectional Steerable Catheter）」に開示されており、これらを参照することを以って本明細書の一部とする。
【００５１】
これまでの説明は、現在において好適な本発明の実施形態を参照して行った。当業者であれば、変形が本発明の原理、概念、及び範囲を逸脱することなく、上記した構造の変更が実施可能であることを理解できよう。従って、前記説明は、添付の図面及びそれを用いた説明に正確に従った構造及び方法に限定されるものではなく、完全で公正な範囲を有する前記した請求の範囲に一致し、請求の範囲をサポートするものと解釈されるべきである。
【００５２】
本発明の実施態様は以下の通りである。
（実施態様Ａ）
制御ハンドルであって、
基端部、先端部、及び実質的に中空の内部を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記内部に配設された基端部、及び前記ハウジングの外側に延在する先端部を有すると共に、前記ハウジングに対して長手方向に移動可能な第１の可動部材と、
前記ハウジングの前記内部に設けられ、かつ前記ハウジングに対して長手方向に移動可能な第２の可動部材と、
回動により前記第２の可動部材を長手方向に移動させることができる、前記ハウジングに取り付けられた回動部材とを含むことを特徴とする制御ハンドル。
（１）前記第１の可動部材及び前記第２の可動部材を、前記ハウジングに対して基端方向に同時に移動させることができることを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（２）前記第２の可動部材が前記ハウジングに対して回動して移動するのではないことを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（３）前記第１の可動部材の前記先端部或いはその近傍に取り付けられた母指制御部を更に含むことを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（４）前記回動部材が、前記第２の可動部材のねじ面と噛合する雌ねじ面を有することを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（５）前記ハウジングの前記内部に配設された、長手方向のスロットを有するコアを更に含み、前記第２の可動部材が前記スロット内に摺動可能に配設されることを特徴とする実施態様（４）に記載の制御ハンドル。
【００５３】
（６）前記ハウジングの前記内部に配設された、長手方向のスロットを有するコアを更に含み、前記第２の可動部材が前記スロット内に摺動可能に配設されることを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（７）前記コアが、その長さの少なくとも一部を通る内腔を有することを特徴とする実施態様（６）に記載の制御ハンドル。
（８）前記第１の可動部材が実質的に管状であって、前記コアの一分を受容するように配設されることを特徴とする実施態様（６）に記載の制御ハンドル。
（９）前記ハウジングが実質的に管状であって、前記回動部材が前記ハウジングの全周の回りに延在することを特徴とする実施態様Ａに記載の制御ハンドル。
（実施態様Ｂ）
制御ハンドルであって、
基端部、先端部、及び実質的に中空の内部を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記内部に配設された、長手方向のスロットを有するコアと、
前記ハウジングの前記内部に配設された基端部、及び前記ハウジングの外側に延在する先端部を有すると共に、前記ハウジングに対して長手方向に移動可能な第１の可動部材と、
前記コアの前記長手方向のスロットに配設され、かつ前記コア及び前記ハウジングに対して長手方向に移動可能であって、ねじ面を有する第２の可動部材と、
前記第２の可動部材の前記ねじ面と噛合する雌ねじ面を有することにより、回動により前記第２の可動部材を長手方向に移動させることが可能な前記ハウジングに設けられた回動部材とを含み、
前記ハウジングに対して前記第１の可動部材及び前記第２の可動部材を同時に基端方向に移動させることができることを特徴とする制御ハンドル。
（実施態様Ｃ）
カテーテルであって、
基端部、先端部、及び内部を通る内腔を有する細長い可撓性のカテーテル本体と、
基端部、先端部、並びに内部を通る第１の内腔及び第２の内腔を有する、前記カテーテル本体の先端部に位置する中間部分と、
前記カテーテル本体の前記基端部に取り付けられた実施態様Ａに従ったハンドルであって、前記カテーテル本体が前記ハウジングに取り付けられている前記ハンドルと、
前記カテーテル本体の内部及び前記中間部分の前記第１の内腔を通ると共に、前記ハンドルの前記第１の可動部材に固定された基端部、及び前記カテーテルの前記先端部或いはその近傍に固定された先端部を有する第１のプーラーワイヤと、
前記カテーテル本体の内部及び前記中間部分の前記第２の内腔を通ると共に、前記ハンドルの前記第２の可動部材に固定された基端部、及び前記カテーテルの前記先端部或いはその近傍に固定された先端部を有する第２のプーラーワイヤとを含むことを特徴とするカテーテル。
（１０）前記第１のプーラーワイヤの前記先端部が前記中間部分に固定されていることを特徴とする実施態様Ｃに記載のカテーテル。
【００５４】
（１１）基端部、先端部、及び内部を通る内腔を有すると共に、前記中間部分の先端部に取り付けられた実質的に環状のマッピングアセンブリを更に含み、前記第２のプーラーワイヤの前記先端部が前記マッピングアセンブリの前記内腔を通り、前記マッピングアセンブリの前記先端部或いはその近傍に固定されていることを特徴とする実施態様Ｃに記載のカテーテル。
（１２）前記第１の可動部材及び前記第２の可動部材を、前記ハウジングに対して基端方向に同時に移動させることができることを特徴とする実施態様Ｃに記載のカテーテル。
（１３）前記回動部材が、前記第２の可動部材のねじ面と噛合する雌ねじ面を有することを特徴とする実施態様Ｃに記載のカテーテル。
（１４）前記制御ハンドルが更に、前記ハウジングの前記内部に配設されたコアを含み、前記コアが、前記第２の可動部材がスライド可能に配設される長手方向のスロットを有することを特徴とする実施態様（１３）に記載のカテーテル。
（１５）前記制御ハンドルが更に、前記ハウジングの前記内部に配設されたコアを含み、前記コアが、前記第２の可動部材が摺動可能に配設される長手方向のスロットを有することを特徴とする実施態様Ｃに記載のカテーテル。
（１６）前記第１の可動部材が実質的に管状であって、前記コアの一部を受容するように配設されることを特徴とする実施態様（１５）に記載のカテーテル。
【００５５】
【発明の効果】
カテーテル本体に対して複数のプーラーワイヤを同時に基端側に移動させることができるカテーテルハンドルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に従ったカテーテルの斜視図である。
【図２】本発明に従ったカテーテルのカテーテル本体の拡大側断面図である。
【図３】本発明に従ったカテーテルの中間部分とマッピングアセンブリとの接合部の拡大側断面図である。
【図４】本発明に従ったマッピングアセンブリの模式的な斜視図である。
【図５】本発明に従った時計回り型のマッピングアセンブリの模式的な斜視図である。
【図６】図５に示したアセンブリに対して９０度回転させた本発明に従った反時計回り型のマッピングアセンブリの模式的な斜視図である。
【図７】本発明に従ったマッピングアセンブリの模式図である。
【図８】第１の電極と第２の電極との関係を示す本発明に従ったマッピングアセンブリの模式図である。
【図９】本発明に従ったカテーテルハンドルの側断面図である。
【図１０】図９のカテーテルハンドルの破断図である。
【図１１】図９のカテーテルハンドルの組立斜視図である。
【図１２】図９のカテーテルハンドルのピストンの模式図である。
【符号の説明】
１０ カテーテル
１２ カテーテル本体
１４ 中間部分
１６ 制御ハンドル
１７ マッピングアセンブリ
２０ カテーテル本体の外壁
２４ 支持部材
２８ 非導電性カバー
３０ 第１の内腔
３２ 第２の内腔
３４ 第３の内腔
３６ リング電極
３６ａ 第１の電極
３６ｂ 第２の電極
３８ 直線状の基端領域
３９ 環状の主領域
４０ 直線状の先端領域
４１ 移行領域
４３ 接点
４４ コイルスプリング
４５ チューブ
５０ リードワイヤ
６２ 保護シース
６４ 第１のプーラーワイヤ
６５ 第２のプーラーワイヤ
６６ 圧縮コイル
６８ 非導電性シース
８０ チューブ状ステンレス鋼
８２ クロスピース
８４ ピストン
８６ ハウジング
８８ 内腔
９０ コア
９２ 母指制御部
９８ スリーブ
１００ スライド
１０１ ねじ面
１０２ スロット
１０４ 窓
１０６ 第１の肩部
１０８ 第２の肩部
１１２ グリップスリーブ
１１４ 第１のオフ軸内腔
１１６ 第２のオフ軸内腔
１１７ 開口
１１８ 第１の窓縁
１１９ 傾斜した縁
１２０ 第２の窓縁
１２１ 溝
１２２ 小溝
１２４，１２５ アンカー
Claims (9)
- カテーテル（１０）であって、
基端部、先端部、及び内部を通る内腔を有する細長い可撓性のカテーテル本体（１２）と、
屈曲可能であり、基端部、先端部、並びに内部を通る第１の内腔（３０）及び第２の内腔（３２）を有する、前記カテーテル本体（１２）の先端部に位置する中間部分（１４）と、
屈曲可能であり、基端部および先端部を有し、該基端部が前記中間部分（１４）の先端部に取り付けられているマッピングアセンブリ（１７）と、
前記カテーテル本体（１２）の前記基端部に取り付けられた制御ハンドル（１６）と、
前記カテーテル本体（１２）の内部及び前記中間部分（１４）の前記第１の内腔（３０）を通る第１のプーラーワイヤ（６４）と、
前記カテーテル本体（１２）の内部及び前記中間部分（１４）の前記第２の内腔（３２）を通る第２のプーラーワイヤ（６５）とを含み、
前記制御ハンドル（１６）は、
基端部、先端部、及び中空の内部を有するハウジング（８６）と、
前記ハウジング（８６）の前記内部に配設された基端部、及び前記ハウジング（８６）の外側に延在する先端部を有すると共に、前記ハウジング（８６）に対して長手方向に移動可能な第１の可動部材（８４）と、
前記ハウジング（８６）の前記内部に設けられ、かつ前記ハウジング（８６）に対して長手方向に移動可能な第２の可動部材（１００）と、
回動により前記第２の可動部材（１００）を長手方向に移動させることができる、前記ハウジング（８６）に取り付けられた回動部材（９８）とを含み、前記カテーテル本体（１２）が前記ハウジング（８６）に取り付けられており、
前記第１のプーラーワイヤ（６４）は前記制御ハンドル（１６）の前記第１の可動部材（８４）に固定された基端部、及び前記中間部分（１４）に固定された先端部を有し、前記第２のプーラーワイヤ（６５）は前記制御ハンドル（１６）の前記第２の可動部材（１００）に固定された基端部、及び前記マッピングアセンブリ（１７）の先端部に固定された先端部を有し、前記ハウジング（８６）に対して前記第１の可動部材（８４）及び前記第２の可動部材（１００）を互いに独立して移動させることができ、及び、前記ハウジング（８６）に対して前記第１の可動部材（８４）及び前記第２の可動部材（１００）を同時に基端方向に移動させることができることを特徴とするカテーテル（１０）。 - 前記第２の可動部材（１００）が前記ハウジング（８６）に対して回動して移動するのではないことを特徴とする請求項１に記載のカテーテル（１０）。
- 前記第１の可動部材（８４）の前記先端部或いはその近傍に取り付けられた母指制御部（９２）を更に含むことを特徴とする請求項１に記載のカテーテル（１０）。
- 前記回動部材（９８）が、前記第２の可動部材（１００）のねじ面と噛合する雌ねじ面を有することを特徴とする請求項１に記載のカテーテル（１０）。
- 前記ハウジング（８６）の前記内部に配設された、長手方向のスロット（１０２）を有するコア（９０）を更に含み、前記第２の可動部材（１００）が前記スロット（１０２）内に摺動可能に配設されることを特徴とする請求項４に記載のカテーテル（１０）。
- 前記ハウジング（８６）の前記内部に配設された、長手方向のスロット（１０２）を有するコア（９０）を更に含み、前記第２の可動部材（１００）が前記スロット（１０２）内に摺動可能に配設されることを特徴とする請求項１に記載のカテーテル（１０）。
- 前記コア（９０）が、その長さの少なくとも一部を通る内腔を有することを特徴とする請求項６に記載のカテーテル（１０）。
- 前記第１の可動部材（８４）が管状であって、前記コア（９０）の一分を受容するように配設されることを特徴とする請求項６に記載のカテーテル（１０）。
- 前記ハウジング（８６）が管状であって、前記回動部材（９８）が前記ハウジング（８６）の全周の回りに延在することを特徴とする請求項１に記載のカテーテル（１０）。
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