JP4370220B2 - 膜固定システム - Google Patents

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本発明は、治療用膜を治療部位に固定する膜固定システムに関し、より詳しくは生体内外で直接接着できない治療用膜を生体の複雑な形状に対応して簡便に治療部位に固定するための膜固定システムに関する。
従来、生体内の骨等の欠損部位や損傷部位を、骨誘導再生膜とよばれる治療用膜で覆い、軟組織(肉芽組織、筋肉組織等)の侵入を遮蔽し、その内部に骨組織のできやすい生科学的な場を確保すると新しい骨組織のすみやかな再生を誘導しうることが知られている。このような治療用膜としては、例えば4−フッ化エチレン樹脂加工した生体非吸収性膜、ポリエチレンフィルムの表面に生体適合性を付与するためヒドロキシアパタイト等をコーティングしたフィルム、生体吸収性ポリエステルである乳酸、グリコール酸、あるいはε−カプロラクトン等の単独重合体フィルムあるいは共重合体フィルムなどが使用されている。
従来は、かかる治療用膜を骨欠損部に固定する方法としては、金属材料または生体吸収性高分子のピンやネジを使用する方法、生体吸収性の縫合糸で縫い付ける方法および生体吸収性接着剤を使用し接着する方法等を用いている。
しかしながら、金属材料のピンやネジを使用した場合には、治療部位において、治癒後にこれらを取り出すための再手術が必要になる場合が多い(例えば特許文献1参照。)。また、再手術による取り出しの必要がない生体吸収性高分子のネジ等は、強度上およびネジ等本体の製造上の理由より、充分に小さなものが無いため、狭い治療部位に使用した膜を固定するのは、困難であり、かつ周辺組織に侵襲を与えることがある(例えば特許文献2参照。)。
さらにまた、生体吸収性の縫合糸で縫いつける場合は、軟組織のみに限定され、骨・歯などの硬組織には、適応できない。一方、生体吸収性接着剤(例えば特許文献3参照。)は、その接着強度や強度保持期間に問題があり、生体に信頼性をもって適応しうるものはない。
上記したように現在、骨再生を補助するものや硬組織保護・補填するための医療用具として、膜形状だけでなく、ブロック状のものも使用されているが(例えば特許文献4及び5参照)、上記目的でブロック状の固形材料を使用した場合においても、固形状のものを患部(治療部位)より動かないようにするために、膜を使用することも行われている。しかしながら、従来の治療用膜を固定する方法としては、上記したように、体内に残存する金属やポリ乳酸材料等生体吸収性高分子の比較的大きなピンやネジ等のスクリューを使用するため、周辺組織に侵襲を与える恐れがあり問題となっている。
このため従来では、硬組織の欠損部を覆った治療用膜の端部に硬組織と同時に微細な穴を開け、この穴部分にピン、ネジ又はリベット等の固定用具を挿入することで対応しているのが現状である。
特開平08−336582号公報(〔0002〕から〔0003〕) 特開平11−226111号公報(特許請求の範囲) 特表2002−518135号公報(〔0006〕から〔0009〕) 特表2002−527144号公報(特許請求の範囲) 特許第2709349号明細書(特許請求の範囲) 特開2001−104858号公報(特許請求の範囲、図1)
本発明の目的は、上記した従来の金属材料のピンやネジ又は生体吸収性高分子からなるピンやネジにより膜を固定する方法の欠点を解決し、これらのピンやネジを使用することなく、生体内外で直接接着できない治療用膜を生体の複雑な形状に対応して簡便に固定するための膜固定システムを提供することである。
本発明者らはかかる観点から鋭意検討した結果、意外なことに、生体吸収性高分子を加熱溶融せしめ、これを膜固定用の穴等に注入・充填した場合、溶融体は直ちにここで固化し、当該硬化体は良好な接着性を示すことを見出した。本発明はかかる知見に基づいてなされるに至ったものである。
本発明に従えば、以下の発明が提供される。
〔1〕
治療用膜を治療部位に固定するための膜固定システム1であって、少なくとも当該膜を固定する膜固定材6の排出手段3、4と、当該膜固定材の加熱溶融手段7と、これらの各手段を配置する本体2を有し、溶融された膜固定材を治療部位に排出・固化せしめて当該膜を固定化することを特徴とする膜固定システム1。
〔2〕
前記膜固定材の排出手段3、4が、当該排出を起動するトリガー部3と膜固定材を射出するカートリッジ部4とからなることを特徴とする〔1〕項に記載の膜固定システム1。
〔3〕
前記カートリッジ部4は、カートリッジ先端部5と前記トリガー部3の動きに連動して前進し膜固定材を当該先端部から射出する押し子部8とから構成されることを特徴とする〔1〕項又は〔2〕項に記載の膜固定システム1。
〔4〕
前記本体2の側部に前記トリガー部3を配置し、前記本体2の先端部に前記カートリッジ部4を配置し、前記本体2と前記カートリッジ先端部5を一体的にまたは着脱可能に形成し、膜固定材6を前記本体2または前記カートリッジ先端部5に充填し、前記本体2または前記カートリッジ先端部5に充填された膜固定材を加熱溶融する加熱溶融手段7を前記本体2または前記カートリッジ先端部5に付設したことを特徴とする〔1〕項ないし〔3〕項のいずれかに記載の膜固定システム1。
〔5〕
前記膜固定材6が、生体吸収性高分子であり、当該生体吸収性高分子は、ガラス転移点が40℃以上、かつ、25℃における剛性率が500MPa以上のものであることを特徴とする〔1〕項ないし〔4〕項のいずれかに記載の膜固定システム1。
〔6〕
前記膜固定材6が、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体を含有し、当該カプロラクトンの組成モル比が5%〜40%であり、当該三元系共重合体の分子量が20000から300000であることを特徴とする〔1〕項ないし〔5〕項のいずれかに記載の膜固定システム1。
〔7〕
前記膜固定材6が、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体:95質量%〜25質量%とリン酸カルシウム系材料:5質量%〜75質量%を含有することを特徴とする〔1〕項ないし〔6〕項のいずれかに記載の膜固定システム1。
本発明の膜固定システムによれば、膜固定材を、様々な形態の治療部位に無菌的に挿入し、かつ安全・簡便に治療用膜を固定することができる。
また、本発明の膜固定システムにおいて、膜固定材として生体吸収性高分子を使用した場合は、治療部位の治癒後に安全に生体内で吸収・分解されるため、治療後の体内残留が無く、予後の炎症発生などの懸念もなくなる。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は本発明の膜固定システムの概略図であり、図2は本発明の膜固定システムの一例の詳細説明図であり、図3は、本発明の膜固定システムを使用して治療用膜を固定した状態の概略説明図である。
(膜固定システムの基本的構成)
本発明の膜固定システム1は、治療用膜を治療部位に固定するための膜固定システムであって、図1又は図2に示されているように、少なくとも当該膜を固定する膜固定材6の排出手段3及び4と、当該膜固定材の加熱溶融手段7と、これらの各手段を配置する本体2を有し、溶融された膜固定材6を治療部位に排出・固化せしめて当該膜を固定化することを特徴とする膜固定システムである。
ここで、前記膜固定材の排出手段3及び4は、好ましくは当該膜固定材料の排出を起動するトリガー部3と膜固定材6を射出するカートリッジ部4とからなるものである。
そしてより好ましくは、前記カートリッジ部4は、カートリッジ先端部5と前記トリガー部3の動きに連動して前進し膜固定材5を当該先端部から射出する押し子部8とから構成されるものである。なお、トリガー3としては、引き金形状を有するものであれば、とくに限定するものではなく、公知の形態のものを使用することができる。
そして図2に示すように、押し子先端部9の前方外周には、パッキン10が装着されており、カートリッジ先端部5の内周と密着して、押し子がこの状態で前進することにより、カートリッジ先端部5内に膜固定材6を充填又は封入することができる。
(膜固定システムの具体的構成)
本発明の膜固定システムの具体的構成は、図1に例示するように、本体2の側部に前記トリガー部3を配置し、本体2の先端部に前記カートリッジ部4を配置するものである。前記本体2と前記カートリッジ先端部5は図1に示すように一体的に、または図2に示すように着脱可能に形成されていてよい。
ここで、膜固定材6は前記本体2または前記カートリッジ先端部5に充填されるが、このようにして本体2内に、またはカートリッジ先端部5に充填された膜固定材を、加熱溶融する加熱溶融手段7を、前記本体2内に、または図2に示すように前記カートリッジ先端部5又はその近傍に付設する。加熱溶融手段としては、膜固定材例えば後記する生体吸収性高分子を加熱溶融しうるものであれば、特に限定するものではなく、例えば電気加熱ヒータや赤外線加熱ヒータまたは超音波加熱ヒータ等が例示できるがこれに限られるものではない。
(膜固定システムの使用例)
上記のように構成した本発明の膜固定システムにより、治療用膜を骨部等に固定する標準的な態様を説明する。
まず準備工程として、図3に示すように、骨11の欠損部12を治療用膜13により覆い、例えば当該治療用膜13の四隅に、当該治療用膜の表面からその下の骨11内部にまで貫通する膜固定用穴14を形成する。この穴の形成は、通常の手術用道具である医用ドリル等により行うことができる。
この準備状況において、本体2内またはカートリッジ先端部5に膜固定材が充填された本発明の膜固定システムを適用する。すなわち、本体2内またはカートリッジ先端部5に充填された膜固定材6を、加熱溶融手段7により、加熱溶融せしめる。カートリッジ先端部を上記膜固定用穴に近接させた状態にて、トリガー部3を引くことにより、押し子部8が前進し、カートリッジ部先端5より、当該加熱溶融した膜固定材料を射出せしめる。射出された溶融膜固定材は、治療用膜の膜固定用穴を通して骨穴14中に充填されるとともに、瞬時または速やかに固化し膜の固定を行う。充填固化した膜固定材は、図3の膜固定部15に示されているように、骨穴14内部を実質的に完全に充填するとともに、さらに治療用膜の穴の周囲を完全に覆うようにして表面にある程度盛り上がるようにすることが、膜をより確実に骨部等治療部位に固定するために好ましい。膜固定材の形状は本体内またはカートリッジ先端部に充填しうるものであれば、特に形態を特定するものでないが、通常粒状、棒状、ペレット状等として使用される。
(作用)
このようにして本発明の膜固定システム1は、カートリッジ先端部に密封充填した膜固定材6を、充填した状態で押し子を前進させてカートリッジ先端より排出するものであるから、治療部位に無菌的に排出することができる。押し子は膜固定材を押して前進、排出させうるものであれば、金属、プラスチックス等特に限定するものではない。
また本発明の膜固定システムによれば、カートリッジ先端部等に充填された膜固定材6は、付設した加熱溶融手段7により、溶融と同時に滅菌することが可能であり、かつ、加熱溶融させることにより、治療部位の形状に応じた形状に流動状態で変形可能に充填することができる。
さらに、本発明によれば、加熱溶融した膜固定材は、押し子部8の射出応力により、加圧された状態にて治療部位中に衝突・浸透し、治療部位と接触後、速やかに固形化し固着強度を発現することができる。
(従来のホットメルトガンとの比較)
本発明の膜固定システムは、図1〜2に示されているように、基本的には、従来公知のホットメルト接着剤用ハンドガンに類似の形態を有するものである。例えば、特許文献6には、本体ケースと、このケース内に形成した接着剤挿通孔と、挿通孔の先端部に連通した溶融ノズルと、溶融ノズルに設けた、接着剤を溶融温度に迄加熱する第1ヒーター及びさらに溶融温度以上に加熱するための第2ヒーターからなるホットメルト用接着剤用ハンドガン(以下「ホットメルトハンドガン」または「ホットメルトガン」という。)が記載されている。
しかしながら従来のホットメルト接着剤に使用するホットメルトハンドガンは、生体吸収性高分子等の膜固定材を使用する本発明の膜固定システムにそのまま適用できるものではない。
すなわち、これら公知のホットメルトガンは、もともと工事現場等で建築資材等の接着に使用されるものであって、棒状の接着剤を本体ケース内に形成した接着剤挿通孔に挿通し、外気に露出させた状態で、接着剤を溶融し、注入を行うものであるから、屋外において土足で作業が行われるような工事現場等の外気に汚染され、不衛生である。
これに対し本発明が企図している生体に注入する生体材料の場合は、基本的に病院等の清浄な環境で使用されることはもちろん、外気に露出させた状態で、注入することなど到底許容されるものではない。
また、これらの公知のホットメルトガンは、溶融した接着剤を溶融していない接着剤で押し出すことを前提に構成されており、生体材料のように少量の高価な接着材料を利用する用途には全く不向きである。すなわち、当該ホットメルトガンにおいては、スティック(棒)状の安価で、使い捨て可能な工業生産品である接着剤を使用することを前提とし、また押し子として利用される溶融前のスティック(棒)状接着剤は、できるかぎり再利用することを前提としている。
しかしながら、医療用途としては、このような再利用は不適当かつ衛生上絶対に考えられない操作であって、感染の危険を回避するため、必然的に一回限りの使い捨てとして利用されなければならない。そして、使い捨てとして利用する場合は、押し子として利用される溶融前のスティック(棒)状接着剤は、使用後にはそのまま捨てる以外にない。これに対し、本発明で使用する生体材料はこれらの通常の接着剤と比較して高価であるから、このような無駄はできない。
さらにまた、本発明で好ましく使用される乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体等の生体材料用は、利用に適した温度帯が非常に狭く、特許文献6のようにして単に生体材料用溶融温度に達するまでの時間を短くしても、生体材料の溶融状態を調整することができないのである。
(膜固定材)
本発明において使用する膜固定材6としては、生体吸収性高分子を使用するのが好ましい。当該生体吸収性高分子は、25℃における剛性率が500〜10000MPa、好ましくは700〜2000MPaのものである。25℃における剛性率が500MPa未満の場合は、材料が柔らかすぎて膜の固定には適さない。他方10000MPaを超えると、剛直すぎて治療部位の形状に応じた形に、形成され難くなり好ましくない。
さらに当該生体吸収性高分子は、ガラス転移点が40℃以上、好ましくは45℃以上のものである。カラス転移点が40℃未満になると体温により軟化し、固定強度が低下する。
さらに好ましくは、当該生体吸収性高分子は、生体内での50%強度保持期間が2週間以上であり、かつ治療部位表面上の直径2mm以下の穴においても浸透する程度の流動性を有し、治療用膜を固定することができるものが望ましい。なお、好ましい加熱溶融温度は例えば160〜220℃程度である。
本発明の膜固定材6は、より具体的には、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体が好ましく、その中でも分子量が20000から300000、好ましくは分子量80000〜250000のものが望ましい。分子量が20000未満の場合は、分解速度が速くなり、膜の固定期間が、治療部の治癒期間より短くなる可能性がある。また分子量が300000を超えるものは、製造が困難である。(なお分子量は数平均分子量である。)このような三元系共重合体は、上記した範囲の剛性、分解性及びガラス転移点のバランスが優れており、本発明の膜固定材6に特に適している。
三元系共重合体中のカプロラクトンの組成モル比は、5%〜40%が好ましい。
組成モル比が5%未満の場合、剛性が高すぎて脆いため膜固定材として不適である。組成モル比が40%を超えると必要な強度が得られず、生体内での分解が遅くなり、組織の治癒の妨げになる。
さらに、本発明の膜固定材6は、前記乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体とともに、リン酸カルシウム系材料を5質量%〜75質量%含有する複合体として使用することが好ましい。リン酸カルシウム系材料とは、リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウム、第二リン酸カルシウム等のリン酸カルシウムの他にヒドロキシアパタイト等を使用することができる。
すなわち前記膜固定材6は乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体:95質量%〜25質量%とリン酸カルシウム系材料:5質量%〜75質量%よりなる複合体として使用することが好ましい。
上記三元共重合体とともにリン酸カルシウムを含有する複合体とした場合は、生体内で当該共重合体が加水分解等により分解されたときに、リン酸カルシウムの緩衝作用により、顕著なpHの低下を起こさない。なおリン酸カルシウムの含量が5質量%未満になると、緩衝効果が充分発揮できない。一方リン酸カルシウムの含量が75質量%を超えると材料との混練が困難になり、かつ材料が脆くなり、流動性も失われ、加熱溶融状態で射出固化して膜を固定するためには使用できない。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれに限定されるものではない。なお、%とあるものは、とくに断りなき限り、質量%である。
〔実施例1〕
(1)治療用膜及びこれと接着できないポリアセタール樹脂を骨代用部材として使用し、当該治療用膜を当該部材に重ねて、その表面に、ドリルを用いて2mmの骨固定用の穴を形成した。なお、治療用膜としては、膜固定材と同じ三元共重合体60%及びリン酸カルシウム40%の組成物を厚さ200μmの膜としたものを用いた。
(2)また、膜固定材6として、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元共重合体(剛性率500MPa、分子量約210000、ガラス転移点40℃)60%及びリン酸カルシウム40%を含む複合体からなる膜固定材を使用した。
(3)当該膜固定材を、上記形成した骨固定用穴中に本発明の膜固定システムを用いて、180〜190℃で加熱溶融させ、射出注入、固化せしめ、図3の15に示したような膜固定部を形成した。
当該膜固定部を、37℃の生理食塩液中に浸漬し、当該膜の固着強度の変化、pH変化、および分解性(分子量変化)を測定した。また射出直後の無菌性を、日本薬局方の無菌試験にて確認した。結果を表1に示した。ここで固着強度は、前述のポリアセタール樹脂に固定した治療用膜(幅10mm)について、引張り速度200mm/minでの引張り強度(kgf)をストログラフで測定した。
〔実施例2〕
膜固定材として、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元共重合体(剛性率10000MPa、分子量約300000、ガラス転移点58℃)60%及びリン酸カルシウム40%を含む複合体からなる膜固定材を使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示した。
〔実施例3〕
膜固定材として、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元共重合体(剛性率1000MPa、分子量約150000、ガラス転移点52℃)60%及びリン酸カルシウム40%を含む複合体からなる膜固定材を使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示した。
〔実施例4〕
膜固定材として、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元共重合体(剛性率600MPa、分子量約150000、ガラス転移点52℃)95%及びリン酸カルシウム5%を含む複合体からなる膜固定材を使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示した。
〔実施例5〕
膜固定材として、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元共重合体(剛性率7000MPa、分子量約150000、ガラス転移点52℃)25%及びリン酸カルシウム75%を含む複合体からなる膜固定材を使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示した。
〔参考例1〕
膜固定材として、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元共重合体(剛性率300MPa、分子量約160000、ガラス転移点34℃)からなる膜固定材を使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示した。
〔参考例2〕
膜固定材として、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元共重合体(剛性率200MPa、分子量約15000、ガラス転移点14℃)からなる膜固定材を使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示した。
〔参考例3〕
膜固定材として、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元共重合体(剛性率15000MPa、分子量約150000、ガラス転移点58℃)15%及びリン酸カルシウム85%を含む複合体からなる膜固定材を使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示した。
〔比較例1〕
(1)治療用膜及びこれと接着できないポリアセタール樹脂を骨代用部材として使用し、当該治療用膜を当該部材に重ねて、その表面に、ドリルを用いて2mmの骨固定用の穴を形成した。
(2)チタン製ネジを上記形成した骨固定用穴中に螺合して挿入し膜を固定した。
当該膜固定部を、37℃の生理食塩液中に浸漬し、当該膜の固着強度の変化、pH変化、および分解性(分子量変化)を測定した。また射出直後の無菌性を、日本薬局方の無菌試験にて確認した。結果を表1に示した。
Figure 0004370220
表1より、基本的に請求項1から4に規定されている本発明の膜固定システムを使用することにより、治療用膜13を膜固定材6を用いて、治療部位に好適に固定できることが確認された。特に、請求項5から7に規定している生体吸収性高分子からなる膜固定材6を用いることにより、治療用膜の治療部位への固着強度(kgf)、当該生体吸収性高分子の分解性(分子量)、さらにはpH変化、無菌性及び射出性等の全てにおいて、きわめて良好なものであることが確認された。
本発明の膜固定システムによれば、骨誘導再生膜などの治療用膜の骨欠損部等の治療部位における固定を、ピンやネジなどを使用することなく、加熱溶融した膜固定材を当該治療部位に射出固化せしめることにより容易に行うことができる。また、膜固定材を、様々な形態の治療部位に無菌的に射出挿入し、かつ安全・簡便に治療用膜を固定することができる。
さらにまた、本発明の膜固定システムにおいて、膜固定材として特に生体吸収性高分子を使用した場合は、治療部位の治癒後に安全に生体内で吸収・分解されるため、治療後の体内残留が無く、予後の炎症発生などの懸念もなくなるため、好ましく適用可能である。
以上のごとく本発明の膜固定システムは、特に骨誘導再生法などの医療分野での産業上の利用可能性はきわめて大きい。
本発明の膜固定システムの概略図である。 本発明の膜固定システムの一例の詳細説明図である。 本発明の膜固定システムを使用して治療用膜を固定した状態の概略説明図である。
符号の説明
1 膜固定システム(ホットメルトガン)
2 本体
3 トリガー部
4 カートリッジ部
5 カートリッジ先端部
6 膜固定材
7 加熱溶融手段(ヒーター)
8 押し子部
9 押し子先端部
10 パッキン
11 骨
12 欠損部
13 治療用膜
14 骨穴(膜固定用穴)
15 膜固定部

Claims (4)

  1. 治療用膜を、膜固定材(6)により、治療部位に固定するための膜固定システムであって、少なくとも当該膜を固定する膜固定材の排出手段と、当該膜固定材の加熱溶融手段と、及びこれらの各手段を配置する本体を有し、溶融された膜固定材を当該治療部位に射出・排出・固化せしめて当該膜を固定化する膜固定システム)において、
    《1》前記排出手段は、前記本体(2)に配置された、前記膜固定材(6)の排出を起動するトリガー部(3)と、前記膜固定材(6)を射出するカートリッジ部(4)とからなり、
    《2》前記トリガー部(3)を、前記本体(2)の側部に配置し、
    《3》前記カートリッジ部(4)を、前記本体(2)の先端部に配置し、
    《4》前記カートリッジ部(4)を、カートリッジ先端部(5)と、前記トリガー部(3)の動きに連動して前進し前記膜固定材(6)を当該先端部(5)から射出する押し子部(8)とより構成し、
    《5》前記膜固定材(6)の加熱溶融手段(7)を、前記本体(2)または前記カートリッジ先端部(5)に付設し、
    《6》前記押し子部(8)は、先端部(9)を有し、その先端部(9)の前方外周に、パッキン(10)を装着し、前記カートリッジ先端部(5)の内周と密着して、前記押し子部(8)がこの状態で前進することにより、カートリッジ先端部(5)内に前記膜固定材(6)を密封充填又は封入することができ、
    《7》前記膜固定材(6)を、前記加熱溶融手段(7)により溶融させて、前記トリガー部(3)を起動させることにより、前記押し子部(8)を前進させて、前記カートリッジ先端(5)より、前記治療部位に無菌的に射出・排出することができ、かつ、
    《8》前記射出された溶融膜固定材(6)は、前記治療部位を覆う治療用膜の膜固定用穴を通して、前記治療部位と接触・固化し、当該治療用膜の固定を行うことができるようにしたことを特徴とする膜固定システム(1)
  2. 前記膜固定材が、生体吸収性高分子であり、当該生体吸収性高分子は、ガラス転移点が40℃以上、かつ、25℃における剛性率が500MPa以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の膜固定システム
  3. 前記膜固定材が、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体を含有し、当該カプロラクトンの組成モル比が5%〜40%であり、当該三元系共重合体の分子量が20000から300000であることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の膜固定システム
  4. 前記膜固定材が、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体:95質量%〜25質量%とリン酸カルシウム系材料:5質量%〜75質量%を含有することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の膜固定システム
JP2004234259A 2004-08-11 2004-08-11 膜固定システム Expired - Fee Related JP4370220B2 (ja)

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