JP4440728B2 - 生体材料接着装置及び接着材料接着装置 - Google Patents
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Description
そこで、骨欠損部の治癒にあわせて生体に吸収されるような固定材料が、安価に提供されることが切望されていた。
すなわち、当該ホットメルトガンは、溶融室を有する溶融本体と、ホットメルト物質の固形ロッドを該溶融室に向けて送るための送り手段とからなる。送り手段は溶融本体に接近し又は離反する方向に摺動自在に取り付けられたキャリッジを備える。キャリッジは、溶融本体に送られるロッドを受け、該ロッドを該キャリッジの移動方向に平行に支持する形状の支持部を有する。キャリッジには、クランプ部材が取り付けられ、該クランプ部材はキャリッジに揺動可能に取り付けられ、かつクランプアーム部とクランクアーム部とを有する。
特に生体に注入する生体材料の場合は、外気に露出させた状態で、注入することなど到底許容されるものではない。また、これらの発明は溶融した接着剤を溶融していない接着剤で押し出すことを前提に創作されており、生体材料のように少量の接着材料を利用する用途には不向きである。すなわち特許文献2、3のホットメルトガンの発明は、スティック(棒)状の接着剤は、再利用を前提としており、医療用途としては不適当である。医療用途としては、感染の危険を回避するため使い捨てとして利用されるべきであり、使い捨てとして利用する場合、押し子として利用される溶融前のスティック(棒)状接着剤は、使用後には捨てられてしまう。生体材料はこれらの通常の接着剤と比較して高価であるから、このような無駄はできない。
また、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体等の生体材料用は、利用に適した温度帯が非常に狭く、特許文献2のように、単に生体材料用溶融温度に達するまでの時間を短くしても、生体材料の溶融状態を調整することができない。また特許文献3のように、単にロッド送り手段をいくら優れたものに改良しても同様である。
以上のように、特許文献2、3のホットメルトガンの発明は、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体等の生体材料用の接着装置としては、十分ではない。
また特許文献2、3のホットメルトガンの発明は、工業用品、日用品に溶融、塗布する場合に、ノズル先端から溶融したホッメルト接着剤が、ノズルから流出したり引き出されたりして、接着部位以外に付着する場合があるため、好ましくない。
[1]本発明は、膜状で穴をあけた生体材料(M2)を、穴をあけた骨(34B)に接着するために使用し、
少なくとも生体材料(M1)の押出手段と、当該生体材料(M1)の加熱溶融手段と、及びこれらの各手段を配置するハウジング(2H)を有し、
前記押出手段は、ノズル(2)と、前記生体材料(M1)よりなる押し子(5)の駆動手段からなり、
前記ノズル(2)は、前記ハウジング(2H)の先端部に配置し、
当該ノズル(2)の先端部には、前記加熱溶融された生体材料(M1)の押出口(2A)を配置し、当該押出口(2A)の後方に、前記加熱溶融された生体材料(M1)の装填部(2B)を配置し、当該装填部(2B)の後方に前記押し子(5)の装着部(2C)を配置し、
前記加熱溶融手段は、ヒーター(3)と温度センサ(4)とからなり、
当該ヒーター(3)と温度センサ(4)は、前記ノズル(2)内に配置し、
前記押し子(5)の駆動手段は、前記押し子(5)の後部を押して、前記ノズル(2)内に装填された前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)により押し出して、前記膜状の生体材料(M2)にあけた穴と前記骨(34B)にあけた穴に注入して、前記膜状の生体材料(M2)を骨(34B)に接着することのできる、以下の(手段E)から(手段H)の中から選ばれるいずれか一つの手段より構成されている、生体材料接着装置(1)を提供する。
(手段E):前記ハウジング(2H)に、ストッパー(17)と、ガイド(18)とを装着するとともに、さらにシーソー(6)を支点(7)によって装着し、
前記ノズル(2)の押出口(2A)を塞ぐパッキン(171)を、前記ストッパー(17)の上側部に装着し、
前記ストッパー(17)には、前記ガイド(18)に沿ってストッパー(17)の移動を誘導する複数の誘導ピン(191)を装着し、
当該ストッパー(17)の下部には、前記シーソー(6)の下部を押す押しピン(192)を装着し、
前記ストッパー(17)は、前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)より押し出さないときは、前記パッキン(171)により、ノズル(2)の押出口(2A)を塞いだ状態を維持し、
前記ストッパー(17)は、前記押出口(2A)と反対方向に引くと前記誘導ピン(191)が前記ガイド(18)に沿って前記押出口(2A)と反対方向に動いて、前記押出口(2A)を露出させ、
前記押しピン(192)が前記シーソー(6)の下部に当たって、当該シーソー(6)を前記押出口(2A)と反対方向に押すことにより、当該シーソー(6)の上部が前記押し子(5)の後部を押して、前記ノズル(2)の装填部(2B)内に装填された前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)により押し出すことができる手段、
(手段F):前記ハウジング(2H)に、ストッパー(17)を装着するとともに、さらにシーソー(6)を支点(7)によって装着し、
ガイド(20)を前記ストッパー(17)に装着し、
前記ノズル(2)の押出口(2A)を塞ぐパッキン(171)を、前記ストッパー(17)の上側部に装着し、
前記ハウジング(2)には、前記ガイド(20)に沿ってストッパー(17)の移動を誘導する複数の誘導ピン(21)を装着し、
当該ストッパー(17)の下部には、前記シーソー(6)の下部を押す押しピン(192)を装着し、
前記ストッパー(17)は、前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)より押し出さないときは、前記パッキン(171)により、ノズル(2)の押出口(2A)を塞いだ状態を維持し、
前記ストッパー(17)は、前記押出口(2A)と反対方向に引くと、前記誘導ピン(21)が前記ガイド(18)に沿って前記押出口(2A)と反対方向に動いて、前記押出口(2A)を露出させ、
前記押しピン(192)が前記シーソー(6)の下部に当たって、当該シーソー(6)を前記押出口(2A)と反対方向に押すことにより、当該シーソー(6)の上部が、前記押し子(5)の後部を押して、前記ノズル(2)の装填部(2B)内に装填された前記加熱溶融された生体材料(M)を前記押出口(2A)により押し出すことができる手段、
(手段G):歯車(9)を支点(7)により、ハウジング(2H)に装着し、当該歯車(9)の上と下に上部ラック歯車(8)と下部ラック歯車(10)を配置し、前記歯車(9)の回転により、前記上部ラック歯車(8)が前記押出口(2A)に移動し、または前記下部ラック歯車(10)が前記押出口(2A)と反対方向に移動し、
前記下部ラック歯車(10)に、前記押出口(2A)側に向けて延びる腕(22)を装着し、当該腕(22)の前記押出口(2A)側に、支点(23F)を介してストッパー(23)を装着し、
前記腕(22)の前記押出口(2A)側の端部から、前記支点(23F)を経て、前記ストッパー(23)の前記支点(23F)側の端部に亘って、バネ(23S)を装着し、
前記ストッパー(23)は、前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)より押し出さないときは、前記バネ(23S)によって前記ノズル(2)の押出口(2A)に押し付けられて、前記押出口(2A)を塞いだ状態を維持し、
前記下部ラック歯車(10)を前記押出口(2A)と反対方向に引くことにより、これに連動して前記ストッパー(23)も前記押出口(2A)と反対方向に移動して、これにより前記ノズル(2)の押出口(2A)が露出し、
前記上部ラック歯車(8)が前記押出口(2A)方向に向けて動き、当該上部ラック歯車(8)の前方部が、前記押し子(5)の後部を押して、前記ノズル(2)の装填部(2B)内に装填された前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)により押し出すことができる手段、
(手段H):歯車(9)を支点(7)によりハウジング(2H)に装着し、当該歯車(9)の上と下にそれぞれ上部ラック歯車(8)と下部ラック歯車(10)を配置し、
ストッパー(17)を支点(172)により、前記下部ラック歯車(10)に装着し、
前記ストッパー(17)は、前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)より押し出さないときは、前記押出口(2A)を塞いだ状態を維持し、
前記ストッパー(17)を前記押出口(2A)と反対方向に引くと、当該ストッパー(17)は前記ノズル(2)の押出口(2A)を露出させ、さらに前記ストッパー(17)を前記押出口(2A)と反対方向に引くと、下部ラック歯車(10)を前記押出口(2A)と反対方向へ押し出し、
前記上部ラック歯車(8)が前記押出口(2A)方向に向けて動き、当該上部ラック歯車(8)の前方部が、前記押し子(5)の後部を押して、前記ノズル(2)の装填部(2B)内に装填された前記加熱溶融された生体材料(M)を前記押出口(2A)により押し出すことができる手段、
[2]本発明は、電源供給部(28)、漏電遮断機、過電流防止装置及び温度調節機(27)を有するコントロールボックス(24)と接続した、[1]に記載の生体材料接着装置(1)を提供する。
[3]本発明は、前記生体材料(M)が、生体吸収性高分子であり、当該生体吸収性高分子は、ガラス転移点が40℃以上、25℃における剛性率が500MPa以上である[1]または[2]に記載の生体材料接着装置(1)を提供する。
[4]本発明は、前記生体材料(M)が、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体を含有し、カプロラクトンの組成モル比が5%〜40%であり、当該三元系共重合体の分子量が20000から300000である[1]から[3]のいずれか1項に記載の生体材料接着装置(1)を提供する。
[5]本発明は、前記生体材料(M)が、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体:95重量%〜25重量%とリン酸カルシウム系材料:5重量%〜75重量%を含有する[1]から[4]のいずれか1項に記載の生体材料接着装置(1)を提供する。
(2)密閉状態で、接着剤を溶融し、注入を行うものであるから、衛生性が補償される。
(3)少量の接着材料を利用することが可能である。
(4)生体材料を溶融状態の調整が容易である。
(5)ストッパー17等により、ノズル2の先端から溶融した生体(接着)材料が、流出したり引き出されたりすることを防止するばかりでなく、接着部位へ押し出された生体(接着)材料を接着部位に押し付けることによって接着力を高めることができる。
図1から図19は本発明の生体材料接着装置1(接着材料接着装置1)の一実施形態を示す概略図である。以下、生体材料接着装置1の場合について、説明する。
本発明の生体材料接着装置1は、生体材料Mの押出手段と、生体材料Mの加熱溶融手段を有する。
前記押出手段は、ノズル2と当該ノズル2に装着された押し子5の駆動手段を含み、前記加熱溶融手段は、ヒーター3(例えば電熱ヒーター)と温度センサ4を含む。
前記ノズル2は、生体材料の押出口2Aと、生体材料の装填部2Bと、押し子5の装着部2Cを形成し、前記加熱溶融手段を配置している。
前記各手段は、図15から図18に例示するように、いわゆるピストル状(ホットメルトガン状ともいう)のハウジング2H内に装着(配置)される。
図1と図2は本発明の生体材料接着装置1のノズル2を示す概略図である。
図1は横方向から見た断面図であり、図2は縦方向から見た断面図である。
ノズル2は金属やセラミック等の耐熱性と熱伝導率の高い材質からなる。
ノズル2の中心部には熱可塑性の生体材料Mを配置する空間(装填部2B)が形成されている。装填部2Bは前方に開放された細長い空間(押出口2A)と後方の細長い空間(押し子5の装着部2C)と連通している。
後方の細長い空間(装着部2C)には、押し子5が差し込まれ、この押し子5で溶融した生体材料Mを先端の押出口2Aより押し出すことができる。
装填部2Bの周囲には、ヒーター3と温度センサ4が配置されている。
図3から図8は、参考例としての押し子5の駆動手段A、B、C、Dとその動作を示す概略図である。図9から図17は、本発明に使用する押し子5の駆動手段E、F、G、Hとその動作を示す概略図である。
図3と図4はシーソー6を利用した押し子5の駆動手段Aとその動作を示す概略図である。図3は生体材料Mを押し出す前、図4は生体材料Mを押し出した後を示す。
シーソー6は支点7によってハウジング2Hに装着(支持)されている。シーソー6の下部を後方に引くことにより上部が押し子5の後部を押して、ノズル2内に装填された生体材料Mを押出口2Aにより押し出すことができる。
図5と図6は歯車9とラック歯車8、10、引き金12を利用した押し子5の駆動手段B、Cの概略図である。
図5の押し子5の駆動手段Bは、歯車9が支点7によってハウジング2Hに装着(支持)されている。歯車9の上と下に、上部ラック歯車8と下部ラック歯車10が配置されている。
歯車9の回転により、上部ラック歯車8及び下部ラック歯車10が、前後方向に動く。下部ラック歯車10を後方に引くことにより、上部ラック歯車8が前方に動き、上部ラック歯車8の前方部が、押し子5の後部を押して、ノズル2内に装填された生体材料Mを押出口2Aにより押し出すことができる。
図6の押し子5の駆動手段Cは、図5の下部ラック歯車10の代わりに引き金12を使用している。引き金12の上部は、歯車9に固定されており、引き金12の下部を後方に引くことにより、前記と同様に生体材料Mを押出口2Aにより押し出すことができる。
スライド部14は、上下のガイド13、13に沿って前後に移動できるように配置されている。スライド部14はリンク15を介して引き金16に連結されている。引き金16の支点7はハウジング2Hに装着(支持)されている。
引き金16を後方に引くことにより、スライド部14が前方に動き、前記と同様に生体材料Mを押出口2Aにより押し出すことができる。
図9と図10はシーソー6とストッパー17とを利用した押し子5の駆動手段Eの機構とその動作の概略図である。図9は生体材料Mを押し出す前、図10は押し出した後を示す。
ストッパー17上側部には、ノズル2の押出口2Aを塞ぐパッキン171、同ストッパー17の略中央部には、湾曲したガイド18に沿ってストッパー17の移動を誘導する複数のピン191、同ストッパー17の下部には、シーソー6の下部を押すピン192が、それぞれ装着(固定)されている。
ガイド18はハウジング2Hに装着(支持)され、ストッパー17は通常の状態では、パッキン171により、ノズル2の押出口2Aを塞いでいる。
ストッパー17を後方に引くとピン191がガイド18に沿って動き、ノズル2の先端(押出口2A)を露出させる。ピン192がシーソー6の下部に当たって、シーソー6を後方に押すことにより、前記と同様に生体材料Mを押出口2Aにより押し出すことができる。
なおノズル2の押出口2Aが露出するまで生体材料Mが押し出されないように、ピン192、シーソー6、押し子5の間には適当な遊びを設けることが望ましい。
ストッパー17上側部には、ノズル2の押出口2Aを塞ぐパッキン171、同ストッパー17の略中央部には、複数のピン21に沿ってストッパー17の移動を誘導する湾曲したガイド20、同ストッパー17の下部には、シーソー6の下部を押すピン192が、それぞれ装着(固定)されている。
複数のピン21はノズル2に固定され、ストッパー17は通常の状態では、パッキン171により、ノズル2の押出口2Aを塞いでいる。
ストッパー17を後方に引くとガイド20がピン21に沿って動き、ノズル2の先端(押出口2A)を露出させる。ピン192がシーソー6の下部に当たって、シーソー6を後方に押すことにより、前記と同様に生体材料Mを押出口2Aにより押し出すことができる。
ノズル2の押出口2Aが露出するまで材料が押し出されないように、ピン192、シーソー6、押し子5の間には適当な遊びを設けることが望ましい。
ストッパー23は支点23F及び腕22を介してラック歯車10に取り付けられている。またストッパー23はバネ23Sによってノズル2の押出口2Aに押し付けられている。
ラック歯車10を後方に引くと、これに連動してストッパー23も後方に移動するためノズル2の押出口2Aが露出する。このとき、ノズル2の押出口2Aが露出するまで材料が押し出されないように、ラック歯車8と押し子5の間に遊びを設けることが望ましい。
図15から図17は、図5の歯車9を利用した押し子5の駆動手段にストッパー17を加えた押し子5の駆動手段Hの機構と動作の概略図である。ストッパー17は支点172によってラック歯車10に取り付けられている。
ストッパー17を後方に引くと、ストッパー17は少し下方に回転しノズル2の押出口2Aを露出させる。さらにストッパー17を後方に引くと、ラック歯車10を後方へ押し出す。以下、駆動手段Bと同様である。
ストッパー17、23の機能は、ノズル2の先端から溶融した生体材料が、流出したり引き出されたりすることを防止するばかりでなく、接着部位へ押し出された生体材料を接着部位に押し付けることによって接着力を高めるために利用できる。このため、ストッパー17及びストッパー23の前面はノズル2の熱が伝わりにくい材料で作られ、溶融した生体材料が付着(粘着)しにくい処理等を施した材料ないしこれらと同等の機能を有する材料で作成することが望ましい。
本発明の生体材料接着装置1は、ノズル2及び/又は押し子5の駆動手段A、B、C、D、E、F、G、Hを、ハウジング2Hに装着(配置)される。
図15は、骨34Bにあけた穴と膜状の生体材料M2にあけた穴が重なるように配置し、生体材料接着装置1のストッパー17を後方(グリップ32方向)に引くと、ストッパー17によりラック歯車10が後方に押され、連動する歯車9によりラック歯車8が押し子5を前方へ押し出す。前方へ押し出された押し子5により押出口2Aから溶融した生体材料M1が押し出される様子を示す。
図16は、溶融した生体材料M1を骨34Bにあけた穴と膜状の生体材料M2にあけた穴の上にのせる様子を示す。このときストッパー17を戻して押出口2Aを塞ぐことにより、溶融した生体材料M1が術者の意図した以上に流出することが抑えられる。
図17は、ストッパー17の前面を利用し、溶融した生体材料M1を接着部位に押し付ける様子を示す。この操作により、溶融した生体材料M1は、膜状の生体材料M2にあけた穴の中と骨34Bにあけた穴の中に押し込まれ、冷えて固まることにより、骨34Bと膜状の生体材料M2を接着することができる。
図18の生体材料接着装置1は、ノズル2及び/又は押し子5の駆動手段Gをハウジング2Hの上部に装着(配置)したところの全体の切欠断面図である。
生体材料接着装置1は、滅菌された状態で提供され、使い捨てとして使用される。コントロールボックス24は電源供給部、漏電遮断機、過電流防止装置、温度調節機27等を有し、再利用できる。
図19は生体材料接着装置1とコントロールボックス24のブロック図である。
コネクタ29から取り込んだ電源は漏電遮断機、過電流防止装置を備えた電源供給部28に取り込まれる。電源は温度調節機27へ流れヒーター3を加熱させる。ヒーター3によって加熱されたノズル2の温度は温度センサ4によって検知され温度調節機27へフィードバックする。ノズル2が金属製の場合、アース30によってノズル2を接地する。
さらに当該生体吸収性高分子は、ガラス転移点が40℃以上、好ましくは45℃以上のものが良い。ガラス転移点が40℃未満になると体温により軟化し、固定強度が低下する。
さらに当該生体吸収性高分子は、生体内での50%強度保持期間が2週間以上であり、かつ治療部位表面上の直径2mm以下の穴においても浸透し、治療用膜を固定することができるものが良い。
すなわち前記生体材料Mは乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体:95重量%〜25重量%とリン酸カルシウム系材料:5重量%〜75重量%、好ましくは前者60重量%に対し後者40重量%が望ましいが、場合によって混合比を調整することもできる。
リン酸カルシウムを含有した場合は、生体内で分解されたときに、pHの低下を起こさない。なおリン酸カルシウムの含量が5重量%未満になると、緩衝効果が発揮できない。リン酸カルシウムの含量が75重量%を超えると材料との混練が困難になり、かつ材料が脆くなり、膜固定には使用できない。
また、前記三元系共重合体は、乳酸:グリコール酸:ε−カプロラクトンの組成モル比は、5〜90:3〜75:5〜40モル%の範囲であることが望ましい。特に三元系共重合体中のカプロラクトンの組成モル比は、5%〜40%が好ましい。組成モル比が5%未満であれば、剛性が高く脆いため生体材料Mとして不適である。組成モル比が40%を超えると必要な強度が得られず、生体内での分解が遅くなり、組織の治癒の妨げになる。
生体材料Mを溶融する温度は、ほぼ摂氏200度程度が望ましいが、場合によって調整することができる。
2 ノズル
2H ハウジング
2A (生体(接着)材料の)押出口
2B (生体(接着)材料の)装填部
2C (押し子の)装着部
M 生体材料(接着材料)
3 ヒーター
4 温度センサ
3L、4Lリード線
5 押し子
A、B、C、D、E、F、G、H
押し子の駆動手段
6 シーソー
7 支点
8 上部ラック歯車
9 歯車
10 下部ラック歯車
11 歯車
12 引き金
13 ガイド
14 スライド部
15 リンク
16 引き金
17 ストッパー
171 パッキン
18 ガイド
191、192 ピン
20 ガイド
21 ピン
22 腕
23 ストッパー
23F 支点
23S バネ
24 コントロールボックス
27 温度調節機
28 電源部
29 差込プラグ
30 アース
32 グリップ
M1 (溶融した)生体材料
M2 膜状の生体材料
34B 治療部位(骨)
Claims (5)
- 膜状で穴をあけた生体材料(M2)を、穴をあけた骨(34B)に接着するために使用し、
少なくとも生体材料(M1)の押出手段と、当該生体材料(M1)の加熱溶融手段と、及びこれらの各手段を配置するハウジング(2H)を有し、
前記押出手段は、ノズル(2)と、前記生体材料(M1)よりなる押し子(5)の駆動手段からなり、
前記ノズル(2)は、前記ハウジング(2H)の先端部に配置し、
当該ノズル(2)の先端部には、前記加熱溶融された生体材料(M1)の押出口(2A)を配置し、当該押出口(2A)の後方に、前記加熱溶融された生体材料(M1)の装填部(2B)を配置し、当該装填部(2B)の後方に前記押し子(5)の装着部(2C)を配置し、
前記加熱溶融手段は、ヒーター(3)と温度センサ(4)とからなり、
当該ヒーター(3)と温度センサ(4)は、前記ノズル(2)内に配置し、
前記押し子(5)の駆動手段は、前記押し子(5)の後部を押して、前記ノズル(2)内に装填された前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)により押し出して、前記膜状の生体材料(M2)にあけた穴と前記骨(34B)にあけた穴に注入して、前記膜状の生体材料(M2)を骨(34B)に接着することのできる、以下の(手段E)から(手段H)の中から選ばれるいずれか一つの手段より構成されている、ことを特徴とする生体材料接着装置(1)。
(手段E):前記ハウジング(2H)に、ストッパー(17)と、ガイド(18)とを装着するとともに、さらにシーソー(6)を支点(7)によって装着し、
前記ノズル(2)の押出口(2A)を塞ぐパッキン(171)を、前記ストッパー(17)の上側部に装着し、
前記ストッパー(17)には、前記ガイド(18)に沿ってストッパー(17)の移動を誘導する複数の誘導ピン(191)を装着し、
当該ストッパー(17)の下部には、前記シーソー(6)の下部を押す押しピン(192)を装着し、
前記ストッパー(17)は、前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)より押し出さないときは、前記パッキン(171)により、ノズル(2)の押出口(2A)を塞いだ状態を維持し、
前記ストッパー(17)は、前記押出口(2A)と反対方向に引くと前記誘導ピン(191)が前記ガイド(18)に沿って前記押出口(2A)と反対方向に動いて、前記押出口(2A)を露出させ、
前記押しピン(192)が前記シーソー(6)の下部に当たって、当該シーソー(6)を前記押出口(2A)と反対方向に押すことにより、当該シーソー(6)の上部が前記押し子(5)の後部を押して、前記ノズル(2)の装填部(2B)内に装填された前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)により押し出すことができる手段、
(手段F):前記ハウジング(2H)に、ストッパー(17)を装着するとともに、さらにシーソー(6)を支点(7)によって装着し、
ガイド(20)を前記ストッパー(17)に装着し、
前記ノズル(2)の押出口(2A)を塞ぐパッキン(171)を、前記ストッパー(17)の上側部に装着し、
前記ハウジング(2)には、前記ガイド(20)に沿ってストッパー(17)の移動を誘導する複数の誘導ピン(21)を装着し、
当該ストッパー(17)の下部には、前記シーソー(6)の下部を押す押しピン(192)を装着し、
前記ストッパー(17)は、前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)より押し出さないときは、前記パッキン(171)により、ノズル(2)の押出口(2A)を塞いだ状態を維持し、
前記ストッパー(17)は、前記押出口(2A)と反対方向に引くと、前記誘導ピン(21)が前記ガイド(18)に沿って前記押出口(2A)と反対方向に動いて、前記押出口(2A)を露出させ、
前記押しピン(192)が前記シーソー(6)の下部に当たって、当該シーソー(6)を前記押出口(2A)と反対方向に押すことにより、当該シーソー(6)の上部が、前記押し子(5)の後部を押して、前記ノズル(2)の装填部(2B)内に装填された前記加熱溶融された生体材料(M)を前記押出口(2A)により押し出すことができる手段、
(手段G):歯車(9)を支点(7)により、ハウジング(2H)に装着し、当該歯車(9)の上と下に上部ラック歯車(8)と下部ラック歯車(10)を配置し、前記歯車(9)の回転により、前記上部ラック歯車(8)が前記押出口(2A)に移動し、または前記下部ラック歯車(10)が前記押出口(2A)と反対方向に移動し、
前記下部ラック歯車(10)に、前記押出口(2A)側に向けて延びる腕(22)を装着し、当該腕(22)の前記押出口(2A)側に、支点(23F)を介してストッパー(23)を装着し、
前記腕(22)の前記押出口(2A)側の端部から、前記支点(23F)を経て、前記ストッパー(23)の前記支点(23F)側の端部に亘って、バネ(23S)を装着し、
前記ストッパー(23)は、前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)より押し出さないときは、前記バネ(23S)によって前記ノズル(2)の押出口(2A)に押し付けられて、前記押出口(2A)を塞いだ状態を維持し、
前記下部ラック歯車(10)を前記押出口(2A)と反対方向に引くことにより、これに連動して前記ストッパー(23)も前記押出口(2A)と反対方向に移動して、これにより前記ノズル(2)の押出口(2A)が露出し、
前記上部ラック歯車(8)が前記押出口(2A)方向に向けて動き、当該上部ラック歯車(8)の前方部が、前記押し子(5)の後部を押して、前記ノズル(2)の装填部(2B)内に装填された前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)により押し出すことができる手段、
(手段H):歯車(9)を支点(7)によりハウジング(2H)に装着し、当該歯車(9)の上と下にそれぞれ上部ラック歯車(8)と下部ラック歯車(10)を配置し、
ストッパー(17)を支点(172)により、前記下部ラック歯車(10)に装着し、
前記ストッパー(17)は、前記加熱溶融された生体材料(M1)を前記押出口(2A)より押し出さないときは、前記押出口(2A)を塞いだ状態を維持し、
前記ストッパー(17)を前記押出口(2A)と反対方向に引くと、当該ストッパー(17)は前記ノズル(2)の押出口(2A)を露出させ、さらに前記ストッパー(17)を前記押出口(2A)と反対方向に引くと、下部ラック歯車(10)を前記押出口(2A)と反対方向へ押し出し、
前記上部ラック歯車(8)が前記押出口(2A)方向に向けて動き、当該上部ラック歯車(8)の前方部が、前記押し子(5)の後部を押して、前記ノズル(2)の装填部(2B)内に装填された前記加熱溶融された生体材料(M)を前記押出口(2A)により押し出すことができる手段、 - 電源供給部(28)、漏電遮断機、過電流防止装置及び温度調節機(27)を有するコントロールボックス(24)と接続した、ことを特徴とする請求項1に記載の生体材料接着装置(1)。
- 前記生体材料(M)が、生体吸収性高分子であり、当該生体吸収性高分子は、ガラス転移点が40℃以上、25℃における剛性率が500MPa以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生体材料接着装置(1)。
- 前記生体材料(M)が、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体を含有し、カプロラクトンの組成モル比が5%〜40%であり、当該三元系共重合体の分子量が20000から300000であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の生体材料接着装置(1)。
- 前記生体材料(M)が、乳酸/グリコール酸/カプロラクトンの三元系共重合体:95重量%〜25重量%とリン酸カルシウム系材料:5重量%〜75重量%を含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の生体材料接着装置(1)。
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