JP4370116B2 - プレス装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、打ち抜き加工や絞り加工等のプレス加工を行なうプレス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレス装置で代表される打ち抜き装置は、下金型が固定支持されたベース、このベースに垂直状に固定配置されたガイドロッド、このガイドロッドに沿って上下動し上金型を保持するホルダ等を有してなる。そして帯状の鉄板等のワーク素材を下金型上に位置させた状態でホルダをガイドロッドに沿って下動させ、ワーク素材から必要部位を打ち抜き、打ち抜いたワークを、下金型内を上動するノックアウトにて下金型より突き出す。
【0003】
ところで、上述した打ち抜き装置等においては、ワークを打ち抜く時、あるいはノックアウトによるワークを下金型より突き出す時、打ち抜かれたワークと下金型の擦れ等により、擦れ切粉や粉塵等の異物が発生する。そして発生した異物は、例えばノックアウトが下金型内を上下動するときにノックアウトと下金型の間に入り込み、これに起因して、ノックアウトが下金型にかじり、ノックアウトが動作不良を生じてしまうことがある。
【0004】
このため従来においては、下金型に対して複数の方向よりエア等のガスを吹き付けることで発生した異物を吹き飛ばすようにしたもの(例えば、特許文献1参照。)や、ノックアットと下金型の間の隙間から常時、エア等のガスを噴出させるようにしたもの(例えば、特許文献2参照。)等が考えられていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−135390号公報 (第4頁、第2図)。
【0006】
【特許文献2】
特開平10−270007号公報 (第20頁、第21図)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のプレス装置において、上述のように、下金型に複数の方向よりガスを吹き付ける方式では、下金型の打ち抜き孔の内部までガスが回り込まず、またノックアウトと下金型との隙間からガスを噴出させる方式では、ガスが幅の狭い隙間から噴出するためその流速が遅いため、いずれにしても、ノックアウトと下金型の間に存在する異物までを充分に除去できないという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、プレス加工中に発生する切粉や粉塵等の異物を効果的に除去し、異物による動作不良を防止できるプレス装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、ベースに固定され貫通孔を有する第1の部材と、
前記貫通孔に対向してこの貫通孔に対応する凸部を有する第2の部材と、
この第2の部材が前記第1の部材へ接近動し前記凸部を前記貫通孔に挿入して加工されたワークを前記貫通孔より突き出すノックアウトとを有するプレス装置において、
前記ノックアウトは、少なくともその端部に位置する頭部が、移動装置によって前記貫通孔の内外を移動可能とされ、
前記頭部が前記貫通孔内に位置するときにはこの頭部下方に密閉空間が形成され、
前記頭部が前記貫通孔外に位置したときには前記密閉空間が開放されるような弁構造をなし、
さらに前記密閉空間に圧縮ガスを供給するガス供給装置を設け
前記頭部が前記貫通孔内に位置する状態から前記貫通孔外に位置するようになったときに前記密閉空間に供給された前記圧縮ガスが、前記頭部下面と前記貫通孔の開口壁との間より放出するように構成されたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明を適用してなる打ち抜き装置の概略構成図、図2は、図1の打ち抜き装置の動作説明図で、同図(a)はワークの打ち抜き後、同図(b)は打ち抜かれたワーク突き出し後の状態をそれぞれ示す。
【0012】
図1において、打ち抜き装置1は、ベース2上に固定配置された下金型3と、ホルダ4に取り付けられた上金型5を有する。ホルダ4は軸受6を介し、ベース2に垂直状に固定配置されたガイドロッド7に沿って、不図示のシリンダなどの移動装置によって上下動自在とされ、これにより上金型5が下金型3に向けて接離動される。また、下金型3と上金型5との間には、不図示の搬送装置によりワーク素材8が間欠的に移送され、下金型3上に載置されるようになっている。
【0013】
先に述べた下金型3には、図において上下方向に打ち抜き用の貫通孔3aが形成される。そして、この貫通孔3aに対向して上金型5に凸部5aが形成され、上金型5が下金型3に向けて接近動することで、凸部5aが貫通孔3aに挿入されて、下金型3上に載置されたワーク素材が打ち抜かれることになる。
【0014】
ベース2には、下金型3に設けた貫通孔3aにつながる連通孔2aが形成される。また、この貫通孔3aと連通孔2aを通して、ノックアウト9が配置される。ノックアウト9は、上端部に形成された貫通孔3aとほぼ同径の頭部9aと、下端部に形成された連通孔2aとほぼ同径の胴部9bと、両者をつなぐ細径部9cから構成され、不図示のシリンダ等の移動装置によって上下動させられるようになっており、この上下動により、ノックアウト9の頭部9aは貫通孔3aに沿って摺動し、胴部9bは連通孔2aに沿って摺動する。なお、頭部9aは、このノックアウト9の上下動により、図2(a)に示すように貫通孔3a内に位置する状態と、同図(b)に示す貫通孔3a外に位置する状態の2位置をとるようにされる。そして、頭部9aが貫通孔3a内に位置するとき、図1に示すように、この頭部9aと胴部9b、そして貫通孔3aと連通孔2aの各内壁によって密閉空間17が形成されるようになっていて、この密閉空間17に連通するようにベース2には、導通路11が形成される。この導通路11は、ベース2に取り付けられた継手12とエアホース13を介して圧縮エア供給装置14に接続される。なお、エアホース13の途中には、圧力計15と圧力調整器16がそれぞれ設けられる。
【0015】
次に、上述した打ち抜き装置1の作動について、図2も用いて説明する。
【0016】
まず、不図示の搬送装置により、下金型3と上金型5との間にワーク素材8が移送され、下金型3上に載置される。この時、ノックアウト9は原点位置まで下降させられていて、その頭部9aは、図1に示すように、貫通孔3a内に完全に位置づけられる。そして、このとき形成される密閉空間17には、圧縮エア供給装置14から所定圧のエアが供給され、そして充満された状態とされる。
【0017】
次に、ホルダ4とともに上金型5が下降し、その凸部5aが下金型3の貫通孔3aに挿入して、ワーク素材8を打ち抜く。この打ち抜かれたワーク18は、ノックアウト9の頭部9aの上面に載置される。図2(a)はこの状態を示している。
【0018】
次に、上金型5は原点位置まで上昇する。
【0019】
次に、ノックアウト9が上昇し、いずれその頭部9aが貫通孔3aの外に位置させられる。これにより、打ち抜かれたワーク18は貫通孔3aより押し出されるようにして、貫通孔3aの上方位置に位置付けられる。図2(b)は、この状態を示している。押し出されたワーク18は、この後、吸着装置を有する不図示の搬送装置にてピックアップされ、次工程に搬送される。そして、その後ノックアウト9は、下降し、原点位置まで戻る。
【0020】
次に、不図示の搬送装置はワーク素材8をピッチ移動させ、ワーク素材8における次の打ち抜き位置を下金型3と上金型5との間に位置付け、以後は上記と同様な動作が繰り返される。
【0021】
ところで、上述したように、ノックアウト9の頭部9aが貫通孔3a内に位置する状態から貫通孔3a外に位置する状態とされるとき、今まで頭部9aによって密閉が保たれていた密閉空間17は、この頭部9aが貫通孔外に位置するようになった瞬間、密閉状態は破られる。つまり、頭部3aは、弁作用をなす。そして、密閉状態が破られる結果、いままで密閉空間17に蓄積され、充満していたエアは、図2(b)に矢印19で示す経路を通って、頭部9aの下面と貫通孔3aの開口壁との間より勢いよく、外部に放出されることになる。
【0022】
従って、上述した実施の形態によれば、この勢いよく放出されるエアによって、ノックアウト9と貫通孔3a間に入り込んだ切粉、粉塵等を含む異物20は効果的に吹き飛ばされて、除去されることになる。従って、この異物20に起因するノックアウト9の動作不良を防止することができ、打ち抜き装置1の稼働率向上を達成することも可能となる。
【0023】
また、異物20が効果的に除去されることは、金型3、5やノックアウト9の破損防止にも効果を発揮し、これは修理工数の低減につながり、メンテナンス費用の削減、稼働率向上にも寄与する。
【0024】
また、上述の実施の形態において、異物の吹き飛ばしに用いるエアは、一度、密閉空間1に蓄積、蓄圧されたエアを用いている。従って、圧縮エア供給装置14から供給するエア圧がそれほど高くなくても、密閉空間17内で蓄圧されることで異物20の吹き飛ばしに適した圧力に達しさえすれば良いため、小型のエア供給装置14を採用することができ、これは、打ち抜き装置1の小型化にもつながる。
【0025】
なお、上記した実施の形態において、ノックアウト9の頭部9a上面にバキューム吸引用の孔を設け、打ち抜かれたワーク18を固定支持するようにしてもよい。こうすることで、圧縮エアの放出時、そのエアによって打ち抜かれたワーク18が吹き飛ぶことを防止できる。
【0026】
また、集塵機を設け、エアで吹き飛ばした切粉、粉塵等を、集塵するようにしても良い。
【0027】
また、ガスとしてエアを用いた例であったが、ワークの特性に応じ、それ以外のガス、例えば窒素ガス等を用いても良いものである。
【0028】
なお、上記した実施の形態では、本発明をプレス装置としての打ち抜き装置に適用したものを説明したが、これに限られるものではない。例えば、絞り装置等にも適用できる。さらには、加工するワークを予めノックアウト上に載置しておき、上金型に代わる上ツールの下動によってワークをプレス加工するもの等、広くプレス装置に適用することが可能である。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係わるプレス装置によれば、プレス加工中に発生する切粉や粉塵等の異物を効果的に除去し、異物による動作不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる打ち抜き装置の概略構成図。
【図2】図1の打ち抜き装置の動作説明図で、同図(a)はワークの打ち抜き後、同図(b)は打ち抜かれたワーク突き出し後の状態をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 打ち抜き装置
2 ベース
3 下金型(第1の部材)
3a 貫通孔
4 ホルダ
5 上金型(第2の部材)
5a 凸部
8 ワーク素材
9 ノックアウト
9a 頭部
9b 胴部
9c 細径部
14 圧縮エア供給装置
17 密閉空間
18 打ち抜かれたワーク
20 異物

Claims (4)

  1. ベースに固定され貫通孔を有する第1の部材と、
    前記貫通孔に対向してこの貫通孔に対応する凸部を有する第2の部材と、
    この第2の部材が前記第1の部材へ接近動し前記凸部を前記貫通孔に挿入して加工されたワークを前記貫通孔より突き出すノックアウトとを有するプレス装置において、
    前記ノックアウトは、少なくともその端部に位置する頭部が、移動装置によって前記貫通孔の内外を移動可能とされ、
    前記頭部が前記貫通孔内に位置するときにはこの頭部下方に密閉空間が形成され、
    前記頭部が前記貫通孔外に位置したときには前記密閉空間が開放されるような弁構造をなし、
    さらに前記密閉空間に圧縮ガスを供給するガス供給装置を設け
    前記頭部が前記貫通孔内に位置する状態から前記貫通孔外に位置するようになったときに前記密閉空間に供給された前記圧縮ガスが、前記頭部下面と前記貫通孔の開口壁との間より放出するように構成されたことを特徴とするプレス装置。
  2. 前記密閉空間は、ノックアウトの前記頭部とノックアウトの他端部に形成される胴部と、両者をつなぐ細径部と、前記貫通孔および前記ベースに設けた前記貫通孔につながる連通孔より形成されることを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
  3. 前記第1の部材は下金型、前記第2の部材は上金型であり、この上金型と下金型とにより、両金型間のワーク素材が打ち抜かれるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプレス装置。
  4. 前記第2の部材の前記凸部が前記貫通孔に挿入されることで前記ノックアウト上に載置された前記ワークがプレス加工されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプレス装置。
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