JP4368561B2 - ギヤードモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの出力軸に対して減速歯車列を一体的に組み込んだギヤードモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このようなギヤードモータは、例えば複数の互いに噛合された歯車から成る減速歯車列をケース内に収容すると共に、モータをケース外側に取り付けて、その出力軸に取り付けられたピニオンを、ケース内の減速歯車列の入力側の第一の歯車と噛合させることにより、モータの出力軸の回転を減速歯車列を介して低回転にすると共に、トルクを高くするようにしている。
【0003】
ところで、このようなギヤードモータにおいては、上述したケースは、ダイカスト成形により形成されていて、歯車の回転軸方向に関して例えば上ケース及び下ケースに分割されている。そして、組立の際には、これら上ケース及び下ケースを、例えば6箇所にて取付ネジによりネジ止め固定するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなギヤードモータにおいては、上記ケースがダイカスト成形により形成されていると共に、組立の際には6個の取付ネジにより互いに固定するようになっていることから、ギヤードモータ全体の重量が重くなってしまい、部品コストが高くなると共に、組立の際にネジ止め工程が必要であることから、組立時間が長くなり、且つ組立コストが高くなってしまうという問題があった。
【0005】
また、例えば各種径の異なるモータを使用する場合、モータの出力軸の径が異なることから、ケース側に設けられたモータの出力軸のための軸受部分の径も変更する必要がある。このため、モータの変更に伴って、ケースも新たな金型により成形する必要があり、設計変更によるコストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、低コストで且つ容易に組み立てられ得ると共に、モータの変更に対して最小のコストで済むようにした、ギヤードモータを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明によれば、モータと、モータの出力軸の回転を減速させる減速歯車列と、減速歯車列を収容すると共に、外側にモータが取り付けられるケースと、から成り、ケースがモータの出力軸の方向に関して分割されている、ギヤードモータであって、上記ケースの分割された各部が、それぞれ樹脂により成形されており、一側のケース部に設けられた第一の係合部が、他側のケース部に設けられた第二の係合部に係合すると共に、一側のケース部の周縁に設けられた凹部または凸部が、他側のケース部の周縁に設けられた凸部または凹部と互いに嵌合することにより、双方のケース部が固定され、一側のケース部の開口方向に突出して設けられた嵌合ピンが、他側のケース部の開口方向に設けられた嵌合穴に嵌入し、一側のケース部に設けられた第一の突起部が、他側のケース部に設けられた第二の突起部と当接することにより、双方のケース部が互いに位置決めされ、前記第一の突起部、及び嵌合ピンは第一の係合部の内側にて第一の係合部に近接して設けられ、前記第二の突起部、及び嵌合穴は第二の係合部の内側にて第二の係合部に近接して設けられていることを特徴とする、ギヤードモータにより達成される。
【0008】
本発明によるギヤードモータは、好ましくは、ギヤードモータの出力軸を回転自在に嵌装する軸受は、外周に複数条の凹条が形成され、前記軸受が圧入される一側のケース部および他側のケース部の取付け部には、前記軸受の外周に形成した複数条の凹条に係合する複数条の凸条が形成されている。
【0011】
上記構成によれば、ケースが樹脂により成形されていることにより、従来のダイカスト成形の場合と比較して、ケースが容易に且つ低コストで、軽量に形成され得る。
また、ケースを構成する一側及び他側のケース部に設けられた第一の係合部と第二の係合部が互いに係合することにより、容易に且つ短時間で互いに固定され得ることになるので、組立コストが低減され得ることになる。
さらに、ケースを構成する一側及び他側のケース部の周縁に設けられた凹部または凸部が互いに嵌合することにより、ケース内部の減速歯車列の潤滑油等がケースから外部に漏れ出るようなことがない。
【0012】
一側のケース部の開口方向に突出して設けられた嵌合ピンが、他側のケース部の開口方向に設けられた嵌合穴に嵌入することにより、前後左右において、双方のケース部が互いに正確な位置に位置決めされることになる。
【0013】
一側のケース部に設けられた第一の突起部が、他側のケース部に設けられた第二の突起部と当接することにより、高さ方向において、双方のケース部が互いに位置決めされる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図6は、本発明によるギヤードモータの一実施形態を示している。
図1において、ギヤードモータ10は、モータ11と、モータ11の出力軸11aの回転を減速させる減速歯車列12と、減速歯車列12を収容するケース13と、から構成されている。
【0016】
上記モータ11は、出力軸11aを備えており、上記ケース13の外側面(図1にて下面)に取り付けられると共に、その出力軸11aが、ケース13内に進入して、減速歯車列12の入力側の第一の歯車12aに取り付けられている。
【0017】
上記減速歯車軸12は、互いに順次に噛合する複数個の歯車(図示の場合、平歯車)から構成されており、入力側の第一の歯車12aが前記モータ11の出力軸11aにより回転駆動されることにより、この回転が順次に歯車を伝達され、出力側の最後の歯車12bに減速されて伝達され、この歯車12bの回転軸12cが、当該ギヤードモータ10の出力軸として、ケース13の外側に突出している。
【0018】
上記ケース13は、モータ11の出力軸11aと減速歯車列12の各歯車の回転軸の方向に関して、二つに、すなわち上ケース部13a及び下ケース部13bに分割されている。
上記上ケース部13aは、樹脂成形により形成されていると共に、その周縁の複数箇所(図示の場合、4箇所)に、それぞれ第一の係合部としての下方に延びる係合フック14を備えている。
これに対して、上記下ケース部13bは、同様に樹脂成形により形成されていると共に、各係合フック14に対応する位置に、それぞれ第二の係合部としての係合爪15を備えている。
これにより、上ケース部13aが、下ケース部13bの上方に持ち来され、下方に向かって押し下げられたとき、上記係合フック14が一旦変形したのち、対応する係合爪15に係合することにより、上ケース部13aが下ケース部13bに対して固定される。
【0019】
また、上記上ケース部13aは、その周囲の下縁に沿って、内側に凹部16を備えている。
これに対して、上記下ケース部13bは、その周囲の上縁に沿って、内側に凸部17を備えている。
これにより、上ケース部13aが、上述したように、下ケース部13bに対して固定されたとき、上記凹部16内に凸部17が嵌合することにより、ケース13内部の減速歯車列12の潤滑油等が外部に漏れ出すのを防止する。
【0020】
さらに、上記上ケース部13aは、上記係合フック14の内側にて、下方に向かって突出する第一の突起18a、及び嵌合ピン19aを備えている。
これに対して、上記下ケース部13bは、上記係合部15の内側にて、上方に向かって突出する第二の突起18b、及び嵌合穴19bを備えている。
【0021】
前記嵌合ピン19aが嵌合穴19bに嵌入することで、上ケース部13aと、下ケース部13bの前後左右の位置決めがなされる。
さらに、上記第一の突起18aが上記第二の突起18bに当接することにより、上ケース部13aと下ケース部13bの高さ方向の位置決めが得られる。
【0022】
さらに、上記下ケース部13bは、そのモータ11の出力軸11aのための軸受部20の領域21は、入れ子(駒)式金型(図示せず)により成形されている。
尚、上記上ケース部13a及び下ケース部13bは、好ましくは例えばガラス繊維系材料を混入した樹脂材料、またはガラス玉を混入した樹脂材料、さらにはそれらを混合した樹脂材料から成形される。
また、図示の場合、上ケース部13aおよび下ケース部13bは、図6および図7に示すように、内側に縦横に延びる補強リブ13gを有している。
これにより、上ケース部13a及び下ケース部13bは、樹脂材料により成形されているにもかかわらず、これらの繊維系材料や補強リブ13gにより補強され、十分な強度を有することになる。
【0023】
図中符号22は、上記ギヤードモータ10の最後の歯車12bの上下に設けた軸受を示し、外周に複数条の凹条22a(図面においては2条形成)を形成し、この軸受22が圧入される上ケース部13aおよび下ケース部13bの取付け部13c及び13d内に、上記軸受22の凹条22aに係合する複数条の凸条13e及び13fが形成されている。
これにより、軸受22に回転自在に嵌装される最後の歯車12bの出力軸12cの回転に伴う軸受22の回転が防止され、回転により生ずる磨耗もまた防止され、最後の歯車12bの軸振れが防止され、ギヤードモータ10の精度を向上することができることとなる。
【0024】
また、符号23は、上記ギヤードモータ10が他の機器に取り付けられる際の取付けボス部を示し、図面では4ヵ所突出して形成されている。
そして、取付けボス部23は、上ケース部13aの上方に六角形状に突出形成され、内部もまた六角形状に形成されると共に内部上方に向かって例えば傾斜し、内部下方から挿入される取付け座(図示せず)が係止されるように構成され、容易に外れないように構成されている。
これにより、搬送時に取付けボス部23から取付け座が外れることなく、部品の管理を容易にすると共に、他の機器への取付けが容易にできることとなる。
【0025】
本発明実施形態によるギヤードモータ10は、以上のように構成されており、組立の際には、下ケース部13bの軸受部20に対して、モータ11の出力軸11aを挿入して、モータ11を下ケース部13bに対して取り付けると共に、下ケース部13b内に減速歯車列12を構成する各歯車を装着した後、上ケース部13aを下ケース部13bに対して取り付ける。
【0026】
このようにして組み立てられたギヤードモータ10によれば、モータ11が駆動されることにより、モータ11の出力軸11aが回転駆動されると、その駆動力が、減速歯車列12の各歯車を介して、最後の歯車12bの出力軸12cから外部に出力されることになる。
【0027】
この場合、上ケース部13aの第一の突起18aと、下ケース部13bの第二の突起18bの当接と、及び上ケース部13aの嵌合ピン19aが下ケース部13bの嵌合穴19bに嵌入することにより位置決めされる。そして各係合フック14が下ケース部13bの対応する係合爪15と係合することにより、下ケース部13bに対して固定されることになる。
従って、従来のようなケースのネジ止めが不要であるので、ケース13が容易に且つ短時間で組み立てられることになる。
【0028】
また、上ケース部13aは、その周縁に設けられた凹部16が、下ケース部13bの周縁に設けられた凸部17と嵌合することにより、下ケース部13bに対して密着して取り付けられることになる。
従って、前述したように容易に組立が行なわれると共に、ケース13の内部に配設した減速歯車列12の潤滑油等が外部に漏れ出るようなことはない。
【0029】
さらに、設計変更等によりモータ11が変更され、その出力軸11aの径が変更される場合には、下ケース部13bの成形用金型にて、出力軸11aの軸受部20を形成するための入れ子式金型を、適宜の出力軸の径に対応した軸受部20の成形のための入れ子式金型に交換することにより、所望の下ケース部13bが容易に且つ短時間で而も低コストで形成され得ることになる。
尚、ケース13は、樹脂材料により成形されているが、前述したように繊維系材料が混入され、あるいは補強リブ13gが設けられることにより、より一層薄型、軽量に構成され、十分な強度を有しているので、ギヤードモータ10の使用に伴って変形するようなことはない。
【0030】
このようにして、本発明実施形態によるギヤードモータ10によれば、ケース13が樹脂材料により成形されることにより、軽量化され容易に製造され得ると共に、取付ネジを使用せずに、係合により組み立てられ得るので、組立時間が短くなり、組立コストが低減される。
さらに、凹部16及び凸部の嵌合により、ケース13の内部の潤滑油等が外部に漏れ出るようなことはない。
【0031】
上述した実施形態においては、上ケース部13aに第一の係合部としての係合フック14,凹部16が形成され、下ケース部13bに第二の係合部としての係合爪15,凸部17が形成されているが、これに限らず、逆に形成されていてもよい。
また係合フック14,係合爪15そして突起18,19は、図示の場合、それぞれ4個設けられているが、これに限らず、2個,3個または5個以上設けられていてもよいことは明らかである。
さらに、減速歯車列12は、図示の場合6個の歯車から構成されているが、これに限らず、任意の個数の歯車や、平歯車に代えて傘歯車、ウォーム歯車、ヘリカル歯車等から構成されていてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、ケースが樹脂により成形されていることにより、従来のダイカスト成形の場合と比較して、ケースが容易に且つ低コストで、軽量に形成され得る。
また、ケースを構成する一側及び他側のケース部に設けられた第一の係合部と第二の係合部が互いに係合することにより、容易に且つ短時間で互いに固定され得ることになるので、組立コストが低減され得ることになる。
さらに、ケースを構成する一側及び他側のケース部の周縁に設けられた凹部または凸部が互いに嵌合することにより、ケース内部の減速歯車列の潤滑油等がケースから外部に漏れ出るようなことがない。
【0033】
かくして、本発明によれば、低コストで且つ容易に組み立てられ得ると共に、モータの変更に対して最小のコストで済むようにした、極めて優れたギヤードモータが提供され得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるギヤードモータの一実施形態の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1のギヤードモータにおける上ケースを開いた状態を示す分解斜視図である。
【図3】図1のギヤードモータの内部構成を示す概略断面図である。
【図4】図1のギヤードモータにおけるケースの要部を示し、(A)は部分拡大断面図、及び(B)は部分拡大側面図である。
【図5】図1のギヤードモータにおける上ケースを示し、(A)は側面図、(B)は断面図、及び(C)は底面図である。
【図6】図1のギヤードモータにおける下ケースを示し、(A)は側面図、(B)は断面図、及び(C)は平面図である。
【符号の説明】
10 ギヤードモータ
11 モータ
11a 出力軸
12 減速歯車列
13 ケース
13a 上ケース部
13b 下ケース部
14 係合フック(第一の係合部)
15 係合爪(第二の係合部)
16 凹部
17 凸部
18a 第一の突起
18b 第二の突起
19a 嵌合ピン
19b 嵌合穴
Claims (2)
- モータと、モータの出力軸の回転を減速させる減速歯車列と、減速歯車列を収容すると共に、外側にモータが取り付けられるケースと、から成り、ケースがモータの出力軸の方向に関して分割されている、ギヤードモータであって、
上記ケースの分割された各部が、それぞれ樹脂により成形されており、
一側のケース部に設けられた第一の係合部が、他側のケース部に設けられた第二の係合部に係合すると共に、
一側のケース部の周縁に設けられた凹部または凸部が、他側のケース部の周縁に設けられた凸部または凹部と互いに嵌合することにより、双方のケース部が固定され、
一側のケース部の開口方向に突出して設けられた嵌合ピンが、他側のケース部の開口方向に設けられた嵌合穴に嵌入し、一側のケース部に設けられた第一の突起部が、他側のケース部に設けられた第二の突起部と当接することにより、双方のケース部が互いに位置決めされ、
前記第一の突起部、及び嵌合ピンは第一の係合部の内側にて第一の係合部に近接して設けられ、前記第二の突起部、及び嵌合穴は第二の係合部の内側にて第二の係合部に近接して設けられていることを特徴とする、ギヤードモータ。 - ギヤードモータの出力軸を回転自在に嵌装する軸受は、外周に複数条の凹条が形成され、
前記軸受が圧入される一側のケース部および他側のケース部の取付け部には、前記軸受の外周に形成した複数条の凹条に係合する複数条の凸条が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のギヤードモータ。
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