鉄骨自動溶接システムにおいては、ノズル先端と開先底部での干渉を防ぐため、深い部分の溶接には短いノズル(Sノズル)が使用され、開先の上層部の溶接ではワイヤに対するシールド部が多くなりガスが逃げにくく、安定したシールド溶接が可能な長いノズル(Lノズル)が使用される。
また、溶接ロボットはスラグの自動除去を行うために、トーチからタガネに持ち替えてスラグ除去作業を行い、スラグ除去が終了するとタガネからトーチに持ち替えて溶接作業を行うことがある。
このような溶接ロボットによる自動溶接中に停電等のトラブルが発生してロボットが停止した後、再スタートさせる際、自動溶接システムのリカバリ機能が使用される。
図19は、従来技術における自動溶接システムにおいて停止した溶接ロボットを復旧させるための制御装置のリカバリ画面を示す説明図である。図19において、「設定条件を確認し、開始を押して下さい。」というメセージと共に、スタートの内容表示部、溶接開始ボタン、及び前の画面に戻るためのボタンが表示されている。オペレータはこの画面上でこれから開始する操作がリカバリ操作であることを確認した後、溶接開始ボタンをクリックする。なお、被溶接物がコラムである場合には、「ダイヤフラムタイプ(溶接条件)の選択と動作パターンの設定」というメッセージと共にダイヤフラム選択画面が表示される。
リカバリ画面で溶接開始ボタンがクリックされると、ロボットに装着されているノズルと次に使用するノズルとを整合させるため、図20のようなノズル確認メッセージが表示される。
図20は、ロボットを復旧させる際のロボットに取り付いているノズルを確認するための画面である。図20において、「Sノズルから始めます。ロボットに取り付いているノズルを確認し、違っている場合には、交換して下さい。」という表示がなされ、オペレータは、この画面表示に従って、現在ロボットに装着されているノズルを確認し、次に使用するノズルと整合していない場合は指示されたノズルに交換する。ノズル交換後オペレータがOKボタンをクリックすると確認画面を経由して実際のデータ作成、送信等の作業がなされた後、リカバリ操作開始確認画面が表示される。
図21は、リカバリ操作確認画面を示す説明図である。図21において、「1回目実行のリカバリを開始します。」との表示がなされ、オペレータがこの画面でOKをクリックすると、制御装置の画面上に異常停止した際のロボット溶接箇所が表示されると共にこの溶接箇所の溶接動作を中止するか、再試行するか又は無視するかの選択画面が表示される。
図22は、異常停止した溶接箇所のリカバリ方法を選択する選択画面を示す説明図である。図22において、異常が発生したパス番号が、例えば「1回目コア1左0度・・・溶接パスNo.1上記の溶接が異常終了しています。」という表示と共に、その復旧方法として中止、再試行又は無視を選択するためのボタンが表示される。この画面において、オペレータが以降この継手の動作をキャンセルする「中止」ボタンをクリックした場合は中断した継手を溶接不可にし、次の継手に移動し、残りの動作を実行する。このとき、中断した継手は以降の継続実行でも溶接不可継手となり自動的にキャンセルされる。
一方、オペレータがもう1度現在の動作から実行する「再試行」ボタンをクリックした場合は中断した継手のセンシングプログラムの送信から再開される。他方、オペレータが停止した溶接パスが正常終了されたものとして次の動作から実行する「無視」ボタンをクリックした場合は、中断したパスの溶接が完了しているものとして次の動作が再開される。
上記選択画面でオペレータが、例えば「再試行」を選択するとロボットに取り付けられているノズルを再確認するためのノズル確認画面又はノズル装着指令画面が表示される。図23はノズル確認画面(a)及びSノズル装着指令画面(b)を示す説明図である。図23(a)において、「ロボットがSノズル装着状態であることを確認し、OKボタンを押して下さい。(OKボタンを押すとロボットが起動します。)」と表示されると共にOKボタンが表示されている。一方、図23(b)には、「1回目のコア左0度・・・溶接パスNo.1のセンシングを再度実行します。現在ロボットにノズルは着いていますか?」と表示され、Sノズル装着ボタンが表示されている。オペレータは画面の表示に従って、例えばSノズルが付いていることを確認して確認画面(a)のOKボタンをクリックするか又はSノズルに交換した後、ノズル装着指令画面(b)のSノズル装着ボタンをクリックすると溶接ロボットが復旧し、溶接が再開される。
しかしながら、上記従来技術には、溶接中にトラブルが発生した場合、その復旧後の再スタート又は次のプログラムに進む前に人手によってノズルの交換又はトーチの持ち替え操作を行う必要があり、復旧までに長時間を要するという問題点があった。即ち、手動交換、持ち替え作業は従来ロボットをリモートで動かして行っていたために、対応する実行プログラムの呼び出し操作及びロボットと周辺装置の自動・手動モードの切り替え操作が必要であり、2アーク溶接システムにおいてはロボット2台分の手間と時間を要する。また、オペレータがロボットに近づく必要があり、安全上の問題もあった。
このような、停電等のトラブルに起因して停止した溶接ロボットの復旧方法に関する従来技術として、例えば特許文献1(特開平03−104595号公報)、特許文献2(特開平03−136739号公報)及び特許文献3(特開2002−14709号公報)が挙げられる。
図24は、特許文献1における産業ロボットを再起動させる際の動作フローを示す説明図である。この産業ロボット装置は、不時停止時のプログラムを記憶する記憶装置と不時停止時の状態を検出する状態検出装置を有する。
図24において、停電等によって、産業用ロボット装置の不時停止が生じると(ステップ101)、記憶装置(図示省略)に不時停止時のプログラムが記憶され(ステップ102)、また、不時停止時の状態が状態検出装置(図示省略)によって検出される(ステップ103)。次に、不時停止時のプログラムステップと検出結果が一致するか否かが判断され(ステップ104)、一致するときは再起動装置によって産業用ロボット装置が再起動される(ステップ105)。
一方、不時停止時のプログラムステップと検出結果が一致しなければ(ステップ104)、ステップ106を経てステップ107に進み、プログラム管制装置(図示省略)による不時停止状態検出結果に対応したプログラムの頭出しが行われる(ステップ107)。そして、ステップ108及びステップ109を経てステップ104に戻り、頭出しの結果が不時停止状態と一致すればステップ105に進んで産業用ロボット装置が再起動される(特許文献1、公報明細書第2頁左下欄10行乃至右下欄6行、図4)。
また、図25は、産業ロボット復旧方法に関する別の従来技術を示す説明図である。この従来技術に係る産業用ロボット装置は、産業ロボット及びその周辺機器の両者をプログラムによって制御し、ワークをパレットに積み付けさせる制御装置と、産業ロボット及びその周辺機器の少なくとも一方の異常を検出して停止させる異常停止手段と、異常停止時のステップを記憶する記憶手段と、この記憶手段の記憶ステップ以降の上記プログラムによる積み付け中パレット用の積み付け残余のワークを排除する排除手段を備えたものである。
図25において、異常発生により、異常停止手段(図示省略)が動作して産業用ロボットが停止すると(ステップ101)、報知手段が付勢されて異常報知が行われ(ステップ102)、記憶手段によって異常停止時のプログラムステップが記憶される(ステップ103)。次に、排除手段が動作して異常停止時の記憶ステップ以降のワークが排除プログラムの指令によって排除される(ステップ104)。次いで、異常停止時以降のプログラムの残余ステップが終了するまで(ステップ105)未処理ワークの排除が繰り返され、排除されたワークは人為作業によって処理される(特許文献2、公報明細書第2頁左下欄10行乃至右下欄10行、図4)。
次に特許文献3の従来技術は、ロボットコントローラに関するものであり、このロボットコントローラは停電等による電源遮断時にその時点におけるタスク情報、ステータス情報、サーボ情報等の復電用のデータを記憶するバックアップ手段と、電源回復時にバックアップ手段によって記憶されたバックアップデータに基づいて電源遮断時のタスク状態を復元させる復元手段と、電源回復後の再起動時に、全てのプログラムが起動される間は、待ち状態を発生するダミータスクを優先順位を最も高くして実行するダミータスク実行手段とを有するものであり、システムの動作中に電源が遮断されると、その時点におけるタスク情報、ステータス情報、サーボ情報等の復電用バックアップデータをバックアップRAMに記憶し、電源回復時に前記バックアップRAMに記憶されたバックアップデータに基づいて電源遮断時のタスク状態を復元し、再起動時に全てのプログラムが起動される間は、ダミータスクを優先順位を最も高くして実行するようにしたものである(特許文献3、段落0022、図2)。
特開平3−104595号公報
特開平3−136739号公報
特開2002−14709号公報
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施形態に係る溶接ロボット制御方法に使用する装置を示すブロック図、図2はその2アーク自動溶接装置を示す説明図、図3は溶接により組み立てようとするコラム柱を示す斜視図である。
図1において、2基の溶接ロボットの本体10がロボット制御装置14により制御される。この溶接ロボットの溶接トーチ11には、ワイヤ送給装置12により溶接ワイヤが送給され、この溶接ワイヤはトーチ11からワークの溶接部に向けて供給される。このワイヤの送給は、ワイヤ送給装置12により駆動され、ワイヤ送給装置12は溶接電源装置13に格納された送給モータ制御装置13aにより制御される。また、溶接電源装置13から溶接トーチ11に対して溶接電流値及び溶接電圧値の電源が供給され、溶接トーチ11を通過するワイヤに電源が供給される。
2つのロボット本体10、各ロボット本体10の首先端に設けた溶接トーチ11及びワークへ溶接電力を供給する外部装置の溶接電源13は、夫々ロボット制御装置14により制御される。一方のロボット制御装置14には、溶接するワークの姿勢を制御するポジショナ20が接続されている。また、2つのロボット制御装置14は各溶接ロボット本体10の位置制御及びインターロックのために通信ケーブルで接続されている。
ロボット制御装置14は、演算処理装置17を中心として、入力装置15、記憶装置18、ロボット本体制御装置16及び外部制御装置19が設けられている。演算処理装置17は入力装置15から入力されたデータを基に、このデータを記憶装置18に記憶したり、記憶装置18から読み出したデータを基に演算して、外部制御装置19及びロボット本体制御装置16に制御信号を出力する。ロボット制御装置14は、送給モータ制御装置13aに制御信号を出力して、ワイヤの送給速度を制御する。また、一方のロボット制御装置14はワークの姿勢を調節するポジショナ本体20を制御する。
ロボット本体は、例えば、6軸の垂直多関節型のもので、先端アームの手首部先端に溶接トーチが設けられている。このロボット本体は、教示ペンダントである教示作業入力装置による教示作業に基づく動作と、その教示作業によって作成された教示プログラム実行データに基づいて溶接トーチ先端を再生する再生動作とを行う。
ポジショナは、例えば、鉄骨コラムであるワークの2箇所を支持する両持1軸のもので、この支持駆動部材にワークを保持するワーククランプ部があり、このワーククランプ部にクランプしたワークの各溶接継手をロボット制御装置からの指令によりポジショナ制御装置が回転駆動させ、ロボット本体に対して適性な溶接姿勢とするものである。
図2において、このロボット溶接装置は、2基(1対)のポジショナ31、32と、2基の溶接ロボット33、34とが、ポジショナ31、32間に溶接ロボット33を配置し、溶接ロボット33、34間にポジショナ32が配置されている。
溶接ロボット33、34は、レール50上を走行する移動台車35を有し、この台車35上に、溶接ワイヤの供給容器37と電源装置42とが載置され、台車35のレール50に直交する方向の一端部には、アーム40、41が設置されている。このアーム40の先端部にはトーチ38が設けられており、ワイヤ供給容器37内にコイル状に巻回されて貯留されていた溶接ワイヤ39が巻き解かれてコンジットチューブ36を介してトーチ38に供給され、トーチ38を通過して溶接部に供給される。溶接電源装置42はケーブル43によりトーチ38に接続されており、トーチ38を介して溶接ワイヤ39に溶接電力を供給するようになっている。
ポジショナ31、32は、台44に対して、回転部45が回転可能に設置されている。この回転部45は中央部が矩形に切りかかれた形状を有し、この中央切欠部には、少なくとも1対の対向する辺に、被溶接物を固定する固定具46が設けられている。
被溶接物は図3に示すように予め仮溶接されて組み立てられており、固定具46により、被溶接物であるコラム1の面を挟持することにより、回転部45がコラム1を固定する。1対のポジショナ31、32はコラム1の長手方向に見てその切欠部が整合する(重なる)位置に設けられており、各ポジショナ31、32により1対のコラム1を挟持したときには、各コラム1の中心軸が一致するように、固定具46が調節される。
このように、仮付けにより組み立てられたワーク(コラム柱)の1対のコラム1を夫々ポジショナ31、32により2箇所で挟持して、ワークを支持し、コラム1の端面とコラムコア3のダイヤフラム5との間の溶接部を、コラム1の端部の4辺に沿って溶接する。この場合に、コラム1の端部(又は横断面)は、4辺の直線部と、4個のコーナ部とから構成され、このコーナ部は、適宜の半径で湾曲している。従って、コラム1の端部とダイヤフラム5の表面との間の溶接線は、このコラム1の端部の外縁に沿って、4辺の直線部と4個のコーナ部とから構成されるものとなる。
図3において、溶接対象であるコラム柱はコア3のコラム部4の4側面に仕口2を溶接接合し、コラム1をコア3のダイヤフラム5に垂直に溶接接合することによって組み立てられる。従ってコラム1とコア3のダイヤフラム5との接合線が溶接線となり、この溶接線が、例えば多重盛溶接される。
以下、このような構成のロボット溶接装置の動作を説明する。
図3に示したコラム柱に対して例えば3箇所×8パス分の多重盛溶接を、例えば炭酸ガスをシールドガスとして使用する図2の2台の溶接ロボットを使用して行う。溶接線が直線の部分はポジショナ31、32を固定して自動溶接し、コーナ部のように溶接線が円弧状に曲がっている部分ではポジショナ31、32を回転させながら自動溶接を行う。
このような溶接ロボットを用いた多重盛溶接中に地震、落雷等が発生して停電した場合、溶接ロボットは停止する。電源が復旧した時、溶接ロボットの復旧は以下のように行われる。
図4はロボット監視(動作)中に異常の発生により溶接ロボットが停止した場合のロボット制御装置の操作画面を示す説明図である。
図4において、操作画面上には「親ロボット、ロボット監視中に異常が発生しました。エラーが発生しました。」というロボットの監視の実行中に異常が発生したことを告知するための表示と、この異常状態からの復帰方法を選択するための操作ボタンとして「全て中止」、「継手中止」、「リトライ」及び「作業の続行」の各ボタンが表示されている。オペレータは、このうち何れかの復帰方法を選択してクリックする。
図5は、図4の確認画面であり、オペレータが「全て中止」を選択した場合の操作を示す制御装置画面を示す図である。図4の確認画面で、オペレータが「全て中止」を選択した場合、エラー復帰の選択画面に続いて、「全て中止を選択しました。はいを選択すると決定します。」という表示と、全て中止の実行又はエラー復帰の選択画面(図4)に戻るを選択する選択画面が表示され、オペレータが「はい」をクリックすると、「中止します。エラーが発生しました。ロボット監視中」等が表示された確認画面が表示され、この画面でオペレータがOKボタンをクリックすることを条件に全ての実行が終了する。
図6は、図4の確認画面で、オペレータが「継手中止」を選択した場合の操作を示す制御装置画面を示す図である。図4の確認画面で、オペレータが「継手中止」を選択した場合、エラー復帰の選択画面に続いて、「継手中止を選択しました。はいを選択すると決定します。」という表示と、継手中止の実行又はエラー復帰の選択画面(図4)に戻るを選択する画面が表示され共に、オペレータが「はい」をクリックすると、継手中止実行前の確認画面が表示される。
継手中止実行前の確認画面では、オペレータが再度継手中止ボタンをクリックすることを条件に、退避プログラムがスタートし、現在の継手の実行を以降中止し、他の継手溶接を続行する。このとき次の継手溶接を行うに当たり図7のノズル・ツールの確認画面が表示され、ノズル・ツールの確認が行われる。
また、このとき継手中止実行前の確認画面には、「2つの継手を中止します。再生中のロボットは2台共強制終了して2台のロボットと前後スライダを後ろに退避して下さい。」と表示され、オペレータは、この表示に従って2台のロボットを強制終了させ、前後スライダを後ろに退避させた後、例えば継続中止ボタンをクリックする。これによってノズル・ツールの確認工程に進む。
図7はノズル・ツールの確認画面を示す説明図である。図7において、停止した溶接ロボットがセンシング又は溶接中であった場合は、図中左側のノズルの確認画面に進む。このノズルの確認画面では、「ロボットの溶接トーチは何ノズルですか?作業するノズルと違っていれば、作業前に自動交換します。次の関連作業を行います。ノズル等を作業前の状態にして下さい。」という表示がなされ、現在の溶接ロボットに装着されているノズルの種類が問われる。
この時オペレータは、ロボットに装着されているノズルがSノズルであれば、「Sノズル」ボタンを、Lノズルであれば「Lノズル」ボタンを、ノズルが取り付いていないときは「無し」ボタンをクリックする。
これによって復帰プログラムがスタートし、次のプログラムのノズルに合わせるために必要に応じてノズルが交換される。復帰プログラムのスタート後、「I/O待ち」となり、オペレータがロボットの外部入力スイッチを押すことによって、現在の継手の実行を以降中止し、次の継手溶接が続行される。
一方、停止した溶接ロボットが自動スラグ除去中であった場合、図中右側のツールの確認画面に進む。ツールの確認画面では、「ロボットは溶接トーチを持っていますか?作業する作業と違っていれば、作業前に自動交換します。次の関連作業を行います。ノズル等を作業前の状態にして下さい。」という表示がなされ、現在の溶接ロボットがトーチを持っているか否かが問われる。
この時オペレータは、ロボットが溶接トーチを持っているか、トーチ以外のツールであるタガネを持っているかを確認し、溶接トーチを持っている場合は「溶接トーチ」ボタンを、タガネを持っている場合は「ツール」ボタンをクリックする。これによって復帰プログラムがスタートし、次のプログラムのノズル及びツールに合わせるために必要に応じてノズルが交換される。復帰プログラムのスタート後、「I/O待ち」となり、オペレータがロボットの外部入力スイッチを押すことによって、現在の継手の実行を以降中止し、次の継手へ移動する。
図8は、図4の確認画面で、オペレータが「リトライ」を選択した場合の操作を示す制御装置画面を示す図である。図4の確認画面で、オペレータが「リトライ」を選択した場合、エラー復帰の選択画面に続いて「リトライを選択しました。はいを選択すると決定します。」という表示と共に、リトライの実行又はエラー復帰の選択画面(図4)に戻るを選択する選択画面が表示され、オペレータが「はい」をクリックすると、リトライ実行前の確認画面が表示される。
リトライ実行前の確認画面では、オペレータが再度リトライボタンをクリックすることを条件に、退避プログラムがスタートし、溶接できていなかった同じ継手が再度溶接される。このとき同じ継手を再度溶接するに当たり図7のノズル・ツールの確認画面が表示され、同様にしてノズル・ツールの確認が行われる。
また、このときリトライ実行前の確認画面には、例えば「2つの継手をリトライします。再生中のロボットは、2台共強制終了して2台のロボットと前後スライダを後ろに退避して下さい。(左右スライダは移動しないで下さい。)」と表示される。オペレータは、この表示に従って、再生中のロボット2台を共強制終了させ、2台のロボットと前後スライダを後ろに退避させ、退避後、リトライボタンをクリックする。これによって、ノズル・ツールの確認工程に進む。ノズル・ツールの確認工程では、上述したと同様にノズル・ツール確認が行われ、溶接ロボットは送信済みのプログラムを始めから再スタートして同じ継手で動作する。
図9は、図4の確認画面で、オペレータが「作業の続行」を選択した場合の操作を示す制御装置画面を示す図である。図4の確認画面で、オペレータが「作業の続行」を選択した場合、エラー復帰の選択画面に続いて「継続を選択しました。はいを選択すると決定します。」という表示と共に、作業の継続の実行又はエラー復帰の選択画面(図4)に戻るを選択する画面が表示され、オペレータが「はい」をクリックすると、作業の継続前の確認画面が表示される。
作業の継続前の確認画面では、オペレータが再度作業の継続ボタンをクリックすることを条件に、退避プログラムがスタートし、現パスの溶接は完了したとして作業が継続される。このとき作業を継続するに当たり図7のノズル・ツールの確認画面が表示され、同様にしてノズル・ツールの確認が行われる。
また、このとき作業の続行前の確認画面には、例えば「2つの継手の作業を続行します。再生中のロボットは2台共強制終了して2台のロボットと前後スライダを後ろに退避して下さい。(左右スライダは移動しないで下さい。)」と表示される。オペレータは、この表示に従って、再生中のロボット2台を共強制終了させ、2台のロボットと前後スライダを後ろに退避させ、退避後、作業の続行ボタンをクリックする。これによって、ノズル・ツールの確認工程に進む。ノズル・ツールの確認工程では、上述したと同様にノズル・ツール確認が行われ、溶接ロボットは次のパスで動作するか又は分割パスであれば次の継手へ移動する。
本実施形態によれば、ロボットが現在持っているノズルの種類もしくはトーチ又はタガネの別をオペレータに確認させ、確認されたノズル、トーチ又はタガネから次の実行プログラムで使用するツールへの交換を自動で行うプログラムを組み込んだことにより、従来必要であった、ロボットをリモート操作してノズル交換を行う作業又は手作業でノズルを外して別のノズルに交換する作業が不要となるので、ロボットの復旧時間を著しく短縮することができる。また、オペレータがロボット本体に近づく必要がなくなったので、オペレータの安全を確保することができる。
本実施形態において、ロボットが異常停止した場合、溶接ロボットを退避位置までリモートした後、復旧作業を進める。図10(a)、(b)は夫々溶接中の溶接ロボット位置及び退避中の溶接ロボット位置を示す説明図である。図10(a)は、溶接ロボット57の先端部がポジショナ56に支持されたワーク55の溶接線上にある溶接中を示し、図10(b)は溶接ロボット57の先端部が上昇し、前後スライダが後退位置にある退避中であることを示す図である。
溶接ロボットを退避位置(図10(b))までリモートする手順は、例えば以下の通りである。即ち、先ず左右のスライダをその場所から移動させず、前後スライダを後退限度まで下げる。次に、レールの長手方向から見て、溶接ロボット57がポジショナ56やワーク55に干渉しない姿勢にする。このように操作することにより、溶接ロボットを退避位置まで後退でき、溶接ロボットのポジショナへの干渉を回避することができる。
本実施形態において、溶接ロボットに装着されているツールの交換は、例えば以下のように行われる。即ち、溶接トーチが取付部材を介して取り付けられた溶接ロボットが、ツールレストまで移動し、ここで、前記取付部材を切り離すことによって溶接トーチを外し、次いで、タガネ等が固定された取付部材を取り付けることによって前記タガネ等を装着する。これによって溶接トーチをタガネ等に取り替える。なお、本実施形態においては2基の溶接ロボットを使用しているが、本発明はこれに限定されず、溶接ロボットは1基でも3基でも、それ以外でもかまわない。この場合、溶接ロボットの数に対応して図1のロボット制御装置14、溶接電源装置13及びワイヤ送給装置12の台数が設定される。即ち、図1において、溶接ロボットが1台のときには2台目の溶接ロボット本体10、溶接トーチ11、ワイヤ送給装置12、溶接電源装置13及びロボット制御装置14が不要となる。また、図2の台車35、ワイヤ36、溶接ワイヤ貯留容器37、トーチ38、溶接ノズル39、アーム40、41、電源装置42、ケーブル43も溶接ロボット34の台数に対応して設定される。
以下、本発明の第2実施形態について添付の図面を参照しつつ説明する。図11(a)及び図11(b)は夫々ロボット制御装置から溶接ロボットに対するデータ送信中及び
溶接ロボットがロボット制御装置からのデータ受信中に異常が発生したことによりロボット制御装置と溶接ロボットとの通信がとぎれた場合のロボット制御装置の操作画面を示す図である。
図11(a)において、この操作画面上には「データ送信の実行中に異常が発生しました。エラーが発生しました。データ送信中等」と表示され、データ送信の実行中に異常が発生したことを告知するとともに、その復帰方法を選択する「全て中止」、「継手中止」及び「リトライ」ボタンが表示されている。一方、図11(b)には「プログラム受信中に異常が発生しました。エラーが発生しました。受信ファイルを作成(コピー)しますか?」と表示され、プログラム受信の実行中に異常が発生したことを告知するとともに、その復帰方法を選択する「全て中止」、「継手中止」及び「リトライ」ボタンが表示されている。オペレータは、このうち何れかの復帰方法を選択してクリックする。
図12は、図11(a)のエラー復帰の選択画面で、オペレータが「全て中止」を選択した場合の操作を示す制御装置の画面を示す図である。図12において、オペレータが「全て中止」を選択した場合、エラー復帰の選択画面(図11(a))に続いて「全て中止を選択しました。はいを選択すると決定します。」という表示がなされ、全て中止を実行するためのボタン及びエラー復帰の選択画面(図11(a))に戻るエラー復帰の選択画面が表示され、オペレータが「はい」をクリックすると、「中止します。エラーが発生しました。データ送信中等」が表示された確認画面を経てオペレータがOKボタンをクリックすることを条件に全ての実行が終了する。
図13は、図11(a)のエラー復帰の確認画面で、オペレータが「継手中止」を選択した場合の操作を示す制御装置画面を示す図である。図13において、オペレータが「継手中止」を選択した場合、エラー復帰の選択画面(図11(a))に続いて「継手中止を選択しました。はいを選択すると決定します。」という表示がなされ、継手中止を実行するためのボタン及びエラー復帰の選択画面(図11(a))に戻るエラー復帰の選択画面が表示され、オペレータが再度継手中止を選択することを条件に、動作が再開され、実行していた継手を中止し、次の継手へ移動する。
図14は、図11(a)のエラー復帰の確認画面で、オペレータが「リトライ」を選択した場合の操作を示す制御装置画面を示す図である。図14において、オペレータが「リトライ」を選択した場合、エラー復帰の選択画面(図11(a))に続いて「リトライを選択しました。はいを選択すると決定します。」という表示に続いてリトライを決定するためのボタン及びエラー復帰の選択画面(図11(a))に戻る選択画面が表示され、オペレータが再度リトライを選択することを条件にデータ送信中の異常に対しては、プログラムを再送信して同じ継手で動作する。一方、プログラム受信中の異常に対しては、プログラムを再受信して継続する。
本実施形態によれば、プログラムの送信異常又は受信異常が発生した場合、オペレータに復旧方法を選択させ、その選択された復旧方法に従ってロボットを復旧させることにより、異常事態から迅速に復旧させることができる。
本実施形態において、溶接ロボットはすでに退避位置に避難しているので、退避位置へのリモート操作は不要である。
以下、本発明の第3実施形態について添付の図面を参照しつつ説明する。図15はロボットスタート中に異常が発生したことによりロボット制御装置と溶接ロボットとの通信がとぎれた場合のロボット制御装置の操作画面を示す図である。
図15において、「ロボットスタートの実行中に異常が発生しました。エラーが発生しました。ロボット再生、自動スイッチを確認して下さい。」という表示に続いて、異常事態からの復帰方法を選択する「全て中止」、「継手中止」及び「リトライ」ボタンが表示されている。オペレータは、いずれかの復帰方法を選択してクリックする。
図16は、図15のエラー復帰の選択画面で、オペレータが「全て中止」を選択した場合の操作を示す制御装置画面を示す図である。図16において、オペレータが「全て中止」を選択した場合、エラー復帰の選択画面(図15)に続いて「全て中止を選択しました。はいを選択すると決定します。」という表示がなされ、中止を実行するためのボタン及びエラー復帰の選択画面(図15)に戻る選択画面が表示され、オペレータが「はい」をクリックすることを条件に、「中止します。エラーが発生しました。ロボットスタート等」が表示された確認画面に進み、この画面上でオペレータがOKボタンをクリックすることを条件に全ての実行が終了する。
図17は、図15の確認画面で、オペレータが「継手中止」を選択した場合の操作を示す制御装置画面を示す図である。図17において、オペレータが「継手中止」を選択した場合、エラー復帰の選択画面(図15)に続いて「継手中止を選択しました。はいを選択すると決定します。」という表示にがなされ、継手中止を決定するためのボタン及びエラー復帰の選択画面(図15)に戻る選択画面表示され、オペレータが再度継手中止を選択することを条件に、動作が再開され、溶接ロボットは実行していた継手を中止し、次の継手へ移動する。
図18は、図15の確認画面で、オペレータが「リトライ」を選択した場合の操作を示す制御装置画面を示す図である。図18において、オペレータが「リトライ」を選択した場合、エラー復帰の選択画面(図15)に続いて「リトライを選択しました。はいを選択すると決定します。」という表示がなされ、リトライを実行するためのボタン及びエラー復帰の選択画面(図15)に戻る選択画面表示され、オペレータが再度リトライを選択することを条件に動作が再開され、溶接ロボットは送信済みのプログラムを始めから再スタートして同じ継手で動作する。
本実施形態によれば、ロボットスタート中にロボット制御装置と溶接ロボットとの通信が途切れた場合、オペレータに復旧方法を選択させ、その選択された復旧方法に従ってロボットを復旧させることにより、異常事態から迅速に復旧させることができる。
本実施形態においても、溶接ロボットは既に退避位置に避難しているので、退避位置へのリモート操作は不要である。