JP4368172B2 - 液晶光学素子とその製造方法、光ピックアップおよび光記録媒体駆動装置 - Google Patents

液晶光学素子とその製造方法、光ピックアップおよび光記録媒体駆動装置 Download PDF

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本発明は、光ピックアップ等に用いられ、入射光の偏光方向によって素子を透過または回折させる機能を有する回折格子型の液晶光学素子とその製造方法に関する。また、本発明はかかる偏光分離素子を用いた光ディスクや光磁気ディスクなどの光ピックアップおよび光記録媒体駆動装置に関する。
従来より、液晶光学素子である偏光分離素子としては、例えば光学異方性基板上に回折格子形状を形成し、この回折格子形状の溝部に屈折率を規定した材料を充填した偏光分離素子が提案されている(特許文献1)。
また、等方性基板上に回折格子形状を形成し、この回折格子形状の溝部に光学異方性の材料を充填した偏光分離素子が提案されている(特許文献2)。
また、光重合性液晶の透明電極を有する透光性基板で狭持した液晶セルを用い、透明電極に電圧を印加することで液晶を垂直配向させて光重合させるとともに、非電圧印加部は水平配向の状態で光重合させる方法が開示さることで水平配向領域と垂直配向領域を形成する方法が提案されている(特許文献3)。
さらに、上述のような光重合性液晶を用い、水平配向させた状態で干渉露光等の方法で露光を行い、露光部の液晶を重合固化させた後に未露光部に外場を印加させ垂直配向させた状態で反応固化する方法が提案されている(特許文献4)。
一方、高分子分散液晶技術を応用し、光重合性モノマーと液晶の混合組成物から光重合誘起相分離によって光重合性モノマーの重合生成物であるポリマーと液晶の相分離構造を形成し、この相分離構造に周期性を持たせることで回折効果を持たせた素子が提案されている(非特許文献1)。
特開平7−287117号公報 特開平10−92004号公報 特開平10−74333号公報 特開平11−271536号公報 A.Ogiwara、 T. Takeda、 Proc. IDW2002、 P161
ところで、近年の光ディスクは高密度化のために短波長化が進展している。ここで、回折角は波長に依存するため、ピックアップとしての必要な回折角を得るためにはより短いピッチの回折格子が必要とされている。一方、短波長化に伴い、受光素子の感度が低下するため、光学系の高効率化が必要とされている。さらに、書き込みや読み込み速度を向上させるためにも光学系の効率向上が求められており、偏光分離素子としては短いピッチで高い回折効率のものが求められている。
それに対して、特許文献1や特許文献2のような提案のものはドライエッチング等の方法で回折格子形状を形成する必要がある。このような構造において、高い回折効率を得るためには溝形状の深さをより深くする必要があり、加工上の困難を伴う。また、深い溝形状に均一に材料を充填することが困難である、という問題もある。
特許文献3の提案の例では、格子のピッチは透明電極のピッチで決まるが、電極の微細化の制約とともに、回折効率を高くするために厚膜化すると電極のピッチよりも膜厚が厚くなり、隣接電極の影響によって液晶層に所望の電界がかけられなくなる、という問題がある。また、短いピッチでは、垂直配向領域の配向が隣接する水平配向領域に影響を及ぼし、所望の配向分布が得られない、という問題がある。
特許文献4の提案の例では、露光のピッチを微細化することは可能であるが、反応活性種の熱拡散のために露光通りの短いピッチが形成できない、という課題がある。
非特許文献1の提案の例は、干渉露光等の方法によって所望の短いピッチが得られるが、液晶を用いているために屈折率の温度変化が大きく、室温で高い回折効率が得られたとしても、高温で効率が低下する、という問題がある。
そこで、本発明の目的は、青色等の短波長光においても十分大きな分離角が得られ、高効率で、かつ回折効率の温度変化の少ない液晶光学素子を提供することを目的とする。また、本発明は、かかる偏光分離素子の製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、かかる偏光分離素子を用いた光ピックアップ及び光記録媒体駆動装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、室温で固体相またはガラス相を呈する液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの混合物を主成分とする組成物の非液晶性モノマーの重合反応に伴い、非液晶性モノマーの反応生成物と液晶性高分子ないしオリゴマーとの相分離を誘起させると共に、重合反応が光誘起の重合反応であり、室温で固体相またはガラス相を呈する液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの混合物を主成分とする組成物からなる層に重合を誘起する波長の光でパターン露光することによって周期的構造を形成することを特徴とする液晶光学素子の製造方法にある。
請求項2にかかる発明は、露光が干渉露光によってなされることを特徴とする請求項1に記載の液晶光学素子の製造方法にある。
請求項3にかかる発明は、露光が混合組成物の等方相であって、液晶性高分子ないしオリゴマーが液晶相ないし等方相を呈する温度においてなされるとともに、露光後冷却によって液晶性高分子ないしオリゴマーの液晶相における配向構造をガラス相に固定化したことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶光学素子の製造方法にある。
請求項4にかかる発明は、請求項1から3のいずれか一つに記載の製造方法で製造された液晶光学素子において、室温で固体相またはガラス相を呈する液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの反応生成物との相分離構造が微小領域で分散した構造を有し、液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの反応生成物からなる領域が、周期的構造をなし、液晶性高分子ないしオリゴマーが該領域内において配向しており、かつ、異なる領域間での配向方向が一致していることを特徴とする液晶光学素子にある。
請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の液晶光学素子を偏光分離素子として用いたことを特徴とする光ピックアップにある。
請求項6にかかる発明は、請求項5に記載のピックアップを備えたことを特徴とする光記録媒体駆動装置にある。
請求項1の発明によれば、光誘起の重合反応を用いることで、容易に製造可能な偏光分離素子の好適な製造方法を提供することができる。
請求項2の発明によれば、干渉露光を用いることで、マスクを用いる際に問題となる基板厚による解像度の限界を克服でき、特に微小な屈折率の周期構造を実現することができる。また、試料を斜めにして露光することで傾斜した配向構造を実現でき、より高い光利用効率の素子を提供することができる。
請求項3の発明によれば、配向構造が固定化された液晶光学素子の製造方法を提供する。使用温度において、液晶が固体ないしガラス相であるので、温度依存性の少ない素子を製造することができるとともに、液晶状態の高い配向性能を維持できるため、より効率の高い素子を製造することができる。
請求項4の発明によれば、室温で固体相またはガラス相を呈する液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの反応生成物とが微小領域で分散した構造を有するため、液晶相を呈する温度未満では温度依存性が少なく、従って光学特性の温度依存性が少ない液晶光学素子を提供することができる。
また、偏光依存性を有する回折格子として機能させることができる。特に光ディスク用ピックアップや液晶プロジェクター用偏光変換素子などに好適な偏光分離素子を提供することができる。特性の温度依存性が少ないため、特に高温環境で使用するのに適した素子を提供することができる。また、微小な周期構造が制御可能であるので、大きな回折角が得られ、素子や装置の小型化を図ることができる。
請求項5の発明によれば、高効率で小型の光ピックアップを提供することができる。特に回折効率の温度依存性が少ない素子を用いているため、ピックアップとしての光利用効率の温度変化が少なく、高温環境下でも高速の読み出しが可能となる。短波長光に対しても大きい分離角が得られるため、高密度記録に対応した小型のピックアップを提供することができる。
請求項6の発明によれば、高効率で使用温度範囲の広い光記録媒体駆動装置を提供することができる。特に屈折率分布のピッチの小さい素子においては回折角が大きくとれるため、ピックアップが小型化でき、携帯型機器に好適な小型の駆動装置を提供することができる。また、素子の回折効率が高いため、高速の書き込み、読み出しが可能な光記録媒体駆動装置を提供することができる。短波長光に対しても大きい分離角が得られるため、高密度記録に対応した小型の光記録媒体駆動装置を提供することができる。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる液晶光学素子の最良な実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明になる液晶光学素子である偏光分離素子の断面模式図の例である。
図1に示すように、素子は基板11と必要に応じて設けられる対向基板21との間に形成された光回折層20から実質的に構成されている。
光回折層は、室温で固体相またはガラス相を呈する液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの反応生成物とが微小領域で分散した構造を有している。
前記光回折層20は、図2に模式的に示すように、液晶性高分子ないしオリゴマーが一方向に配向した領域Aと非液晶性モノマーの反応生成物である等方性ポリマーからなる領域Bとからなる微細な周期構造から本質的に構成される。図2で楕円形は液晶性高分子ないしオリゴマーに液晶性を誘起するメソーゲンの配向を表している。
液晶性高分子ないしオリゴマーの配向方向は、異なる領域間での配向方向が一致していることが好ましい。ここで、図2に示す例ではメソーゲンは水平に配向している。
いま、図1に示すように座標軸xyz(yは紙面に垂直な方向)をとる。Aの領域が光学的に一軸性であるとするとA1のx方向、y方向の屈折率をnax、nay、Bの屈折率をnbとする。naxがnbと等しくないとき、x方向に振動する偏光はnaxとnbの周期的な屈折率を感じることとなり、Δnx=nax−nbおよび膜厚tで決まる回折効率で、ピッチで決まる角度に回折を生ずる。
また、nay=nbとすることでy方向に振動する偏光に対しては屈折率はnay=nbと均質であり、回折を受けることがない。すなわち、屈折率の周期構造が面内方向に異方性を有することになる。
x方向に振動する偏光は、屈折率の周期構造によって回折を受け、一方、y方向に振動する光は回折を受けることなく直進することになる。このようにして入射する偏光の偏光状態によって光路を分離することができる。なお、周期構造の方向と配向の方向は必ずしも図のように一致している必要はない。
このような屈折率の関係は、非液晶性モノマーの反応生成物であるポリマーの屈折率を、液晶性高分子ないしオリゴマーからなる領域の常光屈折率または異常光屈折率に一致させることで達成でき、このような条件は用いる材料を選択することで達成できる。
本発明は、このような屈折率分布構造を室温で固体相またはガラス相を呈する液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの反応生成物とが微小領域で分散した構造で構成したことにある。
ここで液晶性高分子ないしオリゴマーの液晶相への転移温度は、該素子の使用温度範囲の上限以上であることが好ましい。用途にもよるが一般的には50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、さらに過酷な温度条件で使用される場合には70℃以上であることがさらに好ましい。
このようにすることにより、常用温度範囲において液晶性高分子ないしオリゴマーはガラス相または固体相とすることができる。
一般に液晶の屈折率は温度に大きく依存する。これは、液体状態であるために温度による分子運動の影響を受けることによる。
それに対して、本発明の素子では常用温度範囲で固体相またはガラス相であるので屈折率の温度変化が小さく、その結果、回折効率の温度変化が小さい素子を提供することができる。
なお、均一な配向特性を得るためにはガラス相であることがより好ましい。
このような構造を持つ素子を作製するには、室温で固体相またはガラス相を呈する液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの混合物を主成分とする組成物を調整し、これをガラス等の基板間に配置し、非液晶性モノマーを重合させることで、非液晶性モノマーの反応生成物と液晶性高分子ないしオリゴマーとの相分離を誘起させることで実現できる。ここで重合反応は、周子構造を容易に制御できるという点で光誘起の重合反応であることが好ましい。
具体的には室温で固体相またはガラス相を呈する液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの混合物を主成分とする組成物からなる層に重合を誘起する波長の光でパターン露光することによって周期的構造を形成することができる。
このときの露光方法は図3に示すようなフォトマスク120を用いた方法を用いることができる。
また、図4に模式的に示すような可干渉性の光L2,L3を用いた二光束干渉露光の方法を用いることができる。なお、図4中、符号130、131は干渉縞の暗部と明部を表す。特に、大きな回折角が必要な場合には微小領域の露光を制御できる干渉露光による方法を好ましく用いる。
また、別の方法としてレーザービームを走査する方法によっても作成することができる。
露光は均質な相分離構造を得るために混合組成物の等方相であって、液晶性高分子ないしオリゴマーが液晶相ないし等方相を呈する温度においてなされることが好ましい。液晶性高分子ないしオリゴマーは前述のようにメソーゲンが一軸に配向していることが好ましいが、このような配向は、相分離時の非液晶性モノマーの重合反応に伴う体積収縮過程での異方的応力によって実現可能である。
また、基板の液晶と接する面に、液晶を一方向に優先的に配向させるための配向膜層を設けることもできる。また、両者を同時に用いることもできる。相分離の過程でより高い配向性を得るためには、相分離後の液晶性高分子ないしオリゴマーが液晶相は液晶相を呈することがより好ましい。
ここで好適に用いられる液晶性高分子ないしオリゴマーは、上述のような固相ないしガラス相から液晶相への転移温度を有するものが好ましい。オリゴマーは上述のような転移温度、および相系列の条件を満たすものであればもちいることができ、特に分子量は規定されないが、安定なガラス相を形成するためには、500以上の分子量であることが好ましく、800以上であることがより好ましい。相分離は液晶性高分子ないしオリゴマーと非液晶性モノマーの相溶系から誘起されるものであるので、用いる非液晶性モノマーと相溶することも必要である。
本発明で用いる高分子液晶ないしオリゴマーとしては、ポリアクリレートやポリメタクリレート等のビニルポリマーの重合生成物であるポリメチレン鎖や、ポリシロキサンなどの主鎖にビフェニル基、ターフェニル基、フェニルシクロヘキシル基、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニルエステル基、フェニルピリミジン基、フェニルシクロヘキシルエステル基、フェニルジオキサン基、ジフェニルトラン基、ジフェニルエタン基などの多環性基ないし芳香族基や環状脂肪族基がトラン基や、エステル基、短鎖メチレン鎖などを介して結合された液晶性基(メソーゲン)Mを側鎖内に有する側鎖型高分子液晶が第一の好ましい例として例示できる。
これらの基は、必要に応じてメチレン鎖やエチレングリコール、プロピレングリコール等の繰り返し単位からなるスペーサーを介してポリマー主鎖に結合される。液晶性基Mは、液晶性の制御などの目的で、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン置換基等で置換されていることもできる。また、メソーゲンを有する側鎖の他に、メソーゲン基を有さない側鎖を導入することも可能である。
また、第二の例として、芳香族ポリエステルや芳香族ポリアミドのように、上述のメソーゲン基を主鎖に導入した主鎖型の高分子液晶ないしオリゴマーを用いることもできる。
高分子液晶ないしオリゴマーの呈する液晶相としては、一軸配向性を有するものが好ましく、ネマティック液晶やスメクティックA液晶を好ましく用い、特にネマティック液晶相を呈するものを特に好ましく用いる。
具体的には下記「化1」及び「化2」の式(A)〜(E)式に示すような材料を例示することができる。
Figure 0004368172
Figure 0004368172
なお、上記式において置換基やスペーサーの炭素数、重合度は相転移温度に大きく影響するため、その組み合わせにおいて適宜選択する必要がある。
用いることのできる非液晶性モノマーとしては、単官能または多官能のアクリレート、メタクリレートを好適に用いる。単官能アクリレートとしては分岐していても良いアルキルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレート、アルキル基またはアルコキシ基で置換されていても良いフェニルアクリレートまたはメタクリレート、末端にアルキル置換基を有していても良い(ポリ)アルキレングリコールアクリレートまたはメタクリレートなどを例示することができる。
具体的には下記「化3」の式(1)〜(4)式に示すような材料を例示することができる。
Figure 0004368172
二官能アクリレートとしては、下記「化4」の式に示すようなものを例示することができる。
Figure 0004368172
さらに、3官能や4官能のモノマーを用いることができる。これらは、一般的には相分離速度を制御するために複数が混合されて用いられる。
組成物には更に、必要に応じて重合開始剤や増感剤を添加することもできる。
これまでの図では、簡略化のためにバイナリー型の回折格子を例に説明したが、図5に示すように、傾斜した構造を導入することで、回折光を非対称にし、特定の次数の回折光の効率を高めることもできる。このような構造は、二光束干渉露光において試料を傾けて露光したり、マスク露光において斜めから平行光路光を行ったりすることで比較的容易に達成できる。
このような構造によっては容易に光利用効率を高めることができるため、特に好ましく採用することができる。
周期構造を形成した層の厚さは目的とする回折特性や誘起される屈折率の異方性によって異なるが、概ね数μm〜数十μmの範囲である。
また、周期構造のピッチは所望の回折角や波長によって異なるが、概ね0.2μmから10μmの範囲であるが、特に限定されるものではない。
例えば、405nmに対して20°の分離角を得るためには、1.1μm程度のピッチ、650nmに対しては2.3μm程度のピッチが必要となる。
また、層の傾斜角としては0°から20°程度が好ましいが、特に限定されるものではない。
相分離を誘起する露光量としては0. 3J/cm2〜30J/cm2が好ましく、0.5J/cm2〜10J/cm2がより好ましい。
本発明になる偏光分離素子は、前述のように短いピッチが容易に形成できることから、小型化のために大きい回折角を必要とする光ピックアップ用の偏光分離素子に用いたときに特に効果的である。また、光学特性の温度依存性が改善されているため、より広い温度範囲で使用することができる。図6は偏光分離素子を用いたピックアップの基本的な構成例である。
半導体レーザー51から出た読み出し光である直線偏光はコリメーターレンズ61によって略平行光となって対物レンズ63に導かれる。光ディスク81で反射された光は入出射の共通光路におかれた1/4λ板62によって偏光面が90°回転される。偏光分離素子71は発光ダイオード近傍の入出射の共通光路中におかれる。
半導体レーザーからの出射偏光が図1でいうy方向に偏向する光であれば、この光はほとんど損失なく透過し、光ディスクの記録層に集光される。光ディスクからの戻り光は偏光面が90°回転しているためx方向に偏向する直線偏光となって偏光分離素子に入射し、回折を受ける。
この際、偏光分離素子の分離角が15°以上であれば、偏光分離素子と半導体レーザーおよびフォトダイオード91を近接させることができ、光路長を短く構成することができる。分離角を20°、波長を405nmとしたとき、所望の回折格子のピッチはおおよそ1ミクロン前後である。本発明になる偏光分離素子は、前述のように格子間隔をきわめて短く構成することができるため、このような短い格子間隔であっても高い回折効率を得ることができる。
実施例1はマスク露光に適用したものである。
構造式CにおいてR1=−CH3、m=6,R2=−OCH3である高分子液晶(相系列:ガラス−95℃−ネマティック相−105℃−等方相)と二官能アクリレートであるHX220(商品名:日本化薬社製)、#310HG(商品名:大阪有機化学社製)、単官能アクリレートであるHEA(商品名:大阪有機化学社製)を混合した組成物を調整した。3種のアクリレートの組成は重量比で80:5:15とし、アクリレートと高分子液晶の重量組成比は7:3とした。組成物にはアクリレートに対して2重量%の光重合開始剤イルガキュア369(商品名)を添加した。5μmピッチのライン&スペースのフォトマスクを密着させ、50mWのクリプトンイオンレーザを用いて露光を行った。露光時間は30秒間であり、露光は100℃で行った。露光後試料を高圧水銀ランプによって全面露光し、露光を完了した。このようにしてポリマーと高分子液晶が5μmピッチで周期的に相分離した素子を作製した。高分子液晶は周期方向に配向しており、この配向は、高分子液晶がガラス相を呈する25℃に冷却した後も保持されていた。
この素子に、フォトマスクの周期方向と一致する波長405nmの直線偏光を垂直に入射させたところ±5°の角度に+1次の回折光が20%、−1次光が20%の回折効率で得られた。一方、直交する偏光に対しての回折はおこらず、0次光のみが観察され、高分子液晶の常光屈折率とアクリレートの硬化物の屈折率が一致しており、高い偏光分離機能を有することが確認された。また、この回折効率は85℃まで温度を上昇させてもほとんど変化せず、高い温度安定性が確認できた。
実施例2は干渉露光に適用したものである。
実施例1において、露光は二光束干渉法を用い、2μmピッチの干渉縞で高分子液晶を露光した他は実施例1と同様にして資料を作成した。
直線偏光した露光光はそれぞれ液晶相法線から+5°、−5°傾斜させて入射させた。このようにしてポリマーと高分子液晶が2μmピッチで周期的に相分離した素子を作製した。高分子液晶は周期方向に配向しており、この配向は、高分子液晶がガラス相を呈する25℃に冷却した後も保持されていた。
この素子に、波長405nmで干渉縞の周期方向と一致する直線偏光を垂直に入射させたところ±15°の角度に+1次の回折光が30%、−1次光が30%の回折効率で得られた。一方、直交する偏光に対しての回折はおこらず、0次光のみが観察され、偏光分離機能が確認された。
また、この回折効率は85℃まで温度を上昇させてもほとんど変化せず、高い温度安定性が確認できた。
実施例3は斜め配向に適用したものである。
実施例2において、二光束干渉を行う際に、試料を10°傾斜させ、周期方向に10°傾斜した干渉縞で露光を行ったほかは同様にして素子を作成した。この素子に、波長405nmで干渉縞の周期方向と一致する直線偏光を垂直に入射させたところ20°の角度に+1次の回折光が70%以上の回折効率で得られた。一方、直交する偏光に対しての回折はおこらず、0次光のみが観察され、偏光分離機能が確認された。
また、この回折効率は85℃まで温度を上昇させてもほとんど変化せず、高い温度安定性が確認できた。
実施例4はレーザー用のピックアップなどの駆動装置に適用したものである。
実施例3の偏光分離素子を用いて図6に示す青紫レーザー用の光ピックアップを構成した。半導体レーザーとフォトディテクターの距離を1mmとしたとき、偏光分離素子と半導体レーザーの間隔は3.2mmまで薄くすることができた。
一方、回折角が10°の偏光分離素子を用いた場合には約6mmであり、本素子が駆動装置の小型、薄型化に有効であることが確認できた。また、70℃の使用環境においても良好な読みとりが行えた。
以上のように、本発明にかかる液晶光学素子は、光学特性の温度依存性がなく、特に、偏光分離素子を用いた光ディスクや光磁気ディスクなどの光ピックアップおよび光記録媒体駆動装置に用いて適している。
偏向分離素子の断面概略図である。 偏向分離素子の配向模式図である。 偏向分離素子の露光及び配向模式図である。 偏向分離素子の露光及び配向模式図である。 偏向分離素子の配向模式図である。 偏向分離素子を用いた光ピックアップの概略図である。
11 基板
20 光回析層
21 対向基板

Claims (6)

  1. 室温で固体相またはガラス相を呈する液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの混合物を主成分とする組成物の非液晶性モノマーの重合反応に伴い、非液晶性モノマーの反応生成物と液晶性高分子ないしオリゴマーとの相分離を誘起させると共に、
    重合反応が光誘起の重合反応であり、室温で固体相またはガラス相を呈する液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの混合物を主成分とする組成物からなる層に重合を誘起する波長の光でパターン露光することによって周期的構造を形成することを特徴とする液晶光学素子の製造方法。
  2. 露光が干渉露光によってなされることを特徴とする請求項に記載の液晶光学素子の製造方法。
  3. 露光が混合組成物の等方相であって、液晶性高分子ないしオリゴマーが液晶相ないし等方相を呈する温度においてなされるとともに、露光後冷却によって液晶性高分子ないしオリゴマーの液晶相における配向構造をガラス相に固定化したことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶光学素子の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載の製造方法で製造された液晶光学素子において、
    室温で固体相またはガラス相を呈する液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの反応生成物との相分離構造が微小領域で分散した構造を有し、
    液晶性高分子ないしオリゴマーと、非液晶性モノマーの反応生成物からなる領域が、周期的構造をなし、液晶性高分子ないしオリゴマーが該領域内において配向しており、かつ、異なる領域間での配向方向が一致していることを特徴とする液晶光学素子。
  5. 請求項4に記載の液晶光学素子を偏光分離素子として用いたことを特徴とする光ピックアップ。
  6. 請求項に記載のピックアップを備えたことを特徴とする光記録媒体駆動装置。
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