JP4367537B2 - 飲酒検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、飲酒検査装置に関する。
人は、飲酒によって、判断力、注意力、運動能力などが低下する。そのため、飲酒状態で車両を運転すると、危険性が増し、事故を起こす可能性が高くなる。しかし、飲酒運転を行うドライバが存在する。そこで、飲酒運転を抑制する装置が各種開発されている。例えば、特許文献1に記載の遠隔監視制御システムでは、ドライバが警告によってアルコール濃度チェックすることを促され、アルコール濃度が一定値を超えた場合には警告や警報によって運転停止を促される。この警告などを無視して運転が継続された場合、再度、ドライバが警告や警報によって運転停止を促され、さらに、車両のエンジンを停止させることも可能である。また、警告から一定時間以上アルコール濃度チェックを行わない場合、再度、ドライバに対して警告する。
特開2004−148950号公報
従来の飲酒運転抑制装置の場合、飲酒検査を定期的(例えば、運転中の一定時間毎)に促されるので、飲酒していないドライバにとっては飲酒検査が非常に煩わしく、負担である。また、飲酒検査の精度は100%でないので、飲酒していないにもかかわらず、飲酒状態と誤検知される場合もある。この場合、車両がインタロックされると、ドライバがそれを解除することができず、車両を発進させることができない。
そこで、本発明は、検査の煩わしさを軽減する飲酒検査装置を提供することを課題とする。
本発明に係る飲酒検査装置は、対象者の覚醒度を検出する覚醒度検出手段と、覚醒度検出手段で検出した覚醒度に基づいて飲酒検査の実施を決定し、飲酒検査を実施すると決定した場合に対象者の飲酒検査を行う飲酒検査手段とを備えることを特徴とする。
この飲酒検査装置では、覚醒度検出手段により、対象者の覚醒度を検出する。飲酒している場合、通常、覚醒度が低下するので、飲酒と覚醒度との間には因果関係がある。したがって、覚醒度を用いることにより、飲酒検査が必要な場合(飲酒の可能性が高い場合)に飲酒検査を行うことができる。そこで、飲酒検査装置では、飲酒検査手段により、覚醒度に基づいて対象者の飲酒検査を行う。このように、飲酒検査装置では、飲酒検査に覚醒度を考慮することにより、対象者の飲酒検査の煩わしさを軽減でき、対象者の負担を軽減できる。さらに、覚醒度に基づいて飲酒の可能性がある場合に飲酒検査を行うことができるので、検査精度も向上し、誤検知を抑制できる。
本発明の上記飲酒検査装置では、飲酒検査手段は、覚醒度検出手段で検出した覚醒度に基づいて飲酒検査を行うか否かを判定する実施判定手段を備え、実施判定手段で飲酒検査を行うと判定した場合にのみ飲酒検査を行うと好適である。
飲酒している場合には通常より覚醒度が低下するので、通常の覚醒度の場合(覚醒度が高い場合)には飲酒検査を行う必要がなく、通常より覚醒度が低下している場合(覚醒度が低い場合)だけ飲酒検査を行う必要がある。そこで、飲酒検査装置では、覚醒度検出手段によって覚醒度を検出すると、実施判定手段により覚醒度に基づいて飲酒検査を行うか否かを判定する。そして、飲酒検査装置では、実施判定手段で飲酒検査を行うと判定したときだけ飲酒検査を実施する。これによって、飲酒の可能性があり、飲酒検査が必要な場合にだけ飲酒検査を実施することができる。
本発明の上記飲酒検査装置では、覚醒度検出手段は、対象者の閉眼状態に基づいて覚醒度を検出する構成としてもよい。覚醒度が低下するほど(眠気が増すほど)、人は眼を閉じ、睡眠状態となる。したがって、閉目状態に基づいて覚醒度を検出することができる。特に、車両のドライバの場合、眼を閉じて運転することは考えられないので、眼を閉じているときには覚醒度が低下している可能性が非常に高い。
本発明は、飲酒検査に覚醒度を考慮することにより、飲酒検査の煩わしさを軽減できる。
以下、図面を参照して、本発明に係る飲酒検査装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明に係る飲酒検査装置を、車両に搭載される飲酒運転抑制装置に適用する。本実施の形態に係る飲酒運転抑制装置は、検査が必要な場合にドライバに対して飲酒検査を実施し、ドライバが飲酒状態の場合には車両をインタロックする。さらに、本実施の形態に係る飲酒運転抑制装置は、ヘルプネットを利用し、ヘルプネットを通じてのインタロックやインタロック解除が可能である。
ヘルプネットとは、緊急通報等の車両(乗員)に対して各種サポートを行うシステムであり、通信によってヘルプネットセンタと車両との間で情報を送受信できる。ヘルプネットでは、車両の乗員とヘルプネットセンタのオペレータとの間での音声による通話及びヘルプネットセンタと車両の各種装置との間で信号の送受信が可能である。ヘルプネットを利用する場合、車両毎にヘルプネットを利用する契約が事前に結ばれ、契約した車両しかヘルプネットセンタに接続できない。ヘルプネットセンタのオペレータとしては、例えば、トラック、バス、タクシなどの運行管理者、警察関係者あるいは個人契約であればその判断責任を任せられた選任担当者が適している。
図1を参照して、本実施の形態に係る飲酒運転抑制装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る飲酒運転抑制装置の構成図である。
飲酒運転抑制装置1は、飲酒運転を抑制するためにドライバに対して飲酒検査を要求するが、ドライバに対する飲酒検査の煩わしさを極力軽減する。そのために、飲酒運転抑制装置1は、覚醒度が低下したときだけ飲酒検査を実施したり、また、ヘルプネットを通じて非飲酒者と認定されたドライバに対して飲酒検査を実施しない。
飲酒運転抑制装置1は、ドライバ覚醒度低下判断装置10、飲酒検査装置11、指紋認証装置12、シート加重センサ13、シートベルトセンサ14、通信機20、スピーカ21、スタータカットリレー23及びECU[ElectronicControl Unit]30を備えている。また、飲酒運転抑制装置1は、ヘルプネットセンタ40と接続可能であり、ヘルプネットを利用する。
なお、本実施の形態では、ドライバ覚醒度低下判断装置10が特許請求の範囲に記載する覚醒度検出手段に相当し、飲酒検査装置11及びECU30における処理が特許請求の範囲に記載する飲酒検査手段に相当し、ECU30における処理が特許請求の範囲に記載する実施判定手段に相当する。
ドライバ覚醒度低下判断装置10は、ドライバの覚醒度が低下しているか否かを判断する装置である。ドライバ覚醒度低下判断装置10では、カメラでドライバの顔周辺を撮像し、その撮像画像からドライバの眼部分の画像を抽出し、その眼部分の画像から眼を閉じているか否か(つまり、覚醒度が低下している否か)を判定する。そして、ドライバ覚醒度低下判断装置10では、一定時間毎に、閉眼状態の判定結果をECU30に送信する。ドライバの覚醒度が低下するほど(眠気が強くなるほど)、眼を閉じ、居眠り状態となる。
飲酒検査装置11は、ドライバが飲酒状態か否かを検査する装置である。飲酒検査装置11では、アルコール濃度検知センサ(例えば、半導体式、電気化学式、化学反応式、光学式)によりドライバの呼気からアルコール濃度を計測し、アルコール濃度が閾値以上か否かを判定する。閾値は、飲酒状態か否かを判定するための閾値であり、実験等によって予め決められた値である。そして、飲酒検査装置11では、飲酒状態か否かの判定結果をECU30に送信する。なお、飲酒検査装置11はECU30によって起動され、ドライバの飲酒検査が可能となる。
指紋認証装置12は、ドライバの指紋を認証する装置である。指紋認証装置12は、ステアリングホイール等に設けれたスキャナでドライバの指の指紋を読み取り、読み取った指紋と既に登録されている指紋とを照合し、照合した場合には登録されたドライバと認証する。そして、指紋認証装置12では、読み取った指紋情報や照合結果(認証結果)をECU30に送信する。なお、指紋認証装置ではなく、単に、ドライバの指の指紋を読み取る指紋スキャナ装置でもよい。
シート加重センサ13は、各シートに設けられ、シートに加わる加重を検出するセンサである。シート加重センサ13では、シートに加わる加重を検出し、その検出結果をECU30に送信する。
シートベルトセンサ14は、各シートに設けられ、シートベルトを装着しているか否かを検知するセンサである。シートベルトセンサ14では、シートベルトの装着/非装置を検知し、その検知結果をECU30に送信する。
通信機20は、車両の外部と無線通信するための装置である。ヘルプネットボタン(図示せず)などによってドライバがヘルプネットへ接続要求あるいは車両の各種装置から接続要求すると、通信機20を介してヘルプネットセンタ40との無線通信が可能となる。この通信では、通話するための音声信号及び制御信号や指令信号などを送受信する。なお、通信機20は、携帯電話を利用したものでもよい。
スピーカ21は、車両に備えられるスピーカであり、他の装置と共用される。スピーカ21では、ECU30から音声信号(電気信号)が送信されると、その音声信号を機械振動に変えて音声出力する。
スタータカットリレー23は、スタータ線をカットするためのリレーである。スタータカットリレー23をオフすることによってセルモータを回せなくなり、エンジンを始動できなくなる。スタータカットリレー23では、ECU30からリレーオフ信号を受信すると、リレーをオフする(リレーを開く)。また、スタータカットリレー23では、ECU30からリレーオン信号を受信すると、リレーをオンする(リレーを閉じる)。
ECU30は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなり、飲酒運転抑制装置1を統括制御する。ECU30では、ROMに格納されるアプリケーションプログラムがRAMにロードされ、CPUで実行されることによってアクチュエーション判断部30aとインタロック制御部30bが構成される。
アクチュエーション判断部30aでは、各装置10,11,12からの情報、各センサ13,14の検出結果、ドライバからの指令、ヘルプネットセンタ40からの指令などを総合的に判断し、各種指令や各種制御を行う。アクチュエーション判断部30aでは、運転開始時、運転中、ドライバが車両を初回運転時、ドライバが車両を2回目以降運転時にアプリケーションをそれぞれ実行する。
運転開始時について説明する。アクチュエーション判断部30aでは、飲酒検査装置11を起動する。そして、アクチュエーション判断部30aでは、飲酒検査装置11からのドライバの飲酒検査の検査結果を受信し、飲酒状態と検知された場合にはインタロック制御部30bに車両をインタロックするように指令する。なお、運転開始時の飲酒検査については、運転開始時にドライバに対してスピーカ21から飲酒検査を促すようにしてもよいし、あるいは、ドライバが自主的に飲酒検査(例えば、エンジンを始動させるための条件)するようにしてもよい。
この際、ドライバは、飲酒検査装置11での飲酒誤検知によって車両がインタロックされたと判断した場合、ヘルプネットボタンなどによってヘルプネットへの接続を要求する。アクチュエーション判断部30aでは、この要求に応じて、通信機20を介してヘルプネットセンタ40と接続し、ドライバとヘルプネットセンタ40のオペレータとの通話を可能な状態とする。
ここで、ドライバは、オペレータに対して飲酒状態の誤検知によって車両がインタロックされたことを説明し、インタロックの解除を要求する。オペレータは、ドライバが本当に飲酒していないかを判断するために、各種検査や確認を行う。この各種検査や確認としては、例えば、ドライバとの会話状況、ドライバ覚醒度低下判断装置10での覚醒度低下の判断結果、ドライバ覚醒度低下判断装置10のカメラで撮像したドライバの顔画像を用いて飲酒しているか否か判断する。オペレータは、ドライバが飲酒していない(飲酒検査装置11で誤検知)と判断した場合、車両のインタロックを解除するための指令信号をECU30に送信する。この信号を受信すると、アクチュエーション判断部30aでは、インタロック制御部30bに車両のインタロックを解除するように指令する。あるいは、インタロック制御部30bで、直接信号を受信し、インタロックを解除する。
運転中について説明する。アクチュエーション判断部30aでは、ドライバ覚醒度低下判断装置10から一定時間毎に送信される判断結果に基づいて、ドライバが閉眼状態(覚醒度低下)と判断されている場合にはその状態が第一判定時間以上継続しているか否かを判定する。第一判定時間は、ドライバの覚醒度が確実に低下していると判定できる時間であり、実験等で予め設定される。閉眼状態が第一判定時間以上継続している場合、アクチュエーション判断部30aでは、ドライバに飲酒検査を要求するためのメッセージを音声出力ための音声信号をスピーカ21に送信するとともに、飲酒検査装置11を起動する。このメッセージとしては、例えば、飲酒検査を実施して下さいである。
ちなみに、飲酒しているときには、通常、覚醒度が低下する。したがって、覚醒度が高いときには、飲酒している可能性が非常に低く、飲酒検査を行う必要がない。逆に、覚醒度が通常より低下しているときには、飲酒している可能性があるので、飲酒検査を行う必要がある。また、覚醒度が低下しているときに飲酒検査を行うので、検査精度も向上し、誤検知も抑制できる。
飲酒検査要求後、アクチュエーション判断部30aでは、飲酒検査装置11から飲酒検査の検査結果を受信待ちする。検査結果を受信できない間(すなわち、ドライバが飲酒検査を実施していない間)、アクチュエーション判断部30aでは、飲酒検査要求後に第二判定時間経過したか否かを判定する。第二判定時間は、ドライバが飲酒検査要求に対して飲酒検査を確実に実施しないことを判定できる時間であり、実験等で予め設定される。飲酒検査要求後に第二判定時間経過した場合、アクチュエーション判断部30aでは、ヘルプネットを通じて飲酒検査を要求するために、通信機20を介してヘルプネットセンタ40と接続し、ドライバとヘルプネットセンタ40のオペレータとの通話を可能な状態とする。
接続すると、オペレータは、ドライバに対して飲酒の状況を確認し、ドライバに飲酒検査を行うように要求する。この飲酒検査要求に対しても飲酒検査を行わない場合、ドライバは飲酒をしている可能性があるので、アクチュエーション判断部30aでは、インタロック制御部30bに車両をインタロックするように指令する。この際、ヘルプネットセンタ40側からインタロックするように指令信号を送信するようにしてもよいし、あるいは、ECU30側で飲酒検査実施の有無に基づいてインタロックをするか否かの判断を行ってもよい。
飲酒検査要求に応じて飲酒検査を実施した場合(飲酒検査装置11から飲酒検査の検査結果を受信した場合)、アクチュエーション判断部30aでは、運転開始時と同様の処理を行う。
ドライバが初回運転時について説明する。アクチュエーション判断部30aでは、シート加重センサ13からの検出結果及びシートベルトセンサ14からの検知結果に基づいて、ドライバが1名で乗車しているか否かを判定する。ここでは、運転席以外にシートに加重が加わっていないか、シートベルトが装着されていないかを判定する。ドライバだけしか乗車していない場合、ドライバに成りすまして飲酒検査を行う人がいないので、飲酒検査をドライバが確実に行っていると推定できる。
1名乗車と判定した場合、アクチュエーション判断部30aでは、指紋認証装置12及び飲酒検査装置11を起動し、指紋認証装置12からのドライバの指紋情報及び飲酒検査装置11からのドライバの飲酒検査の検査結果を受信する。そして、アクチュエーション判断部30aでは、飲酒状態と検知された場合にはインタロック制御部30bに車両をインタロックするように指令する。なお、この際の飲酒検査開始のトリガは、任意であり、例えば、ドライバに対してスピーカ21から飲酒検査を促す。
この際、上記と同様に、ドライバが飲酒誤検知と判断した場合、ヘルプネットへの接続を要求する。アクチュエーション判断部30aでは、この要求に応じて、ヘルプネットセンタ40に接続する。ここで、ドライバは、上記と同様に、オペレータに対してインタロック解除を要求する。オペレータは、上記と同様に、ドライバに対して各種検査や確認を行う。
ドライバが飲酒していない(飲酒検査装置11で誤検知)と判断した場合、オペレータは、このドライバを非飲酒者と認定する。そして、ヘルプネットセンタ40では、ECU30からドライバの指紋情報を取得し、その指紋を個人情報としてそのドライバを非飲酒者として登録する。非飲酒者と登録された場合、そのドライバについては、ヘルプネットを通じて、その車両を次回以降運転する際に1名乗車のときには飲酒検査が免除される。さらに、オペレータは、上記と同様に、車両のインタロックを解除するための指令信号をECU30に送信する。この信号を受信すると、ECU30では、上記と同様に、インタロックを解除する。また、オペレータは、運転中の飲酒検査を常時OFFするための指令信号をECU30に送信する。この信号を受信すると、アクチュエーション判断部30aでは、運転中、このドライバに対する飲酒検査を実施しない(飲酒検査装置11を起動しない)。
ドライバが2回目以降運転時について説明する。アクチュエーション判断部30aでは、上記と同様に、シート加重とシートベルトの装着状況により、ドライバが1名で乗車しているか否かを判定する。1名乗車の場合、アクチュエーション判断部30aでは、通信機20を介してヘルプネットセンタ40と接続する。また、アクチュエーション判断部30aでは、指紋認証装置12を起動し、指紋認証装置12からのドライバの指紋情報を受信する。
この際、ヘルプネットセンタ40では、ECU30からドライバの指紋情報を受信し、その指紋を持つドライバが非飲酒者として登録されているか否かを判定する。非飲酒者として登録されている場合、ヘルプネットセンタ40では、運転中の飲酒検査を常時OFFするための指令信号をECU30に送信する。この信号を受信すると、アクチュエーション判断部30aでは、運転中、このドライバに対する飲酒検査を実施しない。
インタロック制御部30bでは、アクチュエーション判断部30a又はヘルプネットセンタ40から車両をインタロックする指令を受信すると、スタータカットリレー23にリレーオフ信号を送信する。また、インタロック制御部30bでは、アクチュエーション判断部30a又はヘルプネットセンタ40から車両のインタロックを解除する指令を受信すると、スタータカットリレー23にリレーオン信号を送信する。
図1を参照して、飲酒運転抑制装置1、ドライバ、ヘルプネットセンタ40(オペレータ)の動作について説明する。ここでは、運転開始時の動作を図2のフローチャートに沿って説明し、運転中の動作を図3のフローチャートに沿って説明し、初回運転時の動作を図4のフローチャートに沿って説明し、2回目以降運転時の動作を図5のフローチャートに沿って説明する。図2は、図1の飲酒運転抑制装置を搭載した車両における運転開始時の動作の流れを示すフローチャートである。図3は、図1の飲酒運転抑制装置を搭載した車両における運転中の動作の流れを示すフローチャートである。図4は、図1の飲酒運転抑制装置を搭載した車両をドライバが初回運転時の動作の流れを示すフローチャートである。図5は、図1の飲酒運転抑制装置を搭載した車両をドライバが2回目以降運転時の動作の流れを示すフローチャートである。
運転開始時、ECU30では、飲酒検査装置11を起動する。ドライバは、飲酒検査装置11に息を吹きかけ、飲酒検査を実施する(S10)。飲酒検査装置11では、ドライバの呼気からアルコール濃度を計測し、アルコール濃度に基づいて飲酒状態か否かを判断する(S11)。そして、飲酒検査装置11では、その飲酒状態か否かの判断結果をECU30に送信する。その判断結果を受信すると、ECU30では、S11で飲酒状態でないと判断されている場合、処理を終了する。
S11で飲酒状態であると判断されている場合、ECU30では、スタータカットリレー23にリレーオフ信号を送信する(S12)。リレーオフ信号を受信すると、スタータカットリレー23ではリレーをオフし、車両をインタロックする(S12)。
実際に飲酒している場合(飲酒状態の判断が誤検知でない場合)、ドライバは、飲酒状態であることを自覚し、運転を諦めて車両から降りる(S13)。これによって、飲酒運転が防止される。
一方、実際に飲酒していない場合、ドライバは、飲酒状態の判断が誤検知であると判断する(S13)。そして、ドライバは、ヘルプネットボタンなどによってヘルプネットへの接続を要求する(S14)。この要求に応じて、ECU30では、通信機20を介してヘルプネットセンタ40に接続する(S14)。
ヘルプネットセンタ40に接続すると、ドライバは、飲酒誤検知によって車両がインタロックされたことを事情説明する。オペレータは、ドライバが飲酒しているかの各種検査や確認を行い(S15)、飲酒誤検知か否かを判断する(S16)。S16にて誤検知でないと判断した場合(すなわち、ドライバが飲酒していることを確認した場合)、オペレータは、ドライバにそのことを告げ、接続を切る。ドライバは、運転を諦めて車両から降りる。
一方、S16にて誤検知であると判断した場合(すなわち、ドライバが飲酒していないことを確認した場合)、ヘルプネットセンタ40では、車両のインタロックを解除するための指令信号をECU30に送信する(S17)。この信号を受信すると、ECU30では、スタータカットリレー23にリレーオン信号を送信する(S17)。このリレーオン信号を受信すると、スタータカットリレー23では、リレーをオンする(S17)。これによって、エンジンが始動可能となる。ドライバは、エンジンを始動し、運転を開始する。
運転中、常時、ドライバ覚醒度低下判断装置10では、一定時間毎に、ドライバの眼の開閉状態に基づいて覚醒度が低下しているか否かを判断し、その判断結果をECU30に送信している(S20)。この判断結果を受信すると、ECU30では、覚醒度が低下している状態が第一判定時間以上継続しているか否かを判定する(S21)。S21にて覚醒度が低下している状態が第一判定時間以上継続していないと判定した場合(覚醒度が高い場合あるいは覚醒度が低下しているが未だ第一判定時間以上継続していない場合)、S20に戻る。
一方、S21にて覚醒度が低下している状態が第一判定時間以上継続していると判定した場合、ECU30では、ドライバに飲酒検査を要求するためのメッセージの音声信号をスピーカ21に送信するとともに、飲酒検査装置11を起動する(S22)。この音声信号を受信すると、スピーカ21では、ドライバに飲酒検査を要求するためのメッセージを音声出力する(S22)。
飲酒検査要求後、ECU30では、飲酒検査装置11から飲酒検査の検査結果を受信待ちし、飲酒検査要求後に第二判定時間経過したか否かを判定する(S23)。S23にて第二判定時間経過したと判定した場合、ECU30では、ドライバが飲酒検査要求に応じなかったか否かを判定する(S24)。S24にて要求に応じなかったと判定した場合、ECU30では、通信機20を介してヘルプネットセンタ40に接続する(S25)。接続すると、ECU30では、ドライバが飲酒検査要求に応じないことを事情説明するメッセージなどをヘルプネットセンタ40に送信する。すると、オペレータは、ドライバに対して飲酒状況を確認し、ドライバに飲酒検査を行うように要求する(S26)。そして、ECU30では、この飲酒検査要求に対して応じないか否かを判断する(S27)。S27にて要求に応じないと判断した場合、ECU30では、スタータカットリレー23にリレーオフ信号を送信する(S28)。このリレーオフ信号を受信すると、スタータカットリレー23ではリレーをオフし、車両をインタロックする(S28)。ドライバは、飲酒状態であることを自覚し、運転を諦めて車両から降りる。これによって、飲酒運転が防止される。
一方、ECU30の要求後に第二判定時間経過前に要求に応じた場合あるいはオペレータの要求に応じた場合、ドライバが飲酒検査を実施すると(S29)、飲酒運転抑制装置1、ドライバ、ヘルプネットセンタ40では、S30〜S36の動作を運転開始時の図2のS11〜S17の動作と同様の動作を行う。
初回運転時、ECU30では、シート加重センサ13から検出信号を受信するとともにシートベルトセンサ14から検知信号を受信する。そして、ECU30では、各シートに加わる加重及びシートベルトの装着状態に基づいてドライバが1名で乗車しているか否かを確認し(S40)、1名乗車か否かを判定する(S41)。S41にて1名乗車でないと判定した場合、ECU30では、処理を終了する。
一方、S41にて1名乗車と判定した場合、ECU30では、指紋認証装置12を起動する。指紋認証装置12では、ドライバの指紋を採取し、その指紋情報をECU30に送信する(S42)。ECU30では、指紋認証装置12からのドライバの指紋情報を受信する。また、ECU30では、飲酒検査装置11を起動する。この際、ドライバは、飲酒検査装置11に息を吹きかけ、飲酒検査を実施する(S43)。飲酒検査装置11では、ドライバの呼気からアルコール濃度を計測し、アルコール濃度に基づいて飲酒状態か否かを判断する(S44)。ECU30では、飲酒検査装置11からのドライバの飲酒検査の検査結果を受信する。S44にて飲酒状態と判断された場合、ECU30では、スタータカットリレー23にリレーオフ信号を送信する(S45)。このリレーオフ信号を受信すると、スタータカットリレー23ではリレーをオフし、車両をインタロックする(S45)。
実際に飲酒している場合、ドライバは、飲酒状態であることを自覚し、運転を諦めて車両から降りる(S46)。これによって、飲酒運転が防止される。
一方、実際に飲酒していない場合、ドライバは、飲酒状態の判断が誤検知であると判断する(S46)。そして、ドライバは、ヘルプネットボタンなどによってヘルプネットへの接続を要求する(S47)。この要求に応じて、ECU30では、通信機20を介してヘルプネットセンタ40に接続する(S47)。
ヘルプネットセンタ40に接続すると、ドライバは、飲酒誤検知によって車両がインタロックされたことを事情説明する。オペレータは、ドライバが飲酒しているかの各種検査や確認を行う(S48)。そして、オペレータは、飲酒誤検知か否かを判断し、ドライバが非飲酒者か否かを判定する(S49)。S49にて誤検知でないと判断し、ドライバを飲酒者であると確認した場合、オペレータは、ドライバにそのことを告げ、接続を切る。ドライバは、運転を諦めて車両から降りる。
一方、誤検知と判断し、ドライバを非飲酒者であると確認した場合、ヘルプネットセンタ40では、ECU30からドライバの指紋情報を受信し、その指紋を個人情報としてそのドライバを非飲酒者として登録する(S50)。さらに、ヘルプネットセンタ40では、車両のインタロックを解除するための指令信号をECU30に送信する(S51)。この信号を受信すると、ECU30では、スタータカットリレー23にリレーオン信号を送信する(S51)。このリレーオン信号を受信すると、スタータカットリレー23では、リレーをオンする(S51)。これによって、エンジンが始動可能となる。ドライバは、エンジンを始動し、運転を開始する。また、ヘルプネットセンタ40では、運転中の飲酒検査を常時OFFするための指令信号をECU30に送信する(S52)。この信号を受信すると、ECU30では、運転中、このドライバに対する飲酒検査を実施しない(S52)。これによって、ドライバは、運転中、飲酒運転を行わないでよい。
2回目以降運転時、初回運転時と同様に、ECU30では、各シートに加わる加重及びシートベルトの装着状態に基づいてドライバが1名で乗車しているか否かを確認し(S60)、1名乗車か否かを判定する(S61)。S61にて1名乗車でないと判定した場合、ECU30では、処理を終了する。
一方、S41にて1名乗車と判定した場合、ECU30では、通信機20を介してヘルプネットセンタ40に接続する(S62)。また、ECU30では、指紋認証装置12を起動する。指紋認証装置12では、ドライバの指紋を採取し、その指紋情報をECU30に送信する(S63)。ECU30では、指紋認証装置12からのドライバの指紋情報を受信する。そして、ECU30では、ドライバの指紋情報をヘルプネットセンタ40に送信する。この指紋情報を受信すると、ヘルプネットセンタ40では、その指紋のドライバが非飲酒者として登録されているか否か確認する(S64)。S64にて非飲酒者として登録されていないことを確認した場合、初回運転時の図4のA(S43以降の動作)に移行する。
一方、S64にて非飲酒者として登録されていることを確認した場合、ヘルプネットセンタ40では、運転中の飲酒検査を常時OFFするための指令信号をECU30に送信する(S65)。この信号を受信すると、ECU30では、運転中、このドライバに対する飲酒検査を実施しない(S65)。これによって、ドライバは、運転中、飲酒運転を行わないでよい。
この飲酒運転抑制装置1によれば、ドライバの覚醒度が低下した場合(飲酒検査が必要な場合)にのみ飲酒検査を実施するので、ドライバの負担及び飲酒検査の煩わしさを軽減できる。さらに、覚醒度低下に基づいて飲酒の可能性がある場合に飲酒検査を行うので、検査精度も向上し、誤検知を抑制できる。
また、飲酒運転抑制装置1によれば、ヘルプネットを通じてしかインタロックを解除することができないので、不正なインタロック解除を防止できる。さらに、飲酒運転抑制装置1によれば、ドライバが飲酒要求に応じない場合にはヘルプネットを通じて飲酒状態を確認し、必要に応じてインタロックすることができるので、ドライバが飲酒検査に応じないときでも飲酒運転を確実に防止することができる。
また、飲酒運転抑制装置1によれば、ヘルプネットを通じて非飲酒者であることを保証することにより、非飲酒者に対して運転中の飲酒検査を免除でき、ドライバの負担及び飲酒検査の煩わしさを軽減できる。飲酒検査を実施しないので、誤検知や誤検知によるインタロックも発生しない。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では本発明に係る飲酒検査装置を車両に搭載される飲酒運転抑制装置に適用したが、車載以外でも適用可能であり、また、飲酒検査装置自体や飲酒検査が必要な他の装置にも適用可能である。
また、本実施の形態では覚醒度に基づいて飲酒検査を実施するか否かを判定し、覚醒度が低下した場合にのみ飲酒検査を実施するようにドライバに対して要求する構成としたが、覚醒度が低下した場合にドライバに対して検査要求することなく、アルコール濃度検知センサを作動させ、飲酒状態を自動的に判断する構成としてもよい。
また、本実施の形態では覚醒度を閉眼状態に基づいて判断する構成としたが、生理情報などの他の情報に基づいて判断する構成としてもよい。
また、本実施の形態ではスタータカットリレーを用いてインタロックする構成としたが、シフトレバーなどの他の手段を用いてインタロックするようにしてもよい。
また、本実施の形態ではヘルプネットを利用して飲酒の誤検知の判断やインタロックの解除などを行う構成としたが、ドライバに対して第三者であれば、ヘルプネット以外でもよい。
本実施の形態に係る飲酒運転抑制装置の構成図である。 図1の飲酒運転抑制装置を搭載した車両における運転開始時の動作の流れを示すフローチャートである。 図1の飲酒運転抑制装置を搭載した車両における運転中の動作の流れを示すフローチャートである。 図1の飲酒運転抑制装置を搭載した車両をドライバが初回運転時の動作の流れを示すフローチャートである。 図1の飲酒運転抑制装置を搭載した車両をドライバが2回目以降運転時の動作の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1…飲酒運転抑制装置、10…ドライバ覚醒度低下判断装置、11…飲酒検査装置、12…指紋認証装置、13…シート加重センサ、14…シートベルトセンサ、20…通信機、21…スピーカ、22…スタータカットリレー、30…ECU、30a…アクチュエーション判断部、30b…インタロック制御部、40…ヘルプネットセンタ

Claims (3)

  1. 対象者の覚醒度を検出する覚醒度検出手段と、
    前記覚醒度検出手段で検出した覚醒度に基づいて飲酒検査の実施を決定し、飲酒検査を実施すると決定した場合に対象者の飲酒検査を行う飲酒検査手段と
    を備えることを特徴とする飲酒検査装置。
  2. 前記飲酒検査手段は、前記覚醒度検出手段で検出した覚醒度に基づいて飲酒検査を行うか否かを判定する実施判定手段を備え、前記実施判定手段で飲酒検査を行うと判定した場合にのみ飲酒検査を行うことを特徴とする請求項1に記載する飲酒検査装置。
  3. 前記覚醒度検出手段は、対象者の閉眼状態に基づいて覚醒度を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する飲酒検査装置。
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