JP4366934B2 - 光モジュールおよびその光モジュールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、受光素子及び/又は発光素子を有する光半導体部品を、光導波路と電気・電子回路とを併有する複合回路基板へ表面実装してなる光半導体モジュール(部品)において、上記表面実装に用いられる透光性封止材料、この透光性封止材料で封止してなる光モジュールおよびその光モジュールの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、信号伝送の高速化・大容量化や電磁波ノイズへの耐性アップ、あるいは金属配線の軽量化等の目的で、銅配線による電気信号の伝達・伝送から、電気・電子情報をいったん光信号に変換して、その光を光導波路内に閉じこめて伝送し、最後は光信号を電気・電子情報に再変換するという、いわゆる光伝送が使用されつつある。従前、この光伝送の分野では、光ファイバーを使用した長距離伝送が主流であったが、近時のコンピュータ、及び、その関連装置の高速化により、最近では、工場内や、自動車あるいは一般家庭において使用される装置内にも、光伝送が使用されようとしている。
【0003】
この場合、電気によって駆動される表面実装型の、光素子(発光素子や受光素子)あるいは光素子を内蔵する部品(モジュールやハイブリッドICなど)の為に必要な電気配線と、その光を入出する光回路(光配線)あるいは光素子が、同一回路基板あるいはモジュールの内部に共存する、いわゆる光・電気複合回路の形態をとるのが通例である。この際、光素子や光素子を内在する部品を表面実装するのは、実装面積極小化と、回路基板側−表面実装品の間の光結合の位置合わせを簡単、高精度で行うためであって、その目的に最も合致する実装の方式は、フリップチップ方式やCSP(チップスケールパッケージ)方式と呼ばれる金属バンプを用いる方式である。この場合、回路面の電極と光素子側の電極の間は、金属バンプを介して電気的・機械的に接続されることとなる。
【0004】
これらの方式は、従来、主として、光機能の無い半導体素子や部品に対して適用されてきた技術である。具体的には、例えば、予め半導体チップの回路の端子電極上に密着金属や拡散防止金属の蒸着膜を形成し、さらにその上にメッキによりハンダの突起電極である金属バンプを形成しておく。次に、この金属バンプを回路基板の電極に対向するように半導体チップをフェースダウンにし、高温に加熱することによって、金属バンプを形成するハンダを回路基板の電極に融着させ、半導体チップを回路基板に実装するというものである。かかる実装方式は、金属バンプによる接続後の機械的強度が強く、また接続が一括にできる等の利点を有すること等から有効な方法であるとされている。
【0005】
一方、C4(Controlled Collapse Chip Connection)と呼ばれるフリップチップ実装方式に関しては、特開平6−61303号公報等に示されているように、半導体チップと回路基板(上記公報においては、チップ担体等と記載)とを接続するハンダ結合物の信頼性を確保するために、半導体チップと回路基板との間の間隙に封止材料(上記公報においては、封入剤等と記載)を充填するようにしたハンダ相互結合物構造とその製造方法が提案されている。
【0006】
またOMB(Other Metal Bonding)と呼ばれる実装方式では、半導体チップと回路基板とがハンダで形成された金属バンプと金による異種金属間接合で接合されるとともに、半導体チップと回路基板との間の隙間に液状の封止材料を充填する封止が行われている。
【0007】
さらに上記のベアチップ実装以外のものとしては、例えば、チップスケールパッケージ(CSP)やボールグリッドアレイ(BGA)等のように、半導体チップと同程度以上の大きさを有する半導体パッケージを回路基板に実装するにあたって、多ピン化や高密度化を可能とするために、上記のような半導体パッケージに金属バンプを設け、回路基板と電気的に接続するようにした形式のものも増えてきている。
【0008】
これらの先行技術において、液状の封止材料が必要とされる最大の理由としては、半導体チップが回路基板に実装された半導体部品の温度サイクル性を高めるということが挙げられる。通常、半導体チップと回路基板との熱膨張係数は異なるものであり、従って、実使用条件下では金属バンプ近傍に熱サイクルがかかり、これにより繰り返し剪断応力が働き、当該金属バンプ近傍に疲労現象が起こることとなる。そのため、封止材料を使用しない未封止の半導体部品においては、かかる応力を分散させることができず、容易に金属バンプにクラック等が生じて破壊が起こることとなる。これに対し、封止材料により封止された半導体部品においては、この封止材料が応力を分散させる役割を担うため、金属バンプの破壊を防止し得ることとなる。
【0009】
さらに、近年、利用者が急増している携帯電話やパーソナルハンディフォンシステム(PHS)に代表される携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)には、CSPやBGA等の半導体パッケージが実装されているが、このような携帯情報端末の使用環境を考慮すると、上記の半導体パッケージ等に落下衝撃力や折り曲げ応力等の動的応力がかかることは十分に考えられる。従って、このような動的応力による金属バンプの破壊を防止するためにも、液状の封止材料が必要とされることとなる。
【0010】
一方、表面実装型の発光素子である面発光レーザー(VCSEL)においては、その発光波長が850nmのものの商業生産が進んでいて、一般的な長距離光通信において使用される半導体レーザーの波長である1300nm(1.3μm)又は1550nm(1.55μm)とは異なる。光素子や光部品の受発光部と、回路基板の間で光の結合(電気の分野では接続というが、光の分野では結合という)においては、光の透過損失を減らす為に、両者の間に、使用する光の波長において透明で且つ屈折率が導波路側表面の物質に近いオイル状のものを配置する事が行われている。これはマッチングオイルと呼ばれている。実際にはオイルである場合と、後でUV光を照射すると硬化し、マッチングオイルとしての機能と固定化の機能を持つ光用途の接着剤である場合がある。これらの光用途の接着剤は、通常、UV硬化性であり、いわゆるアンダーフィル用途に適用した場合には、フェイスダウンで金属バンプにより接合された隙間は、回路基板とチップやパッケージに覆われているため、その内部まで光が届かず、全体を充分に硬化することができないため、結果的に金属バンプの補強効果を充分に発揮できないという問題があった。
【0011】
したがって、上記既存のアンダーフィル封止材料、或いは、ノーフロー封止材料においては、多くの場合、金属バンプの補強効果や封止特性を向上させる目的で、充填材や各種添加剤、着色成分等を添加することを余儀なくされ、これにより、結果的に光用途の接着剤において重要視されるべき透光性の確保が困難になるという問題を招来していた。
【0012】
このように、光素子あるいはそれを内蔵する半導体部品と、光・電気複合回路とを金属バンプによって電気的に接続し、その位置決めと同時に光結合をも行う半導体モジュールにおいては、金属バンプの補強と光の透過損失低減を同時に達成する有効な手段がないということが最大の問題であった。
【0013】
【特許文献1】
特開平6−61303号公報 (第2頁〜第3頁 [特許請求の範囲]、第3頁段落[0001]〜第4頁 段落[0014]、第6頁 段落[0043]〜第7頁 段落[0050]、第7頁 図1)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、金属バンプを介して、受発光部とを有する半導体部品と光・電気複合回路を有する回路基板とを接続してなる光モジュールにおいて、金属バンプの補強と光結合部での透過損失低減とを両立でき、結果として、その信頼性を高めることができる光モジュールおよびその光モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る光モジュールにあっては、第1の電極および受発光部を有する半導体部品を、第2の電極、光導波路および該光導波路に設けられた結合器を有する回路基板に表面実装してなる光モジュールであって、前記受発光部と、前記結合器とを対向させ、かつ、前記第1の電極と、前記第2の電極とを金属バンプで接続する一方、前記半導体部品と前記回路基板との間に形成された隙間を透光性封止材料で封止してなり、該透光性封止材料は、エポキシ樹脂と、硬化触媒と、下記の式(A)で示される化合物又は下記の式(B)で示される化合物の少なくとも一方を含有してなり、前記エポキシ樹脂として3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ樹脂及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物からなる脂環式エポキシ樹脂の両方を含むとともに、前記下記の式(A)で示される化合物又は下記の式(B)で示される化合物の少なくとも一方を、前記該透光性封止材料全質量に対して0.01質量%〜1質量%含有してなり、硬化後の850nmでの透過損失が0.5dB/cm以下であり、ガラス転移温度が140℃以上であることを特徴とするものである。なお、ここでいう半導体部品には、半導体チップを含むものとする(以下、同じ。)。また、ここでいう結合器とは、光回路内で光を(多くの場合、90度)曲げる部位をいい、マイクロミラー、プリズム、グレーティング等が例示できる(以下、同じ。)。
【化2】
【0017】
請求項2に係る光モジュールにあっては、請求項1記載の光モジュールの透光性封止材料において、前記硬化触媒がエポキシ樹脂の自重合を進めるカチオン重合触媒であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項3に係る光モジュールにあっては、請求項1または請求項2に記載の光モジュールの透光性封止材料において、オキセタン樹脂を含有することを特徴とするものである。
【0019】
請求項4に係る光モジュールにあっては、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光モジュールの透光性封止材料において、アビエチン酸、セバシン酸、グリセリン、フェニルアラニン、ソルビタンエステルの中の少なくとも1種類以上を組成物全体に対して0.1質量%〜10質量%含むことを特徴とするものである。
【0021】
請求項5に係る光モジュールの製造方法にあっては、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光モジュールの製造方法であって、前記受発光部と、前記結合器とを対向させ、かつ、前記第1の電極と、前記第2の電極とを金属バンプで接続した後、前記半導体部品と前記回路基板との間に形成された隙間を前記透光性封止材料で封止してなることを特徴とするものである。
【0022】
請求項6に係る光モジュールの製造方法にあっては、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光モジュールの製造方法であって、前記半導体部品の前記回路基板側の面、または前記回路基板の前記半導体部品側の面の少なくとも一方に塗布された前記透光性封止材料を介して前記半導体部品と前記回路基板とを相互に接触せしめ、加熱することにより、前記第1の電極と、前記第2の電極とを金属バンプを介して融着、接続する一方、前記透光性封止材料を熱硬化せしめ、前記半導体部品と前記回路基板との間に形成された隙間を前記透光性封止材料で封止してなることを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、本発明の光モジュール、及び、光モジュールの製造方法、及びこれに用いる透光性封止材料は、下記の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。ここで、図1は、本発明の実施形態である光モジュールの要部を示すもので、(a)は、第1の電極2および受発光部3を有する半導体チップ4aと、第2の電極5、光導波路6および光導波路6に設けられた結合器12を有する回路基板7とを具備していて、受発光部3と、結合器12とを対向させ、かつ、第1の電極2と、第2の電極5とを金属バンプ8で接続する光モジュール1aを示す断面図、(b)は、第1の電極2および受発光部3を有する半導体部品(半導体パッケージ)4bと、第2の電極5、光導波路6および光導波路6に設けられた結合器12を有する回路基板7とを具備していて、受発光部3と、結合器12とを対向させ、かつ、第1の電極2と、第2の電極5とを金属バンプ8で接続する光モジュール1bを示す断面図である。以下、上記の内容について順に説明する。
【0024】
本発明の光モジュールに用いる透光性封止材料にあっては、第1の電極2および受発光部3を有する半導体部品4と、第2の電極5、光導波路6および光導波路6に設けられた結合器12を有する回路基板7とを具備していて、受発光部3と、結合器12とを対向させ、かつ、前記第1の電極2と、前記第2の電極5とを金属バンプ8で接続する光モジュール1の、半導体部品4と回路基板7との間に形成された隙間9を封止する透光性封止材料10であって、透光性封止材料10が、エポキシ樹脂と、硬化触媒と、下記の式(A)で示される化合物又は下記の式(B)で示される化合物の少なくとも一方を含有してなり、前記エポキシ樹脂として3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ樹脂及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物からなる脂環式エポキシ樹脂の両方を含むとともに、下記の式(A)で示される化合物又は下記の式(B)で示される化合物の少なくとも一方を、前記該透光性封止材料全質量に対して0.01質量%〜1質量%含有することを特徴とするものである。
【化3】
【0025】
前記透光性封止材料においてエポキシ樹脂は、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ樹脂及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物からなる脂環式エポキシ樹脂の両方を含む。その他に使用可能なエポキシ樹脂としては、室温におけるエポキシ樹脂組成物が液状となれば、特に限定されるものではなく、市販されている液体エポキシ樹脂や固体エポキシ樹脂を適宜使用することができる。固体エポキシ樹脂を使用する場合は、有機溶剤などに溶解させる等して液状のエポキシ樹脂組成物を調製することができる。その他のエポキシ樹脂の具体例としては、前記以外の脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができ、これらの中から1種のみ又は2種以上を選んで使用することができる。なお、ここでいうエポキシ樹脂組成物とは、未硬化のエポキシ樹脂、硬化触媒の他、硬化剤、充填材(フィラー)等を含んでなり、硬化後にエポキシ組成物硬化体よりなる絶縁層を形成する混合物(溶媒を除く。)をいう(以下、同じ。)。
【0026】
特に、上記のその他のエポキシ樹脂の中では、前記以外の脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を使用することが好ましく、これによってエポキシ樹脂組成物の粘度を低下させるとともに硬化物の物性を向上させることができることとなる。
【0027】
また本発明においては、上記の式(A)で示される化合物、又は式(B)で示される化合物を添加剤として、エポキシ樹脂組成物全量に対して0.01〜1質量%含有させている。より好ましい含有率は0.05〜0.5質量%である。これらの化合物の含有率が0.01質量%未満であると、組成物と被封止物の濡れ性と、組成物の流動性が低下し、半導体チップ4aあるいは半導体パッケージ4bの外周部と回路基板7との間に形成されるべきフィレット11が形成されにくくなり、熱応力によるダメージを受けやすくなる。一方、含有率が1質量%を超えると、耐湿信頼性の低下や組成物の貯蔵可能期間が短くなる等の問題が生じ易い。
【0028】
ここで、式(A)で示される化合物は、アルキルポリエーテルアミンであり、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン等があり、1分子中のエチレングリコールの基数が1〜10のものを用いることができる。一方、式(B)で示される化合物は、ポリエチレングリコールアルキルフェノールエーテルであり、ポリエチレングリコールノニルフェノールエーテルやポリエチレングリコールオクチルフェノールエーテル等があり、それぞれポリエチレングリコールの鎖長が2〜15のものを用いることができる。これらの化合物は、上記のように、適切な量を前記透光性封止材料として使用する未硬化のエポキシ樹脂組成物に添加すると、このエポキシ樹脂組成物の流動性を向上することができる。また、これらの化合物は、単独で使用しても良く、また2種類以上を併用しても良い。
【0029】
また、本発明においては、熱反応性の硬化触媒を使用するが、これは室温におけるエポキシ樹脂組成物が液状となれば、特に限定されるものではなく、公知の硬化促進剤を適宜使用することができる。例えば、ジアザビシクロアルケン類若しくはその塩、イミダゾール類若しくはその塩、1〜3級のアミン類若しくはその塩、トリアゾール類若しくはその塩、有機金属錯塩、有機酸金属塩、第4級アンモニウム塩、ホスフィン類、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、シラノール−アルミニウム錯体類などを1種のみ又は2種以上混合して使用することができる。
【0030】
さらに、上記のように単一の化学構造を持つもの以外にも、室温に於ける貯蔵安定性が高い、いわゆる一液性エポキシ樹脂とする場合には、イミダゾール骨格を有する化合物を核とするものであってこの核の周囲を熱硬化性樹脂による被膜で被覆して得られる微細球粒子(いわゆるマイクロカプセル)、又はアミンアダクト粒子を硬化促進剤として好適に用いることができる。上記マイクロカプセルは、乳化重合等の一般的な方法により作製することができ、被膜としては、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂を好適に用いることができる。またマイクロカプセルのサイズ(粒径)は、50μm以下が好ましく、10μm以下がさらに好ましく、特に好ましくは5μm以下である。このようにサイズが小さくなるほど硬化後の不均一性が少なくなって、透光性に優れる硬化物を得ることができる。
【0031】
なお、上記のイミダゾール系の核を持つマイクロカプセル型の硬化促進剤としては、例えば、商品名「ノバキュア」として旭化成工業(株)から市販されているものを用いることができる。一方、アミンアダクト粒子とは、ポリアミンと各種エポキシ樹脂とから合成されるものをいい、このアミンアダクト粒子のサイズ(粒径)も上記のマイクロカプセルと同様に、50μm以下が好ましく、10μm以下がさらに好ましく、特に好ましくは5μm以下である。そしてサイズが小さくなるほど、硬化物全体を均質とすることができることとなる。なお、アミンアダクト粒子の硬化促進剤としては、例えば、商品名「アミキュア」として(株)味の素から市販されているものを好適に用いることができる。
【0032】
但し、前記透光性封止材料では、エポキシ樹脂の硬化触媒が、エポキシ樹脂の自重合を進めるカチオン重合触媒であるものが特に好ましい。これは透光性の高いエポキシ樹脂のみからなる硬化物を形成することができ、その硬化物はエーテル結合により3次元網目が形成されているので、硬化時の高温や硬化後の環境から受ける高温により、着色しにくいので光導波路に適しているからである。
すなわち、このように、前記透光性封止材料では、硬化触媒をエポキシ樹脂の自重合を進めるカチオン重合触媒とすることにより、透光性封止材料硬化体の透光性が高く、光結合部での透過損失をさらに低くし得ることとなる。なお、ここでいうカチオン重合触媒は、主として、AlCl3、TiCl4等のルイス酸系のもの、或いは、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、鉄−アレーン錯体類、シラノール−アルミニウム錯体類等のカチオン重合開始剤をいう(以下、同じ)。
【0033】
また、前記透光性封止材料においても、透光性や耐熱性等を損なわない限りにおいて、いわゆる硬化剤をも使用できる。具体的には、メチルテトラヒドロ無水フタル酸・メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物硬化剤や、1分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有するビスフェノールA・フェノールノボラック・クレゾールノボラック・ナフトールノボラックなどのフェノール系硬化剤や、1級アミンなどの硬化剤が、例示可能であるが、硬化物の透光性を確保する観点からは、上記酸無水物硬化剤がより好ましい。
【0034】
上記のエポキシ樹脂と硬化剤との化学量論上の反応基のモル比、すなわちエポキシ当量と硬化剤当量との比率(当量比)は、100:60〜100:120であることが好ましく、より好ましくは、100:75〜100:100である。この範囲を外れた場合、つまりエポキシ樹脂のエポキシ当量100に対して硬化剤の硬化剤当量が60未満であると、エポキシ樹脂組成物が硬化し難くなったり、硬化しても硬化物の耐熱性が低下したり、硬化物の強度が低下したりするおそれがある。また逆に、硬化剤当量が120を超えると、硬化物の耐熱性が低下したり、硬化後の接着強度が低下したり、硬化物の吸湿率が高くなったりするおそれがある。
【0035】
また、前記透光性封止材料においても、カップリング剤として、シランカップリング剤又はチタネートカップリング剤の少なくとも一方を使用することができる。これらを透光性封止材料中に含有させておくと、硬化物と半導体チップ及び回路基板との界面の接着性が向上し、半導体装置の耐湿信頼性を高めることができるというものである。
【0036】
ここで、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等を用いることができ、特に、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシランが好適である。
【0037】
一方、チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等を用いることができる。
【0038】
これらのカップリング剤は、単独で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用することもできる。このときカップリング剤の配合率としては、エポキシ樹脂組成物全量に対して0.1〜1質量%が好ましい。
【0039】
このように、前記透光性封止材料は、エポキシ樹脂と、硬化触媒と、前記の式(A)で示される化合物又は前記の式(B)で示される化合物の少なくとも一方を含有し、かつ、前記の式(A)で示される化合物又は前記の式(B)で示される化合物の少なくとも一方を、前記透光性封止材料全質量に対して0.01質量%〜1質量%含有しているので、この透光性封止材料の金属バンプ補強時のフィレット形成性が、向上する結果、温度サイクル性を向上し得ることとなる。
【0040】
一方、かかる透光性封止材料を使用する光モジュールに使用される光源として、最も一般的で、入手の容易な面発光レーザーを想定した場合、その波長である850nmにおける透光性封止材料硬化体の透過損失が、0.5dB/cm以下であることが必要とされる。すなわち、この透過損失が、0.5dB/cmより大きいと、光部品間での光の透過損失が大きくなり、光モジュール全体の特性低下につながるからである。
【0041】
また、透光性封止材料硬化体のガラス転移温度(Tg)は140℃以上であることが必要とされる。ガラス転移温度が140℃より低いと温度サイクル試験において、金属バンプを補強する効果が薄れ、温度サイクル試験に於いて不良が早期に発生する傾向が認められるからである。一般に、ガラス転移温度が高い方が、温度サイクル性の確保に関しては、有利ではあるが、室温で液状のエポキシ樹脂組成物の硬化物の場合、現実には、250℃程度がその上限となる。
【0042】
このように、前記透光性封止材料を、硬化後の850nmでの透過損失が0.5dB/cm以下であり、ガラス転移温度が140℃以上とすることにより、光結合部での透過損失を低くでき、金属バンプの充分な補強効果が確保できることから、透光性封止材料硬化体の充分な温度サイクル性を確保できることとなる。
【0043】
さらに、前記透光性封止材料ではエポキシ樹脂と同時にオキセタン樹脂を併用するのがさらに好ましい。ここでいうオキセタン樹脂とは、エポキシ環よりも炭素が1つ多い、飽和炭素原子3個と酸素原子1個からなる4員環を有する化合物であって、具体的には、東亜合成株式会社が供給している3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(製品名:OXT−212)や3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(製品名:OXT−101)あるいは1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(製品名:OXT−121)、オキセタニル−シルセスキオキサン(製品名:OX−SQ)等を例示できる。かかるオキセタン樹脂をエポキシ樹脂と併用すると、透光性の高い硬化物を得ることができるとともに、エポキシ樹脂の硬化開始速度の速さと、オキセタン樹脂の重合成長速度の速さという双方の樹脂の具備する長所の相乗効果により、金属バンプの充分な補強効果が確保できる等、硬化特性の優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができることとなる。このように、前記透光性封止材料は、オキセタン樹脂を含有せしめることにより、透光性封止材料硬化体の透光性がさらに高く、光結合部での透過損失を一層低くし得る一方、温度サイクル性をも向上させることが可能となる。
【0044】
また、前記透光性封止材料においては、アビエチン酸、セバシン酸、グリセリン、フェニルアラニン、ソルビタンエステルの1種類以上を樹脂組成物全量に対して0.1〜10質量%含有させることにより、透光性封止材料にハンダの濡れ性などを高めるフラックスとしての機能を付与し、リフロー同時硬化を円滑に行うことが可能となる。
【0045】
一般に、金属バンプによって電気的に接続する際には、通常ハンダが用いられている。このためハンダ付け時においては、電気的な接続の信頼性を確保するために、ハンダの濡れ性を高めておく必要がある。そして、このような場合にはフラックスが使用され、金属表面の酸化膜除去などの処理が行われているものである。かかるフラックスとしては、アビエチン酸やピマル酸を主成分とする松ヤニ(ロジン)が代表的に用いられている。すなわち、ロジンは錫−鉛系ハンダ用のハンダ付けフラックスとして、また、セバシン酸はその活性剤として知られている。しかしながら、フラックスはハンダ付け時においてのみ必要とされるものであり、これ以降の半導体装置の製造工程、例えば、封止材料による封止の際に、フラックスが残留していると樹脂濡れ不良が発生する等の弊害もある。
【0046】
一方、通常、使用されるフラックスは、上記したような天然物であるために、不純物を含有することが多く、かかる不純物によって回路に腐食が引き起こされるおそれ等もある。このようなことから、半導体チップと回路基板とを金属バンプによって接合した後の工程では、フラックスを洗浄除去する工程が必要とされる。このような洗浄工程にあたって、過去においてはフレオン等の有機塩素系の溶剤が用いられていたが、この物質はオゾン層を破壊するために近年においては使用が回避されるようになった。そこで最近では、環境への負荷が小さい水を洗浄媒体として使用することができる水溶性フラックスが選定されることが多くなった。しかしながら、このような水溶性フラックスとしては、クエン酸やリンゴ酸などが用いられており、これらのものも従来用いられていたフラックスと同様に、酸性の有機酸であるため、洗浄を完璧に行わなければ回路腐食の原因ともなり得る。
【0047】
一方、フラックスの選定とともに洗浄プロセスも、フラックスの除去に大きく影響する。例えば、洗浄プロセスとしては一般的に超音波洗浄が行われているものであるが、このような洗浄を強力に行うと、接合されている金属バンプが半導体チップや回路基板から外れてしまう場合がある。従って、金属バンプによる接合部に損傷を与えることなく、洗浄を行うという点も重要である。
【0048】
以上のように、半導体チップと回路基板とを金属バンプを介してハンダ付けにより行う接合においては、フラックスによる処理とその洗浄とに多くの工程が必要となるとともに、技術的課題も多く金属バンプによる実装における重要な問題点となっている。本願発明者等は、以上の点を踏まえて鋭意検討の結果、不純物混入のおそれがない試薬レベルの純度を有するアビエチン酸、セバシン酸、グリセリン、フェニルアラニン、ソルビタンエステルの1種類以上をエポキシ樹脂組成物全量に対して0.1〜10質量%含有させることで、エポキシ樹脂組成物の硬化過程におけるフラックスの機能発現と、硬化後の耐湿信頼性確保との両立が可能であることを見出すに至った。
【0049】
すなわち、これらを含有するエポキシ樹脂組成物を封止材料として使用すれば、フラックス除去の工程が不要となり、金属バンプ実装の工程の簡素化に寄与し得ることとなるが、これらのもののエポキシ樹脂組成物中における含有率が0.1質量%未満であると、フラックスとしての機能を発現することができず、金属バンプと回路基板の電極との接合不良が増加するものであり、逆に、10質量%を超えると、金属バンプと回路基板の電極との接合不良を低減することはできるが、硬化物の信頼性の低下を引き起こすおそれがある。
【0050】
この場合において、前記透光性封止材料を構成するエポキシ樹脂組成物の200℃におけるゲルタイムを1〜7分となるようにしておくことが好ましい。すなわち、一般的に、金属バンプを回路基板の電極に溶融接合させるリフロー工程において、リフロー加熱の温度は200℃以上であり、あるいはハンダの組成によっては最高温度が240℃以上となったり、260℃以上となったりするものである。このような場合において、予め、エポキシ樹脂組成物の200℃におけるゲルタイムを1〜7分となるように調節しておけば、リフロー工程終了時には金属バンプと回路基板の電極とが正常に接合されるとともに、エポキシ樹脂組成物が十分に硬化し金属バンプ付近におけるクラック等の破壊を確実に防止することができるからである。
【0051】
ただし、前記透光性封止材料を構成するエポキシ樹脂組成物の200℃におけるゲルタイムが1分よりも短くなると、樹脂の硬化が早まり、金属バンプと回路基板の電極との溶融接合を妨げ、接合の不良率が高まるおそれがある。逆に、ゲルタイムが7分よりも長くなると、樹脂の硬化が不十分となり、金属バンプ付近において樹脂による応力分散の効果を十分に得ることができなくなり、断線のおそれがある。なお、ゲルタイムを調節するにあたっては、前述した硬化促進剤の種類と含有率とを適宜、調整して用いることによって行うことができる。
【0052】
このように、前記透光性封止材料では、アビエチン酸、セバシン酸、グリセリン、フェニルアラニン、ソルビタンエステルの中の少なくとも1種類以上を組成物全体に対して0.1質量%〜10質量%含有させることにより、透光性封止材料にフラックスとしての機能を付与することができ、この結果、フラックス除去の工程が不要となり、金属バンプ実装の工程の簡素化に寄与し得ることとなり、特に、リフロー同時硬化を円滑に行うことができるという利点が得られることとなる。
【0053】
また、前記透光性封止材料を構成するエポキシ樹脂組成物においては、実質的に充填材を含有しないエポキシ樹脂組成物であるのが好ましい。すなわち、通常のアンダーフィル封止材料では、金属バンプの補強効果を高めるために無機充填材を添加する場合が多いが、本発明では、透光性封止材料を通して光結合を行うので、光の回折や散乱を生じさせる恐れのある充填材(フィラー)を含有しないものが好ましいからである。
【0054】
さらに、前記透光性封止材料を構成するエポキシ樹脂組成物には、本発明の課題解決に支障のない限り、必要に応じて、所定の添加物を配合することもできる。このような物質としては、難燃剤、低弾性化剤、着色剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等を例示することができる。
【0055】
そして、前記透光性封止材料を構成するエポキシ樹脂組成物を調製するにあたっては、一般的には前述した各成分を撹拌型の分散機で混合したり、ビーズミルで分散混合したり、3本ロールで分散混合したりすることによって行うことができるものであるが、これらの方法に限定されるものではない。このようにして得られた透光性封止材料を構成するエポキシ樹脂組成物は、受発光部3を有する半導体部品4を、光導波路6及び従来の電気良導体からなる電気・電子回路の共存する回路基板7へ実装して製造する光モジュール1において、半導体部品4と回路基板7とを金属バンプ8を用いて電気的に接続することによって行う実装方式における封止材料として用いることができることとなる。
【0056】
したがって、本発明の光モジュール1は、第1の電極2および受発光部3を有する半導体部品4と、第2の電極5、光導波路6および光導波路6に設けられた結合器12を有する回路基板7とを具備していて、受発光部3と、結合器12とを対向させ、かつ、前記第1の電極2と、前記第2の電極5とを金属バンプ8で接続する一方、半導体部品4と回路基板7との間に形成された隙間9を透光性封止材料10で封止してなるので、光結合部での透過損失を低くでき、充分な温度サイクル性を確保し得ることとなる。具体的には、受発光部3を有する半導体部品4と、光導波路6および光導波路6に設けられた結合器12を有する回路基板7とを、受発光部3と、結合器12とを対向させ、一般的にはフリップチップボンダーと呼ばれる実装機を用いて、その半導体部品4を回路基板7に位置決めして搭載する。ここで上記の半導体部品4としては、ベアチップと呼ばれる樹脂などによってパッケージングされていないダイ(チップ)そのもの4aや、CSPやBGAと呼ばれている半導体パッケージ4bを用いることができる。
【0057】
回路基板7としては、FR4やFR5などの繊維基材を含む有機基板、あるいは繊維基材を含まないビルドアップ型の有機基板、さらにポリイミドやポリエステルなどの有機フィルム、アルミナやガラスなどの無機基板等を用いることができる。この場合において、電気的接続がハンダ接合の場合はハンダの融点以上の昇温した後に冷却する。また電気的接続が金接合の場合は前記位置決めし搭載する時点で一般的には超音波などのエネルギーを接合面に加え、金を融着させることで、電気的・機械的な金属バンプ接続を完了する。その後、前記透光性封止材料をアンダーフィル封止材料として、半導体部品4の一辺〜三辺に塗布し、毛管現象により電子部品と回路基板の間に浸透させ、少なくとも半導体部品と回路基板の間および、金属バンプ近傍を前記透光性封止材料で充填させる。しかる後に、加熱して組成物を硬化させ封止を完了させ、光モジュール1を得ることができる。
【0058】
このように、上記透光性封止材料をアンダーフィル封止材料として使用する光モジュールの製造方法にあっては、第1の電極2および受発光部3を有する半導体部品4と、第2の電極5、光導波路6および光導波路6に設けられた結合器12を有する回路基板7とを具備する光モジュールの製造方法であって、受発光部3と、光導波路6とを対向させ、かつ、第1の電極2と、第2の電極5とを金属バンプ8で接続した後、半導体部品4と回路基板7との間に形成された隙間9を透光性封止材料10で封止するので、光結合部での透過損失が低く、充分な温度サイクル性を確保し得る光モジュールの製造が可能になる。
【0059】
さらに、上記透光性封止材料をリフロー同時硬化封止材料として使用する、光モジュールの製造方法では、まず金属バンプ8が形成された半導体部品4の回路基板7側の面、又は回路基板7の半導体部品4側の面の少なくとも一方の面に上記の上記透光性封止材料を塗布する。このような半導体部品4に形成される金属バンプ8は、ハンダや金などで形成することができる。次いで、半導体部品4と回路基板7とを、塗布したエポキシ樹脂組成物を挟み込むようにして対向させるとともに、半導体部品4内の受発光部3と回路基板7側の光導波路6に設けられた結合器12との位置合わせと、半導体部品4に形成されている金属バンプ8と回路基板7の電極5との位置合わせをして接触させる。このように半導体部品4と回路基板7とが上記透光性封止材料を介して接触した状態で、リフロー加熱を行う。このリフロー加熱は、金属バンプ8と回路基板7の電極5とのいずれか低い方の溶融温度以上となるように加温して行うものである。
【0060】
このときの温度プロファイル、すなわちリフロープロファイルとしては、金属の種類や組成により様々なパターンがある。例えば、金属バンプ8が錫・鉛からなる高融点ハンダ、回路基板7側の電極5として低融点の共晶ハンダをプリコートしたものである場合には、室温から150℃に到達するまでに90秒間かけ、次の90秒間で200℃に到達し、200℃以上を60秒間維持し、その間における最高温度が240℃となるようなパターンを例示することができる。そして、このような温度プロファイルに基づいてリフロー加熱を行うことにより、金属バンプ8又は回路基板7の電極5の少なくともいずれか一方が溶融して他方に溶着されるとともに、透光性封止材料の硬化反応が進行するというものである。この際、上記透光性封止材料のフィレット性は良好であるため、半導体部品の側面から回路基板にかけてフィレット11が自然に形成されることとなる。
【0061】
そして、上記のようなリフロー工程の終了時には、半導体部品4と回路基板7とが金属バンプ8によって電気的、光的に接続されるとともに、上記透光性封止材料が硬化完了しているというものである。上述したように、上記透光性封止材料は、ハンダの濡れ性などを高めるフラックスとしての機能をも有するため、半導体部品4と回路基板7との金属バンプ8による接続と、高い透光性のために透過損失を低く抑えた光結合と、上記透光性封止材料による封止とを同時に行うことができ、この結果、従来は必要であったフラックスの除去工程が省略可能となった。なお、透光性封止材料の硬化をより完全にするために、さらに、後硬化(アフターベーク)を行っても良い。このときの硬化条件としては、120〜170℃の温度で30分間〜3時間が好ましい。
【0062】
このようにして製造される光モジュール1にあっては、半導体部品4と回路基板7とは、上記透光性封止材料によって封止されているため、温度サイクル性、耐湿信頼性に優れたものとなる。
【0063】
さらに、半導体部品4として、CSPやBGA等の半導体パッケージ4bが回路基板7に実装された光モジュールにあっても、上記透光性封止材料を使用することにより、実使用条件下における衝撃や曲げなどの動的応力に十分対応することができることとなる。
【0064】
このように、上記透光性封止材料をリフロー同時硬化封止材料として使用する、光モジュールの製造方法では、第1の電極2および受発光部3を有する半導体部品4と、第2の電極5、光導波路6および光導波路6に設けられた結合器12を有する回路基板7とを具備していて、受発光部3と、結合器12とを対向させ、かつ第1の電極2と、第2の電極5とを金属バンプ8で接続する光モジュールの製造方法において、半導体部品4の回路基板7側の面、または回路基板7の半導体部品4側の面の少なくとも一方に塗布された上記透光性封止材料を介して半導体部品4と回路基板7とを相互に接触せしめ、加熱することにより、第1の電極2と、第2の電極5とを金属バンプ8を介して融着、接続する一方、前記透光性封止材料を熱硬化せしめ、半導体部品4と回路基板7との間に形成された隙間9を前記透光性封止材料10で封止してなるので、光結合部での透過損失が低く、充分な温度サイクル性を確保し得る光モジュールの製造が可能となった。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0066】
(実施例1〜7及び比較例1〜7)
実施例1〜7及び比較例1〜7に関しては、下記の表1、表2に示す配合量(質量部)で、各成分をディスパー[特殊機化工業(株)製]を用いて分散、混合し、透光性封止材料として使用するエポキシ樹脂組成物を調製した。 ここで、表1、表2において使用した原材料は次のものである。
【0067】
<エポキシ樹脂>
樹脂A:品番「セロキサイド2021P」(エポキシ当量136[ダイセル化学(株)製]:シクロヘキサン骨格の脂環式エポキシ樹脂)
樹脂B:品番「EP−4088S」(エポキシ当量166[旭電化工業(株)製]:ジシクロペンタジエン骨格の脂環式エポキシ樹脂)
樹脂C:品番「EHPE−3150」(エポキシ当量185[ダイセル化学(株)製]:固形脂環式エポキシ樹脂)
【0068】
<オキセタン樹脂>
樹脂D:1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(製品名:OXT−121 [東亜合成(株)製])
【0069】
<硬化剤>
硬化剤A:品番「B−650」(酸無水物当量168[大日本インキ化学工業(株)製]:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸[MHHPA])
硬化剤B:ジアミノジフェニルメタン(DDM)(試薬:[ナカライテスク(株)製])
【0070】
<硬化触媒>
硬化触媒A:品番「SA−102」([(株)サンアプロ製]:ジアザビシクロウンデセンのオクチル酸塩)
硬化触媒B:品番「サンエイドSI−100L」([三新化学工業(株)製]:芳香族スルホニウム塩型のカチオン重合開始剤)
硬化触媒C:品番「アデカオプトンCP−66」([旭電化工業(株)製]:スルホニウム塩型のカチオン重合開始剤)
【0071】
<添加剤>
添加剤A:品番「ナイミーンL−202」([日本油脂(株)製]:ポリエチレングリコールラウリルアミン[上記式(A)で示される化合物、n=12、x+y=2])
添加剤B:品番「ノニオンNS−204.5」([日本油脂(株)製]:ポリエチレングリコールノニルフェノールエーテル[上記式(B)で示される化合物、n=9、m=4又は5])
【0072】
<アビエチン酸・セバシン酸・グリセリン・フェニルアラニン・ソルビタンエステル>
アビエチン酸(試薬:[ナカライテスク(株)製])
セバシン酸(試薬:[ナカライテスク(株)製])
グリセリン(試薬:[ナカライテスク(株)製])
フェニルアラニン(試薬:[ナカライテスク(株)製])
ソルビタンエステル:品番「LP−20R」([日本油脂(株)製]:ラウリル酸エステル)
【0073】
<無機充填材>
シリカA:、品番「SFP−20X」(最大粒径0.7μm、BET比表面積18m2/g[電気化学工業(株)製]:球状非晶質シリカ)
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
そして、実施例1〜3及び比較例1〜6及び後述する比較例8で得られたエポキシ樹脂組成物の特性を以下の方法で測定した。測定結果を下記の表3に示す。
【0077】
(1)ガラス転移温度(Tg)
透光性封止材料として使用する上記エポキシ樹脂組成物を深さ1mm、幅4mm、長さ50mmのアルミニウム製容器に充填し、120℃で1時間の後、150℃で1時間硬化させてテストピースを得た。これを、セイコー電子工業製熱分析システムDMS110で、周波数10Hz、昇温速度5℃/分で室温から260℃までの粘弾性挙動を計測し、tanδがピークとなる温度をもって、ガラス転移温度(Tg)とした。
【0078】
(2)透過損失
厚み3mmのシリコンゴムシートをスペーサとし、透光性封止材料として使用する上記エポキシ樹脂組成物をガラス板で挟み込んで20mm×30mmの注型品を作成した。硬化条件は120℃、1時間の後、150℃、1時間である。こうして得たテストピースを(株)島津製作所製 分光光度計 UV−3100PCに積分球を搭載したシステムで、850nmにおける透過率(T:単位は%)と入射角を7度ずらして測定する表面反射率(R:単位は%)を計測する。テストピースの厚みを測定し、その値をt(単位はmm)とすると、透過損失は次の式で算出される。
透過損失[dB/cm]=−10×log(T/(100−R))/(t/10)
【0079】
(3)全損失
回路基板7の端部の導波路端面から光ファイバーでレーザー光を入射させ、回路基板7内の光導波路6を経由して結合器12であるミラー面(マイクロミラー)で実装面側へ直角に光路を曲げ、フリップチップ実装した半導体パッケージ4bであるフォトダイオード(PD)パッケージで受光するシステムで評価した。FR5グレードの回路基板7上に、光硬化性エポキシ樹脂からなる50μm角の光導波路6と、光導波路6の光を実装面に曲げるべく配置された45度傾斜した高さ50μmの結合器12であるミラー面(マイクロミラー)を形成し、その上から樹脂付き銅箔を成形した後、電極5をエッチングで形成した。電極5のうち、フリップチップ実装で3mm×4mmのインターポーザーからなるPDパッケージの高温ハンダボールよりなる金属バンプ8と接続される電極5には、共晶ハンダをプリコートした。PDパッケージを実装し未封止状態で、回路基板端部から波長850nmのレーザー光を50μmφの光ファイバーで入射し、PDの出力電圧(V1)を測定した。次に、そのPDパッケージの下面に実施例および比較例の液状エポキシ樹脂組成物を浸透させ、120℃、1時間の後、150℃、1時間の条件で硬化させた。再度、回路基板端部から波長850nmのレーザー光を50μmφの光ファイバーで入射し、PDの出力電圧(V2)を測定した。全損失は次の式により決定される。
全損失[dB]=−10×log(V2/V1)
【0080】
(4)温度サイクル性
前記の全損失評価で説明した手順により、光導波路6を持つ回路基板7にPDパッケージを実装し、適宜、封止したサンプルを10個ずつ選択し、評価用サンプルとした。次いで、これらの評価用サンプルについて、−55℃で30分間、室温で5分間、125℃で30分間、室温で5分間を1サイクルとする気相の温度サイクル試験を行い、2000サイクルまで100サイクル毎に回路基板7とPDの間の金属バンプ8であるハンダボールの電気導通状態確認を行い、良否を判定した。10個の評価用サンプル中の不良数が、初めて半数以上となった時点の積算サイクル数を求めた。なお、この特性についてのみ、比較例8として、金属バンプ接続後、封止しない評価用サンプルを温度サイクル試験に供した。
【0081】
(5)フィレット性
前記(4)で評価した半導体装置について、PDパッケージの端部と回路基板7との間にフィレット11がどの程度形成されているかを観察した。PDパッケージの四辺全てに同程度のフィレット11が形成されていれば「◎」、程度は異なってもPDパッケージの4辺全てにフィレット11が形成されていれば「○」、1〜3辺にフィレット11が形成されていて、フィレット11が形成されていない辺があれば「△」、どの辺にもフィレット11が形成されていなければ「×」と判定した。
【0082】
【表3】
【0083】
上記表3に見られるように、実施例1〜3及び比較例1〜3のものと比較例4〜6、8のものとを比較すると、前者はいずれも、光結合部での透過損失が小さく、温度サイクル性にも優れていることが確認される。一方、後者は全損失が劣っていたり、温度サイクル性が低いことが判った。さらに、実施例1〜3のものは、特に、フィレット性に優れており、これらは、温度サイクル性も一段と優れることが判った。すなわち、実施例1〜3のものは、上記の式(A)で示される化合物又は下記の式(B)で示される化合物の少なくとも一方を含有しているので、この透光性封止材料の金属バンプ補強時のフィレット形成性が、向上する結果、温度サイクル性が、一層、向上したものと考えられる。
【0084】
さらに、実施例4〜7及び比較例1、4、7で得られたエポキシ樹脂組成物を透光性封止材料として使用する際の特性、特に、リフロー同時硬化封止材料として使用する際の特性に着目して以下の評価を行なった。結果は、下記の表4に示す通りである。
【0085】
(6)エポキシ樹脂組成物のゲルタイム
200℃の熱板上に、透光性封止材料として使用する上記エポキシ樹脂組成物を約0.5g置いた時点で計時を開始し、先を尖らせたテフロン(登録商標)製の棒の先端でかき混ぜながら樹脂状態を観察した。樹脂が硬化して粘着性が無くなった時点で計時を終了し、ゲルタイムを求めた。
【0086】
(7)リフロー後ガラス転移温度
透光性封止材料として使用する上記エポキシ樹脂組成物を深さ1mm、幅4mm、長さ50mmのアルミニウム製容器に充填し、下記条件でリフロー工程を通過させた。リフロー条件は、室温から150℃まで90秒間で昇温し、150℃から200℃まで90秒間で昇温し、200℃から240℃まで30秒間で昇温し、240℃から200℃まで30秒間で降温し、以後30秒間で40〜50℃の割合で降温し、室温まで冷却した。その後150℃1時間の熱処理を施して評価用サンプルとした。これをセイコー電子工業製熱分析システムDMS110で、周波数10Hz、昇温速度5℃/分で室温から260℃までの粘弾性挙動を計測し、tanδがピークとなる温度をもって、ガラス転移温度(Tg)とした。
【0087】
(8)ハンダバンプの初期接続性(リフロー後)
この試験に用いた回路基板7と半導体部品4は(3)の全損失評価に用いたものと同様であり、次の通りである。すなわち、(3)で述べたように金属バンプ8である高温ハンダボールと接続される電極5に共晶ハンダがプリコートされた光導波路6付きのFR5回路基板7と、3mm×4mmのインターポーザー上にPDが実装され、インターポーザー周辺部に高さ150μmの高温ハンダバンプが形成されたPDパッケージを用いた。この回路基板7のPDパッケージ搭載部に、各実施例及び比較例の透光性封止材料として使用するエポキシ樹脂組成物をディスペンサーで約0.1g塗布し、回路基板7の電極5と金属バンプ8の位置が合うように、PDパッケージを位置合わせしてPDパッケージを回路基板7に押し付け、荷重無しのままリフロー工程を通過させた。リフロー条件は、室温から150℃まで90秒間で昇温し、150℃から200℃まで90秒間で昇温し、200℃から240℃まで30秒間で昇温し、240℃から200℃まで30秒間で降温し、以後30秒間で40〜50℃の割合で降温し、室温まで冷却し、その後150℃1時間の熱処理を施して評価用サンプルとした。評価用サンプルの回路基板7の金メッキした電極5にプローブを当てて電気的動作確認を行い、初期接続性を評価した。各々のエポキシ樹脂組成物のものについて20個の初期接続性を評価した。良品数/全数を下記の表4に記載した。
【0088】
(9)全損失(リフロー後)
前記(8)で作成し、初期接続性の良好であったサンプルのうちの一つについて、(3)と同様に回路基板端部の導波路端面から光ファイバーでレーザー光を入射させ、回路基板7内の導波路6を経由して結合器12であるミラー面(マイクロミラー)で実装面側へ直角に光路を曲げ、フリップチップ実装したフォトダイオード(PD)パッケージで受光したPDの出力電圧(V2)を測定した。未封止時のPD出力電圧(V1)として、(3)で測定した未封止品の測定値の全平均値を採用し、(3)の式で全損失を決定した。
【0089】
(10)温度サイクル性(リフロー後)
前記(8)のハンダバンプの初期接続評価を行ったサンプルに対して、−55℃で30分間、室温で5分間、125℃で30分間、室温で5分間を1サイクルとする気相の温度サイクル試験を行い、2000サイクルまで100サイクル毎に回路基板とPDの間のハンダボールの電気導通状態確認を行い、良否を判定した。10個の評価用サンプル中の不良数が、初めて半数以上となった積算サイクル数を求めた。
【0090】
【表4】
【0091】
上記表4にみられるように、実施例4〜7のものと比較例1、4、7のものとを比較すると、実施例4〜7のものはいずれもリフロー同時硬化(ノーフローとも呼ばれる)の実装方法において、リフロー工程後の初期接続性試験、及び全損失の評価結果、さらには、温度サイクル性能の面で問題なく使用し得ることが確認された。一方、比較例1、4のものは、いずれも初期接続性を達成できず、比較例7のものは、温度サイクル性能の面で劣ることが判った。比較例7のものについては、特に、エポキシ樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が、低いことが、その一因とも考えられる。
【0092】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る光モジュールにあっては、第1の電極および受発光部を有する半導体部品を、第2の電極、光導波路および該光導波路に設けられた結合器を有する回路基板に表面実装してなる光モジュールであって、前記受発光部と、前記結合器とを対向させ、かつ、前記第1の電極と、前記第2の電極とを金属バンプで接続する一方、前記半導体部品と前記回路基板との間に形成された隙間を透光性封止材料で封止してなり、該透光性封止材料は、エポキシ樹脂と、硬化触媒と、下記の式(A)で示される化合物又は下記の式(B)で示される化合物の少なくとも一方を含有してなり、前記エポキシ樹脂として3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ樹脂及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物からなる脂環式エポキシ樹脂の両方を含むとともに、前記下記の式(A)で示される化合物又は下記の式(B)で示される化合物の少なくとも一方を、前記該透光性封止材料全質量に対して0.01質量%〜1質量%含有してなり、硬化後の850nmでの透過損失が0.5dB/cm以下であり、ガラス転移温度が140℃以上であることを特徴とするので、光結合部での透過損失を低くでき、充分な温度サイクル性を確保し得るという優れた効果を奏する。特に、前記透光性封止材料は、硬化後の850nmでの透過損失が0.5dB/cm以下であり、ガラス転移温度が140℃以上であるので、前記効果に優れる。前記透光性封止材料は金属バンプ補強時のフィレット形成性が、向上する結果、温度サイクル性を向上し得るという優れた効果を奏する。
【化4】
【0094】
請求項2に係る光モジュールにあっては、前記透光性封止材料の硬化触媒がエポキシ樹脂の自重合を進めるカチオン重合触媒であることを特徴とするので、請求項1記載の発明の効果に加えて、透光性封止材料硬化体の透光性が高く、光結合部での透過損失をさらに低くし得るという優れた効果を奏する。
【0095】
請求項3に係る光モジュールにあっては、前記透光性封止材料がオキセタン樹脂を含有することを特徴とするので、前記発明の効果に加えて、透光性封止材料硬化体の透光性がさらに高く、光結合部での透過損失を一層低くし得る一方、温度サイクル性をも向上させることができるという優れた効果を奏する。
【0096】
請求項4に係る光モジュールにあっては、前記透光性封止材料において、アビエチン酸、セバシン酸、グリセリン、フェニルアラニン、ソルビタンエステルの中の少なくとも1種類以上を組成物全体に対して0.1質量%〜10質量%含むことを特徴とするので、前記発明の効果に加えて、透光性封止材料にフラックスとしての機能を付与することができ、この結果、フラックス除去の工程が不要となり、金属バンプ実装の工程の簡素化に寄与し得ることとなり、特に、リフロー同時硬化を円滑に行うことができるという優れた効果を奏する。
【0098】
請求項5に係る光モジュールの製造方法にあっては、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光モジュールの製造方法であって、前記受発光部と、前記結合器とを対向させ、かつ、前記第1の電極と、前記第2の電極とを金属バンプで接続した後、前記半導体部品と前記回路基板との間に形成された隙間を前記透光性封止材料で封止してなることを特徴とするので、光結合部での透過損失が低く、充分な温度サイクル性を確保し得る光モジュールの製造が可能になるという優れた効果を奏する。
【0099】
請求項6に係る光モジュールの製造方法にあっては、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光モジュールの製造方法であって、前記半導体部品の前記回路基板側の面、または前記回路基板の前記半導体部品側の面の少なくとも一方に塗布された前記透光性封止材料を介して前記半導体部品と前記回路基板とを相互に接触せしめ、加熱することにより、前記第1の電極と、前記第2の電極とを金属バンプを介して融着、接続する一方、前記透光性封止材料を熱硬化せしめ、前記半導体部品と前記回路基板との間に形成された隙間を前記透光性封止材料で封止してなることを特徴とするので、光結合部での透過損失が低く、充分な温度サイクル性を確保し得る光モジュールの製造が可能になるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である光モジュールの要部を示すもので、(a)は、第1の電極2および受発光部3を有する半導体チップ4aと、第2の電極5、光導波路6および光導波路6に設けられた結合器12を有する回路基板7とを具備していて、受発光部3と、結合器12とを対向させ、かつ、第1の電極2と、第2の電極5とを金属バンプ8で接続する光モジュール1aを示す断面図、(b)は、第1の電極2および受発光部3を有する半導体部品(半導体パッケージ)4bと、第2の電極5、光導波路6および光導波路6に設けられた結合器12を有する回路基板7とを具備していて、受発光部3と、結合器12とを対向させ、かつ、第1の電極2と、第2の電極5とを金属バンプ8で接続する光モジュール1bを示す断面図である。
【符号の説明】
1 光モジュール
1a 光モジュール(半導体チップ4a)
1b 光モジュール(半導体部品4b)
2 第1の電極
3 受発光部
4 半導体部品
4a 半導体チップ
4b 半導体部品(半導体パッケージ)
5 第2の電極
6 光導波路
7 回路基板
8 金属バンプ
9 隙間
10 透光性封止材料
11 フィレット
12 結合器
Claims (6)
- 第1の電極および受発光部を有する半導体部品を、第2の電極、光導波路および該光導波路に設けられた結合器を有する回路基板に表面実装してなる光モジュールであって、前記受発光部と、前記結合器とを対向させ、かつ、前記第1の電極と、前記第2の電極とを金属バンプで接続する一方、前記半導体部品と前記回路基板との間に形成された隙間を透光性封止材料で封止してなり、該透光性封止材料は、エポキシ樹脂と、硬化触媒と、下記の式(A)で示される化合物又は下記の式(B)で示される化合物の少なくとも一方を含有してなり、前記エポキシ樹脂として3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートからなる脂環式エポキシ樹脂及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物からなる脂環式エポキシ樹脂の両方を含むとともに、前記下記の式(A)で示される化合物又は下記の式(B)で示される化合物の少なくとも一方を、前記該透光性封止材料全質量に対して0.01質量%〜1質量%含有してなり、硬化後の850nmでの透過損失が0.5dB/cm以下であり、ガラス転移温度が140℃以上であることを特徴とする光モジュール。
- 前記硬化触媒がエポキシ樹脂の自重合を進めるカチオン重合触媒であることを特徴とする請求項1記載の光モジュール。
- 前記透光性封止材料がオキセタン樹脂を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の光モジュール。
- 前記透光性封止材料がアビエチン酸、セバシン酸、グリセリン、フェニルアラニン、ソルビタンエステルの中の少なくとも1種類以上を組成物全体に対して0.1質量%〜10質量%含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光モジュール。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光モジュールの製造方法であって、前記受発光部と、前記結合器とを対向させ、かつ、前記第1の電極と、前記第2の電極とを金属バンプで接続した後、前記半導体部品と前記回路基板との間に形成された隙間を前記透光性封止材料で封止してなることを特徴とする光モジュールの製造方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光モジュールの製造方法であって、前記半導体部品の前記回路基板側の面、または前記回路基板の前記半導体部品側の面の少なくとも一方に塗布された前記透光性封止材料を介して前記半導体部品と前記回路基板とを相互に接触せしめ、加熱することにより、前記第1の電極と、前記第2の電極とを金属バンプを介して融着、接続する一方、前記透光性封止材料を熱硬化せしめ、前記半導体部品と前記回路基板との間に形成された隙間を前記透光性封止材料で封止してなることを特徴とする光モジュールの製造方法。
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