JP4366693B2 - バー塗布方法 - Google Patents

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Description

本発明はバー塗布方法に係り、特に、走行する帯状の支持体に塗工用バーを用いて塗布液を塗布するのに好適なバー塗布方法に関する。
写真感光材料や磁気記録媒体は、連続走行する帯状の支持体(以下、「ウェブ」という)上に磁性液等の所定の塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程を経て製造される。特に、磁気記録テープ等の磁気記録媒体は、近年、放送用やコンピュータ用として急速に容量、記録密度が向上しており、膜厚が極薄く、膜厚分布が均一であり、かつ表面が平滑な磁性層を得ることのできる塗布技術が求められている。
その他、光学補償フィルム、反射防止フィルム、防眩性フィルム等の光学フィルム等の製造にもこのような塗布技術が求められている。
このような市場の要求に対応できる塗布装置の一種として、従来よりバー塗布装置が使用されている。このバー塗布装置は、丸棒状のロッドである塗工用バーを備え、走行するウェブに、このウェブの幅方向に平行なスロット先端から押し出した塗布液を塗工用バーを介して転移塗布するもので、簡単な装置構成でしかも薄層塗布が可能なことから広く用いられている。
このようなバー塗布装置において、ウェブ幅全体に塗布液を全幅塗布しようとすると、ウェブ裏面への塗布液の回りこみ(以下、「裏回り」という)や、ウェブ幅方向端部において塗布液がはねる(以下、「液はね」という)が発生し、塗布後にウェブを搬送する搬送ローラ等の工程汚染を発生させてしまうという問題点が従来より指摘されている。
この対策として、従来より各種の提案がなされている(特許文献1、2等。)。このうち特許文献1の提案は、ウェブ裏面のはみ出し下塗り層部分が接触しない部分に剥離層を形成し、はみ出し下塗り層部分のウェブ裏面への接着を妨げ、ブロッキング故障を防止する構成のものである。
特許文献2の提案は、バー塗布装置の上流側に注射器を設け、ウェブの非塗布部に塗布液の溶媒と同種の溶媒を塗布し、その後、ウェブの略全幅に塗布液を塗布する構成のものである。これにより、バー塗布装置において、ウェブの非塗布部に塗布液は付着せず、裏回りが防げる効果が得られるとされている。
特開2002−163822号公報 特開平7−155680号公報
しかしながら、特許文献1、2で提案されているような構成のものであっても、裏回りや液はねを完全に排除することが困難であるのが現状である。
以下、図8により裏回り、液はねについて説明する。図8の(A)、(B)及び(C)は、いずれも、バー12により矢印の方向に搬送されるウェブ16に塗布液を塗布して塗布層Cを形成している状態を示す部分拡大図(ウェブ16の左端部近傍)である。
ウェブ端部16Aの近傍には、ダミー塗布液が塗布され、ダミー塗布層Dが形成されている。このダミー塗布層Dとこの外側部分の未塗布のウェブ16は、製品として使用できない耳Rである。
図8において、(A)から(C)に行くに従い、ダミー塗布層Dをウェブ端部16Aに近づけて形成しており、これにより耳Rの幅も小さくなっていく。ところが、(C)のようにダミー塗布層Dがウェブ端部16Aに近づいて形成される場合には、液はねや裏回りとなりやすい。一方、(A)のようにプレ塗布層Dがウェブ端部16Aから離れて形成される場合には、液はねや裏回りは生じにくいが、耳Rの幅が大きくなり、素材歩留りが悪い。
更に、バー塗布装置を使用した薄膜塗布の場合、塗布幅の規制が困難であるという問題点も指摘されている。すなわち、近年、バー塗布装置を使用して、膜厚が極薄く、膜厚分布が均一であり、かつ表面が平滑な磁性層を得るために、塗工用バーの先端部分における塗布液の圧力を高くする傾向にある。この場合、塗布幅の規制が困難となる。
これに対し、特許文献1の提案によるのみでは、これまで以上に精度のよい塗布幅規制が求められている現状のもとでは、裏回りや液はねを完全に排除することが困難な場合が多い。
また、特許文献2の提案によっても、ウェブの非塗布部に塗布液の溶媒と同種の溶媒を塗布するのみであり、塗布液の圧力が高い状態では、この溶媒が高い圧力の塗布液に押しのけられ、塗布幅の規制ができなくなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、塗布幅の規制ができ、塗布液が支持体裏面へ回り込む裏回りや液はねの防止ができるバー塗布方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、走行する帯状の支持体に、該支持体の幅方向に平行なスロット先端から押し出した塗布液を塗工用バーを介して転移塗布するバー塗布方法において、前記塗工用バーに対し、前記支持体の走行方向上流側の前記支持体の幅方向両端部近傍にプレ塗布装置を設け、該プレ塗布装置により、前記支持体の幅方向両端部よりそれぞれ所定距離内側に前記塗布液と同一の液体を塗布してプレ塗布層を形成し、該プレ塗布層形成後に、前記支持体の幅方向の前記両プレ塗布層の内側部分に前記塗布液を塗工用バーを介して転移塗布することを特徴とするバー塗布方法を提供する。
本発明によれば、支持体の幅方向両端部よりそれぞれ所定距離内側に前記塗布液と同一の液体を塗布してプレ塗布層を形成し、このプレ塗布層形成後に、両プレ塗布層の内側部分に塗布液を塗布するので、塗布幅の規制が良好に行え、また、塗布液が支持体裏面へ回り込む裏回りや液はねの防止もできる。
すなわち、本発明は、小児が塗り絵や写生をする際に、輪郭部分からクレヨン等を塗って縁取りし、その後、内側部分にクレヨン等を塗ることにより、はみ出し塗りを防止するのと同様の発想よりなされてものである。
このように、縁取りがなされ、また、プレ塗布層の上に塗布液が塗布される訳ではないので、プレ塗布層の液体が、高い圧力の塗布液に押しのけられ、塗布幅の規制ができなくなるという不具合は生じない。また、プレ塗布層も支持体の両端部より所定距離内側に形成されるので、液はねや裏回りとなることが防止できる。
更に、プレ塗布層が塗布液と同一の液体であるので、このプレ塗布層も製品として使用でき、耳幅が小さくなり、素材歩留りが向上する。
なお、プレ塗布装置としては、特に制限がないが、バーコータ、グラビアコータ(ダイレクトグラビアコータ、グラビアキスコータ等)、ロールコータ(トランスファロールコータ、リバースロールコータ等)、ダイコータ、エクストルージョンコータ、ファウンテンコータ、注射器、又はスライドホッパ等が採用できる。
本発明において、前記プレ塗布装置の液吐出部が管状部材よりなることが好ましい。注射器や、ディスペンサー(マイクロシリンジ)のような液吐出部が管状部材よりなるプレ塗布装置であれば、前記塗布液と同一の液体の供給を安定して行えるうえに、プレ塗布層の幅を小さくでき、耳幅が小さくなり、素材歩留りが向上する。
また、本発明において、前記塗工用バー通過直後の前記プレ塗布層の幅が3mm以下であることが好ましい。このようなプレ塗布層の幅であれば、耳幅が小さくなり、素材歩留りが向上する。
また、本発明において、前記プレ塗布層の乾燥後の膜厚が、前記塗工用バーを介して転移塗布された塗布液の乾燥後の膜厚の2倍以下であることが好ましい。このような膜厚のプレ塗布層であれば、塗布幅の規制が良好に行え、また、塗布液が支持体裏面へ回り込む裏回りや液はねの防止もできる。更に、このプレ塗布層も製品として使用でき、耳幅が小さくなり、素材歩留りが向上する。
以上説明したように、本発明によれば、塗布幅の規制が良好に行え、また、塗布液が支持体裏面へ回り込む裏回りや液はねの防止もできる。
以下、添付図面により、本発明に係るバー塗布方法の好ましい実施の形態について詳説する。図1は、本発明に係るバー塗布方法が適用される磁気記録媒体の塗布ラインの構成図である。
磁気記録媒体の塗布ラインは、図1に示されるように、送り出し機66から帯状の可撓性支持体であるウェブ16が送り出されるようになっている。ウェブ16はガイドローラ68によってガイドされてプレ塗布装置70に送りこまれるようになっている。プレ塗布装置70は、ウェブ16の幅方向両端部近傍に塗布液と同一の液体を塗布してプレ塗布層を形成するために設けられるもので、2個の注射器(図示では1個)よりなる。
このプレ塗布層の液体としては、塗布液の溶媒と同一の液体とすることもでき、他の種類の液体を選択することもできるが、塗布液と同一の液体とし、プレ塗布層の乾燥後の厚さを塗布液の乾燥後の膜厚の2倍以下とするならば、プレ塗布層の部分も製品として利用でき、素材歩留りが向上する。
また、プレ塗布層の幅を3mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下にすれば、プレ塗布層の部分を製品として利用しない場合であっても、耳Rの幅(図8参照)を小さくでき、素材歩留りが向上する。
プレ塗布装置70の下流にはバー塗布装置10が設けられており、磁気記録媒体を含む塗布液がウェブ16に塗布できるようになっている。この下流には、乾燥ゾーン76、加熱ゾーン78が順次設けられており、ウェブ16が乾燥処理されるようになっている。そして、この下流に設けられた巻取り機82により、塗布膜が形成されたウェブ16が巻き取られるようになっている。
図2は、本発明に使用されるバー塗布装置10の一例を示す断面図であり、図3はバー塗布装置の一部を切り欠いて内部が見えるようにした斜視図である。図2及び図3に示されるように、バー塗布装置10は、主として、塗布ヘッド14と、バー12に近接走行するようにウェブ16をガイドする一対のガイドローラ18、18とで構成される。
塗布ヘッド14は、主として、バー12と、バー12を回転自在に支持するバックアップ部材20と、コーターブロック22、24と、サイドブロック21、23(図3参照)から構成される。バックアップ部材20と各コーターブロック22、24との間には、マニホールド26、28及びスロット30、32が形成され、各マニホールド26、28に塗布液が供給される。
各マニホールド26、28に供給された塗布液は、ウェブ16の幅方向に平行でウェブ走行方向に狭隘なスロット30、32を介してウェブ16の幅方向に均一に押し出される。これにより、バー12に対してウェブ16の送り方向の上流側(以下、「1次側」という)には1次側塗布ビード34が形成され、下流側(以下、「2次側」という)に2次側塗布ビード36が形成される。したがって、バー12はこれらの塗布ビード34、36を介して走行するウェブ16に塗布液を転移塗布する。
バー12は回転駆動される構成でもよく、殆ど回転しない状態で支持されていてもよい。バー12が回転駆動される場合、ウェブ16の送り方向に対し、順転とすることもでき、逆転とすることもできる。
マニホールド26、28から過剰に供給された塗布液は、各コーターブロック22、24とウェブ16との間からオーバーフローし、側溝25、27(図3参照)を介して回収される。なお、マニホールド26、28への塗布液の供給はマニホールド26、28の中央部から行なっても、又は端部から行なってもよい。
また、塗布ヘッド14には、塗布液の給液幅規制及びオーバーフローした塗布液の排出(場合によってはリターン系を組み再利用)のためのサイドブロック21、23が設けられている。このサイドブロック21、23によって上記したスロット30、32のスロット幅が設定され、給液幅が規制されることによって、目標塗布幅が決まる。この場合、ウェブ16に全幅塗布すると、塗布液のウェブ16の裏面への裏回りが発生するので、目標塗布幅はウェブ16の幅よりも狭く、両プレ塗布層の内側に設定され、ウェブ16の両端に未塗布部分が形成されるように塗布される。
なお、給液幅の規制は、サイドブロック21、23によらない構成も可能である。この場合、スロット30、32の内部に幅規制板を配し、同様に作用を果たさせる。この構成であれば、異なる塗布幅の生産に柔軟に対応が可能である。
次に、本発明に係るバー塗布方法が適用される磁気記録媒体の塗布ラインのうち、バー塗布装置10の作用について説明する。図4は、バー塗布装置10を上方から見たもので、ウェブ16に全幅塗布しないことを前提とした場合の、スロット端部30A、32Aとウェブ端部16Aとの関係を模式的に示した図である。
スロット30、32から押し出された塗布液は、ワイヤを巻いていないバー12(いわゆる、フラットバー又はプレーンバー)により掻き上げられ、ウェブ16に転移塗布される。これにより、ウェブ16面に塗布膜が形成される。図4では、バー12の面長はスロット幅(L1)よりも大きくなっている。なお、L6はウェブ幅である。
図4のバー塗布装置10によれば、スロット端部30A、32A付近から押し出された塗布液はその表面張力により塗れ広がり、目標塗布幅に比べて塗布幅が広くなろうとするが、ウェブ16の幅方向端部近傍のプレ塗布層P、Pが、先ずバー12によって濡れ広がり、この濡れ広がったプレ塗布層P、Pにより、塗布液の濡れ広がりが抑え込まれるので、塗布幅がL4に止まり、塗れ広がることはない。
また、塗布液の濡れ広がりがスロット端部30A、32Aの外側に位置するプレ塗布層P、Pにより抑え込まれるので、これにより、塗布膜端部の厚さの違い(厚み偏差)も抑制できる。
本発明で使用されるウェブ16としては、一般に幅0.3〜5m、長さ45〜10000m、厚さ5〜200μmのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6ナフタレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド等のプラスチックフィルム、紙、紙にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンブテン共重合体等の炭素数が2〜10のα−ポリオレフイン類を塗布又はラミネートした紙、アルミニウム、銅、錫等の金属箔等、又は帯状基材の表面に予備的な加工層を形成させたものが含まれる。
塗布液の濡れ広がり方は、塗布液の物性(主に粘度、表面張力)、ウェブ16の搬送速度、バー12の外径、バーをワイヤバーとした場合のワイヤ径等の塗布条件によって若干の差があるが、本発明に用いられる塗布液は、ウェブ16上に塗布膜を形成するためのものであればよく、公知のいずれの塗布液でもよい。
たとえば、液晶を含有している塗布液や、反射防止成分を含む液を塗布液に用いることができる。塗布液の物性は、有機溶剤系の場合には低粘度(通常0.5〜20mPa・s程度)であるが、100mPa・s程度までの高粘度塗布液に対しても、本発明は対応可能である。また、塗布液の表面張力範囲も特に限定されないが、180〜350μN/cm程度が好ましい適用範囲である。
以上、本発明に係るバー塗布方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態では、プレ塗布装置として注射器を使用したが、これに類似する公知の各種塗布手段、たとえば、ディスペンサー(マイクロシリンジ)等が採用できる。要は、ウェブ16の幅方向端部近傍に前記塗布液と同一の液体を塗布して、幅狭なプレ塗布層を形成できればよい。
また、本実施形態では、バー塗布装置10に使用されるバー12としてワイヤを巻いていないバー12(いわゆる、フラットバー又はプレーンバー)が使用されているが、ワイヤを巻いたバー(いわゆる、ワイヤバー)を使用してもよく、本実施形態と同様の効果が得られる。
次に、本発明の実施例(実施例1及び実施例2)を比較例と対比した結果について説明する。本発明の実施例1及び比較例として、図1に示される磁気記録媒体の塗布ラインを使用して塗布を行った。バー塗布装置10としては、図2、図3及び図4に示される構成のものを使用した。
実施例2の装置としては、実施例1及び比較例と略同一としたが、プレ塗布装置70としての注射器(実施例)に代えてディスペンサーを使用した。このディスペンサーは、管状のノズルの先端にフェルト部材を取り付け、前記塗布液と同一の液体がしみ出しながら塗布されるように構成した塗布装置である。
ウェブ16には、幅が520mmで厚さが9μmPET(ポリエチレンテレフタレート)を使用した。
比較例において、プレ塗布装置70より供給する第1の塗布液(ダミー塗布液)として、シクロヘキサノン400重量部とメチルエチルケトン100重量部の混合溶媒を使用した。なお、第1の塗布液には、更に着色剤を添加し、未塗布部分(耳幅)の判別が容易なようにした。
プレ塗布装置70及びバー塗布装置10より供給する第2の塗布液として、シクロヘキサノン400重量部とメチルエチルケトン100重量部の混合溶媒に、5重量部のポリエステルウレタン樹脂を溶解させたものを使用した。
実施例1では、注射器より供給する第2の塗布液の量は、1個の注射器当り2〜5mL/分とし、プレ塗布層Pの塗布幅を2mmとした。
比較例では、注射器より供給する第1の塗布液(ダミー塗布液)の量は、1個の注射器当り2〜5mL/分とし、ダミー塗布層Dの塗布幅を2mmとした。
実施例2では、ディスペンサーより供給する第2の塗布液の量は、1個のディスペンサー当り2〜5mL/分とし、プレ塗布層Pの塗布幅を10mmとした。
バー塗布装置10のスロット幅(図5のL1)は、600mmであり、スロット30、32内部に板を配し吐出幅を調整した。バー12の直径は3mmである。バー塗布装置10より供給する第2の塗布液の量は2.0L/分とした。
バー塗布装置10におけるバー12へのウェブ16の巻き掛け角度(ラップ角度)を15度に、ウェブ16の走行速度を200m/分に、ウェブ16の張力(テンション)を147N/m(15kg/m)に、各例(実施例1、実施例2、比較例)で統一して設定した。
各種の条件(バー塗布装置10における塗布液の吐出幅、注射針位置、ディスペンサーの端部位置、ディスペンサーからの前記塗布液と同一の液体流量)を変えて実験を行った。以下、順に説明する。
(実施例1)
プレ塗布装置70(注射器)により着色剤を添加した第2の塗布液をウェブ16上の端部近傍に塗布し、第2の塗布液を、塗布ヘッド14からウェブ16上に塗布した。
バー塗布装置10における塗布液の吐出幅を510mmに統一し、注射針位置をウェブ16の端部から2、3、及び4mmに変化させ、バー塗布装置10でウェブ16に塗布された塗布膜端部の耳Rの有無、及び裏回りや液はねの状況を観察するとともに、総合判定(×:不良、△:マージナル、○:良好、の3段階評価)を行った。結果を図5の表に示す。
図5の表における例11は、注射針位置をウェブ16の端部から4mmに設定したものである。耳(未塗布部の幅)は3mmで安定した。塗布膜を観察したところ、裏回りや液はねはなく、総合判定は△であった。
図5の表における例12は、注射針位置をウェブ16の端部から3mmに設定したものである。耳(未塗布部の幅)は2mmで安定した。塗布膜を観察したところ、裏回りや液はねはなく、総合判定は○であった。
図5の表における例13は、注射針位置をウェブ16の端部から2mmに設定したものである。耳(未塗布部の幅)は1mmで安定した。塗布膜を観察したところ、裏回りや液はねはなく、総合判定は○であった。
図5の表における例14は、注射針位置をウェブ16の端部から4mmに設定したものである。注射針からの第1の塗布液の吐出量をやや増加させ、塗り付き幅を2→4mmに調整したところ、端部の位置は2mmのままで、変動がやや目立つようになった。塗布膜を観察したところ、裏回りや液はねはなく、総合判定は○→△であった。
(実施例2)
プレ塗布装置70(ディスペンサー)により着色剤を添加した第2の塗布液をウェブ16上の端部近傍に塗布し、第2の塗布液を、塗布ヘッド14からウェブ16上に塗布した。
バー塗布装置10における塗布液の吐出幅を510mmに統一し、ディスペンサーの端部位置をウェブ16の端部から3mm及び4mmに変化させ、ディスペンサーからの前記塗布液と同一の液体流量を2、4及び5mlに変化させ、バー塗布装置10でウェブ16に塗布された塗布膜端部の耳Rの有無、及び裏回りや液はねの状況を観察するとともに、総合判定(×:不良、△:マージナル、○:良好、の3段階評価)を行った。結果を図6の表に示す。
図6の表における例21は、ディスペンサーの端部位置をウェブ16の端部から3mmに設定し、ディスペンサーからの前記塗布液と同一の液体流量を2mlに設定したものである。耳(未塗布部の幅)は2mmで安定した。塗布膜を観察したところ、裏回りや液はねはなく、総合判定は○であった。
図6の表における例22は、ディスペンサーの端部位置をウェブ16の端部から4mmに設定し、ディスペンサーからの前記塗布液と同一の液体流量を2mlに設定したものである。耳(未塗布部の幅)は3mmで安定した。塗布膜を観察したところ、裏回りや液はねはなく、総合判定は○△であった。
図6の表における例23は、ディスペンサーの端部位置をウェブ16の端部から4mmに設定し、ディスペンサーからの前記塗布液と同一の液体流量を4mlに設定したものである。耳(未塗布部の幅)は2mmで安定した。塗布膜を観察したところ、裏回りや液はねはなく、総合判定は○であった。
図6の表における例24は、ディスペンサーの端部位置をウェブ16の端部から4mmに設定し、ディスペンサーからの前記塗布液と同一の液体流量を5mlに設定したものである。耳(未塗布部の幅)は2mmで、やや変動が目立った。塗布膜を観察したところ、裏回りや液はねはなく、総合判定は△であった。
(比較例)
プレ塗布装置70(注射器)により第1の塗布液(ダミー塗布液)をウェブ16上の端部近傍に塗布し、第2の塗布液を、塗布ヘッド14からウェブ16上に塗布した。
バー塗布装置10における塗布液の吐出幅を500〜520mmに変化させ、注射針位置をウェブ16の端部から1mm及び2mmに変化させ、バー塗布装置10でウェブ16に塗布された塗布膜端部の耳Rの有無、及び裏回りや液はねの状況を観察するとともに、総合判定(×:不良、△:マージナル、○:良好、の3段階評価)を行った。結果を図7の表に示す。
図7の表における例51は、バー塗布装置10における塗布液の吐出幅を500mmに設定し、注射針位置をウェブ16の端部から2mmに設定したものである。塗布液の塗り広がりが不十分であり、耳(未塗布部の幅)は5〜10mmで不安定であった。総合判定は×であった。
図7の表における例52は、バー塗布装置10における塗布液の吐出幅を520mmに設定し、注射針位置をウェブ16の端部から2mmに設定したものである。ウェブ16の端部から1〜4mmの間に未塗布部ができるものの、最端部に塗布液が塗られてしまい、裏回りを生じた。総合判定は×であった。
図7の表における例53は、バー塗布装置10における塗布液の吐出幅を510mmに設定し、注射針位置をウェブ16の端部から2mmに設定したものである。耳(未塗布部の幅)は4mmで安定しているものの、狙いとする2mmの幅と異なった。総合判定は×であった。
図7の表における例54は、バー塗布装置10における塗布液の吐出幅を510mmに設定し、注射針位置をウェブ16の端部から1mmに設定したものである。耳(未塗布部の幅)は2〜3mmで略安定しているものの、前記塗布液と同一の液体がウェブ16の端部からはみ出し、裏回りや液はねを生じた。総合判定は×であった。
以上の結果より、ウェブ16の幅方向両端部よりそれぞれ所定距離内側に前記塗布液と同一の液体を塗布してプレ塗布層を形成し、このプレ塗布層形成後に、両プレ塗布層の内側部分に塗布液を塗布すれば、塗布幅の規制が良好に行え、また、塗布液がウェブ16の裏面へ回り込む裏回りや液はねの防止もできることが確認された。
本発明に係るバー塗布方法が適用される磁気記録媒体の塗布ラインの構成図 図1のバー塗布装置の構成を示す断面図 図1のバー塗布装置の一部を切り欠いて内部が見えるようにした斜視図 バー塗布装置においてスロット端部とウェブ端部との関係を示す模式図 実施例1の結果を示す表 実施例2の結果を示す表 比較例の結果を示す表 ウェブに塗布層を形成している状態を示す拡大図であり、裏回りや液はねを説明する模式図
符号の説明
10…バー塗布装置、12…バー、14…塗布ヘッド、16…ウェブ、18…ガイドローラ、20…バックアップ部材、21、23…サイドブロック、22、24…コーターブロック、26、28…マニホールド、30、32…スロット、30A、32A…スロット端部、34…1次側塗布ビード、36…2次側塗布ビード、66…送り出し機、68…ガイドローラ、70…プレ塗布装置、76…乾燥ゾーン、78…加熱ゾーン、82…巻取り機、D…ダミー塗布層、P…プレ塗布層

Claims (4)

  1. 走行する帯状の支持体に、該支持体の幅方向に平行なスロット先端から押し出した塗布液を塗工用バーを介して転移塗布するバー塗布方法において、
    前記塗工用バーに対し、前記支持体の走行方向上流側の前記支持体の幅方向両端部近傍にプレ塗布装置を設け、該プレ塗布装置により、前記支持体の幅方向両端部よりそれぞれ所定距離内側に前記塗布液と同一の液体を塗布してプレ塗布層を形成し、
    該プレ塗布層形成後に、前記支持体の幅方向の前記両プレ塗布層の内側部分に前記塗布液を塗工用バーを介して転移塗布することを特徴とするバー塗布方法。
  2. 前記プレ塗布装置の液吐出部が管状部材よりなる請求項1に記載のバー塗布方法。
  3. 前記塗工用バー通過直後の前記プレ塗布層の幅が3mm以下である請求項1又は2に記載のバー塗布方法。
  4. 前記プレ塗布層の乾燥後の膜厚が、前記塗工用バーを介して転移塗布された塗布液の乾燥後の膜厚の2倍以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のバー塗布方法。

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