JP4365905B2 - テトラシクロドデセンの製造方法 - Google Patents

テトラシクロドデセンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はテトラシクロドデセン(以下、TCDと称することがある)の製造プロセスに関し、詳しくは、実質的にメチルテトラハイドロインデン(以下、MTHIと称することがある)を含まないノルボルネンを回収してこれを循環使用するテトラシクロドデセンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
優れた光学特性、高透明性や耐熱性、吸油性を有するポリマーとしてシクロオレフィン(コ)ポリマーが注目されており、その原料としてテトラシクロドデセンに代表される環状オレフィンは有用である。これらの環状オレフィンは有機金属錯体触媒を用いて重合に供される。その重合方法は大別して2つ挙げることができる。その1つは、上記環状オレフィンのオレフィン部位における単独重合または低級α−オレフィンとの共重合を、チグラー触媒やメタロセン触媒を用いて進行させる方法である。他の重合方法としては、カルベン型錯体を使用したメタセシス重合が知られている。
【0003】
テトラシクロドデセンの製造方法としては、シクロペンタジエン(以下、CPDと称することがある)および/またはジシクロペンタジエン(以下、DCPDと称することがある)、およびノルボルネンをエチレンと加熱混合することによりテトラシクロドデセンとノルボルネンを含む反応混合液を製造し、ノルボルネンを回収して循環する方法が代表的である。ここで、たとえば、生成ノルボルネンを回収して、循環再使用するテトラシクロドデセンの製造方法については、特開平3−128333号公報、特開平6−9437号公報、特開平6−72909号公報等に開示されている。しかしながら、いずれも回収循環するノルボルネンにはジシクロペンタジエンが混入している。
【0004】
また原料としてはいずれもDCPDを用いているが、市販DCPDは、原料がナフサ等の熱分解油であることに由来する不純物として、MTHIを含むことが多い。
市販DCPD中に含まれる不純物のMTHIが回収循環されるノルボルネン中に混入していると、分解温度の高いメチルテトラハイドロインデンは系内に蓄積し易く、その結果、他の副生成物も多量に生成する。なお、DCPD中にはMTHI以外の他の不純物も含まれるが、それらは通常熱分解温度が低い点においてMTHIとは相違する。また、単に反応温度を高めて反応系中でMTHIを分解すると、目的物の収率が低下するほか、他の副生物の生成を招くため好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高純度のノルボルネンを回収して循環使用を行いつつ、高収率で高純度のテトラシクロドデセンを得るプロセスを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、下記工程(1)〜(5)を含むテトラシクロドデセンの連続的製造方法に関するものである。
(1)(a)エチレン、(b)不純物としてメチルテトラハイドロインデンを含有するシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンおよび(c)ノルボルネンを反応器に供給して反応させることにより、少なくともテトラシクロドデセン、ノルボルネンおよびメチルテトラハイドロインデンを含む反応混合液を製造する工程、
(2)前記反応混合液からエチレンを分離除去する工程、
(3)前記工程2を経た反応混合液から実質的にメチルテトラハイドロインデンを含まないノルボルネンを分離回収する工程、
(4)前記工程3において分離回収したノルボルネンの少なくとも一部を前記反応器に循環する工程、および
(5)前記工程3を経た反応混合液からメチルテトラハイドロインデンを分離し、テトラシクロドデセンを回収する工程。
本発明の第2は、下記工程(1)〜(5)を含むテトラシクロドデセンの連続的製造方法に関するものである。
(1)(a)エチレン、(b)不純物としてメチルテトラハイドロインデンを含有するシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエン、(c)ノルボルネンおよび(d)溶媒を反応器に供給して反応させることにより、少なくともテトラシクロドデセン、ノルボルネンおよびメチルテトラハイドロインデンを含む反応混合液を製造する工程、
(2)前記反応混合液からエチレンを分離除去する工程、
(3)前記工程2を経た反応混合液から実質的にメチルテトラハイドロインデンを含まないノルボルネンと溶媒の混合液を分離除去する工程、
(4)前記工程3において分離されたノルボルネンと溶媒の混合液の少なくとも一部を前記反応器に循環する工程、および
(5)前記工程3を経た反応混合液からメチルテトラハイドロインデンを分離し、テトラシクロドデセンを回収する工程。
本発明の方法によれば、循環再使用するノルボルネンは実質的にMTHIを含まず、従って、反応系内に副生物が蓄積することが少ない。また併せてテトラシクロドデセンを高純度で得ることが可能である。
以下、本発明について詳しく説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施態様の一例を示すプロセスフローである。なお図1においては反応開始時のノルボルネンの供給ラインを省略した。
図1において1は溶媒タンクである。本発明の方法においては溶媒を使用することが好ましい。その目的は各成分の濃度を低減させ、副生成物である重質分を減少させること、および後に述べる回収ノルボルネンの固化を防止することにある。
図1に示す2はジシクロペンタジエンのタンクである。本発明において用いるシクロペンタジエンは、好ましくはあらかじめジシクロペンタジエンを熱分解蒸留したものである。シクロペンタジエンはジシクロペンタジエンの熱分解により容易に得られ、本発明における通常の反応条件下では、DCPDはCPDに分解される。また工業的にDCPDの入手は容易である。したがって、本発明においては、原料として好ましくはDCPDを用いる。
本発明において用いるジシクロペンタジエンとしては、ナフサ等の熱分解油から回収されたものが、工業的に大量に得られしかも安価であるため好ましい。しかしながら、このような市販品はMTHIを初めとする不純物を含むことが多い。
【0008】
図1に示す3はエチレンのタンクである。エチレンの原料は特に限定されないが、ナフサや天然ガスあるいは石油精製から得られるガス留分をスチームクラッキングすることにより得られる重合グレードのエチレンのほか、エタンの脱水素やエタノールの脱水によって得られるエチレンも使用することができるが、重合グレードのものを使用することが望ましい。
【0009】
ノルボルネンは、エチレンとシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンを原料として反応温度100〜350℃、反応圧力0.1〜40MPa の条件で合成することができる。本発明の製造プロセスのように反応系中にエチレンとジシクロペンタジエンおよび/またはシクロペンタジエンを共存させれば、テトラシクロドデセンの合成条件においてノルボルネンも同時に合成することができる。ノルボルネンは工業的に入手の困難な化合物であるため、本発明の製造プロセスにおいては、反応後にノルボルネンが増加するか、少なくとも減少することのない条件を選択する。このようにすることにより見かけ上新たなノルボルネンの補給をすることなく、連続的なテトラシクロドデセンの製造が可能になる。
【0010】
シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンは、移送ポンプ4により反応器5に導入される。なお、エチレンは昇圧機(図示せず)等により昇圧して反応器5に導入する。
供給するシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンのモル数は、ジシクロペンタジエンとしてのモル数に換算して表す。すなわち、シクロペンタジエン2モルとジシクロペンタジエン1モルとの混合液においては、ジシクロペンタジエン2モルとみなす。本発明において、このように表したノルボルネン/ジシクロペンタジエンの供給比率(モル比)は1〜1,000であり、好ましくは2〜100、より好ましくは3〜10である。ノルボルネンの量が多いと、反応における重質分の収量は比較的少なくなるが、ノルボルネンの循環使用量が多くなり、蒸留に際しエネルギーを大量に必要とするため、あまり得策ではない。一方、ジシクロペンタジエンおよび/またはシクロペンタジエンの量が多いと、重質分が多く生成し、原料の有効利用率が低下する。
【0011】
これらを原料として反応器5においてテトラシクロドデセンの合成を行う。反応器5は完全混合型およびピストンフロー型のいずれの反応器も使用することができる。ピストンフロー型反応器の市販品としては、(株)ノリタケカンパニー製「スタティックミキサー」、住友重機械工業(株)製「スルーザーミキサー」、(株)櫻製作所製「スケヤミキサー」などが挙げられる。反応器は一段でもよく、二段以上の多段の構造とすることもできる。完全混合型反応器やピストンフロー型反応器は、直列または並列で組み合わせて使用することができる。
【0012】
反応器5における反応条件として、空間速度は0.001〜100h-1であり、好ましくは0.1〜50h-1、より好ましくは1〜10h-1である。空間速度が 100h-1を超える場合には、未反応物が多くなり不適当である。
反応圧力は0.1〜50MPa であり、好ましくは0.5〜40MPa、より好ましくは1〜10MPa である。
反応温度は0〜400℃であり、好ましくは100〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。特にジシクロペンタジエンを原料に用いる場合は、反応温度を100℃以上にすると、ジシクロペンタジエンはシクロペンタジエンへ容易に分解するので好ましい。
【0013】
本発明の方法においては、反応器5において、エチレンがノルボルネンや、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンに十分に溶解していることが好ましい。溶媒を用いる場合には、溶媒にも十分溶解していることが好ましい。溶解させるための条件は、ノルボルネン、およびジシクロペンタジエンおよび/またはシクロペンタジエン、およびエチレンのモル混合比によっても変わるが、たとえば無溶媒の場合、モル混合比がノルボルネン/ジシクロペンタジエン/エチレン=8/1/1であり、温度が180℃のときには、約2.5MPa 以上の圧力が必要である。これよりもエチレン量が多い場合、または温度が高い場合には、より高い圧力が必要であり、たとえば260℃の場合には約3.9MPa以上が必要である。
溶媒を使用する場合には、これらより低い圧力でもエチレンの溶解が可能であり、反応圧の低圧化を達成することができる。いずれの場合も液相で反応を行うこととし、かつ反応器内に気相エチレンが実質的に存在しないように反応条件を選択することが、TCDを高い収率で得るために好ましい。
【0014】
反応器5から連続的に抜き出した反応混合液を、次に蒸留工程に送入する。
まず図1では反応器5から出た反応混合液を、第1蒸留塔6に導入して圧力を0.1〜1MPa に調整する。ここでは主として塔頂から未反応エチレンを分離する。蒸留条件は、塔頂では圧力100〜1,000kPa、温度25〜45℃の範囲、塔底では圧力100〜1,000kPa、温度25〜100℃の範囲から任意に選ぶことができる。圧力を常圧よりも若干高くすることにより、安価な海水や工業用水により塔頂ガスを凝縮することが可能になる。
【0015】
第1蒸留塔6の塔底からは、エチレンが分離除去された混合液を抜き出し、第2蒸留塔7に導いて、その塔頂からノルボルネンを分離回収する。
第2蒸留塔7においては、分離回収するノルボルネンが実質的にMTHIを含まないように蒸留条件を設定する。ここで、回収し再使用するノルボルネンにMTHIが混入すると、MTHIは分解温度が高いために、反応器内では分解され難く、その結果反応系内に蓄積し、さらに重質分の生成等を招き易い。
なお、MTHIは出発原料であるDCPD中に不純物として含まれる。DCPD中には他の構造の不純物も含まれるが、MTHIは前述のように分解温度が高いので、反応系内に蓄積し易い。
原料のDCPDが全て反応で消費されるような反応条件とすることも可能であり、この場合には反応混合液中に未反応DCPDは実質的に存在しない。しかし、反応条件によっては反応混合液中にわずかな未反応のDCPDが存在する場合もある。このような場合には、蒸留操作により循環ノルボルネンからMTHIを除去する際にDCPDも併せて除去することが多い。
【0016】
第2蒸留塔7の蒸留条件としては特に限定されず、回収するノルボルネンにMTHIが実質的に含まれないように蒸留条件その他を選択すればよい。すなわち、供給する原料DCPDに含まれるMTHIの絶対量、その割合、生成するノルボルネンの量、その循環量、生成する重質物等へ捕捉されるMTHIの量、その割合等の条件により変動するが、通常は回収ノルボルネン中のMTHIの量が 700ppm以下になるように蒸留条件を設定することが好ましい。なお、ノルボルネンと分離されて反応混合液中に残留するMTHIは、後に適宜の精製工程(図示せず)において除去する。
【0017】
具体的な第2蒸留塔の蒸留条件は、塔頂では圧力1〜200kPa、好ましくは10〜100kPa、温度35〜96℃であり、塔底では圧力1〜200kPa、好ましくは10〜100kPa、温度40〜190℃である。蒸留塔には分離効率を高めるため、各種充填物を充填したり、還流を行うことができる。理論段数は、各蒸留塔において1〜100段であり、好ましくは2〜50段、より好ましくは3〜30段である。還流比は各蒸留塔の分離状態をみて決定されるが、1〜50が適当である。
【0018】
なお、前述のように、本発明において好ましくは溶媒を使用するが、その理由は回収ノルボルネンの凝固防止にある。したがって、ノルボルネンを回収する際に同時に溶媒を回収する、すなわちノルボルネンと溶媒の混合液として回収することが好ましい。そのため、反応混合液を蒸留し、好ましくは回収循環ライン8を経てノルボルネンと溶媒を混合液として反応器5へ循環する。したがって、溶媒としては、ノルボルネンと同時に流出することができるような沸点、すなわちノルボルネンと近接した沸点を有する有機溶媒が好ましく使用される。具体的には、沸点がノルボルネンの沸点±10℃、好ましくはノルボルネンの沸点±5℃の有機溶媒を用いる。
【0019】
具体的な上記溶媒の種類としては、炭素数6〜8の芳香族または脂肪族炭化水素が適当である。人体や環境に対する安全性の点から、脂環族炭化水素や分岐脂肪族炭化水素がさらに好ましく、具体的にはイソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン、ジメチルシクロヘキサンおよびエチルシクロペンタンが好ましく使用される。ここでイソヘキサン、イソヘプタンおよびイソオクタンとは、メチル基以上の分岐がある化合物を指し、その置換位置や異性体の種類などに関係なく使用することができる。
具体的には2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタンなどが挙げられる。ジメチルシクロヘキサン、たとえば1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサンおよび1,4−ジメチルシクロヘキサンはいずれも使用可能であり、二つのメチル基の置換位置を問わず使用することができる。
【0020】
これらのなかでも、前記のように沸点がノルボルネンの沸点95℃に近接している分岐脂肪族および脂環族炭化水素が好ましく、これらは蒸留でノルボルネンとの混合液として安定に同時に回収することができ、回収循環ラインの閉塞問題を回避することができる。なお、このように溶媒とともにノルボルネンを回収する場合には、蒸留コンデンサー(図示せず)の冷却に水を用いることができ、工業用水や海水が好ましく使用される。使用する溶媒の種類や量等にもよるが、冷媒の温度は0〜95℃である。しかしノルボルネンの沸点が95℃であるため、蒸留圧力によってはノルボルネンを排気ガス中に排出する懸念があり、このような観点から蒸留塔の塔頂条件として、圧力は好ましくは10〜200kPa、より好ましくは10〜100kPa である。冷媒の温度は、使用する溶媒の種類や量等によるが0〜80℃が適当である。ただし、蒸留の際に排気ガス中に失われたノルボルネン、溶媒等は、原料タンクに適宜補充して加えることができる。また反応により増量したノルボルネンを適宜抜き出して反応系中の各原料濃度を一定量に保つこともできる。
【0021】
第2蒸留塔7の塔底から抜き出された反応混合液から、適宜の方法により製品としてのTCDを回収する。通常は蒸留によることが好ましい。いずれの場合も目的物であるテトラシクロドデセンは高温で分解するため、各蒸留塔においては、テトラシクロドデセンが分解雰囲気に曝されないよう、最高温度を200℃以下に保つことが肝要である。
【0022】
また本反応においては反応原料中に適宜に酸化防止剤、重合禁止剤等を加えることができる。例えば、ハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、4−メトキシフェノール等のフェノール系化合物、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン化合物などが好適に添加される。その添加量は、反応器中に供給される反応原料全量に対して、通常10〜10,000ppm、好ましくは50〜5,000ppmの範囲である。製品としてのテトラシクロドデセンにも同様に添加することができる。
【0023】
以下、本発明を実施例により説明する。
【実施例】
<実施例1>
テトラシクロドデセンの連続製造を図1に示すプロセスフローに従って行った。ノルボルネン/エチルシクロペンタン(溶媒)を重量比85/15で混合した原料を反応器に張り込み、市販のジシクロペンタジエンとエチレンとを反応開始以降連続的に導入した。その際ノルボルネン/ジシクロペンタジエン/エチレンの割合はモル比で10/1/1であった。なお最初に仕込んだノルボルネンの純度は99.7%であり、連続供給する市販のジシクロペンタジエンおよびエチレンの純度は、それぞれ94.7%および99.9%であった。
連続運転において、ノルボルネンとエチルシクロペンタンとの混合液を基準として空間速度は2h-1であり、反応器5における温度は230℃、反応圧力は5MPa とした。
【0024】
第1蒸留塔6は理論段数20段であり、圧力400kPa で連続運転を行うことにより、塔頂からエチレンを連続的に分離した。第1蒸留塔の塔底から抜き出した混合液を理論段数30段の第2蒸留塔7に送り、圧力20kPa、塔頂温度 43℃の蒸留条件でノルボルネンとエチルシクロペンタンの混合液を回収した。塔頂からから回収したノルボルネンとエチルシクロペンタンの混合液中には実質的にMTHIは含まれていなかった。
なお上記回収液は、溶媒の損失により初めの重量比の値、すなわちノルボルネン/エチルシクロペンタン=85/15から若干のずれを示したので、損失分のエチルシクロペンタンを原料タンクから連続的に供給した。
【0025】
第2蒸留塔7の塔底から抜き出した混合液を、第3蒸留塔(図示せず)において精製することにより、テトラシクロドデセンを純度99.6%で得た。以上の運転においてはなんら時間的変化が見られず、10日以上にわたって安定な連続運転が可能であった。
なおジシクロペンタジエン転化率は92%、エチレン転化率は72%であった。また純度99.6%のテトラシクロドデセンの収率は76%(ジシクロペンタジエン基準)であった。
【0026】
<比較例1>
実施例1において第2蒸留塔7の蒸留条件を圧力8kPa および塔頂温度28℃とした他は、実施例1と同様に連続反応を行った。
目的物のテトラシクロドデセンの純度を99.6%に維持したが、ノルボルネンおよびエチルシクロペンタンの回収混合液にMTHIが1,050ppm混入し、その結果、時間とともに重質物の生成量が多くなり、テトラシクロドデセンの収率およびジシクロペンタジエンとエチレンの転化率が経時的に低下を示した。
【0027】
【発明の効果】
本発明のテトラシクロドデセンの製造方法においては、MTHIを実質的に含まないノルボルネンを回収し循環再使用することにより、高純度のテトラシクロドデセンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様の一例を示すプロセスフローである。
【符号の説明】
1 溶剤タンク
2 ジシクロペンタジエンタンク
3 エチレンタンク
4 移送ポンプ
5 反応器
6 第1蒸留塔
7 第2蒸留塔
8 回収循環ライン

Claims (2)

  1. 下記工程(1)〜(5)を含むテトラシクロドデセンの連続的製造方法、
    (1)(a)エチレン、(b)不純物としてメチルテトラハイドロインデンを含有するシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンおよび(c)ノルボルネンを反応器に供給して反応させることにより、少なくともテトラシクロドデセン、ノルボルネンおよびメチルテトラハイドロインデンを含む反応混合液を製造する工程、
    (2)前記反応混合液からエチレンを分離除去する工程、
    (3)前記工程2を経た反応混合液から実質的にメチルテトラハイドロインデンを含まないノルボルネンを分離回収する工程、
    (4)前記工程3において分離回収したノルボルネンの少なくとも一部を前記反応器に循環する工程、および
    (5)前記工程3を経た反応混合液からメチルテトラハイドロインデンを分離し、テトラシクロドデセンを回収する工程。
  2. 下記工程(1)〜(5)を含むテトラシクロドデセンの連続的製造方法、
    (1)(a)エチレン、(b)不純物としてメチルテトラハイドロインデンを含有するシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエン、(c)ノルボルネンおよび(d)溶媒を反応器に供給して反応させることにより、少なくともテトラシクロドデセン、ノルボルネンおよびメチルテトラハイドロインデンを含む反応混合液を製造する工程、
    (2)前記反応混合液からエチレンを分離除去する工程、
    (3)前記工程2を経た反応混合液から実質的にメチルテトラハイドロインデンを含まないノルボルネンと溶媒の混合液を分離除去する工程、および
    (4)前記工程3において分離されたノルボルネンと溶媒の混合液の少なくとも一部を前記反応器に循環する工程、
    (5)前記工程3を経た反応混合液からメチルテトラハイドロインデンを分離し、テトラシクロドデセンを回収する工程。
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