JP4365903B2 - 内挿信号の合成方法および内挿信号の合成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、位置または角度の移動に応じて位相の異なった2つの周期信号を発生する手段として、例えばエンコーダを用い、上記周期信号の1周期よりも細かく位置または角度を検出した内挿値を、上記周期信号の計数値と合成する内挿信号の合成方法および内挿信号の合成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内挿値と周期信号の計数値を合成するときに、周期信号の計数のタイミングと内挿値の切り替わりタイミングが一致しないと最終的な合成値に不連続を生じる。従って、正確な合成値を得るためにはこのタイミングのずれをハード的か、ソフト的に補正する必要がある。
【0003】
図5は従来の内挿信号の合成方法を実行する回路構成のブロック図であり、図において、101、102はエンコーダ103から出力される90度位相差のある2つの周期信号、104はエンコーダ103の動きに応じて少なくとも1つの基準位置信号105を生成する基準位置信号生成手段、106aは周期信号101,106bは周期信号102をそれぞれ入力するアナログ/デジタル変換手段、107aは周期信号101,107bは周期信号102をそれぞれ二値化する二値化手段、108は基準位置信号105から計数初期化信号109を作成する計数初期化信号作成手段、110は二値化手段107a、107bからの二値化信号を計数する計数手段、111は二値化手段107aからの二値化信号112を取り込む二値化信号取り込み回路、113はアナログ/デジタル変換手段106a(または106b)からのデジタル信号、計数手段110からの計数値、二値化信号取り込む回路111からの二値化信号を入力して内挿値を求める内挿手段としての例えばCPU等の信号処理回路である。
【0004】
図6は図5に示す回路各部の信号波形図を示すもので、101、102は90度の位相差を持っている周期信号、105は基準位置信号生成手段104から出力される基準位置信号、109は計数初期化信号生成手段108から出力される計数初期化信号、112は二値化手段107aから出力された周期信号101の二値化信号、114は二値化信号112の立ち上がりで計数した計数値、115は周期信号を元に生成した内挿値、116は計数値114と内挿値115から合成される値であり、周期信号の計数のタイミングと内挿値の切り替わりタイミングが一致しないと合成値が不連続になり、段差117が生じる。
【0005】
90度位相差のある上記周期信号101、102は、中央値(ゼロクロス)より上半分を正、下半分を負と表現して区別する。この90度位相差のある2つの周期信号101、102は、ゼロクロスで1周期に4回カウントでき、周期信号101、102がsin波であれば、2つの周期信号101、102の比から周期中の位置が求められる。このように、周期内を細かく求めることを内挿という。
【0006】
つまり、ある時点で周期信号101、102の値をサンプリングしてtan-1102/101に相当する処理をすると、1周期中の内挿値115を求められる。その内挿値115を縦軸にとると、図6に示すように1周期毎の3角波になる。例えば、1周期を1000倍に内挿すると、はじめが0、最後が999となる。この内挿値115と1周期毎の計数値114を合成すると、実際の位置が周期の1000倍の細かさで求められる。
【0007】
この場合の合成する方法は、計数値114を内挿倍して、内挿値115と加算する。計数値114は1000、2000、3000と数え、これに内挿値115の0〜999の値を加えた結果が図6に示す合成値116となる。この合成方法がうまく行くためには、周期信号の計数のタイミングと内挿値の切り替わりタイミングが一致しなくてはならないが、一般的には図6に示しように一致せず、段差117が生じる。
【0008】
次に上記段差117の補正について説明する。二値化信号112は信号処理手段113にHighまたはLowのデジタル信号として取り込まれる。したがって、この信号のHigh、Lowの切り替わりを計数の切り替わりとして認識する。内挿値115の切り替わり点と2値化信号112のHigh、Lowの切り替わり点のずれによってタイミングのずれを検出し、内挿値115と計数値114の合成時の補正を行う。
【0009】
二値化信号112のHigh、Lowを見ると、LowからHighになるところで計数値114が切り替わり、内挿値115の切り替わりは999か0になる点である。このため、内挿値115が0付近で二値化信号112がLowの場合、あるいは内挿値115が999付近で二値化信号112がHighである場合はずれていることがわかる。
【0010】
そこで、上記ずれを検出した時には、内挿値115と計数値114の合成時に計数値を「1」をプラスする。また、反対の時は、「1」マイナスすることにより、段差117をなくする。
【0011】
つまり、計数値114が点線示のようであれば、合成値116は直線となって、段差117はなくなる。そのため、点線部分の計数値114に「1」をプラスする。また、タイミングが図6の場合と反対にずれていれば、段差117は合成値116の上側に生じるので、この場合は、「1」をマイナスすることにより、段差117をなくすることができる。図7は上記の説明状態を表にまとめたものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の内挿信号の合成方法は上記のように構成されているので、信号処理手段に二値化した信号を取り込むために二値化信号取り込み回路が必要であり、構成が複雑で高価である。また、厳密な意味で同時に二値化信号の取り込みと計数値の取り込みを行うことは困難である等の課題があった。
【0013】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、二値化信号を取り込むことなく、内挿値と計数値とのタイミングの不一致を補正できる内挿信号の合成方法および内挿信号の合成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の内挿信号の合成方法および内挿信号の合成装置は次の構成からなることを特徴とする。
【0015】
請求項1の発明の内挿信号の合成方法は、物体の角度または位置の動きに応じて位相の異なる2つの周期信号と少なくとも一つの基準位置信号とを生成し、
前記周期信号の二値化した二値化信号を2分の1周期ごとに計数値を求めるとともに、前記周期信号の位相に同期して前記基準位置信号によって前記計数値を初期化し、
前記周期信号のアナログ/デジタル変換値をもとに周期内を内挿して内挿値を求め、
前記計数値と前記内挿値を合成するとき、前記周期信号の計数のタイミングと前記内挿値の切り替わりタイミングの不一致を、前記計数値の二進数における最下位桁の情報で補正することを特徴としている。
【0016】
請求項2の発明の内挿信号の合成装置は、物体の角度または位置の動きに応じて位相の異なる2つの周期信号を生成する周期信号生成手段と、
前記の物体の角度または位置の動きに応じて少なくとも一つの基準位置信号を生成する基準位置信号生成手段と、
前記周期信号のそれぞれを二値化する二値化手段と、
前記周期信号の二値化信号を2分の1周期ごとに計数値を求める計数手段と、
前記周期信号の位相に同期して前記基準位置信号によって前記計数手段の計数値を初期化する計数初期化信号作成手段と、
前記周期信号をアナログ/デジタル変換する変換手段と、
前記周期信号のアナログ/デジタル変換値をもとに周期内を内挿して内挿値を求め、前記計数値と前記内挿値を合成するとき、前記周期信号の計数のタイミングと前記内挿値の切り替わりタイミングの不一致を、前記計数値の二進数における最下位桁の情報で補正する信号処理手段とを備えたことを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を添付図面について説明する。
【0018】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による内挿信号の合成方法を実行する装置の回路構成を示すブロック図であり、図において、1、2は周期信号生成手段としてのエンコーダ3から出力される90度位相差のある2つの周期信号、4はエンコーダ3の動きに応じて少なくとも1つの基準位置信号5を生成する基準位置信号生成手段、6aは周期信号1,6bは周期信号2をそれぞれ入力するアナログ/デジタル変換手段、7aは周期信号1,7bは周期信号2をそれぞれ二値化信号8a、8bに変換する二値化手段、9は基準位置信号5と二値化信号8aとを入力して計数初期化信号10を作成する計数初期化信号作成手段、11は二値化手段7a、7bからの二値化信号8a、8bを計数する計数手段、12はアナログ/デジタル変換手段6a、6bからのデジタル信号と、計数手段11からの計数値を入力して内挿値を求める内挿手段としての例えばCPU等の信号処理回路である。
【0019】
図2は図1に示す回路各部の信号波形図を示すもので、1、2は90度の位相差を持っている周期信号、5は基準位置信号生成手段4から出力される基準位置信号、10は周期信号1の二値化信号8aと基準位置信号5とに基づいて計数初期化信号作成手段9から出力される計数初期化信号、8aは二値化手段7aから出力された周期信号1の二値化信号、13は二値化信号8aの立ち上がりで計数した計数値である。
【0020】
図3は内挿値と周期信号の領域との関係を示す説明図であり、図において、14は周期信号1または周期信号2を元に生成した内挿値、15は周期信号の計数のタイミングと前記内挿値の切り替わりタイミングの差により生じたずれ部分である。
【0021】
次に動作について説明する。
【0022】
電源投入直後は周期信号1,2の位相と計数の関係は確定されていない。計数手段11は計数初期化信号10で初期化された後は、二値化信号8aの立ち上り、立ち下がりで計数する。ここでは値が増加する場合を示している。計数値13が増加するか減少するかは図示しない周期信号8bの二値化信号と周期信号1の二値化信号8aによって決められる。
【0023】
一般にインクリメンタル型の周期信号発生手段を用いる場合、基準位置を確定するため計数を初期化する動作が必要である。したがって、本発明が特に初期化のための動作を追加することを必要とするものではない。
【0024】
計数手段11は周期信号1と同期して初期化されるから、周期信号1の立ち上がりで0になる。図2、図3において、計数値13は簡単のため二進数の下2桁のみ示す。最下位桁は周期信号1が正のとき0、負のとき1となり周期信号の位相情報を持つことになる。
【0025】
信号処理手段12はあらかじめプログラムされた時間間隔でアナログ/デジタル変換手段6a、6bと計数手段11からある瞬間の値を取り込む。アナログ/デジタル変換手段6a、6bからの値の組み合わせは一周期にわたり固有の値を持つので、適切な処理を施すことで周期中の位置を特定できることが知られており、この処理が内挿処理である。
【0026】
この内挿処理された内挿値14と計数手段11からの計数値13を合成することで最終的な位置、つまり計数初期化信号を0(原点)とした内挿倍の分解能での位置を求めることができる。この場合。計数手段11から取り込む計数値13の切り替わりタイミングと内挿値14の切り替わりタイミングが一致しないと、図3に示すずれ部分15が生じる。この結果、両者の合成値は連続的な値が得られず、前記図6に示す段差117のような不連続を生じる。
【0027】
次にタイミングのずれについて説明するために、周期信号1または周期信号2の領域の分け方について説明する。図4(a)は周期信号1,2の一周期の時間応答を示し、図4(b)は縦軸を周期信号1の振幅と横軸を周期信号2の振幅にとったときの応答(リサージュ)16である。各周期信号1、2が中央値(ゼロクロス)を横切る点で領域を分けると、A,B,C,Dの4つの領域に分けられる。A,Bは周期信号1が正の部分である。C,Dは周期信号1が負の部分である。
【0028】
アナログ/デジタル変換値から求めた内挿値14は図3に示すように、A,B,C,Dの領域17を繰り返す。ずれ部分15はアナログ/デジタル変換値ではA,Bの領域であり、計数結果ではC,Dの領域である。
【0029】
計数値14の最下位桁が1のとき、アナログ/デジタル変換値の領域がC,Dであれば計数値13と内挿値14のタイミングが一致しており、最終位置は次の式で求められる。最終位置をpos、内挿値をfine、計数値をcount、内挿倍数をresoとする。
【0030】
pos=fine+(count/2)×reso
ここで、count/2の計算は、結果の小数点以下を切り捨てるもので、たとえばcountが2または3のとき、ともにcount/2=1とする。このような処理は、信号処理手段12に右シフト演算で実現できる。
【0031】
ずれ部分15はタイミングの不一致領域であり、この部分ではいずれか一方のタイミングに修正する必要がある。ここでは内挿値14の切り替わりタイミングを修正する方法について説明する。内挿値14の領域がA,Bであるので、計数値13の二進数の最下位桁が0となるべきところが1であるので、0となるように補正する。この場合、ずれ部分15で計数値13の方が遅れていると判断する。補正式は以下のようになる。
【0032】
pos=fine+((count)/2+1)×reso
また,図示しないが、逆にアナログ/デジタル変換値がC,Dの領域で計数値13の二進数の最下位桁が0のときは、計数値13の方が内挿値14より進んでいるので1を減ずる。その補正式は以下のようになる。
【0033】
pos=fine+((count/2)−1))×reso
【0034】
【発明の効果】
以上のように、この発明の内挿信号の合成方法および内挿信号の合成装置によれば、周期信号の計数を二分の一周期毎にし、基準位置信号と二つの周期信号のいずれか一つと同期をとって計数値を初期化し、計数値の二進数表現における最下位桁に周期内の位相情報を持たせ、内挿値と計数値を合成するときに二進数の最下位桁の情報を使って、周期信号の計数のタイミングと前記内挿値の切り替わりタイミングの不一致を補正するように構成したので、そのタイミングは完全に一致し、周期信号の二値化情報を別に取り込む必要がない等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態による内挿信号の合成方法を実行する回路構成のブロック図である。
【図2】 図1の各部の信号波形図である。
【図3】 内挿値と周期信号の領域との関係を示す説明図である。
【図4】 周期信号の位相関係の説明図である。
【図5】 従来の内挿信号の合成方法を実行する回路構成のブロック図である。
【図6】 図5の各部の信号波形図である。
【図7】 同期信号の計数タイミングと内挿値の切り替わりタイミングの不一致を補正する場合の状態を表にまとめた図である。
【符号の説明】
1,2 周期信号、3 周期信号生成手段(エンコーダ)、4 基準位置信号生成手段、5 基準位置信号、6a,6b アナログ/デジタル変換手段,7a,7b 二値化手段,8a,8b 二値化信号、9 計数初期化信号生成手段、10 計数初期化信号、11 計数手段、12 信号処理手段、13 計数値、14 内挿値。
Claims (2)
- 物体の角度または位置の動きに応じて位相の異なる2つの周期信号と少なくとも一つの基準位置信号とを生成し、
前記周期信号の二値化した二値化信号を2分の1周期ごとに計数値を求めるとともに、前記周期信号の位相に同期して前記基準位置信号によって前記計数値を初期化し、
前記周期信号のアナログ/デジタル変換値をもとに周期内を内挿して内挿値を求め、
前記計数値と前記内挿値を合成するとき、前記周期信号の計数のタイミングと前記内挿値の切り替わりタイミングの不一致を、前記計数値の二進数における最下位桁の情報で補正することを特徴とする内挿信号の合成方法。 - 物体の角度または位置の動きに応じて位相の異なる2つの周期信号を生成する周期信号生成手段と、
前記の物体の角度または位置の動きに応じて少なくとも一つの基準位置信号を生成する基準位置信号生成手段と、
前記周期信号のそれぞれを二値化する二値化手段と、
前記周期信号の二値化信号を2分の1周期ごとに計数値を求める計数手段と、
前記周期信号の位相に同期して前記基準位置信号によって前記計数手段の計数値を初期化する計数初期化信号作成手段と、
前記周期信号をアナログ/デジタル変換する変換手段と、
前記周期信号のアナログ/デジタル変換値をもとに周期内を内挿して内挿値を求め、前記計数値と前記内挿値を合成するとき、前記周期信号の計数のタイミングと前記内挿値の切り替わりタイミングの不一致を、前記計数値の二進数における最下位桁の情報で補正する信号処理手段とを備えたことを特徴とする内挿信号の合成装置。
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