JP4365872B2 - 乱数生成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、乱数生成装置に関する。
乱数は、情報セキュリティにおける暗号技術、認証技術を目的として用いられ、近年では、特にモバイル機器等への需要の拡大から、小型で高速な乱数生成装置が求められている。従来では、モバイル機器等の小型端末機器には擬似乱数が用いられてきた。
しかしながら、個人情報保護などの理由から、より高度なセキュリティ技術が必要とされてきている。そのため、暗号を解読されないよう、より予測不可能性の高い真性乱数を発生させる必要がある。真性乱数の生成には、物理現象を利用したランダムノイズを用いることが有効である。物理現象に基づくランダムノイズの生成には、ダイオード電流のゆらぎを利用する方法が知られている。しかしながら、この方法は、微小な白色ノイズの増幅のために大きな増幅回路が必要となり、小型の乱数生成装置を得ることは困難である。
また、小型な乱数生成装置のランダムノイズ生成素子として、SiN MOSFETを用いたものが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。このSiN MOSFETでは、チャネルと、非化学量論的SiN膜中にあるダングリングボンドに基づくトラップとの間には、非常に薄いトンネル絶縁膜が介在しているだけであり、ゲート電極に固定電圧を印加することにより、チャネルとトラップ間で熱揺らぎに起因した電子のランダムな充放電が生じる。したがって、ゲート電極に固定電圧を印加することにより、非化学量論的SiN膜中にあるダングリングボンドに基づくトラップに捕捉された電荷の量に応じて、チャネル領域の導電性がランダムに変動する。その結果、チャネルに流れる電流がランダムに変動し、ランダムノイズが発生する。このランダムノイズをデジタル乱数へ変換することで、乱数を発生させることが可能である。
また、小型な乱数生成装置のランダムノイズ生成素子として、導電性のSi微粒子群をトンネル絶縁膜上に有するMOSFETが知られている(例えば、特許文献1参照)。このMOSFETのゲート電極に固定電圧を印加することにより、チャネルと導電性のSi微粒子群との間に熱揺らぎによりランダムな電子の出入りが起こり、チャネルを流れるドレイン電流に、ランダムノイズが発生する。
乱数は、通常、より高速の生成レートで生成するのが望ましい。しかしながら、上述した非特許文献1および特許文献1に記載されたランダムノイズ生成素子に対し、良質の乱数を更なる高速の生成レートで生成することが求められている。
M. Matsumoto et al., "International Conference on Solid State Devices and Materials", SSDM(Solid State Device and Materials) 2006, pp280-281, 2006 特開2005−167165号公報
このように、情報セキュリティのより一層の向上をはかるため、小型でかつ、良質な乱数を高速に生成することが可能な乱数生成装置が要求されている。しかしながら、従来は、良質な乱数を高速に生成することのできる乱数生成装置を得ることが困難であった。
本発明は、良質な乱数を高速に生成することが可能な乱数生成装置を提供することを目的としている。
本発明の一態様による乱数生成装置は、振幅26mV以上のパルス波形電圧を発生するパルス電圧発生器と、半導体基板上に離間して形成されたソースおよびドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間のチャネル領域となる前記半導体基板上に形成されたトンネル絶縁膜と、前記トンネル絶縁膜上に形成され前記パルス電圧発生器からのパルス電圧が印加されるゲート電極とを有し、前記ソース領域と前記ドレイン領域間に流れる電流にランダムノイズが含まれるランダムノイズ生成素子と、前記ランダムノイズ生成素子から発生されるランダムノイズの大きさに基づいて乱数信号を生成する乱数生成部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、良質な乱数を高速に発生させることが可能な高性能の乱数生成装置を提供することができる。
まず、本発明の実施形態を説明する前に、本発明の一実施形態の乱数生成装置に含まれるランダムノイズ生成素子について説明する。
本実施形態に用いられるランダムノイズ生成素子10aの一つのとしては、SiN MOSFET、すなわち窒化シリコンを含むトラップ絶縁膜を有するMOSFETであって、その構成を図2に示す。このランダムノイズ生成素子10aにおいては、シリコン基板(半導体基板)11の表面領域に、ソース領域12a、ドレイン領域12bが形成されている。ソース領域12aとドレイン領域12bとの間の半導体基板の領域がチャネル領域12cとなる。このチャネル領域12cのゲート長L及びチャネル幅(ゲート幅)Wは小さいことが望ましい。また、チャネル領域12cは、長さL及び幅Wの細線部をチャネルの一部として有する領域であってもよい。ソース領域12aおよびドレイン領域12bには、リン(P)或いはヒ素(As)といったn型不純物が含有されている。これらのチャネル領域12c、ソース領域12a、およびドレイン領域12bは、図示しない素子分離絶縁領域によって分離されている。
チャネル領域12c上にはトンネル絶縁膜13が形成され、トンネル絶縁膜13上にはトラップ絶縁膜14が形成されている。これらのトンネル絶縁膜13およびトラップ絶縁膜14によって絶縁部が形成されている。トラップ絶縁膜14は、ダングリングボンドに基づくトラップを有し、Si(SiO(Si1−y(x≧0、1≧y≧0、z≧0)なる一般式で表される材料からなっている。なお、MはSi、O、およびN以外の元素を示す。したがって、トラップ絶縁膜14は、非化学量論的なシリコン酸窒化膜またはシリコン窒化膜で形成されている。このトラップ絶縁膜14上には制御酸化膜(制御絶縁膜)15が形成され、制御酸化膜15上にはn型ポリシリコンで形成されたゲート電極(制御電極)16が形成されている。
上述したように、ランダムノイズ生成素子10aには、ダングリングボンドに基づくトラップを有するトラップ絶縁膜14が形成されている。そのため、ゲート電極16に所定電圧を印加することにより、ランダムノイズ生成素子10aは、トンネル絶縁膜13を介して、チャネル領域12cとトラップ絶縁膜14との間で電子(電荷)の充電または放電を行うことが可能である。すなわち、チャネル領域12cとトラップ絶縁膜14との間には非常に薄いトンネル絶縁膜13が介在しているだけであるため、熱揺らぎに起因した電子のランダムな充放電が生じる。したがって、トラップ絶縁膜14中のトラップに捕捉された電荷の量に応じて、チャネル領域12cの導電性がランダムに変動する。すなわち、トラップに捕捉された電荷の量に応じて、ソース領域12aとドレイン領域12cとの間に流れる電流がランダムに変動する。したがって、ランダムノイズ生成素子に後述する回路を接続することにより、チャネル領域12cの導電性のランダムな変動に基づく乱数を生成することが可能となる。
さらに、本発明の各実施形態においては、ランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に、パルス電圧発生器70から発生されるパルス電圧(例えば、クロックパルス)75を印加する。これにより、チャネル領域12cとトラップ絶縁膜14との間における電界に変化が生じ、ランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に固定電圧を印加した場合と比較して、電子(電荷)の充放電が促進され、ランダムノイズが大きくなる。
なお、このランダムノイズ生成素子において生成する揺らぎ成分は、1MHzの揺らぎ成分を0.1%以上有することが望ましい。1MHzの揺らぎ成分が0.1%以上であれば、増幅回路なしで、情報セキュリティを用途とした場合汎用性の高い、1Mbits/sec以上の乱数生成レートで真性乱数を生成するという条件を満たすことが可能となるからである。
このときランダムノイズ生成素子に固定電圧の印加した際に1MHzの揺らぎ成分0.1%以上という値を達成しない素子を用いた場合でも、パルス電圧を印加することにより、得られるランダムノイズが上記の値を達成していれば良い。逆に、ランダムノイズ生成素子自体の性能が高く、固定電圧の印加により1MHzの揺らぎ成分0.1%以上という値を達成するランダムノイズ生成素子を用いて、パルス電圧を印加することにより、さらに揺らぎ成分を増加させてもよい。
なおランダムノイズ生成素子において生成する1MHzの揺らぎ成分が0.1%以上が望ましいとする要件は、実験データなどに基づいて特定したものである。具体的には、以下の通りである。ランダムノイズ生成素子を含んだマルチバイブレータ回路とカウンタ等で構成される回路を用いて乱数を生成するときについて例に挙げる(“S. Yasuda et al., International Conference on Solid State Devices and Materials, pp. 250-251, 2002”参照)。マルチバイブレータ回路は発振回路であり、回路を構成している抵抗のひとつをランダムノイズ生成素子と入れ替えることで発振周期に揺らぎが生じる。その発振周期は抵抗と電気容量の積に比例する。一方、カウンタは、クロックイネーブル端子と、CK端子とを有している。そして、マルチバイブレータから出力されたランダムな発振信号がカウンタのクロックイネーブル端子に入力され、リングオシレータ等を用いたクロックがCK端子へ入力されることで、ランダムな発振信号がカウントされ、カウントされた値が奇数か偶数かによって、「1」および「0」に振り分け出力する。このとき、発振周期の揺らぎ幅を、リングオシレータを用いた一般的に最も高速とされる1GHzのクロックでカウントすると、発振周期の揺らぎは少なくとも1ns(1GHzの逆数であり、1μsの0.1%)よりも大きくないと、「1」および「0」に振り分け出力することができない。そのため、周波数1MHzにおける揺らぎ成分が1MHzの0.1%以上なければならない。
ここで、ランダムノイズの大きさを評価するにあたり、1MHzを基準として挙げる理由としては、一般的に乱数生成レートがMHzオーダー以上であると汎用性の高い乱数として扱われることにある。乱数生成レートがMHzオーダーに届かないものも十分利用価値はあるが、乱数生成レートは速いほうがより望ましい。
すでに述べたように、本発明の一実施形態に用いられるランダムノイズ生成素子は、トラップ絶縁膜14中に存在するトラップによって電子の充放電を行っており、熱揺らぎによる効果に加え、ゲート電極にパルス電圧を印加することによって生成される電界変化による電子の充放電が生じている。そのために、従来のようにゲート電極に固定電圧を印加した場合よりも、ランダムノイズの成分を大きくすることが可能である。すなわち、トラップに充電された電子はゲート電圧が一定であったときと比べ、パルス電圧を加えることで、熱揺らぎのみに加えて電界変化によってより電子が放出されやすい状態になる。また逆の方向に電界が印加される場合にはより電子が注入されやすい傾向となり、したがって電子の充放電量を多くすることができ、揺らぎ成分を大きくすることが可能となる。このときゲート電極が印加するパルス電圧の振幅は26mV以上であることが必要である。これはパルス電圧の振幅が電子の熱揺らぎよりも大きい必要があるからである。(電子の室温(300K)における熱揺らぎ(kT)は26meVである。)すなわち、26mV以上の電圧をかけることにより、電荷に26meV以上のエネルギーを与えることとなるからである。
図3は、上記ランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16にパルス電圧を印加した際の、ソース・ドレイン間に流れるドレイン電流Iの揺らぎの実験結果を示した図であり、図4はゲート電極16に固定電圧を印加した際の、ソース・ドレイン間に流れるドレイン電流Iの揺らぎの実験結果を示した図である。図5は、これらのドレイン電流の揺らぎに対する周波数特性を示した図である。
上記実験に使用したランダムノイズ生成素子10aは同一であり、そのゲート長Lは0.12μm、チャネル幅Wは0.15μmであった。また、このランダムノイズ生成素子10aでは、非化学量論的SiNからなるトラップ絶縁膜14中のSiとNの原子数比率は1:1であり、トンネル絶縁膜13としてSiO膜を使用し、その膜厚Tは0.7nmであった。このランダムノイズ生成素子10aでは、SiN膜14中のSiとNの原子数比率およびトンネル絶縁膜として、最良に近いものを用いている。また、ランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に印加したパルス電圧の周期は32msである。またデータ取得間隔は印加したパルス電圧と同周期である。また、ランダムノイズ生成素子10aの、トンネル絶縁膜13の膜厚T、シリコン窒化膜からなるトラップ絶縁膜14の膜厚TSiN、制御絶縁膜15の膜厚Ttop、ゲート電極16に印加したパルス電圧の振幅ΔVはそれぞれ、T=0.7nm、TSiN=5nm、Ttop=6nm、ΔV=4Vであった。パルス電圧の振幅ΔV=4Vは、電界変化4MV/cm程度に相当し、ランダムノイズ生成素子を劣化させない範囲内の適度な印加電圧値と考えられる。
なお、本発明の一実施形態においては素子にかかる電界が10MV/cm以下であることが素子を劣化させない上で望ましい。したがって、パルス電圧の振幅の上限は、それを考慮して設定することが望ましい。例えば、絶縁膜の膜厚を酸化膜換算膜厚(EOT;例えば、物質AのEOT(EOT(A))は、EOT(A)=Tphys.×(ε(SiO2)/ε(A))、(ただし、Tphys.は物理膜厚,ε(SiO2)はSiO2の誘電率,ε(A)は物質Aの誘電率である。)で表わした場合、本発明の一実施形態におけるランダムノイズ生成素子では、トンネル絶縁膜13と、トラップ絶縁膜14と、制御酸化膜15と、ゲート電極16の酸化膜換算膜厚による膜厚合計で印加電圧(パルス電圧の振幅)を割った値が素子にかかる電界となる。したがって、電界の上限と素子の各膜の膜厚からパルス電圧の振幅の上限が導ける。
また、本発明の一実施形態においてパルス電圧の周期は、乱数生成レートに同期するものであり、それほど速い生成レートが要求されるものでなければ、例えば1Hz以上あれば十分効果があると考えられ、一方、一般的に最も高速とされるクロックの周波数は1GHz程度であるため、実質かけるパルス電圧の上限周波数はこの値が挙げられる。
なお、図3および図4に示す実験においては、ドレイン電流Idの値がほぼ2μAとなるように、ゲート電極に印加する電圧を調整してある。なお、実験に用いたランダムノイズ生成素子10aは、今回示す実験においてはn型MOSFETを使用したため、ゲート電極に印加するパルス電圧は正となるように調整した。
図3に示すように、パルス電圧を印加した場合におけるランダムノイズ生成素子10aの電流の揺らぎ成分は大きく、具体的には電流全体の20%程度に相当する。一方、図4に示すように、固定電圧を印加した場合のランダムノイズ生成素子の電流の揺らぎ成分は小さく、具体的には電流全体の10%程度である。このように、ランダムノイズ生成素子のゲート電極にパルス電圧を印加した場合のほうが、固定電圧を印加した場合に比べて、電流の揺らぎ成分が格段に大きくなっている。また、図5に示すように、実質的に全ての周波数において、パルス電圧を印加した方が、固定電圧を印加した場合よりも、電流揺らぎ成分が大きくなっている。
したがって、ゲート電極16にパルス電圧を印加して得られるノイズのほうが、一定電圧を印加して得られるノイズよりも、高品質な真性乱数を生成することが可能である。なお、ランダムノイズ生成素子10aにおけるトンネル絶縁膜13は非常に薄く、例えば1MHzの揺らぎ成分が0.1%以上となるランダムノイズ生成素子では、電荷はチャネル12cとトラップ絶縁膜14との間を1μsよりも高速な平均トンネル時間で出入りすると考えられる。よって、印加するパルス電圧の周期が1μs以上であれば、ゲート電極16に印加するパルス電圧の周期には依存せず、電荷はいずれの周波数においても、ゲート電極16に一定電圧を印加するよりも、多くのノイズ成分を得ることが可能である。このように、ランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16にパルス電圧を印加することによる同期ノイズ増大の効果は、本発明者達によって初めて、実験より得られた結果である。また、この実験において用いたパルス電圧は、矩形波であったが、さらに、サイン波、三角波等の異なる波形でも同様の結果が得られる。以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による乱数生成装置を図1に示す。本実施形態の乱数生成装置は、ランダムノイズ生成素子10aおよび負荷抵抗10bが直列に接続されたランダムノイズ源10と、バッファ回路20と、コンパレータ30と、バッファ回路40と、タイミング回路50と、D型フリップフロップからなるラッチ回路60と、パルス電圧発生器70と、を備えている。
そして、このランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に、パルス電圧発生器70から発生されたパルス電圧75を印加することで、より大きなランダムノイズを得ることが可能となる。また、ランダムノイズ生成素子10aの一端は電源電圧Vに接続され、他端は抵抗10bの一端に接続されている、抵抗10bの他端は接地されている。なお、本実施形態で印加されるパルス電圧75の振幅ΔVは4Vである。
本実施形態では、まず、固定電圧の印加により1MHzの揺らぎ成分を0.1%以上という値を達成するランダムノイズ生成素子、を用いて、さらにこの素子にパルス電圧を印加することにより、さらに揺らぎ成分を増加さる場合について説明する。また、さらには1MHzの揺らぎ成分を1%以上、あるいは0.01%以上という値を達成するランダムノイズ生成素子についても説明する。
本実施形態の乱数生成装置に係るランダムノイズ生成素子10aとしては、既に説明した図2に示すSiN MOSFET素子を用いる。このランダムノイズ生成素子10aは、トンネル絶縁膜13としてシリコン酸化膜を用い、トラップ絶縁膜14としてダングリングボンドによるトラップを含むSi(SiO(Si1−y(x≧0、1≧y≧0、z≧0、ただし、x=z=0且つy=1の場合を除く)からなるシリコン酸窒化膜またはシリコン窒化膜を用いている。なお、MはSi、O、およびN以外の元素を表す。
まず、このランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に固定電圧が印加されたときの揺らぎ成分について説明する。図6に、このランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に固定電圧を印加したときのドレイン電流Iの揺らぎ特性を示す。ここで用いたランダムノイズ生成素子10aは、ゲート長Lが0.06μm、ゲート幅Wが0.15μm、トンネル絶縁膜13の膜厚Tが0.7nm、トラップ絶縁膜14中のSi原子数とN原子数との比率Si/Nが1である。図6に示すように、ドレイン電流Iは、平均値が1.00×10−5Aであって、この平均値を中心に揺らいでおり、その片振幅(電流揺らぎ幅)が最大でも平均値の15%である。
図6に示すドレイン電流波形を60μsec毎にサンプリングしてフーリエ変換を行って求めた周波数特性を図7に示す。フーリエ変換を行って求めたデータを図7の黒三角で示す。この図7からわかるように、ドレイン電流の揺らぎはいくつもの周波数の成分の重ね合わせによるものであり、高周波になるほど、含まれる揺らぎ成分((フーリエ係数の絶対値))は少なくなる。既に説明したように、図6に示す電流波形の電流揺らぎ幅は、平均値の15%である。この15%の揺らぎの主成分が低周波数の成分によるものと考え、この15%の揺らぎ成分が10Hzの成分に対応するとしたとき、10Hzの揺らぎ成分(フーリエ係数の絶対値)は8.4×10−5となる。電流揺らぎ成分が0.1%の周波数、すなわちフーリエ係数の絶対値が8.4×10−8となる周波数は、図7に示す周波数特性が100Hz以上の周波数領域において直線gで表されると仮定して求めた回帰分析式から求めると、約2.8MHz付近となる。また、直線gから1MHzでの電流揺らぎ成分を求めると、9.0×10−7であり、ドレイン電流Iの平均値の0.16%となる。したがって、ランダムノイズ生成素子10aから発生されるランダムノイズは1MHzの揺らぎ成分が0.1%以上の比率で含むという基準となる条件を満たす。
次に、構造パラメータをそれぞれ変えたランダムノイズ生成素子10aを作成し、これらの構造パラメータに対するランダムノイズの電流揺らぎ成分の依存性を調べた。ここで挙げる構造パラメータは、ゲート長Lと、チャネル幅Wと、トンネル絶縁膜13の膜厚Tと、トラップ絶縁膜14となるシリコン窒化膜(SiN,U>0.75)中におけるSiとNの原子数の比率Uである。
まず、ゲート長Lに対するランダムノイズの電流揺らぎ成分の依存性、すなわち、ゲート長に対する、所定の周波数(例えば、100Hz)におけるフーリエ係数の絶対値の依存性を調べ、その結果を図8に示す。図8の横軸はゲート長Lの逆数1/Lを表し、縦軸はフーリエ係数の絶対値を表している。なお、この実験に用いられたランダムノイズ生成素子10aは、チャネル幅(ゲート幅)Wが0.15μm、トンネル絶縁膜13の膜厚Tが0.7nm、トラップ絶縁膜14中におけるSiとNとの原子数比Si/Nが1であった。この図8からわかるように、ランダムノイズの電流揺らぎ成分はゲート長Lの逆数1/Lに比例する。なお、この実験では、フーリエ係数は周波数が100Hzでの値を用いたが、ランダムノイズの電流揺らぎ成分が1/Lに比例するという特性は、周波数には依存していないことは本発明者達によって確かめられている。
次に、チャネル幅Wに対する、周波数250Hzにおけるフーリエ係数の絶対値の依存性を調べ、その結果を図9に示す。図9の横軸はチャネル幅Wの逆数1/Wを表し、縦軸はフーリエ係数の絶対値を表している。なお、この実験に用いられたランダムノイズ生成素子10aは、チャネル長Lが0.06μm、トンネル絶縁膜13の膜厚Tが0.7nm、トラップ絶縁膜14中におけるSiとNとの原子数比Si/Nが1であった。この図9に示すグラフは、横軸の値をx[μm−1]、縦軸の値をy[AHz1/2]とすると、y=3×10−5×x2/5と表される。従って、ランダムノイズの電流揺らぎ成分はW−2/5に比例する。なお、この実験では、フーリエ係数は周波数が250Hzでの値を用いたが、ランダムノイズの電流揺らぎ成分がW−2/5に比例するという特性は、周波数には依存していないことは本発明者達によって確かめられている。
次に、トンネル絶縁膜13の膜厚Tに対する、周波数250Hzにおけるフーリエ係数の絶対値の依存性を調べ、その結果を図10に示す。図10の横軸はトンネル絶縁膜13の膜厚Tを表し、縦軸はフーリエ係数の絶対値を表している。なお、この実験に用いられたランダムノイズ生成素子10aは、チャネル長Lが0.06μm、チャネル幅Wが0.15μm、トラップ絶縁膜14中におけるSiとNとの原子数比Si/Nが1であった。この図10に示すグラフは、横軸の値をT[nm]、縦軸の値をy[AHz1/2]とし、Hをトンネル絶縁膜13のバリア高さ[eV]すると、yは、8×10−7×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)と表される。従って、ランダムノイズの電流揺らぎ成分はexp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)に比例する。なお、この実験では、フーリエ係数は周波数が250Hzでの値を用いたが、ランダムノイズの電流揺らぎ成分がexp(−T/0.8664)に比例するという特性は、周波数には依存していないことは本発明者達によって確かめられている。
次に、シリコン窒化膜(SiN,U>0.75)からなるトラップ絶縁膜14中のSiとNの原子数の比U(=Si/N)に対する、周波数300Hzにおけるフーリエ係数の絶対値の依存性を調べ、その結果を図11に示す。図11の横軸はトラップ絶縁膜14中のSiとNの原子数の比Uを表し、縦軸はフーリエ係数の絶対値を表している。なお、この実験に用いられたランダムノイズ生成素子10aは、チャネル長Lが0.06μm、チャネル幅Wが0.15μm、トンネル絶縁膜13の膜厚Tが0.07nmであった。この図11に示すグラフは、横軸の値をU、縦軸の値をy[AHz1/2]とすると、yは、理論モデルからa×((U−0.75)/(1+U)+0.01174)1/2と表される。ここでaは定数である。この理論モデルは、統計学の中心極限定理から、揺らぎは重ね合わせ数(トラップ密度)の1/2乗に比例するという考えから導いたものである。ここで言うトラップ密度とは、1原子あたりのダングリングボンド数であり、シリコン窒化膜SiNにおいて原子数(1+U)に対し、シリコン窒化膜はU=0.75で化学量論的となるため、1原子あたりのダングリングボンド数は(U−0.75)/(1+U)となる。よって原子数の比率(1原子あたりのダングリングボンド数)に対するフーリエ係数の振る舞いは、上記の理論モデルで表される。また、U=0.75の時のa×0.011741/2は化学量論的な場合でも可能なノイズ強度の目安である。なお、この実験では、フーリエ係数は周波数が300Hzでの値を用いたが、ランダムノイズの電流揺らぎ成分が上述の式で表され、この式が周波数には依存していないことは本発明者達によって確かめられている。以上説明した、図3乃至図11に関する実験データは、本発明者達が実験により独自に見出した結果である。
次に、各パラメータに対するドレイン電流に含まれる電流揺らぎ成分(フーリエ係数)が、1MHzの揺らぎ成分を0.1%以上の比率で含むための条件を以下に示す。ゲート長Lが0.06μm、チャネル幅(ゲート幅)Wが0.15μm、トンネル絶縁膜Tが0.7nm、トラップ絶縁膜中のSiとNの原子数比率Si/Nが1であるときのフーリエ係数の周波数依存性は、既に説明した図7のようになる。図7より、フーリエ係数の回帰分析式(図7の直線g1の式)が|フーリエ係数|=0.0006f−0.4705であるから、0.1%の揺らぎ成分を持つときのフーリエ係数の値を見積もることができる。ただし、このフーリエ係数の回帰分析式は周波数100Hz以上のときに適用するものとする。また、フーリエ係数の絶対値の4種類のパラメータの依存性は、各パラメータに関する特性のそれぞれの積Cとなり、この積Cは、C=((U−0.75)/(1+U)+0.01174)1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5と表される。各パラメータが図6における条件と等しいとき、C=5.8678[μm−7/5]となる。また、先ほどの図7によるフーリエ係数の回帰分析式から、周波数1MHzでの揺らぎ成分の比率は約0.16%となり、各パラメータに関する特性の積Cが、図7における各パラメータの値を代入することで求まった値C=5.8678の0.1/0.16倍よりも大きければ、1MHzにおける揺らぎ成分を0.1%以上有していると考えられる。すなわち、下記の(1)式
((U−0.75)/(1+U)+0.01174)1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧5.8678/1.6=3.67[μm−7/5] ・・・(1)
を満たすとき、1MHzにおける揺らぎ成分を0.1%以上有すると考えられる。
上記実験で用いたランダムノイズ生成素子10aのトラップ絶縁膜14はSiを過剰に含むSi窒化膜であったが、同等のSiダングリングボンド数を含むSiリッチの酸窒化膜(Si(SiO(Si1−y、x>0、1≧y≧0)を有するランダムノイズ生成素子についても同様の振る舞いをすると考えられる。
Siリッチの窒化膜の場合は、化学量論的な組成がSiのため、SiNの1原子あたりのSiダングリングボンド数は(U−0.75)/(U+1)となり、Si/N=1ならば、U=1となり、原子1個あたりのダングリングボンド数は0.125となる。一方、Siリッチな酸窒化膜(Si(SiO(Si1−y、x>0、1≧y≧0)では、x=0で化学量論的である。ここで、1原子あたりの過剰Si原子数はx/(x+7−4y)となり、原子結合手4本の過剰Siが1個、原子結合手3本のN原子および原子結合手2本のO原子と入れ替わることで、ダングリングボンドが発生する。このとき、過剰SiがNとOに入れ替わる確率はNとOの原子数比によって割り振られる。また、原子結合手3本のN原子と入れ替わることで1本のダングリングボンドが発生し、原子結合手2本のO原子と入れ替わることで2本のダングリングボンドが発生する。これらより、1原子あたりのダングリングボンド数は、x/(x+7−4y)×[(4−4y)/(4−2y)+{2y/(4−2y)}×2]となる。つまり、1原子あたりのSiダングリングボンド数は、x/(x+7−4y)×[(4−4y)/(4−2y)+{2y/(4−2y)}×2]=0.125となり、この条件式を満たすように、例えばy=0.5のときは、x=15/29となる。
一般に、ゲート長L[μm]、チャネル幅(ゲート幅)W[μm]、トンネル絶縁膜13の膜厚T[nm]、原子数比率xおよびy(x>0、1≧y≧0)が任意であるとき、下記の(2)式
[x/(x+7−4y)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}+0.01174]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧3.67[μm−7/5] ・・・ (2)
を満たすならば、1MHzの揺らぎ成分を0.1%以上含む乱数生成が可能なランダムノイズ生成素子になり得る。
もっと一般に、MをSi、O、N以外の元素を表すとき、トラップ絶縁膜14がSi(SiO(Si1−y、x>0、1≧y≧0、z≧0)と表現されている場合は、下記の(3)式
[x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}+0.01174]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧3.67[μm−7/5] ・・・ (3)
を満たせばよい。また、トンネル絶縁膜なしの形態(上式でいうT=0)とすることもできる。
以上には、ランダムノイズ生成素子から生成する1MHzのランダムノイズ成分が0.1%以上となる素子について説明を行った。 ところで、携帯電話等の小型端末機器においては、使用クロックの周波数がより小さい100MHz程度であるとより望ましい。マルチバイブレータ等を用いて1MHzで発振させるためには、1μsの周期における揺らぎ成分は1%の10ns(クロック周波数100MHzの逆数)以上であることがより望ましい。また、一般的に最も高速とされるクロックを用いて、マルチバイブレータから出力されたランダムな発振信号をカウントし、「1」および「0」に振り分け出力する場合、マルチバイブレータの発振周波数は1MHzよりも大きいところでも、出力されたランダムな発振信号をカウントし、「1」および「0」に振り分け出力することが可能である。前で述べたように、図7より、フーリエ係数の回帰分析式(図7の直線g1の式)が|フーリエ係数|=0.0006f−0.4705であり、実験値から、1MHzのときの揺らぎ成分は約0.16%であることを示した。例えば、1MHzでの揺らぎ成分が1%となるような、フーリエ係数の回帰分析式g1と同じ傾きを持つ回帰直線式(g1の右辺を1/0.16倍した式)|フーリエ係数|=0.00375f−0.4705にフーリエ係数の周波数特性が従うとき、約400MHzで1nsの揺らぎ成分を含むと見積もることができる。よって、1MHzで1%の揺らぎ成分を含むことで、より高速な乱数生成が期待できる。
1MHzの揺らぎ成分を1%含むときも、上記1MHzの揺らぎ成分を0.1%含むときと同様に、一般に、ゲート長L[μm]、ゲート幅W[μm]、トンネル絶縁膜の膜厚T[nm]、トンネル絶縁膜のバリア高さH[eV]、トラップ絶縁膜14の原子数比率xおよびy(x>0、0≦y≦1)が任意であるとき、下記(4)式
[x/(x+7−4y)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}+0.01174]1/2×exp(−T{H/3.1[eV]}1/2/0.8664)/LW2/5≧36.7[μm−7/5] ・・・ (4)
を満たすならば、1MHzの揺らぎ成分を1%以上含む乱数生成が可能なランダムノイズ生成素子になり得る。
もっと一般に、MをSi、O、N以外の元素を表すとき、トラップ絶縁膜がSi(SiO(Si1−y、x>0、1≧y≧0、z≧0)と表現される場合、下記の(5)式
[x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}+0.01174]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧36.7[μm−7/5] ・・・ (5)
であればよい。
一方用途によっては乱数生成レートがそれほど早い必要のないものもあり、そのような場合においても十分に用途は考えられる。例えば、1MHzの揺らぎ成分を0.01%含むときも、上記1MHzの揺らぎ成分を0.1%含むときと同様に、一般に、ゲート長L[μm]、チャネル幅(ゲート幅)W[μm]、トンネル絶縁膜の膜厚T[nm]、原子数比率xおよびy(x>0、0≦y≦1)が任意であるとき、下記の(6)式
[x/(x+7−4y)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}+0.01174]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧0.37[μm−7/5] ・・・ (6)
を満たすならば、1MHzの振動成分を0.01%以上含む乱数生成が可能なランダムノイズ生成素子になり得る。
もっと一般に、MをSi、O、N以外の元素を表す記号し、トラップ絶縁膜がSi(SiO(Si1−y、x>0、1≧y≧0、z≧0)と表現される場合、下記の(7)式
[x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}+0.01174]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧0.37[μm−7/5] ・・・ (7)
を満たせばよい。
以上が、ランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に固定電圧印加したときのそれぞれの条件に対応するランダムノイズ生成素子の条件である。
一方、ランダムノイズ生成素子に固定電圧の印加した際に1MHzの揺らぎ成分0.1%以上という値を達成しない素子を用いた場合でも、パルス電圧を印加することにより、得られるランダムノイズが上記の値を達成する場合について説明する。
以下に、ランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16にパルス電圧を印加することによる効果およびその場合にランダムノイズ生成素子から生成するランダムノイズの1MHzの揺らぎ成分をそれぞれ0.01%以上、0.1%以上、1%以上含むための条件について述べる。
前述したように、ランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16にパルス電圧を印加したときのランダムノイズは、ドレイン電流Iの揺らぎの周波数特性を示す図5からわかるように、ゲート電圧が固定であったときのランダムノイズに比べ、大きさが約3倍程度の増大が見られる。本実施形態のように、ランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16にパルス電圧を印加したときのランダムノイズの大きさ、すなわちフーリエ係数の絶対値の大きさの回帰分析によって求めた直線gを図7に示している。なお、このときのランダムノイズ生成素子10aのゲート長Lは0.06μm、ゲート幅Wは0.15μm、トンネル絶縁膜13の膜厚Tは0.7nm、シリコン窒化膜からなるトラップ絶縁膜14における原子数比率Si/Nは1であった。
図6より固定電圧をゲート電極に印加したときのドレイン電流の揺らぎは10μA付近に対し、15%程度の電流揺らぎ成分を持つ。図7からわかるように、1MHzでの電流揺らぎ成分は0.16%程度である。したがって、1MHzにおける揺らぎ成分が0.1%以上という条件を満たしている。これに対し、ゲート電極にパルス電圧を印加することで、約3倍の揺らぎ成分が得られることから、ゲート電極にパルス電圧を印加したときの揺らぎ成分と周波数領域について同様に考えると、1MHzでの電流揺らぎ成分は0.48%程度である。したがって、1MHzにおける揺らぎ成分が0.1%以上という条件を満たしている。また、ゲート電極に印加するパルス電圧による効果には、非常に薄いトンネル絶縁膜を用いるので周波数依存性はないと思われる。
次に、構造パラメータを変えたランダムノイズ生成素子10aを作製し、これらのランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16にパルス電圧を印加した場合と、固定電圧を印加した場合の特性を調べた。本実験で変えた構造パラメータとしては、ゲート長L及びチャネル幅(ゲート幅)W、及びトンネル絶縁膜の膜厚Tが用いられた。いずれのパラメータ依存性を調べる実験においてもパルス電圧の周期は32ms、ΔV=4Vである。また、ランダムノイズ生成素子10aのトラップ絶縁膜14の膜厚TSiNは5nm、制御絶縁膜15の膜厚Ttopは6nmであり、これらの値はチャネル長L、チャネル幅W、ゲート絶縁膜の膜厚Tを変えても一定である。
まず、ゲート長(チャネル長)Lに対するフーリエ係数の依存性を調べると、図12に示すようになった。この実験で用いたランダムノイズ生成素子のチャネル幅Wは0.15μm、トンネル絶縁膜13の膜厚Tは0.7nm、トラップ絶縁膜14中のSiとNの原子数比Si/Nは1である。なお、図12においては、フーリエ係数は、周波数が5Hzにおける値を示している。図12からわかるように、パルス電圧を印加した場合と固定電圧を印加した場合のどちらの場合も、ランダムノイズの大きさは、ほぼチャネル長Lの逆数1/Lに比例している。しかし、ゲート電極にパルス電圧を印加したときの方が固定電圧を印加する場合に比べて約3倍の大きさのランダムノイズが得られる。ここで示したパルス電圧を印加した場合のランダムノイズとは、パルス電圧に同期するランダムノイズを意味する。
次に、チャネル幅Wに対するフーリエ係数の依存性を調べると、図13に示すようになった。この実験で用いたランダムノイズ生成素子のチャネル長Lは0.12μm、トンネル絶縁膜13の膜厚Tは0.7nm、トラップ絶縁膜14中のSiとNの原子数比Si/Nは1である。なお、図13においては、フーリエ係数は、周波数が1.5Hzにおける値を示している。図13からわかるように、パルス電圧を印加した場合と固定電圧を印加した場合のどちらの場合も、ランダムノイズの大きさは、チャネル幅Wの逆数1/Wの累乗に比例している。しかし、ゲート電極にパルス電圧を印加したときの方が固定電圧を印加する場合に比べて約3倍の大きさのランダムノイズが得られる。ここでパルス電圧を印加した場合のランダムノイズとは、パルス電圧に同期するランダムノイズを意味する。
次に、トンネル絶縁膜の膜厚Tに対するフーリエ係数の依存性を調べると、図14に示すようになった。この実験で用いたランダムノイズ生成素子10aのチャネル長Lは0.06μm、チャネル幅Wは0.15μm、トラップ絶縁膜14中のSiとNの原子数比Si/Nは1である。なお、図14においては、フーリエ係数は、周波数が1.1Hzにおける値を示している。図14からわかるように、パルス電圧を印加した場合と固定電圧を印加した場合のどちらの場合も、ランダムノイズの大きさは、トンネル絶縁膜13の膜厚Tに対し、指数関数的に減少する。しかし、ゲート電極にパルス電圧を印加したときの方が固定電圧を印加する場合に比べて約3倍の大きさのランダムノイズが得られる。ここでパルス電圧を印加した場合のランダムノイズとは、パルス電圧に同期するランダムノイズを意味する。なお、上記図12乃至図14に示す実験データは、本発明者達が実験によって独自に見出されたものである。
次に、周波数が1MHzのときに含まれるランダムノイズの揺らぎ成分の割合と各パラメータの値の条件について述べる。
既に説明したように、本実施形態に係るランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に固定電圧を印加したときの周波数特性におけるフーリエ係数の絶対値は、
|フーリエ係数| = 0.0006f‐0.4705 ・・・ (8)
と表された(例えば、図7参照)。
また上述したように、本実施形態に係るランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16にパルス電圧を印加したときのフーリエ係数の絶対値は、固定電圧を印加したときのフーリエ係数の絶対値の3倍であった。したがって、パルス電圧を印加した場合のフーリエ係数の絶対値は、
|フーリエ係数|=0.0018f−0.4705 ・・・ (9)
と表される(例えば図7中の直線g2参照)。
また、各パラメータの依存性を示す積Cは、既に説明したように、
C=[x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}+0.01174]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5 ・・・ (10)
となる。
ランダムノイズのフーリエ係数は、このCに比例する。ただし、Tはトンネル絶縁膜の膜厚[nm]、Hはトンネル絶縁膜のバリア高さ[eV]を表す。ここで、ゲート長Lが0.06μm、チャネル幅(ゲート幅)Wが0.15μm、トンネル絶縁膜の膜厚Tが0.7nm、トラップ絶縁膜中のSiとNの原子数の比率Si/Nが1のとき、C=5.8678[μm−7/5]となる。
本実施形態に用いられるランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に固定電圧を印加したとき、1MHzにおける電流揺らぎの割合は0.16%含まれていた。本実施形態のようにゲート電極16にパルス電圧を印加した場合は、電流揺らぎを約3倍増大させることが可能なので、1MHzにおける電流揺らぎの割合は0.48%となる。固定電圧を印加した場合、各パラメータの積Cが、5.87×(0.1/0.16)よりも大きければ、1MHzにおける電流揺らぎ成分が0.1%以上であること示すことができたから、本実施形態においても同様に、各パラメータの積Cが、5.87×(0.1/0.48)よりも大きければ、1MHzにおける電流揺らぎ成分が0.1%以上有することが可能である。即ち、固定電圧を印加した場合における各パラメータの積Cに関する条件式の右辺を1/3倍することで、本実施形態の条件式として使用可能であり、下記の(11)式のように表すことができる。
[x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}+0.01174]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧3.67/3[μm−7/5]=1.22[μm−7/5] ・・・ (11)
また、電流揺らぎ成分の大きさは実施状況によってその必要量は変わってくる。上記式は1MHzの電流揺らぎ成分が0.1%以上含まれるときであったが、固定電圧が印加された場合と同様に0.01%以上、および1%以上含むときについて示すと、既に示した固定電圧が印加される場合のそれぞれの条件式に対し、右辺を1/3倍することで求められる。まず0.01%以上含むのときは、下記の(12)式
[x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}+0.01174]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧0.37/3[μm−7/5]=0.12[μm−7/5] ・・・ (12)
となり、1%以上含むときは、下記の(13)式
[x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}+0.01174]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧36.7/3[μm−7/5]=12.23[μm−7/5] ・・・ (13)
となる。
これら(11)式、(12)式、或いは(13)式の条件を満たすには、固定電圧を印加した場合に比べてLWの値が長くなることを許容することを意味する。したがって本発明によればランダムノイズ生成素子の設計の自由度が増し、難度の高い微細化技術の適用を避けることができるというメリットもある。
また、トラップ絶縁膜14は、MをSi、O、N以外の元素を表す記号とすると、Si(SiO(Si1−y、x>0、1≧y≧0、z≧0)と表されていたが、xが「0」の場合であっても、同様の効果を得ることができる。ただし、この場合は、yとzの少なくとも一方が「0」ではない。
なお、ランダムノイズ生成素子10aのトラップ絶縁膜14がSiN(U≧0.75)と表されるときのランダムノイズの1MHzの揺らぎ成分が、0.01%以上、0.1%以上、1%以上含む条件は、以下のようになる。組成式SiN(U≧0.75)は、組成式Si(SiO(Si1−y(x≧0、1≧y≧0、z≧0)において、y=z=0、x=4U−3と置いたものである。したがって、第1実施形態で説明した(12)式、(11)式、(13)式において、y=z=0、x=4U−3とおけばよい。すなわち下記の式(14)、(15)、(16)となる。0.01%以上含む場合は、下記の式(14)
((U−0.75)/(1+U)+0.01174)1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧0.12[μm−7/5] ・・・(14)
を満たし、0.1%以上含む場合は、下記の式(15)
((U−0.75)/(1+U)+0.01174)1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧1.22[μm−7/5] ・・・(15)
を満たし、1%以上含む場合は、下記の式(16)
((U−0.75)/(1+U)+0.01174)1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧12.22[μm−7/5] ・・・(16)
を満たすことが必要である。
また、トラップ絶縁膜14は化学量的シリコン酸窒化膜および非化学量的シリコン酸窒化膜からなっていた。しかし、トラップ絶縁膜14が組成式Si(SiO(Si1−y(x≧0、1≧y≧0、z≧0)で表される非化学量的シリコン酸窒化膜のみからなっている場合は、ランダムノイズの1MHzの揺らぎ成分が、0.01%以上、0.1%以上、1%以上含む条件は、(12)式、(11)式、(13)式において、化学量的の項に対応する0.01174を削除した下記(17)式、(18)式、(19)式を満たせばよい。
すなわち、0.01%以上含む場合は下記の(17)式
[x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧0.37/3[μm−7/5]=0.12[μm−7/5] ・・・ (17)
となり、0.1%以上含む場合は下記の(18)式
[x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧3.67/3[μm−7/5]=1.22[μm−7/5] ・・・ (18)
となり、1%以上含む場合は下記の(19)式
[x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧36.7/3[μm−7/5]=12.23[μm−7/5] ・・・ (19)
となる。
再び図1に戻り、本実施形態の乱数生成装置について説明する。
パルス電圧発生器70から発生されたパルス電圧75をランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に印加すると、ランダムノイズ生成素子10aと抵抗10bとの接続ノードからランダムノイズ信号(上記パルス電圧75と同じ周期を有する振幅のレベルがランダムな電圧信号)が生成され、このランダムノイズノイズ信号はバッファ回路20に入力される。バッファ回路20からの出力信号は、コンパレータ30の一方の端子に入力される。バッファ回路20を設けた理由は、以下の通りである。ランダムノイズ生成素子10aとコンパレータ30とを直接接続すると、コンパレータ30の影響により、適切なランダムノイズが得られない可能性がある。そのため、コンパレータ30の影響を遮断するために、バッファ回路20を設けている。また、コンパレータ30のもう一方の端子には参照電圧Vrefとなる電圧信号が供給される。
コンパレータ30では、コンパレータ30に入力された2つの信号を比較し、ハイレベル信号又はロウレベル信号を出力する。参照電圧Vrefの値は、バッファ回路20から出力される信号のほぼ平均値に設定することにより、コンパレータ30から出力されるランダム信号は、値が「1」と「0」の割合がほぼ等しくなる。ただし、コンパレータ30に入力する信号の大きさや、入力信号の変化速度によっては、コンパレータ30の出力レベルが不十分となる場合がある。そこで、本実施形態では、コンパレータ30の出力側にバッファ回路40を設けている。バッファ回路40によってコンパレータ30の出力が増幅され、所望の電圧レベルを得ることができる。バッファ回路40の出力信号は、D型フリップフロップからなるラッチ回路60に入力され、適当なクロック信号を用いてラッチすることで、乱数を生成することができる。ここでラッチ回路60に入力されるクロック信号は、ランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に印加されるパルス電圧を発生するパルス電圧発生器70から取得してもよい。その際、バッファ回路40を通して出力される信号と、クロック信号のタイミングを合わせるため、インバータなどによるタイミング回路50を介し、ラッチ回路60のクロック端子へクロック75が入力される。
バッファ回路20は、例えば図15(a)、15(b)に示すような回路構成とすることができる。図15(a)に示す一具体例では、直列に接続されたp型MOSFET21と抵抗22とでバッファ回路20が構成されている。図15(b)に示す他の具体例では、直列に接続されたn型MOSFET23と抵抗24とでバッファ回路20が構成されている。
コンパレータ30の一具体例の構成を図16に示す。この具体例のコンパレータ30は、差動増幅部34と、電流源35と、出力部36とから構成される。差動増幅部34は、直列に接続されたp型MOSFET34aおよびn型MOSFET34bと、直列に接続されたp型MOSFET34cおよびn型MOSFET34dと、から構成される。出力部36は、直列に接続されたp型MOSFET36aおよびn型MOSFET36bと、直列に接続されたp型MOSFET36cおよびn型MOSFET36dと、から構成される。p型MOSFET34a、34c、36a、36cのドレインは電源に接続されている。また、p型MOSFET36aのゲートはp型MOSFET34aとn型MOSFET34bの接続ノードに接続され、p型MOSFET36cのゲートはp型MOSFET34cとn型MOSFET34dの接続ノードに接続されている。また、n型MOSFET34b、34dのソースは共通に接続され、電流源35を介して接地されている。また、n型MOSFET36b、36dは、それぞれのゲートがp型MOSFET36aとn型MOSFET36bの共通接続ノードに接続され、それぞれのドレインは接地されている。差動増幅部34のn型MOSFET34bのゲートに第1入力電圧Vi1が入力され、n型MOSFET34dのゲートに第2入力電圧Vi2が入力される。そして、p型MOSFET36cとn型MOSFET36dとの共通接続ノードから出力電圧が出力される。第1入力電圧Vi1が第2入力電圧Vi2よりも高い場合は、出力はロウレベル電圧となる。逆に、第2入力電圧Vi2が第1入力電圧Vi1よりも高い場合は、出力電圧はハイレベル電圧となる。第1入力電圧Vi1と第2入力電圧Vi2との差が小さい場合や、感度の弱い領域に電圧が分布している場合には、出力電圧は完全にハイレベル或いはロウレベルにならない。このような場合には、コンパレータ30の出力段にバッファ回路40を接続する。
バッファ回路40の一具体例の構成を図17に示す。この具体例のバッファ回路40はp型MOSFET42とn型MOSFET44とかなるインバータ回路である。コンパレータ30の出力をバッファ回路40によって増幅することで、十分な電圧レベルを有するデジタル信号を得ることができる。
本実施形態の乱数生成装置は、ゲート電極16にパルス電圧が印加された図2に示すランダムノイズ生成素子10を用いているので、高速で乱数を生成することが可能となる。なお、バッファ回路40に用いるインバータの個数を調整することで、1MHzにおける揺らぎ成分の割合に応じた最適な乱数発生装置を構成することが可能である。
また、ランダムノイズ生成素子10aのゲート電極16に印加する電圧は、シリコンのバンドギャップに対応した数V程度である。したがって、ランダムノイズ生成素子10aから出力される電圧の揺らぎ、すなわちランダムノイズ生成素子10aの電流の揺らぎに対応する、ランダムノイズ生成素子10aと抵抗10bとの接続ノードから出力される電圧の揺らぎが10mVオーダーであれば、揺らぎ成分は入力電圧の1%程度となる。同様に、ランダムノイズ生成素子10aから出力される電圧の揺らぎが1mVオーダーであれば、揺らぎ成分は入力電圧の0.1%程度となる。ランダムノイズ生成素子10aから出力される電圧の揺らぎが0.1mVオーダーであれば、揺らぎ成分は入力電圧の0.01%程度となる。コンパレータ30を構成するオペレーションアンプの増幅率は、典型的には1MHzで100倍程度である。したがって、電圧の揺らぎが10mV程度であれば、バッファ回路40を必要としないでデジタル乱数信号を取り出すことが可能である。0.1mVオーダーの電圧揺らぎであれば、バッファ回路40として1つのインバータを設けることで、デジタル乱数信号の取り出しが可能である。0.01mVオーダーの電圧揺らぎであれば、バッファに2つのインバータを直列に設けることで、デジタル乱数信号の取り出しが可能である。なお、回路シミュレーションからも上記のことが確認されている。
以上のように、1MHzの揺らぎ成分を0.01%以上含む場合には、コンパレータ30の出力を2個のインバータで増幅することにより、小型で高速の乱数発生装置を構成することができる。なお、ランダムノイズ生成素子10のゲート電極16に固定電圧を印加したとき、1MHzの揺らぎ成分を0.1%以上含む場合は、バッファ回路40を1個のインバータで構成することができる。また、1MHzの揺らぎ成分を1%以上含むランダムノイズを生成可能なランダムノイズ生成素子10では、バッファ回路40を用いることなく、小型で高速の乱数発生装置を構成することが可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、良質な乱数を高速に生成することが可能な高性能な乱数生成装置を提供することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による乱数生成装置を図18に示す。本実施形態の乱数生成装置は、図1に示す第1実施形態の乱数生成装置において、バッファ回路20の出力を受ける遅延回路80を新たに設け、この遅延回路80の出力をコンパレータ30の基準電圧Vrefとして用いた構成となっている。ランダムノイズ生成素子10aは第1実施形態と同じ構成となっており、ランダムノイズ生成素子10aのゲートにパルス電圧発生器70から発生されたパルス電圧75が印加される。このパルス電圧75の振幅ΔVは4Vである。
ゲート電極にパルス電圧75が印加されることによりランダムノイズ生成素子10aから出力されるランダムノイズ信号(パルス電圧75と同じ周期を有する振幅のレベルがランダムな電圧信号)は、バッファ回路20に送られる。そしてバッファ回路20の出力はコンパレータ30の一方の入力端子に送られるとともに、遅延回路80に送られる。遅延回路80は、バッファ回路20の出力を1周期分または周期の整数倍遅らせた信号を、コンパレータ30の他方の入力端子に出力する。
コンパレータ30では、コンパレータ30に入力した2つの信号を比較し、ハイレベル信号又はロウレベル信号を出力する。比較する2つの信号はともに同じ乱数源から出力される信号であり、この乱数がランダムであれば、コンパレータ30より出力されるデジタル乱数の「1」と「0」はランダムとなり、「1」と「0」の出現確率も同等になると考えられる。ただし、コンパレータ30に入力する信号の大きさや、入力信号の変化速度によっては、コンパレータ30の出力レベルが不十分となる場合がある。そこで、第1実施形態と同様に、コンパレータ30にバッファ回路40を接続している。バッファ回路40によってコンパレータ30の出力が増幅され、所望の電圧レベルを得ることができる。バッファ回路40からの出力信号を、例えばD型フリップフロップからなるラッチ回路60に入力し、適当なクロックを用いてラッチすることで、乱数を生成することができる。ここでラッチ回路60に入力されるクロック信号は、ランダムノイズ源10のランダムノイズ生成素子10aのゲート電極に印加するパルス電圧と同じパルス電圧源(パルス電圧発生器70)から取得してもよい。その際、バッファ回路40を通して出力される信号とタイミングを合わせるため、インバータなどによるタイミング回路50を介し、ラッチ回路60のクロック端子へ入力する。
以上説明したように、本実施形態の乱数生成装置は、ランダムノイズ生成素子として、第1実施形態で説明したランダムノイズ生成素子10aを用いることにより、良質な乱数を高速に生成することが可能となる。
また、本実施形態の乱数生成装置は、第1実施形態と同様に、バッファ回路40に用いるインバータの個数を調整することで、1MHzにおける揺らぎ成分の割合に応じた最適な乱数を発生することが可能である。本実施形態を用いることで、第1の実施形態で必要であった図1における参照電圧Vrefを設置する必要がない。参照電圧Vrefはバッファ20の出力の平均電圧付近に設定する必要があり、本実施形態ではそのような調整が不要になる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による乱数生成装置を図19に示す。本実施形態の乱数生成装置は、非安定マルチバイブレータ101と、カウンタ110とを備えている。この非安定マルチバイブレータ101は、キャパシタ102aと、NAND回路103aと、ダイオード104aと、帰還抵抗105aと、キャパシタ102bと、NAND回路103bと、ダイオード104bと、ランダムノイズ生成素子10aとを備えている。キャパシタ102aの一端はNAND回路103aの2つの入力端子およびダイオード104aの入力端子に接続され、ダイオード104aの出力端子は帰還抵抗105aの一端に接続されている。帰還抵抗105aの他端とNAND回路103aの出力端とは共通に接続されてキャパシタ102bの一端に接続されている。キャパシタ102bの他端はNAND回路103bの一つの入力端子およびダイオード104bの入力端子に接続されている。NAND回路103bの他の入力端子には外部からのON/OFF信号が入力される。また、ダイオード104bの出力端にランダムノイズ生成素子10aのソース・ドレインのうちの一方が接続されている。ランダムノイズ生成素子10aのソース・ドレインのうちの他方と、NAND回路103bの出力端とは共通に接続されてキャパシタ102aの他端に接続されている。すなわち、非安定マルチバイブレータ101は、マルチバイブレータを構成する一つの帰還抵抗、すなわちダイオード104bの出力端子とNAND回路103bの出力端子間に接続される帰還抵抗をランダムノイズ生成素子10aに置き換えた構成となっている。そして、このランダムノイズ生成素子10aのゲートにマルチバイブレータ101の出力(NAND回路103aの出力)が印加されている。このように非安定マルチバイブレータを構成したことにより、マルチバイブレータから発振される信号がランダムになる。マルチバイブレータより出力された発振信号はランダムノイズ生成素子10aの揺らぎの効果のより増大することができる。
一方、カウンタ110は、クロックイネーブル端子と、CK端子とを有している。そして、マルチバイブレータ101から出力されたランダムな発振信号がカウンタ110のクロックイネーブル端子に入力され、リングオシレータ等を用いたクロックがCK端子へ入力されることで、ランダムな発振信号がカウントされ、カウントされた値が奇数か偶数かによって、「1」および「0」に振り分け出力する。
例えば、ランダムノイズ生成素子10aを含んだマルチバイブレータ101を1MHzで発振させる。そして、マルチバイブレータ101より出力された信号の発振周期の揺らぎ幅を、リングオシレータを用いた1GHzのクロックでカウントする。1μsの周期(周波数1MHz)における揺らぎ成分を1ns(1μsの0.1%)以上とすれば、一般的に最も高速とされる1GHzクロックを用いると、ランダムノイズ生成素子10aより発生させたノイズ成分から、カウント値をデジタル乱数にすることができる。その結果、増幅回路なしで、1MHz/sec以上の乱数生成レートで真性乱数を生成可能となる。
本実施形態を用いることにより、第1及び第2の実施形態と比べ、回路規模を縮小することができる。
以上説明したように、第2、第3実施形態の乱数生成装置は、ランダムノイズ生成素子として、第1実施形態で説明したランダムノイズ生成素子10aを用いることにより、良質な乱数を高速に生成することが可能となる。
また、第1実施形態と同じランダムノイズ生成素子10aを用いているため、第2および第3実施形態においても、ランダムノイズ生成素子10aから出力されるランダムノイズの1MHzの揺らぎ成分が、0.01%以上、0.1%以上、1%以上含む条件は、第1実施形態と同じ条件となる。
なお、第1乃至第3実施形態において用いられたランダムノイズ生成素子10a、は上記実施形態に限定されるものではなく、例えばトンネル絶縁膜がなく、基板に直接SiN膜を積層したもの(すなわち、ゲート絶縁膜がSiN膜からなる通常のMOSFET)、もしくはトンネル絶縁膜がSiO以外のよりバリア高さの低い材料を用いたものにおいても同様の効果を得ることができる。また、制御絶縁膜15のない場合でも同様の効果を得ることができる。さらに、制御絶縁膜15が薄くてトンネルするものでも同様の効果を得ることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態による乱数生成装置を図20に示す。本実施形態の乱数生成装置は、図1に示す第1実施形態の乱数生成装置のランダムノイズ源10をランダムノイズ源10Aに置き換えた構成となっている。ランダムノイズ源10Aは、ランダムノイズ生成素子10aをランダムノイズ生成素子10cに置き換えた構成となっている。
ランダムノイズ生成素子10cは、図21に示すようにMOSFETであって、シリコン基板(半導体基板)11の表面領域に、ソース領域12a、ドレイン領域12bが形成されている。ソース領域12aとドレイン領域12bとの間の半導体基板の領域がチャネル領域12cとなる。このチャネル領域12cのゲート長L及びチャネル幅(ゲート幅)Wは小さいことが望ましい。また、チャネル領域12cは、長さL及び幅Wの細線部をチャネルの一部として有する領域であってもよい。ソース領域12aおよびドレイン領域12bには、リン(P)或いはヒ素(As)といったn型不純物が含有されている。これらのチャネル領域12c、ソース領域12a、およびドレイン領域12bは、図示しない素子分離絶縁領域によって分離されている。
チャネル領域12c上には窒化膜からなるトンネル絶縁膜13が形成され、トンネル絶縁膜13a上には例えばSiからなる導電性微粒子群17が形成され、この微粒子群17を覆うように制御酸化膜(制御絶縁膜)15が形成され、この制御絶縁膜15上に例えばポリシリコンからなるゲート電極(制御ゲート)16が形成されている。
このランダムノイズ生成素子10cは以下のように生成される。まず、NHを用いた熱窒化により、半導体基板11の表面を窒化して例えば厚さTが0.8nmの窒化膜からなるトンネル絶縁膜13aを形成する。その後、トンネル絶縁膜13a上にLPCVD(low pressure chemical vapor deposition)法を用いて、例えば平均粒径8nmのSi微結晶群からなる微粒子群17を1.7×1012cm−2程度の面密度で形成する。このとき、微粒子群17の粒径はCVDの時間により調整し、面密度は温度と原料ガス流量とCVD回数により調整できる。微粒子群17を覆うように、CVD法を用いて例えばSiOからなる制御絶縁膜15を形成し、この制御絶縁膜15上に、ポリシリコンからなるゲート電極16を形成する。
本実施形態に用いられるランダムノイズ生成素子10cは、第1乃至第3実施形態に用いられたランダムノイズ生成素子10aと同様に、ゲート電極16にパルス電圧を印加することで、ゲート電極に固定電圧を印加する場合よりも大きなランダムノイズを得ることが可能となる。
本実施形態に用いられるランダムノイズ生成素子10cは、特開2005−167165号公報に記載されたランダムノイズ生成素子と同じ構成となっている。このため、本実施形態に用いられるランダムノイズ生成素子10cは、特開2005−167165号公報に記載されているように、幅Wが長さLに対してW≦(π/10(μm))/Lとなる細線部を有する半導体チャネルをもち、この半導体チャネルの上に設けられたトンネル絶縁膜と、このトンネル絶縁膜を介して上記半導体チャネルの上に2.5×1011cm−2以上の面密度で設けられ、上記トンネル絶縁膜を介して上記半導体チャネルとの間で電子の充放電が可能な複数の導電性微粒子を含む導電性微粒子群を備えている。このランダムノイズ生成源素子は、導電性微粒子群の面密度Ddotと、平均粒径dと、上記細線部の幅Wと、上記トンネル絶縁膜の厚さTと、トンネル絶縁膜のエネルギー障壁の高さをHと、プランク定数をh、素電荷をq、トンネル絶縁膜を介したトンネルの実効質量をm、トンネル絶縁膜の誘電率をεとしたとき、1MHzの揺らぎ成分を0.1%以上含む条件は、
(Ddot×d4/3/W)×exp(−8πT(2mH)1/2/3h)×(0.5/L)1/2≧4[μm−5/3]
と表すことができる。
次に、本実施形態では、図21に示すランダムノイズ生成素子10cのゲート電極16にパルス電圧を印加することによって、ゲート電極に固定電圧を印加する場合よりもさらに大きいランダムノイズを得ることが可能であることを説明する。
ランダムノイズ生成素子10cのゲート電極16にパルス電圧を印加することによって、第1乃至第3実施形態とほぼ同じく、ゲート電極に固定電圧を印加した場合のランダムノイズの大きさよりも、約3倍のランダムノイズが得られると考えられる。このため、上記条件式の右辺は上記記載の値(=4)の1/3の値でも1MHzの揺らぎ成分を0.1MHz以上含むという条件を満たすこととなる、即ち、本実施形態では、1MHzの揺らぎ成分を0.1%以上含むには、
(Ddot×d4/3/W)×exp(−8πT(2mH)1/2/(3h))×(0.5/L)1/2≧4×(1/3)[μm−5/3]=1.33[μm−5/3]
という条件式を満たせばよい。
したがって、1MHzの揺らぎ成分を0.01%、1%以上含む条件式は、以下のようになる。まず、1MHzの揺らぎ成分を1%以上含むには、
(Ddot×d4/3/W)×exp(−8πT(2mH)1/2/(3h))×(0.5/L)1/2≧13.33[μm−5/3]
という条件式を満たせばよい。
さらに、1MHzの揺らぎ成分を0.01%以上含むには、
(Ddot×d4/3/W)×exp(−8πT(2mH)1/2/(3h))×(0.5/L)1/2≧1.33×10−1[μm−5/3]
という条件式を満たせばよい。
なお、本実施形態に用いられるランダムノイズ生成素子10cのトンネル絶縁膜13aは非常に薄く、電荷はチャネルとトラップの間を高速に移動しているものと考えられる。よって、ゲート電極16に印加するパルスの周期には依存せず、電荷はいずれの周波数においても、ゲート電極16に印加する電圧が一定であるときよりも本実施形態のようにパルス電圧を印加した場合の方が多くのノイズ成分を得ることが可能である。
以上説明したように、本実施形態の乱数生成装置は、良質な乱数を高速に生成することが可能となる。また、特開2005−167165号公報と同様に、増幅回路が不要となるので、小型の乱数生成装置となる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態による乱数生成装置を図22に示す。本実施形態の乱数生成装置は、図18に示す第2実施形態の乱数生成装置のランダムノイズ生成素子10aを図21に示すランダムノイズ生成素子10cに置き換えた構成となっている。
したがって、本実施形態も、第2実施形態および第4実施形態と同様に、良質な乱数を高速に生成することが可能となる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態による乱数生成装置を図23に示す。本実施形態の乱数生成装置は、図19に示す第3実施形態の乱数生成装置のランダムノイズ生成素子10aを図21に示すランダムノイズ生成素子10cに置き換えた構成となっている。
したがって、本実施形態も、第3実施形態および第4実施形態と同様に、良質な乱数を高速に生成することが可能となる。
なお、第1〜第6実施形態に用いられるランダムノイズ生成素子10aは、トンネル絶縁膜13を熱酸化によって形成しているが、大気中で形成される自然酸化膜を利用してもよい。また、ランダムノイズ生成素子10aは、半導体基板としてシリコン基板を用いたが、シリコン以外の半導体基板を用いてもよい。
上記第1乃至第6実施形態においては、入力パルス周波数と乱数生成レートが等しいとしているが、入力パルス周波数/乱数生成レートが整数となるものであってもよい。
また、第2実施形態において、遅延回路90の遅延を調整することで、入力パルス周波数/生成レートが有理数となるものであってもよい。
また、パルス入力による同期ランダムノイズ強化は、パルス入力により、パルスの周期成分に乗るランダムノイズが強化されることを意味する。よって、第3実施形態のような発振出力によって変換して、クロックデジタル化するような場合には、入力パルス/生成レートが無理数となっていてもパルスによるランダムノイズ強化を利用できる。
本発明の第1実施形態による乱数生成装置を示すブロック図。 第1乃至第3実施形態に係るランダムノイズ生成素子を示す断面図。 図2に示すランダムノイズ生成素子のゲート電極にパルス電圧を印加したときのドレイン電流の波形図。 図2に示すランダムノイズ生成素子のゲート電極に固定電圧を印加したときのドレイン電流の波形図。 図3および図4に示すドレイン電流波形の周波数特性を示す図。 図2に示すランダムノイズ生成素子のゲート電極に固定電圧を印加したときのドレイン電流の波形図。 図6に示す電流波形の周波数特性を示す図。 ランダムノイズ生成素子の電流揺らぎに関するチャネル長の依存性を示す図。 ランダムノイズ生成素子の電流揺らぎに関するチャネル幅依存性を示す図。 ランダムノイズ生成素子の電流揺らぎに関するトンネル絶縁膜の膜厚依存性を示す図。 ランダムノイズ生成素子の電流揺らぎに関するトラップ絶縁膜のSiとNの原子数比依存性を示す図。 ランダムノイズ生成素子にパルス電圧および固定電圧を印加した場合の電流揺らぎに関するチャネル長依存性を示す図。 ランダムノイズ生成素子にパルス電圧および固定電圧を印加した場合の電流揺らぎに関するチャネル幅依存性を示す図。 ランダムノイズ生成素子にパルス電圧および固定電圧を印加した場合の電流揺らぎに関するトンネル絶縁膜の膜厚依存性を示す図。 第1実施形態に係るバッファ回路の具体例を示す回路図。 第1実施形態に係るコンパレータの一具体例を示す回路図。 第1実施形態に係るバッファ回路の一具体例を示す回路図。 本発明の第2実施形態による乱数生成装置を示すブロック図。 本発明の第3実施形態による乱数生成装置を示すブロック図。 本発明の第4実施形態による乱数生成装置を示すブロック図。 第4実施形態に用いられるランダムノイズ生成素子を示す断面図。 本発明の第5実施形態による乱数生成装置を示すブロック図。 本発明の第6実施形態による乱数生成装置を示すブロック図。
符号の説明
10 ランダムノイズ源
10A ランダムノイズ源
10a ランダムノイズ生成素子
10b 抵抗
10c ランダムノイズ生成素子
11 半導体基板
12a ソース領域
12b ドレイン領域
12c チャネル領域
13 トンネル絶縁膜
13a トンネル絶縁膜
14 トラップ絶縁膜
15 制御絶縁膜
16 ゲート電極
17 導電性微粒子群
20 バッファ回路
30 コンパレータ
40 バッファ回路
50 タイミング回路
60 ラッチ回路
70 パルス電圧発生器
75 パルス電圧
80 遅延回路
101 非安定マルチバイブレータ
102 カウンタ

Claims (9)

  1. 振幅26mV以上のパルス波形電圧を発生するパルス電圧発生器と、
    半導体基板上に離間して形成されたソースおよびドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間のチャネル領域となる前記半導体基板上に形成されたトンネル絶縁膜と、前記トンネル絶縁膜上に形成され前記パルス電圧発生器からのパルス電圧が印加されるゲート電極とを有し、前記ソース領域と前記ドレイン領域間に流れる電流にランダムノイズが含まれるランダムノイズ生成素子と、
    前記ランダムノイズ生成素子から発生されるランダムノイズの大きさに基づいて乱数信号を生成する乱数生成部と、
    を備え、
    前記ランダムノイズ生成素子は、前記トンネル絶縁膜と前記ゲート電極との間に設けられ、ダングリングボンドに基づくトラップを有し且つSi(SiO(Si1−y(ただし、MはSi、O及びN以外の元素を表し、x≧0、1≧y≧0、z≧0で、x=0且つy=1且つz=0を除く)で表されるトラップ絶縁膜を有し、
    前記チャネル領域のチャネル長をL[μm]、前記チャネル領域のチャネル幅をW[μm]、前記トンネル絶縁膜の厚さをT[nm](ただし、T≧0)、前記トンネル絶縁膜のバリア高をH[eV]とすると、
    [x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}+0.01174]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧0.12[μm−7/5
    を満たすことを特徴とする乱数生成装置。
  2. 振幅26mV以上のパルス波形電圧を発生するパルス電圧発生器と、
    半導体基板上に離間して形成されたソースおよびドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間のチャネル領域となる前記半導体基板上に形成されたトンネル絶縁膜と、前記トンネル絶縁膜上に形成され前記パルス電圧発生器からのパルス電圧が印加されるゲート電極とを有し、前記ソース領域と前記ドレイン領域間に流れる電流にランダムノイズが含まれるランダムノイズ生成素子と、
    前記ランダムノイズ生成素子から発生されるランダムノイズの大きさに基づいて乱数信号を生成する乱数生成部と、
    を備え、
    前記ランダムノイズ生成素子は、前記トンネル絶縁膜と前記ゲート電極との間に設けられ、ダングリングボンドに基づくトラップを有し且つ非化学量論的でSi(SiO(Si1−y(ただし、MはSi、O及びN以外の元素を表し、x≧0、1≧y≧0、z≧0で、x=0且つy=1且つz=0を除く)で表されるトラップ絶縁膜を有し、
    前記チャネル領域のチャネル長をL[μm]、前記チャネル領域のチャネル幅をW[μm]、前記トンネル絶縁膜の厚さをT[nm](ただし、T≧0)、前記トンネル絶縁膜のバリア高をH[eV]とすると、
    [x/(x+7−4y+z)×{(4−4y)/(4−2y)+2y/(4−2y)×2}]1/2×exp(−T{H/3.1}1/2/0.8664)/LW2/5≧0.12[μm−7/5
    を満たすことを特徴とする乱数生成装置。
  3. 振幅26mV以上のパルス波形電圧を発生するパルス電圧発生器と、
    半導体基板上に離間して形成されたソースおよびドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間のチャネル領域となる前記半導体基板上に形成されたトンネル絶縁膜と、前記トンネル絶縁膜上に形成され前記パルス電圧発生器からのパルス電圧が印加されるゲート電極とを有し、前記ソース領域と前記ドレイン領域間に流れる電流にランダムノイズが含まれるランダムノイズ生成素子と、
    前記ランダムノイズ生成素子から発生されるランダムノイズの大きさに基づいて乱数信号を生成する乱数生成部と、
    を備え、
    前記ランダムノイズ生成素子は、前記トンネル絶縁膜上に設けられた複数の導電性微粒子を含む微粒子群と、前記微粒子群と前記ゲート電極との間に設けられ前記微粒子群を覆う制御絶縁膜とを備え、前記チャネル領域チャネル幅Wがチャネル長Lに対してW≦(π/10(μm))/Lを満たし、前記トンネル絶縁膜の厚さをT(nm)、前記トンネル絶縁膜のエネルギー障壁の高さをH、前記トンネル絶縁膜を介したトンネルの実効質量をm、前記トンネル絶縁膜の誘電率をε、前記微粒子群の面密度をDdot、前記微粒子群の平均粒径をd、プランク定数をhとすると、
    (Ddot×d4/3/W)×exp(−8πT(2mH)1/2/(3h))×(0.5/L)1/2≧0.133 [μm−5/3]
    を満たすことを特徴とする乱数生成装置。
  4. 振幅26mV以上のパルス波形電圧を発生するパルス電圧発生器と、
    半導体基板上に離間して形成されたソースおよびドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間のチャネル領域となる前記半導体基板上に形成されたトンネル絶縁膜と、前記トンネル絶縁膜上に形成され前記パルス電圧発生器からのパルス電圧が印加されるゲート電極とを有し、前記ソース領域と前記ドレイン領域間に流れる電流にランダムノイズが含まれるランダムノイズ生成素子と、
    前記ランダムノイズ生成素子から発生されるランダムノイズの大きさに基づいて乱数信号を生成する乱数生成部と、
    を備え、
    前記乱数生成部から出力される乱数信号の周波数が、前記パルス電圧の周波数の有理数倍であることを特徴とする乱数生成装置。
  5. 前記乱数生成部から出力される乱数信号の周波数が、前記パルス電圧の周波数の整数倍となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の乱数発生装置。
  6. 前記乱数生成部から出力される乱数信号の周波数が、前記パルス電圧の周波数に等しいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の乱数発生装置。
  7. 前記ランダムノイズ生成素子の一端に電源が接続され、他端は抵抗を介して接地され、 前記乱数生成部は、前記ランダムノイズ生成素子と前記抵抗との接続ノードの電位と基準電位とを比較し、この比較結果に基づいて乱数を生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の乱数生成装置。
  8. 遅延回路を更に有し、
    前記ランダムノイズ生成素子の一端に電源が接続され、他端は抵抗を介して接地され、 前記乱数生成部は、前記ランダムノイズ生成素子と前記抵抗との接続ノードの電位と、前記接続ノードの電位を前記遅延回路によって遅らせた電位とを比較し、この比較結果に基づいて乱数を生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の乱数生成装置。
  9. 前記パルス電圧発生器は少なくとも2つの帰還抵抗を有するマルチバイブレータであって、前記2つの帰還抵抗の一方が前記ランダムノイズ生成素子に置き換えられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の乱数生成装置
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