JP4364674B2 - 半導体装置の作製方法 - Google Patents

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本発明はレーザ光の照射方法およびそれを行うためのレーザ照射装置(レーザと該レーザから出力されるレーザ光を被照射体まで導くための光学系を含む装置)に関する。また、前記レーザ処理の工程を含んで作製された半導体装置の作製方法に関する。なお、ここでいう半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、液晶表示装置や発光装置等の電気光学装置及び該電気光学装置を部品として含む電子装置も含まれるものとする。
近年、基板上に薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)を製造する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型の表示装置への応用開発が進められている。特に、多結晶半導体膜を用いたTFTは、従来の非晶質半導体膜を用いたTFTよりも電界効果移動度(モビリティともいう)が高いので、高速動作が可能である。そのため、従来基板の外に設けられた駆動回路で行っていた画素の制御を、画素と同一の基板上に形成した駆動回路で行うことが試みられている。
ところで半導体装置に用いる基板は、コストの面から単結晶シリコン基板よりも、ガラス基板が有望視されている。ガラス基板は耐熱性に劣り、熱変形しやすいため、ガラス基板上にポリシリコンTFTを形成する場合には、ガラス基板の熱変形を避けるために、半導体膜の結晶化にレーザアニールが用いられる。
レーザアニールの特徴は、輻射加熱或いは伝導加熱を利用するアニール法と比較して処理時間を大幅に短縮できることや、半導体基板又は半導体膜を選択的、局所的に加熱して、基板に殆ど熱的損傷を与えないことなどが上げられている。
なお、ここでいうレーザアニール法とは、半導体基板又は半導体膜に形成された損傷層やアモルファス層を再結晶化する技術や、基板上に形成された非晶質半導体膜を結晶化させる技術を指している。また、半導体基板又は半導体膜の平坦化や表面改質に適用される技術も含んでいる。
レーザアニールに用いられるレーザはその発振方法により、パルス発振と連続発振の2種類に大別される。近年では、半導体膜の結晶化においてパルス発振のレーザよりも連続発振のレーザを用いるほうが、半導体膜内に形成される結晶の粒径が大きくなることが見出されている。半導体膜内の結晶粒径が大きくなると、該半導体膜を用いて形成されるTFTチャネル領域に入る粒界の数が減るので移動度が高くなり、より高性能のデバイスの開発に利用できる。そのため、連続発振のレーザはにわかに脚光を浴び始めている。(例えば特許文献1参照)
また、連続発振のレーザによる半導体または半導体膜のレーザアニール工程においては、生産性を上げるためにレーザ発振器から射出されたレーザビームを照射面上において長い楕円状に加工し、楕円状のレーザビーム(以下楕円ビームと称する。)を半導体膜に照射する方法がよく用いられる。加工後のレーザビームの形状が楕円状になるのは、元のレーザビームの形状が円形もしくはそれに近い形状であるからである。
米国特許出願公開第2002/0031876 A1 号公報
連続発振のレーザを半導体膜のアニールに用いる場合、極めて高特性のデバイスの作製が期待できる一方で、半導体膜に十分に吸収される波長域のレーザで形成できるビームスポットのサイズは極めて小さい。例えばYAGレーザを使用する場合、高調波に変換しなければならないため最大出力が10W程度のレーザしか適用できず、照射面でのビームスポットのサイズは最大でも500μm×20μm程度である。従って、このようなサイズのビームスポットを照射面上で、前後左右に動かすことで前記照射面上の必要な部分に対しレーザアニールを行う。
ここで、図1(a)に楕円状のビームスポット101の半導体膜における照射跡を示す。また、ビームスポット101の断面Aにおけるエネルギー密度分布を105に示す。半導体膜における前記ビームスポットの照射跡には大きく分類して、2つの結晶状態が形成される。領域102及び104には、パルス発振のエキシマレーザでレーザ結晶化を行った場合に形成される結晶に似た状態の結晶粒が形成され、領域103には結晶粒径が前記パルスレーザで結晶化した場合と比較して非常に大きい結晶状態(以下この状態を、長結晶粒と呼ぶ)が形成される。
より具体的には、領域103に形成される長結晶粒は、短辺が数μm、長辺が数十〜数百μmのレーザの走査方向に長い結晶粒であり、領域103の中に長結晶粒が無数に敷き詰められた状態で形成される。それに対し、領域102及び104に形成される結晶は、長辺が数μm以下の結晶粒や直径1μm程度の結晶粒であり、長結晶粒に比べ非常に小さな結晶粒である。領域102及び104は、そのような小さな結晶粒の集合体として形成される。領域102及び104に形成された小さな結晶粒はパルス発振のエキシマレーザでレーザ結晶化を行った場合に形成される結晶に似た状態の結晶粒と言える。以下、パルス発振のエキシマレーザでレーザ結晶化を行った場合に形成される結晶に似た状態の結晶粒が形成される領域を結晶性不良領域と呼ぶ。
半導体膜内の結晶粒径が大きくなると、該半導体膜を用いて形成されるTFTのチャネル領域における粒界の数が減るので移動度が高くなる。また、結晶性不良領域のTFTの移動度は、長結晶粒領域に形成されるTFTの移動度よりも大きく劣る。つまり、長結晶粒領域に形成されるTFTと、結晶性不良領域のTFTの電気特性には大きな差異が生じるため、たとえば、CPUなどの高特性が要求される半導体装置を作製する場合、該結晶性不良領域には、半導体素子を形成することができない。
エネルギー密度分布がガウシアン形状の楕円ビームを半導体膜に照射した場合、照射跡の中で結晶性不良領域が占める割合は通常2割程度である。従ってTFTを配置できない領域も2割程度存在するため、半導体素子の高集積化の点で問題がある。本発明は、半導体膜上に形成される結晶性不良領域をできる限り小さくすることを課題とする。
本発明は、照射面である半導体膜に、連続発振レーザから射出された高調波と同時に波長1μm程度の基本波を補助的に照射する。上記の方法によって、パルス発振のエキシマレーザでレーザ結晶化を行った場合に形成される結晶に似た状態の結晶粒領域の形成を防止しながら、半導体膜上に長結晶粒領域を形成することを可能としたレーザ照射方法および照射装置、並びに半導体装置の作製方法を提供する。
図1(b)は本発明の要旨を説明する図面である。半導体膜に楕円状のビームスポット106を照射する。ビームスポット106の波長域は半導体膜によく吸収される領域にあり、断面Bにおけるビームスポット106のエネルギー密度分布は111で示される。図中で、エネルギー密度Aは半導体膜の溶融の閾値、エネルギー密度Bは長結晶粒領域形成の閾値を表す。
本発明は基本波によるビームスポット107をビームスポット106に重ね合わせて補助的に照射する。波長が1μm程度の基本波は通常の半導体膜には吸収されないが、高調波により溶融した半導体膜にはよく吸収される。そのため、ビームスポット106が照射された領域であって、かつエネルギー密度が半導体膜の溶融の閾値Aを超える領域だけが基本波を吸収する。すなわち、半導体膜に吸収されるエネルギー分布を図1(b)の実線で示したように不連続とすることができる。よって、結晶性不良領域のできるエネルギーを全く半導体膜に与えず、長結晶粒領域のできるエネルギーのみを半導体膜に与えることも可能となる。基本波のレーザビームを楕円ビームまたは長方形状のビームスポットに加工して照射することで、半導体膜の溶融した領域にエネルギーを補助的に与えることができ、長結晶粒が形成できる。本明細書中では楕円ビームと長方形状のビームを総称して、長いビームと呼ぶ。ビームスポット106および107を照射した時に半導体膜が吸収するエネルギー密度は112で示される。
ビームスポット106および107により形成された半導体膜の照射跡には大きく分類して、2つの結晶状態が形成される。領域108及び110は、結晶性不良領域であり、領域109は長結晶粒領域である。図1(b)に示した照射跡は、図1(a)に示した、楕円状のビームスポットのみを照射して出来た照射跡よりも、結晶性不良領域の割合が小さく、長結晶粒領域の割合が大きいことがわかる。なお、条件を適切に選ぶと結晶性不良領域をほとんど0とすることができるが、熱伝導の影響があるため完全に0とすることはできない。
以上のように、高調波に対して基本波を補助的に照射することで結晶性不良領域の形成を抑制しながら半導体膜に長結晶粒領域を形成することが可能となる。なお、本発明では半導体膜の照射に用いるビームスポット形状は図1(b)の構成に限定されない。高調波のビームを複数用い、それらをつなげて長いビームを作り、基本波のビームスポットを重ね合わせても良い。また、エネルギー密度が低いため結晶性不良領域が形成されてしまう部分だけに基本波を補助的に照射する構成としても良い。あるいは基本波の方を複数用いてもよいし、高調波、基本波共に複数用いても構わない。
本明細書で開示するレーザ照射装置に関する発明の構成は、可視光線以下の波長を出力する第1のレーザ発振器と、前記第1のレーザ発振器から射出される第1のレーザビームを照射面において長いビームに加工する手段と、基本波を出力する第2のレーザ発振器と、前記長いビームが照射される領域においてエネルギー密度の低い部分に、前記第2のレーザ発振器から射出される第2のレーザビームを照射する手段と、前記第1のレーザビーム及び前記第2のレーザビームに対して前記照射面を相対的に第1方向に移動させる手段と、前記第1のレーザビーム及び前記第2のレーザビームに対して前記照射面を相対的に第2方向に移動させる手段と、を有するレーザ照射装置であることを特徴としている。
また、前記第1方向と前記第2方向は互いに直交することを特徴とする。
なお、上記発明の構成において、好ましくは前記長いビームが照射される領域においてエネルギー密度の低い部分に、前記第2のレーザ発振器から射出される第2のレーザビームのエネルギー密度の高い部分を照射することを特徴とする。
上記発明の構成において、前記第1のレーザ発振器及び前記第2のレーザ発振器は、連続発振の気体レーザ、固体レーザまたは金属レーザであることを特徴としている。前記気体レーザとして、Arレーザ、Krレーザ、COレーザ等があり、前記固体レーザとして、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YlOレーザ、アレキサンドライレーザ、Ti:サファイヤレーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザが挙げられる。
また、上記発明の構成において、前記第1のレーザビームは非線形光学素子により高調波に変換されていることを特徴とする。前記非線形光学素子に使われる結晶は、例えばLBOやBBOやKDP、KTPやKB5、CLBOと呼ばれるものを使うと変換効率の点で優れている。これらの非線形光学素子をレーザの共振器の中に入れることで、変換効率を大幅に上げることができる。
また、上記発明の構成において、前記第1のレーザビームはTEM00で発振されると、得られる長いビームのエネルギー均一性を上げることができるので好ましい。
レーザビームに対して透光性を持つ基板上に成膜された半導体膜をアニールする場合、均一なレーザビームの照射を実現するためには、照射面に垂直な平面であって、かつビームの形状を長方形と見立てたときの短辺を含む面または長辺を含む面のいずれか一方を入射面と定義すると、前記レーザー光の入射角度φは、入射面に含まれる前記短辺または前記長辺の長さがW、前記照射面に設置され、かつ、前記レーザー光に対して透光性を有する基板の厚さがdであるとき、φ≧arctan(W/2d)を満たすのが望ましい。複数のレーザビームを使用する場合、この議論は個々のレーザビームについて成り立つ必要がある。なお、レーザビームの軌跡が、前記入射面上にないときは、該軌跡を該入射面に射影したものの入射角度をφとする。この入射角度φでレーザビームが入射されれば、基板の表面での反射光と、前記基板の裏面からの反射光とが干渉せず、一様なレーザビームの照射を行うことができる。以上の議論は、基板の屈折率を1として考えた。実際は、基板の屈折率が1.5前後のものが多く、この数値を考慮に入れると上記議論で算出した角度よりも大きな計算値が得られる。しかしながら、ビームスポットの長手方向の両端のエネルギーは減衰があるため、この部分での干渉の影響は少なく、上記の算出値で十分に干渉減衰の効果が得られる。
また、前記基板として、ガラス基板、石英基板やシリコン基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス基板、可撓性基板などを用いることができる。前記ガラス基板として、バリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板が挙げられる。また、可撓性基板とは、PET、PES、PEN、アクリルなどからなるフィルム状の基板のことであり、可撓性基板を用いて半導体装置を作製すれば、軽量化が見込まれる。可撓性基板の表面、または表面および裏面にアルミ膜(AlON、AlN、AlOなど)、炭素膜(DLC(ダイヤモンドライクカーボン)など)、SiNなどのバリア層を単層または多層にして形成すれば、耐久性などが向上するので望ましい。上記のφに対する不等式は、基板がレーザビームに対して透光性のあるもの以外には適用されない。なぜならば、この場合、基板の厚さdが全く意味のない数値となるからである。
また、本明細書で開示するレーザ照射方法に関する発明の構成は、可視光線以下の波長である第1のレーザビームを照射面において長いビームに加工し、前記照射面において、前記長いビームが照射される領域においてエネルギー密度の低い部分に、前記第2のレーザ発振器から射出される基本波である第2のレーザビームを第1のレーザビームと同時に照射し、前記長いビームに対して前記照射面を相対的に第1方向に移動しながら照射するレーザ照射方法である。
なお、上記発明の構成において、前記長いビームが照射される領域においてエネルギー密度の低い部分に、前記第2のレーザ発振器から射出される基本波である第2のレーザビームのエネルギー密度の高い部分を照射することが好ましい。
上記発明の構成において、前記第1のレーザビームまたは前記第2のレーザビームは、連続発振の気体レーザ、固体レーザまたは金属レーザから射出されたものであることを特徴としている。前記気体レーザとして、Arレーザ、Krレーザ、COレーザ等があり、前記固体レーザとして、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YlOレーザ、アレキサンドライレーザ、Ti:サファイヤレーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザが挙げられる。
また、上記発明の構成において、前記第1のレーザビームは非線形光学素子により高調波に変換されていることを特徴とする。前記非線形光学素子に使われる結晶は、例えばLBOやBBOやKDP、KTPやKB5、CLBOと呼ばれるものを使うと変換効率の点で優れている。これらの非線形光学素子をレーザの共振器の中に入れることで、変換効率を大幅に上げることができる。
また、上記発明の構成において、前記レーザビームはTEM00で発振されると、得られる長いビームのエネルギー均一性を上げることができるので好ましい。
レーザビームに対して透光性を持つ基板上に成膜された半導体膜をアニールする場合、均一なレーザビームの照射を実現するためには、照射面に垂直な平面であって、かつビームの形状を長方形と見立てたときの短辺を含む面または長辺を含む面のいずれか一方を入射面と定義すると、前記レーザー光の入射角度φは、入射面に含まれる前記短辺または前記長辺の長さがW、前記照射面に設置され、かつ、前記レーザー光に対して透光性を有する基板の厚さがdであるとき、φ≧arctan(W/2d)を満たすのが望ましい。複数のレーザビームを使用する場合、この議論は個々のレーザビームについて成り立つ必要がある。なお、レーザビームの軌跡が、前記入射面上にないときは、該軌跡を該入射面に射影したものの入射角度をφとする。この入射角度φでレーザビームが入射されれば、基板の表面での反射光と、前記基板の裏面からの反射光とが干渉せず、一様なレーザビームの照射を行うことができる。以上の議論は、基板の屈折率を1として考えた。実際は、基板の屈折率が1.5前後のものが多く、この数値を考慮に入れると上記議論で算出した角度よりも大きな計算値が得られる。しかしながら、ビームスポットの長手方向の両端のエネルギーは減衰があるため、この部分での干渉の影響は少なく、上記の算出値で十分に干渉減衰の効果が得られる。
また、前記基板として、ガラス基板、石英基板やシリコン基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス基板、可撓性基板などを用いることができる。上記のφに対する不等式は、基板がレーザビームに対して透光性のあるもの以外には適用されない。なぜならば、この場合、基板の厚さdが全く意味のない数値となるからである。
また、本明細書で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の構成は、基板上に非単結晶半導体膜を形成する工程と、可視光線以下の波長である第1のレーザビームを照射面において長いビームに加工し、前記長いビームが照射される領域においてエネルギー密度の低い部分に、前記第2のレーザ発振器から射出される基本波である第2のレーザビームを第1のレーザビームと同時に照射する工程を有し、前記長いビームに対して前記照射面を相対的に第1方向に移動しながら照射する工程を有し、前記非単結晶半導体膜のレーザアニールを行うことを特徴とする半導体装置の作製方法である。
なお、上記発明の構成において、前記長いビームが照射される領域においてエネルギー密度の低い部分に、前記第2のレーザ発振器から射出される基本波である第2のレーザビームのエネルギー密度の高い部分を照射することが好ましい。
上記発明の構成において、前記結晶性不良領域の幅は15μm以下である。なお、結晶性不良領域において結晶粒の大きさは通常直径1μm程度である。
また、上記発明の構成において、前記第1のレーザビームまたは前記第2のレーザビームは、連続発振の気体レーザ、固体レーザまたは金属レーザから射出されたものであることを特徴としている。前記気体レーザとして、Arレーザ、Krレーザ、COレーザ等があり、前記固体レーザとして、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YlOレーザ、アレキサンドライレーザ、Ti:サファイヤレーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザが挙げられる。
また、上記発明の構成において、前記第1のレーザビームは非線形光学素子により高調波に変換されていることを特徴とする。前記非線形光学素子に使われる結晶は、例えばLBOやBBOやKDP、KTPやKB5、CLBOと呼ばれるものを使うと変換効率の点で優れている。これらの非線形光学素子をレーザの共振器の中に入れることで、変換効率を大幅に上げることができる。
また、上記発明の構成において、前記レーザビームはTEM00で発振されると、得られる長いビームのエネルギー均一性を上げることができるので好ましい。
レーザビームに対して透光性を持つ基板上に成膜された半導体膜をアニールする場合、均一なレーザビームの照射を実現するためには、照射面に垂直な平面であって、かつビームの形状を長方形と見立てたときの短辺を含む面または長辺を含む面のいずれか一方を入射面と定義すると、前記レーザー光の入射角度φは、入射面に含まれる前記短辺または前記長辺の長さがW、前記照射面に設置され、かつ、前記レーザー光に対して透光性を有する基板の厚さがdであるとき、φ≧arctan(W/2d)を満たすのが望ましい。複数のレーザビームを使用する場合、この議論は個々のレーザビームについて成り立つ必要がある。なお、レーザビームの軌跡が、前記入射面上にないときは、該軌跡を該入射面に射影したものの入射角度をφとする。この入射角度φでレーザビームが入射されれば、基板の表面での反射光と、前記基板の裏面からの反射光とが干渉せず、一様なレーザビームの照射を行うことができる。以上の議論は、基板の屈折率を1として考えた。実際は、基板の屈折率が1.5前後のものが多く、この数値を考慮に入れると上記議論で算出した角度よりも大きな計算値が得られる。しかしながら、ビームスポットの長手方向の両端のエネルギーは減衰があるため、この部分での干渉の影響は少なく、上記の算出値で十分に干渉減衰の効果が得られる。
また、前記基板として、ガラス基板、石英基板やシリコン基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス基板、可撓性基板などを用いることができる。上記のφに対する不等式は、基板がレーザビームに対して透光性のあるもの以外には適用されない。なぜならば、この場合、基板の厚さdが全く意味のない数値となるからである。
本発明の構成で半導体膜のレーザアニールを行うことにより、半導体膜上に形成される結晶性不良領域をできる限り小さくすることができ、長結晶粒領域の割合を高くすることが可能になる。従ってTFTを配置できない領域を低減させ、半導体素子の高集積化を行うことが可能になる。また、本発明では、波長が1μm程度の基本波を高調波と同時に半導体膜に照射するため、該半導体膜の急激な温度変化の抑制や、出力の小さい高調波のエネルギーの補助などを効率良く行うことができる。以上の利点を満たした上で、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に代表される半導体装置において、半導体装置の動作特性および信頼性の向上を実現することができる。さらに、半導体装置の製造コストの低減を実現することができる。
(実施の形態1)
本発明の実施形態について図2を用いて説明する。本実施形態では、長いビーム205及び長いビーム206を形成し半導体膜表面204に照射する例を示す。
まず、LD励起式の10Wのレーザ発振器201(Nd:YVO4レーザ、CW、第2高調波(532nm))を用意する。前記レーザ発振器は、TEM00の発振モードで、共振器にLBO結晶が内蔵されており、第2高調波に変換されている。特に第2高調波に限定する必要はないがエネルギー効率の点で、第2高調波の方が、さらに高次の高調波と比較して優れている。ビーム径は2.25mmである。広がり角は0.3mrad程度である。45°反射ミラー202にて、鉛直方向から角度φずれた方向にレーザビームの進行方向を変換する。次に、焦点距離20mm、平面の部分が水平面と一致する平凸レンズ203にレーザビームを角度φで入射させる。前記角度φは適宜変更してよいが、本実施の形態では20°とした。照射面には半導体膜204を設置し、水平面と平行とする。半導体膜204はガラス基板の表面に成膜する。半導体膜204と平凸レンズ203との距離は、20mm程度とし、できるだけ入射面に平行な方向に伸びた長いビーム205が半導体膜204上に形成されるよう、距離を微調整する。微調整の精度は50μm程度とする。これにより、長径500μm、短径20μm程度の楕円形状に近い長いビーム205が形成される。
半導体膜204が成膜された基板は、厚さdのガラス基板であり、レーザ照射の際に基板が落ちないように、吸着ステージ207に固定されている。吸着ステージ207は、X軸用の一軸ロボット208とY軸用の一軸ロボット209により、半導体膜表面204に平行な面上をXY方向に動作できる。前述の干渉が出ない条件式は、
φ≧arctan(W/2d)
であるから、例えば基板に厚さ0.7mmのものを使うと
φ≧19.7°
となる。
次に、出力300Wのレーザ発振器210(Nd:YAGレーザ、CW、基本波(1.064μm)、TEM00)を用意する。レーザ発振器により発振された基本波は光ファイバ212を透過し、射出される。光ファイバは伝送形式がSI型、コア径が直径0.6mmであり、光ファイバからの出射光のNAは0.2である。光ファイバからの出射光は平凸レンズ211で集束させる。平凸レンズ211は、光ファイバ径に対し等倍の集光倍率を有し、平凸レンズから170mmの位置にある焦点位置でのビームスポット径は直径0.6mmとなる。基本波は半導体膜204に対して角度θで入射させる。角度θは55°程度とし、照射面に1mm×0.6mmの楕円形状に近いビーム206を形成する。ビーム206は長いビーム205を覆うように配置する。
波長が1μm程度の基本波は通常の半導体薄膜にはあまり吸収されず効率が悪いが、第2高調波を同時に用いると、第2高調波により溶かされた半導体薄膜に基本波がよく吸収されて、より半導体膜のアニール効率が良くなる。すなわち、半導体膜の液化による吸収係数の上昇を利用することで、基本波を本工程に採用できるようにする。その効果は、半導体膜204の急激な温度変化を抑えることや、出力の小さい第2高調波のレーザビームのエネルギーの補助などである。特に基本波の広がりを第2高調波の長いビーム205の短径方向に大きくとると温度変化をゆるやかにすることができる。基本波は、高調波とは異なり波長変換のための非線形光学素子を用いる必要がなく、非常に大出力なレーザビーム、例えば高調波の100倍以上のエネルギーをもつもの、を得ることが可能である。非線形光学素子の対レーザの耐力が非常に弱いために、このようなエネルギー差が生じる。また、高調波を発生させる非線形光学素子は変質しやすく、固体レーザの利点であるメンテフリーの状態を長く保てないなどの欠点がある。よって、本発明により基本波で高調波を補助することは、非常に意義のあることと言える。
次に、半導体膜の作製方法の例を示す。前記半導体膜は、可視光線に対して透明なガラス基板上に形成する。具体的には、厚さ0.7mmのガラス基板の片面に厚さ200nmの酸化窒化シリコンを成膜しその上に厚さ66nmの非晶質シリコン膜をプラズマCVD法にて成膜する。さらに半導体膜のレーザに対する耐性を高めるために、500℃1時間の熱アニールを該半導体膜に対して行った。前記熱アニールの他に、従来技術の項目で述べた金属元素による半導体膜の結晶化を行ってもよい。どちらの膜を使っても、最適なレーザビームの照射条件はほぼ同様である。
ついで、前記半導体膜204に対するレーザの照射の例を示す。レーザ発振器201の出力は最大10W程度であるが、長いビーム205のサイズが比較的小さいためエネルギー密度が十分あり、9W程度に出力を落として照射を行う。また、レーザ発振器210の出力は300Wとし、長いビーム205を覆うようにビーム206を形成する。ビーム206の短径は、長いビーム205の短径と比較し、長さが30倍異なる。Y軸ロボット209を使って長いビーム205の短径方向に半導体膜204が成膜された基板を走査させることにより、レーザアニールを行うことができる。上記の方法によって実際にレーザアニールされた半導体膜の様子を図3に示す。図3(a)は透過型明視野顕微鏡写真、図3(b)は反射型暗視野顕微鏡写真である。長いビーム205の長径方向、幅235μmの領域に、走査方向に長く延びた長結晶粒領域(領域A)が形成でき、長結晶粒領域(領域A)の両端に結晶性不良領域(領域B)が幅15μm形成される。前記走査のとき、先に基本波が半導体膜204に照射され、その後、第2高調波が照射され、最後に基本波が再び照射される。基本波は溶融状態のシリコンには吸収されるため、半導体膜204の急激な温度変化を抑えることが可能となる。
また、図3(c)および図3(d)にはレーザ発振器201の出力を10Wとし、レーザ発振器210からの基本波を照射しないでレーザアニールした場合の半導体膜の様子を示す。図3(c)は透過型明視野顕微鏡写真、図3(d)は反射型暗視野顕微鏡写真である。長いビーム205の長径方向、幅220μmの領域に、走査方向に長く延びた長結晶粒領域(領域A)が形成され、長結晶粒領域(領域A)の両端に結晶性不良領域(領域B)が幅25μm形成される。図3(a)および(b)と比べ、長結晶粒領域(領域A)が狭くなり、結晶性不良領域(領域B)が広くなっていることがわかる。これらの結果から、本発明の方法によって長結晶粒領域の両端にできる結晶性不良領域の割合を低減できることがわかる。なお、図3(b)および図3(d)の照射跡の両端には表面ラフネスの強い部分(図中、黒い部分)があることが示されているが、本発明の方法を採用することによって表面ラフネスの強い部分も低減しながらレーザアニールできることがわかる。
なお、本実施の形態において、高調波のレーザビームの入射角度は20°以上とする。これにより干渉が抑制されるので、より均一なレーザの照射が可能となる。走査速度は数十cm/s〜数百cm/s程度が適当であり、ここでは50cm/sとする。
図8に半導体膜全面を長結晶粒領域とする照射方法を示す。識別を容易にするため図中の符号は図2と同じものを使った。半導体膜が成膜された基板を吸着ステージ207に固定し、レーザ発振器201及びレーザ発振器210を発振させる。出力は9W及び300Wとし、まずY軸ロボット209により走査速度50cm/sにて、半導体膜表面を1筋走査する。前記1筋は図8中において、A1の部分に相当する。図8中、Y軸ロボットにて、往路Am(mは正の整数)の部分をレーザ照射した後、X軸ロボット208により、長結晶粒領域と結晶性不良領域の幅分だけ長いビームをその長径方向にスライドさせ、復路Bmの部分をレーザ照射する。このような一連の動作を繰り返すことにより、半導体膜全面において長結晶粒領域の割合を高く保つことができる。なお、長結晶粒領域の半導体膜の特性は非常に高く特にTFTなどの半導体素子を作製した場合には極めて高い電気移動度を示すことが期待できるが、そのような高い特性が必要でない半導体膜の部分には長結晶粒領域を形成する必要がない。よって、そのような部分にはレーザビームを照射しない、もしくは長結晶粒領域を形成しないようにレーザ照射を行ってもよい。長結晶粒領域を形成しないで効率よく半導体膜をアニールするには、例えば、走査の速度を増加させればよい。本発明人の実施によれば、2m/s程度の速度で長いビーム205のみを走査させると、非晶質シリコン膜を結晶化させることができるが、このとき長結晶粒領域は形成されず、いわゆる一般に言われるポリシリコン膜が形成された。なお、上記の条件は照射対象の半導体膜やレーザビームのエネルギー分布などに影響されることは言うまでもない。
(実施の形態2)
本実施形態では、基本波を使うことで、実施の形態1で示した第2高調波を成形して得られる長いビームのエネルギー分布をより均一化する例を図4に沿って示す。
まず、LD励起式の10Wのレーザ発振器301(Nd:YVO4レーザ、CW、第2高調波(532nm))を用意する。前記レーザ発振器は、TEM00の発振モードで、共振器にLBO結晶が内蔵されており、第2高調波に変換されている。ビーム径は2.25mmである。広がり角は0.3mrad程度である。45°反射ミラー302にて、鉛直方向から角度φずれた方向にレーザビームの進行方向を変換する。次に、焦点距離20mm、平面の部分が水平面と一致する平凸レンズ303にレーザビームを角度φで入射させる。前記角度φは適宜変更してよいが、本実施例では20°とした。照射面には半導体膜304を設置し、水平面と平行とする。半導体膜304はガラス基板の表面に成膜する。半導体膜304と平凸レンズ303との距離は、30mm程度とし、できるだけ入射面に平行な方向に伸びた長いビーム305が半導体膜304上に形成されるよう、距離を微調整する。微調整の精度は50μm程度とする。これにより、長径500μm、短径20μm程度の楕円形状に近い長いビーム305が形成される。
半導体膜304が成膜された基板は、厚さdのガラス基板であり、レーザ照射の際に基板が落ちないように、吸着ステージ307に固定されている。吸着ステージ307は、X軸用の一軸ロボット308とY軸用の一軸ロボット309により、半導体膜表面304に平行な面上をXY方向に動作できる。前述の干渉が出ない条件式は、
φ≧arctan(W/2d)
であるから、例えば基板に厚さ0.7mmのものを使うと
φ≧19.7°
となる。
次に、出力300Wのレーザ発振器310及び314(Nd:YAGレーザ、CW、基本波(1.064μm)、TEM00)を用意する。レーザ発振器により発振された基本波は光ファイバ315および316を透過し、射出される。光ファイバは伝送形式がSI型、コア径が直径0.6mmであり、光ファイバからの出射光のNAは0.2である。光ファイバからの出射光は平凸レンズ311および313で集束させる。平凸レンズ311および313は、光ファイバ径に対し等倍の集光倍率を有し、平凸レンズから170mmの位置にある焦点位置でのビームスポット径は直径0.6mmとなる。基本波は半導体膜304に対して角度θで入射させる。角度θは55°程度とし、照射面に1mm×0.6mmの楕円形状に近いビーム306および312を形成する。ビーム306および312は長いビーム305を覆うように配置する。
前記配置は、例えば図4b)に記載したようにし、第2高調波により出来る長いビーム305の長径の方向の両側に、基本波による長いビーム306、312を配置し、それぞれの長いビームの長径を同一直線上に乗せるようにする。このようにすると、第2高調波により出来る長いビーム305のビームの両端におけるエネルギーの減衰部分に直接、基本波が作用し、エネルギーの減衰分のエネルギーを補助するので好ましい。通常レーザビームは、スポットの中央のエネルギーが最も強く、その周辺部にいくに従いエネルギーが減衰する、ガウシアンライクのエネルギー分布を持つ。よって、第2高調波により形成された長いビーム305も、その両端のエネルギーはその中央のエネルギーと比較して弱く、レーザアニールの均一性に影響する。それを、半導体膜に対してより透光性の高い基本波を、第2高調波により形成された長いビーム305によって溶かされた領域に向かって照射することで、前記溶かされた領域における前記基本波の照射された部分を選択的に加熱することが可能となる。
図4b)の構成を、図5a)、b)を使ってより詳細に説明する。図4b)の側面図において、第2高調波による長いビーム305のみでレーザアニールを行う場合、図5a)に図示したような温度分布で半導体膜が加熱される。通常溶融部分は固体部分よりも熱伝導がよいため、長いビーム中央部分においてはエネルギー分布は一様となるが、やはり長いビーム305の両端部分はエネルギーの減衰が激しく温度低下が起こっている。基本波は半導体膜を高い透過率で透過するので、この領域に直接、基本波を照射することが可能であることから、これにより半導体膜における温度分布の一様な部分をより増加させることができる。すなわち、図4b)の側面図のように長いビーム305の両端から長いビーム306、312を照射することで、半導体膜の温度分布は、図5b)のように変化させることが出来る。すなわち、半導体膜の温度分布の一様な部分を増やし、アニールの温度ムラを抑えることが可能となる。また、長いビームの両端におけるエネルギーの減衰領域の幅を減らすことも可能となる。
ついで、半導体膜304に対するレーザの照射の例を示す。レーザ発振器301の出力は最大10W程度であるが、長いビーム305のサイズが比較的小さいためエネルギー密度が十分あり、9W程度に出力を落として照射を行う。また、レーザ発振器310、314の出力は300Wとし、長いビーム305を両端から覆うように長いビーム306、312を配置する。本実施形態においては、長いビーム306及び312の短径は、長いビーム305の短径と比較し、長さが10倍異なるが、図4では図を見やすくするため同程度の大きさに記載した。同程度の大きさとしても本発明の主旨は変わらないので、実施者が使用する膜などの条件に合わせたレーザビームの大きさを適宜選べばよい。
Y軸ロボット309を使って長いビーム305の短径方向に半導体膜304が成膜された基板を走査させることにより、長いビーム305の長径方向、幅250μmの領域に、走査方向に長く延びた単結晶の粒が敷き詰められた状態で形成できるが、前記走査のとき、先に基本波が半導体膜304に照射され、その後、第2高調波が照射され、最後に基本波が再び照射される。これにより、半導体膜304の急激な温度変化を抑えることが可能となる。このとき、高調波のレーザビームの入射角度は20°以上とする。これにより干渉が抑制されるので、より均一なレーザの照射が可能となる。基本波の長いビーム306、312の補助がないと、形成される長結晶粒領域の幅は、190μmくらいであるが、前記補助のため、前記長結晶粒領域の幅は、250μm程度と広がる。温度分布の一様な領域は広がるがやはり前記長結晶粒領域の幅方向における両端部分においては、温度の低い部分でのアニールが施されており、この部分に作製される半導体素子の特性低下が懸念される。よって、この部分には半導体素子を作製しないか、あるいは、長いビームをその長径方向にオーバーラップさせて走査させることで、半導体素子の特性が低下するような領域を消失させることを行ってもよい。例えば、前記長結晶粒領域の幅250μmのうち、特性の低下が懸念される領域が、その両端の5μmずつあると仮定すると、有効に使用できる前記長結晶粒領域の幅は240μmとなる。よって、Y軸ロボット209により1方向の走査で、半導体膜304を結晶化した後、X軸ロボットを245μm動かして、再びY軸ロボット309の走査により長結晶粒領域を形成することを繰り返せば、前記特性の低下が懸念される領域が基板内で占める割合を最小にすることが可能である。
(実施の形態3)
本実施形態では、第2高調波を成形して得られる長いビームを幾つか組み合わせ、より長いビームを形成し、さらに、基本波によりエネルギーの補助を施す例を図6に沿って示す。
まず、図示しないLD励起式の10Wのレーザ発振器(Nd:YVO4レーザ、CW、第2高調波(532nm))を4台用意する。前記レーザ発振器は、TEM00の発振モードで、共振器にLBO結晶が内蔵されており、第2高調波に変換されている。ビーム径は2.25mmである。広がり角は0.3mrad程度である。反射ミラーを幾つか使用することで、鉛直方向から角度βずれた方向にレーザビームの進行方向をそれぞれ変換し、照射面にてほぼ1つに合成されるように4方向から入射させる。前記4方向は、それぞれ光軸A、光軸B、光軸C、光軸Dと一致させる。光軸Aと光軸B、及び、光軸Cと光軸Dは、照射面に対し垂直な平面Aに対し面対称に位置させ、光軸Aと光軸Bとのなす角度、及び、光軸Cと光軸Dの成す角度、をそれぞれ20°とする。また、平面Aと照射面に垂直な平面Bに対して、光軸Aと光軸C、及び、光軸Bと光軸をD面対称に位置させ、光軸Aと光軸Bを含む平面Cと、光軸Cと光軸Dを含む平面Dとの成す角度を50°とする。
次に、焦点距離150mmの平凸シリンドリカルレンズ401a、401b、401c、及び401dを、前記光軸A、光軸B、光軸C、及び光軸Dにそれぞれ0°入射させるよう配置する。このとき前記平凸シリンドリカルレンズの集光方向は平面Cまたは平面Dに含まれる方向とする。前記平凸シリンドリカルレンズ401と照射面との距離はそれぞれの光軸上で測って110〜120mmの間で調整する。
さらに、焦点距離20mmの平凸シリンドリカルレンズ402a及び402bの母線が、前記平面C及び平面Dにそれぞれ含まれるように配置する。前記母線は、シリンドリカルレンズの曲面部における、シリンドリカルレンズの平面部から最も離れた場所に位置する母線とする。また、前記、平凸シリンドリカルレンズ402a及び402bの平面部と、前記平面C及び平面Dとは、互いにそれぞれ直交するように配置する。前記平凸シリンドリカルレンズ402と照射面との距離はそれぞれの光軸上で測って約18mmの辺りで調整する。
以上の配置により、長径400μm、短径20μm程度のサイズの長いビームが4つ、照射面403において形成される。このままでは、前記照射面403において、4つのビームは完全に1つに合成されるので、より長いビームを形成することは出来ないが、各レンズの位置を微調整することで、図6b)に記載したような配置に変換することができる。すなわち、4つ長いビーム405a、405b、405c及び405dの長径を一直線上に配置し、それらを前記直線の方向に互いにずらし合わせることで、長いビームをより長いビームとすることができる。これにより、幅1.5mmの長結晶粒領域が得られる。
次に、出力2000WのCWのLD励起YAGレーザ(基本波)を用い、光学系404により1×2mmの楕円ビーム405eを照射面に形成する。このとき前記4つの長いビームを覆うように前記楕円ビーム405eを形成する。用いる光学系404は例えば、図2で示した平凸レンズ211のようにレーザビームを平凸レンズに斜め入射させて形成してもよい。あるいは、2枚のシリンドリカルレンズを直交させて用い、丸のビームを楕円に変換してもよい。ここで重要なのは、決して基本波をレーザ発振器に戻してはならないということである。半導体膜の表面は、多少なりとも反射があることから、レーザビームを照射面に対して垂直に入射させることだけはやってはならない。
以上のようにして形成した長いビームを用い、例えば実施形態1で示したX軸用の一軸ロボット208とY軸用の一軸ロボット209などを用いて半導体膜を全面結晶化すればよい。半導体膜は例えば、実施形態1で示した方法にて作製すればよい。本実施形態を用いる利点は、より長いビームが出来ているので処理時間が短く済み、また、ガウシアンライクのエネルギー分布を持つ長いビームを互いにオーバーラップさせて隣接させることでエネルギー分布を長径方向に均一化できるため、比較的温度のムラが抑えられるので好ましい。
(実施の形態4)
本実施形態では、第2高調波を成形して得られる長いビームをガルバノミラーなどの偏向手段を用いて、さらに、基本波によるビームをガルバノミラーなどの偏向手段を用いて照射しエネルギーの補助を施す例を図7に沿って示す。
まず、LD励起式の10Wのレーザ発振器601(Nd:YVO4レーザ、CW、第2高調波(532nm))を用意する。前記レーザ発振器は、TEM00の発振モードで、共振器にLBO結晶が内蔵されており、第2高調波に変換されている。ビーム径は2.25mmである。広がり角は0.3mrad程度である。このビームは丸型なので、これを長楕円形に変換する光学系602に入射させる。変換手段は、例えば、シリンドリカルレンズ2枚構成のビームエキスパンダーとし、1方向だけビームを伸ばし楕円形としてもよい。また、通常のビームエキスパンダーを前記ビームエキスパンダーに組み合わせて用い、広がり角を制御してもよい。次いで、ガルバノミラー603にて、楕円形状に変換されたレーザビームを偏向する。偏向されたレーザビームはfθレンズ604を介し、半導体膜606が形成する平面上に到達する。fθレンズにより、楕円形状に変換された前記レーザビームを前記平面上で集光する。これにより、例えば短径20μm、長径400μmの長いビーム605が前記平面上に形成される。ガルバノミラー603の角度を変化させることで、前記平面上において、前記長いビーム605が走査される。ガルバノミラーの角度による長いビーム605の形状の変化はfθレンズ604により抑えられる。レーザビームの半導体膜606に対する入射角度は20°とする。これにより半導体膜606上における、半導体膜606表面からのレーザビームの反射光と半導体膜606が成膜された基板の裏面からのレーザビームの反射光との干渉の発生を防ぐことができる。
第2高調波により形成される長いビーム605に合わせて半導体膜606に基本波を照射するため、出力300WのLD励起のYAGレーザ608(Nd:YAGレーザ、CW、基本波(1.064μm)、TEM00、広がり角は3mrad程度)を用意する。レーザ発振器により発振された基本波は光ファイバ612を透過し、射出される。光ファイバは伝送形式がSI型、コア径が直径0.6mmであり、光ファイバからの出射光のNAは0.2である。光ファイバからの出射光は、コリメートレンズなどを用いた光学系613でコリメートさせる。コリメートしたレーザビームをガルバノミラー609にて、半導体膜606方向に偏向する。偏向されたレーザビームはfθレンズ610を介し、半導体膜606が形成する平面上に到達する。fθレンズにより、前記レーザビームを前記平面上で集光する。これにより、例えば短径600μm、長径1mmのビーム611が前記平面上に形成される。ガルバノミラー609の角度を変化させることで、前記平面上において、前記ビーム611を走査させる。ガルバノミラー609の動作はガルバノミラー603の動作に同期させて行うように制御し、前記平面上において、ビーム611を前記第2高調波の長いビーム605の位置に合わせて走査させる。ガルバノミラーの角度によるビーム611の形状の変化はfθレンズ610により抑えられる。レーザビームの半導体膜606に対する入射角度は55°程度とする。これにより半導体膜606上における、半導体膜606表面からのレーザビームの反射光と半導体膜606が成膜された基板の裏面からのレーザビームの反射光との干渉の発生を防ぐことができる。
本実施形態では、ガルバノミラー603および609はそれぞれ1枚構成で用い、1軸のみの走査とする。これでは、2次元平面の全面走査ができないので、前記基板を一軸ステージ607に載せ、図7紙面の左右方向に動作させ、基板全面をアニールできるようにする。長いビーム605の走査の速度は、100〜2000mm/sとし、好ましくは500mm/s程度とする。
半導体膜606の全面をレーザアニールするために、例えば、ガルバノミラー603および609を半周期動作させた後、1軸ステージ607を長結晶粒領域の幅の分だけ移動させ、再びガルバノミラー603を半周期動作させることを繰り返し行えばよい。本実施形態では、前記長結晶粒領域の幅は235μm程度であり、その分だけ1軸ステージ607を順次送っていけばよい。
なお、本実施例では基本波のレーザビームをガルバノミラーによって走査する構成について説明したが、ガルバノミラーを使わずに、ファイバーおよび光学系を基板に対して相対的に動作させることによって、第2高調波のレーザビームの照射位置と同位置に基本波のレーザビームを走査させる構成としてもよい。
本実施例ではアクティブマトリクス基板の作製方法について図9〜10を用いて説明する。
まず、本実施例ではコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板700を用いる。なお、基板700としては、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよい。
次いで、基板700上に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁膜から成る下地膜701を形成する。本実施例では下地膜701として2層構造を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い。下地膜701の一層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化シリコン膜701aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成する。本実施例では、膜厚50nmの酸化窒化シリコン膜701a(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を形成する。次いで、下地膜701のニ層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化シリコン膜701bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成する。本実施例では、膜厚100nmの酸化窒化シリコン膜701b(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を形成する。
次いで、下地膜上に半導体膜702を形成する。半導体膜702は、非晶質構造を有する半導体膜を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により、25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで形成する。半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。続いて、レーザ結晶化法を行なって得られた結晶質半導体膜を所望の形状にパターニングして、半導体層802〜806を形成する。もちろん、レーザ結晶化法だけでなく、他の公知の結晶化処理(RTAやファーネスアニール炉等を利用した熱結晶化法、ニッケルなどの触媒を用いた熱結晶化法等)と組み合わせて行なってもよい。
レーザ結晶化法で結晶質半導体膜を作製するには、連続発振型のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Ti:サファイアレーザ等を用いることができる。これらのレーザを用いる場合には、レーザから放射されたレーザビームを光学系で矩形状または楕円状に集光し半導体膜に照射する方法を用いると良い。結晶化の条件は実施者が適宣選択する。
本実施例では、プラズマCVD法を用い、55nmの非晶質シリコン膜を成膜する。そして、
連続発振のYAGレーザの基本波と連続発振のYVO4レーザの第2高調波を用いたレーザ結晶化法により結晶質シリコン膜を形成する。そして、この結晶質シリコン膜をフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって、半導体層802〜806を形成する。
半導体層802〜806を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行なってもよい。
次いで、半導体層802〜806を覆うゲート絶縁膜807を形成する。ゲート絶縁膜807はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成する。もちろん、ゲート絶縁膜は酸化窒化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
また、酸化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
次いで、図9(B)に示すように、ゲート絶縁膜807上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜808と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜809とを積層形成する。本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜808と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜809を積層形成する。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタする。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成する。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W膜中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。従って、本実施例では、高純度のW(純度99.99%)のターゲットを用いたスパッタ法で、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができた。
なお、本実施例では、第1の導電膜808をTaN、第2の導電膜809をWとしたが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした結晶質シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。また、第1の導電膜をタンタル(Ta)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化チタン(TiN)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をAl膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をCu膜とする組み合わせとしてもよい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク810〜815を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行なう。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行なう。本実施例では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量を25/25/10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。ここでは、松下電器産業(株)製のICPを用いたドライエッチング装置(Model E645−□ICP)を用いる。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
この後、レジストからなるマスク810〜815を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層817〜822(第1の導電層817a〜822aと第2の導電層817b〜822b)を形成する。816はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層817〜822で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、半導体層にn型を付与する不純物元素を添加する。(図10(A))ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行なえば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1015ions/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行なう。本実施例ではドーズ量を1.5×1015ions/cm2とし、加速電圧を80keVとして行った。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いた。この場合、導電層817〜821がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に第1の高濃度不純物領域706〜710が形成される。第1の高濃度不純物領域706〜710には1×1020〜1×1021atoms/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行なう。ここでは、エッチングガスにCF4とCl2とO2とを用い、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層828b〜833bを形成する。一方、第1の導電層817a〜822aは、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層828〜833(第1の導電層828a〜833aと第2の導電層828b〜833b)を形成する。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに、図10(B)に示すように、第2のドーピング処理を行なう。この場合、第1のドーピング処理よりもドーズ量を下げて、70〜120keVの高い加速電圧で、n型を付与する不純物元素を導入する。本実施例ではドーズ量を1.5×1014ions/cm2とし、加速電圧を90keVとして行なった。第2のドーピング処理は第2の形状の導電層828〜833をマスクとして用い、第2の導電層828b〜833bの下方における半導体層にも不純物元素が導入され、新たに第2の高濃度不純物領域823a〜827aおよび低濃度不純物領域823b〜827bが形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク834aおよび834bを形成して、図10(C)に示すように、第3のエッチング処理を行なう。エッチング用ガスにSF6およびCl2とを用い、それぞれのガス流量を50/10(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成し、約30秒のエッチング処理を行なう。基板側(資料ステージ)には10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的には不の自己バイアス電圧を印加する。こうして、前記第3のエッチング処理により、pチャネル型TFTおよび画素部のTFT(画素TFT)のTaN膜をエッチングして、第3の形状の導電層835〜838(第1の導電層835a〜838aと第2の導電層835b〜838b)を形成する。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、第2の形状の導電層828、830および第3の形状の導電層835〜838をマスクとして用い、ゲート絶縁膜816を選択的に除去して絶縁層839〜844を形成する。(図11(A))
次いで、新たにレジストからなるマスク845a〜845cを形成して第3のドーピング処理を行なう。この第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域846a〜846c、847a〜847cを形成する。第2の導電層835a、838aを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域846、847はジボラン(B26)を用いたイオンドープ法で形成する。(図11(B))この第3のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジストからなるマスク845a〜845cで覆われている。第1のドーピング処理及び第2のドーピング処理によって、不純物領域846a〜846c、847a〜847cにはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を2×1020〜2×1021 atoms/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。本実施例では、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層の一部が露呈しているため、不純物元素(ボロン)を添加しやすい利点を有している。
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域が形成される。
次いで、レジストからなるマスク845a〜845cを除去して第1の層間絶縁膜861を形成する。この第1の層間絶縁膜861としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。もちろん、第1の層間絶縁膜861は酸化窒化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
次いで、図11(C)に示すように、加熱処理を行なって、半導体層の結晶性の回復、それぞれの半導体層に添加された不純物元素の活性化を行なう。この加熱処理はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行なう。熱アニール法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には500〜550℃で行えばよく、本実施例では550℃、4時間の熱処理で活性化処理を行う。なお、熱アニール法の他に、レーザアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。レーザアニール法については発明実施の形態で示した方法を採用してもよい。
また、第1の層間絶縁膜を形成する前に加熱処理を行なっても良い。ただし、用いた配線材料が熱に弱い場合には、本実施例のように配線等を保護するため層間絶縁膜(シリコンを主成分とする絶縁膜、例えば窒化シリコン膜)を形成した後で活性化処理を行なうことが好ましい。
さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行ない、半導体層を水素化する工程を行なう。本実施例では水素を約3%の含む窒素雰囲気中で410℃、1時間の熱処理を行う。この工程は層間絶縁膜に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行なっても良い。
次いで、第1の層間絶縁膜861上に無機絶縁膜材料または有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜862を形成する。本実施例では、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成するが、粘度が10〜1000cp、好ましくは40〜200cpのものを用い、表面に凸凹が形成されるものを用いる。
本実施例では、鏡面反射を防ぐため、表面に凸凹が形成される第2の層間絶縁膜を形成することによって画素電極の表面に凸凹を形成した。また、画素電極の表面に凹凸を持たせて光散乱性を図るため、画素電極の下方の領域に凸部を形成してもよい。その場合、凸部の形成は、TFTの形成と同じフォトマスクで行なうことができるため、工程数の増加なく形成することができる。
なお、この凸部は配線及びTFT部以外の画素部領域の基板上に適宜設ければよい。こうして、凸部を覆う絶縁膜の表面に形成された凸凹に沿って画素電極の表面に凸凹が形成される。
また、第2の層間絶縁膜862として表面が平坦化する膜を用いてもよい。その場合は、画素電極を形成した後、公知のサンドブラスト法やエッチング法等の工程を追加して表面を凹凸化させて、鏡面反射を防ぎ、反射光を散乱させることによって白色度を増加させることが好ましい。
そして、駆動回路906において、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線863〜867を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。
また、画素部907においては、画素電極870、ゲート配線869、接続電極868を形成する(図12)。この接続電極868によりソース配線(843bと849の積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線869は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、画素電極870は、画素TFTのドレイン領域842と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する半導体層858と電気的な接続が形成される。また、画素電極870としては、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。
以上の様にして、nチャネル型TFT901とpチャネル型TFT902からなるCMOS回路、及びnチャネル型TFT903を有する駆動回路906と、画素TFT904、保持容量905とを有する画素部907を同一基板上に形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
駆動回路906のnチャネル型TFT901はチャネル形成領域823c、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層828aと重なる低濃度不純物領域823b(GOLD領域)、とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域823aを有している。このnチャネル型TFT901と電極866で接続してCMOS回路を形成するpチャネル型TFT902にはチャネル形成領域846d、ゲート電極の外側に形成される不純物領域846b、846c、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域846aを有している。また、nチャネル型TFT903にはチャネル形成領域825c、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層830aと重なる低濃度不純物領域825b(GOLD領域)、とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域825aを有している。
画素部の画素TFT904にはチャネル形成領域826c、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域826b(LDD領域)とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域826aを有している。また、保持容量905の一方の電極として機能する半導体層847a〜847cには、それぞれp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量905は、絶縁膜844を誘電体として、電極(838aと838bの積層)と、半導体層847a〜847cとで形成している。
また、本実施例の画素構造は、ブラックマトリクスを用いることなく、画素電極間の隙間が遮光されるように、画素電極の端部をソース配線と重なるように配置形成する。
また、本実施例で作製するアクティブマトリクス基板の画素部の上面図を図13に示す。なお、図9〜図12に対応する部分には同じ符号を用いている。図12中の鎖線A−A'は図13中の鎖線A―A'で切断した断面図に対応している。また、図12中の鎖線B−B'は図13中の鎖線B―B'で切断した断面図に対応している。
本実施例では、実施例1で作製したアクティブマトリクス基板から、反射型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図14を用いる。
まず、実施例1に従い、図12の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図12のアクティブマトリクス基板上、少なくとも画素電極870上に配向膜967を形成しラビング処理を行なう。なお、本実施例では配向膜967を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ972を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
次いで、対向基板969を用意する。次いで、対向基板969上に着色層970、971、平坦化膜973を形成する。赤色の着色層970と青色の着色層971とを重ねて、遮光部を形成する。また、赤色の着色層と緑色の着色層とを一部重ねて、遮光部を形成してもよい。
本実施例では、実施例1に示す基板を用いている。従って、実施例1の画素部の上面図を示す図13では、少なくともゲート配線869と画素電極870の間隙と、ゲート配線869と接続電極868の間隙と、接続電極868と画素電極870の間隙を遮光する必要がある。本実施例では、それらの遮光すべき位置に着色層の積層からなる遮光部が重なるように各着色層を配置して、対向基板を貼り合わせた。
このように、ブラックマスク等の遮光層を形成することなく、各画素間の隙間を着色層の積層からなる遮光部で遮光することによって工程数の低減を可能とした。
次いで、平坦化膜973上に透明導電膜からなる対向電極976を少なくとも画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜974を形成し、ラビング処理を施した。
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材968で貼り合わせる。シール材968にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料975を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料975には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図14に示す反射型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、対向基板のみに偏光板(図示しない)を貼りつけた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。
以上のようにして作製される液晶表示パネルは各種電子機器の表示部として用いることができる。
なお、本実施例は実施例1と自由に組み合わせることが可能である。
本実施例では、本発明を用いて発光装置を作製した例について説明する。本明細書において、発光装置とは、基板上に形成された発光素子を該基板とカバー材の間に封入した表示用パネルおよび該表示用パネルにICを実装した表示用モジュールを総称したものである。なお、発光素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得られる有機化合物を含む層(発光層)と陽極層と、陰極層とを有する。また、有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)があり、これらのうちどちらか、あるいは両方の発光を含む。
図15は本実施例の発光装置の断面図である。図15において、基板1100上に設けられたスイッチングTFT1003は図12のnチャネル型TFT903を用いて形成される。したがって、構造の説明はnチャネル型TFT903の説明を参照すれば良い。
なお、本実施例ではチャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造としているが、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
基板1100上に設けられた駆動回路は図12のCMOS回路を用いて形成される。従って、構造の説明はnチャネル型TFT901とpチャネル型TFT902の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
また、配線1101、1103はCMOS回路のソース配線、配線1102はドレイン配線として機能する。また、配線1104はソース配線1108とスイッチングTFTのソース領域とを電気的に接続する配線として機能し、配線1105はドレイン配線1109とスイッチングTFTのドレイン領域とを電気的に接続する配線として機能する。
なお、電流制御TFT1004は図12のpチャネル型TFT1302を用いて形成される。従って、構造の説明はpチャネル型TFT1302の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
また、配線1106は電流制御TFTのソース配線(電流供給線に相当する)であり、1107は電流制御TFTの画素電極1110上に重ねることで画素電極1110と電気的に接続する電極である。
なお、1110は、透明導電膜からなる画素電極(発光素子の陽極)である。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。画素電極1110は、上記配線を形成する前に平坦な層間絶縁膜1111上に形成する。本実施例においては、樹脂からなる平坦な層間絶縁膜1111を用いてTFTによる段差を平坦化する。TFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成される発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
配線1101〜1107を形成後、図15に示すようにバンク1112を形成する。バンク1112は100〜400nmのシリコンを含む絶縁膜もしくは有機樹脂膜をパターニングして形成すれば良い。
なお、バンク1112は絶縁膜であるため、成膜時における素子の静電破壊には注意が必要である。本実施例ではバンク1112の材料となる絶縁膜中にカーボン粒子や金属粒子を添加して抵抗率を下げ、静電気の発生を抑制する。この際、抵抗率は1×106〜1×1012Ωm(好ましくは1×108〜1×1010Ωm)となるようにカーボン粒子や金属粒子の添加量を調節すれば良い。
画素電極1110の上には発光層1113が形成される。なお、図15では一画素しか図示していないが、本実施例ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けている。また、本実施例では蒸着法により低分子系有機発光材料を形成している。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としている。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例では低分子系有機発光材料を発光層として用いる例を示したが、高分子系有機発光材料を用いても良い。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化シリコン等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機発光材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
次に、発光層1113の上には導電膜からなる陰極1114が設けられる。本実施例の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
この陰極1114まで形成された時点で発光素子1115が完成する。なお、ここでいう発光素子1115は、画素電極(陽極)1110、発光層1113及び陰極1114で形成されたダイオードを指す。
発光素子1115を完全に覆うようにしてパッシベーション膜1116を設けることは有効である。パッシベーション膜1116としては、炭素膜、窒化シリコン膜もしくは窒化酸化シリコン膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い発光層1113の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、発光層1113の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に発光層1113が酸化するといった問題を防止できる。
さらに、パッシベーション膜1116上に封止材1117を設け、カバー材1118を貼り合わせる。封止材1117としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施例においてカバー材1118はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)の両面に炭素膜(好ましくはダイヤモンドライクカーボン膜)を形成したものを用いる。
こうして図15に示すような構造の発光装置が完成する。なお、バンク1112を形成した後、パッシベーション膜1116を形成するまでの工程をマルチチャンバー方式(またはインライン方式)の成膜装置を用いて、大気解放せずに連続的に処理することは有効である。また、さらに発展させてカバー材1118を貼り合わせる工程までを大気解放せずに連続的に処理することも可能である。
こうして、プラスチック基板を母体とする絶縁体上にnチャネル型TFT1001、1002、スイッチングTFT(nチャネル型TFT)1003および電流制御TFT(nチャネル型TFT)1004が形成される。ここまでの製造工程で必要としたマスク数は、一般的なアクティブマトリクス型発光装置よりも少ない。
即ち、TFTの製造工程が大幅に簡略化されており、歩留まりの向上および製造コストの低減が実現できる。
さらに、図15を用いて説明したように、ゲート電極に絶縁膜を介して重なる不純物領域を設けることによりホットキャリア効果に起因する劣化に強いnチャネル型TFTを形成することができる。そのため、信頼性の高い発光装置を実現できる。
また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施例の製造工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補正回路などの論理回路を同一の絶縁体上に形成可能であり、さらにはメモリやマイクロプロセッサをも形成しうる。
さらに、発光素子を保護するための封止(または封入)工程まで行った後の本実施例の発光装置について図16を用いて説明する。なお、必要に応じて図15で用いた符号を引用する。
図16(A)は、発光素子の封止までを行った状態を示す上面図、図16(B)は図16(A)をC−C'で切断した断面図である。点線で示された1205はソース側駆動回路、1206は画素部、1207はゲート側駆動回路である。また、1301はカバー材、1302は第1シール材、1303は第2シール材であり、第1シール材1302で囲まれた内側には封止材1307が設けられる。
なお、1304はソース側駆動回路1205及びゲート側駆動回路1207に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)1305からビデオ信号やクロック信号を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図16(B)を用いて説明する。基板1100の上方には画素部1206、ゲート側駆動回路1207が形成されており、画素部1206は電流制御TFT1004とそのドレインに電気的に接続された画素電極1110を含む複数の画素により形成される。また、ゲート側駆動回路1207はnチャネル型TFT1001とpチャネル型TFT1002とを組み合わせたCMOS回路(図15参照)を用いて形成される。
画素電極1110は発光素子の陽極として機能する。また、画素電極1110の両端にはバンク1112が形成され、画素電極1110上には発光層1113および発光素子の陰極1114が形成される。
陰極1114は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線1304を経由してFPC1305に電気的に接続されている。さらに、画素部1206及びゲート側駆動回路1207に含まれる素子は全て陰極1114およびパッシベーション膜1116で覆われている。
また、第1シール材1302によりカバー材1301が貼り合わされている。なお、カバー材1301と発光素子との間隔を確保するために樹脂膜からなるスペーサを設けても良い。そして、第1シール材1302の内側には封止材1307が充填されている。なお、第1シール材1302、封止材1307としてはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、第1シール材1302はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。さらに、封止材1307の内部に吸湿効果をもつ物質や酸化防止効果をもつ物質を含有させても良い。
発光素子を覆うようにして設けられた封止材1307はカバー材1301を接着するための接着剤としても機能する。また、本実施例ではカバー材1301を構成するプラスチック基板の材料としてFRP(Fiberglass-Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリルを用いることができる。
また、封止材1307を用いてカバー材1301を接着した後、封止材1307の側面(露呈面)を覆うように第2シール材1303を設ける。第2シール材1303は第1シール材1302と同じ材料を用いることができる。
以上のような構造で発光素子を封止材1307に封入することにより、発光素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素等の発光層の酸化による劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、信頼性の高い発光装置が得られる。
なお、本実施例は実施例1または2と自由に組み合わせることが可能である。
本実施例では、本発明のTFT回路によるアクティブマトリクス型液晶表示装置を組み込んだ半導体装置について図17、図18、図19で説明する。
このような半導体装置には、携帯情報端末(電子手帳、モバイルコンピュータ、携帯電話等)、ビデオカメラ、スチルカメラ、パーソナルコンピュータ、テレビ等が挙げられる。それらの一例を図17と図18に示す。
図17(A)は携帯電話であり、本体9001、音声出力部9002、音声入力部9003、表示装置9004、操作スイッチ9005、アンテナ9006から構成されている。本願発明は音声出力部9002、音声入力部9003、及びアクティブマトリクス基板を備えた表示装置9004に適用することができる。
図17(B)はビデオカメラであり、本体9101、表示装置9102、音声入力部9103、操作スイッチ9104、バッテリー9105、受像部9106から成っている。本願発明は音声入力部9103、及びアクティブマトリクス基板を備えた表示装置9102、受像部9106に適用することができる。
図17(C)はモバイルコンピュータ或いは携帯型情報端末であり、本体9201、カメラ部9202、受像部9203、操作スイッチ9204、表示装置9205で構成されている。本願発明は受像部9203、及びアクティブマトリクス基板を備えた表示装置9205に適用することができる。
図17(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体9301、表示装置9302、アーム部9303で構成される。本願発明は表示装置9302に適用することができる。また、表示されていないが、その他の信号制御用回路に使用することもできる。
図17(E)は携帯書籍であり、本体9501、表示装置9502、9503、記憶媒体9504、操作スイッチ9505、アンテナ9506から構成されており、ミニディスク(MD)やDVDに記憶されたデータや、アンテナで受信したデータを表示するものである。表示装置9502、9503は直視型の表示装置であり、本発明はこの適用することができる。
図18(A)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレイヤーであり、本体9701、表示装置9702、スピーカ部9703、記録媒体9704、操作スイッチ9705で構成される。なお、この装置は記録媒体としてDVD(Digtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。
図18(B)はテレビであり本体3101、支持台3102、表示部3103で構成される。
図18(C)はパーソナルコンピュータであり、本体9601、画像入力部9602、表示装置9603、キーボード9604で構成される。
図19(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置3601、スクリーン3602で構成される。本発明は投射装置やその他の信号制御回路に適用することができる。
図19(B)はリア型プロジェクターであり、本体3701、投射装置3702、ミラー3703、スクリーン3704で構成される。本発明は投射装置やその他の信号制御回路に適用することができる。
なお、図19(C)は、図19(A)及び図19(B)中における投射装置3601、3702の構造の一例を示した図である。投射装置3601、3702は、光源光学系3801、ミラー3802、3804〜3806、ダイクロイックミラー3803、プリズム3807、液晶表示装置3808、位相差板3809、投射光学系3810で構成される。投射光学系3810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図19(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
また、図19(D)は、図19(C)中における光源光学系3801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系3801は、リフレクター3811、光源3812、レンズアレイ3813、3814、偏光変換素子3815、集光レンズ3816で構成される。なお、図19(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
また、本発明はその他にも、発光型表示素子に適用することも可能である。このように、本願発明の適用範囲はきわめて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1乃至3と自由に組み合わせることが可能である。
ビームスポットの照射跡の様子を示す図。 発明の実施の形態1を説明する図。 半導体膜のレーザアニールの様子を示す図。 発明の実施の形態2を説明する図。 発明の実施の形態2を説明する図。 発明の実施の形態3を説明する図。 発明の実施の形態4を説明する図。 レーザアニールの様子を示す図。 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。 画素TFTの構成を示す断面図。 アクティブマトリクス型液晶表示装置の作製工程を示す断面図。 発光装置の駆動回路及び画素部の断面構造図。 (A)発光装置の上面図。(B)発光装置の駆動回路及び画素部の断面構造図。 半導体装置の一例を示す図。 半導体装置の一例を示す図。 半導体装置の一例を示す図。

Claims (6)

  1. ガラス基板の上方に非晶質シリコン膜を形成し、
    高調波であり波長532nmである連続発振の第1のレーザビームを前記非晶質シリコン膜において楕円状ビームとなるように加工し、基本波であり波長1.064μmである連続発振の第2のレーザビームを前記第1のレーザビームと重ねて同時に前記非晶質シリコン膜に照射し、
    前記第1のレーザビーム及び前記第2のレーザビームと、前記非晶質シリコン膜とを相対的に移動しながら照射することにより、前記非晶質シリコン膜を結晶化することを特徴とする半導体装置の作製方法
  2. 請求項1において、
    前記第2のレーザビームを射出する第2のレーザ発振器の出力は、前記第1のレーザビームを射出する第1のレーザ発振器の出力より大きいことを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 請求項1又は請求項2おいて、
    前記第1のレーザビーム及び前記第2のレーザビームを、前記シリコン膜に吸収されるエネルギー密度の分布が不連続となるように照射することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    複数の前記第1のレーザビームを互いにつなげて長いビームを形成し、前記第2のレーザビームと重ねて同時に前記非晶質シリコン膜に照射することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    複数の前記第2のレーザビームを前記第1のレーザビームの両側にそれぞれ重ねて同時に前記非晶質シリコン膜に照射することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれか一において、
    前記第1のレーザビーム及び前記第2のレーザビームはYAGレーザ、YVOレーザ又はYAlOレーザら射出されることを特徴とする半導体装置の作製方法

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