JP4363098B2 - ビスイミダゾピラジノン誘導体及びビスアミノピラジン誘導体 - Google Patents
ビスイミダゾピラジノン誘導体及びビスアミノピラジン誘導体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高感度分析に利用し得る化学発光系材料や、画像解析、光源技術、ディスプレイ等の機能性色素材料に利用し得る機能性発光素子として有用なビスイミダゾピラジノン誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化学発光を利用する発光分析は、医学、薬学、環境化学等の分野で広く使用されている。また、化学発光の分子機構と発光素子の発光機構との共通性から、化学発光性を持つ化合物は有機ELデバイス等、発光素子分野への展開も期待されており、新しい機能を付与した発光プローブが開発されている。
【0003】
発光分析に用いる化学発光物質に必要な性質としては、好ましい発光波長を有すること、感度が高いこと、発光効率が良好なこと、発光時間が長いこと、使用条件で安定なこと、測定範囲が広いこと、及び人体に対し安全なことなどが挙げられる。更に、複数の発光波長を有するものは、特殊な診断等に応用できる可能性があるので好ましい。
【0004】
化学発光性を持つ化合物としては、ルミノール誘導体、アクリジン誘導体、ロフィン誘導体、シュウ酸誘導体及びジオキセタン誘導体、並びにホタルやウミホタルのルシフェリン及びオワンクラゲの発光基質等が知られている。
これらのうち、ウミホタルルシフェリンとオワンクラゲの発光基質であるイミダゾピラジノン誘導体は、生物・化学発光反応により青色の発光(発光極大460−470nm)を呈し、長波長吸収蛍光性、ソルバトクロミズム等の特異な性質を示すことが知られている。
【0005】
【化3】
【0006】
発光分析においては、短波長側に発光波長を示す発光色素を用いると、共存する物質が発光を吸収し感度が低下することがあるので、長波長側に発光波長を有する化合物の開発が望まれている。500nm以上の発光波長を有するものとしては、蛍光色素フルオレッセインとイミダゾピラジノン誘導体とを結合させた化合物FCLA(発光極大は532nm)が知られているのみである。
【0007】
【化4】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、前述した発光分析に用いる化学発光物質に必要な性質、特に複数の発光波長を有し、かつ長波長側に発光波長を有するビスイミダゾピラジノン誘導体を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討したところ、2個のイミダゾピラジノン環が直接、又はπ共役系を介して結合した化合物が、2つの発光波長を有し、かつその一つが500nm以上の長波長側に発光波長を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、下記一般式(I)で表されることを特徴とするビスイミダゾピラジノン誘導体に存する。
【0011】
【化5】
【0012】
(式中、R1 及びR2 、並びにR 3 及びR 4 はそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表し、Aは単結合又は、アルケニレン基、アルキニレン基、下記置換基群から選ばれる置換基を有するビニレン基、下記置換基群から選ばれる置換基を有していてもよいアリーレン基、下記置換基群から選ばれる置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基、及びこれらが結合した基からなる群から選ばれるπ共役系結合基を表す。
置換基群:ハロゲン原子;炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;炭素数1〜4のハゲン化アルキル基;炭素数6〜14のアリール基;炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基;炭素数1〜4のハロゲン化アルコキシ基;炭素数6〜14のアリールオキシ基)
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る一般式(I)で表されるビスイミダゾピラジノン誘導体の発光波長は、500nm以上、好ましくは550nm以上であり、かつ700nm以下、好ましくは650nm以下の範囲である。
【0014】
上記一般式(I)において、R1及びR2が同一であり、かつR3及びR4も同一である対称形でも、一方又は両方が異なる非対称形でもよい。
R1及びR2、並びにR3及びR4のアルキル基としては、それぞれ炭素数1〜12、特に炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状又は環状のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。アルキル基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基よりなる群から選ばれた基で置換されていてもよく、置換基としてはアリール基が好ましい。置換基を有するアルキル基としては、例えば、2−クロロエチル基、4−クロロブチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;2−エトキシエチル基、2−n−プロポキシエチル基、2−n−ブトキシエチル基、4−イソプロピルオキシブチル基、3−イソブチルオキシプロピル基等のアルコキシアルキル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、p−クロロベンジル基等のアラルキル基;フェノキシメチル基、2−フェノキシエチル基、4−フェノキシブチル基等のアリールオキシアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−n−ブトキシカルボニルプロピル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−フェノキシカルボニルエチル基、4−p−クロロフェノキシカルボニルブチル基等のアリールオキシカルボニルアルキル基;2−ベンジルオキシエチル基、4−ベンジルオキシブチル基等のアラルキルオキシアルキル基;2−アセトキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、4−アセトキシブチル基等のアシルオキシアルキル基;2−シアノエチル基等のシアノアルキル基などが挙げられる。
【0015】
アルケニル基としては、炭素数2〜12、特に炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基が好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ベンテニル基等が挙げられる。アルケニル基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基よりなる群から選ばれた置換基を有していてもよい。
【0016】
アルキニル基としては、炭素数2〜12、特に炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基が好ましい。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基等が挙げられる。アルキニル基は、アリール基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基又はシアノ基で置換されていてもよい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;炭素数1〜4のフルオロアルキル基;及び炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基等よりなる群から選ばれた置換基を有していてもよい。
【0017】
ヘテロアリール基としては、例えば、チエニル基、ピロール基、フリル基、ピラニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基、キノリル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等が挙げられる。ヘテロアリール基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;炭素数1〜4のフルオロアルキル基;及び炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基等よりなる群から選ばれた置換基を有していてもよい。
【0018】
これらのR1及びR2並びにR3及びR4としては、水素原子、アリール基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基よりなる群から選ばれた基、特に水素原子、メチル基、ヘキシル基、ベンジル基及びフェニル基よりなる群から選ばれた基が好ましい。
Aが表すπ共役系結合基としては、例えば、置換基を有していてもよいビニレン(−CH=CH−)基、エチニレン(−C≡C−)基;置換基を有していてもよいアリーレン基;及び置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基、並びにこれらの基の1種又は2種以上が2つ以上、好ましくは2つ又は3つ結合した基が挙げられる。
【0019】
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
ヘテロアリーレン基としては、例えば、チエニレン基、フラニレン基等が挙げられる。
ビニレン基、アリーレン基又はヘテロアリーレン基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基;炭素数6〜14のアリール基;炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基;炭素数1〜4のハロゲン化アルコキシ基;炭素数6〜14のアリールオキシ基等が挙げられる。
【0020】
上述の基が結合したπ共役結合基としては、置換基を有していてもよい1,4−ブタジエニル基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ビチエニレン基、テルチエニレン基、ビフラニレン基及びテルフラニレン基等が挙げられる。
これらのπ共役系結合基の中では、ビニレン基、エチニレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、チオエニレン基若しくはフラニレン基、又はビフェニレン基若しくはテルフェニレン基が好ましい。
【0021】
本発明に係るビスイミダゾピラジノン誘導体のうちAがπ共役系結合基であるもののいくつかを表1に、単結合であるもののいくつかを表2に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
一般式(I)で表されるビスイミダゾピラジノン誘導体のうち対称形のものは、5−ブロモピラジンアミンと一般式[(HO)2B−A−B(OH)2](式中、Aは前記と同義である。)で表されるジボロン酸誘導体とを触媒及び塩基の存在下に反応させるか、又は5−ブロモピラジンアミンを触媒及び塩基の存在下に二量化させることにより、一般式(II)で表されるビスアミノピラジン誘導体とし、これをグリオキサール誘導体と反応させることにより製造することができる。
【0025】
【化6】
【0026】
(式中、R3、R4及びAは、前記と同義である。)
なお、上記ビスアミノピラジン誘導体(II)は蛍光発光を有するので、ビスイミダゾピラジノン誘導体(I)の製造中間体として用いられる以外に、蛍光色素として用いることもできる。
本発明に係るビスイミダゾピラジノン誘導体の原料として好適なビスアミノピラジン誘導体のいくつかを表3に例示する。
【0027】
【表3】
【0028】
なお、ジボロン酸誘導体の製造方法としては、例えば、Aに対応するハロゲン化体にブチルリチウム等を用いて有機リチウム化合物とし、これをホウ酸トリアルキルエステルと反応させ、次いで塩酸によって反応生成物を加水分解する方法が挙げられる。合成したジボロン酸誘導体をピナコールと反応させて、ジボロン酸誘導体のピナコールエステルとして用いてもよい。
【0029】
ジボロン酸誘導体としては、例えば、ビニレンジボロン酸、エチニレンジボロン酸、1,4−フェニレンジボロン酸、ビフェニル−4,4’−イレンボロン酸、p−ターフェニル−4,4’ ’−イレンボロン酸、p−ターフェニル−2’,5’−ジオクチルオキシ−4,4’ ’−イレンボロン酸、2,5―チオフェニレンジボロン酸、2,2’−ビチオフェン−5,5 ’−イレンジボロン酸、2,5−フラニレンジボロン酸、2,2’−ビフラン−5,5 ’−イレンジボロン酸等が挙げられる。ジボロン酸は、5−ブロモピラジンアミン誘導体に対して、通常は0.4〜1当量程度用いればよい。
【0030】
触媒としては、パラジウム等の貴金属触媒が用いられ、例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム等が挙げられる。
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化バリウム等の水酸化物;炭酸ナトリウムや炭酸セシウム等の炭酸塩などが挙げられる。
反応溶媒は、反応を阻害しないものであれば任意だが、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒が好ましい。
【0031】
通常は、0℃から溶媒の沸点で、数時間〜5日間混合した後、生成したビスアミノピラジン誘導体を反応液から単離する。例えば、反応生成液を室温まで冷却することにより析出した結晶を濾過することにより、ビスアミノピラジン誘導体を得ることができる。得られたビスアミノピラジン誘導体は、必要であれば、再結晶、HPLC、カラムクロマトグラフィーなどで精製することもできる。
【0032】
5−ブロモピラジンアミンの二量化反応に用いる触媒としては、パラジウム等の貴金属触媒が用いられ、例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム等が挙げられる。
塩基としては、水酸化ナトリウムや水酸化バリウム等の水酸化物;炭酸ナトリウムや炭酸セシウム等の炭酸塩などが挙げられる。
【0033】
反応溶媒は、反応を阻害しないものであれば任意だが、ジメチルホルムアミド(DMF)等の非プロトン性極性溶媒が好ましい。
通常は、0℃から溶媒の沸点で、数分〜10時間混合した後、生成したビスアミノピラジン誘導体を反応液から単離する。例えば、反応生成液から溶媒を留去した後、これをエーテル系溶媒等の貧溶媒にあけてビスアミノピラジン誘導体を析出させこれを濾取する方法が挙げられる。得られたビスアミノピラジン誘導体は、必要であれば、再結晶、HPLC、カラムクロマトグラフィーなどで精製することもできる。
【0034】
次いで、ビスアミノピラジン誘導体(II)を、一般式R1COCHO(式中、R1は前記と同義である。)で表されるグリオキサール誘導体又は一般式R1COCH(OH)2(式中、R1は前記と同義である。)で表されるグリオキサール誘導体の水和物と反応させることにより、ビスイミダゾピラジノン誘導体(I)を生成させる。
【0035】
グリオキサール誘導体又はグリオキサール誘導体の水和物は、ビスアミノピラジン誘導体に対して、通常、1.6〜2.4当量程度用いればよい。
反応は、酸触媒の存在下、適当な溶媒にビスアミノピラジン誘導体及びグリオキサール誘導体を懸濁又は溶解させることにより行う。
酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のスルホン酸などが挙げられる。
【0036】
反応溶媒は、反応を阻害しないものであれば任意だが、THF、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒と水との混合溶媒又は、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒と水との混合溶媒が好ましい。
通常は、0℃から溶媒の沸点で、数時間〜2日間混合した後、生成したビスイミダゾピラジノン誘導体を反応液から単離する。例えば、反応生成液を室温まで冷却し、水を加えてビスイミダゾピラジノン誘導体を析出させ、これを濾取する方法が挙げられる。得られたビスイミダゾピラジノン誘導体は、必要であれば、再結晶、HPLC、カラムクロマトグラフィーなどで更に精製することもできる。
【0037】
非対称形ビスイミダゾピラジノン誘導体は、非対称形のビスアミノピラジン誘導体から製造する方法、又は対称形ビスアミノピラジン誘導体に異なるグリオキサール誘導体若しくはグリオキサール誘導体の水和物を段階的に反応させる方法により製造することができる。なお、非対称形のビスアミノピラジン誘導体は、5位にπ共役系結合基を有するアミノピラジン誘導体を製造し、このπ共役結合基上にボロン酸基又はボロン酸エステル基を結合させ、次いでこのものに5−ブロモピラジンアミン誘導体を反応させるか、又は、ジボロン酸誘導体に異なる5−ブロモピラジンアミン誘導体を、1当量ずつ段階的に反応させる方法により製造することができる。これらの反応条件及び精製単離は、前記した製造方法に準じて行えばよい。
【0038】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(a)2,2’−(1,4−フェニレン)ジピラジン−5,5’−ジアミンの製造
5−ブロモピラジンアミン415mg(2.38mmol)及び1,4―フェニレンジボロン酸204mg(1.23mmol)を1,4−ジオキサン4mLに懸濁させた。これに、アルゴン雰囲気下、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム89mg(0.077mmol)及び2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液3mLを加え、撹拌しながら、110℃で48時間加熱した。反応生成液を室温まで冷却し、析出した結晶を濾取し、これをエーテル及び蒸留水で洗浄した後、乾燥することにより、標題化合物296mg(1.12mmol,収率65%)を淡緑褐色粉末として得た。
融点: >250℃
1H−NMR(270MHz,DMSO−d6) δ/ppm 8.55(2H,d,J=1.3Hz),7.97(6H,m),6.59(4H,br s);(270MHz,methanol−d4) δ/ppm 8.42(2H,d,J=1.6Hz),8.03(2H,d,J=1.6Hz),7.93(4H,s).
MS(EI) m/z 264(M+,100%),78(16),66(17).
【0039】
(b)1,4−フェニレンビスイミダゾピラジノンの製造
2,2’−(1,4−フェニレン)ジピラジン−5,5’−ジアミン19.4mg(0.073mmol)及びフェニルグリオキサール1水和物60.3mg(0.40mmol)を、アルゴン雰囲気下、濃塩酸0.5mL、蒸留水0.5mL及び1,4−ジオキサン0.5mLの混合溶媒に懸濁させ、撹拌しながら100℃で20時間加熱した。反応生成液を室温に戻した後、蒸留水を加え、析出した結晶を濾過し、これをエーテルで洗浄することにより、表1のNo.1−1の1,4−フェニレンビスイミダゾピラジノンの1塩酸塩34.4mg(0.065mmol、収率88%)を暗橙色粉末として得た。
融点: >250℃
1H−NMR(270MHz,DMSO−d6) δ/ppm 8.46(4H,br d,J=7Hz),8.30(2H,br s),8.01(4H,s),7.49(4H,br t,J=7Hz),7.36(2H,br t,J=7Hz).
MS(MALDI,matrix:2,5−dihydroxybenzoic acid) m/z 497([M+H]+).
【0040】
(c)1,4−フェニレンビスイミダゾピラジノンの発光測定
空気を飽和させたDMSO−MeOH(99:1)の混合溶液に、標題化合物2.3×10-5M及びNaOH5.0×10-3Mを溶解させ、試料溶液を調製した。発光測定装置(FP−6500、日本分光社製;石英セル使用、蛍光側バンドパス 20nm、感度 High、レスポンス1sec、走引速度100nm/min)で発光スペクトルを測定したところ、発光極大を590nmに有する図1の発光スペクトルを得た。また、肉眼で橙色領域の発光を認めた。
【0041】
<実施例2>
(a)2,2’−ジピラジン−5,5’−ジアミンの製造
5−ブロモピラジンアミン518mg(2.98mmol)、テトラキスフェニルホスフィンパラジウム89mg(0.077mmol)及び炭酸ナトリウム1.3g(12mmol)をDMF10mL及び蒸留水5mLの混合溶媒に溶解させ、アルゴン雰囲気下、撹拌しながら、110℃で6.5時間加熱した。反応生成液を室温まで冷却した後、溶媒を減圧下留去し、得られた残留物をエーテルに懸濁させ、析出した結晶を濾過した。これをエーテル及び蒸留水で洗浄した後、乾燥して標題化合物187mg(0.99mmol,収率67%)を淡緑色粉末として得た。このものを10%塩酸水溶液に溶解させ、水層をトルエン及び酢酸エチルで洗浄し、水層を水酸化ナトリウム水溶液で中和して、析出した淡黄色の結晶を得た。
融点: >250℃
1H−NMR(270MHz,DMSO−d6) δ/ppm 8.56(2H,d,J=1.0Hz),7.88(2H,d,J=1.0Hz),6.52(4H,br s).
MS(EI) m/z 188(M+,100%),135(56),84(84),66(92).
【0042】
(b)ビスイミダゾピラジノンの製造
2,2’−ジピラジン−5,5’−ジアミン18.0mg(0.096mmol)及びフェニルグリオキサール1水和物51.8mg(0.34mmol)を、アルゴン雰囲気下、濃塩酸0.5mL、蒸留水0.5mL及び1,4−ジオキサン0.5mLの混合溶媒に溶かし、撹拌しながら100℃で4時間加熱した。反応生成液を室温まで冷却した後、蒸留水を加え、析出した結晶を濾取し、これをエーテルで洗浄して表2の化合物2−1のビスイミダゾピラジノンの1塩酸塩31.8mg(0.070mmol、収率73%)を暗赤色粉末として得た。
融点: >250℃
1H−NMR(270MHz,DMSO−d6 + N(C2H5)3 (ca.10:1))δ/ppm 8.28−8.33(8H,m),7.27(4H,br t,J=7.6Hz),6.99(2H,br t,J=7Hz).
MS(FAB,matrix:m−nitrobenzyl alcohol) m/z 421([M+H]+).
【0043】
(c)ビスイミダゾピラジノンの発光測定
実施例1の発光測定において、標題化合物2.4×10-5Mを混合溶液に溶解させた以外は実施例1と同様にして、発光を測定したところ、発光極大を600nmに有する図2の発光スペクトルを得た。また、肉眼で橙色領域の発光を認めた。
【0044】
【発明の効果】
本発明に係るビスイミダゾピラジノン誘導体は、2つ以上の発光波長を有し、かつその一つが500nm以上という長波長側に発光波長を有するものである。更に、この化合物は、発光波長制御性が高く、発光持続時間を制御しやすい化合物である。したがって、化学発光系を利用した高感度分析や機能性色素材料を利用した機能性発光素子応用などの分野、特に医学、薬学、環境化学などの分野において、化学発光系を利用した高感度発光分析における機能性発光プローブとして用いることができる。また、機能性化学発光分子設計の基礎となり、機能性色素材料、機能性発光素子などを利用した画像解析、光源技術、ディスプレイ技術にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、表1のNo.1−1の化合物の発光スペクトルを示したものである。縦軸は強度、横軸は波長(nm)を表す。
【図2】 図2は、表2のNo.2−1の化合物の発光スペクトルを示したものである。縦軸は強度、横軸は波長(nm)を表す。
Claims (2)
- 下記一般式(I)で表されることを特徴とするビスイミダゾピラジノン誘導体。
置換基群:ハロゲン原子;炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;炭素数1〜4のハゲン化アルキル基;炭素数6〜14のアリール基;炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基;炭素数1〜4のハロゲン化アルコキシ基;炭素数6〜14のアリールオキシ基) - 請求項1に記載のビスイミダゾピラジノン誘導体からなることを特徴とする色素。
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