JP4362965B2 - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents
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Description
本発明は、HSG(Hemi−Spherical−Grain)−Si膜の形成用の成膜装置および成膜方法に関し、特に減圧下で成膜の処理を行う成膜装置および成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置、特にメモリ装置において、キャパシタは情報の保持手段として用いられている。
近年、メモリセルにおけるキャパシタの占有面積は半導体装置の高集積化に伴って減少しており、これは、キャパシタのキャパシタンスの減少をもたらす結果となる。
【0003】
しかしながら、メモリセルの機能を十分に果たすためには、一定のキャパシタンスを確保すべきであり、α線により発生するソフトエラーおよび雑音に対する十分なマージンを確保するためには、キャパシタンスを増加させなければならない。
【0004】
従って、キャパシタのキャパシタンスを増加させるために、キャパシタ絶縁膜として誘電率の高い材料、例えば、Ta2 O5 などを用いる方法や、キャパシタの電極面積を増加させる方法などが提案されている。
【0005】
電極面積を増加させる方法としては、HSG(Hemi-Spherical-Grain) 技術、すなわち、半球状粒子技術を用いたもの(特開平8−306646号公報参照)がある。
HSG技術は、キャパシタの蓄積電極の表面に半球状の粒子あるいはマッシュルーム状の粒子を多数形成することにより、実質的に、蓄積電極の表面積を拡大し、これによって、大きな容量を実現しようとするものである。
【0006】
上記の方法では、まず不純物を含むアモルファスシリコン膜表面にシラン(SiH4)を照射することで核を形成し、その後連続してアニールを行いアモルファスシリコン表面のシリコン原子が核に集まるようにマイグレーションすることにより、表面に大きな凹凸、すなわち半球状あるいはマッシュルーム状の粒子を形成している。以後、本明細書において、半球状あるいはマッシュルーム状の粒子をHSG(Hemi−Spherical−Grain)−Si膜(以降HSG−Si膜)と呼ぶ。
【0007】
このように、アモルファスシリコン上に、半球状の粒子であるHSG−Si膜を形成する場合、アモルファスシリコンの表面に、自然酸化膜等が数原子層形成されると、酸素原子がシリコン原子のマイグレーションを抑制するために、HSG−Si膜を形成することができなくなってしまう。
実際、自然酸化膜としてのシリコン酸化膜は、酸素分圧が1×10-4Pa(1×10-6Torr)以上あると、アモルファスシリコン上に形成されてしまう。このため、半球状の粒子であるHSG−Si膜を形成する際、酸素や水等の不純物が雰囲気中に残存するのを防止しなくてはならない。
【0008】
上に引用した公報では、アモルファスシリコン上に形成された自然酸化膜をフッ化水素酸で処理することにより除去した後、ロードロック室を有する成膜装置にウェーハを導入し、HSG−Si膜を形成する方法を開示している。
【0009】
また、上記のようにウェーハ上の自然酸化膜をフッ化水素酸で除去した場合でも、加熱されている反応室にウェーハを導入した場合には、ウェーハに層間膜として形成されているシリコン酸化膜等に吸着している水分により、ウェーハ上のアモルファスシリコン表面が再度酸化されてしまうため、例えば特開平9−320970号公報に示されるように、反応室をポリシリコン等によりコーティングし、酸素や水分等の不純物をゲッタリングする能力をもたせるという提案がなされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の方法にてHSG−Si膜を形成する際においても、HSG−Si膜の成膜処理終了後から次のHSG−Si膜の成膜処理を行うまでの時間が長くなった場合、ウェーハの周辺のHSG−Si膜のサイズが小さくなり、そのため、ウェーハ面内におけるHSG−Si膜のサイズの均一性が悪化するという問題が発生することが確認された。
また、このとき、ボートの下部側ほど面内均一性の悪化が大きいことも確認された。
【0011】
ボートの下部側には、排気配管が設けられており、上記の結果を考慮すると、処理間隔が長くなった場合、排気配管に外部雰囲気からの水分、酸素および有機物等が蓄積され、ウェーハ搬送時に排気配管のバルブが開けられた瞬間に、排気配管中の上記の気体状態の不純物(以下、気体不純物と称す)が反応室内に放出あるいは拡散され、反応室内の不純物分圧が上がってしまい、これにより、アモルファスシリコン表面が酸化または汚染されてしまいHSG−Si膜のサイズが小さくなってしまうことがわかった。
従って、上記の公報に開示された不純物のゲッタリングを行うために反応室内をポリシリコン等によりコーティングするのみでは不十分であることが確認された。
【0012】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、従って、本発明は、HSG−Si膜の成膜処理終了後から次のHSG−Si膜の成膜処理を行うまでの時間が長くなった場合においても、排気配管から放出される水分、酸素および有機物などの不純物からの影響を完全に除去して、HSG−Si膜を均一にかつ安定して形成することができる成膜装置および成膜方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のHSG−Si膜の形成用の成膜装置は、被処理体に少なくともキャパシタの一方の電極となる凹凸を有する膜を成膜する処理を行う反応室と、該反応室と開閉可能な搬出入口を介して連通する被処理体待機室と、該被処理体待機室から前記反応室内に前記被処理体を搬入する被処理体搬送用ロボットと、前記反応室内を第1の圧力に達するまで排気する第1の排気手段と、前記第1の排気手段によって排気された前記反応室内を、前記第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するまで排気する第2の排気手段と、少なくとも前記第1の排気手段への気体不純物の付着を防止するための不活性ガスを含むガスを前記第1の排気手段に供給するガス供給手段とを有する。
【0014】
例えば、前記第1の排気手段は、前記反応室内が真空領域に達するまで排気を行い、前記第2の排気手段は、前記反応室内が前記真空領域から高真空領域に達するまで排気を行う。ここで、真空領域とは、大気圧よりも低い圧力の領域をいい、高真空領域とは、10-1Pa〜10-6Pa程度の圧力の領域をいう。
【0015】
例えば、前記ガス供給手段は、前記反応室に接続して設けられ、当該反応室を介して前記不活性ガスを含むガスを前記第1の排気手段に供給する。
【0016】
例えば、前記ガス供給手段は、前記不活性ガスとして窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスの少なくとも1つを含むガスを供給する。
【0019】
上記の本発明の成膜装置によれば、少なくとも第1の排気手段への気体不純物の付着を防止する不活性ガスを含むガスを第1の排気手段に供給するガス供給手段を有することにより、成膜装置の待機時間が長くなった場合においても、特に第2の排気手段に比して気体不純物の分圧の高い第1の排気手段における気体不純物を不活性ガスを含むガスにより物理的に除去することができることから、被処理体への処理を清浄に行うことができ、被処理体に均一にかつ安定して膜を形成することができる。
【0020】
また、上記の目的を達成するため、本発明のHSG−Si膜の形成用の成膜装置は、被処理体に少なくともキャパシタの一方の電極となる凹凸を有する膜を成膜する処理を行う反応室と、該反応室と開閉可能な搬出入口を介して連通する被処理体待機室と、該被処理体待機室から前記反応室内に前記被処理体を搬入する被処理体搬送用ロボットと、前記反応室内を第1の圧力に達するまで排気する第1の排気手段と、前記第1の排気手段によって排気された前記反応室内を、前記第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するまで排気する第2の排気手段と、少なくとも前記第1の排気手段への気体不純物の付着を防止可能な第1のガスを前記第1の排気手段に供給する第1のガス供給手段と、少なくとも前記第1の排気手段に付着した前記気体不純物を除去可能な第2のガスを前記第1の排気手段に供給する第2のガス供給手段とを有する。
【0021】
上記の本発明の成膜装置によれば、少なくとも第1の排気手段への気体不純物の付着を防止可能な第1のガスを第1の排気手段に供給する第1のガス供給手段と、少なくとも第1の排気手段に付着した気体不純物を除去可能な第2のガスを第1の排気手段に供給する第2のガス供給手段とを有することにより、成膜装置の待機時間が長くなった場合においても、特に第2の排気手段に比して気体不純物の分圧の高い第1の排気手段における気体不純物を第1のガスにより物理的に除去し、かつ当該第1のガスにより除去されずに残った気体不純物を、第2のガスにより取り除くことができることから、被処理体への処理を清浄に行うことができ、被処理体に均一にかつ安定して膜を形成することができる。
【0022】
また、上記の目的を達成するため、本発明のHSG−Si膜の成膜方法は、反応室内を大気圧未満で、1Pa以上の圧力に達するまで排気する第1の排気手段と、前記第1の排気手段によって排気された前記反応室内を、10 −1 Pa〜10 −6 Paの圧力に達するまで排気する第2の排気手段とを有する前記反応室内において、前記被処理体の表面に少なくともキャパシタの一方の電極となる凹凸を有する膜を成膜する処理を行う成膜方法であって、前記被処理体の表面への前記処理終了後、次の被処理体の表面への前記処理までの待機時に、少なくとも前記第1の排気手段への気体不純物の付着を防止する不活性ガスを含むガスを前記第1の排気手段に導入し、前記次の被処理体を被処理体待機室から前記反応室に搬入する場合に、前記反応室内の圧力を前記被処理体待機室内の圧力より高く調整する、HSG−Si膜の成膜方法。
【0023】
例えば、前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを導入する工程において、前記待機時に、前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを常時導入する。
【0024】
例えば、前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを導入する工程において、前記待機時に、前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを所定のサイクルで導入する。
【0025】
上記の本発明の成膜方法によれば、被処理体への所定の処理終了後、次の被処理体の所定の処理までの待機時に、第1の排気手段への気体不純物の付着を防止する不活性ガスを含むガスを第1の排気手段に導入することにより、当該待機時間が長くなった場合においても、特に第2の排気手段に比して気体不純物の分圧の高い第1の排気手段における気体不純物を不活性ガスを含むガスにより物理的に除去することができることから、被処理体への処理を清浄に行うことができ、被処理体に均一にかつ安定して膜を形成することができる。
【0026】
また、上記の目的を達成するため、本発明のHSG−Si膜の成膜方法は、反応室内を大気圧未満で、1Pa以上の圧力に達するまで排気する第1の排気手段と、前記第1の排気手段によって排気された前記反応室内を、10 −1 Pa〜10 −6 Paの圧力に達するまで排気する第2の排気手段とを有する前記反応室内において、前記被処理体の表面に少なくともキャパシタの一方の電極となる凹凸を有する膜を成膜する処理を行う成膜方法であって、前記被処理体の表面への前記処理終了後、次の被処理体の表面への前記処理までの待機時において、少なくとも前記第1の排気手段への気体不純物の付着を防止可能な第1のガスを前記第1の排気手段に導入する工程と、前記次の被処理体の表面に前記処理を行う前に、少なくとも前記第1の排気手段に付着した前記気体不純物を除去可能な第2のガスを前記第1の排気手段に導入する工程と、前記次の被処理体を被処理体待機室から前記反応室に搬入する場合に、前記反応室内の圧力を前記被処理体待機室内の圧力より高く調整する工程と、を有する。
【0027】
上記の本発明の成膜方法によれば、被処理体への所定の処理終了後、次の被処理体の所定の処理までの待機時において、少なくとも第1の排気手段への気体不純物の付着を防止可能な第1のガスを第1の排気手段に導入し、かつ、被処理体に所定の処理を行う前に、少なくとも第1の排気手段に付着した気体不純物を除去可能な第2のガスを第1の排気手段に導入することにより、当該待機時間が長くなった場合においても、特に第2の排気手段に比して気体不純物の分圧の高い第1の排気手段における気体不純物を第1のガスにより物理的に除去し、かつ当該第1のガスにより除去されずに残った気体不純物を、所定の処理前に第2のガスにより取り除くことができることから、被処理体への処理を清浄に行うことができ、被処理体に均一にかつ安定して膜を形成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の成膜装置および成膜方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
第1実施形態
図1に本実施形態に係る成膜装置の概略構成図を示すとともに、当該成膜装置の待機時における状態を示す。
図1に示す成膜装置は、試料室11と、反応室12とを備え、試料室11および反応室12との間には、真空に保持されたロードロック室13が設けられている。
【0030】
試料室11は、複数枚のウェーハ(被処理体)14を収容したカセット15を収容している。
複数枚のウェーハ14を収容したカセット15は、試料室11のドア16を介して、大気中から試料室11に搬入される。
ここで、各ウェーハ14には、例えばDRAMを構成するMOSFET等が形成され、これを被覆してシリコン酸化膜系の層間絶縁膜が形成され、さらに、その上部にキャパシタの電極として使用されるアモルファスシリコン膜が形成されている。
なお、試料室11において、アモルファスシリコン上に形成された自然酸化膜をフッ化水素酸等により除去する前処理が行われても良い。
【0031】
ロードロック室13は、試料室11に対してゲートバルブ18aによって連結されており、ウェーハ搬送用ロボット19が設けられている。
当該ウェーハ搬送用ロボット19は、試料室11のカセット15に収容されたウェーハ14を、一枚ずつ試料室11からロードロック室13を介して反応室12に搬送する。
【0032】
真空ポンプ17は、試料室11およびロードロック室13に連結されており、例えばドライポンプにより構成され、この真空ポンプ17により、試料室11およびロードロック室13は、1Pa(1×10-2Torr)程度の真空度まで排気されている。
ここで、ドライポンプは、大気圧から1Pa(1×10-2Torr)程度まで排気するポンプで、オイルレス回転ポンプである。
【0033】
反応室12は、内部において、ウェーハに薄膜を形成する処理を行うものである。反応室12は、例えば、石英やSiC等によって形成され鉛直方向に沿って配置されたチャンバー部20と、該チャンバー部20の下部に設けられたベローズ部21とを備えている。
ベローズ部21は、チャンバー部20内への大気の流入を防止して、チャンバー部20内を真空に保ちつつ、図の上下方向に伸縮可能となっている。
【0034】
ヒーター22は、チャンバー部20とともに、チャンバー部20の内部に収容されたウェーハを加熱し、チャンバー部20の外周を包囲するように設けられ、例えばコイルによって形成されている。
【0035】
反応室12には、排気配管23を介して高真空ポンプ31が接続され、排気配管24を介して真空ポンプ32が接続されている。また、高真空ポンプ31と反応室12の間にはメインバルブ29、真空ポンプ32と反応室12の間には粗引きバルブ30が設けられている。真空ポンプ32は、反応室12内を大気圧から1Pa(1×10−2Torr)程度まで排気し、高真空ポンプ31は、真空ポンプ32によってある程度反応室12内を真空状態としてから、反応処理に必要な真空状態まで排気を行い、例えば、1×10−6Pa(1×10−8Torr)程度まで排気する。
【0036】
真空ポンプ32は、例えば真空ポンプ17と同様、ドライポンプにより構成され、高真空ポンプ31は、例えばターボ分子ポンプにより構成される。
ここで、ターボ分子ポンプとは、高速(毎分1万〜9万回転)に回転する動翼と静翼とを多段に組み合わせた構造を持ち、この高速回転翼に当たった気体分子に特定の運動量を与えることで排気するポンプである。
なお、上記の排気配管24および真空ポンプ32が請求の範囲における第1の排気手段に対応し、排気配管23および高真空ポンプ31が請求の範囲における第2の排気手段に対応している。
【0037】
反応室12内には、ウェーハ14を複数枚収容できるボート25が設置台26上に位置付けられているともに、シラン(SiH4 )等のシリコン含有ガスを導入するためのシリコン含有ガス導入管27および窒素(N2 )等の不活性ガスを導入するための不活性ガス導入管28がバルブ(33,34)を介して接続されている。
図示はしないが、シリコン含有ガス導入管27および不活性ガス導入管28の他端には、各ガスを供給するためのガス供給源が接続されている。
なお、上記の不活性ガスの供給源および不活性ガス導入管28が請求の範囲における(第1の)ガス供給手段に対応し、シリコン含有ガスの供給源およびシリコンガス導入管27が請求の範囲における第2のガス供給手段に対応している。
【0038】
制御部35は、高真空ポンプ31に接続するメインバルブ29、真空ポンプ32に接続する粗引きバルブ30、シリコン含有ガス導入管27に設けられたバルブ33、不活性ガス導入管28に設けられたバルブ34に接続しており、各バルブ(29,30,33,34)の開閉を制御する。
【0039】
次に、上記の成膜装置の動作とともに、ウェーハへの成膜方法を説明する。
上記の成膜装置は、所定のHSG−Si膜形成処理終了後から次のHSG−Si膜形成処理までの処理待機状態において、図1に示されるように、ボート25は最上部に上がり、高真空ポンプ31のメインバルブ29は閉じられ、粗引きバルブ30が開かれ、かつ、不活性ガス導入管28のバルブ34が開かれており、不活性ガスは反応室12を通り、排気配管23および排気配管24を通った後、真空ポンプ32に導かれ、外部雰囲気に排出されている状態にある。
【0040】
このときの不活性ガスは、例えば不活性ガス導入管28から窒素ガスを100sccm流しておく。これにより、水分(H2 O)、酸素(O2 )および炭化水素(HC)等の気体不純物は、不活性ガスとともに真空ポンプ32により外部雰囲気に排出されるため、排気配管24内部に付着することを防止することができる。
以上の処理を待機状態において、常時行っておくことが従来と異なる。
【0041】
次に、通常の成膜処理に移行する。
図2は、ウェーハ14を反応室12に搬入する工程における成膜装置の1状態を示す図である。
すなわち、図2に示すように、不活性ガス導入管28から例えば窒素ガスを反応室12内に導入して、反応室12内の圧力を、ロードロック室13内の圧力より若干高くなるように調整する。このときの反応室12内の圧力は、例えば、1×102 Pa(1Torr)程度に調整する。
【0042】
そして、反応室12のベローズ部21を図の下方に伸長させ、ボート25を、設置台26とともに図の下方に移動させる。これにより、ボート25は、ウェーハを搭載できる位置に置かれることになる。
【0043】
そして、ロードロック室13と反応室12の間のゲートバルブ18bが開かれ、ウェーハ搬送用ロボット19に搭載されたウェーハ14がボート25に搬送され、保持される。このとき、反応室12の圧力はロードロック室13よりも若干高圧になっているため、ロードロック室13内の不純物が反応室12に侵入することはない。
【0044】
この後、ボート25を設置台26とともに下降させながら、各ウェーハ14を順次ボート25に設置していく。
このようにして、ウェーハ14をボート25に全て設置した後、反応室12のベローズ部21が収縮され、ボート25は、当該ボート25に設置された所定枚数のウェーハ14および設置台26とともに図の上方に移動する。
【0045】
図3は、ウェーハ14に例えばHSG−Si膜を形成する工程における成膜装置の1状態を示す。
すなわち、図3に示すように、バルブ34を閉じ、反応室12内への不活性ガスの導入を止め、さらに、バルブ30を閉じメインバルブ29を開け、高真空ポンプ31により反応室12内を1×10-6Pa(1×10-8Torr)程度の圧力にして、ヒーター22により、チャンバー部20とともに、ボート25に搭載された各ウェーハ14を処理温度、例えば560℃に安定するまで温める。
【0046】
そして、バルブ33を開け、シリコン含有ガスを反応室12内に導入し、ウェーハ14に当該シリコン含有ガスを照射して、連続してアニールすることで、シリコン原子により構成された核をウェーハ14上のアモルファスシリコン上に形成する。このときのシリコン含有ガス導入管27から導入するシリコン含有ガスの構成および流量は、例えばシランガス20sccm、ヘリウムガス30sccmとする。
このとき、各ウェーハ14には、不純物のない清浄なリンドープアモルファスシリコン表面が形成されており、シランガスはこの表面で分解し、シリコン核が形成される。
【0047】
この後、バルブ33を閉めて、シリコン含有ガスの反応室12内への導入を止め、ヒーター22により反応室12の処理温度を例えば560℃に保ち、かつ、高真空ポンプ31により反応室12内の処理圧力を1×10-6Pa(1×10-8Torr)程度の真空度に保ち、数分から数十分間、上記の状態を保持することにより、前記シリコン核を中心にHSG−Si膜が形成される。
以上のようにして、本実施形態に係る成膜装置を用いて成膜処理がなされる。
【0048】
次に、図4を参照して、本発明に係る成膜装置を用いた成膜方法により、待機状態において排気配管24に常時不活性ガスを導入しておいた(図1参照)後に、HSG−Si膜を形成した場合における効果を説明する。
【0049】
まず、シリコン基板にアモルファスシリコン膜が形成され、当該アモルファスシリコン表面には自然酸化膜の無い清浄な表面を有するHSG−Si膜形成用のウェーハをそれぞれ5枚用意する。
そして、上記の成膜装置を3日間、図1に示す待機状態にて放置する。
その後、HSG−Si膜形成用のシリコン基板5枚をボート25のトップ〜ボトム領域にそれぞれ均等に配置して、上述したHSG−Si膜の成膜処理を行った。ここで、図4の横軸において、BTMはボート25のボトム(最下部)に配置されたウェーハを、TOPはボート25のトップ(最上部)に配置されたウェーハを、CENTERはボート25の高さ方向での中央部に配置されたウェーハを、B−Cはボートの中央部(CENTER)とボトム(BTM)の間に配置されたウェーハを、T−Cはボートのトップ(TOP)と中央部(CENTER)の間に配置されたウェーハをそれぞれ示している。
【0050】
なお、ボート25の他の全ての場所には、アモルファスシリコン膜が形成されていない自然酸化膜の無いシリコン基板(ダミーウェーハ)を設置した。
そして、成膜後のHSG−Si膜の凹凸の面内均一性を光学的方法により測定した。なお、図4に示す面内均一性(%)は、数値が大きければ大きいほど、ウェーハ面内におけるHSG−Si膜の凹凸の差異が大きいことを示している。
【0051】
また、比較例として、従来例に係る待機状態により3日間放置した後、他は同様の条件でHSG−Si膜の成膜処理を行った結果を図4に示してある。
ここで、図5に、比較例の待機状態における成膜装置の概略構成図を示す。
比較例では、処理待機状態において、図5に示されるように、ボート25は最上部に上がり、真空ポンプ32の粗引きバルブ30は閉じられ、メインバルブ29は開いている状態にあり、また、シリコン含有ガス導入管27のバルブ33および不活性ガス導入管28のバルブ34は閉じている状態にある。
【0052】
図4に示すように、本実施形態に係る成膜装置を用いた成膜方法によれば、ボート25の全領域において、良好なHSG−Si膜がウェーハ面内に均一に形成され、特に、排気配管(23、24)が連結している部分に近いボート下部においては、比較例に比して顕著な効果が確認できた。
これは、比較例では、図5に示すように、反応室12および排気配管23内は、高真空ポンプ31により排気されていることから、内部雰囲気における水分(H2 O)、酸素(O2 )および炭化水素(HC)等の不純物分圧が1×10-6Pa(1×10-8Torr)程度以下となっているため特に問題はない。
しかし、高真空ポンプ31を有さない排気配管24内は、真空ポンプ32により排気されていることから、不純物分圧が1×10-4Pa(1×10-6Torr)以上あり、長時間この待機状態が続くことによって、排気配管24の内壁に水分(H2 O)、酸素(O2 )および炭化水素(HC)等の気体状態にある不純物が微量ではあるが付着している状態にある。この状態で、ウェーハ搬送時に排気配管24のバルブ30が開けられると、その瞬間に、排気配管24中の上記の気体不純物が反応室12内に放出あるいは拡散され、反応室12内の不純物分圧が上がってしまい、アモルファスシリコン表面が酸化または汚染され、HSG−Si膜のサイズが小さくなってしまうと考えられる。
従って、本実施形態に係る成膜装置および成膜方法によれば、HSG−Si膜の成膜処理終了後から次のHSG−Si膜の成膜処理を行うまでの時間が長くなった場合においても、排気配管24から放出される水分、酸素および有機物などの不純物からの影響を完全に除去して、ウェーハへの成膜処理を清浄に行うことができ、HSG−Si膜を均一にかつ安定して形成することができる。
【0053】
第2実施形態
本実施形態に係る成膜装置の構成は、実質的に第1実施形態と同様であるが、待機状態からウェーハ搬入工程の間に以下の工程を設ける。
【0054】
すなわち、図1に示す待機状態から図2に示すウェーハ搬入工程へ移行する間に、図6に示すように、不活性ガス導入管28のバルブを閉じ、シリコン含有ガス導入管27のバルブ33を開け、シリコン含有ガスを流すことにより、シリコン含有ガスは反応室12を通り、排気配管23および排気配管24を通った後、真空ポンプ32に導かれ、外部雰囲気に排出される。
【0055】
このときのシリコン含有ガスは、例えばシリコン含有ガス導入管27からシリコン系ガスとしてシランガスを40sccm、不活性ガスとしてヘリウムガスを60sccm流し、5〜10分間バルブ33を開けておき、上記構成のシリコン含有ガスを流入する。これにより、上記排気配管24に付着した気体不純物は、シリコン系ガスに吸着され、排気配管24から除去され、真空ポンプ32により外部雰囲気に排出される。
【0056】
そして、バルブ33を閉じ、シリコン含有ガスの反応室12への流入を止め、真空ポンプ32により反応室12、排気配管23および排気配管24内のシリコン含有ガスを全て外部雰囲気へ排出する。
【0057】
この後、バルブ28を開き、不活性ガス導入管28から不活性ガスとして、例えば窒素ガスが導入され、反応室12を通り、排気配管23および排気配管24を通ったのち真空ポンプ32により排気される。
このときの窒素ガスの流量は例えば100sccmとする。
以上までの工程を待機状態からウェーハ搬入工程へ移行する間に設け、その後、第1実施形態と同様、図2に示したウェーハ搬入工程、図3に示した成膜処理へと移行する。
以上のようにして、成膜処理がなされる。
【0058】
本実施形態に係る成膜装置および成膜方法によれば、第1実施形態における処理待機状態において排気配管24内の気体不純物を不活性ガスを用いて物理的に外部雰囲気へ排出し、外部雰囲気からの気体不純物が排気配管24の内壁等に付着するのを防止し、かつ上記の処理でもまだ外部雰囲気へ排出されず排気配管24の内壁等に付着した気体不純物を、当該気体不純物を吸着するシリコン含有ガスを用いてさらに外部雰囲気へ排出することにより、第1実施形態よりもさらに、排気配管24から放出される水分、酸素および有機物などの気体不純物からの影響を完全に除去して、ウェーハへの成膜処理を清浄に行うことができ、HSG−Si膜を均一にかつ安定して形成することができる。
【0059】
本発明の成膜装置および成膜方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、本実施形態では、図1に示すように、処理待機時において不活性ガス導入管28から不活性ガスを反応室12内を介して排気配管24に常時導入して、排気配管24内への気体不純物の付着を防止する例を示したが、メインバルブ29を閉じた状態で、粗引きバルブ30の開閉を繰り返し行い、排気配管24内に不活性ガスをサイクルパージしてもよい。
また、本実施形態では、排気配管24を洗浄するために、反応室12を介して排気配管24内に不活性ガスやシリコン含有ガスを導入する例を示したが、これに限られるものでなく、例えば排気配管24に直接不活性ガス導入管およびシリコン含有ガス導入管を接続して、排気配管24内のみに不活性ガスおよびシリコン含有ガスを導入してもよい。
【0060】
また、本実施形態では、不活性ガスとして、窒素ガスを例にして説明したが、窒素ガスの他、ヘリウムガス、アルゴンガスにより排気配管24を洗浄することも可能である。
また、本実施形態では、シリコン含有ガスとして、シランガスを例にして説明したが、シランガスの他、ジシランガス、トリシランガス、テトラシランガスにより排気配管24を洗浄することも可能であり、また、シリコン含有ガスでなくとも、排気配管中の不純物を化学的、あるいは物理的作用により効果的に除去可能なガスであれば、特に限定はない。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被処理体への所定の処理終了後から次の被処理体への所定の処理を行うまでの時間が長くなった場合においても、特に第1の排気手段における気体不純物からの影響を完全に除去して、被処理体への処理を清浄に行うことができ、被処理体に均一にかつ安定して膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1実施形態に係る成膜装置の待機状態を説明するための概略構成図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る成膜装置におけるウェーハ搬入工程を説明するための概略構成図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る成膜装置におけるウェーハへの成膜処理工程を説明するための概略構成図である。
【図4】図4は、第1実施形態の効果を説明するための図である。
【図5】図5は、図4に示した比較例における成膜装置の待機状態を説明するための概略構成図である。
【図6】図6は、第2実施形態に係る成膜装置における排気配管の洗浄工程を説明するための概略構成図である。
【符号の説明】
11…試料室、12…反応室、13…ロードロック室、14…ウェーハ、15…カセット、16…ドア、17…真空ポンプ、18a,18b…ゲートバルブ、19…ウェーハ搬送用ロボット、20…チャンバー部、21…ベローズ部、22…ヒーター、23…排気配管、24…排気配管、25…ボート、26…ボート設置台、27…シリコン含有ガス導入管、28…不活性ガス導入管、29…メインバルブ、30…粗引きバルブ、31…高真空ポンプ、32…真空ポンプ、33,34…バルブ、35…制御部。
Claims (20)
- 被処理体に少なくともキャパシタの一方の電極となる凹凸を有する膜を成膜する処理を行う反応室と、
該反応室と開閉可能な搬出入口を介して連通する被処理体待機室と、
該被処理体待機室から前記反応室内に前記被処理体を搬入する被処理体搬送用ロボットと、
前記反応室内を大気圧未満で、1Pa以上の圧力に達するまで排気する第1の排気手段と、
前記第1の排気手段によって排気された前記反応室内を、10 −1 Pa〜10 −6 Paの圧力に達するまで排気する第2の排気手段と、
少なくとも前記第1の排気手段への気体不純物の付着を防止するための不活性ガスを含むガスを前記第1の排気手段に供給するガス供給手段と
を有するHSG(Hemi−Spherical−Grain)−Si膜の形成用の成膜装置。 - 前記ガス供給手段は、前記反応室に接続して設けられ、当該反応室を介して前記不活性ガスを含むガスを前記第1の排気手段に供給する
請求項1記載の成膜装置。 - 前記ガス供給手段は、前記不活性ガスとして窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスの少なくとも1つを含むガスを供給する
請求項1記載の成膜装置。 - 被処理体に少なくともキャパシタの一方の電極となる凹凸を有する膜を成膜する処理を行う反応室と、
該反応室と開閉可能な搬出入口を介して連通する被処理体待機室と、
該被処理体待機室から前記反応室内に前記被処理体を搬入する被処理体搬送用ロボットと、
前記反応室内を大気圧未満で、1Pa以上の圧力に達するまで排気する第1の排気手段と、
前記第1の排気手段によって排気された前記反応室内を、10 −1 Pa〜10 −6 Paの圧力に達するまで排気する第2の排気手段と、
少なくとも前記第1の排気手段への気体不純物の付着を防止可能な第1のガスを前記第1の排気手段に供給する第1のガス供給手段と、
少なくとも前記第1の排気手段に付着した前記気体不純物を除去可能な第2のガスを前記第1の排気手段に供給する第2のガス供給手段と
を有するHSG(Hemi−Spherical−Grain)−Si膜の形成用の成膜装置。 - 前記第1および第2のガス供給手段は、前記反応室に接続して設けられ、当該反応室を介して前記第1および第2のガスを前記第1の排気手段に供給する
請求項4記載の成膜装置。 - 前記第1のガス供給手段は、前記第1のガスとして不活性ガスを含むガスを供給する
請求項4記載の成膜装置。 - 前記第1のガス供給手段は、前記不活性ガスとして窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスの少なくとも1つを含むガスを供給する
請求項6記載の成膜装置。 - 前記第2のガス供給手段は、前記第2のガスとしてシリコン系ガスを含むガスを供給する
請求項4記載の成膜装置。 - 前記第2のガス供給手段は、前記シリコン系ガスとしてシランガス、ジシランガス、トリシランガス、テトラシランガスの少なくとも1つを含むガスを供給する
請求項8記載の成膜装置。 - 反応室内を大気圧未満で、1Pa以上の圧力に達するまで排気する第1の排気手段と、前記第1の排気手段によって排気された前記反応室内を、10 −1 Pa〜10 −6 Paの圧力に達するまで排気する第2の排気手段とを有する前記反応室内において、前記被処理体の表面に少なくともキャパシタの一方の電極となる凹凸を有する膜を成膜する処理を行う成膜方法であって、
前記被処理体の表面への前記処理終了後、次の被処理体の表面への前記処理までの待機時に、少なくとも前記第1の排気手段への気体不純物の付着を防止する不活性ガスを含むガスを前記第1の排気手段に導入し、
前記次の被処理体を被処理体待機室から前記反応室に搬入する場合に、前記反応室内の圧力を前記被処理体待機室内の圧力より高く調整する、
HSG(Hemi−Spherical−Grain)−Si膜の成膜方法。 - 前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを導入する工程において、前記待機時に、前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを常時導入する
請求項10記載の成膜方法。 - 前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを導入する工程において、前記待機時に、前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを所定のサイクルで導入する
請求項10記載の成膜方法。 - 前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを導入する工程において、前記次の被処理体が前記反応室内に搬入されるまでの待機時において前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを導入する
請求項10記載の成膜方法。 - 前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを導入する工程において、前記待機時に前記反応室内に前記不活性ガスを含むガスを導入し、前記反応室を介して前記第1の排気手段に前記不活性ガスを含むガスを導入する
請求項10記載の成膜方法。 - 前記不活性ガスとして、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスの少なくとも1つを含むガスを前記第1の排気手段に導入する
請求項10記載の成膜方法。 - 反応室内を大気圧未満で、1Pa以上の圧力に達するまで排気する第1の排気手段と、前記第1の排気手段によって排気された前記反応室内を、10 −1 Pa〜10 −6 Paの圧力に達するまで排気する第2の排気手段とを有する前記反応室内において、前記被処理体の表面に少なくともキャパシタの一方の電極となる凹凸を有する膜を成膜する処理を行う成膜方法であって、
前記被処理体の表面への前記処理終了後、次の被処理体の表面への前記処理までの待機時において、少なくとも前記第1の排気手段への気体不純物の付着を防止可能な第1のガスを前記第1の排気手段に導入する工程と、
前記次の被処理体の表面に前記処理を行う前に、少なくとも前記第1の排気手段に付着した前記気体不純物を除去可能な第2のガスを前記第1の排気手段に導入する工程と、
前記次の被処理体を被処理体待機室から前記反応室に搬入する場合に、前記反応室内の圧力を前記被処理体待機室内の圧力より高く調整する工程と、
を有する
HSG(Hemi−Spherical−Grain)−Si膜の成膜方法。 - 前記第1のガスとして、不活性ガスを含むガスを前記第1の排気手段に導入する
請求項16記載の成膜方法。 - 前記不活性ガスとして、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスの少なくとも1つを含むガスを前記第1の排気手段に導入する
請求項17記載の成膜方法。 - 前記第2のガスとして、シリコン系ガスを含むガスを前記第1の排気手段に導入する
請求項16記載の成膜方法。 - 前記シリコン系ガスとして、シランガス、ジシランガス、トリシランガス、テトラシランガスの少なくとも1つを含むガスを前記第1の排気手段に導入する
請求項19記載の成膜方法。
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