JP4362911B2 - 可塑性油脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパルミチン酸を20重量%以上含有するラード、牛脂、パーム油等の油脂とラウリン系油脂及び液状油脂との混合油脂をエステル交換したのち更に水素添加して得られる、マーガリン、ショートニング等の製造に適した可塑性油脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マーガリン、ショートニングの原料油脂として安価な魚油硬化油が多用されていたが、近年の漁獲量の減少に伴う魚油生産量の減少と価格の高騰により、大豆油や菜種油などの植物硬化油が配合される量が増えている。しかしながら、可塑性の範囲やホイップ性や外観が要求されるバタークリーム用のマーガリン、ショートニングに於いては魚油硬化油の使用が必要であり植物性油脂の配合は制限されていた。
【0003】
一方、パーム系油脂を中心としたエステル交換油脂がマーガリン、ショートニングに積極的に利用されており、結晶性に難点のあるパーム油の改質方法として、脂肪酸残基のエステル交換が有効であることは既に多くの研究から明らかである。
【0004】
例えば、パーム油を主体とする油脂をランダムエステル交換し、更に必要に応じて水素添加する方法により不均一な結晶の発生を防止した油脂を製造することが提案されている(特開昭55−110195)。
【0005】
また、従来からマーガリン、ショートニングの主要原料である魚油硬化油に対して代替可能な油脂として、パーム系油脂とラウリン系油脂及び液状油脂とのエステル交換油脂が提案されている(特開平8−242765)。このエステル交換油脂はラウリン系油脂を多く必要とするためコスト的魅力に乏しく、魚油硬化油に対して100%の完全な置換ができるまでには至っていない。
【0006】
これらのパーム油を主体にしたエステル交換油脂は、マーガリン、ショートニングの原料油脂として十分な可塑性を有しているが、魚油硬化油を使用したマーガリン、ショートニングの外観(良好なキメ・ツヤ)に比較すれば必ずしも十分ではない。
【0007】
また、パーム油の改質方法とは異なるが、魚油を分別したステアリン画分を利用した可塑性油脂(特開平9−194876)が提案されており、魚油ステアリンと液状油脂またはラウリン系油脂とをエステル交換したのち更に水素添加することにより、酸化安定性の良好な可塑性油脂が得られると記されている。
【0008】
しかしながら、上記の方法は魚油の分別工程を必要とするため、魚油ステアリンが安価な副産物として発生しない限りは一般的に採用出来ない方法である。
【0009】
以上の様に可塑性油脂として種々のエステル交換油脂が提案されているが魚油硬化油のように単一の油脂原料でマーガリン、ショートニングを製造できる加工油脂は存在せず、実際には魚油硬化油、植物硬化油、植物性エステル交換油脂、植物性液状油脂等の多種類の油脂を配合してマーガリン、ショートニングを製造している。特に、可塑性範囲の広さやホイップ性能や外観の良さを必要とする製菓用途のマーガリン、ショートニングの製造に於いては原料油脂の多品種化と配合の複雑化が大きな課題となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、マーガリン、ショートニングの原料油脂として適度な可塑性の範囲を有し、またバタークリーム等の製菓用油脂として良好なホイップ性と外観とを付与する安価な可塑性油脂を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、ラード、牛脂、パーム油等のパルミチン酸を20重量%以上含有する油脂とラウリン系油脂及び液状油脂との配合油脂をエステル交換したのち更に水素添加することにより、魚油硬化油に匹敵する製菓特性を有する可塑性油脂を提供し得る知見を見出し本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明の第1は、ラード、牛脂及びパーム油からなる群から選択される少なくとも1種のパルミチン酸を20重量%以上含有する油脂、ラウリン系油脂及び液状油脂からなる配合油脂であって、脂肪酸組成がパルミチン酸含量15〜25重量%及びラウリン酸含量5〜10重量%である配合油脂を、エステル交換を行ったのち更に水素添加してなり、トランス型脂肪酸含量が5〜20%であることを特徴とする可塑性油脂に関する。
【0013】
好ましい実施態様としては、ラード、牛脂またはそれらの混合油脂が50〜80重量%、ラウリン系油脂が10〜25重量%及び液状油脂が10〜25重量%からなる配合油脂或いはパーム油が25〜60重量%、ラウリン系油脂が10〜25重量%及び液状油脂が30〜50重量%からなる配合油脂をエステル交換を行ったのち更に水素添加してなる上記記載の可塑性油脂に関する。
【0014】
また、更に好ましい実施態様としては、トリグリセリドの構成脂肪酸組成に於いてトランス酸型脂肪酸を5〜30重量%含有してなる上記記載の可塑性油脂に関する。
【0015】
本発明の第2は、上記記載の何れか1種類以上の可塑性油脂を含有してなる可塑性油脂組成物に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に於いて用いるラード、牛脂、パーム油とは精製ラード、精製牛脂、精製パーム油以外にもそれらの分別油脂またはそれらの硬化油の何れを用いてもよい。以下の説明において、「%」および「部」は特に断らない限り重量%および重量部を意味する。
【0017】
本発明に於いて用いるラウリン系油脂とはラウリン酸残基を35%以上含有する油脂であり、ヤシ油、パーム核油、高ラウリン菜種油またはそれらの分別油脂またはそれらの硬化油が例示される。
【0018】
また、本発明に於いて用いる液状油とは、菜種油、大豆油、コーン油、綿実油、米糠油等の室温で液状を呈する植物性液状油である。
【0019】
本発明に於ける配合油脂のパルミチン酸含量は10〜30%望ましくは15〜25%であり、パルミチン酸含量が30%を越える場合はマーガリン、ショートニングの可塑性の範囲が狭くなり好ましくない。
【0020】
また、本発明に於ける配合油脂のラウリン酸含量は3〜15%望ましくは5〜10%であり、それよりも少ない場合はマーガリン、ショートニングのホイップ性が悪化すると共にキメ、ツヤ等の外観が悪化し、製菓用の可塑性油脂として好ましくない。
【0021】
本発明に係る可塑性油脂における配合油脂は、ラード、牛脂及びパーム油からなる群から選択される少なくとも1種のパルミチン酸を20重量%以上含有する油脂、ラウリン系油脂及び液状油脂からなる。上記で限定した脂肪酸組成を満足する油脂配合として、ラード、牛脂またはそれらの混合油脂が50〜80%、ラウリン系油脂が10〜25%及び液状油脂が10〜25%からなる油脂配合或いはパーム油が25〜60%、ラウリン系油脂が10〜25%及び液状油脂が30〜50%からなる油脂配合が成り立つものである。
【0022】
主原料とする油脂の選定に於いては、動物油脂であるラード、牛脂を使用した方がパーム油を使用するよりもパルミチン酸含量を所定の範囲に調整し易く、可塑性油脂の品質もより良好な傾向である。また、パーム油より白色な色調を呈するラード、牛脂を使用する方が、良好な外観が要求される製菓用途の可塑性油脂に於いて適している。更に、安価なラード、牛脂を多量に配合した方がコスト的に有利である。
【0023】
本発明の可塑性油脂は上記配合油脂をエステル交換したのち更に水素添加を行うことを特徴とし、水素添加量の度合いにより油脂の融点及び可塑性の範囲を必要に応じて調整することが可能である。
【0024】
ここで行うエステル交換は、上記の配合油脂を公知の方法により行うものであり、ナトリウムメチラート等のアルカリ性触媒を用いる化学的エステル交換やリパーゼを用いる酵素的エステル交換の何れの方法を用いてもよい。また、水素添加は、上記のエステル交換油脂をニッケル等の金属触媒を用いる公知の方法により行うものである。
【0025】
本発明の可塑性油脂、即ち所定の脂肪酸組成を有する配合油脂をエステル交換反応し更に水素添加した硬化油は、トランス型脂肪酸含量が5〜30%望ましくは5〜20%であることを特徴とする。トランス型脂肪酸含量がこの範囲を外れるとマーガリン、ショートニングの可塑性の範囲が十分に得られない。
【0026】
本発明の可塑性油脂はそれ自体単独でマーガリン、ショートニングの原料油脂として供することが出来、マーガリン、ショートニングの製造に於いて必要とする配合油脂種類の簡素化が図られる。
【0027】
また、季節ごとにマーガリン、ショートニングの可塑性範囲の調製が必要な場合は、エステル交換油脂を水素添加する工程に於いて水素添加量を制御することにより上昇融点を25〜45℃の範囲で必要に応じて設定することができる。冬季に於いては可塑性油脂の上昇融点を32℃以下に、夏期に於いては可塑性油脂の上昇融点を42℃以下に調製することが望ましい。
【0028】
また該可塑性油脂と他の植物性油脂、動物性油脂、それらの分別油脂またはそれらの硬化油とを混合することにより、可塑性油脂組成物としてマーガリン、ショートニングの原料油脂として供することができる。この場合、該可塑性油脂の使用割合に特に制限はないが、実際には該可塑性油脂が全油分中の30%以上含有することにより本発明の可塑性油脂の効果を十分に発揮することができるので好ましい。
【0029】
また、該可塑性油脂及び該可塑性油脂組成物にレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を添加してマーガリン、ショートニングを製造してもよい。
【0030】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
精製ラード(パルミチン酸含量22.5%、ラウリン酸含量0.3%)70部、パーム核油(パルミチン酸含量9.2%、ラウリン酸含量47.2%)15部及び菜種油(パルミチン酸含量3.9%、ラウリン酸含量0%)15部からなる配合油脂(パルミチン酸含量17.7%、ラウリン酸含量7.3%)を、ナトリウムメチラート0.1部を触媒としてエステル交換反応を行った後、水洗、脱水、脱色を行った。このエステル交換油100部に対し、ニッケル触媒0.1部を添加し反応温度180℃、反応圧力1.0kg/cm2で水素添加を行い、融点28℃、融点32℃、融点35℃及び融点38℃の4種類の硬化油(実施例1−1〜1−4)を作成した。硬化油はそれぞれ水蒸気蒸留により脱臭を行いショートニングの原料油脂として供した。
【0032】
(実施例2)
精製牛脂(パルミチン酸含量23.2%、ラウリン酸含量0.3%)60部、パーム核油オレイン(パルミチン酸含量8.7%、ラウリン酸含量40.8%)20部及び菜種油(パルミチン酸含量3.9%、ラウリン酸含量0%)20部からなる配合油脂(パルミチン酸含量16.4%、ラウリン酸含量8.3%)を、実施例1と同じ方法によりエステル交換、水素添加、脱臭し融点32℃の硬化油を作成した。
【0033】
(実施例3)
パーム油(パルミチン酸含量42.3%、ラウリン酸含量0.3%)45部、パーム核油オレイン(パルミチン酸含量8.7%、ラウリン酸含量40.8%)20部及び菜種油(パルミチン酸含量3.9%、ラウリン酸含量0%)35部からなる配合油脂(パルミチン酸含量22.1%、ラウリン酸含量8.3%)を、実施例1と同じ方法によりエステル交換、水素添加、脱臭し融点32℃の硬化油を作成した。
【0034】
(比較例1)
精製ラード(パルミチン酸含量22.5%、ラウリン酸含量0.1%)70部、パーム核油(パルミチン酸含量9.2%、ラウリン酸含量47.2%)5部及び菜種油(パルミチン酸含量3.9%、ラウリン酸含量0%)25部からなる配合油脂(パルミチン酸含量17.2%、ラウリン酸含量2.4%)を実施例1と同様の方法によりエステル交換、水素添加、脱臭を行い融点32℃の硬化油を作成した。
【0035】
(比較例2)
精製パーム油(パルミチン酸含量42.3%、ラウリン酸含量0.3%)70部、パーム核油(パルミチン酸含量9.2%、ラウリン酸含量47.2%)20部及び菜種油(パルミチン酸含量3.9%、ラウリン酸含量0%)10部からなる配合油脂(パルミチン酸含量31.8%、ラウリン酸含量9.7%)を実施例1と同様の方法によりエステル交換、水素添加、脱臭を行い融点32℃の硬化油を作成した。
【0036】
(対照例1)
比較対照として上昇融点32℃の魚油硬化油を作成し、実施例1−2、2、3及び比較例1〜2に於ける硬化油との油脂特性を比較した。
【0037】
表1に実施例1〜3、比較例1〜2及び対照例1の硬化油の上昇融点、固体脂含量(SFC)及び脂肪酸組成を示す。
【0038】
【表1】
本発明の実施例1の硬化油(上昇融点32℃)、及び実施例2〜3の硬化油は対照例1の魚油硬化油とほぼ同様のSFCを示しており、また同様に比較例1の硬化油も同様に魚油硬化油と同様のSFCを示している。一方、比較例2のパルミチン酸含量が所定量を超える硬化油は、実施例や対照例1に比較して20℃以下の低温域に於いてSFCが高くなっている。
【0039】
一般的に油脂のSFCと可塑性の関係については、SFCが40%以上であると可塑性が殆ど無く、逆にSFCが5%以下であると液状となり、SFCが15〜25%の範囲に於いて最も望ましい可塑性を示すと言われている。
【0040】
表1のSFC値を基に作成したSFC曲線を図1に示す。これから判るように、実施例1−2、2、3の硬化油(上昇融点32℃)、比較例1での硬化油及び対照例1での魚油硬化油は、良好な可塑性を示す範囲が18〜28℃と温度幅が10℃である。しかし、比較例2でのパルミチン酸含量が所定量を超える硬化油は、良好な可塑性を示す範囲が23〜28℃であり温度幅が5℃と狭くなっている。
【0041】
また、実施例1に於いて同一のエステル交換油を由来とし水素添加の課程で上昇融点が異なる可塑性油脂のSFC曲線を図2に示す。望ましい可塑性の範囲、即ちSFCが15〜25%の範囲は上昇融点の違いによりそれぞれの温度域が当然異なるが、良好な可塑性を示す温度範囲の広さが重要である。つまり、実施例1−1(上昇融点28.3℃)は15〜23℃の温度範囲に於いて望ましい可塑性を示し、実施例1−2(上昇融点32.2℃)は18〜28℃の温度範囲に於いて、実施例1−3(上昇融点35.4℃)は23〜32℃の温度範囲に於いて、実施例1−4(上昇融点38.0℃)は27〜35℃の温度範囲に於いてそれぞれ望ましい可塑性を示す。このように本発明による硬化油は上昇融点が異なっても概ね温度幅が8℃以上の良好な可塑性の範囲を有している。
【0042】
(実施例4)
実施例1に於いて作成したラードを主体とする4水準の硬化油(上昇融点28、32、35、38℃)それぞれ100部に対してレシチン0.1部とステアリン酸モノグリセリド0.2部を添加してコンビネータによりショートニング(実施例4−1〜4−4)を作成した。
【0043】
(実施例5)
実施例2に於いて作成した牛脂を主体とする硬化油(上昇融点32℃)100部に対してレシチン0.1部とステアリン酸モノグリセリド0.2部を添加して実施例4と同様の方法によりコンビネータにてショートニングを作成した。
【0044】
(実施例6)
実施例3に於いて作成したパーム油を主体とする硬化油(上昇融点32℃)100部に対してレシチン0.1部とステアリン酸モノグリセリド0.2部を添加して実施例4と同様の方法によりコンビネータにてショートニングを作成した。
【0045】
(実施例7)
実施例1−2で作成したラードを主体とする硬化油(上昇融点32℃)60部と精製パーム油30部及び菜種油10部とを混合した油脂に、レシチン0.1部とステアリン酸モノグリセリド0.2部を添加して実施例4と同様の方法によりコンビネーターにてショートニングを作成した。
【0046】
(比較例3)
比較例1で作成したラウリン酸含量が所定量に達しない硬化油(上昇融点32℃)100部に対してレシチン0.1部とステアリン酸モノグリセリド0.2部を添加して実施例4と同様の方法によりコンビネーターにてショートニングを作成した。
【0047】
(比較例4)
比較例2で作成したパルミチン酸含量が所定量を越える硬化油(上昇融点32℃)100部に対してレシチン0.1部とステアリン酸モノグリセリド0.2部を添加して実施例4と同様の方法によりコンビネーターにてショートニングを作成した。
【0048】
(対照例2)
対照例1で作成した魚油硬化油(上昇融点32℃)100部に対してレシチン0.1部とステアリン酸モノグリセリド0.2部を添加して実施例4と同様の方法によりコンビネーターにてショートニングを作成した。
【0049】
表2に実施例4〜7、比較例3〜4及び対照例2に於けるショートニングのホイップ性と外観について示す。
【0050】
【表2】
ショートニングのホイップ性は20℃の環境下にてショートニング300部に対しシロップ(比重1.3)315部を加え、ホイッパーにて撹拌した時のオーバーランを経時的に測定した。外観は目視により相対比較をした。
【0051】
ホイップ性に於いて、実施例4〜7の本発明の硬化油を使用したショートニングは、対照例2での魚油硬化油を使用したショートニングと同様の高いオーバーランの値を示している。
【0052】
また、実施例4から判るように、水素添加量を調節し可塑性油脂の融点を変化させた場合でもショートニングのホイップ性はそれぞれ良好であり、同一の配合油脂に基づいて季節変化に対応できる可塑性油脂を提供することができる。
【0053】
更に実施例4〜7の本発明の硬化油を使用したショートニングは対照例2の魚油硬化油を使用したショートニングと同様にキメ、ツヤの良好な外観を呈するものであった。即ち、本発明の硬化油は製菓用のマーガリン、ショートニングに於いて、適度な可塑性範囲と良好なホイップ性及び良好な外観を付与する可塑性油脂である。
【0054】
一方、比較例3のラウリン酸含量が所定量に達していない硬化油を使用したショートニングは、オーバーランが低くホイップ性が劣り、外観もツヤが無く、製菓用の可塑性油脂としては低品質のものであった。
【0055】
また比較例4のパルミチン酸含量が所定量を越えた硬化油を使用したショートニングは可塑性範囲が狭いことに加え、ホイップ性や外観もやや劣るものであった。
【0056】
(実施例8)
本発明の実施例1−2で作成した上昇融点32℃の硬化油を使用してマーガリンを製造した。
【0057】
実施例1−2の硬化油(上昇融点32℃)85部に対してレシチン0.1部とステアリン酸モノグリセリド0.2部を添加して溶解した後、更に水15部を加えて撹拌した油中水型の油脂乳化物を、コンビネーターにて急冷捏和しマーガリンを作成した。
【0058】
対照例3として魚油硬化油(上昇融点32℃)85部に対してレシチン0.1部とステアリン酸モノグリセリド0.2部を添加して溶解した後、更に水15部を加えて撹拌した油中水型の油脂乳化物を、実施例8と同様の方法によりマーガリンを作成した。上記マーガリンを実施例4と同様の方法によりホイップ性と外観を評価した結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
即ち、本発明による硬化油を使用したマーガリンは魚油硬化油を使用したマーガリンと同様の高いオーバーランの値を示し、外観に於いても良好なキメ、ツヤを呈する優れた品質のものであった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の硬化油は製菓用のマーガリン、ショートニングに於いて、適度な可塑性の範囲と良好なホイップ性及び良好な外観を付与する可塑性油脂である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1−2、2、3、比較例1〜2及び対照例1の可塑性油脂の固体脂含量(SFC)曲線である。
【図2】実施例1−1、1−2、1−3、1−4の上昇融点が異なる可塑性油脂の固体脂含量(SFC)曲線である。
Claims (6)
- ラード、牛脂及びパーム油からなる群から選択される少なくとも1種のパルミチン酸を20重量%以上含有する油脂、ラウリン系油脂及び液状油脂からなる配合油脂であって、脂肪酸組成がパルミチン酸含量15〜25重量%及びラウリン酸含量5〜10重量%である配合油脂を、エステル交換を行ったのち更に水素添加してなり、トランス型脂肪酸含量が5〜20%であることを特徴とする可塑性油脂。
- ラード、牛脂またはそれらの混合油脂が50〜80重量%、ラウリン系油脂が10〜25重量%及び液状油脂が10〜25重量%からなる配合油脂をエステル交換を行ったのち更に水素添加してなる請求項1記載の可塑性油脂。
- パーム油が25〜60重量%、ラウリン系油脂が10〜25重量%及び液状油脂が30〜50重量%からなる配合油脂をエステル交換を行ったのち更に水素添加してなる請求項1記載の可塑性油脂。
- トリグリセリドの構成脂肪酸組成に於いてトランス酸型脂肪酸を5〜30重量%含有してなる請求項1〜3の何れか一項に記載の可塑性油脂。
- 上昇融点が25〜45℃であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の可塑性油脂。
- 請求項1〜5記載の何れか1種類以上の可塑性油脂を含有してなる可塑性油脂組成物。
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