JP4361225B2 - 母材靭性およびhaz靭性に優れた高強度高靭性鋼板 - Google Patents

母材靭性およびhaz靭性に優れた高強度高靭性鋼板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は溶接性に優れた高強度高靭性鋼板に関するものであり、詳細には、強度490MPa以上、母材靭性vTrs≦−30℃、HAZ(溶接熱影響部)靭性vEo≧100Jを満足する高強度高靭性鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
490MPa級以上の高強度鋼板では、母材強度の確保という観点からNb、V、Cr等の成分が多量に添加されるが、これら合金成分の添加により、HAZ(溶接熱影響部)が硬化して溶接割れ(低温割れ)が生じ、HAZ靭性に劣るという問題があった。そこで、かかるHAZ靭性劣化を改善すべくTiが添加されている。ところがTi添加量が多くなると、通常の加熱条件下[加熱温度:1100〜1250℃、圧延終了温度(鋼板表面):850〜1000℃、冷却:空冷]では微細なTiC(Ti含有炭化物)やTiC/N(Ti含有炭窒化物)が析出し、母材靭性が劣化するという問題が新たに生じることから、当該技術分野では、Tiをあまり多く添加せず通常、0.01〜0.02%程度添加するにとどめ、母材強度の向上は他の焼入向上元素(Nb,Mo等)を添加する等して補っているのが実情であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的は、通常の圧延条件下で許容し得るTi添加量よりもTiを多く添加したとしても、溶接性に優れた高強度高靭性鋼板を提供すること、及び当該鋼板を効率よく製造することのできる方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明に係る溶接性に優れた高強度高靭性鋼板とは、
C :0.01〜0.15%(質量%の意味、以下同じ),
Ti:0.03〜0.2%,
Mn:0.8〜3.0%,
Si:0.6%以下
を満たすと共に、
被験面積1μm2当たり、粒子径が7〜50nmのTi含有炭化物及び/又はTi含有炭窒化物が平均で1.0個以上存在するところに要旨を有するものである。
【0005】
本発明において、隣り合う結晶の方位差が全て15°以上の粒界で囲まれた結晶の平均粒径が30μm以下に制御されたものは、靭性が一層向上するので好ましい態様である。
【0006】
また、鋼中成分において、更にB:0.0003〜0.005%を含有するもの;Cu:3%以下(0%を含まない),Ni:6%以下(0%を含まない),及びCr:0.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも一種を含有するもの;Al:0.5%以下(0%を含まない),Ca:0.05%以下(0%を含まない),及びREM:0.05%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも一種を含有するもの;Mo:0.50%以下(0%を含まない),Nb:0.05%以下(0%を含まない),V:0.10%以下(0%を含まない),及びZr:0.05%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。
【0007】
更に上記課題を解決し得た本発明鋼板を製造する方法とは、上記鋼を用い、未再結晶γ域での圧下量を60%以上に制御するところに要旨を有するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、従来の溶接性に優れた高強度高靭性鋼板では、「Tiの多量添加による微細なTiCの析出に伴い、母材靭性が低下する」ことを阻止するという観点から、実操業レベルではせいぜいTiを0.01〜0.02%程度しか添加しておらず、これでは、Ti添加による母材強度向上及びHAZ靭性向上というメリットが活かされていないという実情に着目した。そこで本発明者らは、従来の如く「Ti添加量をできるだけ少なくし、その結果、母材靭性に悪影響を及ぼす微細なTiC等の析出を抑制する」というのではなく、「Tiを多く添加し、粗大なTiC等をできるだけ析出させることにより、母材靭性を劣化させることなくTi添加による優れた効果を有効に発揮させる」べく鋭意検討した。その結果、上記要件を特定することにより、所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
この様に本発明は粗大なTiC等の析出を促進する技術的思想を有する点で、微細なTiC等の析出を抑制する従来の技術的思想とは異なる、新規な技術的思想を有するものであり、本発明では、Ti添加によるメリット(HAZ靭性を損なうことなく母材強度を高める)を有効に発揮させつつ、しかも所定の母材靭性をも確保し得る、溶接性に優れた高強度高靭性鋼板が得られたところにその技術的意義が存在する。
【0010】
以下、本発明を構成する各要件について説明する。
【0011】
まず、鋼中の化学成分は、C:0.01〜0.15%,Ti:0.03〜0.2%,Mn:0.8〜3.0%,Si:0.6%以下を満たすことが必要である。各成分の限定理由は以下の通りである。
【0012】
C:0.01〜0.15%
Cは強度確保に有用な元素であり、かかる作用を有効に発揮させるべく、その下限を0.01%に定めた。好ましくは0.02%以上である。但し、C添加量が0.15%を超えると溶接部靭性が低下してしまう。好ましくは0.07%以下である。
【0013】
Ti:0.03〜0.2%
TiはHAZ靭性を損なうことなく母材強度を向上することができる点で有効な元素であり、かかる作用を有効に発揮させるべくその下限を0.03%に定めた。好ましくは0.035%以上である。但し、Ti添加量が0.2%を超えると上記作用が飽和する為、その上限を0.2%に定めた。好ましくは0.08%以下である。
【0014】
Mn:0.8〜3.0%
Mnは焼入れ性向上元素として有用であるのみならず、本発明の如く極低Cとし、好ましくは更に所定のB量を添加することによりHAZ靭性と母材強度の確保を両立させることができる点でも有用である。かかる作用を有効に発揮させる為にその下限を0.8%に定めた。好ましくは1.0%以上である。但し、Mn添加量が3.0%を超えると靭性が劣化する為、その上限を3.0%に定めた。好ましくは2.5%以下である。
【0015】
Si:0.6%以下(0%を含む)
Siは強度向上に有効な元素であり、その為には0.1%以上添加することが好ましい。但し、0.6%を超えて添加すると溶接性が阻害される為、その上限を0.6%に定めた。
【0016】
更に本発明鋼板では、被験面積1μm2当たり、粒子径が7〜50nmのTi含有炭化物及び/又はTi含有炭窒化物(以下、「TiC等」で代表させる場合がある)が平均で1.0個以上存在することが必要である。前述した通り、本発明鋼板では粗大なTiC等を積極的に析出させることにより母材靭性を向上させたところに技術的思想を有するものであり、かかる粗大なTiC等を析出させるということは、裏返せば微細なTiCなどの析出個数を減らすことができることにもつながり、母材靭性の向上に極めて有効だからである。本発明によれば、上記粒子径のTiC等が被験面積1μm2当たり、平均で1.0個以上存在すれば所期の目的を達成できることを突き止めた。
【0017】
上記TiC等の粒子径は以下の様に行う。まず、鋼板板厚方向のt/4付近(t:板厚)の任意の長手方向断面を透過型電子顕微鏡(TEM:倍率は5万倍以上とし、10万倍前後で観察することが好ましい)で観察し、1μm2当たりに存在するTiC等の析出物のうち、粒子径が7〜50nmのものの個数を目視観察する。同様の操作を任意の10視野で行い、その平均個数を算出することにより本発明における「TiC等の個数」と定めた。
【0018】
尚、本発明では上記粒子径を満たすTiC等の個数は多ければ多いほど、所望の特性が発揮される。但し、本発明に用いられるTi量及びC量の上限等を考慮すれば、その上限は1000個程度に定められる。
【0019】
また、本発明では、上記TiC等の粒子径を7〜50nmの範囲に定めた。上記粒子径が7nm未満のTiC等は、母材靭性に悪影響を及ぼす為である。尚、その上限を50nmに定めたのは、50nm超のTiC等は圧延の加熱時に固溶せずに溶け残ったものであり、この様なTiC等は圧延時に析出するものとは異なって、鋼板の特性に特に悪影響を及ぼさない為である。
【0020】
更に本発明鋼板では、隣り合う結晶の方位差が全て15°以上の粒界で囲まれた結晶の平均粒径を30μm以下に制御することが推奨され、これにより、更に靭性の向上が促進される。ここで、結晶粒界の方位差を全て15°以上に定めたのは、15°未満になると、靭性向上に寄与する結晶粒界として機能しないからである。また、結晶方位差が上記要件を満足する大角粒界で囲まれた結晶であって、更に当該結晶の平均粒径を30μm以下(より好ましくは15μm以下)に定めたのは、かかる微細な結晶が靭性向上に寄与するからである。一般に、個々の結晶粒が微細化すると靭性は向上すると考えられているが、本発明の如く、結晶方位差との相関関係についてまでは知られていなかった。本発明者らの検討結果によれば、たとえ個々の結晶粒が細かくなったとしても、結晶粒の方位差が小さければ、幾つかの結晶粒の集合体があたかも1つの結晶粒の様に作用する為、必ずしも「結晶粒の微細化→靭性向上」という関係を満足しないことが明らかになった。そこで本発明では、結晶の平均粒径のみならず結晶粒界の方位差についても特定した次第である。
【0021】
ここで、上記結晶粒界の方位差の測定方法及び当該粒界で囲まれた結晶の平均粒径の測定方法について説明する。まず、結晶粒の方位差を測定するに当たっては、SEM−EBSP[Scanning Electron Microscope-Electron Back Scattering (Scattered) Patern、若しくはEBSD(Diffraction)ともいう]によって結晶方位を測定し、これを解析することにより隣り合う結晶の方位差が15°以上の粒界のみ表示させることができる。次いで、切断法により平均粒径を測定することにより、隣り合う角が15°以上の大角粒界で囲まれた平均粒径を測定することができる。尚、EBSPによる測定に関しては、板厚方向のt/4付近の長手方向断面について、0.1〜0.2mm四方の範囲を3箇所以上測定し、その平均値を算出すれば良い。
【0022】
具体的には、上記の位置から試料を切り出し、測定面を電解研磨処理(10%過塩素酸エタノールで0.1〜0.3オングストロームに制御する)を行った後、TEX SEM Laboratory社製SEM−EBSPにより約0.12mm四方の範囲を3ヶ所測定し、隣り合う角が15°以上の大角粒界のみの図をプリントアウトする。次に、切断法により平均粒径を求めるが、これは、上記図に縦横5本ずつ合計10本の直線を引き、これらの直線が粒界で区切られる切片の平均長さをもって平均粒径とした。
【0023】
本発明に用いられる鋼中成分については前述した通り、C,Ti,Mn,Siを含有し、残部:実質的に鉄であるが、本発明の作用を損なわない範囲で通常用いられる許容成分や不純物等を添加することができる。具体的には、本発明では、鋼中に下記成分を積極的に添加することが推奨される。
【0024】
B:0.0003〜0.005%
Bは微量の添加により旧γ粒界の粒界エネルギーを減少してフェライトの核生成を抑制するのに有効な元素である。かかる作用を有効に発揮させる為には0.0003%以上添加することが好ましく、より好ましくは0.0007%以上である。但し、過剰に添加するとBN等のB化合物を形成して靭性が劣化する為、0.005%以下、より好ましくは0.003%以下に制御することが推奨される。
【0025】
Cu:3%以下(0%を含まない),Ni:6%以下(0%を含まない),及びCr:0.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも一種
これらの元素は強度向上に有効な元素であり、かかる作用を有効に発揮させる為にはCu:0.2%以上(より好ましくは0.4%以上),Ni:0.1%以上(より好ましくは0.2%以上),Cr:0.1%以上(より好ましくは0.2%以上)添加することが好ましい。但し、Cu,Niを過剰に添加しても効果が飽和してしまい経済的に無駄であり、また、Crを過剰に添加すると溶接性やHAZ靭性が低下することから、その上限を夫々、Cu:3%(より好ましくは2%),Ni:6%(より好ましくは3%),Cr:0.5%に制御することが好ましい。尚、上記元素は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても構わない。
【0026】
Al:0.5%以下(0%を含まない),Ca:0.05%以下(0%を含まない),及びREM:0.05%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも一種
これらの元素はHAZ靭性の向上に有効な元素であり、かかる作用を有効に発揮させる為にはAl:0.01%以上,Ca:0.01%以上,REM:0.01%以上添加することが好ましい。ここでREMは希土類元素を意味し、Sc,Y,ランタノイド(La,Ce等の15元素)に対する総称である。このうち好ましいのはランタノイド系元素であり、特にLa,Ceの使用が推奨される。但し、Alを過剰に添加すると鋼の清浄度が低下する為、0.5%以下(より好ましくは0.2%以下)に制御することが推奨される。また、Caを過剰に添加すると粗大な鋼中介在物を形成して鋼の性質が悪化する為、0.05%以下(より好ましくは0.04%以下)に制御することが推奨される。更にREMを過剰に添加すると鋼の清浄度を損なう為、0.05%以下(より好ましくは0.04%以下)にすることが好ましい。尚、上記元素は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても構わない。
【0027】
Mo:0.50%以下(0%を含まない),Nb:0.05%以下(0%を含まない),V:0.10%以下(0%を含まない),及びZr:0.05%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも一種
これらの元素は強度向上に有効な元素であり、かかる作用を有効に発揮させる為にはMo:0.05%以上(より好ましくは0.1%以上),Nb:0.01%以上(より好ましくは0.02%以上),V:0.02%以上,Zr:0.01%以上添加することが好ましい。但し、Moを過剰に添加すると溶接性が低下する為、0.50%以下(より好ましくは0.4%以下)に制御することが推奨される。また、Nb,V,Zrを過剰に添加するとHAZ靭性が劣化する為、Nb:0.05%以下(より好ましくは0.04%以下),V:0.10%以下(より好ましくは0.07%以下),Zr:0.05%以下(より好ましくは0.04%以下)にすることが好ましい。尚、上記元素は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても構わない。
【0028】
次に、本発明の鋼板を製造する方法について説明する。
【0029】
前述した通り、本発明では、所定の粗大なTiC等を積極的に析出させるところに最重要ポイントが存在するものであるから、TiC等の形態を所定の大きさに制御することが重要である。その為に本発明では、未再結晶γ域での圧下量を60%以上(より好ましくは66%以上)に定めた。この様に圧下量を高くすると、靭性に悪影響を及ぼす微細なTiC等の析出が抑制され、所望の粗大なTiC等が効率よく得られるからである。尚、圧下量を高くすると圧延機に負荷がかかることが懸念されるが、本発明では、パスでの圧下量を大きくせず、多パスでの累積圧下量を大きくする様に制御している為、特に支障はないと考えられる。
【0030】
更に圧延に際し、加熱温度、圧延仕上げ温度、圧延後の冷却条件も適切に調整することが好ましい。これらの条件は相互に関連し、また、鋼種が違えばTiC等,結晶粒の形態等に微妙に影響を及ぼすことから、各条件を一義的に定めることは困難である。後記する実施例に示す如く、鋼種、加熱温度、仕上げ温度、冷却条件が適切にバランス良く制御されていなければ、たとえ未再結晶γ域で60%以上の圧下を施したとしても、所望の特性が得られない場合もあり得るからである。従って、実機で本発明鋼板を製造する場合には、予め予備実験等により対象とする鋼種に適した加熱温度、圧延仕上げ温度、圧延後の冷却条件を調査しておき、所望の組織が得られる条件を把握しておくことが好ましい。所定の鋼板を得る為の条件としては、一般的傾向として、加熱温度が比較的高い場合には圧延仕上げ温度を低めに設定することが好ましく、一方、仕上げ温度が高めの場合には圧延後の冷却を早めにすることが推奨される。勿論、これらの傾向にしても、鋼種等により、その範囲が変動するものである。
【0031】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0032】
【実施例】
表1に示す成分組成の鋼を通常の溶製法により溶製し、スラブとした後、表2及び表3に示す条件に従って板厚25mmの鋼板を製造した。
【0033】
この様にして得られた各鋼板について、下記要領で母材特性[強度及び靭性(vTrs)]を評価すると共に、前述の方法に従い、所定の大きさからなるTiC等の析出物個数を測定し、且つ、隣り合う結晶の方位差が全て15°以上の粒界で囲まれた結晶の平均粒径を測定した。また、HAZ靭性(vE0)も下記要領で測定した。
【0034】
[母材特性試験]
▲1▼引張試験:各鋼板の板厚1/4部位からJIS4号試験片を採取し、引張試験を行うことによ引張強さ(TS)を測定した。本発明では、引張強さ≧490MPaを合格とした。
【0035】
▲2▼衝撃試験:各鋼板の板厚1/4部位からJIS4号試験片を採取し、シャルピー衝撃試験を行うことによりvTrsを得た。本発明では、vTrs≦−30℃を合格とした。
【0036】
[溶接性試験]
HAZ靭性:入熱21〜112kJ/cm(サブマージ溶接法)で溶接を行い、図1に示す部位からJIS4号試験片を採取してシャルピー試験を行い、ボンド部の吸収エネルギー(vE0)を求めた。本発明ではvE0≧100Jを合格とした。
【0037】
これらの結果を表2及び表3に併記する。
【0038】
【表1】
Figure 0004361225
【0039】
【表2】
Figure 0004361225
【0040】
【表3】
Figure 0004361225
【0041】
これらの表より以下の様に考察することができる。
【0042】
No.1〜5、8〜11、14、16〜17、20〜22、27〜28は、本発明の要件を満足する鋼を用い、所定の圧延条件で鋼板を作製した例であるが、いずれも所望のTiC等が析出し、且つ所望の平均粒径を有する結晶が形成されている為、目標レベルの母材特性及びHAZ靭性が得られている。
【0043】
これに対し、本発明の要件を満足しない下記鋼板は夫々以下の不具合を有している。
【0044】
No.6、15、18及び26は圧下量が少ない例であり、所望のTiC等が得られず、母材靭性が低下した。更にNo.15、18及び26ではHAZ靭性も低下した。
【0045】
No.7,19は、加熱温度、仕上温度が、この鋼種としては低くなっている為、所望のTiC等が得られず、母材強度が低下した。
【0046】
No.12,23は、加熱温度、仕上温度が、この鋼種としては高くなっている為、所望のTiC等が得られず、母材靭性及びHAZ靭性が低下した。
【0047】
No.13,24は、加熱温度、仕上温度、冷却速度のバランスが、この鋼種としては悪かった為、Tiによる母材強度向上効果が発揮されず、母材強度が低下した。
【0048】
No.29〜32は鋼中成分が本発明の要件を外れる例である。このうちNo.29及び31ではTi量が少ない鋼種を用いている為、母材強度が低下した。また、No.30はTi量が多い為、母材靭性が劣化した。更にNo.32はC量が多い例であり、母材靭性及びHAZ靭性が低下した。
【0049】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されているので、Tiの多量添加による高強度化及びHAZ靭性の向上及び粗大なTiC等の析出による母材靭性の向上が有効に発揮されるのみならず、微細組織の制御により靭性も一層向上される結果、溶接性に優れた高強度高靭性鋼板を効率よく提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】サブマージアーク溶接時のボンド靭性の試験片採取位置を示す概略説明図である。

Claims (7)

  1. C :0.01〜0.07%(質量%の意味、以下同じ),
    Ti:0.03〜0.08%,
    Mn:0.8〜3.0%,
    Si:0.6%以下,
    残部:鉄および不純物
    を満たすと共に、
    被験面積1μm2当たり、粒子径が7〜50nmのTi含有炭化物及Ti含有炭窒化物が平均で1.0個以上存在し、
    強度が490MPa以上である
    ことを特徴とする母材靭性およびHAZ(溶接熱影響部)靭性に優れた高強度高靭性鋼板。
  2. 母材靭性vTrsが−30℃以下、HAZ(溶接熱影響部)靭性vEoが100J以上を満足するものである請求項に記載の高強度高靭性鋼板。
  3. 隣り合う結晶の方位差が全て15°以上の粒界で囲まれた結晶の平均粒径が30μm以下である請求項1または2に記載の高強度高靭性鋼板。
  4. 更にB:0.0003〜0.005%を含有する請求項1〜のいずれかに記載の高強度高靭性鋼板。
  5. 更にCu:3%以下(0%を含まない),Ni:6%以下(0%を含まない),及びCr:0.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも一種を含有するものである請求項1〜のいずれかに記載の高強度高靭性鋼板。
  6. 更にAl:0.5%以下(0%を含まない),Ca:0.05%以下(0%を含まない),及びREM:0.05%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも一種を含有するものである請求項1〜のいずれかに記載の高強度高靭性鋼板。
  7. 更にMo:0.50%以下(0%を含まない)及び/又はV:0.10%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項に記載の高強度高靭性鋼板。
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