JP7330862B2 - 母材と継手の低温靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 - Google Patents

母材と継手の低温靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、母材と継手の低温靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法に関する。
圧力容器や船舶、海洋構造物等に適用される鋼板は、低温環境で使用されることが多く、高強度でありながら低温での靭性(以下「低温靭性」ということがある)に優れていることが求められる。特に近年では、安全性の観点から、より低温で高い靭性を示すことが求められている。また、特に、LPGタンク等の構造物の大型化に伴い、上記高強度および優れた母材の低温靭性とともに、溶接により形成される継手の低温靭性にも優れた鋼板の需要が高まりつつある。さらに上記鋼板には、優れた溶接性も求められる。
強度向上には合金添加が有効であるが、合金添加は、上記母材と継手の低温靭性の低下を招くため、高強度と低温靭性の両立は極めて難しい。
鋼板の強度と靭性の両特性を向上させるための有効な手法の一つとして、合金元素であるNiを含有させることが挙げられる。これまでにもNiを含有した鋼板は多く提案されているが、3.5%Ni鋼や9%Ni鋼に代表されるように、Niを多量に含有させなければその効果を最大限に発揮できないのが実状である。これに対し、0.5~2%程度のNiを含有された鋼板として、例えば特許文献1の技術が提案されている。特許文献1では、組織が、主として、ベイナイトおよびマルテンサイト、またはベイナイトもしくはマルテンサイトで構成され、そのラス状組織の最小短辺長が1.3μm以下、かつ、ベイナイト組織を含む場合、ベイナイト組織中に含まれる、アスペクト比が5以上であり、島状マルテンサイトの一種で残留オーステナイトを含むM-A変態生成物の比率が、面積率で5%未満であるようにすることで、疲労亀裂進展抵抗性に優れた高強度鋼材を得ている。
特許第3741078号公報
特許文献1の鋼板は、高強度であるが、より低温での母材靭性は実現できておらず、高強度と母材の優れた低温靭性を共に満足させることは難しい。また、低温での継手靭性に優れることも求められるが、上記特許文献1では、継手の低温靭性の改善までは検討されていない。また、コストの観点からNi量をより低減した上で、上記高強度と低温靭性の両特性を満足させることが求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、Ni量を1.1質量%以下に抑えたうえで、高強度でありながら低温靭性、特には母材と継手の低温靭性に優れた高張力鋼板、およびその製造方法を提供することにある。
本発明の態様1は、成分組成が、
C :0.03質量%~0.10質量%、
Si:0.05質量%~0.40質量%、
Mn:0.90質量%~1.60質量%、
P :0質量%超、0.010質量%以下、
S :0質量%超、0.010質量%以下、
Al:0.010質量%~0.060質量%、
Ni:0.50質量%~1.1質量%、
Nb:0.007質量%~0.022質量%、
Ti:0.007質量%~0.017質量%、
N :0.0025質量%~0.0060質量%、および
残部が鉄および不可避不純物からなり、
下記(1)式で規定されるBIが5.30以上、6.2以下であり、
全組織に占めるフェライトの分率が85面積%以上、かつパーライトの分率が10面積%未満であり、前記フェライトの平均円相当結晶粒径が7μm以下でその標準偏差が3.7μm以下である、母材と継手の低温靭性に優れた高張力鋼板である。
BI=12×(C+5Nb)+2Mn+Cu+Ni+300B・・・(1)
式(1)中、C、Nb、Mn、Cu、Ni、Bはそれぞれ、質量%で示したC、Nb、Mn、Cu、Ni、Bの鋼中含有量を示し、含まれない元素は0質量%として計算する。
本発明の態様2は、前記成分組成が、更に、
B :0質量%超、0.002質量%以下、
Ca:0質量%超、0.003質量%以下、および
Cu:0質量%超、0.35質量%以下よりなる群から選択される1種以上の元素を含有する、態様1に記載の母材と継手の低温靭性に優れた高張力鋼板である。
本発明の態様3は、態様1または2に記載の高張力鋼板を製造する方法であって、
態様1または2に記載の成分組成を有する鋼片を加熱後、下記(a)~(c)の条件を満たすように熱間圧延を行い、熱間圧延後、圧延終了温度~(Ar変態点-30℃)以上の制御冷却開始温度から、Ar変態点~500℃の制御冷却終了温度までを、0.6℃/s以上、10℃/s以下の平均冷却速度で冷却する、母材と継手の低温靭性に優れた高張力鋼板の製造方法である。
(a)鋼板の板厚の1/4位置の温度が950~875℃のときは、35%以上の累積圧下率で圧下する。
(b)鋼板の板厚の1/4位置の温度が820℃以下、Ar変態点以上のときは、30%以上の累積圧下率で圧下する。
(c)鋼板の板厚の1/4位置の温度が、875℃未満、820℃超と、二相温度域にあるときは、圧下を行わない。
本発明によれば、Ni量を1.1質量%以下に抑えたうえで、高強度でありながら低温靭性、特には母材と継手の低温靭性に優れた高張力鋼板、およびその製造方法を提供することができる。
図1は、継手のMA(島状マルテンサイト)分率と、継手靭性vEの関係を示すグラフである。 図2は、BIと継手のMA分率の関係を示すグラフである。 図3は、BIと、引張強さと母材の低温靭性の積(TS×vTrs)との関係を示すグラフである。
本発明者は、Ni量を1.1質量%以下に抑えた上で、高強度でありながら低温靭性、特には、低温での母材靭性と、低温での継手靭性に優れた高張力鋼板、およびその製造方法を提供すべく、上記Niによる強度-母材低温靭性バランスの向上効果を最大限に活かすことのできる、鋼板の組織、成分組成および製造方法について、鋭意研究を行った。その結果、成分組成を本発明の範囲内とすると共に、パラメータBIを所定の範囲内とし、かつ本発明の方法で製造して、組織を制御すれば、高強度と母材の低温靭性の両立を可能にでき、さらには優れた継手靭性をも兼ね備えた鋼板が得られることを見出した。
本発明では、鋼板の成分組成において、下記(1)式で規定されるBIが5.30以上、6.2以下を満たす。以下、まずこのパラメータBIについて説明する。
BI=12×(C+5Nb)+2Mn+Cu+Ni+300B・・・(1)
式(1)中、C、Nb、Mn、Cu、Ni、Bはそれぞれ、質量%で示したC、Nb、Mn、Cu、Ni、Bの鋼中含有量を示し、含まれない元素は0質量%として計算する。
本発明者は、低温での継手靭性を確保すべく、継手の低温靭性と継手の組織の関係について調べた。後述する実施例に示す通り、溶接して得られた溶接物の、継手の靭性を評価するために、-65℃以下、-70℃以上の温度域でのシャルピー吸収エネルギーvEを測定した。図1は、このvEと該継手部のMA(島状マルテンサイト)分率の関係を示すグラフである。本発明で目標とする、vEが27J以上の優れた低温靭性を達成するには、図1に示す通り、上記継手の組織に占めるMAの分率を、8面積%以下に抑える必要があることを見出した。なお、図1において、破線で囲んだ部分は、Ni量が本発明で規定する範囲を下回ったため、vEが低値となった例である。
本発明者は、上記継手の組織中のMA分率を抑えるべく、その手段について検討を行った。図2は、前記継手のMA分率と、上記式(1)で示されるBIとの関係を示したグラフである。前記図1および図2におけるMA分率は、後述する実施例等の溶接後の溶接物における継手の組織を観察して求めたものである。
上記BIの式を構成するNbは、オーステナイト粒の再結晶を抑制し、未再結晶域を拡大させて圧延によるフェライト粒の微細化促進に寄与する元素である。また上記BIの式を構成するMn、Cu、Ni、Bは、オーステナイトを安定化させ、変態温度を低温化、すなわちAr変態点を低下させることで、圧延による組織微細化に寄与する元素である。本発明におけるBIの式は、フェライト粒の微細化に寄与するこれらの元素を含み、かつ前記元素の係数を、上記実験データから求めて得たものである。
上記BIを増加させることにより、母材の粗大なフェライト粒と微細なフェライト粒の混粒を抑制できることを見出した。上記混粒を抑制することにより、フェライトの円相当結晶粒径の標準偏差を小さくすることができ、結果として、所望のTS×vTrsを得ることができる。BIの増加は、継手部の組織の微細化にも寄与する。更に、BIを増加させることにより、溶接時に入熱が加わったときの、母材のパーライト部からの粗大なベイナイト生成を抑制し、継手の低温靭性を高めることができる。以上のことから、本発明では、BIを所定の範囲に制御する必要がある。
前記図2に示す通り、上記式(1)で示されるBIを6.2以下に抑えれば、上記継手の組織中のMA分率を8面積%以下に抑えられる。継手部の組織中のMA分率をより抑制して、上記vEをより高める観点から、BIは、好ましくは6.1以下であり、より好ましくは6.0以下である。
一方、本発明は、高強度と母材の優れた低温靭性(vTrs)の両立も目的とする。特には、引張強さが490MPa以上、かつvTrsが-80℃以下であって、かつこれらの積(TS×vTrs)が-41000(MPa・℃)以下を達成させる。本発明者は、これらの特性と、BIとの関係について検討したところ、図3に示す通り、上記レベルのTS×vTrs(以下、「優れた強度-母材低温靭性バランス」ということがある)を達成させるには、BIを5.30以上とすればよいことを見出した。より優れた強度-母材低温靭性バランスを達成するには、BIを5.40以上とすることが好ましく、より好ましくは5.45以上、更に好ましくは5.50以上、より更に好ましくは5.60以上である。
(鋼組織)
本発明の鋼板は、全組織に占めるフェライトの分率が85面積%以上であり、前記フェライトの平均円相当結晶粒径が7μm以下であり、その標準偏差が3.7μm以下である。本発明では、上記の通り、フェライト分率を適正化し、かつ、フェライト粒の微細化と均一化を図ることによって、高強度と優れた低温靭性を両立させた鋼板を実現することができる。前記フェライトの平均円相当結晶粒径は、好ましくは6.9μm以下である。本発明の鋼板の製造条件等を考慮すれば、前記フェライトの平均円相当結晶粒径の下限は、4.5μm程度である。また、上記円相当結晶粒径の標準偏差を3.7μm以下とすることで、より確実に高強度かつ低温靭性に優れた鋼板を実現することができる。前記標準偏差は、好ましくは3.6μm以下、より好ましくは3.5μm以下である。
上記結晶粒の微細かつ均一なフェライトによる特性向上を図るため、全組織に占めるフェライトの分率を、上述の通り85面積%以上とする。フェライト分率は、好ましくは88面積%以上、より好ましくは90面積%以上である。前記フェライト分率の上限は、本発明の鋼板の成分組成と製造方法を考慮すれば、おおよそ95面積%である。上記フェライト以外の残部の組織は、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト、MAの1種以上である。このうちパーライトの分率は、10面積%未満であり、好ましくは9.0面積%以下、より好ましくは8.5面積%以下である。ベイナイト、マルテンサイトおよびMAは、合計で3面積%以下であることが好ましく、より好ましくは0面積%である。前記組織の分率は、鋼板の板厚方向において、表面から6~7mmの位置で求められる。
(成分組成)
次に、本発明の鋼板の成分組成について説明する。
[C:0.03質量%~0.10質量%]
Cは、高強度化に寄与する元素であるため、0.03質量%以上含有させる。C量は、好ましくは0.04質量%以上、より好ましくは0.050質量%以上である。一方、C量が過剰であると、パーライト分率が増加し、母材靭性の低下や継手靭性の低下、更には溶接性の劣化を招くため、C量は0.10質量%以下とする。C量は、好ましくは0.090質量%以下であり、更に0.080質量%以下とすることもできる。
[Si:0.05質量%~0.40質量%]
Siは、鋼を溶製する際に脱酸剤として作用し、また、鋼の強度を上昇させる効果を発揮する。こうした効果を発揮させるため、0.05質量%以上含有させる。Si量は、好ましくは0.07質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上である。一方、Si量が過剰になると、母材の靭性、継手部の靭性が低下するため、Si量は0.40質量%以下とする。Si量は、好ましくは0.35質量%以下、より好ましくは0.30質量%以下である。
[Mn:0.90質量%~1.60質量%]
Mnは、オーステナイトを安定化させ、変態温度を低温化させることで、圧延による組織微細化に有効な元素である。また、高強度化に有効な元素でもある。よって、Mnを、0.90質量%以上含有させる。Mn量は、好ましくは1.00質量%以上、より好ましくは1.10質量%以上である。一方、Mnを過剰に含有させると、MnSの粗大化とパーライト分率の増加が生じて母材と継手の靭性が劣化し、また継手にMAが形成されて、継手の靭性の更なる低下を招くため、Mn量の上限を1.60質量%とする。Mn量は、好ましくは1.55質量%以下である。
[P:0質量%超、0.010質量%以下]
不可避不純物であるPは、母材と溶接部の靭性に悪影響を及ぼすため、0.010質量%以下に抑制する。工業上、P量を0質量%にすることは困難であり、P量の下限は0.002質量%程度である。
[S:0質量%超、0.010質量%以下]
Sは、MnSを形成して靭性を劣化させる元素であるため、0.010質量%以下に抑制する必要がある。S量は、好ましくは0.005質量%以下である。工業上、S量を0質量%にすることは困難であり、S量の下限は0.001質量%程度である。
[Al:0.010質量%~0.060質量%]
Alは、脱酸に必要な元素であり、該効果を発揮させるため、0.010質量%以上含有させる。Al量は、好ましくは0.015質量%以上である。一方、Alが過剰に含まれると、アルミナ系の粗大な介在物を形成し靭性が低下するため、Al量の上限を0.060質量%とする。Al量は、好ましくは0.050質量%以下である。
[Ni:0.50質量%~1.1質量%]
Niは、鋼板における良好な低温靭性を確保し、鋼板の強度と低温靭性の両特性を向上させるのに有用な元素である。本発明においてNiは、前述の通り、オーステナイトを安定化させ、変態温度を低温化、すなわちAr変態点を低下させるのに有用な元素である。前記Ar変態点の低下により、圧延による組織微細化を図ることができ、上記特性を向上できる。該効果を発揮させるため、Ni量を0.50質量%以上とする。Ni量は、好ましくは、0.60質量%以上、より好ましくは0.65質量%以上、更に好ましくは0.70質量%以上である。一方、Ni量が過剰になると、Niによる強度と靭性に及ぼす効果のバランスが崩れて、低温での延性破壊の抑制効果よりも強度上昇効果が勝り、低温靭性が劣化する。本発明では、前述の通り、強度向上とともに低温での母材靭性の向上を図るため、Ni量を1.1質量%以下とする。Ni量は、好ましくは1.0質量%以下であり、より好ましくは0.80質量%以下である。
[Nb:0.007質量%~0.022質量%]
Nbは、オーステナイト粒の再結晶抑制効果を通じてフェライト粒の微細化効果を有する元素である。該効果を得るため、Nbを0.007質量%以上含有させる。Nb量は、好ましくは0.010質量%以上である。一方、Nb量が過剰になると靭性が低下するため、その上限を0.022質量%とした。Nb量は好ましくは0.020質量%以下である。
[Ti:0.007質量%~0.017質量%]
Tiは、強力な窒化物形成元素であり、微量でTiNの微細析出による結晶粒の微細化効果を発揮する。該効果を発揮させるため、Ti量を0.007質量%以上とする。Ti量は、好ましくは0.010質量%以上である。一方、Ti量が過剰であると、かえって継手の靭性の低下を招く。よってTi量は、0.017質量%以下、好ましくは0.015質量%以下とする。
[N:0.0025質量%~0.0060質量%]
Nは、AlNを生成し、熱間圧延前の加熱時、および溶接時におけるγ粒の粗大化を防止し、母材や継手の靭性を向上させるのに有効な元素である。該効果を発揮させるため、Nを0.0025質量%以上含有させる。N量は、好ましくは0.0030質量%以上である。一方、Nを過剰に含有させると、固溶Nの増大により、母材靭性が劣化する。よってN量は、0.0060質量%以下、好ましくは0.0050質量%以下とする。
上記元素を含み、残部は、鉄および不可避不純物からなる。不可避不純物としては、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる微量元素の混入が許容される。前記不可避不純物として、0.05質量%以下のCr、0.05質量%以下のMo、および0.005質量%以下のVのうちのいずれか1以上を含む場合がある。また、前記不可避不純物として、酸化物形成元素であるMg、REM、およびZrのうちの1以上の元素が、合計で0.0010質量%以下の範囲内で含まれる場合がある。しかし上記酸化物形成元素は、上記不可避不純物程度であれば特性への影響は小さい。なお、例えば、PおよびSのように、通常、含有量が少ないほど好ましく、従って不可避不純物であるが、その組成範囲について上記のように別途規定している元素がある。このため、本明細書において、残部を構成する「不可避不純物」という場合は、別途その組成範囲が規定されている元素を除いた概念である。
本発明の鋼板は、上記元素と、残部が鉄および不可避不純物とからなればよく、下記に述べる選択元素は、含まれていなくてもよいが、上記元素と共に必要に応じて含有させることにより、母材の靭性等の更なる向上に寄与する。
[B:0質量%超、0.002質量%以下、Ca:0質量%超、0.003質量%以下、およびCu:0質量%超、0.35質量%以下よりなる群から選択される1種以上の元素]
これらの元素は、強度または靭性の向上に寄与し、高強度と低温靭性のバランスを更に高めることに寄与する。各元素について、下記に示す。
[B:0質量%超、0.002質量%以下]
Bは、BNを生成することで靭性に悪影響を及ぼす固溶Nを低下させる作用を有する。また、オーステナイトを安定化させ、Ar変態点を低下させることで、圧延による組織微細化に寄与する元素でもある。必要に応じて該効果を発揮させる場合は、B量を0質量%超とすることが好ましく、より好ましくは0.0003質量%以上とする。一方、B含有量が多過ぎると、Bの析出物を増加させて靭性が却って劣化するので、0.002質量%以下に抑えることが好ましい。
[Ca:0質量%超、0.003質量%以下]
Caは、介在物の制御により鋼板の靭性を向上させるのに有効な元素である。必要に応じて該効果を発揮させる場合、Ca量を0質量%超とすることが好ましく、より好ましくは0.0005質量%以上である。一方、Caが過剰に含まれると、靭性が低下するため、Ca量は0.003質量%以下とすることが好ましい。
[Cu:0質量%超、0.35質量%以下]
Cuは、強度向上に有効な元素である。必要に応じて該効果を発揮させる場合は、Cu量を0質量%超とすることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上である。Cu含有量が多過ぎると、熱間加工の際に割れが発生しやすくなるので、Cu量は0.35質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.30質量%以下である。
(特性)
本発明の高張力鋼板は、引張強さ、母材の低温靭性(vTrs)、引張強さと母材の低温靭性との積(TS×vTrs)、および、-65℃以下、-70℃以上の温度域の継手靭性が、何れも高いレベルにある。本発明の高張力鋼板のこれらの特性について以下に詳述する。
(1)引張強さ(TS)
490MPa以上のTSを有する。これにより十分な強度を確保できる。TSは好ましくは500MPa以上、より好ましくは510MPa以上、更に好ましくは520MPa以上である。
(2)母材の低温靭性
vTrsが-80℃以下である。該vTrsは、好ましくは-90℃以下、より好ましくは-100℃以下である。
(3)引張強さと母材の低温靭性(vTrs)との積(TS×vTrs)
TS×vTrsは-41000(MPa・℃)以下である。TS×vTrsは、好ましくは-42000(MPa・℃)以下、より好ましくは-43000(MPa・℃)以下、更に好ましくは-46000(MPa・℃)以下である。
(4)-65℃以下、-70℃以上の温度域での継手靭性vE
本発明の鋼板は、後記の実施例に示す通り入熱量4~5kJ/mmの溶接を行ったときに形成される継手が、優れた低温靭性を有する。具体的には、継手の-65℃以下、-70℃以上の温度域でのシャルピー吸収エネルギーvEが27J以上である。前記vEは、好ましくは40J以上、より好ましくは50J以上、更に好ましくは80J以上である。
本発明の高張力鋼板は、いわゆる厚鋼板として有利に適用できるものであり、この場合、板厚は、約6mm以上であり、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上である。板厚の上限は特に限定されないが、例えば前述した構造物に用いられる場合、約50mm以下であり、好ましくは45mm以下、より好ましくは40mm以下である。
(製造方法)
上記組織を有する本発明の高張力鋼板を製造するため、その製造条件を下記の通り制御する。即ち、上述した成分組成を満たす鋼片を加熱後に、下記の条件で熱間圧延を行う。圧延前の加熱工程では、スラブ等の鋼片を、例えば1000~1250℃で加熱することが挙げられる。
熱間圧延は、下記(a)~(c)の条件を満たすように行う。以下、各条件について説明する。
(a)鋼板の板厚の1/4位置の温度が950~875℃のときは、35%以上の累積圧下率で圧下する。
(b)鋼板の板厚の1/4位置の温度が820℃以下、Ar変態点以上のときは、30%以上の累積圧下率で圧下する。
(c)鋼板の板厚の1/4位置の温度が、875℃未満、820℃超と、二相温度域にあるときは、圧下を行わない。
前記二相温度域とは、Ar変態点以下のオーステナイトとフェライトの二相域となる温度領域をいう。
[(a)鋼板の板厚の1/4位置の温度が950~875℃のときの累積圧下率は、35%以上]
オーステナイト粒を微細化するには、前記加熱後の再結晶温度域で、十分圧下する必要がある。再結晶温度域で累積圧下率35%以上の圧下を加えることによって、オーステナイト粒内に転位を蓄積させ、この転位を駆動力として新たな結晶粒を生成でき、これが結晶粒の微細化に寄与する。本発明の鋼板の成分組成では、875℃以上で圧下を加えることによって再結晶が生じる。一方、圧下を加える温度が高すぎると微細化に寄与する効果が小さい。よって、圧下を加える温度を950℃以下とした。つまり本発明では、オーステナイト粒の微細化に有効な圧下温度域(再結晶有効温度域)を950~875℃に設定した。なお本発明において、圧下には、圧延が挙げられ、その他に鍛造等が挙げられる。
本発明では、再結晶有効温度域での圧下を、累積圧下率35%以上で行って、本発明の組織形成に有用な新たな結晶粒を生成する。上記累積圧下率は、好ましくは40%以上である。なお、該累積圧下率の上限はおおよそ80%である。
[(b)鋼板の板厚の1/4位置の温度が820℃以下、Ar変態点以上のときの累積圧下率は、30%以上]
[(c)鋼板の板厚の1/4位置の温度が、875℃未満、820℃超と、二相温度域にあるときは、圧下なし]
フェライト粒の生成核となりうる変形帯を増やすため、未再結晶温度域においても十分な圧下を必要とする。再結晶温度域よりも低温域で圧下を加えることによって、オーステナイト粒は新たな結晶粒を生成できず扁平した組織となり、粒内に変形帯を導入することができる。しかしながら、再結晶温度域より低温であっても、未再結晶温度域の高温側で圧下を行うと、混粒組織が生じやすく、粗大なフェライト粒が生成されやすい。これらのことから、本発明では、未再結晶温度域の低温側の、圧下を加える温度域を、820℃以下、Ar変態点以上とした。また、未再結晶温度域の高温側である、875℃未満、820℃超の温度域では、圧下を行わないこととした。
上記820℃以下、Ar変態点以上の温度域での圧下は、上記変形帯導入の効果を十分得るため、累積圧下率を30%以上とする。該累積圧下率は、好ましくは35%以上である。なお、該累積圧下率の上限はおおよそ80%である。
また、未再結晶温度域よりも低温となる二相温度域で圧下を行うと、鋼板の強度は向上するものの、加工強化に伴う応力集中が顕著になって、鋼板の靭性が劣化する。よって、二相温度域においても圧下を行わない。
上記Ar変態点は下記式(2)に基づいて求められる。
Ar変態点=868-369×[C]+24.6×[Si]-68.1×[Mn]-36.1×[Ni]-20.7×[Cu]-24.8×[Cr]+29.6×[Mo]・・・(2)
式(2)中、[C],[Si],[Mn],[Ni],[Cu],[Cr]および[Mo]は、夫々C,Si,Mn,Ni,Cu,CrおよびMoの鋼中含有量(質量%)を示し、含まれない元素は0質量%として計算する。
上記累積圧下率は、下式により算出した。
950~875℃の温度域での累積圧下率(%)=(H1-H2)/H1×100
820℃以下、Ar変態点以上での累積圧下率(%)=(H2-t)/H2×100
上記において、
H1は、950~875℃の温度域での圧延開始時の板厚(例えばスラブ厚)、
H2は、950~875℃の温度域での圧延終了時の板厚=820℃以下、Ar変態点以上の温度域での圧延開始時の板厚、
tは仕上厚であり、いずれも単位はmmである。
前記熱間圧延後、圧延終了温度~(Ar変態点-30℃)以上の制御冷却開始温度から、Ar変態点~500℃の制御冷却終了温度までは、0.6℃/s以上、10℃/s以下の平均冷却速度で冷却する。(Ar変態点-30℃)を下回る温度からの上記平均冷却速度での冷却は、フェライトとオーステナイトの二相域からの冷却となり、オーステナイトに元素が濃縮しベイナイトやMAが形成するため好ましくない。
前記温度範囲において、平均冷却速度が0.6℃/s以上の加速冷却を行うことによって、フェライト以外の第2相の生成を抑え、かつフェライトの成長を抑えて、微細なフェライト粒を確保することができる。前記平均冷却速度は、好ましくは0.7℃/s以上、より好ましくは0.8℃/s以上、更に好ましくは2.0℃/s以上である。一方、前記平均冷却速度が10℃/sを超えて速すぎると、所望のフェライト分率を確保することができず靭性が低下する。よって前記平均冷却速度は、10℃/s以下、好ましくは9.5℃/s以下、より好ましくは9.0℃/s、更に好ましくは8.5℃/s以下とする。
前記平均冷却速度での冷却を、Ar変態点よりも高い温度で終了してしまうと、フェライトの粗大化やパーライト分率が増加するため、所望の特性がえられない。一方、500℃よりも低い温度まで行うと、MA分率が増加し、母材靭性が低下するといった不具合が生じる。よって、前記平均冷却速度での冷却の終了温度を、Ar変態点~500℃とする。なお、上記制御冷却により本発明で規定する組織を十分確保する観点からは、前記制御冷却開始温度と前記制御冷却終了温度との温度差(前記制御冷却開始温度-前記制御冷却終了温度)を、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは80℃以上とするのがよい。
上記制御冷却後は、室温まで例えば放冷とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前述および後述する趣旨に合致し得る範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
表1に示す成分組成を満たす鋼片(スラブ)を常法により得た。上記鋼片を、表2に示す加熱温度まで加熱してから、表2に示す条件で熱間圧延と、熱間圧延後の冷却を行った。表2に示す制御冷却終了温度から、室温までは空冷した。これらの製造方法により表2に仕上厚として示す板厚の鋼板を得た。
前記製造工程の加熱、熱間圧延における各温度は、鋼板の表面温度から、板厚と、熱伝導率等のパラメータを用いて計算により求めた、鋼板の板厚の1/4位置の温度である。また、制御冷却開始温度と制御冷却終了温度は表面温度である。なお、加熱時は表面と板厚中心部の温度差が十分小さくなるように十分均熱保持を行った。
得られた鋼板に対し、下記の要領で鋼組織、引張強さ、母材の低温靭性、および継手の低温靭性の評価を行った。
[鋼組織の観察]
後述する衝撃試験片採取位置と同位置である、各鋼板の表面から板厚方向に6~7mmの位置において、光学顕微鏡を用いて倍率100倍で、1視野が600μm×800μmの領域を観察し、画像解析ソフトを用いて、フェライトとパーライトの分率を測定した。また、フェライト粒径は、各鋼板の表面から板厚方向に6~7mmの位置において、光学顕微鏡を用いて倍率100倍で観察し、フェライト粒の大きさを円と仮定したときの直径を円相当結晶粒径として求め、その平均値(平均円相当結晶粒径)と標準偏差を求めた。
[引張強さの評価]
各鋼板の全厚から、圧延方向に対して直角の方向に、JIS Z 2201の1B号試験片を採取して、JIS Z 2241の要領で引張試験を行ない、引張強さ(TS)を測定した。そして引張強さが490MPa以上のものを、高強度であると評価した。
[母材の低温靭性の評価(母材を用いた衝撃試験)]
各鋼板の表面から、板厚方向へ6~7mmの位置がシャルピー試験片の中心部と同一となり、試験片の長手方向が圧延方向と直角となるように、試験片を採取した。そして、JIS Z 2242の要領でシャルピー衝撃試験を行い、破面遷移温度vTrsを測定した。そして、破面遷移温度vTrsが-80℃以下のものを低温靭性に優れていると評価した。
[継手の低温靭性の評価(継手を用いた衝撃試験)]
入熱4~5kJ/mmで溶接を行って得た溶接物から試験片を採取した。試験片は、溶接物の継手において、母材と同じ表面から板厚方向へ6~7mmの位置がシャルピー試験片の中心部と同一となり、かつ試験片の長手方向が、溶接線方向と直角であって圧延方向と直角となるように、試験片を採取した。そして、JIS Z 2242の要領でシャルピー衝撃試験を行い、-65℃または-70℃でのシャルピー吸収エネルギーを求めて、継手(Bond)部の靭性を評価した。
また継手の組織についても観察した。詳細には、継手部分のサンプルを、観察対象に応じて3%ナイタール溶液またはレペラ溶液を用いて腐食させ、結晶粒界、MAを現出させた。そして、表面から板厚方向へ6~7mmの位置において、現出させた組織を光学顕微鏡で観察し、フェライト、ベイナイト及びマルテンサイト、ならびに、MAの分率を算出した。表3にはこのうち、MAの分率を併せて示している。
これらの評価結果を表3に示す。
Figure 0007330862000001
Figure 0007330862000002
Figure 0007330862000003
上記表1~3の結果から次のことがわかる。No.3~14は、本発明の成分組成を満たし、製造条件も満たしており、得られた鋼板は所望の組織を有し、高強度であり、強度-母材低温靭性バランスと、継手の低温靭性に優れていた。これに対して、No.1と2は、Ni量が不足し、BIが本発明の範囲を下回ったため、粒径の均一なフェライトを一定量以上確保できず、その結果、高強度と、母材および継手の低温靭性を得ることができなかった。またNo.15は、Nb量が過剰であり、BIが本発明の範囲を上回ったため、継手の組織中のMA分率が過剰となり、低温靭性に劣った。

Claims (2)

  1. 成分組成が、
    C :0.03質量%~0.10質量%、
    Si:0.05質量%~0.40質量%、
    Mn:0.90質量%~1.60質量%、
    P :0質量%超、0.010質量%以下、
    S :0質量%超、0.010質量%以下、
    Al:0.010質量%~0.060質量%、
    Ni:0.50質量%~1.1質量%、
    Nb:0.007質量%~0.022質量%、
    Ti:0.007質量%~0.017質量%、
    N :0.0025質量%~0.0060質量%、ならびに
    B :0質量%超、0.002質量%以下、
    Ca:0質量%超、0.003質量%以下、および
    Cu:0質量%超、0.35質量%以下よりなる群から選択される1種以上の元素を含有し、
    残部が鉄および不可避不純物からなり、
    下記(1)式で規定されるBIが5.30以上、6.2以下であり、
    全組織に占めるフェライトの分率が85面積%以上、かつパーライトの分率が10面積%未満であり、前記フェライトの平均円相当結晶粒径が7μm以下であり、その標準偏差が3.7μm以下である、母材と継手の低温靭性に優れた高張力鋼板。
    BI=12×(C+5Nb)+2Mn+Cu+Ni+300B・・・(1)
    式(1)中、C、Nb、Mn、Cu、Ni、Bはそれぞれ、質量%で示したC、Nb、Mn、Cu、Ni、Bの鋼中含有量を示し、含まれない元素は0質量%として計算する。
  2. 請求項1に記載の高張力鋼板を製造する方法であって、
    請求項1に記載の成分組成を有する鋼片を加熱後、下記(a)~(c)の条件を満たすように熱間圧延を行い、熱間圧延後、圧延終了温度~(Ar変態点-30℃)の制御冷却開始温度から、Ar変態点~500℃の制御冷却終了温度までを、0.6℃/s以上、10℃/s以下の平均冷却速度で冷却する、母材と継手の低温靭性に優れた高張力鋼板の製造方法。
    (a)鋼板の板厚の1/4位置の温度が950~875℃のときは、35%以上の累積圧下率で圧下する。
    (b)鋼板の板厚の1/4位置の温度が820℃以下、Ar変態点以上のときは、30%以上の累積圧下率で圧下する。
    (c)鋼板の板厚の1/4位置の温度が、875℃未満、820℃超と、二相温度域にあるときは、圧下を行わない。
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