JP4361191B2 - 建築物用外囲体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、側方及び上下方向に各縁部を重ね合わせた状態で固定されて屋根面や壁面の建築物の外囲を構成した際に、見る者に立体的な印象を与えるので意匠効果に優れており、更に屋外側からの荷重に対する強度が高く変形の生じ難い金属板製の定尺状の建築物用外囲体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の屋根面や壁面等の建築物の外囲構造を構成せしめるための金属板製の建築物用外囲体としては、強度を得るために幅方向に連続する山部と谷部とが上下方向の全長に亘って形成されている波板や折板等より成る建築物用外囲体や、施工状態において立体感を見る者に与え意匠性を向上させることができるようにフラットな本体の上縁部に立上がり部がまた下縁部に立下がり部が形成されていると共に側縁部に側方に隣接する外囲体同士を接合するための係合部が形成されている建築物用外囲体が存在している。
【0003】
前者の建築物用外囲体を使用して施工された建築物の外囲構造は、上下方向では下流側の建築物用外囲体の上縁部に上流側の建築物用外囲体の下縁部を単に重ね合わせただけの状態で建築物下地材に固定されたものであるから、この上下両縁部の重ね合わせ部分全面が密着しているので変化の無い平面的な印象を見る者に与えるため意匠性が劣り、また波板の場合には山部と谷部とがそれぞれ円弧状を成していてこれらの円弧状同士が連続せしめられている形状に形成されていたので例えばその上に作業者等が乗ったような場合のように表面側から荷重を受けると簡単に変形してしまうという欠点があった。
【0004】
また、後者の建築物用外囲体を使用して施工された建築物の外囲構造は、上下方向では下流側の建築物用外囲体の上縁部に形成されている立上がり部に上流側の建築物用外囲体の下縁部に形成されている立下がり部を係合させて直接又は吊り子を介して建築物下地材に固定されているので、この上下両縁部の係合部で段差が形成されて立体感のある印象を見る者に与えるため意匠性に優れているのであるが、各建築物用外囲体の下縁部の立下がり部近傍から上縁部の立上がり部に至るまでのフラットな部分の裏面側が支持部材の存在しない空間となるため、このフラットな部分上に作業者等が乗ったような場合のように表面側から荷重を受けると簡単に変形するという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、側方及び上下方向に各縁部を重ね合わされた状態で固定されて屋根面や壁面の建築物の外囲を構成した際に、見る者に立体的な印象を与えて意匠効果に優れているにも拘らず、屋外側からの荷重に対する強度が高く変形の生じ難い金属板製の定尺状の建築物用外囲体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、両側縁部に左右重ね合わせ部が、また上下両縁部に上下重ね合わせ部がそれぞれ形成されており、側方及び上下方向に各重ね合わせ部を重ね合わせて固定されて建築物の外面を構成する建築物用外囲体として、幅方向に連続する横断面弧状の山部と横断面弧状の谷部とこれら山部と谷部とを連続せしめているフラットな斜面とが上下方向の全長に亘って形成されている横断面波形状であり、波のピッチが10〜15mmであり、前記斜面が山部の頂点を含む平面に垂直な線に対する角度が40〜50度で且つその幅が前記波のピッチの30〜40%に形成されており、下縁部に裏面側に縦断面略くの字状に屈曲されて下端傾斜部が形成されていれば、上記課題を解決することができることを究明して本発明を完成したのである。
【0007】
そして、下側の上下重ね合わせ部の近傍であって間隔を隔てた所定の位置に固定具挿通用貫通穴が穿設されていると、施工状態において上下に隣接する外囲体の固定具の位置が上下方向で一直線上になることが防止され特定の防水シートを使用して建築物の外囲構造を施工した場合に雨仕舞に優れた状態とすることができ、また上流側に固定される建築物用外囲体の下縁位置を規定するために上側の上下重ね合わせ部の、上記下縁位置における谷部に上下位置決め用目印が表面側に向けて突設されていると、上下方向の働き寸法を一定にすることができると共に雨仕舞を向上せしめることができ、更に上流側に固定される建築物用外囲体を1/2幅ズレた位置に配置せしめるために上側の上下重ね合わせ部の略中央位置の山部に左右位置決め用目印が凹設されていると、下流側に外囲体が固定されている場合にその上流側に固定される外囲体の位置を下流側外囲体に対して働き幅の1/2幅ズレた位置に容易に配置することができ外観に優れた状態に施工することができことも究明して本発明を完成したのである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明に係る建築物用外囲体について詳細に説明する。
図1は本発明に係る建築物用外囲体の1実施例を示す斜視図、図2は図1の中央横断面を拡大して示す部分拡大断面図、図3は図1に示す本発明に係る建築物用外囲体の施工状態の1例を説明する説明用斜視図である。
【0009】
図面中、1は両側縁部に左右重ね合わせ部6,7が、また上下両縁部に上下重ね合わせ部8,9がそれぞれ形成されており、側方及び上下方向に各重ね合わせ部6,7及び8,9を重ね合わされて固定されて建築物の外面を構成する金属板製の定尺状の本発明に係る建築物用外囲体である。
【0010】
2は横断面弧状を成す山部、3は横断面弧状を成す谷部、4は前記山部2と谷部3とを連続せしめているフラットな斜面であり、本発明に係る建築物用外囲体1はこれら山部2と谷部3と斜面4とが上下方向の全長に亘って形成されている横断面波形状であり、波のピッチは10〜15mmである。
【0011】
そして、前記斜面4は、山部2の頂点2aを含む平面に垂直な線Lに対する角度θが40〜50度で且つその幅Aが前記波のピッチの30〜40%に形成されている。
この斜面4の前記垂直な線Lに対する角度θが40〜50度でなければならない理由は、40度より小さいと平面で見て単位面積当りの素材の使用量が多くなって不経済となり、また50度より大きいと強度が弱くなるからであり、またその幅Aが横断面波形状の波のピッチの30〜40%に形成されていなければならない理由は、30%未満であると平面で見てそれぞれ弧状の山部2と谷部3とが占める面積が大きくなるため強度が弱くなるからであり、40%を超えると弧状の山部2と谷部3とが占める面積が小さすぎて横断面が三角形状と変わらなくなって意匠効果が低下してしまうからである。
【0012】
5は下側の上下重ね合わせ部8の下縁部に裏面側に縦断面略くの字状に屈曲されている下端傾斜部であり、この下端傾斜部5が存在することによって上流側の建築物用外囲体1の下縁が下流側に固定されている建築物用外囲体1の上縁と密着せずに段部を形成しているように固定されるため、立体感のある意匠効果が得られると共に、上流側の建築物用外囲体1の下側の上下重ね合わせ部8の裏面と下流側の建築物用外囲体1の上側の上下重ね合わせ部9の表面との間に空間が形成されることになるため上流側の建築物用外囲体1の下縁から雨水が入り込んでも毛細管現象により雨水が上流側に移動することがないのである。
【0013】
左右重ね合わせ部6,7は、前に固定された本発明に係る建築物用外囲体1の一方(図3に示した実施例では右側)の側縁部に形成されている左右重ね合わせ部6に、次に隣接して固定される本発明に係る建築物用外囲体1の他方(図3に示した実施例では左側)の側縁部に形成されている左右重ね合わせ部7が重ね合わされるようになっている部分であり、図示した実施例の如く一方の左右重ね合わせ部6が、山部2と谷部3と斜面4とが連続している横断面波形状における最も側縁部側に位置する山部2からその側縁側に下方に向けて傾斜する斜面4に連続して谷部3の底部3aを含む同一平面が連続せしめられていてこの平面から斜め上方に傾斜した傾斜面が形成されてなる態様を示すことができ、また他方の左右重ね合わせ部7が、最もその側縁部側に位置する山部2から側縁側に下方に向けて傾斜する傾斜面が形成されてなる態様を示すことができ、このような態様の場合にはこれら側縁に形成されている傾斜面同士を重ね合わされて側方に接合されることになる。
【0014】
上下重ね合わせ部8,9は、前に固定された本発明に係る建築物用外囲体1の上縁部に形成されている上側の上下重ね合わせ部9に、次に上流側に隣接して固定される本発明に係る建築物用外囲体1の下縁部に形成されている下側の上下重ね合わせ部8が重ね合わされるようになっている部分であり、下側の上下重ね合わせ部8の下縁部に前述した裏面側に縦断面略くの字状に屈曲されている下端傾斜部5が形成されている。
【0015】
10は上流側に固定される建築物用外囲体1の下縁位置を規定するために、上側の上下重ね合わせ部9の、上記下縁位置における谷部3に表面側に向けて突設されていることが好ましい上下位置決め用目印であり、間隔を隔てた少なくとも2箇所以上の位置に形成されている簡単な態様を示すことができる。
【0016】
11は上流側に固定される建築物用外囲体1を1/2幅ズレた位置に配置せしめるために、上側の上下重ね合わせ部9の略中央位置の山部2に凹設されていることが好ましい左右位置決め用目印である。
【0017】
12は下側の上下重ね合わせ部8の近傍であって間隔を隔てた所定の位置に釘や木ネジ等のビス等の固定具15を挿通できるように予め穿設されていることが好ましい固定具挿通用貫通穴であり、この固定具挿通用貫通穴12は下側の上下重ね合わせ部8の近傍であって、前に固定された本発明に係る建築物用外囲体1の上縁より僅かに上流側となる部分に穿設されていることが好ましい。
【0018】
これは、本発明に係る建築物用外囲体1は固定具挿通用貫通穴12の位置で固定具15によって建築物下地材(建築物用外囲体1が屋根板として使用される場合には野地板、建築物用外囲体1が壁板として使用される場合には壁下地材)に固定され、上側の上下重ね合わせ部9はその上流側に固定される上流側の建築物外囲体1の下端傾斜部5の下縁で押圧されるので、下端傾斜部5の下縁から固定具挿通用貫通穴12までの距離が長いと下端傾斜部5の下縁で下流側外囲体1を押圧せしめる押圧力が小さくなるからこの押圧力を可及的に大きくせしめて建築物用外囲体1を強固に固定すると共に、吹き上げ荷重によって下端傾斜部5が浮き上がる現象が発生しないようにするためである。
【0019】
ここで、本発明に係る建築物用外囲体1により建築物の外囲構造を施工するための建築物下地材との間に敷設される防水シート14について簡単に説明する。
【0020】
防水シート14は、長尺状を成し長手方向と直角方向の短尺寸法Wが本発明に係る建築物用外囲体1の上下方向の働き寸法w1の2倍の寸法に上下方向に隣接する本発明に係る建築物用外囲体1の重ね合わされている部分の寸法w2を加えた寸法(2w1+w2)と略合致する寸法を有しており、長手方向と平行な下流側の下縁14aを各建築物用外囲体1の裏側に建築物用外囲体1の下縁より僅かに上流側に位置させて敷設される。
【0021】
本発明に係る建築物用外囲体1は、固定具挿通用貫通穴12に挿通された固定具15により建築物下地材上に固定されるのであるが、下流側の建築物用外囲体1の上側の上下重ね合わせ部9に次に上流側に隣接して固定される本発明に係る建築物用外囲体1の下側の上下重ね合わせ部8を重ね合わされて固定せしめる固定具15による固定位置を、下流側の建築物用外囲体1を固定せしめている固定具15の位置より側方にズレた位置とすることによって一枚の防水シート14に上下方向の一直線上に1本の固定具15しか存在しない状態とすることができ雨仕舞が向上するのであり、通常上流側の建築物用外囲体1は下流側の建築物用外囲体1に対してその略1/2幅だけズレた位置に配置されて固定されるので、固定具挿通用貫通穴12が穿設されている所定の位置とは、前記した一枚の防水シート14に上下方向の一直線上に1本の固定具15しか存在しない状態とする位置であり、例えば図3に示した実施例では、一方(左方)の側縁部近傍に固定具挿通用貫通穴12がまたこの固定具挿通用貫通穴12から他方(右方)の側縁部側に建築物用外囲体1の働き幅の1/3幅の間隔を隔てた位置及び2/3幅の間隔を隔てた位置にそれぞれ固定具挿通用貫通穴12が穿設されていて、施工状態において固定具15が上下方向に千鳥状に配置される位置である。
【0022】
前記防水シート14としては、例えばゴムアス防水シートの如く建築物用外囲体1を固定するための固定具15を貫通された状態でこの固定具15に密着して隙間を閉塞して防水性を確保することのできる自己封鎖性を有する素材より形成されていることが好ましい。
【0023】
なお、13は製造時に製造される建築物用外囲体1を送るために送り装置の爪が挿入される貫通孔である。
【0024】
このような本発明に係る建築物用外囲体1を使用して建築物の外囲構造を施工するには、先ず前記した長尺状の防水シート14を準備し、この防水シート14の長手方向と平行な下流側の下縁14aをその上に固定される建築物用外囲体1の下縁部より僅かに上流側に位置させて敷設する。
【0025】
そして、この防水シート14上に建築物用外囲体1をその両側縁部の左右重ね合わせ部6,7同士を重ね合わせて順次側方に配置して固定具挿通用貫通穴12を挿通させた固定具15により建築物下地材に固定するのであるが、既に下流側に建築物用外囲体1が固定されている場合にはその上流側に固定される建築物用外囲体1を下流側の建築物用外囲体1に対してその略1/2幅だけ側方にズレた位置に配置して上流側の建築物用外囲体1を固定せしめる固定具15の位置が下流側の建築物用外囲体1を固定せしめる固定具15より側方にズレた位置に配置して固定する作業を施工すべき建築物の外囲面全面に順次繰返し行うのである。
【0026】
このように下流側の建築物用外囲体1の上流側に上流側の建築物用外囲体1を固定するに際し、建築物用外囲体1の上側の上下重ね合わせ部9の、上流側に固定される建築物用外囲体1の下縁位置における谷部3に上下位置決め用目印10が表面側に向けて突設されていると、上流側の建築物用外囲体1を下流側の建築物用外囲体1に対して上下方向の所定の位置に容易に配置することができると共に上下方向の働き寸法を一定にすることができる。また、この上下位置決め用目印10が谷部3に多数表面側に向けて突設されていると、谷部3に裏面側に向けて突設されている場合のように上下位置決め用目印の部分で建築物用外囲体1が浮き上がるような建築物用外囲体1の施工に問題を生じさせることが無く、上流側の建築物用外囲体1の下縁から入り込んできた雨水がこの上下位置決め用目印10によって更に上流側に移動することがないため雨仕舞が向上するのである。
【0027】
また、建築物用外囲体1を側方に順次固定するに際し、上側の上下重ね合わせ部9の略中央位置の山部2に左右位置決め用目印11が凹設されていると、山部2に左右位置決め用目印が凸設されている場合のように左右位置決め用目印の部分で上流側の建築物用外囲体1が浮き上がるような建築物用外囲体1の施工に問題を生じさせることが無く、下流側に下流側の建築物用外囲体1が固定されている場合にその上流側に固定される上流側の建築物用外囲体1の位置を下流側の建築物用外囲体1に対して働き幅の1/2幅だけズレた位置に容易に配置することができ外観に優れた状態に施工することができ、しかもこの左右位置決め用目印11がは山部2に凹設されているので上流側の建築物用外囲体1が下流側の建築物用外囲体1に対して浮き上がった状態に固定されることもなく、更に下端傾斜部5も波形状に形成されているので、上側の上下重ね合わせ部9の波形状と係合して側方にズレることが防止され容易に安定した状態に配置することができる。
【0028】
このように上下方向に隣接して固定される建築物用外囲体1,1を建築物下地材に固定せしめる固定具15を側方にズレた位置にして上下方向に一直線状に配置されない状態とすることによって、上流側の建築物用外囲体1の下端傾斜部と下流側の建築物用外囲体1の上面との間から上流側の建築物用外囲体1の裏側に入り込んだ雨水等の水は、下流側の建築物用外囲体1の上縁に至ることは殆ど無いが、仮りに下流側の建築物用外囲体1の上縁にまで至った場合には二枚の防水シート14上を下流側に流下することになるが、この際各防水シート14において上下方向において固定具15が貫通した穴が一直線状に配置されていないため防水効果が非常に高く、更に固定具15は重ね合わされた二枚の防水シート14を貫通しているので上層の防水シート14を通過した雨水等の水は下層の防水シート14によって遮断されるので防水効果が優れているのである。
【0029】
【発明の効果】
以上に詳述した如く本発明に係る建築物用外囲体は、両側縁部に左右重ね合わせ部が、また上下両縁部に上下重ね合わせ部がそれぞれ形成されており、側方及び上下方向に各重ね合わせ部を重ね合わせて固定されて建築物の外面を構成する建築物用外囲体であって、幅方向に連続する横断面弧状の山部と横断面弧状の谷部とこれら山部と谷部とを連続せしめているフラットな斜面とが上下方向の全長に亘って形成されている横断面波形状であり、波のピッチが10〜15mmであり、前記斜面が山部の頂点を含む平面に垂直な線に対する角度が40〜50度で且つその幅が前記波のピッチの30〜40%に形成されており、下縁部に裏面側に縦断面略くの字状に屈曲されて下端傾斜部が形成されている構成であるので、施工状態において山部と谷部とが弧状で角張った印象を与えずしかもその下端部が下端傾斜部の高さ分だけ屋外側に突出して立体的な印象を見る者に与えることができ意匠性に優れているだけでなく、下側の上下重ね合わせ部と上側の上下重ね合わせ部との間には空間が形成されるので、雨水等が毛細管現象によって上流側に移動しないため雨仕舞に優れている。
【0030】
更に、それぞれ弧状の山部,谷部及びこれらを連続せしめている斜面が前記形状に形成されているので、横断面波形状における山部と谷部との占める割合が小さく大部分がフラットな斜面で構成されることになるため、表面側から裏面側へ作用する荷重に対して高い強度を有しており、従来の波板と比較して同一の材質より製造する場合に板厚の薄い素材であっても建築物の外囲を構成するに必要な強度を得ることができ、経済的でありしかも軽量で扱い易いのである。
【0031】
また、固定具挿通用貫通穴が、下側の上下重ね合わせ部の近傍であって間隔を隔てた所定の位置、即ち施工状態において上下に隣接する本発明に係る建築物用外囲体を固定せしめる固定具が上下方向に一直線状に配列されない位置に穿設されていると、所定の短尺寸法を有する長尺状の防水シートをその長手方向を水平にしてその下縁部を上側の上下重ね合わせ部に重ね合わせて更にこの防水シート上に本発明に係る建築物用外囲体を配置して固定した施工状態において、各防水シートについて上下方向に一直線状に固定具が貫通した穴が形成されることがなく、しかも二枚の防水シートが重ね合わされているので、固定具を伝って上層の防水シートを通過した雨水等の水は下層の防水シートによって遮断されて下地材側に侵入することがなく雨仕舞に優れている。
【0032】
そして、上流側に固定される建築物用外囲体の下縁位置を規定するために上側の上下重ね合わせ部の、上記下縁位置における谷部に上下位置決め用目印が表面側に向けて突設されていると、建築物用外囲体の施工に問題を生じさせること無く上下方向の働き寸法を一定にすることができ、また上流側に固定される建築物用外囲体を1/2幅ズレた位置に配置せしめるために上側の上下重ね合わせ部の略中央位置の山部に左右位置決め用目印が凹設されていると、建築物用外囲体の施工に問題を生じさせることが無く下流側に下流側外囲体が固定されている場合にその上流側に固定される上流側外囲体の位置を下流側外囲体に対して働き幅の1/2幅ズレた位置に容易に配置することができ外観に優れた状態に施工することができ、しかも下端傾斜部も波形状に形成されているので、上側の上下重ね合わせ部の波形状と係合して安定した状態に配置することができ施工効率に優れている。
【0033】
このように種々の効果を奏する本発明に係る建築物用外囲体は、その工業的価値の非常に大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る建築物用外囲体の1実施例を示す斜視図である。
【図2】 図1の中央横断面を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図3】 図1に示す本発明に係る建築物用外囲体の施工状態の1例を説明する説明用斜視図である。
【符号の説明】
1 本発明に係る建築物用外囲体
2 山部
2a 頂部
3 谷部
3a 底部
4 斜面
5 下端傾斜部
6 一方の左右重ね合わせ部
7 他方の左右重ね合わせ部
8 下側の上下重ね合わせ部
9 上側の上下重ね合わせ部
10 上下位置決め用目印
11 左右位置決め用目印
12 固定具挿通用貫通穴
13 貫通孔
14 防水シート
14a 下縁
15 固定具
A 斜面の幅
W 防水シートの短尺寸法
L 山部の頂部を含む平面に垂直な線
w1 外囲体の上下方向の働き寸法
w2 上下重ね合わせ部の寸法
θ 山部の頂部を含む平面に垂直な線に対する斜面の角度
Claims (4)
- 両側縁部に左右重ね合わせ部(6,7)が、また上下両縁部に上下重ね合わせ部(8,9)がそれぞれ形成されており、側方及び上下方向に各重ね合わせ部(6,7)及び(8,9)を重ね合わせて固定されて建築物の外面を構成する建築物用外囲体であって、幅方向に連続する横断面弧状の山部(2)と横断面弧状の谷部(3)とこれら山部(2)と谷部(3)とを連続せしめているフラットな斜面(4)とが上下方向の全長に亘って形成されている横断面波形状であり、波のピッチが10〜15mmであり、前記斜面(4)が山部(2)の頂点(2a)を含む平面に垂直な線(L)に対する角度(θ)が40〜50度で且つその幅(A)が前記波のピッチの30〜40%に形成されており、下縁部に裏面側に縦断面略くの字状に屈曲されて下端傾斜部(5)が形成されていることを特徴とする金属板製の定尺状の建築物用外囲体(1)。
- 下側の上下重ね合わせ部(8)の近傍であって間隔を隔てた所定の位置に固定具挿通用貫通穴(12)が穿設されている請求項1に記載の建築物用外囲体(1)。
- 上流側に固定される建築物用外囲体(1)の下縁位置を規定するために、上側の上下重ね合わせ部(9)の、上記下縁位置における谷部(3)に上下位置決め用目印(10)が表面側に向けて突設されている請求項1又は2に記載の建築物用外囲体(1)。
- 上流側に固定される建築物用外囲体(1)を1/2幅ズレた位置に配置せしめるために、上側の上下重ね合わせ部(9)の略中央位置の山部(2)に左右位置決め用目印(11)が凹設されている請求項1から3までのいずれか1項に記載の建築物用外囲体(1)。
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