以下、本発明の遊技機としてのパチンコ遊技機10に係る一実施形態を、図1〜図19に基づいて説明する。図1に示すようにパチンコ遊技機10は、遊技機枠体80に遊技機本体81を組み付けてなる。その遊技機本体81は、それぞれ種々の部品が組み付けられた遊技板11と機構板84とからなる。また、遊技機枠体80は、外枠82と前面枠83とからなる。この前面枠83には、遊技板視認窓83Wが前後方向に貫通形成されている。また、前面枠83は、後面側に遊技板11と機構板84とが順番に宛がわれていると共に、前面側にガラス扉85が宛がわれている。そして、ガラス扉85に貫通形成されたガラス窓85Wが、遊技板視認窓83Wと前後方向に重なり、ガラス窓85Wに嵌め込まれたガラス板85Gを通してパチンコ遊技機10の前方から遊技板11が視認可能となっている。
ガラス扉85のうちガラス窓85Wの下方には、図2に示すように上皿26が配置されている。この上皿26は、上方に開放した容器状をなし、内部に遊技媒体としての遊技球を貯留可能となっている。上皿26の側方には、上皿用球抜きボタン26Aが設けられており、この上皿用球抜きボタン26Aを押圧して上皿26に貯留された遊技球を後述する下皿27に排出することができる。
遊技領域R1は、遊技板11の前面から突出するガイドレール12に囲まれて略円形になっている。遊技領域R1の中央には、図1に示す表示装置取付開口11Wが貫通形成されている。この表示装置取付開口11Wには、図2に示すように前方から表示枠30Aが嵌合され、その表示枠30Aのうち周縁部の後面を遊技板11の前面に宛がった状態にして固定されている。また、表示枠30Aの中央部には、略矩形の画面表示開口30Wが貫通形成されており、その画面表示開口30Wから遊技板11の後面に取り付けられた液晶モニター30Bの液晶表示画面30Gが露出している。
遊技領域R1のうち表示枠30Aの両側方には、ランプ風車17、始動ゲート18、風車19が上から順番にそれぞれ設けられている。また、表示枠30Aの下方には、始動入賞口14、大入賞口15、アウト口16が上から順番に設けられている。始動入賞口14の両側方には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20,21及びサイドランプ22が設けられている。これら各始動入賞口14,15,20,21等の役物以外に、遊技領域R1には、遊技球と当接して流下方向を様々に変化させることが可能な図示しない障害釘が分散配置されている。
上記した役物の詳細は、以下のようである。一般入賞口20,21は、遊技板11から突出した部材の上面に開口を備えた、所謂ポケット構造をなし、遊技球が丁度1つ入球可能な大きさで上方に開口している。一般入賞口20,21へ入球すると、その遊技球は遊技板11の裏側に取り込まれ、代わりに所定数の賞球が上皿26に払い出される。
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなし、通過した遊技球は始動ゲート18に内蔵された図示しない普通図柄始動スイッチによって検出される。この検出信号に基づいて、液晶表示画面30Gの一角に設けられた普通図柄表示部18Hにおいて図柄が変動表示される。具体的には、「0」〜「9」までの数字からなる数字図柄が所定期間に亘って変動表示された後、所定の数字図柄が停止表示される。
始動入賞口14は、所謂ポケット構造をなしている。そして、始動入賞口14に入った遊技球は、遊技板11に設けた貫通孔11Aを通って、遊技板11の裏側に回収される。始動入賞口14の開口の左右両側には可動翼片14A,14Aが備えられている。これら両可動翼片14A,14Aは、常には起立状態になっており、両可動翼片14A,14Aに挟まれた始動入賞口14の開口幅は、遊技球が1つだけ入る大きさとなっている。そして、普通図柄表示部18Hで停止表示された数字図柄が奇数になると、遊技板11の裏に設けた図示しないソレノイドが駆動されて、両可動翼片14A,14Aが所定期間(例えば、0.4秒間)に亘って横に倒される。すると、始動入賞口14の上方空間が側方に開放し、始動入賞口14の両脇に至った遊技球が可動翼片14Aに受け止められて始動入賞口14に案内されるようになる。
始動入賞口14に遊技球が入賞すると、始動入賞口14内に設けた図示しない始動口センサが遊技球を検出し、その検出信号に基づいて、例えば、4個の遊技球が後述する上皿26に払い出されると共に、液晶表示画面30Gにおいて図柄が変動表示される。具体的には、液晶表示画面30Gには、通常、3つの左、中、右の特別図柄31A,31B,31Cが横並びに表示されている。これら各特別図柄31A,31B,31Cは、例えば、「0」〜「11」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄31A,31B,31Cごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、始動入賞口14に遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄31A,31B,31Cが、上下方向にスクロール表示され、所定時間後に、例えば、左、右、中の順で各特別図柄31A,31C,31Bが停止表示される。このとき、中特別図柄31Bがスクロール表示されている状態で、先に停止表示された左・右の特別図柄31A,31Cが、同じ図柄となった場合に「リーチ状態」が成立する。すると、次述する「大当たり状態」になる確率が高くなる。また、全ての特別図柄31A,31B,31Cが同じ図柄、即ち、ぞろ目になった場合に、遊技が「大当たり状態」になる。
なお、液晶表示画面30Gにおいて特別図柄31A,31B,31Cが変動表示又は「大当たり状態」の最中に始動入賞口14に入賞した場合、その入賞球は最大で4個まで保留記憶され、特別図柄31A,31B,31Cが停止表示又は「大当たり状態」が終了すると、その保留記憶に基づいて再び、特別図柄31A,31B,31Cが変動表示される。
大入賞口15は、横長矩形に形成されて、常には、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、パチンコ遊技機10が「大当たり状態」になると、遊技板11の裏に設けた図示しないソレノイドが駆動され、可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒れる。これにより、大入賞口15が開放され、可動扉15Tを案内にして大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。ここで、可動扉15Tが、開放してから閉じるまでの間を「ラウンド」と称すると、1つのラウンドは、可動扉15Tの開放時間が30秒に達したか、又は、大入賞口15に遊技球が10個入賞したかの何れかの条件が先に満たされた場合に終了する。また、「大当たり状態」は、最大で、例えば15ラウンドまで継続される。
大入賞口15の内部には、図示しない計数入賞口が設けられている。計数入賞口内には、カウントセンサが設けられており、遊技球の入賞を検出すると入賞球数をカウントし、入賞球が前記したように計10個に達したか否かをチェックする。なお、大入賞口15に遊技球が入賞すると、例えば、15個の遊技球が上皿26に払い出される。
前面枠83の前面のうちガラス扉85の下方は、横並びに配置された下皿扉40と固定板86とで覆われている。固定板86は、前面枠83の下側角部に固定されている。そして、この固定板86の上端部に設けられた鍵穴86Aに鍵を挿入して回動操作すると、ガラス扉85が、前面枠83のうち固定板86と反対側の側面に設けられた1対の上側ヒンジ部83A,83A(図1参照)を中心にして回動可能となっている。また、固定板86の下端部には、操作ノブ86Bが取り付けられている。
下皿扉40は、図2に示すようにパチンコ遊技機10の前方から見ると略横長矩形状をなし、係止金具46N(図3参照)を引き上げると、前面枠83のうち固定板86と反対側の側部に設けられた1対の下側ヒンジ部83B,83B(図1参照)と、下皿扉40のうち固定板86と反対側の側部に設けられた1対の下皿扉ヒンジ部46J、46J(図3参照)とからなるヒンジ機構を中心にして回動可能となっている。この下皿扉40は、下皿扉ベース42Bの前面側に第1と第2の装飾カバー44A,44Bを左右方向に並べて組み付けてなる。これら第1と第2の装飾カバー44A,44Bは、ガラス扉85の前面より前方に膨出していると共に、図2に示すように上向き面が下皿扉40の左右方向の両端から第1と第2の装飾カバー44A,44Bの境界位置に向けて下向きに湾曲している。
第1の装飾カバー44Aは、下皿扉ベース42Bに後述する要領で第2の装飾カバー44Bを予め取り付けておき、その第2の装飾カバー44Bの一側部を案内にして下皿扉ベース42Bに取り付けられ、下皿扉ベース42Bに後方から螺旋止めされる。これにより、第2の装飾カバー44Bを下皿扉ベース42Bに固定する螺子のうちの前方に露出するものが第1の装飾カバー44Aによって覆われて、防犯性が高まる。この第1の装飾カバー44Aの上向き面には、図3に示すように画像操作ボタン41が設けられている。この画像操作ボタン41は、押圧操作によって液晶表示画面30Gで表示される画像を選択可能になっている。また、この画像操作ボタン41は、第1の装飾カバー44Aの上向き面の傾斜にあわせて第2の装飾カバー44B側に下向きに傾斜している。
下皿扉ベース42Bは、図4に示すように、下皿扉基板46(本発明の「ベース壁の本体部分」に相当する)の前面側に貯留槽43と開閉ユニット60とを取り付けてなる。この下皿扉基板46は、不透明な樹脂からなり、略横長矩形状に形成され、前面枠83の前方を覆っている。また、この貯留槽43は、略横長矩形状をなす上端部及び下皿扉基板46側の側方が開放されていると共に、下面が略水平な容器状をなしている。この貯留槽43の底部のうち操作ボタン50寄りの位置には、図4に示すように排出口43Aが設けられている。排出口43Aは、略円形状をなし、複数の遊技球が一度に通過可能となっている。また、貯留槽43の底部は、周縁部から排出口43Aに向けて下向きに傾斜している。
貯留槽43は、図3に示すように、その底部の後縁部に立設された位置決め突状43Bを下皿扉基板46の前面に略水平方向に延びる位置決め溝46Kに挿入して位置決めされている。そして、貯留槽43のうち下皿扉基板46側の側方が下皿扉基板46の壁部46Hによって閉鎖された状態にして、下皿扉基板46に前方から螺旋止めされている。これにより、貯留槽43と下皿扉基板46とが一体となって下皿27を形成し、この下皿27内に遊技球を貯留可能になっている。
壁部46Hは、下皿扉基板46の中央に形成された略鉛直の平坦面である。この壁部46Hのうち排出口43Aの後方となる部位には、遊技球流入口46Gが前後方向に貫通形成されている。この遊技球流入口46Gは、横長矩形状に形成され、一度に複数の遊技球が通過可能になっている。そして、上皿26から排出されて図示しない遊技球通路を通った遊技球が、遊技球流入口46Gから下皿27に流入可能となっている。
貯留槽43の下方には、排出口カバー46Aが設けられている。この排出口カバー46Aは、下面カバー59と同じ色彩の同じ材料からなり、先端部に排出口保護口46Bが上下方向に貫通形成されている。この排出口保護口46Bは、直径が排出口43Aより僅かに大きい円筒状をなしている。排出口カバー46Aは、後端部が下皿扉基板46の前面に突き当てられ、貯留槽43の下面との間に略一定の間隔の隙間を保った状態にして、貯留槽43に下方から螺旋止めされている。これにより、貯留槽43と排出口カバー46Aとの間を、後述する開閉部材64の水平アーム64Fが通過可能となっている。また、排出口保護口46Bが排出口43Aと上下方向に重なるので、排出口43Aから排出された遊技球が排出口保護口46Bを通過する。
下皿扉基板46のうち壁部46Hより固定板86側には、下皿扉基板46の後面側に固定されたLED基板46Iの先端部が突出している。このLED基板46Iは、先端部に貯留槽43側に向けられた複数、例えば3つのLED(図示せず)が実装されている。
第2の装飾カバー44Bは、前面カバー42Aに後述する操作ユニット47を取り付けてなる。この前面カバー42Aは、下面カバー59の上縁部に上面カバー58を後方から螺旋止めしてなる。下面カバー59は、前面側が前方に膨出している。そして、その膨出した部分の下面側が平坦になっており、図5に示す排出部固定開口59Aが上下方向に貫通形成されている。また、上面カバー58は、透光性材料からなり、上面のうち固定板86側に取付開口58Aが上下方向に貫通形成されている。
上面カバー58の取付開口58Aには、図6に示すように、上面カバー58を上下方向に貫通するようにして操作部材47Aが取り付けられている。この操作部材47Aは、操作ボタン50、直動ギヤ52、回転ギヤ54及び直動シャフト55からなり、保持ケース47C内に直動可能に保持されている。そして、操作部材47Aの操作ボタン50と保持ケース47Cの上端部とが、上面カバー58の上面から突出している。この操作ボタン50は、図2に示すようにパチンコ遊技機10の前方から押圧操作可能となっている。また、操作ボタン50の上端面は、「玉抜」の2文字(図4参照)が刻印され、下皿27側に向かって下向きに傾斜している。
保持ケース47Cは、透過性を有する樹脂で構成された透明ケース57と、その透明ケース57内に収容された円環枠部51及び固定ケース53とからなる。この透明ケース57は、上部が下部に対して段差状に拡径しかつ上端部が開放した円筒状をなしている。そして、透明ケース57の上部と下部との間の段差部57Cに固定ケース53のケース底板53Cを突き当て、円環枠部51及び固定ケース53に下側から螺子止めされている。
円環枠部51は、上端部が円環状に形成され、その内側を操作ボタン50が挿通可能となっている。また、図7に示す固定ケース53は、下端有底の略円筒状をなし、側壁部53Aに設けられた1対のガイド開口53B,53Bに、操作ボタン50の下端部から外側に突出する1対の係止突部50A,50Aが嵌め込まれてなる。これにより、操作ボタン50は、係止突部50Aの側部がガイド開口53Bの側縁部に当接して回動が規制される一方、上下方向に直動可能となっている。そして、操作ボタン50が上方に直動して係止突部50Aの上端部がガイド開口53Bの上縁部に当接する位置が、操作ボタン50の直動範囲の上限位置となる。
固定ケース53のケース底板53Cの中央には、図6に示す固定ギヤ53Dが設けられている。この固定ギヤ53Dは、両端面が開放した円筒状をなし、操作ボタン50の直動方向に沿って延びて上端部がケース底板53Cの上方に突出する一方、下端部がケース底板53Cの下方に突出している。
固定ギヤ53Dの下端部には、6つの誘導突部53Eが設けられている。各誘導突部53Eは、固定ギヤ53Dの下端面を円周方向に6等分した位置に配され、図7に示すように、固定ギヤ53Dの延長方向に延びる係止直壁53Fと、その係止直壁53Fの先端部から円周方向に隣り合う係止直壁53Fの基端部に向けて延びる誘導斜面53Gとからなる。そして、全ての誘導斜面53Gが、同一の円周方向に向かって略同一の角度で傾斜している。また、固定ギヤ53Dの下端部には、3つの係止スリット53Hが設けられている。これら係止スリット53Hは、固定ギヤ53Dの下端面を円周方向に3等分した位置に設けられ、係止直壁53Fを上方に延長した部位を含んでいる。
固定ギヤ53Dの内空には、図6に示すように上方から直動ギヤ52が挿入されている。直動ギヤ52は、上端有底の円筒状に形成され、その側面に係止突条52A(図7参照)が立設されている。そして、この係止突条52Aが、固定ギヤ53Dの内空に操作ボタン50の直動方向に沿って設けられた誘導溝(図示せず)に嵌め込まれている。これにより、直動ギヤ52は、回動が規制される一方、操作ボタン50の直動方向に沿って上下方向に直動可能となっている。この直動ギヤ52は、下方に直動して係止突条52Aの下端部が誘導溝の下端部に当接すると直動範囲の下限位置に至る。そして、直動ギヤ52が下限位置に至ると、その直動ギヤ52の上端部に載置された操作ボタン50も直動範囲の下限位置となる。また、直動ギヤ52が上方に直動し、その直動ギヤ52に押し上げられた操作ボタン50が直動範囲の上限位置に至ると、直動ギヤ52も直動範囲の上限位置となる。
直動ギヤ52の下端部には、6つの山形突部52Bが設けられている。各山形突部52Bは、図7に示すように、直動ギヤ52の下端面を円周方向に6等分した位置に設けられた頂部52Cと、その頂部52Cから円周方向の両側にV字状に延びる1対の押圧斜面52D,52Dとからなる。これら山形突部52Bの頂部52Cは、固定ギヤ53Dの係止直壁53Fと円周方向に位相をずらして配置されている。
直動ギヤ52の内空には、図6に示すように、下方から直動シャフト55が挿入されている。この直動シャフト55は、先端部が半球状をなす丸棒であって、中間部に規制フランジ55Aが立設されている。また、直動シャフト55の下端部が、透明ケース57の下端部に貫通形成されたシャフト挿通孔57Aに挿通されている。このように、直動シャフト55の両端部は、直動ギヤ52と透明ケース57とによって上下方向に直動可能に支持されている。
直動シャフト55のうち規制フランジ55Aより上方には、図7に示す回動ギヤ54が外装されている。この回動ギヤ54は、両端部が開放された円筒状の本体部54Aと、その本体部54Aを円周方向に3等分した位置の側部に立設された係止壁54Bとからなり、本体部54A内に下方から挿通された直動シャフト55によって回動可能に軸支されている。各係止壁54Bの上端面に形成された摺接面54Cは、本体部54Aの径方向には外縁部から本体部54Aの開口部に向かって下向きに傾斜している一方、本体部54Aの円周方向には対向する固定ギヤ53Dの誘導斜面53G及び直動ギヤ52の押圧斜面52Dと略平行に傾斜している。
直動シャフト55のうち規制フランジ55Aより下方は、圧縮コイルバネ56に挿通されている。この圧縮コイルバネ56は、上端部が規制フランジ55Aに当接する一方、下端部が透明ケース57の下端部に当接しており、直動シャフト55を操作ボタン50側に付勢している。即ち、操作部材47Aが圧縮コイルバネ56によって上向きに付勢される。
直動シャフト55は、操作部材47AがOFF位置に至ると、図8に示すように透明ケース57の下端部から僅かに突出する。また、回動ギヤ54の係止壁54Bが固定ギヤ53Dの係止スリット53Hに入り込んだ状態で圧縮コイルバネ56によって上向きに付勢される。これにより、回動ギヤ54が固定ギヤ53D内に収容された状態に保持されると共に、操作部材47Aが直動範囲の上限位置に至る。
OFF位置にある操作部材47Aを押圧すると、図9に示すように、直動ギヤ52が下向きに直動して直動ギヤ52の押圧斜面52Dと回動ギヤ54の摺接面54Cとが当接し、回動ギヤ54には、直動ギヤ52を介して操作部材47Aの操作力が伝達されると共に、規制フランジ55Aを介して圧縮コイルバネ56の弾性力が伝達される。そして、これら直動シャフト55の長手方向に作用する軸力によって回動ギヤ54の摺接面54Cが直動ギヤ52の押圧斜面52Dに沿って摺動するように付勢され、回動ギヤ54の係止壁54Bの側面が固定ギヤ53Dの係止スリット53Hの側面に押し付けられる。さらに操作部材47Aを押圧してON位置に至ると、図10に示すように回動ギヤ54が直動ギヤ52内から押し出されて回動ギヤ54の摺接面54Cが直動ギヤ52の押圧斜面52Dに沿って摺動し、回動ギヤ54の摺接面54Cが円周方向に隣り合う直動ギヤ52の押圧斜面52Dの上端部に当接するまで回動ギヤ54が回動する。また、操作部材47AがON位置に至ると、操作部材47AがOFF位置にある場合より直動シャフト55の下端部が透明ケース57のシャフト挿通孔57Aから多く突出する。
そして、操作部材47Aの押圧を解除すると、圧縮コイルバネ56に付勢された規制フランジ55Aによって回動ギヤ54が僅かに押し上げられ、回動ギヤ54の摺接面54Cが固定ギヤ53Dの誘導斜面53Gに当接する。すると、回動ギヤ54の摺接面54Cが固定ギヤ53Dの誘導斜面53Gに沿って摺動し、図11に示すように、回動ギヤ54の係止壁54Bが固定ギヤ53Dの係止直壁53Fに押し当てられた状態に保持される。このように、操作部材47AがON位置にある場合には、操作部材47AがOFF位置にある場合より回動ギヤ54が円環枠部51から離れた位置に留まるので、回動ギヤ54に押し上げられている直動ギヤ52の上端部と当接する操作ボタン50が、円環枠部51内に比較的押し込まれた状態に保持される。
ON位置にある操作部材47Aを押圧すると、直動ギヤ52が下方に直動して回動ギヤ54を固定ギヤ53D内から押し出す。すると、回動ギヤ54の摺接面54Cが固定ギヤ53Dの誘導斜面53Gに沿って摺動して、図12に示すように、回動ギヤ54の摺接面54Cが円周方向に隣り合う直動ギヤ52の押圧斜面52Dの上端部に当接するまで回動ギヤ54が回動する。そして、操作部材47Aの押圧を解除すると、圧縮コイルバネ56の弾性力によって回動ギヤ54が上方に直動し、回動ギヤ54の摺接面54Cが固定ギヤ53Dの誘導斜面53Gに当接する。そして、回動ギヤ54の摺接面54Cが固定ギヤ53Dの誘導斜面53Gに沿って摺動して、図8に示すように回動ギヤ54の係止壁54Bが固定ギヤ53Dの係止スリット53Hに入り込んで、操作部材47AがOFF位置に保持される。
ここで、直動ギヤ52、固定ギヤ53D、回動ギヤ54、直動シャフト55及び圧縮コイルバネ56が、本発明の「交互保持機構47B」となっている。また、操作部材47A、保持ケース47C及び圧縮コイルバネ56が、操作ユニット47となっている。さらに、図8〜図12では、説明のために操作ボタン50、円環枠部51及び透明ケース57のみを断面で示している。
また、操作部材47Aの動作を纏めると以下のようである。操作部材47Aは、常には、交互保持機構47BによってOFF位置に保持されている(図8参照)。そして、パチンコ遊技機10の前方から操作ボタン50を一度押圧すると、操作部材47AがOFF位置からON位置に至り、押圧を解除しても交互保持機構47BによってON位置に保持される(図9〜図11参照)。それから、再度、操作ボタン50を押圧すると操作部材47AがOFF位置に復帰し、押圧を解除しても交互保持機構47BによってOFF位置に保持される(図8及び図12参照)。
保持ケース47Cのうち上面カバー58の下面側に突出する部分には、透光カバー58B(図6参照)が外装されている。この透光カバー58Bは、透過性を有する樹脂からなる下端有底の円筒状をなし、下端部に透明ケース57の段差部57Cより下方を挿通可能な開口部を備えている。そして、図6に示すように、透光カバー58Bの開口部に透明ケース57が上方から挿通され、透光カバー58Bの下端部を透明ケース57の段差部57Cに突き当てた状態にして下方から螺子止めされている。これにより、透光カバー58Bと保持ケース47Cとが一体化されると共に、固定フランジ57Bと透光カバー58Bとの間に取付開口58Aの周縁部を挟んで、保持ケース47Cを上面カバー58に固定している。
この透光カバー58Bの側方には、遮光カバー58C装着されている。この遮光カバー58Cは、不透明な樹脂で構成され、両端が開放された円筒状の遮光壁部と、その遮光壁部の上縁部から上面カバー58の下面に沿って広がる遮光板部とからなる。この遮光カバー58Cの遮光壁部の下方には、上面に複数、例えば4つのLED58Dが実装されたLED基板58Eが配置されている。このLED基板58Eは、透光カバー58Bの下面に立設された位置決め突条58Hに下方から突き当てた状態にして、透光カバー58Bに下方から螺子止めされている。これにより、透光カバー58BとLED基板58Eとの間の空間にLED58Dを収容可能になると共に、遮光カバー58Cの遮光壁部がLED基板58Eと上面カバー58との間に遊嵌される。また、LED基板58Eから延びる電線は、後述する回動支持盤60の電線挿通孔60D(図13参照)を通って下皿扉基板46の後方に取り出されている。
LED基板58Eに実装されたLED58Dは、遊技が大当たり状態になった際に演出の一部として点灯する。このLED58Dからの光は、上方に向かって照射され、透光カバー58Bの下面に設けられた凹凸部(図示せず)によって攪乱され、透明ケース57の段差部57Cを全体的に照射する。そして、LED58Dからの光が透明ケース57の固定フランジ57Bに至ると、上面部が外側に湾曲した形状をなす固定フランジ57Bのレンズ効果によって強度を増して上方を照射する。なお、遮光カバー58CによってLED58Dからの光の照射範囲が固定フランジ57Bに限定され、第2の装飾カバー44Bのうち固定フランジ57Bのみが輝くようになる。
第2の装飾カバー44Bは、図3に示す下皿扉ベース42Bを前方から覆うようにして取り付けられる。具体的には、操作ボタン50をOFF位置にした第2の装飾カバー44Bを後端部側から下皿扉ベース42Bの前面側に近づけ、下面カバー59の一方の側部59Bを下皿扉基板46に突設された第1ガイド円筒46Fに摺接させると共に、上面カバー58の後端部の両側部58F,58Gを貯留槽43の側部43F及び下皿扉基板46に突設された第2ガイド円筒46Mに摺接させながら後方にスライドさせる。そして、第2の装飾カバー44Bの後端部を下皿扉ベース42Bの所定の部位に突き当て、排出部固定開口59A(図5参照)に排出口カバー46Aを嵌合した状態で、下皿扉ベース42Bに螺旋止めされる。これにより、第2の装飾カバー44Bが下皿扉ベース42Bと一体になり、図14に示すように前面カバー42Aと下皿扉基板46との間に機構部収容空間R2が形成される。
この機構部収容空間R2内には、図4に示す回動支持盤60が配置されている。回動支持盤60は、透過性を有する樹脂からなり、鉛直に配置された支持平板60Fと、その支持平板60Fの周縁部から後方に突出する周囲壁60Bとを備えてなる。この回動支持盤60は、支持平板60Fと周囲壁60Bとで囲まれた空間内に下皿扉基板46の前面に突出するLED基板46Iを収容しかつ、貯留槽43と左右方向に並べた状態にして下皿扉基板46に前方から螺子止めされている。そして、これら下皿扉基板46と回動支持盤60とが、本発明の「ベース壁44C」となっている。また、回動支持盤60のうち貯留槽43側の周囲壁60Bに突設された照射突部60Cが、貯留槽43の側部に設けられた取付部43Cに嵌合して下皿27内に露出している。これにより、下皿27に貯留された遊技球が所定量に達した際に、LED基板46Iに実装されたLEDが照射突部60Cを介して下皿27内を照射することができる。
また、支持平板60Fの後面と下皿扉基板46の前面との間には、図17に示す遊技球通路60Eが設けられている。この遊技球通路60Eには、上皿用球抜きボタン26A(図2参照)の押圧操作によって図示しない発射装置内から排出された遊技球が、回動支持盤60のうち固定板86側の上側角部から流入する。そして、遊技球通路60Eを通過した遊技球が、回動支持盤60のうち貯留槽43側の下側角部から下皿27内に排出される。
支持平板60Fの前面は、略鉛直な平坦面である鉛直平坦面一面60Aとなっている。この鉛直平坦面一面60Aには、図13に示すように、1対の開閉回動支持突部62,62(本発明の「第2回動支持突部」に相当する)と、1対の中継回動支持突部61,61(本発明の「第1回動支持突部」に相当する)とが貯留槽43側から順番に左右方向に横並びにして突設されている。これら開閉回動支持突部62,62の先端部に貫通形成された軸受け孔(図示せず)には、開閉部材64に備えられた開閉回動シャフト64Hが挿通され、その開閉回動シャフト64Hの両端部が抜け止めされている。この開閉回動シャフト64Hは、略鉛直方向に延びかつ鉛直平坦面一面60Aと略平行になっている。
開閉部材64は、上下の両端が開放された円筒状をなす回動円筒部64Aと、回動円筒部64Aの下端部から貯留槽43側に突出するシャッタ部64Bと、回動円筒部64Aの上端部から貯留槽43と反対側に突出する受圧移動部64Cとを備えている。回動円筒部64Aは、内部に開閉回動シャフト64Hが挿通され、開閉部材64が開閉回動シャフト64Hを中心にして回動可能になっている。また、受圧移動部64Cは、鉛直方向に延びて鉛直平坦面一面60Aと対向する平板であって、下方に向かって僅かに幅広となっている。
シャッタ部64Bは、全体としてクランク状をなす板材であって、回動円筒部64Aの下端部から貯留槽43側に突出する張出部64Dの先端部から鉛直下方に鉛直アーム64Eが延び、その鉛直アーム64Eの下端部から水平アーム64Fが貯留槽43側に向かって略水平に延びている。水平アーム64Fは、図13に示すように先端部に向かって幅広となる板状をなし、先端部が排出口43A(図4参照)及び排出口保護口46B(図4参照)より僅かに大きい略円形状になっている。水平アーム64Fの先端部は、貯留槽43と排出口カバー46Aとの間に形成された水平アーム64Fの板厚より僅かに間隔が大きい隙間内に配置され、この隙間内を略水平方向に回動する。このように、水平アーム64Fが貯留槽43の下面と近接した位置を、貯留槽43の下面に沿って略水平に回動するので、他の部品の配置の自由度を極力損なわないようにすることができる。また、水平アーム64Fは、その先端部に突設された摺動突部64Gを、排出口カバー46Aに立設されて水平アーム64Fの回動軌跡に沿って延びる開閉部材支持壁46L(図3参照)の上端部に摺接させるので、回動中の姿勢が安定する。
鉛直アーム64Eの側部には、圧縮コイルバネ65(本発明の「弾性部材」に相当する)の一端部が係止されている。この圧縮コイルバネ65の他端部は、貯留槽43の回動支持盤60側の側部のうち鉛直アーム64Eより前側部分に立設された係止片43E(図3参照)に係止されている。そして、この圧縮コイルバネ65の弾性力によって、水平アーム64Fの先端部が下皿扉基板46から離れる一方、受圧移動部64Cが下皿扉基板46に近づく方向に回動するように付勢されている。
中継部材63には、中継回動シャフト63Fが備えられている。この中継回動シャフト63Fは、両中継回動支持突部61,61の先端部に貫通形成された軸受け孔(図示せず)に挿通され、両端部が抜け止めされている。この中継回動シャフト63Fは、水平方向に対して貯留槽43側に下るように延びかつ鉛直平坦面一面60Aと略平行になっている。
中継部材63は、全体として略L字形をなす平板を備えてなり、中継回動シャフト63Fから前方に略水平方向に突出する操作力受部63Aと、その操作力受部63Aの基端部から上方に突出する旋回部63Dとを備えている。操作力受部63Aの上向き面は、平坦に形成された当接受面63Bであり、中継回動シャフト63Fと略平行になっている。操作力受部63Aの基端部に設けられた軸挿通孔63C内には、中継回動シャフト63Fが挿通され、中継部材63が中継回動シャフト63Fを中心にして前後方向に回動可能になっている。また、両中継回動支持突部61,61の対向面の間隔が操作力受部63Aの幅より僅かに広くなっており、中継部材63が中継回動シャフト63F方向に位置決めされている。
旋回部63Dは、操作力受部63Aと略直交しかつ鉛直平坦面一面60Aと対向し、開閉回動シャフト64H側の上側角部が開閉部材64の受圧移動部64Cと回動支持盤60の鉛直平坦面一面60Aとの間に挟まれている。この旋回部63Dの前面のうち開閉回動シャフト64H側の上側角部には、伝達突部63Eが斜め上向きに突出している。この伝達突部63Eの先端部は、略半球状をなし、受圧移動部64Cが押し当てられている。そして、この受圧移動部64Cを介して伝達される圧縮コイルバネ65の弾性力によって旋回部63Dが、常には、即ち、後述するように操作部材47AがOFF位置にある場合には、鉛直平坦面一面60Aに押し付けられている。そして、中継部材63が前方に回動すると、伝達突部63Eが受圧移動部64Cを押圧し、圧縮コイルバネ65の弾性力に抗して開閉部材64を回動させる。このように、中継部材63と開閉部材64とが連動して伝達突部63Eと受圧移動部64Cとの相対位置が変化しても、伝達突部63Eの先端部が略半球状になっているので、伝達突部63Eが受圧移動部64Cの後面をスムーズに摺動することができる。
上記した回動支持盤60、中継部材63、中継回動支持突部61、開閉部材64及び開閉回動支持突部62は、開閉ユニット45(図13参照)を構成する。この開閉ユニット45は、図14に示す機構部収容空間R2に収容され、その上方に操作部材47Aが配置されている。そして、これら開閉ユニット45と操作部材47Aとから開閉機構48(図17参照)が形成されている。また、操作部材47Aは、常には、OFF位置にあって、操作部材47Aの直動シャフト55の先端部が中継部材63の操作力受部63Aと上下方向に対向し、図17に示すように、操作部材47Aの直動軸L1と中継部材63の回動軸L2とが直交している。一方、開閉ユニット45の開閉部材64は、圧縮コイルバネ65の弾性力によって、図4に示すように水平アーム64Fの先端部が排出口カバー46Aの先端部に立設された係止突辺46E(図3参照)に突き当てられた状態に保持されている。そして、この水平アーム64Fの先端部が排出口43A及び排出口保護口46B(図3参照)と上下方向に重なり、排出口43Aを下方から閉鎖する。このように、開閉部材64は、常には、圧縮コイルバネ56の弾性力によって排出口43Aを閉鎖する閉鎖位置に保持されている。以上が、本実施形態のパチンコ遊技機10の構成である。
以下、本実施形態のパチンコ遊技機10の作用効果を説明する。
OFF位置にある操作部材47Aを押圧すると、図15に示すように直動シャフト55が下方に直動して中継部材63の当接受面63Bを押し下げて、開閉部材64の受圧移動部64Cを介して中継部材63に伝達される圧縮コイルバネ56の弾性力に抗し、中継部材63の操作力受部63Aが下向きに回動すると共に、中継部材63の旋回部63Dが前側に回動する。これにより、操作部材47Aの操作力に基づく軸力が回動力に変換される。また、中継部材63が回動して直動シャフト55の先端部と当接受面63Bとの間の相対位置及び相対角度が変化しても、直動シャフト55の先端部が半球状になっているので、直動シャフト55が当接受面63B上をスムーズに摺動することができる。
そして、図13に示す中継部材63の旋回部63Dに設けた伝達突部63Eが開閉部材64の受圧移動部64Cを前方に押圧し、開閉部材64が圧縮コイルバネ56の弾性力に抗して回動する。また、これと同時に、水平アーム64Fが下皿扉基板46側に回動し、水平アーム64Fの先端部の一部が下皿扉基板46のうち位置決め溝46Kと排出口カバー46Aとの間に前後方向に貫通形成された水平アーム挿通孔46Dに入り込み、排出口43Aが開放される。そして、操作部材47Aの押圧が解除されて操作部材47Aが交互保持機構47BによってON位置に保持されると、図16に示すように水平アーム64Fの先端部が排出口43Aと上下方向に重なる範囲から外れた開放位置に保持され、下皿27に貯留された遊技球を排出可能になる。このように、操作部材47Aの一度の操作により水平アーム64Fが開放位置に保持されるので、遊技者は下皿27に蓄えられた遊技球を排出している間も遊技に集中することができる。そして、ON位置にある操作部材47Aを一度押圧すると操作部材47AがOFF位置に移動しかつ、交互保持機構47BによってOFF位置に保持される。以上のように、中継部材63を設けたことにより、例えば、本実施形態のパチンコ遊技機10のように、操作部材47Aと排出口43Aが離れた位置にある場合や、変則的な位置にある場合等においても対応可能である。
ところで、本実施形態のパチンコ遊技機10を基にして新機種を開発する際に、パチンコ遊技機10の外観デザインとしての前面カバー42Aの形状を変更すると、それに伴って操作部材47Aの配置が変更される。そして、操作部材47Aの配置の変更によって操作部材47Aと中継部材63との間で力を良好に伝達することができなくなる場合には、中継部材63を回動支持盤60の鉛直平坦面一面60Aと平行な2次元平面内で上下左右に平行移動又は回転させる配置変更を行う。具体的には、例えば、操作部材47Aを前面カバー42Aの上面で左右方向に傾けるデザイン変更がされた場合には、外観デザインを変更する前の開閉ユニット45の正面図、即ち、図17に示す本実施形態のパチンコ遊技機10の開閉ユニット45の正面図をCADで作図し、その図面に外観デザインを変更した後の操作部材47Aの直動軸L11を描く。そして、CAD上で中継部材63と中継回動支持突部161とを鉛直平坦面一面60A内で操作部材47Aが傾けられた角度分だけ回動させる共に上下左右に平行移動させて、図18に示すように操作部材47Aの直動軸L11と中継部材63の回転軸L12とを直交させる。すると、外観デザインの変更の前後で操作部材47Aの直動軸L1,L11と中継部材63の回転軸L2,L12との相対角度が略同一となる。
さらに、中継部材63と中継回動支持突部161とを、中継部材63の当接受面63Bの幅方向の中央を操作部材47Aの直動軸L11が通過するように鉛直平坦面一面60A内で移動させると、外観デザインの変更の前後で操作部材47Aの直動軸L1,L11と中継部材63の回転軸L2,L12との相対位置が略同一となる。そして、中継部材63と中継回動支持突部161とを操作部材47Aの直動軸L11と平行に移動して、操作部材47Aの直動シャフト55の先端部と中継部材63の当接受面63Bとの間が所定の間隔となるように中継部材63と中継回動支持突部161とを配置すればよい。
このように、本実施形態のパチンコ遊技機10によれば、中継部材63を軸支する中継回動支持突部61,61が回動支持盤60に備えた鉛直平坦面一面60Aから立ち上がっているので、その鉛直平坦面一面60A内で中継回動支持突部61,61を移動させることによって、中継部材63を鉛直平坦面一面60Aと平行な2次元平面内で上下左右に平行移動又は回転させる配置変更を行うことができる。これにより、操作部材47Aの直動軸L1と中継部材63の回転軸L2との相対角度及び/又は相対位置を、外観デザインの変更の前後で略同一にすることができる。
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機10では、中継部材63及び開閉部材62に回動支持盤60の鉛直平坦面一面60Aと対向した状態で旋回可能な旋回部63Dと受圧移動部64Cとを設けて、これら旋回部63Dと受圧移動部64Cとの間で力を伝達するように構成した。これにより、中継部材63が回動支持盤60の鉛直平坦面一面60Aと平行な2次元平面内で僅かに配置変更(平行移動又は回動)しただけであれば、その配置変更の前後で旋回部63Dと受圧移動部64Cの間の力の伝達状態は変わらない。具体的には、例えば、図18に示すように、外観デザインの変更後も中継部材63の伝達突部63Eが受圧移動部64Cと鉛直平坦面一面60Aとの間に挟まれ、中継部材63の伝達突部63Eで開閉部材64の受圧移動部64Cを押圧可能となる。
これに対し、外観デザインの変更の前後で中継部材63の配置変更が比較的大きい場合には、上記の要領で中継部材63及び中継回動支持突部61の配置を決定すると、中継部材63の旋回部63Dが開閉部材64の受圧移動部64Cと鉛直平坦面一面60Aとの間から外れ、中継部材63の伝達突部63Eで開閉部材64の受圧移動部64Cを押圧できなくなる。このように、外観デザインの変更の前後で旋回部63Dと受圧移動部64Cとの間での力の伝達状態が変わった場合には、旋回部63Dと受圧移動部64Cとのうち少なくとも一方の長さ・形状を変更するだけで、中継部材63の配置変更前の状態と力の伝達状態を同等にすることができる。具体的には、例えば、外観デザインの変更によって操作部材47Aが水平方向に大きく移動した場合には、CAD上で中継部材263と中継回動支持突部261を上下左右に平行移動及び/又は回転させて、図19のように操作部材47Aの直動軸L1,L21と中継部材263の回転軸L2,L22との相対角度及び相対位置を外観デザインの変更の前後で略同一にする。そして、中継部材263のうち開閉部材64側の上側角部から受圧移動部64Cに向けて押圧アーム263Gを延設し、その押圧アーム263Gの先端部を受圧移動部64Cと回動支持盤60の鉛直平坦面一面60Aとの間に配置する。これにより、外観デザインの変更後も押圧アーム263Gの先端部に突設された伝達突部263Eで開閉部材64の受圧移動部64Cを押圧可能となり、外観デザインの変更の前後で中継部材263と開閉部材64との間の力の伝達状態を同等にすることができる。
このように、本実施形態のパチンコ遊技機10によれば、前面カバー42Aのデザイン等の変更にあわせて操作部材47等の配置が変更されたとしても少なくとも本実施形態のパチンコ遊技機10の開閉機構48を利用すれば、前面カバー42Aの形状変更にあわせて中継部材63及び開閉部材62の配置変更・形状変更を容易に行うことができ、外観デザインの変更等に伴う設計の手間を低減することが可能となる。
また、鉛直平坦面一面60Aを備えた回動支持盤60を下皿扉基板46と別部品としたので、例えば、図18又は図19のよう鉛直平坦面一面60A内で中継部材63及び開閉部材64の設計を行ったら、回動支持盤60の図面のみを作成して製造すればよい。そして、新規に製造した回動支持盤60を旧機種の回動支持盤60に代えて下皿扉基板46に螺旋止めすればよい。これにより、部品図の作成が容易になると共に、新機種に下皿扉基板46を流用して金型費用を抑えることができる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、パチンコ遊技機10に本発明を適用していたが、遊技機であれば、弾球遊技機に限らずメダル等を使用するスロットマシンの貯留皿に備えてもよい。
(2)前記実施形態では、貯留槽43の下面が略水平となっていたが、貯留槽43の下面を左右方向に傾斜させてもよい。この場合には、鉛直アーム64Eに対する水平アーム64Fの角度を貯留槽43の下面の傾斜に応じて設定すれば、水平アーム64Fで排出口43Aを開閉可能となる。また、排出口43Aの配置が、例えば、貯留槽43の側部側等に変更になった場合には、水平アーム64Fの長さを変更したり、鉛直アーム64Eと水平アーム64Fの角度を変更する等して設計変更することが可能である。
(3)前記実施形態では、貯留槽43の排出口43Aが貯留槽43の底部に設けられていたが、排出口43Aを貯留槽43のうち開閉ユニット45側の側部に設けてもよい。この場合には、鉛直アーム64Eで排出口43Aを開閉し、水平アーム64Fを省略してもよい。
(4)前記実施形態では、開閉ユニット45で下皿27を構成する貯留槽43の排出口43Aを開閉していたが、開閉ユニット45で上皿26の排出口を開閉するようにしてもよい。また、開閉ユニット45で上皿26と下皿27とが一体になった貯留部の排出口を開閉するようにしてもよい。
(5)前記実施形態では、貯留槽43が下皿扉基板46に取り付けられていたが、貯留槽43を前面カバー42Aに取り付けた構成としてもよい。
(6)前記実施形態では、下皿扉基板46に貯留槽43と開閉ユニット45とを取り付けていたが、下皿扉基板46を左右方向に2分割して一方の下皿扉基板46に貯留槽43を取り付け、他方の下皿扉基板46に開閉ユニット45を取り付けた構成としてもよい。
(7)前記実施形態では、機械的操作によって直動シャフト55を直動させていたが、電気的操作によって直動シャフト55を直動させる構成としてもよい。具体的には、例えば、前面カバー42Aにタッチパネルを設け、このタッチパネルを操作するとモータが作動して直動シャフト55が直動する構成としてもよい。
(8)前記実施形態では、操作部材47AがOFF位置にあると開閉部材64が閉鎖位置にある一方、操作部材47AがON位置にあると開閉部材64が開放位置にあるが、これとは逆に、操作部材47AがOFF位置にあると開閉部材64が開放位置にある一方、操作部材47AがON位置にあると開閉部材64が閉鎖位置にあるようにしてもよい。
(9)前記実施形態では、開閉ユニット45に中継部材63を1つだけ設けたが、開閉ユニット45に複数の中継部材63を設け、これらの中継部材63が連動して操作部材47Aと開閉部材64との間で力を伝達するようにしてもよい。
(10)前記実施形態では、開閉部材64の受圧移動部64Cが中継部材63の伝達突部63Eに押されて開閉部材64が回動していたが、開閉部材64の受圧移動部64Cが中継部材63の伝達突部63Eに押されて開閉部材64が直動するようにしてもよい。具体的には、図20に示すように、開閉部材364の受圧移動部364Cが中継部材63の伝達突部63Eに押されると開閉部材364が前方に直動して下皿27の排出口43Aを開放又は閉鎖するようにしてもよい。なお、この場合には、開閉部材364を図示しない弾性部材により回動支持盤60側に付勢すればよい。
(11)前記実施形態では、別部品で構成された中継部材63と開閉部材64とが常に当接する構成であったが、例えば、常には、中継部材63と開閉部材64との間に間隔が開いており、操作部材47Aが押圧されると中継部材63の伝達突部63Eと開閉部材64の受圧移動部64Cとが当接し、開閉部材64が開閉するようにしてもよい。
(12)前記実施形態では、中継部材63の旋回部63Dの前方に開閉部材64の受圧移動部64Cが配置されていたが、開閉部材64の受圧移動部64Cの前方に中継部材63の旋回部63Dを配置してもよい。この場合には、操作部材47Aが押圧されると中継部材63の旋回部63Dが回動して開閉部材64の受圧移動部64Cを前方に引っ張り、これに伴い回動する開閉部材64が排出口43Aを開放又は閉鎖する構成にしてもよい。また、中継部材63の旋回部63Dと開閉部材64の受圧移動部64Cとの間を係合し、中継部材63で開閉部材64を引っ張るようにしてもよい。
(13)前記実施形態では、中継部材63の回動軸L2或いはその軸線の延長線と開閉部材64の回動軸L3(図17参照)或いはその軸線の延長線とが鉛直平坦面一面60Aと平行な1つの仮想平面上で交差する構成となっていたが、中継部材63の回動軸L2と開閉部材64の回動軸L3とが立体交差する構成としてもよい。即ち、鉛直平坦面一面60Aと平行かつ互いに異なる2つの仮想面があって、そのうちの一方の仮想面上に中継部材63の回動軸L2が配置され、他方の仮想面上に開閉部材の64の回動軸L3が配置された構成としてもよい。