JP4360226B2 - 電磁界測定システム及び電磁界測定プログラム - Google Patents

電磁界測定システム及び電磁界測定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、被測定装置から放射される妨害電磁波の最大放射方向が周波数別に速やかに、かつ高精度に特定されるようにした電磁界測定システム、更には、その電磁界測定システムの構成要素である制御・処理手段の機能を実現ならしめる電磁界測定プログラムに関する。
多くの電子機器において、CPU、バス及び外部メモリ等を駆動するためのクロック発振回路等から放射される妨害電磁波は、他の電子機器等の機能を妨害する不要輻射妨害電磁波(EMI:Electro-magnetic interference)の原因となり得ることから、米国連邦通信委員会(FCC)及び国際無線障害特別委員会(CISPR)等の公的機関によりEMI関連工業規格が策定され、その放射レベルが規制されている。
このため、一般に、米国FCCルール及びCISPR22規格等に規定された放射レベルの限界値(リミット)からマージンを差し引いた値をリミットマージンとして予め設定し、電子機器から放射される妨害電磁波が最大となる放射方向におけるQP値(Quasi-Peak:準尖頭値)検波モードによる測定値)がこのリミットマージンを満たすか否かを評価することによって、EMI関連工業規格適合評価を実施している。
以下、図23に示す電磁界測定フローについて説明する。これによる場合、まず、スペクトラムアナライザのMax Hold(最大値保持)機能を用いて、ターンテーブル上に載置されている被測定装置(以下、単にEUT(Equipment Under Test)と称す)を360度回転させるとともに、受信アンテナを、例えば100cm〜400cmに亘って垂直方向にスキャンすることにより、EUTからの妨害電磁波を連続的に受信アンテナで受信するようにして、スペクトラムデータの最大値(受信レベルの最大)が周波数別に取得される(ステップS231)。そして、この最大値に基づき、EUTからの妨害電磁波がリミットマージンを満たすか否かが判定される(ステップS232)。ステップS232での判定により、何れの最大値もリミットマージンを満たしていれば、測定は終了されるが、リミットマージンを満たさない周波数及びリミットマージンを満たすか否か疑わしい周波数である場合は、これら周波数それぞれを中心周波数として、任意幅の周波数範囲が設定されるとともに、駆動系が固定された状態で、スペクトラムアナライザを用い、受信レベルが最大となり得る周波数を手動により特定する(ステップS233)。
その後、その最大放射周波数は測定周波数としてEMIレシーバに転送設定され、駆動系が固定された状態で、EMIレシーバのQP検波モードでQP値が最大となるように、その最大放射周波数が微調整される。これに引続き、ターンテーブルを0度〜360度で回転させるとともに、受信アンテナを、例えば100cm〜400cmに亘って垂直方向にスキャンすることにより、微調整後の最大放射周波数において、受信レベルが最大となる放射方向が最大放射方向として手動により特定される(ステップS234)。最後のステップS235では、以上のようにして、特定された最大放射周波数及び最大放射方向において、手動測定によりEMIレシーバのQP検波モードを用いてQP値の最大値が取得された上、一連の測定は終了される。このようにして取得された最大値がリミットマージンを満たすか否かが判定されることで、電子機器に対するEMI関連工業規格適合評価が実施されていたものである。
因みに、特許文献1では、放射妨害波源の周辺の水平電界及び垂直電界を測定する一方、仮想波源位置での仮想波源電流を設定し、同仮想波源電流から仮想電界を算出するステップと、同仮想電界と上記水平電界及び垂直電界との偏差を最小とする仮想波源位置及び仮想波源電流に対する補正量をそれぞれ求めるステップとが、仮想波源位置に対する補正量が収束されるまで、繰返し行われることによって、任意方向を向いた放射妨害波源の波源位置等が推定されている。また、特許文献2では、ターンテーブル上に載置されている被測定装置からのEMI(不要輻射)の電界強度が、高さ位置が昇降可能とされているアンテナにより検出された上、スペクトラムアナライザで解析されるようにして、EMIの電界強度が自動的に測定されている。
特開2001―194399号公報 特開2001―324524号公報
しかしながら、以上のような電磁界測定が行われる場合には、リミットマージンを満たすか否か疑わしい周波数が特定された後、最大放射方向を特定するための測定が周波数別に行われる必要があるが、この測定には多くの無駄な時間を費やしているのが実情である。これは、最大放射方向を特定するには、全ての放射方向からターンテーブルの回転位置と受信アンテナの昇降位置を微調しながら、測定を行う必要があるからである。
その測定時間例として、例えば
・リミットマージンを満たすか否か疑わしい周波数の数:15
・1周波数における最大放射方向の特定に要される時間:10分
とすれば、最大放射方向の特定に要される時間は150分(=15×10分)となる。
また、後述する連続サーチ手法を用いて、間欠性レベル変動スペクトラムデータ(正負のパルス性スペクトラムデータであり、後述するインパルス性ノイズよりレベル変動が小さい。定義については後述)が取得された場合には、スペクトラムの取得タイミング如何により最大放射方向が変動するため、最大放射方向が正確に特定されることがない。このため、最大放射方向を正確に特定するには、後述するステップサーチ手法が用いられなければならないが、このステップサーチ手法も完全なものではなく、全体として、測定に多くの時間が必要であった。
例えば、
・ターンテーブルを15度ステップで回転
・受信アンテナを5cmステップで上昇
・駆動系停止時での観測時間:15秒
に設定したとすれば、
・ターンテーブルを一回転させるのに必要なステップ数:24ステップ
・受信アンテナを100cm〜400cmの間で昇降させるのに必要なステップ数:61ステップ
となり、ステップサーチ手法による間欠性レベル変動スペクトラムデータの最大放射方向の特定に要される1周波数当りの測定時間は、366分(=24ステップ×61ステップ×15秒=21960秒)となる。
以上のように、間欠性レベル変動スペクトラムデータの最大放射方向を特定するには、スペクトラムデータの変動タイミングに合せた測定機器及び観測時間の設定が必要となる。故に、測定スキル(測定技術、測定経験)の不十分な測定者(例えば商品設計者)による測定では、リミットマージン判定を正しく行えない場合が多い。そのため、長期間に亘ってトレーニングを積んだ、測定スキルを持つ測定熟練者が必要となる。
本発明の目的は、間欠性レベル変動スペクトラムデータであっても、その最大放射方向が周波数別に速やかに、かつ高精度に特定され得る電磁界測定システムを提供することにある。
更に、本発明の目的は、EUTから放射される妨害電磁波の最大放射方向が周波数別に速やかに、かつ高精度に特定され得る電磁界測定システムの構成要素である制御・処理手段の機能を実現させ得る電磁界測定プログラムを提供することにある。
本発明による電磁界測定システムは、EUTを水平面内で回転可能とする回転駆動手段と、上記EUTからの妨害電磁波を検出する検出手段と、この検出手段を垂直方向に駆動する昇降駆動手段と、その検出手段の検出信号より各周波数の電界強度を測定する第1の電界強度測定手段と、検出信号を準尖頭値検波方式により電界強度を測定する第2の電界強度測定手段と、上記第1の電界強度測定手段により取得される周波数別の複数のスペクトラムデータと、上記の回転位置データ及び上記検出手段の昇降位置データとを関連付けて取得する取得する放射パターン解析データ取得手段と、この放射パターン解析データ取得手段により取得される放射パターン解析用データから各周波数における受信レベルの最大値を算出、該最大値のリミットマージンとの比較判定、該リミットマージンを満たさない周波数の自動特定、周波数別の推定最大放射方向の自動抽出、周波数別の最大放射方向微調範囲の自動抽出を行い、上記第1、または第2の電界強度測定手段を用いた周波数別の最大放射方向微調範囲内からの最大放射方向の自動特定を、少なくとも、順次、行う制御・処理手段を含む。さらに、上記制御・処理手段では、上記放射パターン解析データ取得手段により取得された放射パターン解析用データを処理することによって、インパルス性ノイズを含む放射パターン、または同一受信レベルのスペクトラムデータ及びインパルス性ノイズとそれらに関連付けられた回転位置データ及び昇降位置データが除去済みの有効放射パターン解析用データに対する移動平均処理による放射パターンがそれぞれ周波数別に作成された上、該放射パターンが2次元、または3次元の画像として表示手段で可視表示されることを特徴とする。
本発明の電磁界測定システムによれば、特に最大放射方向の特定に際しては、推定最大放射方向を基準として、自動抽出された最大放射方向微調範囲内でのみ、回転駆動手段の回転位置及び検出手段の昇降位置が、放射パターン解析用データが取得される場合に比し、より小さく回転位置データまたは昇降位置データが更新される詳細サーチにより取得される詳細放射パターンデータから自動特定されるようにしたことから、最大放射方向が速やかに、かつ高精度に特定され得ることになる。
間欠性レベル変動スペクトラムデータであっても、その最大放射方向が周波数別に速やかに、かつ高精度に特定され得る。
また、被測定装置から放射される妨害電磁波の最大放射方向を周波数別に速やかに、かつ高精度に特定され得る電磁界測定システムの構成要素である制御・処理手段での制御・処理手順をプログラムとして実現させ得る。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
まず、本発明による電磁界測定システムにおける測定概念について、図2(A),(B)に基づいて説明する。
図2(A)に示すように、測定環境として電波暗室(床全体には金属板(リファレンスグランドプレーンと称す)21が敷き詰められている)が想定されており、その暗室内部において、EUT22は周辺機器23,24とともに、適当な介在物を介しターンテーブル(回転駆動系の一部を構成)25上に360度回転可能として載置される。また、そのターンテーブル25から一定距離、離れた位置には、昇降可能とされているアンテナマスト(昇降駆動系の一部を構成)26が立設された上、このアンテナマスト26に受信アンテナ27(検出手段)が固定的に取付けされている。
図2(A)において、ターンテーブル25は、電波暗室外部に設置されている、不図示の第1のモータ(回転駆動系の殆どを構成)により回転駆動されており、このモータがターンテーブル制御回路を介し、コンピュータ等(例えばパーソナルコンピュータ)(制御・処理手段)により回転駆動制御される。そして、ターンテーブルの回転位置や回転速度はそのコンピュータ等により制御され、その回転位置が直接間接に検出されて、コンピュータ等上に取込み可能とされる。また、アンテナマスト26も電波暗室外部に設置されている、不図示の第2のモータ(昇降駆動系の殆どを構成)により昇降駆動され、そのモータがアンテナ制御回路を介しコンピュータ等により回転駆動制御される。したがって、受信アンテナ27の昇降位置や昇降速度/方向もそのコンピュータ等により制御されるとともに、その昇降位置は直接間接に検出されて、コンピュータ等上に取込み可能とされる。
次に、本発明の電磁界測定システムのブロック構成を図2(B)に基づいて説明する。図2(B)では、ターンテーブル回転駆動用モータやアンテナマスト昇降駆動用モータ、受信アンテナ27等は図示省略されており、コンピュータ等28を中心とした機能ブロック図として構成されている。このコンピュータ等28の周囲には、ターンテーブル制御回路30やアンテナ制御回路31、受信アンテナ27の検出信号より各周波数の電界強度を測定するスペクトラムアナライザ32(第1の電界強度測定手段)、このスペクトラムアナライザ32のClear/Write機能を用いてスイープ毎に取得される周波数別のスペクトラムデータと、EUT22の回転位置データ及び受信アンテナ27の昇降位置データとを関連付けて、放射パターン解析用データとして保管する記憶装置33(放射パターン解析データ取得手段)、コンピュータ等28からの処理結果としての放射パターンを2次元、または3次元の画像として可視表示する表示装置29(表示手段)が配置されている。因みに、受信アンテナ27で検出された妨害電磁波は、コンピュータ等28の制御下におかれているRFスイッチ35を介し、スペクトラムアナライザ32、EMIレシーバ34(第2の電界強度測定手段)の何れかに選択的に出力されているが、EMIレシーバ34では、その検波モードとしてQP検波モードが用いられている。
ここで、上述した電磁界測定システムについて補足説明すると、この測定システムは、電波暗室における一般的な自動測定システム(GPIB(General Purpose Interface Bus:汎用計測インタフェースバス)通信等を利用して、コンピュータ等から機器をコントロールするシステム)をベースとして構成される。また、システム構成に使用される機器は、駆動系及び測定系ともに、GPIB等を介してコンピュータ等と通信が行われるが、その通信時間は短いのが望ましい。更に、駆動系から出力される位置データとしては、シーケンサ等によりBCD(Binary Coded Decimal)出力として、直接コンピュータ等に取り込まれるようにしてもよい。
一方、本発明では、放射パターン解析用データ取得等を目的として、スペクトラムデータ及び駆動系の位置データを取得する必要があり、スペクトラムアナライザのスイープ毎のスペクトラムデータを取得する際には、そのスペクトラムデータと関連付けされた駆動系の位置データが併せて取得される。その際、スペクトラムアナライザはClear/Write機能を活用し、スペクトラムデータは常に更新可能な状態におかれる。また、測定中、スペクトラムデータと、このスペクトラムデータに関連付けされている駆動系の位置データは、コンピュータ等のメモリ上で一時的に管理されているが、一連の測定終了後には、コンピュータ等に取り込まれた上、ハードディスク等の記憶装置に放射パターン解析用データとして保管される。その際、駆動系の位置データは、位置補正が行われた後のものとして保存される。この位置補正については、後述するところである。
以上のように、スペクトラムアナライザ32のClear/Write機能を用いたスイープ毎のスペクトラムデータと、EUT22の回転位置データ及び受信アンテナ27の昇降位置データは関連付けされて、コンピュータ等28を介し、順次、放射パターン解析用データとして記憶装置33で保管される。なお、放射パターン解析用データは、コンピュータ等28による制御下で、如何なる測定手法を用いて取得しても構わないものとする。例えば、以下に説明する連続サーチ手法、またはステップサーチ手法により取得される。
次に、本発明の連続サーチ手法について、図3に示す処理フロー図に基づいて簡単に説明する。因みに、以下の連続サーチ手法やステップサーチ手法の処理フローの具体的説明に先立って、それらフロー中に出現している指定回転位置範囲や指定昇降位置範囲について説明しておけば、これらは、スペクトラムアナライザを用いた放射パターン解析用データ取得時には、例えば、その回転位置は0度〜360度、その昇降位置は100cm〜400cmの範囲として設定される。ここで、スペクトラムアナライザ、またはEMIレシーバを用いた詳細放射パターン取得時の指定回転位置範囲及び指定昇降位置範囲は、後述の最大放射方向微調範囲が抽出された際での角度データ(以下、最大放射方向微調角度と称す)及び高さデータ(以下、最大放射方向微調高さと称す)であり、換言すれば、ターンテーブルの極く狭い回転角度範囲及び受信アンテナの極く狭い昇降高さ範囲として設定される。
さて、処理フローについて説明すれば、図示のように、ターンテーブルは定速回転されつつ、受信アンテナはステップ昇降されるようにして、放射パターン解析用データ、または詳細放射パターン解析データが取得される。
すなわち、まず受信アンテナ及びターンテーブルはサーチ開始位置に移動された後(ステップS31)、受信アンテナの昇降位置が取得される(ステップS32)。続いて、スイープ毎のスペクトラムデータ、または更新毎のQP値と関連付けられたターンテーブルの回転位置の取得が開始される(ステップS33)。その取得に際して、ターンテーブルは定速回転状態で指定回転位置範囲で回転する状態におかれる(ステップS34)が、そのような回転状態において、指定回転位置範囲を全てサーチしたか否かが判断される(ステップS35)。そして、その全てのサーチが終わった場合には、スイープ毎のスペクトラムデータ、または更新毎のQP値と関連付けられたターンテーブルの回転位置の取得は一旦、終了される(ステップS36)。
次に、指定昇降位置範囲が全てサーチされたか否か、すなわち、受信アンテナの昇降位置が更新可能か否かが判断される(ステップS37)。このステップS37で、全てサーチされて受信アンテナの昇降位置が更新不可であると判断された場合は、一連の連続サーチ処理は全て終了される。しかし、判断ステップS37で全てのサーチが終了していない場合、つまり、受信アンテナの昇降位置が更新可能である場合は、受信アンテナの昇降位置をAcm(A:任意に設定)更新した後(ステップS38)、その受信アンテナの昇降位置データを取得して(ステップS32)、再びスイープ毎のスペクトラムデータ、または更新毎のQP値とターンテーブルの回転位置データの取得が開始される(ステップS33)。受信アンテナの昇降位置が更新不可となるまで、以上の処理が繰返されるものである。
ところで、上述した連続サーチ手法では、ターンテーブルを定速回転しつつ、受信アンテナをステップ昇降して、放射パターン解析用データ、または詳細放射パターン解析データを取得しているが、受信アンテナを定速昇降させつつ、ターンテーブルをステップ回転するようにしても、同様に放射パターン解析用データ、または詳細放射パターン解析データを取得することができる。この場合の処理フローを図4に示す。
図4に示すように、まず受信アンテナ及びターンテーブルをサーチ開始位置に移動した後(ステップS41)、ターンテーブルの回転位置データを取得する(ステップS42)。そして、スイープ毎のスペクトラムデータ、または更新毎のQP値と関連付けられた受信アンテナの昇降位置データの取得を開始する(ステップS43)。これらデータ取得に際しては、受信アンテナは定速昇降状態で指定昇降位置範囲で昇降する状態におかれるが、そのような昇降状態にある間に、スイープ毎のスペクトラムデータ、または更新毎のQP値と関連付けられた受信アンテナの昇降位置データとが連続的に取得される(ステップS44)。
次に、指定昇降位置範囲を全てサーチしたか否かが判断される(ステップS45)。このステップS45で全てサーチされていないと判断された場合は、ステップS44に戻り、受信アンテナは引続き昇降状態におかれる。しかし、受信アンテナが指定昇降位置範囲を昇降すれば、データ取得は一旦、終了され(ステップS46)、続いて、指定回転位置範囲が全てサーチされたか否か、すなわち、ターンテーブル回転位置が更新可能か否かが判断される(ステップS47)。このステップS47での判断の結果、指定回転位置範囲が全てサーチされ、ターンテーブルの回転位置の更新が不可と判断された場合は、一連の連続サーチ処理は全て終了される。しかし、ステップS47で指定回転位置範囲の全サーチが終了されていないと判断された場合、つまり、ターンテーブルの回転位置が更新可能である場合は、ターンテーブルの回転位置がA度(A:任意に設定)更新されて(ステップS48)、そのターンテーブルの回転位置データが取得された後(ステップS42)、ステップS43で再びスイープ毎のスペクトラムデータ、または更新毎のQP値と受信アンテナの昇降位置データの取得が開始される。ターンテーブルの回転位置が更新不可となるまで、以上の処理が繰返されているものである。
以上、放射パターン解析用データ、または詳細放射パターン解析データ取得における2通りの連続サーチ手法について説明したが、連続サーチ手法としては、他にも考えられる。例えば、放射パターン解析用データ取得の高速化上、受信アンテナが、高さが100cm〜400cmの範囲内で連続的に定速昇降される間、ターンテーブルが0度〜360度の範囲内で連続的に定速回転状態におかれた状態で、放射パターン解析用データが連続的に検出される連続サーチ手法が望ましいといえる。この連続サーチ手法(以下、これを、便宜上、スパイラル連続サーチ手法と称す)による場合は、受信アンテナ、ターンテーブルは、それぞれ定速昇降状態、定速回転状態におかれることから、スパイラル状軌跡上でスペクトラムデータがスイープ毎、またはQP値が更新毎に取得されることになる。
次に、ステップサーチ手法について、図5に示す処理フローに基づいて簡単に説明する。図示のように、受信アンテナの昇降位置がステップ更新される度に、ターンテーブルの位置は順次、更新されつつ、それら更新位置それぞれでスペクトラムデータ、またはQP値が指定時間内に複数回に亘って取得されている。
まず、受信アンテナ及びターンテーブルはサーチ開始位置に移動された後(ステップS51)、指定時間内に複数回に亘ってスペクトラムデータ、またはQP値が取得される(ステップS52)。続いて、駆動系の位置データ、すなわち、受信アンテナの昇降位置データ及びターンテーブルの回転位置データが取得される(ステップS53)。その後、指定回転位置範囲が全てサーチされたか否かが判断される(ステップS54)。判断ステップS54で、指定回転位置範囲が全てサーチされていない場合には、ターンテーブルの回転位置がA度(A:任意に設定)更新された後(ステップS55)、指定時間内に複数回に亘ってスペクトラムデータ、またはQP値が取得された上(ステップS52)、受信アンテナの昇降位置データ及びターンテーブルの回転位置データが関連付けされて取得される(ステップS53)。
また、判断ステップS54で、指定回転位置範囲全てがサーチされたと判断された場合には、続いて、指定昇降位置範囲が全てサーチされたか否かが判断される(ステップS56)。判断ステップS56で、指定昇降位置範囲が全てサーチされていれば、一連のステップサーチ処理は全て終了される。しかし、判断ステップS56で、指定昇降位置範囲が全てサーチされていないと判断された場合は、つまり、受信アンテナの昇降位置が更新可能であると判断された場合は、その受信アンテナの昇降位置はBcm(B:任意に設定)更新された後(ステップS57)、ステップS52に戻される。以降、指定昇降位置範囲が全てサーチされるまで、以上の動作、すなわち、指定時間内に複数回に亘ってスペクトラムデータ、またはQP値、受信アンテナの昇降位置データ及びターンテーブルの回転位置データの取得が繰返される。
以上に説明したステップサーチ手法では、受信アンテナの昇降位置をステップ更新する度に、ターンテーブルの回転位置を順次更新し、それら更新位置それぞれで指定時間内に複数回に亘ってスペクトラムデータ、またはQP値を取得するようにしているが、逆に、ターンテーブルの回転位置をステップ更新する度に、受信アンテナの昇降位置を順次更新し、それら更新位置それぞれで指定時間内に複数回に亘ってスペクトラムデータ、またはQP値を取得するようにしてもよい。この場合の処理フローを図6に示す。
図6に示すように、まず、受信アンテナ及びターンテーブルをサーチ開始位置に移動した後(ステップS61)、指定時間内に複数回に亘ってスペクトラムデータ、またはQP値を取得する(ステップS62)。続いて、駆動系の位置データとしての、受信アンテナの昇降位置データ及びターンテーブルの回転位置データを取得する(ステップS63)。その後、指定昇降位置範囲が全てサーチされたか否かが判断される(ステップS64)。ステップS64で、指定昇降位置範囲が全てサーチされていない場合には、受信アンテナの昇降位置をAcm(A:任意に設定)更新した後(ステップS65)、ステップS62に戻る。以降、同様にして、指定時間内に複数回に亘ってのスペクトラムデータ、またはQP値の取得と、受信アンテナの昇降位置データ及びターンテーブルの回転位置データの取得とを繰り返す。
また、判断ステップS64で、指定昇降位置範囲が全てサーチされたと判断された場合には、続いて、指定回転位置範囲が全てサーチされたか否かが判断される(ステップS66)。ステップS66で、指定回転位置範囲が全てサーチされていれば、一連のステップサーチ処理は終了する。しかし、ステップS66で、指定回転位置範囲が全てサーチされていない場合、つまり、ターンテーブルの回転位置が更新可能である場合は、その回転位置がB度(B:任意に設定)更新された後(ステップS67)ステップS62に戻り、以降、同様にして、指定時間内に複数回に亘ってのスペクトラムデータ、またはQP値の取得と、受信アンテナの昇降位置データ及びターンテーブルの回転位置データの取得とを繰り返す。
以上の説明からも判るように、ステップサーチ手法では、受信アンテナ及びターンテーブルがともに停止されている状態で、スペクトラムデータ、またはQP値が複数回に亘って取得され、また、それらスペクトラムデータ、またはQP値に対する駆動系の位置データが確実に取得されることになる。しかしながら、連続サーチ手法では、ターンテーブルの定速回転状態、または受信アンテナの定速昇降状態でスペクトラムデータ、またはQP値と関連付けられた駆動系の位置データが取得される必要があるため、スペクトラムデータ、またはQP値取得開始までの待ち時間が必要となる。
連続サーチ手法では、コンピュータ等と測定機器との通信処理(データロード)はシリアル形式で行われるため、ステップサーチ手法とは異なり、スペクトラムデータ、またはQP値と、これに関連付けされる駆動系の位置データとが同一タイミングで取得されないため、取得された駆動系の位置データに対しては、位置補正を行う必要がある。これは、例えばスペクトラムデータ、駆動系の位置データの順でデータ取得が行われる場合を想定すれば、スペクトラムデータの取得タイミング時点から、駆動系の位置データの取得タイミングがある時間(スペクトラムデータのコンピュータ等へのロードに要される時間+位置データ取得命令の駆動系へのロードに要される時間)分、遅れることになり、しかもその間、駆動系は定速回転状態、または定速昇降状態にあることから、スペクトラムデータの取得タイミング時点での位置データとなるように、ロードされた駆動系の位置データをコンピュータ等により補正する必要があるからである。このような事情は、上記順とは逆の順序でデータ取得が行われる場合にも同様であり、スパイラル連続サーチ手法によりスペクトラムデータが取得される際には、双方の駆動系の位置データがともに補正されることになる。
以上のように、GPIB等を介した機器とコンピュータ等の間におけるデータロード時間が考慮された駆動系の位置データ補正機能が設けられる必要があり、また、スパイラル連続サーチ手法でのデータロード順序では、データロード時間のバラツキによる位置データ誤差が最小となるような順序でデータロードが行われる必要がある。以下、駆動系の位置データ補正機能について説明すれば、図7,図8それぞれに示されているスペクトラムデータロード時を基準として、駆動系の位置データの補正値(A[度],H[cm])を算出し、この補正値を、ロードされた駆動系の位置データに加減算することによって、位置データの補正が行われる。補正後の駆動系の位置データは、スペクトラムデータロード時での駆動系の位置データとして得られるものである。
具体的に、例えば、図8に示すロードフローの場合には、ロードされたターンテーブルの回転位置データとしての角度データにはA[度]が加算される一方、ロードされた受信アンテナの昇降位置データからはH[cm]が減算されることによって(受信アンテナが降下状態にある場合)、スペクトラムデータロード時での受信アンテナの昇降位置データが得られる。ここで、補正値(A[度],H[cm])が如何程のものとして具体的に算出されるかについて説明すれば、ターンテーブルの回転速度をX[rpm]、受信アンテナの昇降速度をY[cm/s]、GPIB等を介したデータロードの所要時間をそれぞれT1、T2[ms]とすれば、以下の式により算出される。
・補正値A[度]:[{(360[度]×X)/60[s]}/1000[ms]]×T1
=(3X×T1)/500
・補正値H[cm]:(Y×T2)/1000
また、データロードの所要時間にはバラツキがあり、駆動系の位置データ補正値に誤差が生じるが、このバラツキによる位置データ補正値の誤差を最小とすべく、例えば、スパイラル連続サーチ手法におけるデータロード順序は、図7,図8に示すように、一方の駆動系の位置データ、スペクトラムデータ、他方の駆動系の位置データの順序とされる。因みに、図7〜図9それぞれにおけるデータロードの所要時間のバラツキによるターンテーブルの回転位置データの誤差を試算してみれば、以下のようになる。
すなわち、所要時間のバラツキがt1=t2=10ms、ターンテーブルの回転速度:10[rpm](=60度/s)であると仮定した場合、
・図7の場合での位置データ誤差:6度(=10rpm×t1)
・図8の場合での位置データ誤差:6度(=10rpm×t1)
・図9の場合での位置データ誤差:12度(=10rpm×(t1+t2))
となる。よって、スパイラル連続サーチ手法による場合、図7や図8に示すようなデータロード順序が最適である。因みに、スパイラル連続サーチ手法以外の連続サーチ手法によりスペクトラムデータが取得される際には、何れか一方の駆動系はステップ更新されていることから、連続的に更新されている、他方の駆動系の位置データのみがスペクトラムデータと併せて取得されているが、双方の駆動系の位置データが併せて取得されるようにしてもよいことは明らかである。何れにしても、スペクトラムデータの取得に際し、連続的に更新されている駆動系の位置データが併せて取得されるに際しては、その位置データは補正される必要があるものである。
以上の補正値(A[度],H[cm])は、駆動系の速度が一定であることが前提として算出されていることから、駆動系は定速回転/定速昇降していることが必要である。換言すれば、補正対象としての駆動系が定速回転/定速昇降状態となるまでは、データ取得が行われない。例えば、ターンテーブルの回転位置データの補正が行われる場合、ターンテーブルが回転を開始してから、定速回転状態となるまでの時間は、データ取得開始までの待ち時間として設定される。
以上のようにして、連続サーチ手法やステップサーチ手法によりスペクトラムデータ、またはQP値と、関連付けされた駆動系の位置データ(補正済み)とが記憶装置で保管されるが、これらデータをコンピュータ等28上で処理することによって、測定周波数帯域の全てにおける周波数別の放射パターンが作成され、表示装置29上で可視化表示される。ある周波数についての、インパルス性ノイズ(静電気によるパルス状ノイズを含む正負のパルス性スペクトラムデータである。定義については、後述)を含む放射パターンの例を図10に、また、ある周波数についての、有効放射パターン解析用データ(これについても、後述)抽出前の放射パターン例の3次元画像、2次元画像をそれぞれ図11(A),(B)として示す。このように、妨害電磁波の放射パターンが周波数別に可視化表示される場合は、放射パターン全体が容易に把握される上で極めて有用となる。
一般に、最大放射方向の特定にはEMIレシーバが用いられる。これは、EMIレシーバの基本特性である充電/放電時定数(国際規格CISPR16−1に規定)により、受信レベルに重み付けがされ、定常的に観測される受信レベルの最大値が特定され得るからである。本発明では、定常的に観測される受信レベルを放射パターン解析用データからインパルス性ノイズを除去し、平均処理を施した平均化放射パターンより推定最大放射方向を抽出する。
さて、最大放射方向の推定に際しては、平均処理に影響を及ぼす、スペクトラムデータと関連付けされた駆動系の位置データが除去されることによって、有効なスペクトラムデータと関連付けされた駆動系の位置データが抽出され、最大放射方向の推定に使用されるが、ここにいう除去されるべきデータとしては、連続する同一受信レベルのスペクトラムデータと、インパルス性ノイズとが挙げられる。まずは、同一受信レベルのスペクトラムデータが優先的に除去される。これについて説明すれば、スペクトラムアナライザの性能上、同一レベルのスペクトラムデータが連続して取得される場合があるが、これは、インパルス性ノイズを除去する上で不都合である。よって、同一レベルのスペクトラムデータが連続して取得された場合には、周波数別に、図12に示す除去フローに従って、2個目以降のスペクトラムデータと関連付けられた駆動系の位置データは除去される。因みに、同一レベルのスペクトラムデータが連続して取得されるのは、スペクトラムアナライザでのスペクトラムデータ更新タイミングとコンピュータ等からスペクトラムアナライザへのアクセスタイミングとが同期していなく、スペクトラムデータが更新されていない状態で、アクセスされてしまうからである。
ここで、同一レベルのスペクトラムデータと駆動系の位置データの除去について、図12に示す除去フローに基づいて説明する。
まずIをスイープ毎のスペクトラム取得回数として定義し(ステップS121)、また、m,nそれぞれの初期値を、m=1、n=m+1として定義する(ステップS122、S123)。続いて、スペクトラムデータLn,Lmが同一か否かが判断される(ステップS124)。次に、判断ステップS124で、スペクトラムデータLn,Lmが同一であると判断された場合は、スペクトラムデータLnを除去し(ステップS127)、これに対応する駆動系の位置データも除去した後(ステップS128)、nの値を+1更新する(ステップS129)。その後、n−1≦Iであるか否かが判断される(ステップS130)。判断ステップS130において、n−1≦Iではないと判断された場合は、同一レベルの一連のデータ除去処理は終了されるが、判断ステップS130において、n−1≦Iであると判断された場合は、再度、スペクトラムデータLn,Lmが同一か否かを判断するステップS124に戻される。
一方、判断ステップS124において、スペクトラムデータLn,Lmが同一ではないと判断された場合には、n+1≦Iであるか否かが判断される(ステップS125)。この判断ステップS125において、n+1≦Iでないと判断された場合は、同一レベルの一連のデータ除去処理は終了されるが、判断ステップS125において、n+1≦Iであると判断された場合は、mの値をm=nに更新して(ステップS126)、ステップS123に戻る。図13は、図12に示す除去フローによる除去結果の例を示したものである。因みに、図13中、T1〜T4は連続した時間とされ、受信アンテナの昇降位置データが除去されるに際しては、対としてのターンテーブルの回転位置データも併せて除去される。
次に、インパルス性ノイズおよび間欠性レベル変動スペクトラムデータについて図14、図22に基づいて説明する。
このインパルス性ノイズは最大放射方向を特定する際に妨げとなることから、周波数別に、しかも、何等かのサーチ手法により取得されたスペクトラムデータに対しては、インパルス性ノイズと関連付けされた駆動系の位置データを除去することによって、有効放射パターン解析用データを抽出するようにしている。図14は、ある周波数でのインパルス性ノイズを含むスペクトラムデータの例を示したものであり、図22は、ある周波数での間欠性スペクトラムデータの例を示したものである。図示のように、スペクトラムデータの取得上、時間的に隣接する2つのスペクトラムデータに比し、そのレベルが大きいスペクトラムデータ141,142が出現している。このように、時間的に一回以上、繰返し発生するものが、レベル変動スペクトラムデータとして定義されている。そして、本発明におけるインパルス性ノイズ及び間欠性レベル変動スペクトラムデータは、以下のように定義される。
すなわち、連続してスペクトラムデータL1、L2、L3が取得されている場合において、ΔLをインパルス性ノイズを抽出するためのしきい値(任意に設定)として、(L1+ΔL)≦L2 かつ(L3+ΔL)≦L2が成立するか、または(L1-ΔL)≧L2 かつ (L3-ΔL)≧L2が成立する場合には、スペクトラムデータL2はレベル変動スペクトラムデータとして定義されており、このレベル変動スペクトラムデータのうち、時間的に1回以上、繰返し発生するものがインパルス性ノイズとして定義される。したがって、時間的に隣接する2つのスペクトラムデータに比し、そのレベルが相当大きいか、または相当小さく、しかも、そのレベルが時間的に変動しているものがインパルス性ノイズであるといえる。また、インパルス性ノイズか否かを判断する式を満たさないが、図22に示すように、レベルが大きく時間的に変動しているスペクトラムデータ221,222を間欠性レベル変動スペクトラムデータと定義する。因みに、インパルス性ノイズの除去前、すなわち、有効放射パターン解析用データの抽出前のハイト(height)パターンの例を図15に示す。図示のように、インパルス性ノイズが取得されたタイミングで、インパルス性ノイズ151が出現していることが判る。
図16は、インパルス性ノイズを除去するためのフローを示したものである。図16において、まず、mがスイープ毎のスペクトラム取得回数として定義され(ステップS161)、続いてn=1として初期化される(ステップS162)。次に、スペクトラムデータLn+1がインパルス性ノイズに該当するか否かが判定されるのであるが、まず、(L+ΔL)≦Ln+1 かつ(Ln+2+ΔL)≦Ln+1が成立するか否かが判断される(ステップS163)。判断ステップS163で、上記式が成立しないと判断された場合には、続いて、(L-ΔL)≧Ln+1 かつ (Ln+2-ΔL)≧Ln+1が成立するか否かが判断される(ステップS168)。そして、判断ステップS168で、上記式が成立しない場合には、nを+1更新して、n≦m−2であるか否かが判断される(ステップ167)。
一方、判断ステップS163で条件式を満足していると判断された場合、または、判断ステップS168において、条件式を満足していると判断された場合には、スペクトラムデータLn+1を除去するとともに(ステップS164)、そのスペクトラムデータLn+1に対応する駆動系の位置データを除去した後(ステップS165)、nを+2更新する(ステップS166)。その後、n≦m−2であるか否かが判断される(ステップS167)。この判断ステップS167において、n≦m−2ではないと判断された場合は、一連の処理は終了されるが、n≦m−2であると判断された場合は、ステップS163に戻り、除去処理が続行される。
以上での除去処理により、同一受信レベルのスペクトラムデータとインパルス性ノイズが除去された上、有効放射パターン解析用データが抽出される。このようにして抽出された有効放射パターン解析用データからは、時間的に連続して取得された2個以上(任意個数)のスペクトラムデータが移動平均処理されることによって、図17(A),(B)に示すように、定常的に観測される平均化放射パターンが3次元画像、2次元画像として作成・表示可能となる。図17(A),(B)と図11(A),(B)を対比すれば、図17(A),(B)では、インパルス性ノイズによる影響が出現していないことが判る。なお、インパルス性ノイズを含む放射パターンか、または平均化放射パターンを可視表示させるかは、測定オペレータ(測定者)により任意に選択可能とされる。因みに、有効放射パターン解析用データ抽出後のハイトパターンの例を図18に、また、そのハイトパターンにおける、連続する7個の有効放射パターン解析用データの移動平均処理結果としての平均化ハイトパターンを図19に示す。
放射パターン解析用データはスペクトラムアナライザのClear/Write機能を用い、スイープ毎に取得されたスペクトラムデータと、関連付けられた駆動系の位置データとを取得するため、既述の連続サーチ手法によりスペクトラムデータが取得される場合でも、駆動系の位置データは不連続なものとして取得されることになる。
例えば、
・スペクトラムアナライザのスイープ時間:100ms
・受信アンテナの昇降速度:10cm/s
・ターンテーブルの回転速度:10rpm(60度/s)
と仮定すると、駆動系の位置データは、以下の間隔で取得されることになる。
受信アンテナ:1cm(=(10cm/s)×100ms)
ターンテーブル:6度(=(10rpm)×100ms)
故に、不連続に取得された放射パターンデータを補完し、受信レベルが最大となる放射方向を特定する必要がある。
以下、図20に示す最大放射方向の特定フローに基づいて、その特定方法について詳細に説明する。まず、既述のように、同一受信レベルのスペクトラムデータ及びインパルス性ノイズの除去が行われることによって、有効放射パターン解析用データが抽出される(ステップS211,S212)。次に、このようにして抽出された有効放射パターン解析用データからは、時間的に連続して取得された2個以上(任意個数)のスペクトラムデータが移動平均処理されることによって、平均化放射パターンが作成される(ステップS213)。引き続き、最大放射方向となり得る放射方向が、周波数別の平均化放射パターンから受信レベルの高い順に推定最大放射方向として1個以上、抽出される(ステップS214)。その後、抽出順に、推定最大放射方向それぞれに対しては、図21に示すように、その推定最大放射方向を基準とする、局所的な最大放射方向微調範囲が自動抽出される(ステップS215)。その際での微調範囲の大きさとしては、例えば、以下のように設定で抽出される。
・GUI(Graphical User Interface)を利用した、手動入力による範囲
・任意に設定された範囲(偏波別(水平・垂直)に設定)
・受信アンテナの指向性を考慮した範囲(偏波別に設定)
・推定最大放射方向におけるレベルとの差がΔL以内(任意であるが、通常1dB)となる範囲
・周波数(波長)別に設けられた範囲(偏波別に設定)
以上のようにして、最大放射方向微調範囲が設定された後は、間欠性レベル変動スペクトラムデータであるか否かが判断される(ステップS216)。この判断結果として、非間欠性レベル変動スペクトラムデータであれば、以上の如くにして設定された最大放射方向微調範囲内に連続サーチ手法が適用された上、最大放射方向が特定される(ステップS217)。また、間欠性レベル変動スペクトラムデータであれば、設定された最大放射方向微調範囲内にステップサーチ手法が適用された上、最大放射方向が特定される(ステップS218)。このように、設定された最大放射方向微調範囲内のみで詳細サーチが行われることで、最大受信レベルが得られる際での駆動系位置データに基づき、速やかに、かつ高精度に最大放射方向が特定可能となる。
以上のように、局所的な最大放射方向微調範囲内からのみ、スペクトラムデータ、またはQP値が再取得されているが、その際、詳細サーチにより最大放射方向の特定精度を高めるべく、連続サーチ手法での駆動系の移動速度は、通常時に比し相当小さく、例えば、以下のように、設定される必要がある。
・受信アンテナ:1cm/s以下
・ターンテーブル:2rpm以下
一方、同様な理由により、ステップサーチ手法でのステップ間隔は、例えば、以下のように設定される。
・受信アンテナ:1cmステップ以下
・ターンテーブル:1度ステップ以下
さて、ここで、図1に基づき、本発明に係る電磁界測定方法、あるいは電磁界測定システム上の、制御・処理手段としてのコンピュータ等28上で実行される制御・処理手順を実行させるための電磁界測定プログラムについて説明すれば、以下のようである。
すなわち、図1には、そのフローが示されているが、これによる場合、まず、指定回転位置範囲が0度〜360度として、また、指定昇降位置範囲が、例えば100cm〜400cmとして、放射パターン解析用スペクトラムデータが、スペクトラムアナライザのClear/Write機能を用い、ターンテーブルの回転位置データ及び受信アンテナの昇降位置データと関連付けされた状態として、既述の連続サーチ手法やステップサーチ手法等によりスペクトラアナライザのスイープ毎に取得されるが、その際、それら回転位置データ及び昇降位置データは位置データ補正済みとして取得される(手順S11)。次に、そのように、スイープ毎に取得されたスペクトラムデータからは、各周波数における受信レベルの最大値が算出される(手順S12)。引き続き、算出された最大値はリミットマージンと比較判定される(手順S13)。この比較判定で、算出された最大値それぞれが全てリミットマージンを満たしていれば、一連の手順は終了されるが、そうでない場合は、リミットマージンを満たさない周波数が最大放射周波数として自動的に特定される(手順S14)。
引き続き、特定された最大放射周波数別に、有効放射パターン解析用データについてのスペクトラムデータと関連付けられた駆動系の位置データの平均処理により平均化放射パターンが作成されるが、この平均化放射パターンからは、推定最大放射方向が自動的に抽出される(手順S15)。その後、周波数別に、既述の最大放射方向微調範囲が5つの方法の何れかとして、それら推定最大放射方向それぞれを基準として自動的に抽出される(手順S16)。そして、ステップS15にて間欠性レベル変動スペクトラムデータであるか否かが判定され、詳細サーチの手法が決定されるが、抽出された最大放射方向微調範囲内での連続サーチ手法、またはステップサーチ手法による詳細サーチにより、スペクトラムデータ、またはQP値の最大が得られた際での駆動系位置からは最大放射方向が自動的に特定される(手順S17)。最後には、ステップS17で特定された最大放射方向でのQP値の最大値が、EMIレシーバのQP検波モードにより自動測定される(手順S18)。
さて、ここで、本発明の応用例、あるいは適用例について説明すれば、妨害電磁波の問題がクローズアップされている昨今では、その応用例や適用例としては各種のものが考えられるが、例えば身近なものとしては、携帯電話機等のアンテナ放射パターン計測における放射パターンの表示・解析や、無線LAN等が実装された商品の送信放射パターンの表示・解析が考えられるものとなっている。
更に、本発明により予測される具体的な効果について考察すれば、以下のようである。
測定時間の短縮化:すなわち、その効果としては、まず測定時間の短縮化が挙げられる。既述のように、従来は、スペクトラムアナライザのMax Hold機能を用いてスペクトラムデータが取得された後、リミットマージンを満たすか否か疑わしい周波数の全てにおいて、全ての放射方向から最大放射方向が特定されていたことから、測定には多くの時間が要されていた。しかしながら、本発明では、スイープ毎のスペクトラムデータと駆動系位置データが関連付けされた状態として、放射パターン解析用データが取得されている。したがって、測定周波数帯域全てにおける周波数別の放射パターンが表示可能となるばかりか、推定最大放射方向において駆動系が微調されることによって、最大放射方向が特定され得ることから、最大放射方向の特定時間が、その分、短縮されることになる。
具体的に、例えば、
・リミットマージン満たすか否か疑わしい周波数の数を15
・従来手法における1周波数当りの最大放射方向特定に要される時間を10分
・本発明における最大放射方向の微調時間を2分
と仮定すれば、
・従来手法の最大放射方向特定時間:150分(=15×10)
・本発明による最大放射方向特定時間:30分(=15×2)
となる。よって、本発明により、最大放射方向の特定に要される時間は80パーセント短縮可能とされる。
評価精度の向上:本発明では、最大放射方向となり得る放射方向全てに対して、リミットマージン評価を容易に行えるばかりか、評価スキル不足がカバーされることで、評価の精度を向上させることが可能となる。
再現性の向上:セットアップを再現できなかった場合、受信レベルが変化することが多い。従来手法では、受信レベルが変化していた場合、EUT、周辺機器等もレベル変化するため、セットアップの差異によるレベル変化か否かを判断できなかった。因みに、ここにいうセットアップとは、EUTと周辺機器との位置関係やケーブルの交差の仕方・束ね方等の処理として定義される。電波暗室やオープンサイトといったEMI評価設備においては、電気・電子機器が評価される場合、周辺機器を含めた状態として評価されており、EUTと周辺機器が通信ケーブルで接続され、かつ電源コードが接続された状態で評価される。
しかしながら、本発明では、測定周波数帯域全ての放射パターンを確認でき、セットアップの差異によるレベル変化か否かを判断できる。故に、再現性の向上が図れることになる。例えば、放射パターンの変化している周波数が複数ある場合、セットアップが改善されることで、再現性の向上を図ることができる。放射パターンに変化がないか、あるいは特定の周波数のみ、放射パターンが変化している場合、EUTのレベル変化である。
EMI対策効果の把握:シャーシ構造の変更、またはメカ機構部でEMI対策が行われた場合、最大放射方向が変化することが多い。本発明では、放射パターンを測定周波数帯域の全ておいて確認でき、放射パターンに変化がない場合は、EMI対策効果によるレベル変化であると容易に判断できる。換言すれば、放射パターンに変化がない場合、セットアップの再現性がよく、かつ放射方向に変化がないと判断できるので、取得されたEMIレベルの変化分はEMI対策効果によるものとして判断できることになる。また、放射パターンが変化している場合においても、最大放射方向が容易に特定され得るから、従来手法に比し、EMI対策効果を短時間で評価可能となる。因みに、放射パターンに変化があった場合、セットアップの再現性がよくないか、あるいはEMI対策効果により放射方向が変化したか、またはEUTのEMI時間特性が間欠的であると考えられる。したがって、最大放射方向において、QP値からEMI対策効果を判断する必要がある。
具体的に、従来手法と本発明におけるEMI対策効果評価時間について考察すれば、EMI対策効果を判断するために、必要な測定時間や測定周波数の数、最大放射周波数の抽出個数を以下のように仮定する。
共通条件 ・放射パターン(最大放射方向)が変化している。
・スペクトラムアナライザによるスペクトラムデータ取得時間:30分
・リミットマージン満たすか否か疑わしい周波数の数:15個
・1周波数当りの最大放射方向抽出の数:2個
従来手法 ・1周波数当りの最大放射方向特定時間:10分
本発明 ・1周波数当りの最大放射方向特定時間:2分
従来手法における評価時間 :330分(=30分+15個×2個×10分)
本発明における評価時間 :90分(=30分+15個×2個×2分)
以上のように、本発明でのEMI対策効果評価時間と従来手法でのそれとを比較すれば、1周波数当りの最大放射方向特定時間に大きな差異があることから、80%以上の時間短縮が期待できることになる。
テストサイトの妨害電磁波伝搬特性差異(サイトアッテネーション)の影響把握:複数のテストサイトにおいて評価が行われる場合、テストサイトの妨害電磁波伝搬特性差異によっては、受信レベルに差異を生じる場合がある。従来手法では、テストサイトによる影響であるのか、EUTや周辺機器のレベル変化による影響であるのかを判別できなかった。しかしながら、本発明によれば、全ての周波数に対する放射パターンを確認でき、放射パターンに変化が認められた周波数は、テストサイトの妨害電磁波伝搬特性差異による受信レベルへの影響であると容易に判断できる。
測定スキルの不問化:本発明では、最大放射方向の特定が精度良好にして、しかも自動的に行われるから、トレーニングを積んだ測定専任者を不要とし、測定スキルが不足している者、例えば商品設計者による規格適合確認評価が実現可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき、具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明に係る電磁界測定方法、あるいは電磁界測定システム上の、制御・処理手段としてのコンピュータ等上で実行される電磁界測定プログラムのフローを示す図である。 本発明による電磁界測定システムにおける測定概念と、一例でのシステム構成を示す図である。 スペクトラムデータ、またはQP値を取得するための連続サーチ手法(その1)に係る処理フローを示す図である。 スペクトラムデータ、またはQP値を取得するための連続サーチ手法(その2)に係る処理フローを示す図である。 スペクトラムデータ、またはQP値を取得するためのステップサーチ手法(その1)に係る処理フローを示す図である。 スペクトラムデータ、またはQP値を取得するためのステップサーチ手法(その2)に係る処理フローを示す図である。 スペクトラムデータと駆動系の位置データのロードフロー(その1)を示す図である。 スペクトラムデータと駆動系の位置データのロードフロー(その2)を示す図である。 スペクトラムデータと駆動系の位置データのロードフロー(その3)を示す図である。 ある周波数についての、インパルス性ノイズを含む放射パターンの例を示す図である。 有効放射パターン解析用データ抽出前の放射パターン例の3次元画像、2次元画像をそれぞれ示す図である。 同一レベルのスペクトラムデータと駆動系の位置データの除去フローを示す図である。 その除去フローによる一例での除去結果を示す図である。 インパルス性ノイズを含むスペクトラムデータの例を示す図である。 インパルス性ノイズを含むスペクトラムデータを含むハイトパターンの例を示す図である。 インパルス性ノイズ除去フローを示す図である。 有効放射パターン解析用データ抽出後の平均化放射パターン例の3次元画像、2次元画像をそれぞれ示す図である。 有効放射パターン解析用データ抽出後のハイトパターンの例を示す図である。 そのハイトパーンに対する平均化ハイトパターンを示す図である。 本発明に係る一例での最大放射方向特定フローを示す図である。 推定最大放射方向における最大放射方向微調範囲の抽出を示す図である。 間欠性レベル変動スペクトラムデータを含むスペクトラムデータの例を示す図である。 従来手法における電磁界測定フローを示す図である。
符号の説明
22…被測定装置(EUT)、25…ターンテーブル(回転駆動系の一部を構成)、26…アンテナマスト(昇降駆動系の一部を構成)、27…受信アンテナ(検出手段)、28…コンピュータ等(制御・処理手段)、29…表示装置(表示手段)、212…記憶装置(放射パターン解析データ取得手段)、213…EMIレシーバ(第2の電界強度測定手段)、214…スペクトラムアナライザ(第1の電界強度測定手段)

Claims (9)

  1. 被測定装置を回転させると共に、その回転軸方向に予め規定された範囲で当該被測定装置からの妨害電磁波を連続的に受信して電磁界を測定するシステムであって、
    上記被測定装置を水平面内で回転可能とする回転駆動手段と、
    上記被測定装置からの妨害電磁波を検出する検出手段と、
    該検出手段を垂直方向に駆動する昇降駆動手段と、
    上記検出手段の検出信号より各周波数の電界強度を測定する第1の電界強度測定手段と、
    上記検出手段の検出信号を準尖頭値検波モードにより電界強度を測定する第2の電界強度測定手段と、
    上記第1の電界強度測定手段により取得される周波数別の複数のスペクトラムデータと、上記被測定装置の回転位置データ及び上記検出手段の昇降位置データとを関連付けて取得する放射パターン解析データ取得手段と、
    該放射パターン解析データ取得手段により取得された放射パターン解析用データから各周波数におけるスペクトラムデータの最大値の算出、該最大値のリミットマージンとの自動比較判定、該リミットマージンを満たさない周波数の自動特定、周波数別の推定最大放射方向の自動抽出、周波数別の最大放射方向微調範囲の自動抽出を行い、該最大放射方向微調範囲内での上記第1、または第2の電界強度測定手段を用いた詳細サーチによる最大放射方向の自動特定を、少なくとも、順次、行う制御・処理手段とを含み、
    上記制御・処理手段では、上記放射パターン解析データ取得手段により取得された放射パターン解析用データを処理することによって、インパルス性ノイズを含む放射パターン、または同一受信レベルのスペクトラムデータ及びインパルス性ノイズとそれらに関連付けられた回転位置データ及び昇降位置データが除去済みの有効放射パターン解析用データに対する移動平均処理による放射パターンがそれぞれ周波数別に作成された上、該放射パターンが2次元、または3次元の画像として表示手段で可視表示される
    ことを特徴とする電磁界測定システム。
  2. 被測定装置を回転させると共に、その回転軸方向に予め規定された範囲で当該被測定装置からの妨害電磁波を連続的に受信して電磁界を測定するシステムであって、
    上記被測定装置を水平面内で回転可能とする回転駆動手段と、
    上記被測定装置からの妨害電磁波を検出する検出手段と、
    該検出手段を垂直方向に駆動する昇降駆動手段と、
    上記検出手段の検出信号より各周波数の電界強度を測定する第1の電界強度測定手段と、
    上記検出手段の検出信号を準尖頭値検波モードにより電界強度を測定する第2の電界強度測定手段と、
    上記第1の電界強度測定手段により取得される周波数別の複数のスペクトラムデータと、上記被測定装置の回転位置データ及び上記検出手段の昇降位置データとを関連付けて取得する放射パターン解析データ取得手段と、
    該放射パターン解析データ取得手段により取得された放射パターン解析用データから各周波数におけるスペクトラムデータの最大値の算出、該最大値のリミットマージンとの自動比較判定、該リミットマージンを満たさない周波数の自動特定、周波数別の推定最大放射方向の自動抽出、周波数別の最大放射方向微調範囲の自動抽出を行い、該最大放射方向微調範囲内での上記第1、または第2の電界強度測定手段を用いた詳細サーチによる最大放射方向の自動特定を、少なくとも、順次、行う制御・処理手段とを含み、
    上記推定最大放射方向は、上記放射パターン解析データ取得手段により取得された放射パターン解析用データから、同一レベルのスペクトラムデータ及びインパルス性ノイズ除去後の有効放射パターン解析用データより作成される平均化放射パターンから自動抽出される
    ことを特徴とする電磁界測定システム。
  3. 請求項に記載の電磁界測定システムにおいて、
    上記最大放射方向微調範囲内からの最大放射方向は、上記推定最大放射方向を基準として抽出された該最大放射方向微調範囲内で、上記被測定装置の回転位置及び上記検出手段の昇降位置が、上記放射パターン解析用データが取得される場合に比し、より小さく更新された状態としての詳細サーチにより取得される詳細放射パターンデータから自動特定される
    ことを特徴とする電磁界測定システム。
  4. 請求項に記載の電磁界測定システムにおいて、
    上記詳細サーチによる最大放射方向の自動特定に際し、上記第1、あるいは第2の電界強度測定手段を用い、
    非間欠性レベル変動スペクトラムデータについての最大放射方向は、上記検出手段の昇降位置がステップ更新される度に、上記被測定装置が定速回転されている状態で、または被測定装置の回転位置がステップ更新される度に、上記検出手段が定速昇降されている状態で、連続的に詳細放射パターンデータの取得を行う連続サーチ手法により自動特定され、
    間欠性レベル変動スペクトラムデータについての最大放射方向は、上記検出手段の昇降位置がステップ更新される度に、上記被測定装置の回転位置がステップ更新されてから次ステップ更新が行われるまでの指定時間内で、または被測定装置がステップ回転される度に、上記検出手段の昇降位置がステップ更新されてから次ステップ更新が行われるまでの指定時間内で、詳細放射パターンデータの取得を複数回行うステップサーチ手法により自動特定される
    ことを特徴とする電磁界測定システム。
  5. 請求項に記載の電磁界測定システムにおいて、
    上記放射パターン解析データ取得手段による放射パターン解析用データについて、実際にスペクトラムデータが検出された時点での回転位置データ、昇降位置データとして得られるべく、上記取得された上記回転位置データ、昇降位置データそれぞれに対して位置データの補正が行われる
    ことを特徴とする電磁界測定システム。
  6. 被測定装置からの妨害電磁波の電界強度が最大となる放射方向を周波数別に特定するための電磁界測定システムの構成要素である制御・処理手段での制御・処理手順を実行させるための電磁界測定プログラムであって、
    被測定装置からの妨害電磁波を検出する検出手段の検出信号より、各周波数の電界強度を測定する第1の電界強度測定手段により取得されるスペクトラムデータと、上記被測定装置の回転位置データ及び検出手段の昇降位置データとを関連付けて、放射パターン解析用データを取得する放射パターンデータ取得手順と、
    該放射パターンデータ取得手順で取得された放射パターン解析用データから、各周波数における最大値を算出する最大値算出手順と、
    該最大値算出手順で算出された最大値のリミットマージンとの比較判定を行う比較判定手順と、
    上記リミットマージンを満たさない周波数を最大放射周波数として自動的に特定する周波数特定手順と、
    特定された最大放射周波数別に推定最大放射方向を自動的に抽出する推定最大放射方向抽出手順と、
    周波数別に、最大放射方向微調範囲を推定最大放射方向に対し自動的に抽出する最大放射方向微調範囲抽出手順と、
    周波数別に上記最大放射方向微調範囲内での詳細サーチにより最大放射方向を自動的に特定する最大放射方向特定手順とを、少なくとも、順次、実行させる電磁界測定プログラムであり、
    上記推定最大放射方向抽出手順で抽出される推定最大放射方向は、放射パターン解析用データから同一レベルのスペクトラムデータ及びインパルス性ノイズ除去後の有効放射パターン解析用データより作成される平均化放射パターンから自動抽出される
    ことを特徴とする電磁界測定プログラム。
  7. 請求項に記載の電磁界測定プログラムにおいて、
    上記最大放射方向特定手順により特定される最大放射方向は、上記推定最大放射方向を基準として抽出された最大放射方向微調範囲内で、上記被測定装置の回転位置及び上記検出手段の昇降位置が、上記放射パターン解析用データが取得される場合に比し、より小さく更新された状態としての詳細サーチにより取得される詳細放射パターン解析データから自動特定される
    ことを特徴とする電磁界測定プログラム。
  8. 請求項7に記載の電磁界測定プログラムにおいて、
    上記詳細サーチによる最大放射方向の自動特定に際し、上記第1の電界強度測定手段、あるいは上記検出手段の検出信号を準尖頭値検波モードにより電界強度を測定する第2の電界強度測定手段を用い、
    非間欠性レベル変動スペクトラムデータについての最大放射方向は、上記検出手段の昇降位置がステップ更新される度に、上記被測定装置が定速回転されている状態で、または被測定装置の回転位置がステップ更新される度に、上記検出手段が定速昇降されている状態で、連続的に詳細放射パターンデータの取得を行う連続サーチ手法により自動特定され、
    間欠性レベル変動スペクトラムデータについての最大放射方向は、上記検出手段の昇降位置がステップ更新される度に、上記被測定装置の回転位置がステップ更新されてから次ステップ更新が行われるまでの指定時間内で、または被測定装置がステップ回転される度に、上記検出手段の昇降位置がステップ更新されてから次ステップ更新が行われるまでの指定時間内で、詳細放射パターンデータの取得を複数回行うステップサーチ手法により自動特定される
    ことを特徴とする電磁界測定プログラム。
  9. 請求項に記載の電磁界測定プログラムにおいて、
    上記放射パターン解析データ取得手段による放射パターン解析用データについて、実際にスペクトラムデータが検出された時点での回転位置データ、昇降位置データとして得られるべく、上記取得された上記回転位置データ、昇降位置データそれぞれに対しては位置データの補正が行われる
    ことを特徴とする電磁界測定プログラム。
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