JP4360215B2 - 電子機器装置用格納盤 - Google Patents

Description

本発明は、高圧インバータ装置に適用するインバータ盤などを対象とした電子機器装置用の格納盤に閲し、特に同じ場所に設置した他の電子機器装置との相互間で伝導ノイズが伝播するのを防止するノイズ対策を施した格納盤の組立構造に係わる。

頭記した高圧インバータ装置は、インバータ部，コンバータ部，および制御部をユニット化した上で、各ユニットを金属製のキャビネットに格納してインバータ盤を構成している（例えば、特許文献１参照）。

また、前記のインバータ盤に関しては、盤の骨格となるフレームに前面，背面扉、左右側板，天井板を取り付けた盤本体の底面にチャンネル状のベース枠を取り付けた組立構造が一般的である（例えば、特許文献２参照）。

次に、前記のインバータ盤について、その盤本体にべース枠を取り付けた従来の組立構造を図２に示す。図において、１は金属製の盤本体、２は金属製のベース枠、３は盤本体１とベース枠２との間を結合した締結ボルトである。ここで、ボルト３は盤本体１の内側からその底壁に穿孔したボルト通し穴１ａに嵌挿し、ベース枠２にタップ立てしたネジ穴２ａに螺合して固定するようにしている。
特開平７−２０３６８７号公報 特開平８−１２６１２９号公報

前記のインバータ装置では、半導体スイッチング素子（ＩＧＢＴなど）のＯＮ，ＯＦＦによりスイッチングノイズが発生することから、このノイズが装置から周辺に伝播するのを防ぐノイズ対策が必要である。

ここで、インバータ装置に発生するノイズはその伝播経路によって、近接する電線，信号線の配線を介して伝播する誘導ノイズ，空中に放射して周辺機器に伝播する放射ノイズのほかに、インバータ内で発生したノイズが導電体を伝播経路として周辺機器に伝播する伝導ノイズがある。

そのために、図３で示すように従来構造のインバータ盤４を他の周辺装置（電子機器装置）５の近くに並べて使用先の設置場所に併設する場合に、その据付け面が金属製の床面６であったり、床面上に各盤に共通な据付け用レール（金属製）が敷設されていると、次記のように据付け床面（導電体）を伝わってインバータ盤４と周辺装置５の間に伝導ノイズが伝播して電子機器が誤動作する問題が発生する。

すなわち、前記の据付け床面６を通してインバータ盤４の接地系統と周辺装置５の接地系統が混触し合い、インバータ盤４に搭載した半導体変換スタック（インバータ部）に発生したノイズが金属製の盤本体１，ベース枠２，および据付け床面６を伝わって隣接した周辺装置５の電子機器に伝導ノイズとして伝播したり、逆に周辺装置５のノイズ発生源に生じたノイズが据付け床面６を伝わってインバータ盤４に搭載した制御装置などに伝播したりする。

そこで、従来ではインバータ盤のノイズ対策として、使用先現場で床面が非金属の床面の場所を選んで設置するか、あるいはインバータ盤４に搭載したノイズ発生源となるユニット，ノイズ耐性の低いユニットを個別に盤本体１から電気的に絶縁して格納するなどの対策が採られている。

しかしながら、前記した従来のノイズ対策では次に記すような問題点が残る。すなわち、インバータ盤を他の周辺装置と並べて同じ場所に設置する場合には、その設置場所の環境（床面の材質）によって制約を受ける。また、先記の特許文献２に述べられているように、従来のインバータ盤では盤フレームの仕様が標準化されていることから、既存の盤本体に搭載する電子機器ユニットについて、個々のユニットを盤本体と絶縁してノイズの伝播を防ぐ前記ノイズ対策を適用するには、その都度ユニットの取り付け構造を変更する必要があってコスト高になる。

本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、盤自体に簡単な改良の手を加えることで、同じ場所に設置した他の周辺装置との間の伝導ノイズ問題の解決が図れるように改良したインバータ盤などを対象とする電子機器装置格納盤を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明によれば、同じ設置場所に他の電子機器装置と並置して使用する電子機器装置の格納盤で、電子機器およびその関連ユニットを収納する金属製の盤本体に金属製のベース枠を付設して据付け床面上に設置するものにおいて、盤本体の底面とベース枠との間に絶縁シートを介挿した上で、盤本体とベース枠とをボルトで一体に締結する。
また、上記において、ボルトで盤本体とベース枠とを締結する際に、絶縁座，絶縁管を介してボルトを盤内側から盤本体底壁のボルト通し穴に嵌挿し、ベース枠のネジ穴に螺合して締結する。

前記の構成によれば、電子機器を格納した盤本体と据付け床面上に直接載置したベース枠との間が絶縁シートで電気的に絶縁されているので、設置場所の床面の材質に制約されることなく、盤および据付け床面を伝播経路として同じ場所に設置した他の周辺装置との間に伝導ノイズが伝播するのを防止できる。

また、既存の盤フレームに電子機器ユニットを搭載する場合でも構造の変更は必要なく、しかも盤本体とベース枠の間に介挿する絶縁シートは浮遊容量による静電誘導ノイズの影響を考慮しても高々１０ｍｍ程度の厚さであれば十分であり、この絶縁シートの介挿追加によって盤の高さが大きく変わることもない。

以下、本発明の実施の形態を図１（ａ），（ｂ）に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図２，図３に対応する同じ部材には同じ符号を付してその説明は省略する。

すなわち、図示実施例においては、盤本体１の底壁とベース枠２との間に絶縁シート７を介挿した上で、ボルト３により盤本体１とベース枠２との間を一体に締結している。また図１（ａ）に詳記したように、ボルト３のボルト頭と盤本体１の底壁との間に絶縁座８を介挿し、さらにボルト軸には絶縁管９を嵌挿してベース枠２に締結し、金属製のボルト３を通じて盤本体１とベース枠２とが電気的に導通するのを阻止している。

上記の構成によれば、図１（ｂ）で示すように同じ場所にインバータ盤４と他の周辺装置（電子機器）５を並べて据付け床面６上に設置した場合でも、インバータ盤４に格納した半導体変換スタック（インバータ部）から盤本体１を経て据付け床面（金属製）６に伝播する伝導ノイズＡ，および周辺装置５のノイズ発生源から据付け床面６を伝わってインバータ盤に伝播する伝導ノイズＢは、いずれも盤本体１とベース枠２の間に介挿した絶縁シート７で阻止される。これにより、インバータ盤４に生じた伝導ノイズＡが据付け床面６を伝わって周辺装置５の電子機器に伝播したり、逆に周辺装置５に生じた伝導ノイズＢがインバータ盤４の盤本体１を伝わって盤内の制御装置に伝播したりすることがなく、このノイズ伝播が原因で電子機器の誤動作するのを防止できる。

しかも、前記絶縁シート７の厚みは高々１０ｍｍ程度であり、この絶縁シートの介挿追加によって、インバータ盤４の高さが大きくなることもないし、また標準仕様で製作された既存のインバータ盤に適用する場合でも、盤本体１とベース枠２との間を結合する締結ボルト３に絶縁管９を嵌挿するように盤本体１のボルト穴を多少拡大するだけで、殆どコストを掛けずに実施適用できる。

本発明の実施例を示し、（ａ）はインバータ盤の盤本体とベース枠と絶縁構造を表す要部断面図、（ｂ）はインバータ盤を他の周辺装置と並べて同じ場所に設置した使用状態でのノイズ伝播経路を表す図 従来におけるインバータ盤の盤本体とベース枠との結合構造を表す要部断面図 図２のインバータ盤を他の周辺装置と並べて同じ場所に設置した使用状態でのノイズ伝播経路を表す図

符号の説明

１ 盤本体
２ ベース枠
３ ボルト
４ インバータ盤
５ 周辺装置
６ 据付け床面
７ 絶縁シート
８ 絶縁座
９ 絶縁管

Claims (1)

1. 同じ設置場所に他の電子機器装置と並置して使用する電子機器装置の格納盤で、電子機器およびその関連ユニットを収納する金属製の盤本体に金属製のベース枠を付設して据付け床面上に設置するものにおいて、
   前記盤本体の底面と前記ベース枠との間に絶縁シートを介挿した上で、ボルトで一体に締結し、
   前記ボルトを、前記盤本体側から絶縁座，絶縁管を介して前記盤本体底壁のボルト穴に嵌挿し、前記ベース枠のネジ穴に螺合して締結したことを特徴とする電子機器装置用格納盤。

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