JP2009212187A - 電子制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板間を伝搬する電磁波ノイズを低減する。
【解決手段】対向する2枚の回路基板20,30と、この2枚の回路基板20,30を収容する筐体とを備えた電子制御装置であって、前記対向する2枚の回路基板は、基板間に電磁波吸収シートASSY10が介挿されている。また、この電磁波吸収シートASSY10は、金属層の両面に電磁波吸収シートが接合されたものが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】対向する2枚の回路基板20,30と、この2枚の回路基板20,30を収容する筐体とを備えた電子制御装置であって、前記対向する2枚の回路基板は、基板間に電磁波吸収シートASSY10が介挿されている。また、この電磁波吸収シートASSY10は、金属層の両面に電磁波吸収シートが接合されたものが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、電磁波吸収シートを用いた電子制御装置に関する。
自動車には、モータ、電磁弁等の複数の電動アクチュエータ、及びこれらを制御するための電子制御装置が使用されている。特に、電気自動車、燃料電池車、ハイブリッド自動車は、車両を駆動する大出力な交流電動機が使用されている。この交流電動機は、ケーブル重量を軽減するため、高電圧低電流で駆動するように構成され、高電圧のパルス電流が流れ、ノイズ源になりやすい。このため、電子制御装置は、電動アクチュエータを駆動する駆動電流が発生するパルスノイズが制御基板に影響しないように実装する必要がある。
例えば、特許文献1には、絶縁材料を金属箔で挟んでシールド板を構成し、このシールド板が裏面に設けられた制御回路基板をケースに内蔵したインバータ装置が開示されている。
特許文献2には、導電性ベース板に載置した電力用半導体基板と、電磁遮蔽体で覆った制御用基板とを備え、電磁遮蔽体と導電性ベース板とを接続したパワーモジュールが開示されている。
実開昭63−198389号公報
特開2002−76257号公報
例えば、特許文献1には、絶縁材料を金属箔で挟んでシールド板を構成し、このシールド板が裏面に設けられた制御回路基板をケースに内蔵したインバータ装置が開示されている。
特許文献2には、導電性ベース板に載置した電力用半導体基板と、電磁遮蔽体で覆った制御用基板とを備え、電磁遮蔽体と導電性ベース板とを接続したパワーモジュールが開示されている。
特許文献1,2の技術は、制御回路(制御用基板)をシールド板(電磁遮蔽体)で完全には覆ってはいない。このため、制御基板を電磁遮蔽体で覆った特許文献2の技術であってもシールド板を接地して高周波誘導電流を流す必要がある。
また、両面基板は、配線パターンがインダクタンスを持ち、4層基板以上の多層基板よりもノイズに弱く、電磁波ノイズからシールドするには、装置全体が大型化するという問題もある。また、特許文献1,2の技術は、シールド板が回路基板に固定されているので構造上の制約を受けている。シールド板は、金属が使用されるので、基板との絶縁の確保に所定の空間距離が必要になる。
また、両面基板は、配線パターンがインダクタンスを持ち、4層基板以上の多層基板よりもノイズに弱く、電磁波ノイズからシールドするには、装置全体が大型化するという問題もある。また、特許文献1,2の技術は、シールド板が回路基板に固定されているので構造上の制約を受けている。シールド板は、金属が使用されるので、基板との絶縁の確保に所定の空間距離が必要になる。
そこで、本発明は、基板間を伝搬する電磁波ノイズを低減することができる電子制御装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の電子制御装置は、対向する2枚の回路基板と、この2枚の回路基板とを収容する筐体とを備えた電子制御装置であって、前記対向する2枚の回路基板は、基板間に電磁波吸収シートが介挿されていることを特徴とする。
これによれば、2枚の回路基板の間に電磁波吸収シートが介挿されているので、一方の回路基板が発生した電磁波ノイズによる他方の回路基板への影響が低減する。
また、前記対向する2枚の回路基板は、部品面を対向させることができる。多層基板の場合、特に、4層基板以上では、基板の電源/接地パターンは、ベタ面であるため、これに近接する配線パターンが、マイクロストリップ線路を形成し、配線インピーダンスが距離にかかわらず略一定となり、例えば、終端での反射ノイズの発生が少ない。このため、多層基板からの放射ノイズは少なく、また、外部から入射する電磁波ノイズによる誤動作が少ない。これに対して、部品が放射する電磁波ノイズは多いため、対向する回路基板にノイズの影響を及ぼしやすい。すなわち、部品面を対向させ、電磁波吸収シートを介挿することにより、部品からの放射ノイズをより低減することができるので、対向する回路基板への電磁波ノイズの影響を低減することができる。
また、前記電磁波吸収シートは、表面が発砲シートにより覆われることが好ましい。これによれば、対向する部品の凹凸に追従することができる。このため、振動等による部品同士の摩擦、衝突を回避することができる。
また、電磁波吸収シートは、片面に金属層(例えば、金属薄膜、金属板)が接合されたものであることが好ましい。これによれば、電磁波吸収シート側に入射した電磁波ノイズが電磁波吸収シートで吸収され、吸収により減衰した電磁波ノイズが金属層で反射し、反射した電磁波ノイズが電磁波吸収シートで再び減衰する。一方、金属層側に入射した電磁波ノイズは、金属層で反射する。なお、金属層を透過した一部の電磁波ノイズは、電磁波吸収シートで減衰する。
また、前記対向する2枚の回路基板は、パルス電流が流れる電力半導体基板と、この駆動基板を制御する制御基板とを備え、前記金属層は、前記制御基板の側に設けられ、前記電磁波吸収シートは、前記電力半導体基板の側に設けられていることが好ましい。制御基板よりも電力半導体基板の方が発生する電磁波ノイズが大きい。このため、電力半導体基板が発生した電磁波ノイズを電磁波吸収シートで減衰させることができる。
また、前記電磁波吸収シートは、両面に金属層が接合されたものであってもよい。これによれば、金属層の体積抵抗率が高い場合、あるいは、低い周波数のノイズの場合には表皮効果が十分ではないため、電磁波ノイズは金属層の表面を全反射せず、一部が透過する。この透過した電磁波ノイズが電磁波吸収シートで減衰し、さらに対向側の金属層で透過した電磁波ノイズが回路基板に影響を及ぼす。
また、前記筐体は、少なくとも内面が他の金属層を接合したものであり、前記電磁波吸収シートに接合された金属層と前記筐体に接合された他の金属層と前記制御基板の接地端子とが電気的に接合されていることが好ましい。これによれば、筐体と金属層とが接地端子と等電位となるので、筐体と電磁波吸収シートに接合された金属層との間に隙間が生じていても、制御基板は浮遊容量を介してノイズの影響を受けにくくなる。
本発明によれば、基板間を伝搬する電磁波ノイズを低減することができる。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である電子制御装置を図1の組立斜視図を用いて説明する。
電子制御装置100は、上カバー40と、制御基板20と、電磁波吸収シートASSY10と、電力半導体基板30と、下カバー50とを備え、制御基板20と、電力半導体基板30との間に電磁波吸収シートASSY10が介挿され、制御基板20と、電力半導体基板30と、電磁波吸収シートASSY10とが上カバー40及び下カバー50により構成される筐体に収容されている。
本発明の一実施形態である電子制御装置を図1の組立斜視図を用いて説明する。
電子制御装置100は、上カバー40と、制御基板20と、電磁波吸収シートASSY10と、電力半導体基板30と、下カバー50とを備え、制御基板20と、電力半導体基板30との間に電磁波吸収シートASSY10が介挿され、制御基板20と、電力半導体基板30と、電磁波吸収シートASSY10とが上カバー40及び下カバー50により構成される筐体に収容されている。
電力半導体基板30は、FET(Field Effect Transistor),IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の電力半導体(図示せず)が複数実装され、電流変化率が大きいパルス電流が流れ、パルス性ノイズを発生する。
制御基板20は、電力半導体基板30に実装されている電力半導体素子を制御するための基板であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等(図2)を備えている。
上カバー40、及び下カバー50は、例えば、四辺が垂直方向に延在した側壁により断面がコの字状に形成された矩形状であり、組み合わされて制御基板20、電力半導体基板30、及び電磁波吸収シートASSY10を収納する筐体となる。ここで、電磁波吸収シートASSY10は、制御基板20と電力半導体基板30との間に介挿され、制御基板20と電力半導体基板30とは、部品面が対向するように配置されている。
制御基板20は、電力半導体基板30に実装されている電力半導体素子を制御するための基板であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等(図2)を備えている。
上カバー40、及び下カバー50は、例えば、四辺が垂直方向に延在した側壁により断面がコの字状に形成された矩形状であり、組み合わされて制御基板20、電力半導体基板30、及び電磁波吸収シートASSY10を収納する筐体となる。ここで、電磁波吸収シートASSY10は、制御基板20と電力半導体基板30との間に介挿され、制御基板20と電力半導体基板30とは、部品面が対向するように配置されている。
また、制御基板20及び電力半導体基板30は、少なくとも4隅にビス固定用の孔が開孔しているが、電磁波吸収シートASSY10には孔が開孔していない。しかしながら、電磁波吸収シートASSY10は、後記するように、両側面に発泡シート1,5(図3)が貼付されているので、両基板に搭載されている電子部品により保持されている。また、電力半導体基板30は、スペーサ35を用いて下カバー50に固定されている。
また、上カバー40、及び下カバー50は、上カバー40に取り付けられた複数のビス45が、下カバー50に取り付けられた複数のビス孔55に螺合することにより固定される。下カバー59は側壁の4カ所に取付孔56が設けられており、電子制御装置100の固定に用いられる。また、上カバー40、及び下カバー50は、金属で形成され、あるいは、金属が蒸着された絶縁物(例えば、プラスチック)で形成されており、シールド機能を備えている。
また、上カバー40、及び下カバー50は、コネクタ40a,40b,50a,50bのシェル部が側面に設けられており、制御基板20,電力半導体基板30に取り付けられたインサート部がこれらのシェル部に挿入されるようになっている。なお、コネクタ40a,40b,50a,50bは、断面がトラック状、あるいは、D型に形成されている。
次に、図2の構成図を用いて、電子制御装置100の周辺部を含めて説明する。
電子制御装置100は、前記したように、制御基板20と電力半導体基板30とが含まれ、これらの基板がフラットケーブルやフレキシブル基板等で延長接続されたコネクタCNを介して互いに接続されている。制御基板20は、CPU、ROM、RAM及びインターフェース部が内蔵されており、コネクタ40aを介して低圧バッテリ110に接続され,コネクタ40bを介してLED等の表示部150に接続されている。制御基板20は、CPU、フリップフロップ等のロジック回路が含まれているので、高周波ノイズにより誤動作が生じやすい。
電子制御装置100は、前記したように、制御基板20と電力半導体基板30とが含まれ、これらの基板がフラットケーブルやフレキシブル基板等で延長接続されたコネクタCNを介して互いに接続されている。制御基板20は、CPU、ROM、RAM及びインターフェース部が内蔵されており、コネクタ40aを介して低圧バッテリ110に接続され,コネクタ40bを介してLED等の表示部150に接続されている。制御基板20は、CPU、フリップフロップ等のロジック回路が含まれているので、高周波ノイズにより誤動作が生じやすい。
電力半導体基板30は、例えば、電力変換部、及び電池電圧検出部を備え、電力変換部がモータ120及び高圧バッテリ140と、コネクタ50aを介して接続され、電池電圧検出部がコネクタ50bを介して電池モジュール130a,130b,…,130nに接続されている。この電池モジュール130a,130b,…,130nは、複数の二次電池あるいは燃料電池が直列接続されて構成され、これらがさらに直列接続されて高圧バッテリ140を構成し、直流高電圧を生成する。なお、高電圧でモータ120を駆動するので、同一出力であれば、低電流化することができ、配線ケーブルの重量が低減する。
モータ120は、PWM変調された矩形波電圧により駆動され、コイルに増加減少する電流、あるいは、高調波成分を低減させて、正弦波近似の電流が流れるが、コイルに接続された端子間、あるいは、端子−筐体間に浮遊容量が存在し、これによりパルス電流が流れ、ノイズ源となる。
電力変換部は、電力半導体素子であるFETやIGBTを複数備えて構成され、モータ120をスイッチング制御する。なお、モータ120の回転速度を検出する回転速センサが制御基板20のインターフェース部に接続され、電力変換部は、制御基板20と共に位置制御あるいは速度制御を行う。また、電池電圧検出部は、電池モジュール130の電圧を各々測定するものであり、これにより、充電バラツキを解消するように制御することができる。
ここで、電力変換部は、電力半導体素子にパルス電流が流れるので、電磁誘導ノイズ源として振る舞い、制御基板20に形成された回路、特に、閉回路に影響を及ぼす。また、電力半導体基板30は、電池電圧検出部を含めて高電圧パルスを発生しているので、浮遊容量を介して、制御基板20に影響(例えば、高インピーダンス点での電位変動)を及ぼす。これらの発生ノイズを以下に述べる電磁波吸収シートASSY10で反射し、吸収して低減する。
次に、図3の構成図を用い、電磁波吸収シートASSY10について説明する。
電磁波吸収シートASSY10は、発泡シート1,5と、電磁波吸収シート2,4と、金属層(金属面体)である電磁波反射材3とを備え、電磁波反射材3は、電磁波吸収シート2,4に接合され、電磁波反射材3と電磁波吸収シート2,4とが接合された複合体は、発泡シート1,5に覆われている。なお、それぞれのシート材は、粘着材で接着されている。
電磁波吸収シートASSY10は、発泡シート1,5と、電磁波吸収シート2,4と、金属層(金属面体)である電磁波反射材3とを備え、電磁波反射材3は、電磁波吸収シート2,4に接合され、電磁波反射材3と電磁波吸収シート2,4とが接合された複合体は、発泡シート1,5に覆われている。なお、それぞれのシート材は、粘着材で接着されている。
電磁波反射材3は、体積抵抗率が低く渦電流損が少ないアルミ板、銅板が代表的であるが、導電テープ(金属箔テープ)、例えば、北川工業社のレミレス(登録商標)を使用することができる。表面導電タイプ(品番REMI−SC)は、表面が導電性を有し、剥離シートとの粘着面が絶縁性を有しており、製品総厚35μmであり、重量4mg/cm2であり、シールド特性50dB以上とされている。また、粘着面導電タイプ(品番REMI−AC)は、表面が絶縁性を有し、粘着面が導電性を有しており、厚さ55μmであり、製品総厚55μmであり、重量9mg/cm2であり、シールド特性50dB以上とされている。これらは、金属薄膜を用いているので、柔軟性があり、凹凸への追従性にも優れている。
電磁波吸収シート2,4は、例えば、古河電工社のEM−5を使用することができる。このシートは、厚さが0.1mmであり、周波数特性が10MHz〜1GHzの低周波用であり、複素透磁率μ=μ’−jμ’’=50−j15であり、表面抵抗率が108Ω/角のアクリル製である。ここで、複素透磁率μの虚部μ’’は、磁気損失を表し、この値が大きいほど電磁波を吸収する。
発泡シート1,5は、例えば、気泡を有したウレタンやポリエステル製であり、制御基板20と電力半導体基板30との双方に搭載された電子部品の間に介挿され、電子部品の凹凸への追従性をよくし、機械振動や衝撃を吸収すると共に、電子部品間を絶縁する。
次に、電磁波吸収シートASSY10の機能説明を行う。
電磁波吸収シートASSY10の一側面から入射する電磁波は、発泡シートを介して透過し、この通過した電磁波が電磁波吸収シート4を介して減衰し、電磁波反射材3で大部分の電磁波が反射すると同時に、残りの電磁波が透過する。そして、電磁波反射材3で反射した電磁波が再び電磁波吸収シート4で減衰する。すなわち、電磁波吸収シートASSY10は、基板から入射される電磁波を吸収・反射・吸収することにより、強度が低減された電磁波を反射する。また、電磁波反射材3を透過した電磁波は、電磁波吸収シート2で減衰することになる。
電磁波吸収シートASSY10の一側面から入射する電磁波は、発泡シートを介して透過し、この通過した電磁波が電磁波吸収シート4を介して減衰し、電磁波反射材3で大部分の電磁波が反射すると同時に、残りの電磁波が透過する。そして、電磁波反射材3で反射した電磁波が再び電磁波吸収シート4で減衰する。すなわち、電磁波吸収シートASSY10は、基板から入射される電磁波を吸収・反射・吸収することにより、強度が低減された電磁波を反射する。また、電磁波反射材3を透過した電磁波は、電磁波吸収シート2で減衰することになる。
したがって、電磁波吸収シートASSY10に入射して、反射する電磁波と透過する電磁波との双方が減衰する。特に、反射する電磁波が減衰するので、制御基板20を接地することなく誘導ノイズによる誤動作が少なくなる。このため、例えば、電力半導体基板30内にロジック回路が備えられているような場合には筐体内の乱反射が低減する。また、電磁波吸収シートASSY10を透過する電磁波は減衰しているので、電力半導体基板30が発生するパルス性ノイズが制御基板20に到達し難くなる。
制御基板20よりも電力半導体基板30の方が発生する電磁波ノイズが大きい。このため、電力半導体基板30が発生した電磁波ノイズが電磁波吸収シートASSY10で減衰する。また、多層基板の場合、特に、4層以上の場合には、基板の電源/接地パターンは、ベタ面であるため、これに近接する配線パターンがマイクロストリップ線路を形成し、配線インピーダンスが距離にかかわらず略一定となり、部品端末での反射ノイズの発生が少ない。このため、多層基板から放射する放射ノイズは少なくなり、逆に入射する電磁波ノイズによる誤動作が少なくなる。これに対して、電子部品からの電磁波ノイズは多いため、対向する回路基板にノイズの影響を及ぼしやすい。すなわち、部品面を対向させ、電磁波吸収シートASSY10が介挿されることにより、電子部品からの放射ノイズを低減することができる。
次に、図4,5を参照して、電磁波吸収シートASSY10のシールド効果の測定例について説明する。図4は、電磁波透過率の周波数特性の測定方法を説明するための図であり、図4(a)は、10cm角(10cm□)のサンプル、及びシールド壁を介して測定した図であり、図4(b)は、10cm角のサンプルのみでシールド壁をオープンにした基準特性の測定方法を説明するための図である。図4(a)(b)において、サンプルを介して測定室が受信室と送信室とに区分けされ、サンプルの前後2cmの位置に送信アンテナ及び受信アンテナがそれぞれ設置されている。そして、ネットワークアナライザNAは、送信アンテナに高周波電力を供給し、減衰した電磁波を受信アンテナから受信するように接続されており、送信アンテナと受信アンテナとの間の伝搬特性を測定している。
図5は、シールド効果の周波数特性図である。図5において、横軸はネットワークアナライザNAが送受信する周波数として100kHzから1GHzまで示しており、縦軸は図2(b)の構成を基準にしたシールド効果(減衰効果)として−20dBから100dBまで示している。曲線L1は、シールド材(アルミ)単体のシールド効果を示し、曲線L2は、シールド材(銅)単体のシールド効果を示し、曲線L3は、アルミと電磁波吸収材(EM−5)とを接合した複合体のシールド効果を示し、曲線L4は、銅と電磁波吸収材(EM−5)とを接合した複合体のシールド効果を示し、曲線L5は、実施形態の電磁波反射材(レミレス)と電磁波吸収材(EM−5)とを接合した複合体のシールド効果を示し、曲線L6は、シールド材(レミレス)単体のシールド効果を示す。なお、アルミ、銅の単体の厚さは1mmであり、一般的なシールドカバーを作る際に利用される厚さとしている。
図5から判るように、銅、アルミのシールド材単体(曲線L1,L2)は、共振点(アルミの約20MHz)等まではシールド効果が周波数に対して略直線的に増加しており、表皮効果の影響が現れていると考えられる。また、銅、アルミの複合体(曲線L3,L4)は数MHz以上で50dB近辺のシールド効果を呈している。また、レミレスの複合体又は単体(曲線L5,L6)は、1MHz以上で略直線的に増加している。
いいかえれば、シールド材単体(曲線L1,L2)の方が、複合体(曲線L3,L4)よりもシールド効果が大きい。しかしながら、複合体は電磁波吸収シートにより回路基板から絶縁される点で好ましい。また、銅、アルミの複合体(曲線L3,L4)の方がレミレスの複合体(曲線L5,L6)よりもシールド効果が大きい。これは、レミレス(登録商標)は、薄く、体積抵抗率が高い金属薄膜を用いているため、シールド材単体よりも磁気損失が大きく低い周波数では表皮効果によって十分な渦電流が流れないことが原因であると考えられる。しかしながら、レミレスは柔らかく、屈曲性を有するため、凹凸を有する部品間に介挿することができるという点で好ましい。すなわち、レミレスと電磁波吸収シートとの複合体は、屈曲性を有し、かつ絶縁性が高い電磁波吸収シートASSYを構成する。
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記各実施形態は、2枚の電磁波吸収シート2,4に電磁波反射材3を接合して、さらに発砲シート1,5で覆った5層構造としたが、図6(a)のように1枚の電磁波吸収シート2のみの単層構造でもよく、図6(b)のように1枚の電磁波吸収シート4と電磁波反射材3とを互いに接合された2層構造でもよく、図6(c)のように、2枚の電磁波吸収シート2,4に電磁波反射材3を接合した3層構造でもよい。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記各実施形態は、2枚の電磁波吸収シート2,4に電磁波反射材3を接合して、さらに発砲シート1,5で覆った5層構造としたが、図6(a)のように1枚の電磁波吸収シート2のみの単層構造でもよく、図6(b)のように1枚の電磁波吸収シート4と電磁波反射材3とを互いに接合された2層構造でもよく、図6(c)のように、2枚の電磁波吸収シート2,4に電磁波反射材3を接合した3層構造でもよい。
電磁波吸収シート4は、絶縁性が高く絶縁距離を短くすることができるので、単層構造の場合であっても、単なるシールド板を基板間に介挿するよりも電子制御装置の厚さを薄くすることができる。
また、2層構造の場合は、電磁波吸収シートの方を電力半導体基板30に対向させて、電磁波反射材3の方を制御基板20に対向させることが好ましい。これにより、電力半導体基板30が発生するパルス性ノイズの反射波が減衰し、筐体内での乱反射が低減する。
また、2層構造の場合は、電磁波吸収シートの方を電力半導体基板30に対向させて、電磁波反射材3の方を制御基板20に対向させることが好ましい。これにより、電力半導体基板30が発生するパルス性ノイズの反射波が減衰し、筐体内での乱反射が低減する。
(2)前記第1実施形態では、筐体と電磁波吸収シートASSY10との電気的接続を考慮しなかった。この点、筐体と電磁波吸収シートASSY10の電磁波反射材3とを電気的に接続させても接続させなくてもよい。しかしながら、制御基板20の接地端子と筐体と電磁波反射材3とを電気的に接続させることにより、制御基板20は浮遊容量による電位変動が生じにくくなり、動作が安定する。また、筐体と電磁波吸収シートASSY10の電磁波反射材3と電力半導体基板30とを一点接地するのが好ましい。このとき、制御基板20は、必要に応じて一点接地を行う。
1,5 発砲シート
2,4 電磁波吸収シート
3 電磁波反射材(金属層、金属面体)
10 電磁波吸収シートASSY
20 制御基板
30 電力半導体基板
35 スペーサ
40 上カバー(筐体)
40a,40b コネクタ
45 ビス
50 下カバー(筐体)
50a,50b コネクタ
55 ビス孔
100 電子制御装置
110 低圧バッテリ
120 モータ
130 電池モジュール
140 高圧バッテリ
150 表示部
L1,L2、L3,L4,L6 曲線
NA ネットワークアナライザ
2,4 電磁波吸収シート
3 電磁波反射材(金属層、金属面体)
10 電磁波吸収シートASSY
20 制御基板
30 電力半導体基板
35 スペーサ
40 上カバー(筐体)
40a,40b コネクタ
45 ビス
50 下カバー(筐体)
50a,50b コネクタ
55 ビス孔
100 電子制御装置
110 低圧バッテリ
120 モータ
130 電池モジュール
140 高圧バッテリ
150 表示部
L1,L2、L3,L4,L6 曲線
NA ネットワークアナライザ
Claims (7)
- 対向する2枚の回路基板と、この2枚の回路基板を収容する筐体とを備えた電子制御装置であって、
前記対向する2枚の回路基板は、これらの基板間に電磁波吸収シートが介挿されていることを特徴とする電子制御装置。 - 前記対向する2枚の回路基板は、部品面が対向して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
- 前記電磁波吸収シートは、表面が発砲シートにより覆われていることを特徴とする請求項2に記載の電子制御装置。
- 前記電磁波吸収シートは、片面に金属層が接合されたものであることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
- 前記対向する2枚の回路基板は、パルス電流が流れる電力半導体基板と、この電力半導体基板を制御する制御基板とを備え、
前記金属層は、前記電力半導体基板の側に設けられ、前記電磁波吸収シートは、前記制御基板の側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電子制御装置。 - 前記電磁波吸収シートは、両面に金属層が接合されたものであることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
- 前記筐体は、少なくとも内面に他の金属層が接合されたものであり、
前記電磁波吸収シートに接合された金属層と前記筐体に接合された他の金属層と前記制御基板の接地端子とが電気的に接合されていることを特徴とする請求項5に記載の電子制御装置。
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JP2008051728A JP2009212187A (ja) | 2008-03-03 | 2008-03-03 | 電子制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2008-03-03 JP JP2008051728A patent/JP2009212187A/ja active Pending
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