JP4360006B2 - X線透視撮影台 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線透視撮影台に係わり、特に、天板の下部に設けられた撮影装置からなる散乱線防止用グリッドを有する撮影系を用いて撮影を行なうX線透視撮影台に関する。
【0002】
【従来の技術】
一つのX線検査室、または、別のX線検査室に、近接操作式のX線透視撮影台と、胸部撮影等のできる別置きのX線管と別置きのリーダ撮影台、天板等を備えた診療所や病院がある。
【0003】
近接操作式のX線透視撮影台には、一般にアンダーチューブ式のX線透視撮影台が用いられ、操作部が透視撮影台に付いており、操作者が被検者の近くに位置して、X線受像系(速写装置、I.I.、TVカメラなど)を操作するもので、被検者への指示が与えやすく被検者に与える不安感が少なく、撮影すべき部位の位置決めや圧迫が行いやすいが、操作を短時間にするために可動する映像系の軽量化など、操作性の向上が要求されている。
【0004】
また、骨格系などの撮影のために、天板の裏側でX線管が取付けられている上部に、X線撮影用カセッテを用いてブッキー撮影が可能な撮影機構が設けられ、別置きのX線管にて単純撮影が行なわれている。
また、胸部撮影は、焦点―フイルム間距離を2m近くまで確保する必要があるため、近接操作式のX線透視撮影台では行うことができず、別置きのX線管と別置きのリーダ撮影台によって行われている。
【0005】
また、検査の手技上被検者の側面撮影を行う時、被検者を天板上で体位を横にして行わなければならない。しかし、動かすことのできない被検者の場合は、別置きのX線管と天板で、側面撮影が行われる場合がある。
そして、設備の有効利用を図るために、上記の近接操作式X線透視撮影台と、胸部撮影用等のX線管とリーダ撮影台、天板を、一つのX線検査室に備えて、タイムシェアリングでX線検査を行っているケースがある。
【0006】
図6に、別置きのX線管1、もしくは、装置本体に組み込まれたX線管1を用い、撮影台天板3の下部に設けられた撮影装置5を用いて、被検者13の撮影を行なう状態を示す。(a)は通常の正面撮影を行う状態を示し、(b)は側面撮影を行なう状態を示す。
【0007】
撮影台天板3の下部に設けられた撮影装置5は、その一角に、撮影台天板3に対して垂直な回転軸を有するA軸9と、その一辺に撮影台天板3の幅方向に対して平行な回転軸を有するB軸10が設けられ、撮影台天板3の長手方向と散乱線を除去するグリッド縞6が一致するようにグリッドが装着された撮影装置保持機構12と、その撮影装置保持機構12の内側に撮影フイルム、増感紙がセットされたカセット(図示せず)が装着される。
【0008】
(a)の通常撮影を行なう時は、撮影装置5が撮影台天板3の裏側にセットされた状態で、X線管1のコリメータ2を被検者13の正面に向けて撮影される。その時、撮影台天板3の長手方向と散乱線を除去するグリッド縞6が一致しているため、X線管1が撮影台天板3の長手方向に移動して、位置決めを行なっても、グリッド縞6によるX線のカットオフが生じない。
【0009】
(b)の側面撮影を行なう時は、X線管1は被検者13の側面に位置して、コリメータ2を被検者13の側面に向ける。そして、撮影装置5が撮影台天板3の裏側から、A軸9を中心にして回転され、撮影台天板3の外側に出される。そして、B軸10を中心にして上方に90度回転され、側面撮影位置14にセットされ、側面撮影が行なわれる。この時、グリッド縞6は被検者13の体軸方向に対し垂直の方向になり、X線管1を上下に移動させて位置決めを行なっても、グリッド縞6によるX線のカットオフが生じない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来のX線透視撮影台は、以上のように構成されており、撮影装置5を撮影台天板3の裏側に設け、グリッド付きの撮影装置保持機構12にカセッテが装着され、別置きのX線管を用いて、被検者13の単純撮影が行われ、さらに、水平方向の撮影を行なう時には、撮影装置5が撮影台天板3の裏側から、A軸9を中心にして回転され、撮影台天板3の外側に出され、そして、B軸10を中心にして上方に90度回転され、側面撮影位置14にセットされて側面撮影が行なわれている。
【0011】
しかし、撮影装置5の撮影装置保持機構12に装着されたグリッド縞6の方向を、撮影台天板3上の被検者13の側面撮影に対して最適に配置することが出来た反面、回転動作で引き出した状態で、透視撮影台を起倒させて立位撮影する場合に必要な上下方向の位置決めをした場合にX線錐軸とグリッド中心がずれてX線のカットオフが発生し、正常なX線写真を撮影することが出来ないという問題があった。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、撮影する場合に必要な上下方向のX線管の位置決めをした場合に、X線錐軸とグリッド中心とのずれによるX線のカットオフが発生することなく、被検者13の垂直方向からの通常の正面撮影、および、被検者13の水平方向からの側面撮影、さらに、透視撮影台を起倒させて遠距離からの立位撮影を正常に行なうことができるX線透視撮影台を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のX線透視撮影台は、天板を挟んだ被検者側にX線管、反対側の天板裏側に矩形のフラットパネルを対向して配置し、そのフラットパネルに天板の長手方向と散乱線を除去するグリッドの縞目が一致するようにグリッドが装着され、被検者のX線透過像を前記フラットパネルで撮影するX線透視撮影台において、前記フラットパネルを保持する保持装置の一コーナに設けられ天板に垂直な回転軸Aと、前記保持装置の1辺を軸として回転する回転軸Bと、その2軸A、Bの周りに回転する保持装置にセットされた前記フラットパネルを手前に引き出すことができるスライド機構とを備えて、通常の撮影時には前記フラットパネルが天板の裏側にセットされ、立位遠距離撮影時には前記フラットパネルがスライド機構により手前にスライドされて位置し、側面撮影時には前記フラットパネルが前記保持装置に収納され前記A軸を中心に前記フラットパネルごと手前に90度回転し前記B軸を中心に前記フラットパネルごと上方に90度回転して撮影を行なうものである。
【0014】
本発明のX線透視撮影台は上記のように構成されており、天板の裏側に設けられ、その長手方向と散乱線を除去するグリッド縞が一致するようにグリッドが装着されたフラットパネルと、撮影系を保持する保持装置の一コーナに設けられ天板に垂直な回転軸Aと、その保持装置の1辺を軸として回転する回転軸Bと、フラットパネルを手前に引き出すことができるスライド機構とを備えているので、正面撮影ではフラットパネルが天板の裏側にセットされ、側面撮影ではフラットパネルが回転軸Aを中心にして回転し外部に出され、さらに回転軸Bを中心にして回転され被検者の側面に位置し、立位撮影ではフラットパネルが手前にスライドされ位置することで、全ての状態において撮影する場合に必要な上下方向のX線管の位置決めをしても、上下方向にグリッド縞が位置しているので、X線錐軸とグリッド中心とのずれによるX線のカットオフが発生することはない。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のX線透視撮影台の一実施例を図1を参照しながら説明する。図1は本発明のX線透視撮影台の撮影装置を(a)正面撮影位置、(b)立位撮影位置、(c)側面撮影位置に配置した状態を示す図である。図2は本発明のX線透視撮影台の撮影装置を示す図である。
【0016】
本X線透視撮影台は、コリメータ2を有するX線管1と、被検者を載せる撮影台天板3と、その下部に設けられた撮影装置5から構成されている。
撮影装置5は、撮影装置保持機構4と、撮影系16とから構成されている。そして、撮影装置保持機構4は、ガイドレール11と、ターンテーブル8と、A軸9と、B軸10から構成されている。そして、撮影系16は、グリッドと、カセッテと、フイルムと、増感紙から構成されている。
【0017】
撮影装置保持機構4は、ターンテーブル8の両側にガイドレール11を設け、その内側に撮影系16をスライド機構7によって前後に引き出すことが出来る。そして、ターンテーブル8の一角に垂直に回転するA軸9を備え、ターンテーブル8ごと撮影装置5を外部に回転して出すことができる。さらに、撮影装置保持機構4の一辺を軸にして回転するB軸10を備え、外部に撮影装置5を出した状態で90度上方に回転して曲げることができる。
【0018】
撮影系16は、撮影台天板の長手方向にグリッド縞6を持つようにX線散乱線防護用のグリッドが装着され、その後方にフイルムと増感紙をセットしたカセッテが収められている。ここでは、フイルムと増感紙を撮影系16に用いたが、半導体フラットパネルの撮像装置をこのカセットの替わりに用いてもよい。
【0019】
一方、検査室に据付される透視撮影台と、天井走行懸垂式の別置きのX線管とは、相対的に装置の撮影中心位置とX線管位置が正確に一致するように据付固定されている。そして撮影装置5による撮影はつぎのとおり行われる。
【0020】
(a)正面撮影する時は、図3に示すように、透視撮影台20のX線管18と受像系19を、頭部または下肢の方に移動させて、撮影装置5が撮影台天板3の裏側に位置される。そして、被検者の正面に、天井走行部17から懸垂された別置きのX線管1、または、透視撮影台本体のX線管(オーバチューブ式の透視撮影台のとき)がセットされ、撮影台天板3の長手方向に位置決めされる。
【0021】
(b)立位撮影の時は、図4に示すように、X線透視撮影台20を立位の状態に起倒させて、スライド機構7により撮影装置5から撮影系16を手前に引き出し、撮影台天板3の横の位置にセットされる。そして、天井走行部17から懸垂された別置きのX線管1で遠距離から上下方向に位置決めされる。
【0022】
(c)側面撮影の時は、図5に示すように、撮影台天板3の裏側に位置する撮影装置5を、撮影装置保持機構4のA軸9を中心にして、ターンテーブル8ごと回転させて外部に出し、そして、B軸10を中心にして90度上方に回転して、撮影装置5を被検者の側部に位置する。そして、天井走行部17から懸垂された別置きのX線管1が側面水平位置にセットされ、上下方向に位置決めされる。
【0023】
上記(a)、(b)、(c)の何れの状態でも、撮影系16に装着されているグリッド縞6は、X線管1の上下方向の位置決め方向と一致し、X線錐軸とグリッド中心とのずれによるX線のカットオフが発生することはない。
【0024】
上記の実施例では、撮影系16としてフイルムと増感紙を撮影系16に用いたが、半導体フラットパネルの撮像装置を、このカセットの替わりに用いたものについて説明する。半導体フラットパネルの撮像装置として、通常X線を光に変換するX線変換膜と、その直下に行列状に配置されたフォトダイオードアレイと、各フォトダイオードアレイに接続されたスイッチング素子によって構成され、X線照射後、各スイッチング素子を順次ONすることで、各画素に蓄積された信号電荷を読み出して、X線画像を形成するタイプのものと、放射線に感応し入射線量に対応した電荷信号を直接出力する変換膜からなる放射線センサーアレイを有し、その直下に行列状に配置された電極にスイッチング素子が接続され、照射時に各スイッチング素子を順次ONするすることで、各画素に蓄積された信号電荷を読み出し、X線画像を形成するタイプの2種類のものがある。
【0025】
何れのタイプでも、データ記憶装置を内蔵してOFFラインで画像構成されるものや、透視撮影台の撮影系16とONラインで信号を送るものでも適用することが出来る。フイルムと増感紙を用いずに、この半導体フラットパネルの撮像装置をカセッテ替わりに用い、撮影系16にグリッドを同様に装着しておけば、同様の効果がある。
【0026】
【発明の効果】
本発明のX線透視撮影台は上記のように構成されており、透視撮影台の天板下部に、天板長手方向にグリッド縞を有した撮影装置を、スライド式引き出し機構で天板前側まで引き出して、立位撮影位置にした時、上下方向にグリッドの縞目が位置し、また、撮影装置をスライド引出機構ごと回転させて天板前側に引き出し、その後折り曲げ持ち上げて、側面撮影位置にした時、上下方向にグリッド縞が位置し、撮影する場合に、上下方向のX線管の位置決めをしても、上下方向にグリッド縞が位置しているので、X線錐軸とグリッド中心とのずれによるX線のカットオフが発生することはない。
【0027】
そのため、遠距離撮影を要するとき遠距離に配置した別のX線管を用いて、正面水平撮影、および、胸部撮影等の立位撮影を行なうことが出来る。また、動かすことが出来ない被検者、骨格系などの側面からの撮影を要するとき、別置きのX線管を用いて、側面撮影をすることが出来る。従って、一台の本X線透視撮影台を設置することにより、一般の透視撮影と併用して、遠距離からの正面撮影、立位撮影、側面撮影を、X線錐軸とグリッド中心のずれによるX線のカットオフがなく、鮮明なX線画像を得ることができると共に、大掛かりな装置を必要とせず検査室の空間を有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のX線透視撮影台の一実施例を示す図である。
【図2】 本発明のX線透視撮影台の撮影装置保持機構を示す図である。
【図3】 本発明のX線透視撮影台の正面撮影の一実施例を示す図である。
【図4】 本発明のX線透視撮影台の立位撮影の一実施例を示す図である。
【図5】 本発明のX線透視撮影台の側面撮影の一実施例を示す図である。
【図6】 従来のX線透視撮影台の撮影装置保持機構の操作を説明するための図である。
【符号の説明】
1…X線管
2…コリメータ
3…撮影台天板
4…撮影装置保持機構
5…撮影装置
6…グリッド縞
7…スライド機構
8…ターンテーブル
9…A軸
10…B軸
11…ガイドレール
12…撮影保持機構
13…被検者
14…側面撮影位置
15…立位遠距離撮影位置
16…撮影系
17…天井走行部
18…X線管
19…受像系
20…透視撮影台
Claims (1)
- 天板を挟んだ被検者側にX線管、反対側の天板裏側に矩形のフラットパネルを対向して配置し、そのフラットパネルに天板の長手方向と散乱線を除去するグリッドの縞目が一致するようにグリッドが装着され、被検者のX線透過像を前記フラットパネルで撮影するX線透視撮影台において、前記フラットパネルを保持する保持装置の一コーナに設けられ天板に垂直な回転軸Aと、前記保持装置の1辺を軸として回転する回転軸Bと、その2軸A、Bの周りに回転する保持装置にセットされた前記フラットパネルを手前に引き出すことができるスライド機構とを備えて、通常の撮影時には前記フラットパネルが天板の裏側にセットされ、立位遠距離撮影時には前記フラットパネルがスライド機構により手前にスライドされて位置し、側面撮影時には前記フラットパネルが前記保持装置に収納され前記A軸を中心に前記フラットパネルごと手前に90度回転し前記B軸を中心に前記フラットパネルごと上方に90度回転して撮影を行なうことを特徴とするX線透視撮影台。
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