JP3860086B2 - X線撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、X線発生装置から照射されたX線を可視化して得られる像をCCDカメラにより撮像するX線撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療分野などでX線写真を撮像する場合は、イメージ・インテンシファイア(イメージ管と呼ばれる)という真空管を利用するとともに、遠隔操作が可能であり、CCDカメラ(Charge Coupled Device)で撮像した画像を画像表示装置に表示できるX線撮像装置が使用されている。イメージ管とは、真空管内面に塗布された蛍光面によりX線を光に変換した後、蛍光面の後方に配置された光電面により光を電子線に変換して加速及び収束を行い、この電子線による結像を可視光線に変換して明るい画像を得ることができるものである。
【0003】
かつて、このようなイメージ管が開発される前は、蛍光紙や増感紙によりX線を可視光線に変換し、この可視光線による像を観察することで、被写体の位置確認のための透視を行っていた。透視は連続的にX線を照射するため、X線発生装置の保護及び被写体の被曝防止の観点から、透視時におけるX線照射量は撮影時に比べて数百分の一程度であった。このため、透視時における蛍光紙や増感紙に映し出される像は、非常に暗いものであった。
【0004】
このような問題を解決する手段として、イメージ管が開発され、かかるX線撮像装置としては、例えば特開平11−47121号公報に開示されているものがある。これは、被写体の上方にX線発生装置(X線管)が配置されるとすると、被写体の下方に配置されるものであり、被写体にX線が放射されると、イメージ管(X線検出器)が被写体を透過したX線を電子線に変換及び収束し、光電変換して可視化することによりイメージ管の出力面に被写体の所定の像を結像し、その可視化された被写体の所定の像がCCDカメラにより撮像されて画像表示装置に表示される。X線発生装置とX線撮像装置にはコントローラ(X線発生スイッチ)が接続されて遠隔操作可能となっており、X線発生装置のX線放射に合わせてX線撮像装置の撮像のタイミングが制御されている。
【0005】
一方、イメージ管を使用せず、被写体を透過したX線を増感紙に照射させ、増感紙に結像される像をそのままCCDカメラにより撮像するX線撮像装置が近年提案されている。この一例として、特開2000−329898号公報には、増感紙(この公報では、「金属蛍光増感紙」とされている。)と冷却CCDカメラとを使用したX線撮像装置が開示されている。このX線撮像装置は、暗室箱に増感紙と冷却CCDカメラが配置された構成となっており、増感紙により変換される可視光線は微弱であるが、露光時間を長くすることが可能な冷却CCDカメラを使用することにより被写体の所定の像を撮像するものである。また、X線が冷却CCDカメラに照射されるとCCD素子が破壊されたり画像にノイズが発生したりするため、冷却CCDカメラの周囲をX線遮断材で覆うとともに、冷却CCDカメラをX線が直接照射される範囲より外側に配置し、増感紙により変換された可視光線を反射ミラーにより冷却CCDカメラの位置まで反射させて撮像する構成となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術で使用されるイメージ管は、その構造は約17cmから35cmの直径に入射してくるX線(X線錐)を直径23mm程度の可視光像に変換するものであり、大きい入射範囲のものになるほど製作技術は高度になり製作が困難になるとともに、イメージ管を使用したX線撮像装置は高コストになる問題が生じていた。
【0007】
一方、増感紙を使用したX線撮像装置は安価ではあるが、増感紙により変換される可視光線は微弱であるため、依然として画像が暗く不明瞭であり、医療分野等においては実用性に欠けるという問題があった。また、増感紙を使用する場合は、増感紙を透過して冷却CCDカメラのCCD素子に達するX線の量が多いため、X線によるCCD素子の破壊やノイズの発生の防止が重要な課題となっているが、従来は冷却CCDカメラをX線が照射される範囲よりも外側に配置することにより解決しているため、冷却CCDカメラが増感紙よりも外側にはみ出した位置に配置されることとなり、暗室箱が大型化する問題を有していた。また、反射ミラーを使用してX線蛍光像を90度等に反射させる、すなわち、増感紙により変換された可視光線を反射ミラーにより反射させることにより被写体の像を一つの冷却CCDカメラで撮影すると、光量(可視光線の量)が減衰して画像が不鮮明になってしまうという問題も有していた。また、一つの冷却CCDカメラの外周をX線遮蔽材で覆うものであるが、このX線遮蔽材で冷却CCDカメラの外周を覆うようにする作業には多大な労力がかかること、冷却CCDカメラのレンズ部分は覆われていないこと、さらに、冷却CCDカメラは高価であること等の問題を有していた。
【0008】
さらに、従来のX線撮像装置は、撮像のタイミングをX線放射と合わせるためにコントローラやX線発生装置と連結する必要があり、連結するコントローラやX線発生装置の動作仕様等に合わせてシステム的にX線撮像装置を設計する必要があり、個々の装置に関して独立性の低いものとなっていた。
【0009】
特に、高価なイメージ管を所有しない動物病院において犬やネコ等の小動物のX線撮像を行う場合、透視画像を見ながら撮像フィルムの入ったカセッテを所定位置に移動させるといった従来の撮像方法においては、透視画像において適当と思われる位置に被写体を固定しようとしても被写体が暴れたりして、撮像フィルムへの曝射の瞬間には元の位置からずれてしまうことも多かった。このため、何度も撮像しなおすことが多く、そのたびにカセッテに撮像フィルムを装着しなおしてから透視画像の確認工程からやり直す必要があり、手間がかかるだけでなく、撮像フィルムの無駄も多かった。また、魚などの水中生物においては、空気中に出しておける時間が限られるため、撮像にかかる時間をできる限り短くする必要がある。したがって、動物病院においては特に、撮像の工程が単純であり、かつ、低廉なX線撮像装置に対する需要が高いものとなっていた。
【0010】
そこで本発明の目的は、構成が容易で安価でありながら鮮明な画像を得ることができるX線撮像装置を提供することにある。また、本発明は、従来からあるX線発生装置や被写体を載せる撮像用テーブルと組み合わせて使用することができ、独立性を有する小型の暗室箱を使用したX線撮像装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のX線撮像装置は、X線発生装置から照射されたX線を可視化して得られる被写体の像を撮像するX線撮像装置において、X線を可視光に変換する増感紙又は蛍光紙と、増感紙又は蛍光紙に可視化された被写体の像を撮像する複数のCCDカメラと、この複数のCCDカメラが内部に配置されているとともにX線が照射される側に増感紙又は蛍光紙が配されている暗室箱と、CCDカメラにより撮像した画像を処理する画像処理手段とを備え、複数のCCDカメラのうち少なくとも2台を用いて、被写体の像を分割して撮像することにより複数の中間画像を生成し、この複数の中間画像を画像処理手段により合成して最終画像を生成するものであり、前記暗室箱は、増感紙又は蛍光紙により変換された可視光線を感知する蛍光センサを備え、前記画像処理手段は、蛍光センサの光電変換による電気信号を検知して蓄積開始トリガー信号を送出し、かつ蓄積開始トリガー信号生成から一定時間経過後に伝送開始信号を送出し、前記CCDカメラは、画像処理手段から送出された蓄積開始トリガー信号により撮像を開始し、伝送開始信号を検出するまで露光を続けることを特徴とする
【0012】
この請求項1記載の発明によれば、X線発生装置が被写体に対してX線を照射すると、被写体の像が増感紙又は蛍光紙に映し出され、これを複数のCCDカメラが撮像することで複数の中間画像が生成され、この複数の中間画像を画像処理手段により合成して最終画像が生成される。複数のCCDカメラが被写体の像を分割して撮像して中間画像を得るため、一台のCCDカメラが撮像する範囲が狭くなり、その結果、中間画像は、この狭い範囲をある程度のCCD素子の大きさ及び素子数を有する一台のCCDカメラで撮像した画像となるため、鮮明な最終画像を得ることができる。
【0013】
また、請求項1記載の発明によれば、暗室箱のX線が照射される側に増感紙又は蛍光紙が配されていることから、暗室箱の移動等に伴って一緒に移動可能であるため、CCDカメラと増感紙又は蛍光紙との間隔をCCDカメラの焦点距離の位置に固定することができ、X線撮像の準備としての位置合わせ工程が大幅に簡易化される。さらに、この発明によれば、増感紙又は蛍光紙により変換された可視光線を感知する蛍光センサの電気信号を検知して、画像処理手段から蓄積開始トリガー信号が送出されることによりCCDカメラが撮像を開始するため、撮像のタイミングを実際のX線放射に合わせることができる。このため、例えばX線発生装置の故障等により、実際にX線が放射されているにも関わらず、撮像開始信号がX線撮像装置に送られないという、危険な事態が防止される。また、例えば、病院等においてX線発生装置や被写体を載せる撮像用テーブルを既に備える所では、これら既存の装置等を利用することができ、既存のX線発生装置等と接続する必要がなく、パーソナルコンピュータ等の画像処理手段と連結するだけで取り付け作業が完了する。また、蓄積開始トリガー信号の検出から一定時間経過後の伝送開始信号を検出するまでの間、露光を続けるため、CCDカメラのCCD素子に十分な電荷を蓄積させることができ、増感紙又は蛍光紙に映し出される暗い画像を、鮮明に映し出すことができる。
【0014】
本発明の請求項2記載のX線撮像装置は、X線発生装置から照射されたX線を可視化して得られる被写体の像を撮像するX線撮像装置において、X線を可視光に変換する増感紙又は蛍光紙と、増感紙又は蛍光紙に可視化された被写体の像を撮像する複数のCCDカメラと、この複数のCCDカメラが内部に配置されているとともにX線が照射される側に増感紙又は蛍光紙が配されている暗室箱と、CCDカメラにより撮像した画像を処理する画像処理手段と、被写体を載せる撮像用テーブルを備え、X線発生装置と被写体を載せる撮像用テーブルは、病院で設置されているものを使用し、複数のCCDカメラのうち少なくとも2台を用いて、被写体の像を分割して撮像することにより複数の中間画像を生成し、この複数の中間画像を画像処理手段により合成して最終画像を生成するものであり、前記暗室箱は、その上方側に、外部からの光を遮断して内部を暗状態にする暗空間が形成される一方、その下方側に、X線遮断板によりX線が遮断されるX線遮断空間が形成され、前記各CCDカメラは、そのレンズ以外の部分がX線遮断空間に収納され、レンズ部分は暗空間とX線遮断空間とを分けるX線遮断板に設けられたレンズ用の孔に配されて増感紙又は蛍光紙に向けられているとともに、前記CCDカメラのレンズ部分は、X線を遮断し且つ増感紙又は蛍光紙により変換された可視光線を透過するX線遮断部材により覆われており、暗室箱の下方にキャスターが取り付けられて移動可能であり、上記X線発生装置の設置箇所に移動させるとともに、暗室箱を撮像用テーブルの下にして使用することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、CCDカメラがX線遮断板を介してX線遮断空間に収納されるので、レンズ以外の部分からX線がCCD素子に照射されることが防止され、CCD素子が破壊されたり、X線ノイズとしてCCDカメラに悪影響を及ぼしたりする事態が生じにくい。したがって、CCDカメラを増感紙よりも外側に配する必要がなく、暗室箱を小型化することができる。そして、暗室箱内においてCCDカメラがX線照射方向に直接向けて配されていることにより、暗室箱の小型化が図られる。さらに、この暗室箱に、増感紙又は 蛍光紙により変換された可視光線を感知する蛍光センサがCCDカメラの撮像を開始させる構成とすることにより、X線が照射されるX線発生装置や撮像用テーブルが既に配置されていることが多い病院等での導入が容易な独立性を有する暗室箱を提供することが可能である。
【0016】
【0017】
また、この発明によれば、CCDカメラのレンズ部分はX線を遮断し且つ増感紙又は蛍光紙により変換された可視光線を透過するX線遮断部材により覆われているため、X線がCCDカメラのレンズ部分から入射してCCD素子を照射することが防止される。したがって、暗室箱を小型化しながらも、レンズ部分から入射するX線を原因とするCCD素子の破壊やX線ノイズを防止することができる。
【0018】
本発明のX線撮像装置の構成としては、前記暗室箱に、被写体に照射されたX線が散乱することにより、像のコントラストが低下することを防止するグリッドが着脱手段を介して取り付けられている構成とすることができる。
【0019】
従来、X線発生装置において発生させるX線量を増大させる必要があるが、小動物等のX線被曝の影響が深刻な場合は、X線量の増大は好ましくないため、像のコントラストを向上させる必要があるときにのみ、グリッドを使用すべきである。この発明によれば、上記のようにグリッドが必要な場合のみグリッドを着脱手段を介して取り付けることができる。
【0020】
本発明のX線撮像装置の構成としては、前記複数のCCDカメラは、左右のCCDカメラとその間の中央のCCDカメラの3台であり、左右のCCDカメラの2台は、被写体の像を分割して撮像することにより複数の中間画像を生成し、この複数の中間画像を画像処理手段により合成して最終画像を生成するものであり、中央のCCDカメラは、増感紙又は蛍光紙の撮像範囲を大きくするために光学的拡大機能を有するCCDカメラのレンズにクローズアップレンズとズームレンズとの組み合わせを使用したものである構成とすることができる。ズームレンズを使用する場合は、被写体からレンズまでの距離が比較的長く(約1m〜無限遠)なり、暗室箱が大型化してしまうため、その距離が比較的短くなるズームレンズとクローズアップレンズの組み合わせを使用する方が暗室箱の小型化を阻害することがないため好ましい。
【0021】
この発明によれば、被写体の所定の像を拡大したい場合は光学的拡大機能を使用することにより、解像度が一定に保たれた拡大画像を生成することができるため、デジタル的な拡大機能のみを備える装置と比較して、高画質な拡大画像を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に述べる。
【0023】
(第1の実施の形態)
本実施の形態は、動物病院において、X線発生装置2から被写体にX線を照射するとともに、カセッテ或いはカセットと呼ばれる撮像用フィルムの入ったケースを使用して撮像用フィルムを露光させて撮像する方式における撮像装置に代えて、本方式のX線撮像装置1を導入する例で説明する。すなわち、X線発生装置2と撮像用テーブルTは、動物病院で既に使用されているものとして説明する。X線発生装置2は、単相方式20kVA又はインバータ方式16kVA以上の出力を有すれば、本実施の形態のX線撮像装置1を導入することができる。
【0024】
本実施の形態のX線撮像装置1は、図1に示すように、被写体Dに対してX線を照射するX線発生装置2と、被写体Dを載せる撮像用テーブルTと、X線を可視光に変換する増感紙又は蛍光紙5と、増感紙又は蛍光紙5に可視化された被写体Dの所定の像を撮像するCCDカメラCA1,CA2,CA3が配置された暗室箱A1と、CCDカメラCA1,CA2,CA3により撮像した画像を処理する画像処理手段13とを備える。CCDカメラCA1,CA2,CA3と画像処理手段13とは、コントロールボックス10を介して連結されている。コントロールボックス10は、X線の放射を暗室箱A1内の蛍光センサ11により検知し、パソコン本体や画像処理手段13へ送信するとともに、暗室箱A1内のレンズL2のズーム範囲をコントロールする。X線発生装置2と被写体Dを載せる撮像用テーブルTは、従来のものをそのまま使用する。画像処理手段13は、一般家庭でも使用されるパーソナルコンピュータが使用され、パソコン本体13aとモニター13bとからなる。パソコン本体13aに画像入力ボード15が装着され、暗室箱A1内のCCDカメラCA1,CA2,CA3からカメラケーブル(後述する符号K1)を通して送られてくる画像を画像処理手段13へ送る。なお、暗室箱A1内部と画像入力ボード15へは、画像処理手段13より電源が供給される。
【0025】
X線発生装置2は、X線を照射する方向が下方に向けて配置されているが、病院等では通常このように既に配置されている。撮像用テーブルTは、撮像台とも言われるが、本実施の形態の撮像用テーブルTも病院等で既に使用されているものであり、撮像用テーブルT自体はX線を良く透過する。なお、本発明では、従来のカセッテ或いはカセットと呼ばれる撮像用フィルムの入ったケースを使用しない。
【0026】
暗室箱A1は、下方にキャスターCsが取り付けられた移動可能な構造を有している。撮像用テーブルTの下方に移動させて配置させるためである。すなわち、暗室箱A1は、下方にキャスターCsが取り付けられたベース基台Bに脚部Ctを介して連結されている。
【0027】
暗室箱A1は、厚さが約1.6mm程度の鉄製の部材により組み立てられる直方体形状の筐体であり、高さが600mmで、幅が400mmで、奥行きが310mm程度での大きさである。暗室箱A1は、その上方側に、外部からの光を遮断して内部を暗状態にする暗空間7aが形成される一方、暗室箱A1の下方側に、X線を遮断するX線遮断板6によりX線が遮断されたX線遮断空間7bが形成されている。暗空間7aの最上部には、増感紙又は蛍光紙5が固定される。すなわち、暗室箱A1の上面に配されるパネルの裏面全体に貼り付けるようにして固定されている。X線遮断板6は、金属製板材によりX線を遮断するもので、CCDカメラCA1,CA2,CA3のレンズ部分L1,L2,L3を配置させるためのレンズ用の孔6a,6b,6cが形成されている(図7(a))。本実施の形態では、3台のCCDカメラCA1,CA2,CA3を使用しているために、X線遮断板6の中央にレンズ用の孔6a,6b,6cが3個形成されている。X線遮断板6を介してCCDカメラCA1,CA2,CA3を直接X線の照射方向に向けることにより小型化が図られている。
【0028】
3台のCCDカメラCA1,CA2,CA3は、その前部分に各々レンズL1,L2,L3が取り付けられ、X線照射方向に直接向けて配されている。すなわち、暗室箱A1のX線遮断板6の中央に所定間隔をおいて形成されるレンズ用の孔6a、6b、6cに向けて3台のCCDカメラCA1,CA2,CA3の各々のカメラが上方に向くように配置されている(図7(a)、(b))。
【0029】
3台のCCDカメラCA1,CA2,CA3は、30万画素程度のもので、数百万画素を有する一般的なCCDカメラと比較すると低仕様すなわち低価格なものを使用している。また、いずれのCCDカメラCA1,CA2,CA3もプログレッシブ方式のものを使用している。また、プログレッシブ(順次走査)方式のカメラの中には、パソコン(パソコン本体13b)に組み込まれた画像入力ボード15からの信号により蓄積開始のタイミング及び露光時間を制御できるものがあり、これを使用した。CCDカメラCA1,CA2,CA3は、そのレンズ部分以外は、暗室箱A1のX線遮断空間7bに収納され、X線がCCDカメラCA1,CA2,CA3のCCD素子に照射されることを防止している。また、CCDカメラCA1,CA2,CA3のレンズL1,L2,L3の材料には、通常、微量の鉛が含まれるため、ある程度のX線量であれば、レンズL1,L2,L3を通過する際に鉛成分に吸収され、CCD素子に到達することはない。3台のCCDカメラCA1,CA2,CA3のうち、中央のCCDカメラCA2のレンズL2は、被写体Dの所定の像を光学的に拡大可能な光学的拡大機能を有する。光学的拡大機能には、ズームレンズによるものや、クローズアップレンズとズームレンズとの組み合わせによるものが挙げられ、拡大範囲(ズーム範囲)は、コントロールボックス10により制御される。
【0030】
増感紙又は蛍光紙5及びCCDカメラCA1,CA2,CA3は、X線撮像装置1の使用目的によって適宜使い分けることができる。一般的に、増感紙又は蛍光紙5の発光量と分解能は、トレードオフの関係にある。すなわち、発光量の少ない増感紙又は蛍光紙5は分解能が高く、詳細な画像を映し出すことができる。このため、少ない発光量の光を感度良く検知し、かつ、この増感紙又は蛍光紙5の分解能に対応できるようなCCDカメラCA1,CA2,CA3を選ぶことにより、詳細な画像が得られる。一方、それほど詳細な画像を必要としない場合は、発光量の大きな増感紙又は蛍光紙5を用いることにより、この増感紙又は蛍光紙5の発光量を検知することができる程度の感度を持ち、かつ、その分解能に見合う程度の分解能を持つCCDカメラCA1,CA2,CA3を選ぶことにより、装置全体を低価格で実現することができる。
【0031】
3台のCCDカメラCA1,CA2,CA3のうち、中央のCCDカメラCA2の左右に配されるCCDカメラCA1,CA3は、被写体Dの所定の像(犬の脚の骨や内臓等)の所定部分を分割して撮像して、二枚の中間画像を生成する。画像処理手段13には、この二枚の中間画像を一枚に合成して最終画像を生成するプログラムソフトが組み込まれている。プログラムソフトは、画像の拡大機能や、画像の回転等の角度調整機能等をも備えている。
【0032】
暗室箱A1には、X線の照射による増感紙又は蛍光紙5からの光を捉える蛍光センサ11が取り付けられ、この蛍光センサ11の光電変換による電流を電気信号としてX線の照射を検出して、CCDカメラCA1,CA2,CA3の撮影動作が開始されるようになっている。すなわち、増感紙又は蛍光紙5がX線の照射を受けて光り始めると、その光を蛍光センサ11が捉え、光電変換による電流を蛍光検出部16へ送る。蛍光検出部16は、これを電流電圧変換し、増幅し、コントロールボックス10のX線トリガー回路14へ送る。この電圧が一定レベルに達すると、X線トリガー回路14は、パーソナルコンピュータである画像処理手段13のPCIバスに装着された画像入力ボード15にX線トリガー信号を送る。画像入力ボード15は、X線トリガー信号を受け取ると、CCDカメラCA1,CA2,CA3に増感紙又は蛍光紙5に映し出された映像を電荷蓄積するために蓄積開始トリガー信号を送る。画像入力ボード15は、CCDカメラCA1,CA2,CA3に蓄積開始トリガー信号を送った後、一定時間経過後、CCDカメラCA1,CA2,CA3に蓄積された電荷を映像信号として、画像入力ボード15に送り始めるための伝送開始信号をCCDカメラCA1,CA2,CA3に送る。次いで、CCDカメラCA1,CA2,CA3は、蓄積された電荷を映像信号として画像入力ボード15へ送り、さらにその映像信号を画像入力ボード15からパソコン本体13aの内部メモリーへ送り、内蔵されているプログラムソフトにより適宜画像処理が行われた後にモニター13bに画像を表示するとともに、必要な場合はそのデータをパソコン本体13aに保存する。本実施の形態において、蓄積開始トリガー信号を送出してから伝送開始信号を送出するまでの時間は、0.25秒としたが、X線発生装置2の最大出力が小さい場合に大型の動物等を撮影するときは、この時間を長く設定することも可能である。しかし、CCD素子のチャージ時間が長くなると、画素の欠損が目立つ現象が起きるため、あまりに長い時間を設定することは好ましくない。
【0033】
したがって、本実施の形態を実際に使用するときは、図1に示すように、既に病院等においてX線発生装置2の下方に設置されている撮像用テーブルTの下に暗室箱A1を納めるように移動させる。暗室箱A1は、小型化が図られているため、既存の撮像用テーブルTの下に容易に収納でき、また,キャスターCsを有するため、移動や運搬が容易である。
【0034】
本実施の形態では、X線発生装置2等の他の装置に接続する必要がなく、独立性の高いX線撮像装置1となるため、暗室箱A1の導入から撮像開始にかけての準備作業が大幅に低減されることとなる。さらに、暗室箱A1のみを移動させることが可能であるため、複数のX線発生装置2に対して一つの暗室箱A1を共通に使うこともできる。また、上記構成の暗室箱A1を使用すれば、従来の様々なX線発生装置2や撮像用テーブルT等と組み合わせて使用できる汎用性の高いX線撮像装置1となり、換言すると、従来構造のX線撮像装置全体を廃棄することなく、暗室箱A1とコントロールボックス10のみ購入すればよくなり、また、新たに他の専用装置を購入する必要もない。
【0035】
X線発生装置2のX線管球よりX線が照射され、被写体Dを通過したX線は、暗室箱A1に配置された増感紙又は蛍光紙5に可視化された被写体Dの所定の像を作り、被写体Dの所定の像をCCDカメラCA1,CA2,CA3が撮像する。例えば、被写体Dが犬の足である場合は、CCDカメラCA1,CA3がこれを分割して撮像して、撮像した画像を画像処理手段13で処理する。また、犬の足を拡大して撮像する場合は、CCDカメラCA2がこれを担当する。すなわち、CCDカメラCA2のレンズL2により拡大すると、拡大画像の解像度は一定であり、拡大により画質が低下することはない。
【0036】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、図2から図6に示すように、グリッドGを着脱させる着脱手段21が設けられた暗室箱A2を使用している。着脱手段21は、暗室箱A2の上面に設けられた一対の断面コ字状のレールRa,Raと、暗室箱A2の上面端部に回転可能に取り付けられた金属フレーム22と、金属フレーム22の裏面中央付近に設けられたストッパー25と、金属フレーム22を暗室箱A2の上面側部に水平状態に支持するストッパー金具23とからなる。ストッパー金具23は、暗室箱A2の側面の上部中央に取り付けられ、水平方向に回転可能な機構を有する。金属フレーム22は、開口部を有する四角形状を呈し、暗室箱A2の上面より一回り大きく形成されている。また、金属フレーム22の裏面中央付近には、板状の金属片からなるストッパー25が取り付けられている。金属フレーム22を水平状態に固定する際は、金属フレーム22を水平状態に持ち上げて、ストッパー金具23を約90°回転させてストッパー25に当接させ、ストッパー金具23の上部に金属フレーム22を乗せるようにする。本実施の形態においては、ストッパー金具23及びストッパー25はそれぞれ一つずつであるが、金属フレーム22の安定性等を考慮して複数としてもよい。金属フレーム22のレールRa,Raの延長に位置する一対の対向する二辺は、断面コ字状に折り曲げられてレールRb,Rbを形成し、金属フレーム22を水平状態として暗室箱A2上面のレールRa,Raと並んだときに、連結された一対のレール状となるように形成されている。この一対のレールRb,Rbの間にグリッドGが着脱可能に構成されている。詳しくは、グリッドGの両脇を固定する断面L字状の固定具24を一対のレールRb,Rbにはめ込み、スライドさせることにより着脱可能となっている。なお、図3において、符号K1は、カメラケーブルのキャプコンであり、CCDカメラCA1,CA2,CA3と画像入力ボード15を接続している。符号K2は、コントロールケーブルを接続するコネクタであり、コントロールケーブルは、蛍光センサ11からX線トリガー回路14への信号とコントロールボックス10からレンズL1,L2,L3への制御信号とを伝送する。
【0037】
更に、3台のCCDカメラCA1,CA2,CA3の各々のレンズL1,L2,L3部分には、X線遮断部材17が配されている。このX線遮断部材17は、X線を遮断する、つまり各々のレンズL1,L2,L3部分からX線がCCDカメラCA1,CA2,CA3に照射されないようにするために配されるもので、鉛が組み込まれたガラス等が挙げられ、本実施の形態においては、日本電気硝子株式会社製のLX−57B(鉛当量1.1mmPb)を使用した。図7
(c)に示すように、一枚の透明鉛ガラス17が3個のレンズ用の孔6a,6b,6cを塞ぐようにX線遮断板6の上に配されているものでも良い。その他の構成や使用例は、第1の実施の形態と同様である。
【0038】
グリッドGは、被写体Dに照射されたX線が散乱することにより、像のコントラストが低下することを防止するものである。一般的に、鉛のようなX線吸収の大きな金属を短冊状にして所定の間隔を空けて並べ、その間にアルミや樹脂等のX線を透過する材料を配したものである。入射されたX線のうち、散乱等によって斜めに入射されるX線は、鉛に吸収され、平行に近い角度で入射されるX線は、一部が鉛に吸収され、一部が透過する。このため、透過するX線はほぼ平行となるが、鉛によって一部吸収されるため、増感紙又は蛍光紙5に到達するX線量は減少し、増感紙又は蛍光紙5において可視化される像も暗いものとなる。これを防ぐためには、X線発生装置2において発生させるX線量を増大させる必要があるが、小動物等のX線被曝の影響が深刻な場合は、X線量の増大は好ましくないため、像のコントラストを向上させる必要があるときにのみ、グリッドGを使用すべきである。また、CCDカメラCA2のレンズL2をズームアップさせて、像を拡大するときは、グリッドGの短冊状の金属の影が目立ち、鮮明な像とならない場合があるため、拡大率に応じてグリッドGを使用すべきである。
【0039】
したがって、グリッドGは使用の目的により、取り付けたり外したりすることがある。詳しくは、撮像の前に、ストッパー金具23を介して金属フレーム22を暗室箱A2の上面に水平状態に支持した後、両側が固定具24に固定されたグリッドGを一対のレールRb,Rbに嵌合させてから暗室箱A2を撮像用テーブルTの下に入れて使用する。使用中において、グリッドGを増感紙又は蛍光紙5の上部に置く場合は、一対のレールRb,RbにそってグリッドGをスライドさせ、不要となった場合は、同様にレールRb,Rbに沿ってグリッドGを外方にスライドさせる。このようにすることにより、暗室箱A2を撮像用テーブルTの外に出すことなく、グリッドGの装着及び取り外しが可能となる。換言すると、CCDカメラCA1,CA2,CA3の位置と増感紙又は蛍光紙5の位置が定まった状態を保ちながら、グリッドGを移動させることができるため、グリッドGの移動の度にCCDカメラCA1,CA2,CA3の撮像範囲を合わせなおす必要がない。また、暗室箱A2を移動させる場合や、別の場所に収納する場合には、ストッパー金具23及び金属フレーム22を折り畳んで、コンパクトな形状とすることができる。
【0040】
他方、グリッドGを使用しない場合、暗室箱A1,A2の増感紙又は蛍光紙5及びレンズL1,L2,L3が受けるX線照射量は増大されるが、レンズL1,L2,L3の前にX線遮断部材である透明鉛ガラス17が配されているため、増感紙又は蛍光紙5及びレンズL1,L2,L3を通過したり、被写体D等により散乱されたX線がCCDカメラCA1,CA2,CA3のCCD素子に到達して、CCD素子を損傷させたり映像信号に雑音を生じさせたりすることがない。
【0041】
ここで、図示しないが、暗室箱A1,A2は、昇降手段を備える構成とすると、より好ましくなる。すなわち、第1及び第2の実施の形態のベース基台Bや脚部Ctにエアーシリンダ等の昇降手段を取り付けることにより、撮像用テーブルTと暗室箱A1,A2の上方の増感紙又は蛍光紙5との間隔を調節できるようにすると良い。様々な高さの撮像用テーブルTと組み合わせて使用可能な汎用性の高いものとするためである。
【0042】
(実施例1)
次に、本実施の形態において、種々の実験を行った。第1に、上記第1と第2の実施の形態のX線撮像装置1を使用して、犬や猫の骨を映し出すことを試みた。増感紙5を使用し、33万画素の工業用のCCDカメラCA1,CA2,CA3を使用した。通常のCCDカメラでは、電源を入れるとすぐにスキャン(画像の取り込みと画像処理手段13への送信)を開始するが、制御信号を入れるまでCCDカメラCA1,CA2,CA3を休止させておき、実際にX線が出始めてすぐに蓄積開始トリガーによりCCDカメラCA1,CA2,CA3を動作させてチャージさせ、蓄積時間を画像入力ボード15によって制御することで、CCDカメラCA1,CA2,CA3を100%の効率で使用するようにした。その結果、体長80cm以下、体重50kg以下の犬や猫等の小動物では、その骨や内蔵系を鮮明に映し出すことが出来た。その例を示すものが図9
である。ここで、図9に示す画面を得るときには、パソコン本体13aを使用して、図8に示すモニター13bの画面の取り込み開始ボタンをクリックする。なお、図8の画面において、「全画面」ボタンは、CCDカメラCA1,CA3がこれを分割して撮像して、撮像した画像を画像処理手段13で処理するものである。また、「ズーム大」と「ズーム小」のボタンは、CCDカメラCA2のレンズL2により拡大したり縮小したりするものである。
【0043】
(実施例2)
第2に、増感紙又は蛍光紙5の撮像範囲を大きくするために光学的拡大機能を有するCCDカメラCA2のレンズL2にクローズアップレンズとズームレンズとの組み合わせを使用した。このクローズアップレンズとズームレンズを取り付けたCCDカメラCA2を使用し、増感紙又は蛍光紙5との間を一定の距離(クローズアップレンズで決められた距離)にしておけば、ズームレンズを無限遠に調整するとともに、バックフォーカスを調整すれば、拡大率を変えてもフォーカスがずれない犬や猫の骨を鮮明に映し出すことができた。ズームレンズを使用する場合は、被写体からレンズまでの距離が比較的長く(約1m〜無限遠)なり、暗室箱A1,A2が大型化してしまうため、その距離が比較的短くなるズームレンズとクローズアップレンズの組み合わせを使用する方が暗室箱A1,A2の小型化を阻害することがない。なお、デジタル的な拡大機能のみを備える装置によりデジタル的に拡大すると、所定の画素数で撮像した画像をパーソナルコンピュータで拡大するため、拡大した部分の画素数が減少し、解像度が低下した。
【0044】
(実施例3)
第3に、CCDカメラCA1,CA2,CA3として、画素数(CCD素子)が30万画素よりも多い100万画素以上のCCDカメラを使用したが、鮮明な画像は得られなかった。画素数が多いCCDカメラは、一つの画素の面積が小さくなるため、感度が低くなってしまうためであると考えられる。このため、画素がある程度の面積を有するものとすることで、感度を確保した。上記小型化が可能である暗室箱A1,A2において、上記構成とすることにより、画素数が少ないCCDカメラを使用することが可能になり、製造コストの低廉化と小型化を図りながらも鮮明な最終画像が得られた。
【0045】
(実施例4)
第4に、X線遮断部材17を使用しなかった場合、つまりX線遮断板6のみでCCDカメラCA1,CA2,CA3を覆うようにするだけでも、CCDカメラCA1,CA2,CA3のCCD素子の破壊やX線ノイズを生じさせることがなかった。これは、グリッドGを使用しなかったために、撮像に必要なX線量が少なくてすみ、X線遮断板6を介してCCDカメラCA1,CA2,CA3のレンズ部分L1,L2,L3以外は、直接X線が照射されず、また、レンズ部分L1,L2,L3に入射されるX線はほとんど全てレンズL1,L2,L3に吸収され、CCD素子に到達することがないことにあると考えられる。
【0046】
(比較例1)
上記第1と第2の実施の形態において、CCDカメラCA1,CA2,CA3を、インターレース方式(飛び越し走査方式)のもので同じように比較実験を行った。しかし、インターレース方式では、奇数走査線画像と偶数走査線画像のズレによる最終画像のブレがあったり、奇数走査線画像と偶数走査線画像の輝度の違いによるフリッカーが発生したりするという問題が発生した。特に、固定が難しい小動物の撮像においては、画像のブレが大きかった。また、1回の走査におけるCCD素子のチャージ時間が1/60秒しかないため、画像が暗いものとなった。一方、プログレッシブ方式において、蓄積開始トリガー信号を使用せず、通常のテレビカメラと同様の画像スキャン方式を使った場合においても、1回の走査におけるCCD素子のチャージ時間が1/30秒しかないため、画像が暗いものとなった。このように、通常のテレビカメラと同様の画像スキャン方式では、CCD素子のチャージ時間があまりに短いため、増感紙又は蛍光紙5に映し出される非常に暗い画像を捉えるには不向きであることが確認された。
【0047】
以上、各実施の形態では、中央に配されるCCDカメラ(CA2)が光学的拡大機能を有すると説明したが、中間画像を生成するCCDカメラ(CA1,CA3)が光学的拡大機能を備えているものでも良い。しかし、通常、被写体Dの撮像したい部分は撮像範囲の中央に置かれることが多いため、拡大を必要とする部分も撮像範囲の中央付近であることが多い。一方、光学的拡大は、像の中央を基点として所定の範囲を拡大するものであり、被写体Dの像の中央部分は、左右に配置されたCCDカメラCA1,CA3において端部に相当することとなり、光学的拡大には不向きであることが多い。したがって、光学的拡大機能を必要とする場合は、左右のCCDカメラCA1,CA3の他に、中央に拡大専用のCCDカメラCA2を配置することが好ましいと言える。また、病院等においてX線発生装置2や撮像用テーブルTが既に配置されている場合で説明したが、これらと共に暗室箱A1,A2を導入することも適用可能である。また、被写体Dを犬や猫の場合で説明したが、被写体がヒト(人体)の場合でも適用可能である。
【0048】
【発明の効果】
本発明のX線撮像装置によれば、複数のCCDカメラが被写体の像を分割して撮像して中間画像を得るため、一台のCCDカメラが撮像する範囲が狭くなり、その結果、中間画像は、この狭い範囲をある程度のCCD素子の大きさ及び素子数を有する一台のCCDカメラで撮像した画像となるため、画素数が多くかつ感度の高い高価なCCDカメラを使用せずとも、安価な増感紙又は蛍光紙との組み合わせにより、鮮明な最終画像を得ることが可能である。また、暗室箱のX線が照射される側に増感紙又は蛍光紙が配されていることから、CCDカメラと増感紙又は蛍光紙との間隔を定めた焦点距離の位置におくことができるとともに、暗室箱の移動等に伴って一緒に移動可能となり、独立性の高いものとすることができる。
【0049】
また、従来のように反射ミラーで反射させることなく、暗室箱内においてCCDカメラがX線照射方向に直接向けて配されていることにより、暗室箱の小型化が図られる。さらに、この暗室箱に、増感紙又は蛍光紙により変換された可視光線を感知する蛍光センサがCCDカメラの撮像を開始させる構成とすることにより、X線が照射されるX線発生装置や撮像用テーブルが既に配置されていることが多い病院等での導入が容易な独立性を有する暗室箱を提供することが可能である。
【0050】
また、パソコン等による画像処理手段は、蛍光センサの光電変換による電気信号を検知して蓄積開始トリガー信号を送出し、CCDカメラは、画像処理手段から送出された蓄積開始トリガー信号により撮像を開始し、伝送開始信号を検出するまで露光を続けるため、CCD素子に十分な電荷を蓄積させることができる。一方、画像処理手段により露光時間を制御できるため、CCD素子への長時間蓄積による欠損が画面上で白点となることを防止でき、白点が表れず、かつCCD素子に最大限の電荷を蓄積させるようにすることができる。したがって、増感紙又は蛍光紙に映し出される暗い画像を鮮明に映し出すことができることとなり、鮮明な画像が得られてしかも安価なX線撮像装置を提供することができる等、種々の効果が得られる。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のX線撮像装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態のX線撮像装置の概略構成図である。
【図3】上記第2の実施の形態の暗室箱を示す斜視図である。
【図4】上記第2の実施の形態の暗室箱の正面図である。
【図5】上記第2の実施の形態の暗室箱の平面図である。
【図6】上記第2の実施の形態の暗室箱の側面図である。
【図7】上記第1と第2の実施の形態のX線遮断板を示す図である。
【図8】上記第1と第2の実施の形態の画像表示装置の画面を示す図である。
【図9】上記第1と第2の実施の形態により撮像した例を示す図である。
【符号の説明】
1 X線撮像装置、
2 X線発生装置、
5 増感紙又は蛍光紙、
6 X線遮断板、
6a,6b,6c レンズ用の孔、
7a 暗空間、
7b X線遮断空間、
10 コントロールボックス、
11 蛍光センサ(蛍光検出部)、
13 画像処理手段、
17 X線遮断部材(透明鉛ガラス)、
21 着脱手段、
22 金属フレーム
23 ストッパー金具
24 固定具
25 ストッパー
CA1,CA3 左右のCCDカメラ(少なくとも2台のCCDカメラ)、
CA2 中央のCCDカメラ、
L1,L2,L3 レンズ、
D 被写体、
T 撮像用テーブル、
A1,A2 暗室箱
G グリッド
Ra,Rb レール
K1 カメラケーブルのキャプコン
K2 コネクタ

Claims (4)

  1. X線発生装置から照射されたX線を可視化して得られる被写体の像を撮像するX線撮像装置において、X線を可視光に変換する増感紙又は蛍光紙と、増感紙又は蛍光紙に可視化された被写体の像を撮像する複数のCCDカメラと、この複数のCCDカメラが内部に配置されているとともにX線が照射される側に増感紙又は蛍光紙が配されている暗室箱と、CCDカメラにより撮像した画像を処理する画像処理手段とを備え、
    複数のCCDカメラのうち少なくとも2台を用いて、被写体の像を分割して撮像することにより複数の中間画像を生成し、この複数の中間画像を画像処理手段により合成して最終画像を生成するものであり、
    前記暗室箱は、増感紙又は蛍光紙により変換された可視光線を感知する蛍光センサを備え、前記画像処理手段は、蛍光センサの光電変換による電気信号を検知して蓄積開始トリガー信号を送出し、かつ蓄積開始トリガー信号生成から一定時間経過後に伝送開始信号を送出し、前記CCDカメラは、画像処理手段から送出された蓄積開始トリガー信号により撮像を開始し、伝送開始信号を検出するまで露光を続けることを特徴とするX線撮像装置。
  2. X線発生装置から照射されたX線を可視化して得られる被写体の像を撮像するX線撮像装置において、X線を可視光に変換する増感紙又は蛍光紙と、増感紙又は蛍光紙に可視化された被写体の像を撮像する複数のCCDカメラと、この複数のCCDカメラが内部に配置されているとともにX線が照射される側に増感紙又は蛍光紙が配されている暗室箱と、CCDカメラにより撮像した画像を処理する画像処理手段と、被写体を載せる撮像用テーブルを備え、
    X線発生装置と被写体を載せる撮像用テーブルは、病院等で設置されているものを使用し、
    複数のCCDカメラのうち少なくとも2台を用いて、被写体の像を分割して撮像することにより複数の中間画像を生成し、この複数の中間画像を画像処理手段により合成して最終画像を生成するものであり、
    前記暗室箱は、その上方側に、外部からの光を遮断して内部を暗状態にする暗空間が形成される一方、その下方側に、X線遮断板によりX線が遮断されるX線遮断空間が形成され、前記各CCDカメラは、そのレンズ以外の部分がX線遮断空間に収納され、レンズ部分は暗空間とX線遮断空間とを分けるX線遮断板に設けられたレンズ用の孔に配されて増感紙又は蛍光紙に向けられ、かつX線照射方向に直接向けて配されているとともに、前記CCDカメラのレンズ部分は、X線を遮断し且つ増感紙又は蛍光紙により変換された可視光線を透過するX線遮断部材により覆われており、
    暗室箱の下方にキャスターが取り付けられて移動可能であり、上記X線発生装置の設置箇所に移動させるとともに、暗室箱を撮像用テーブルの下にして使用することを特徴とするX線撮像装置。
  3. 前記暗室箱に、被写体に照射されたX線が散乱することにより、像のコントラストが低下することを防止するグリッドが着脱手段を介して取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のX線撮像装置。
  4. 前記複数のCCDカメラは、左右のCCDカメラとその間の中央のCCDカメラの3台であり、左右のCCDカメラの2台は、被写体の像を分割して撮像することにより複数の中間画像を生成し、この複数の中間画像を画像処理手段により合成して最終画像を生成するものであり、中央のCCDカメラは、増感紙又は蛍光紙の撮像範囲を大きくするために光学的拡大機能を有するCCDカメラのレンズにクローズアップレンズとズームレンズとの組み合わせを使用したものであることを特徴とする請求項2記載のX線撮像装置。
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