JP4359963B2 - 植物プロモーター - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物プロモーターに関する。
【0002】
【従来の技術】
植物等の宿主生物の形質を改変するために、所望の遺伝子を宿主細胞内で発現させるには、該遺伝子を宿主細胞内で機能可能なプロモーターの制御下におく。形質改変の目的や発現させる遺伝子の性質等によって、目的の遺伝子を宿主生物の特定の組織において他の組織よりも高発現させることが必要な場合には、当該特定組織において他の組織よりも転写活性の高いプロモーターが用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかるプロモーターは、一般に、その鎖長が長いと、宿主細胞内で種々の因子の影響を受けたり染色体へ組込まれる際に組換えや欠失を生じたりする頻度が高くなり、宿主細胞内に導入した際に目的の形質発現に至らない等の問題が惹起される。
そこで、所望の遺伝子を宿主生物の特定の組織において他の組織よりも高発現させるためのコンパクトなプロモーターが切望されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような状況下、本発明者らは鋭意検討を行った結果、上記目的に適した特定の塩基配列を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1)下記(a)または(b)の塩基配列、および配列番号1で示される塩基配列を有することを特徴とするプロモーター(以下、本発明プロモーターと記す。)、
(a)配列番号2で示される塩基配列のうち少なくとも塩基配列112〜246で表わされる塩基配列を有する塩基配列。
(b)配列番号3で表わされる塩基配列のうち少なくとも塩基配列番号186〜282で表わされる塩基配列を有する塩基配列。
2)下記(a)または(b)の塩基配列、および塩基配列1で示される塩基配列を有するプロモーター、
(a)配列番号2で示される塩基配列のうち塩基配列112〜246、塩基配列54〜246または塩基配列1〜246で表わされるいずれかの塩基配列。
(b)配列番号3で示される塩基配列のうち塩基配列186〜282、塩基配列127〜282または塩基配列1〜282で表わされるいずれかの塩基配列。
3)配列番号1で示される塩基配列を2以上有する前項1)〜2)記載のプロモーター、
4)配列番号1で示される塩基配列を4または8有する前項3)記載のプロモーター、
5)前項1)〜4)記載のプロモーターおよび所望の遺伝子を有するキメラ遺伝子(以下、本発明キメラ遺伝子と記す。)、
6)前項1)〜4)記載のプロモーターを有するベクター(以下、本発明ベクターと記す。)、
7)前項1)〜4)記載のプロモーター、前項5)記載のキメラ遺伝子または前項6)記載のベクターが宿主細胞に導入されてなる形質転換体(以下、本発明形質転換体と記す。)、
8)前項1)〜4)記載のプロモーターの制御下に所望の遺伝子を宿主細胞内で発現させる遺伝子発現方法、
9)下記(a)または(b)の塩基配列を有するDNAと、配列番号1で示される塩基配列を有するDNAとを宿主細胞内で機能可能な形で接続するプロモーターの作製方法、
(a)配列番号2で示される塩基配列のうち少なくとも塩基配列112〜246で表わされる塩基配列を有する塩基配列。
(b)配列番号3で表わされる塩基配列のうち少なくとも塩基配列番号186〜282で表わされる塩基配列を有する塩基配列。
10)下記(a)または(b)の塩基配列を有するDNAと、配列番号1で示される塩基配列を有するDNAとを宿主細胞内で機能可能な形で接続するプロモーターの作製方法
(a)配列番号2で示される塩基配列のうち少なくとも塩基配列112〜246または塩基配列54〜246または塩基配列1〜246で表わされる塩基配列で表わされるいすれかの塩基配列。
(b)配列番号3で表わされる塩基配列のうち少なくとも塩基配列186〜282または塩基配列127〜282または塩基配列番号1〜282で表わされる塩基配列表わされるいすれかの塩基配列。
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、さらに詳細に本発明を説明する。なお、ここで用いられる遺伝子工学的技術は、例えば、J.,Sambrook, E., F., Frisch, T.,Maniatis著、モレキュラー・クローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー発行(Cold Spring Harbor Laboratory press)、1989年およびD., M., Glover著、DNA Cloning、IRL発行、1985年などに記載されている通常の方法に準じて実施することができる。
【0006】
本発明プロモーターにおいて、「(a)配列番号2で示される塩基配列のうち少なくとも塩基番号112〜246で表される塩基配列を有する塩基配列(以下、塩基配列Aと記す。)」としては、例えば、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号112〜246で表される塩基配列、塩基番号54〜246で表される塩基配列、塩基番号1〜246で表される塩基配列等をあげることができる。また、「(b)配列番号3で示される塩基配列のうち少なくとも塩基番号186〜282で表される塩基配列を有する塩基配列(以下、塩基配列Bと記す。)」としては、例えば、配列番号3で示される塩基配列の塩基番号186〜282で表される塩基配列、塩基番号127〜282で表される塩基配列、または塩基番号1〜282で表される塩基配列等をあげることができる。
配列番号1で示される塩基配列は、通常、上記の塩基配列Aまたは塩基配列Bの 5'上流側に位置することが好ましく、配列番号1で示される塩基配列と塩基配列Aまたは塩基配列Bとの距離が短いほど鎖長の短いコンパクトなプロモーターとなる。
本発明プロモーターは、配列番号1で示される塩基配列を少なくとも1有するが、好ましくは2以上有すると良い。例えば、塩基配列番号1で示される塩基配列を4または8有するプロモーターを挙げることができる。配列番号1で示される塩基配列の間に他の塩基配列が介在していてもよいが、他の塩基配列が介在するとそれだけプロモーターの鎖長が長くなることから、該塩基配列は連続的に接続されていることが好ましい。
【0007】
本発明プロモーターは、塩基配列Aまたは塩基配列Bを有するオリゴヌクレオチド、および配列番号1で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを各々別々に化学合成方法に準じて調製し、得られた各々のオリゴヌクレオチドを試験管内でアニールさせ、例えば、DNAリガーゼ等を用いる方法等により結合させることにより作製することができる。具体的には例えば、配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(+鎖)とその相補鎖である配列番号7で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(−鎖)を化学合成し、これらを試験管内でアニールさせることにより、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号112〜246で表される塩基配列を有するDNA断片を調製することができる。一方、例えば、配列番号4で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(+鎖)とその相補鎖である配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(−鎖)を化学合成し、これらを試験管内でアニールさせることにより、配列番号1で示される塩基配列が4回連続的に接続されてなる塩基配列を有するDNA断片を調製することができる。このようにして得られた配列番号2で示される塩基配列の塩基番号112〜246で表される塩基配列を有するDNA断片の5’上流側に、配列番号1で示される塩基配列が4回連続的に接続されてなる塩基配列を有するDNA断片をT4 DNAリガーゼ(宝酒造社)を用いて結合させることにより、本発明プロモーターを作製することができる。
同様にして、配列番号1で示される塩基配列が8個連続的に接続された塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(+鎖)とその相補鎖(―鎖)を化学合成し、これを試験管内でアニールさせることにより、配列番号1で示される塩基配列が8回連続的に接続されてなる塩基配列を有するDNA断片を調製することができる。前記のようにして得られた配列番号2で示される塩基配列の塩基番号112〜246で表わされる塩基配列を有するDNA断片の5'上流側に、配列番号1で示される塩基配列が8回連続的に接続されてなる塩基配列を有するDNA断片をT4 DNAリガーゼ(宝酒造社)を用いて結合することにより、本発明プロモーターを作製することができる。
本発明プロモーターの別の作製方法としては、例えば、生物体の組織や細胞から目的とするDNA断片を含む遺伝子をクローニングし、得られた遺伝子から、塩基配列Aまたは塩基配列Bを有するDNA断片、または配列番号1で示される塩基配列を有するDNA断片を制限酵素を用いて切り出し、得られたDNA断片を必要に応じて、例えばDNAリガーゼ等を用いる方法等を用いて結合させる方法をあげることができる。また、上記のようにしてクローニングされた遺伝子等を鋳型にして、塩基配列Aもしくは塩基配列Bを有するDNA断片または配列番号1で示される塩基配列を有するDNA断片を各々別々にまたは同時に増幅可能なプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション)を行うことにより当該DNA断片を増幅し、得られたDNA断片を、必要に応じて、例えばDNAリガーゼ等を用いる方法等を用いて結合させることにより本発明プロモーターを作製することもできる。具体的には例えば、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号1〜20で表される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、および、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号226〜246で表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに用いて、ニンジンのゲノムDNAを鋳型としてPCRを行うことにより、配列番号2で示される塩基配列からなるDNA断片を得ることができる。同様にして、配列番号3で示される塩基配列の塩基番号1〜20で表される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、および、配列番号3で示される塩基配列の塩基番号262〜282で表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに用いて、ダイズのゲノムDNAを鋳型としてPCRを行うことにより、配列番号3で示される塩基配列からなるDNA断片を得ることができる。このようにして得られたDNA断片を、前述のように化学合成し、試験管内でアニールさせることにより調製された配列番号1で示される塩基配列を有するDNA断片と結合させることにより、本発明プロモーター作製することができる。
更に、上記のようにして作製された本発明プロモーターを含むDNAを鋳型とし、配列番号1で示される塩基配列を含むプライマーを用いてPCRを行うことにより、配列番号1で示される塩基配列の数の異なる本発明プロモーターを作製することができる。例えば、本発明プロモーターを含むプラスミドpGCRG1-1あるいはpGCRG1-2を鋳型とし、配列番号1で示される塩基配列が2回以上、例えば、8回連続的に接続されてなる塩基配列を含む塩基配列(配列番号18または配列番号19)を有するオリゴヌクレオチドと、鋳型プラスミドにおいて本発明プロモーターの 3'下流側に位置する領域に相補的な塩基配列を有するプライマー、例えば、配列番号20で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに使用してPCRを行うことにより、鋳型に用いたプラスミドpGCRG1-1あるいはpGCRG1-2に含まれる本発明プロモーターよりも配列番号1で示される塩基配列の数が増加した本発明プロモーターを調製することができる。
【0008】
このようにして得られる本発明プロモーターを用いることにより所望の遺伝子を宿主細胞内で発現させることができる。この場合には、本発明プロモーターおよび所望の遺伝子を有する本発明キメラ遺伝子を利用するとよい。ここで、「所望の遺伝子」とは、宿主細胞内で発現させたい遺伝子であって、例えば、酵素、貯蔵タンパク質、受容体、転写調節因子、シグナル伝達因子などのタンパク質をコードする遺伝子があげられ、これらの遺伝子を本発明プロモーターの下流に目的に応じてセンス方向またはアンチセンス方向に結合するとよい。本発明キメラ遺伝子は、宿主細胞内で機能可能なターミネーターを含んでいてもよい。宿主細胞内で機能可能なターミネーターとしては、形質転換される宿主細胞内で転写終結活性を示すターミネーターであって、例えば、宿主細胞が植物細胞である場合には、アグロバクテリウム属細菌のTi-プラスミド由来のノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(NOS)、ニンニクウイルスGV1,GV2等の植物ウイルス由来のターミネーターなどを挙げることができる。本発明キメラ遺伝子は通常、本発明プロモーターおよび所望の遺伝子が機能可能な形で連結されてなることが好ましい。ここで、「機能可能な形で」とは、本発明キメラ遺伝子を導入し宿主細胞を形質転換させた際に、該キメラ遺伝子に含まれる目的の遺伝子が、本発明プロモーターの制御下に発現するように、当該プロモーターと結合された状態にあることを意味する。
【0009】
本発明プロモーターを有するベクターにおいて、ベクターとは、宿主細胞中で増殖可能なDNAであって、大腸菌、酵母、植物細胞、動物細胞等の生物細胞内で増幅可能なプラスミド、ファージ、ファージミッド等があげられる。具体的には、例えば、pUC系プラスミド[pUC118,pUC119(宝酒造社)など]、pSC101系プラスミド、Ti-プラスミド[pBI101,pBI121(CLONTECH社)など]、ブルースクリプト系ファージミッド[pBluescript SK(+/-)(STRATAGENE社)など]、M13系ファージ[mp10,mp11(Amersham社)など]、λ系ファージ[λgt10,gt11(Amersham社)など]、コスミッド類[SuperCosI(STRATAGENE社)など]等が挙げられ、この様なベクターに本発明プロモーターを通常の遺伝子工学的技術を用いて組み込むことにより、本発明プロモーターを有するベクターを構築することができる。
【0010】
本発明プロモーターを有するベクターにおいて、該プロモーターの下流に遺伝子挿入部位および宿主細胞内で機能可能なターミネーターをさらに有すると、所望の遺伝子を宿主細胞内で発現させるためのベクターの構築に好ましく利用できる。ここで「遺伝子挿入部位」とは、遺伝子工学的手法で通常用いられる制限酵素が特異的に認識切断可能な塩基配列であり、ベクター上に唯一存在する種類の制限酵素認識配列が好ましい。この様な遺伝子挿入部位、本発明プロモーターおよび宿主細胞内で機能可能なターミネーターは、該遺伝子挿入部位へ所望の遺伝子が挿入された際に、ベクター上で本発明プロモーター、所望の遺伝子および宿主細胞内で機能可能なターミネーターが機能可能な形で連結されるような位置にあることが好ましい。かかるベクターを構築するには、例えば、遺伝子挿入部位および宿主細胞内で機能可能なターミネーターを含むプラスミド、具体的には、pBI101.3(CLONTECH社製)等のマルチクローニング部位(遺伝子挿入部位)に、配列番号1で示される塩基配列を有するDNA断片、および、配列番号2で示される塩基配列のうち少なくとも塩基番号112〜246で表される塩基配列または配列番号3で示される塩基配列のうち少なくとも塩基番号186〜282で表される塩基配列を有するDNA断片を挿入すればよい。また、遺伝子挿入部位を有するベクター、具体的には、pBIN19(Nuc.Acid.Res. 12:8711-8721(1984))等のマルチクローニング部位(遺伝子挿入部位)に本発明プロモーターと宿主細胞内で機能可能なターミネーターを挿入してもよい。
【0011】
本発明キメラ遺伝子を有するベクターは、該キメラ遺伝子の宿主細胞への導入に適しており、例えば、該キメラ遺伝子を上記のようなベクターにクローニングするか、または、本発明プロモーター、遺伝子挿入部位および宿主細胞内で機能可能なターミネーターを有するような上記のベクターの遺伝子挿入部位に所望の遺伝子をクローニングすることにより調製することができる。例えば、pBI101.3(CLONTECH社製)を用いて作製された上記のようなベクターを適切な制限酵素を用いて切断することにより該ベクター上に存在するレポーター遺伝子(β-グルクロニダーゼ遺伝子;以下、GUS遺伝子と記す。)を除去し、該レポーター遺伝子に換えて所望の遺伝子を挿入することによって、本発明キメラ遺伝子を有するベクターを調製することができる。
【0012】
本発明ベクターを、例えば、J.,Sambrook, E.,F.,Frisch, T.,Maniatis著、モレキュラー・クローニング第2版(1989)(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー発行)記載の塩化カルシウム法、エレクトロポーレーション法等により大腸菌やアグロバクテリウム菌等の微生物細胞に導入することができ、本発明ベクターの導入されたかかる微生物細胞は、本発明キメラ遺伝子の調製や本発明キメラ遺伝子の他の宿主細胞への導入等に有用である。
また、本発明プロモーターを、パーティクルガン法等により植物由来の宿主細胞に導入することができる。また、本発明ベクターを、例えば、アグロバクテリウム菌感染法、電気的導入法、またはパーティクルガン法等の公知の方法により植物由来の宿主細胞に導入することもできる。
本発明プロモーター、本発明キメラ遺伝子、または本発明ベクターを導入し、本発明プロモーターの制御下に所望の遺伝子をその細胞内で発現させることができる宿主生物のうち、例えば、植物としては、例えば、イネ、トウモロコシ、オオムギ、コムギ等の単子葉植物、ダイズ、エンドウ、インゲン、アルファルファ、等のマメ科植物、タバコ、トマト、ジャガイモ等のナス科植物、キャベツ、ナタネ、カラシナ等のアブラナ科植物、メロン、カボチャ、キュウリ、等のウリ科植物、ニンジン、セロリ等のセリ科植物、レタス等のキク科植物等の双子葉植物等を挙げることができる。
【0013】
本発明プロモーター、本発明キメラ遺伝子、または本発明ベクターを宿主細胞へ導入することにより、例えば、本発明プロモーターがゲノムDNA上の所望の遺伝子の上流に挿入され該遺伝子を本発明プロモーターの制御下に発現する形質転換体、本発明キメラ遺伝子がゲノムDNA上に挿入され該キメラ遺伝子に含まれる所望の遺伝子を本発明プロモーターの制御下に発現する形質転換体、本発明ベクターを宿主細胞内に有し該ベクターに含まれる所望の遺伝子を本発明プロモーターの制御下に発現する形質転換体などが得られる。
宿主細胞が植物細胞である形質転換体を、例えば、S.B.Gelvin, R.A.Schilperoot and D.P.S.Verma著:プラント・モレキュラー・バイオロジー・マニュアル(Plant Molecular Biology Manual, Kluwer Academic Publishers press (1988))、島本功、岡田清孝監修:モデル植物の実験プロトコール(イネ、シロイヌナズナ編)(秀潤社)(ISBN4-87962-157-9 C3345,1996)78-143頁あるいは内宮博文著(植物遺伝子操作マニュアル、トランスジェニック植物の作り方(講談社サイエンティフィック))1990, ISBN4-06-153513-7 C3045)28-33頁に記載されている通常の植物組織培養技術において用いられる方法に準じて再分化させることによって、該植物細胞由来の植物体またはその一部を得ることができる。さらに、前記のようにして得られる植物体を栽培し自殖させることにより、該植物体の子孫が得られる。尚、本発明において、「形質転換体」とは、このような植物細胞、植物体およびその子孫を含む。
【0014】
本発明プロモーターの制御下に所望の遺伝子をセンス方向に連結し宿主生物の細胞内で発現させることにより、該宿主生物に有用な形質を付与することができる。例えば、ダイズのグリシニン遺伝子、β―コングリシニン遺伝子等の種子貯蔵タンパク質遺伝子を発現させることにより飼料作物におけるタンパク質含量や必須アミノ酸含量を増加させることができ、ブラジルナッツ2Sアルブミン遺伝子、トウモロコシγ-ゼイン遺伝子等のメチオニンあるいはシステイン高含有貯蔵タンパク質をコードする遺伝子等を発現させることにより飼料作物のメチオニンあるいはシステイン含量を増加させることができ、大腸菌等の微生物由来のbioA,bioB,bioC,bioD,bioF,bioH酵素遺伝子等のビオチン生合成関連酵素遺伝子を発現させることにより飼料作物におけるビオチン含量を増加させることができ、イネのα-1.4-グルカン分枝酵素(α-1.4-glucan branching enzyme)等のアミロペクチン合成関連酵素遺伝子等を発現させることによりイネ種子中のデンプン成分を改変することができ、ダイズやナタネのステアロイル-ACP-デサチュレース(Stearoyl-ACP-desaturase)遺伝子、アシル-ACP-チオエステラーゼ(Acyl-ACP-thioesterase)遺伝子、ココナッツの1-アシルグリセロール-3-ホスフェイトアシルトランスフェラーゼ(1-acylglycerol-3-phosphate acyl transferase)遺伝子等を発現させることにより食用作物における脂質の酸化安定性の向上、リン脂質の減少およびオレイン酸とリノレン酸の増加による脂質成分の改良が可能となり、また、ホウレンソウ等のグリセロール-3-ホスフェイトアシルトランスフェラーゼ(glycerol-3-phosphate acyltransferase)遺伝子等を発現させることにより不飽和脂肪酸含量を増加させ植物の低温耐性を増加させることができる。
一方、本発明プロモーターの制御下に所望の遺伝子をアンチセンス方向に連結し宿主生物の細胞内で発現させることにより、該宿主生物に有用な形質を付与することもできる。例えば、イネのイソメラーゼ(Isomerase)などのアミロペクチン分解酵素遺伝子のアンチセンス遺伝子を発現させることによりイネ種子中のデンプン成分を改良することができ、カボチャ等の1-アミノシクロプロパン-1-カルボキシレート(ACC)合成酵素などのエチレン合成酵素遺伝子のアンチセンス遺伝子を発現させることにより果物、花などの保存性を向上することができ、また、トマトのポリガラクチュロナーゼ遺伝子のアンチセンス遺伝子を発現させることにより果物の保存性を向上することができる。
さらに、植物の自家不和合性に関与しているS-ローカス型特異的RNase遺伝子等の雄性不稔関連遺伝子のセンスまたはアンチセンス遺伝子を発現させることにより、植物の稔性を制御することもできる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 (GUS発現プラスミドの構築)
プラスミドGbox10/-90/GUS(特開平9−131187号公報に記載)2μgを制限酵素XbaIとBamHIで消化した後、0.8%アガロースゲル電気泳動により消化断片を分離し、約12kbのDNA断片(以下、G10-Xb-B断片と記す。)をDNA精製キット(Prep-A-Gene DNA Purification Systems,BIO-RAD社製)を用いて単離精製した。同様にして、プラスミド-90/GUS(特開平9−131187号公報に記載)2μgを制限酵素XbaIとBamHIで消化した後、0.8%アガロースゲル電気泳動により消化断片を分離し、約12kbのDNA断片(以下、Xb-B断片と記す。)を単離精製した。
一方、配列番号8〜15で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをDNA合成機(Applied Biosystems)を用いて合成した。プラスミドpCR16G1/Xb(特願平8―212680号公報に記載)を鋳型とし、配列番号8で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号9で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに使用してPCRを行い、配列番号2で示される塩基配列のうち塩基番号112〜246で表される塩基配列を有する150塩基のDNA断片(以下、CR16.1断片と記す。)を調製した。同様にして、配列番号8で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに使用してPCRを行い、配列番号2で示される塩基配列のうち塩基番号54〜246で表される塩基配列を有する208塩基のDNA断片(以下、CR16.2断片と記す。)を調製し、配列番号8で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号11で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに使用してPCRを行い、配列番号2で示される塩基配列を有する268塩基のDNA断片(以下、CR16.3断片と記す。)を調製した。一方、プラスミドpGY1(Iida et al. Plant Cell Report 14:539-544(1995))を鋳型とし、配列番号12で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号13で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに使用してPCRを行い、配列番号3で示される塩基配列のうち塩基番号186〜282で表される塩基配列を有する110塩基のDNA断片(以下、GY1.1断片と記す。)を調製した。同様にして、配列番号12で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号14で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに使用してPCRを行い、配列番号3で示される塩基配列のうち塩基番号127〜282で表される塩基配列を有する170塩基のDNA断片(以下、GY1.2断片と記す。)を調製し、配列番号12で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号15で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに使用してPCRを行い、配列番号3で示される塩基配列を有する296塩基のDNA断片(以下、GY1.3断片と記す。)を調製した。上記のPCRはいずれも、TAKARA Taqポリメラーゼ(宝酒造)を用いて、10mM Tris-HCl pH8.0, 50mM KCl, 0.2mM dNTP混合液(各0.2mM dATP, dGTP, dCTP, dTTPを含む。)、各0.5μMプライマー、0.1μg鋳型DNA、2.5ユニットTAKARA Taqポリメラーゼ(宝酒造)という反応液組成にて、94℃で1分間、次いで55℃で2分間、さらに72℃で3分間の保温を1サイクルとして全30サイクル行った。増幅された各DNA断片1μgを制限酵素XbaIとBamHIで消化した。
このようにして得られたDNA断片各0.2μgをそれぞれ、上記のG10-Xb-B断片2μgまたはXb-B断片2μgと混合してライゲーション・キットversion2(宝酒造社製)を用いて連結し、大腸菌HB101株(宝酒造社製)に導入した。CR16.1断片、CR16.2断片、またはCR16.3断片をそれぞれG10-Xb-B断片と連結することにより、プラスミドpGCRG1-1, pGCRG1-2,またはpGCRG1-3を構築した(図1)。GY1.1断片、GY1.2断片、またはGY1.3断片をそれぞれG10-Xb-B断片と連結することにより、プラスミドpGGY1-1, pGGY1-2,またはpGGY1-3を構築した(図2)。CR16.1断片、CR16.2断片、またはCR16.3断片をそれぞれXb-B断片と連結することにより、プラスミドpCRG1-1, pCRG1-2,またはpCRG1-3を構築した(図3)。GY1.1断片、GY1.2断片、またはGY1.3断片をそれぞれXb-B断片と連結することによりプラスミドpGY1-1, pGY1-2,またはpGY1-3を構築した(図4)。
さらに、上記プラスミドpCR16G1-1を鋳型とし、配列番号18で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号20で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに使用してPCRを行い、約630塩基のDNA断片を調製した。同様にして、pCR16G1-2を鋳型とし、配列番号19で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号20で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに使用してPCRを行い、約690塩基のDNA断片を調製した。このようにして得られた各DNA断片を制限酵素HindIIIとSnaBIで消化した。一方、プラスミドpBI101.1(CLONTECH社製)を制限酵素HindIIIとSnaBIで消化して得られる断片と上記HindIIIとSnaBIで消化したPCR増幅断片(約630 bpあるいは約690 bp)をT4 DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を用いて連結することによって、pG8CRG1-1およびpG8CRG1-2を構築した(図5)。
【0016】
実施例2 (遺伝子導入用プラスミドDNAの調製)
実施例1で得られたプラスミドpGCRG1-1, pGCRG1-2, pGCRG1-3、pG8CRG1-1, pG8CRG1-2, pGGY1-1, pGGY1-2, pGGY1-3、pCRG1-1, pCRG1-2, pCRG1-3、pGY1-1, pGY1-2,またはpGY1-3を含む大腸菌HB101株をそれぞれ50μg/mlカナマイシンを含むL培地200mlに植菌して培養し、市販のプラスミド精製キット(QIAGEN)を用いて各プラスミドDNAを精製した。
【0017】
実施例3 (間接導入法による形質転換体の作製)
実施例2において精製された各プラスミドDNAを、20mM CaCl2で処理することによりコンピテント状態にしたアグロバクテリウム菌(Agrobacterium tumefaciens LBA4404)(ストレプトマイシン耐性、リファンピシン耐性を示す。)(Hoekma et al. Nature, 303:179-180(1983))に、熱処理(37℃、5分間)により導入した。該導入処理したアグロバクテリウム菌をストレプトマイシン300μg/ml、リファンピシン100μg/ml、カナマイシン25μg/mlを含むL寒天培地にて培養することによって、プラスミド上のNPTII遺伝子(Trien-Cuot et al., Gene 23:331-341(1983))により付与されるカナマイシン耐性の性質を利用して形質転換体を選抜した。
得られたアグロバクテリウム菌の形質転換体をストレプトマイシン300μg/ml、リファンピシン100μg/ml、カナマイシン25μg/mlを含むL培地で28℃で一昼夜培養し、得られた菌液を用いてS.B.Gelvin, R.A.Schilperoort and D.P.S.Verma著;Plant molecular Biology/Manual(1988) (Kluwer Academic Publishers発行)、内宮博文著(植物遺伝子操作マニュアル、トランスジェニック植物の作り方(講談社サイエンティフィック))1990, ISBN4-06-153513-7 C3045)28-33頁に記載されている通常の方法により、タバコ葉部のディスク片へ上記アグロバクテリウム菌の形質転換体を感染させた。
アグロバクテリウム菌の感染したタバコ(SR-1)葉部のディスク片をMS-NB寒天培地で4日間培養した後、セフォタキシム500μg/mlを含むMS-NB寒天培地に移し、アグロバクテリウム菌の除菌を行った。11日目にセフォタキシム500μg/mlとカナマイシン100μg/mlを含むMS-NB寒天培地に移し、培養を継続した。約4週間後、緑色の茎葉分化した幼植物体をディスク片から切り分け、セフォタキシム500μg/mlとカナマイシン50μg/mlを含むMS-NB寒天培地に植え継ぎ、発根した幼植物体を選抜した。選抜されたタバコ幼植物体を土壌に移して温室で栽培し、形質転換した植物体を得た。
【0018】
実施例4 (形質転換体における導入遺伝子の挿入の確認)
(1)形質転換体からのゲノムDNAの調製
実施例3で得られた形質転換植物タバコの葉片から、内宮博文著(植物遺伝子操作マニュアル、トランスジェニック植物の作り方(講談社サイエンティフィック))1990, ISBN4-06-153513-7 C3045)71-74頁記載のCTAB法を用いてゲノムDNAを調製した。植物葉片約0.5gをエッペンドルフ管中でホモゲナイザーを用いて十分摩砕した後、該摩砕物にあらかじめ65℃に保温した2xCTAB液(2% cetyltrimethyl ammonium bromide, 100mM Tris-HCl, pH8.0, 20mM EDTA, 1.4M NaCl, 1% polyvinylpyroridone(PVP))0.5mlを加え、65℃で5分間保温した。これに、0.5mlのクロロフォルム/イソアミルアルコール(24:1)混合液を加え、緩やかに5分間混合した。12,000 rpm(10,000xg)で10分間遠心分離して上層を分取し、1/10容量の65℃に保温した10% CTAB液(10% cetyltrimethyl ammonium bromide, 0.7M NaCl)を加え、3分間65℃で保温した。等量のクロロフォルム/イソアミルアルコール(24:1)混液を加えて良く混合し、上層を分取した。2倍量のCTAB沈殿液(1% cetyltrimethyl ammonium bromide, 50mM Tris-HCl, pH8.0, 10mM EDTA)を加え、65℃で1分間保温した後、12,000 rpm(10,000xg)で10分間遠心分離し、DNAを沈殿させた。沈殿を高塩濃度TE(10mM Tris-HCl pH8.0, 1mM EDTA, 1M NaCl)50μlに溶解し、100μlのエタノールを加えて混合した。12,000 rpm(10,000xg)で15分間遠心分離して得られた沈殿を50μlTE(10mM Tris-HCl pH8.0, 1mM EDTA)に溶解した。これにRNaseAを10μg/mlとなるように加え、37℃で30分間保温した後、等容のフェノール/クロロフォルム/イソアミルアルコール(25:24:1)混液を加えて良く混合し、上層を分取した。これに1/10容の3M酢酸ナトリウム液(pH5.2)と2.5容のエタノールを加えて良く混合し、12,000 rpm(10,000xg)で5分間遠心分離して沈渣を回収し、約5μgのゲノムDNAを得た。
【0019】
(2)PCR法による導入遺伝子挿入の確認
(1)で得られたゲノムDNA 50ngを鋳型として配列番号16で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号17で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに用いてPCR(94℃で1分間、次いで55℃で2分間、さらに72℃で3分間の保温を1サイクルとして全30サイクル)を行った。得られたPCR産物を4% アガロース・ゲル電気泳動により分析した。その結果、プラスミドpGCRG1-1, pGCRG1-2, pGCRG1-3、pG8CRG1-1, pG8CRG1-2, pGGY1-1, pGGY1-2, pGGY1-3、pCRG1-1, pCRG1-2, pCRG1-3、pGY1-1, pGY1-2,またはpGY1-3をそれぞれ導入したタバコのゲノムDNAにおいてそれぞれ約500bpのDNA断片の増幅が認められ、GUS遺伝子のコーディング領域3’末端からノパリン合成酵素遺伝子ターミネーター(NOS)に至る領域の存在が確認された。
【0020】
実施例5 (形質転換体の自家受粉とホモラインの育成)
実施例4で導入遺伝子の存在が確認された形質転換タバコを土壌に移し、温室で育成した。開花期に花を自家受粉させ成熟した花より種子を得た。得られた種子を1% 次亜塩素酸ナトリウム中で5分間殺菌した後、カナマイシン100μg/mlを含むMS寒天培地に播種した。播種した種子の約3/4が発芽生育するクローンを選抜した。選抜した種子を再度カナマイシン100μg/mlを含むMS寒天培地に播種し、全種子が発芽するクローンを選抜し、以下の実験に用いた。
【0021】
実施例6 (形質転換体における各組織におけるGUS遺伝子発現)
実施例5で得られた形質転換タバコ種子(プラスミドpGCRG1-1, pGCRG1-2, pGCRG1-3、pG8CRG1-1, pG8CRG1-2, pGGY1-1, pGGY1-2, pGGY1-3、pCRG1-1, pCRG1-2, pCRG1-3、pGY1-1, pGY1-2,またはpGY1-3のT-DNA領域を含む)および対照として非形質転換タバコSR-1種子を1% 次亜塩素酸ナトリウム中で5分間殺菌した後、カナマイシン100μg/mlを含むMS寒天培地あるいはMS寒天培地(SR-1種子の場合)に播種し、約2週間生育させ実生を得た。
得られた実生(幼植物体)の葉および根約200mgを300μlの抽出緩衝液中、乳鉢と乳棒を用いて摩砕し、12,000rpm(10,000xg)で遠心した。得られた上清をGUS活性測定に用いた。抽出緩衝液400μlに5mM 4-methyl-umbelliferyl-D-glucronide(MUG)100μlを加えた反応液を37℃に保温し、上清10μlを加えた。反応液100μlを15分毎に分取し、0.2M炭酸カルシウム液に加えることにより、反応を停止した。このようにして経時的に得られたサンプルの蛍光を蛍光光度計を用いて測定した。該蛍光分析は、励起365nm、発光455nmで行い、標準液として、4-methyl-umbelliferone(4-MU)の0〜50ng/ml濃度を用いた。また、各植物試料の抽出液のタンパク質含量は、Protein Assay Kit(Bio Rad)を用いて測定し、タンパク質当りの比活性を算出した。本発明プラスミドの導入された形質転換タバコ各10個体および対照として用いた非形質転換タバコSR-1の子葉、根、種子におけるGUS活性測定の結果を表1に示す。
また、各形質転換タバコを土壌に移して培養し、温室で育成した。開花期に花から花粉を得た。各形質転換タバコ各5個体および対照として用いた非形質転換タバコSR-1の種子と花粉について、GUS遺伝子発現を内宮博文著(植物遺伝子操作マニュアル、トランスジェニック植物の作り方(講談社サイエンティフィック))1990, ISBN4-06-153513-7 C3045)68-70頁およびJefferson, Plant Mol. Biol.Rep.5:387-405(1987)記載の染色法に準じて調べた。結果を表2に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0004359963
Figure 0004359963
−(対照):非形質転換タバコSR-1
+の数:GUS比活性の高さを示す。
【0023】
【表2】
Figure 0004359963
Figure 0004359963
−(対照):非形質転換タバコSR-1
染色の強さ:++++(特濃)+++(濃)、++(中濃)、+(薄)、―(無)
【0024】
実施例において用いられた培地の組成を示す。
MS寒天培地
MURASHIGE AND SKOOG(Flow Laboratories)34.7gを蒸留水1Lに溶かし、1M KOHでpH 5.8に調整し、寒天を8g添加した後、オートクレーブ滅菌した。
MS-NB寒天培地
MS寒天培地に、1-ナフタレン酢酸(NAA)0.1mg/mL、6-ベンジルアミノプリン(BA)1.0mg/mLを添加した培地である。
L培地
バクトトリプトン(Difco)10g、バクトイーストエキストラクト(Difco)5g、NaCl 10gを蒸留水1Lに溶かし、5M NaOHでpH7.0に調整し、オートクレーブ滅菌した。
GUS活性測定用反応抽出液
50mMリン酸緩衝液(pH7.0)、10mM EDTA、0.1%トリトンX−100(TritonX-100)、0.1%ザルコシル(sarkosyl)、10mM 2-メルカプトエタノールを含む溶液である。
【0025】
【発明の効果】
本発明により、所望の遺伝子を宿主生物の特定の組織において他の組織よりも高発現させるためのコンパクトなプロモーター等を提供することが可能となる。
【0026】
[配列表フリーテキスト]
配列番号1
プロモーター用に設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号4
プロモーター用に設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号5
プロモーター用に設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号6
プロモーター用に設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号7
プロモーター用に設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号8
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号9
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号10
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号11
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号12
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号13
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号14
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号15
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号16
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号17
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号18
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号19
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号20
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0027】
【配列表】
Figure 0004359963
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【図面の簡単な説明】
【図1】本発明プロモーターを含有するプラスミドpGCRG1-1、pGCRG1-2およびpGCRG1-3の構築工程を示す図である。図中、GUSはβ-グルクロニダーゼ遺伝子を、T-nosはTi-プラスミド由来のノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターを示す。
【図2】本発明プロモーターを含有するプラスミドpGGY1-1、pGGY1-2およびpGGY1-3の構築工程を示す図である。図中、GUSはβ-グルクロニダーゼ遺伝子を、T-nosはTi-プラスミド由来のノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターを示す。
【図3】プラスミドpCRG1-1、pCRG1-2およびpCRG1-3の構築工程を示す図である。図中、GUSはβ-グルクロニダーゼ遺伝子を、T-nosはTi-プラスミド由来のノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターを示す。
【図4】プラスミドpGY1-1、pGY1-2およびpGY1-3の構築工程を示す図である。図中、GUSはβ-グルクロニダーゼ遺伝子を、T-nosはTi-プラスミド由来のノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターを示す。
【図5】プラスミドpG8CRG1-1およびpG8CRG1-2の構築工程を示す図である。図中、GUSはβ-グルクロニダーゼ遺伝子を、T-nosはTi-プラスミド由来のノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターを示す。

Claims (19)

  1. 下記(a)または(b)の塩基配列、および配列番号1で示される塩基配列を有することを特徴とするプロモーター。
    (a)配列番号2で示される塩基配列のうち少なくとも塩基番号112〜246で表される塩基配列を有する塩基配列。
    (b)配列番号3で示される塩基配列のうち塩基番号186〜282または塩基番号127〜282で表されるいずれかの塩基配列。
  2. 下記(a)または(b)の塩基配列、および配列番号1で示される塩基配列を有するプロモーター。
    (a)配列番号2で示される塩基配列のうち塩基番号112〜246、塩基番号54〜246または塩基番号1〜246で表されるいずれかの塩基配列。
    (b)配列番号3で示される塩基配列のうち塩基番号186〜282または塩基番号127〜282で表されるいずれかの塩基配列。
  3. 下記(a)の塩基配列、および配列番号1で示される塩基配列を有することを特徴とするプロモーター。
    (a)配列番号2で示される塩基配列のうち少なくとも塩基番号112〜246で表される塩基配列を有する塩基配列。
  4. 下記(a)の塩基配列、および配列番号1で示される塩基配列を有するプロモーター。
    (a)配列番号2で示される塩基配列のうち塩基番号112〜246、塩基番号54〜246または塩基番号1〜246で表されるいずれかの塩基配列。
  5. (a)または(b)の塩基配列の 5'上流側に配列番号1で示される塩基配列が位置する請求項1または2記載のプロモーター。
  6. (a)の塩基配列の 5'上流側に配列番号1で示される塩基配列が位置する請求項3または4記載のプロモーター。
  7. 配列番号1で示される塩基配列を2以上有する請求項1〜記載のプロモーター。
  8. 配列番号1で示される塩基配列を4または8有することを特徴とする請求項記載のプロモーター。
  9. 請求項1〜記載のプロモーターおよび所望の遺伝子を有するキメラ遺伝子。
  10. 請求項1〜記載のプロモーターを有するベクター。
  11. プロモーターの下流に遺伝子挿入部位および宿主細胞内で機能可能なターミネーターを有する請求項10記載のベクター。
  12. 請求項9記載のキメラ遺伝子を有するベクター。
  13. 請求項1〜記載のプロモーター、請求項9記載のキメラ遺伝子、または請求項1012記載のベクターが宿主細胞に導入されてなる形質転換体。
  14. 宿主細胞が微生物細胞である請求項13記載の形質転換体。
  15. 宿主細胞が植物細胞である請求項13記載の形質転換体。
  16. 請求項1〜記載のプロモーターの制御下に所望の遺伝子を宿主細胞内で発現させる遺伝子発現方法。
  17. 下記(a)または(b)の塩基配列を有するDNAと、配列番号1で示される塩基配列を有するDNAとを宿主細胞内で機能可能な形で接続するプロモーターの作製方法。
    (a)配列番号2で示される塩基配列のうち少なくとも塩基番号112〜246で表される塩基配列を有する塩基配列。
    (b)配列番号3で示される塩基配列のうち塩基番号186〜282または塩基番号127〜282で表されるいずれかの塩基配列。
  18. 下記(a)または(b)の塩基配列を有するDNAと、配列番号1で示される塩基配列を有するDNAとを宿主細胞内で機能可能な形で接続するプロモーターの作製方法。
    (a)配列番号2で示される塩基配列のうち塩基番号112〜246、塩基番号54〜246または塩基番号1〜246で表されるいずれかの塩基配列。
    (b)配列番号3で示される塩基配列のうち塩基番号186〜282または塩基番号127〜282で表されるいずれかの塩基配列。
  19. 下記(a)の塩基配列を有するDNAと、配列番号1で示される塩基配列を有するDNAとを宿主細胞内で機能可能な形で接続するプロモーターの作製方法。
    (a)配列番号2で示される塩基配列のうち塩基番号112〜246、塩基番号54〜246または塩基番号1〜246で表されるいずれかの塩基配列。
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