JP4359282B2 - 浸漬ノズルの加熱方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タンディシュから鋳型へ溶鋼を注湯するための浸漬ノズルを予熱する際の加熱方法に関し、より詳しくは、高清浄鋼用の溶鋼を注湯するための浸漬ノズルを予熱する際の加熱方法に関する。
連続鋳造設備におけるタンディシュは、鋼殻内面に耐火物ライニングを施して溶鋼を受容するように構成され、その底部には、鋳型に対し溶鋼を注湯するための浸漬ノズルが取り付けられている。この浸漬ノズルは、注湯中に溶鋼流が空気に暴露されて酸化することを防止する役目を有するものであり、鋳型に溶鋼を注湯する際には、その下端部を鋳型内の溶鋼中に浸漬して使用している。
このような浸漬ノズルは、予熱炉によって予め加熱しておき、溶鋼を注湯した場合に、スポーリング等により浸漬ノズルを構成する耐火物が割れ等の破損を生じたり、前記溶鋼が凝固して浸漬ノズル内部に付着することを防止している。
前記浸漬ノズルの加熱に係る従来例を、添付図7および8を用いて以下に説明する。図7は従来例に係る予熱装置を浸漬ノズルに取り付けた状態の断面図、図8は他の従来例に係る浸漬ノズルのカバー部材が予熱炉に収納された状態を示す断面図である。
図7において、この浸漬ノズル1の予熱装置は、浸漬ノズル1の上部に形成したタンディシュ挿入部13に被せる予熱キャップ18と、この予熱キャップ18の上方から予熱キャップ18内に挿入し、浸漬ノズル1のタンディシュ挿入部13の内外両面に燃焼ガスを吹き付ける添加バーナ19と、浸漬ノズル1の胴部を覆う断熱材20と断熱材20で覆った浸漬ノズル1の下側部を上方から挿入して、浸漬ノズル1内を通過してきた添加バーナ19の燃焼ガスにより浸漬ノズル1の下側部を予熱する保熱容器21とからなっている(特許文献1参照)。
同時に、前記予熱キャップ18は、下面を開放し内面に断熱材24を施した筒状の容器で、上面のほぼ中央部には添加バーナ挿入孔22を開設し、下側内周には内側に向かって突設しているフランジ23の内周先端を、浸漬ノズル1のタンディシュ挿入部13の下端側の外周に当接するように構成されている。このような予熱装置構成とすることによって、浸漬ノズル1の予熱を行いスポーリングを防止するのである。
次に、図8に示した従来例に係る浸漬ノズルのカバー部材31は、前記浸漬ノズル1が挿通される円筒状の本体部32と、前記本体部32の上端部に形成されたリング状のツバ部33とを備え、前記リング状のツバ部33によって、前記浸漬ノズル1と予熱炉30の開口部30aとの間に生ずる隙間を閉塞するように構成されている(特許文献2参照)。その結果、予熱バーナ34からの火炎および熱風が前記隙間から吹き出し、浸漬ノズル1に装着されているホルダ35を加熱して、熱変形を起こすことが解消されている。
このような浸漬ノズルは、その内部に溶鋼を流下させ、その下端部は鋳型内の溶鋼中に浸漬して使用するので、耐火物で構成されてはいるが、内外面の溶損や熱衝撃割れ等の損傷を生じるため、通常タンディシュの10チャージ程度毎に交換している。
このような耐火物消化と熱衝撃割れを防止した従来例に係る連続鋳造方法に、CaO成分を含有する内装体が設けられた浸漬ノズルの吐出口を含む前記浸漬ノズルの外周面積の30%以上を断熱材で覆い、この断熱材で覆われた前記浸漬ノズルを内側から加熱して予熱を行った後、前記浸漬ノズルに溶鋼を注湯して鋳造を行う連続鋳造方法がある(特許文献3参照)。
一方、高い清浄性が求められる高清浄鋼用の浸漬ノズルには、介在物対策として耐溶損性の優れた耐火物原料を用いた浸漬ノズルを使用している。このような耐火物としては、ZrO−C−SiO等の炭素を含有するセラミックスが好ましい。炭素を含有させることにより、この炭素が熱膨張時の吸収代となって、耐スポーリング性が改善されるからである。しかしながら、浸漬ノズルの予熱時に、加熱バーナによりこのような耐火物が酸化すると、耐火物中の炭素が脱落して脱炭層が生成する。
脱炭層が生成すると、溶鋼を注湯中に異常溶損して、溶鋼中に耐火物原料が混入する。混入した耐火物原料は、高清浄鋼においては、製品品質を劣化させる介在物欠陥となる。従って、高清浄鋼に対しては、浸漬ノズルの耐溶損性を確保するために、予熱時における脱炭層の生成を防止することが肝要である。
そのため、浸漬ノズルの内外表面には酸化防止剤を塗布している。この酸化防止剤を機能させるためには、所定の温度プロファイルに沿って浸漬ノズルを昇温する必要がある。
具体的には、加熱開始から1時間の間は緩やかに900℃程度まで加熱し、その後加熱終了1時間前までに1200℃まで昇温して、最後の1時間は1200〜1300℃の温度範囲に保持されるような昇温プロファイルにて温度制御されなければならない。
このような昇温プロファイルから外れた昇温過程を経た場合は、前記酸化防止剤が酸化防止機能を果たさず脱炭層を生成し、耐火物原料が溶鋼中に混入する結果、介在物欠陥を有する低品質の鋼となってしまう。ところが、上述した従来例に示す如く、予熱炉自体やその加熱方式に関する公知の改善例は多数見受けられるが、このような問題点について言及した従来文献は見当たらない。
特許第2756454号公報 特許第3325481号公報 特開2005−21927号公報
浸漬ノズルの予熱炉においては、一般的に4台の加熱バーナのうち2台を、浸漬ノズル下方に設けられた2個の吐出孔位置に円周上対面して配置されているため、吐出孔近傍の温度は前記加熱バーナの影響を直接受ける。そのため、前記吐出孔近傍の温度が、前記昇温条件を満足するよう緩やかに加熱しなくてはならない。
また一方、この浸漬ノズルは、鋳造開始時の溶鋼によるスポーリング割れを防止するために、吐出孔のみならず、熱衝撃を受け難い浸漬ノズルの他の部位についても、少なくとも900〜1000℃以上の温度に予熱する必要がある。
しかしながら、浸漬ノズル全体を一様に加熱すべく加熱バーナを自然体に燃焼させると、昇温初期1時間の間に、前記吐出孔を900℃程度まで緩やかに昇温することは困難であり、また昇温末期においては、熱衝撃を受け難い浸漬ノズルの他の部位を900〜1000℃以上に加熱すべく加熱バーナを燃焼させると、吐出孔近傍の温度を1300℃以下に抑制することが困難となる。
前記浸漬ノズルの予熱に際しては、上述したような温度条件に加え、以下の4条件を満足する必要がある。
(A)浸漬ノズルが周方向から均一に加熱されること。
(B)浸漬ノズル吐出孔からも熱供給され、ノズル内部を通して全体的に加熱されるこ
と。
(C)浸漬ノズル全体が火炎を照射され、ノズル本体に直接熱供給されて効率的に加熱
されること。
(D)浸漬ノズル全体が加熱されるのに十分な熱量が、加熱バーナにより供給されるこ
と。
ところが、前述したように、吐出孔近傍の温度は前記加熱バーナの影響を直接受けるため、緩やかに昇温させるのが難しい。そのため、本発明に至るに先立って、この吐出孔に直接火炎を照射させないよう加熱バーナの配置を工夫することによって、上記4条件を満足しつつ吐出孔近傍の緩やかな昇温が可能か否かを検討した結果について以下に述べる。
先ず、吐出孔に対面した2個の加熱バーナを停止し、側面2方向に配置された他の2個のバーナのみで加熱する方法が考えられるが、この方法では上記A,B,Dの条件を満たすことが困難である。条件Dを満たそうとすると、側面2方向からの加熱バーナ火力を増大することが考えられるが、その場合、局所的に過熱されて条件Aが満足されなくなり、温度斑により浸漬ノズルを構成する耐火物に割れの発生が懸念される。
また、加熱バーナを前記吐出孔より下方4箇所に配置して、下方から加熱する方法が考えられるが、この場合には、前記条件B,Cを満たすことが困難である。即ち、吐出孔からの熱供給が不十分となり、ノズル内部の上端側の加熱不足になるとともに、間接的にしか加熱できないため、浸漬ノズル全体の昇温速度が遅くなる。
更に、加熱バーナを前記吐出孔より上方4箇所に配置して、上方から加熱する方法が考えられるが、この場合には、前記条件Bを満たすことが困難である。即ち、前記吐出孔からの熱供給が不十分となり、ノズル内部上端側のみならずノズル下端側の加熱不足が発生する。
更にまた、側面2方向の加熱バーナは吐出孔の高さ位置に配置し、前記吐出孔に円周上対面した加熱バーナを吐出孔より上方に配置することも考えられるが、この場合も条件Bを満たすことが困難となる。
同様に、側面2方向の加熱バーナは吐出孔高さ位置に配置し、前記吐出孔に円周上対面した加熱バーナを吐出孔より下方に配置することも考えられるが、この場合も条件Bを満たすことが困難となるとともに、全体が加熱不足になる。以上の如く、加熱バーナの配置を工夫しても、吐出孔部の温度が昇温し過ぎるという問題点は解決できないのである。
従って、本発明の目的は、高清浄鋼用の溶鋼を注湯するための浸漬ノズルの予熱において、所定の昇温プロファイルに従って浸漬ノズル全体を均一に昇温して、予熱時の脱炭防止により鋳造時の浸漬ノズルの溶損を防止し、高品質の高清浄鋼を製造することができる加熱方法を提供することにある。
本発明者らは、上記のような事情に鑑み、浸漬ノズルの吐出孔部やノズル内部に熱電対を装着して、種々の条件で浸漬ノズルの予熱・鋳造を実施した結果、上記条件を満足し得る手法を知見して本発明をなすに至ったものである。
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る浸漬ノズルの加熱方法が採用した手段は、浸漬ノズルの加熱方法において、次式(1)および(2)の両式と次式(3)または(4)の何れか一方の式とを満足する形状の火炎遮蔽板を、浸漬ノズルの吐出孔とこの吐出孔に円周上対面して配置された加熱バーナとの間の、前記吐出孔の外形を半径方向水平に延長した投影面に、100%以上覆うように設置して加熱することを特徴とするものである。
W≧1.1×W (1)
H≧1.1×H (2)
W≦2.5×W (3)
H≦2.5×H (4)
ここで、
W:火炎遮蔽板幅、W:浸漬ノズル吐出孔幅、
H:火炎遮蔽板高さ、H:浸漬ノズル吐出孔高さ
本発明の請求項2に係る浸漬ノズルの加熱方法が採用した手段は、請求項1項記載の浸漬ノズルの加熱方法において、前記火炎遮蔽板として、ステンレス鋼、チタンおよびタングステンのうちの1種または2種以上の材料で構成された板、あるいは前記材料のうち1種または2種以上の材料で表面を被覆した板を使用することを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係る浸漬ノズルの加熱方法は、吐出孔との相対的な寸法関係において、特定された寸法を満足する形状の火炎遮蔽板を、前記浸漬ノズルの吐出孔とこの吐出孔に円周上対面して配置された加熱バーナとの間の、前記吐出孔の外形を半径方向水平に延長した投影面に、100%以上覆うように設置したので、所定の温度プロファイルを保持しつつ浸漬ノズル全体を均一に昇温して予熱時の脱炭を防止することにより、鋳造時の浸漬ノズルの溶損を防止し高品質の高清浄鋼を製造できるようになった。
本発明の請求項2に係る浸漬ノズルの加熱方法は、前記火炎遮蔽板として、ステンレス鋼、チタンおよびタングステンのうちの1種または2種以上の材料で構成された板、あるいは前記材料のうち1種または2種以上の材料で表面を被覆した板を使用することとしたので、前記火炎遮蔽板が加熱バーナの火炎を直接受け、その酸化力により損傷して交換する頻度を低減することができる。
次に、本発明の実施の形態に係る浸漬ノズルの加熱方法について、浸漬ノズルの加熱方法を説明するため立断面で示した模式的構成図である図1、図1の矢視A−Aを示す平面断面図である図2、図1の矢視B−Bを示す図3、図1の矢視C−Cを示す図4を用いて以下に説明する。
浸漬ノズル1は、図1に示すように、溶鋼の出鋼量を制御するスライドゲートプレート7を介してタンデッシュ2に取り付けられ、鋳造時はその下端に設けられた2個の吐出孔1aから、鋳型に対し溶鋼を注湯するよう構成されているが、鋳造前には、予熱炉3によって予熱される。
この予熱炉3は、キャスタブル耐火物または断熱ファイバー等から構成され、円筒状の側壁3a、底部3bおよび前記側壁3a上面に載せられた蓋部3cとからなる。そして、前記側壁3a、底部3bおよび蓋部3cに囲まれた内部空間に、浸漬ノズル1を収納するための収納部4が形成され、前記側壁3a下端に設けられた加熱バーナ5a,5bにより、前記収納部4内の浸漬ノズル1が加熱される。
また、図2に示す如く、前記加熱バーナ5aは、浸漬ノズル1の吐出孔1aに対面する円周位置に、前記加熱バーナ5bは、前記吐出孔1aに直交する円周位置に各々配置されている。
このような構成からなる浸漬ノズル1の予熱炉3において、本発明の実施の形態に係る浸漬ノズルの加熱方法は、火炎遮蔽板6を、前記浸漬ノズル1の吐出孔1aとこの吐出孔1aに円周上対面して配置された加熱バーナ5aとの間の、図1および図2に示すように、前記吐出孔1aの外形を半径方向水平に延長した破線でその範囲を示される投影面に、100%以上覆うように設置するのが好ましい。
この火炎遮蔽板6は、前記浸漬ノズル1の吐出孔1aに加熱バーナ5aにより直接照射される火炎を遮蔽し、この吐出孔1a近傍が他の部位に比べ過熱するのを防止するために設置するものである。しかしながら、前記加熱バーナ5aの火炎による吐出孔1aへの熱流を遮蔽し過ぎると、浸漬ノズル1内部が加熱不足となりスポーリング割れが発生する。
従って、浸漬ノズル1の吐出孔1aとこの吐出孔1aに円周上対面して配置された加熱バーナ5aとの間に設置される前記火炎遮蔽版6は、加熱バーナ5aの火炎により発生する熱流、および吐出孔1aから浸漬ノズル1内部へ侵入する熱流を完全に遮断しないような寸法と配置に設置する必要がある。
そのため、同時に、図3に示したこの火炎遮蔽板6の幅Wおよび高さHが、次式(1),(2)の両式と次式(3),(4)の何れか一方の式とを満足する略矩形形状とするのが良い。
W≧1.1×W (1)
H≧1.1×H (2)
W≦2.5×W (3)
H≦2.5×H (4)
ここで、WおよびHは、図4に示したように、夫々浸漬ノズル1の吐出孔1aの幅および高さを示す。
前記火炎遮蔽板6の幅Wまたは高さHの何れか一方が、各々浸漬ノズル1の吐出孔1aの幅Wの1.1倍または高さHの1.1倍未満であると、前記加熱バーナ5aの火炎が火炎遮蔽板6の幅または高さの一方から漏れて、前記浸漬ノズル1の吐出孔1aを直接照射して、この吐出孔1a近傍を過熱してしまう。その結果、浸漬ノズル1に塗布された酸化防止剤の機能を局部的に阻害し、鋳造時の溶損を招くことになる。
また、この火炎遮蔽板6の幅Wおよび高さHの両者とも、各々浸漬ノズル1の吐出孔1aの幅Wおよび高さHの2.5倍を越える場合は、加熱バーナ5aの火炎による熱流が前記火炎遮蔽板6に遮断され、逆に、浸漬ノズル1が加熱不足となる。その結果、鋳造時に浸漬ノズル1のスポーリング割れを生じるのである。
このように、本発明に係る浸漬ノズルの上記加熱方法によれば、特定された寸法を満足する形状の火炎遮蔽板6を、浸漬ノズル1の吐出孔1aと加熱バーナ5aとの間の、前記吐出孔1aの外形を半径方向水平に延長した投影面に、100%以上を覆うように設置したことによって、直接火炎自体を前記吐出孔1aに照射させずに火炎遮蔽板6の周囲を迂回して、前記吐出孔1aに熱供給するようになる。
このような作用によって、前記吐出孔1a近傍の過熱を防止するとともに、加熱された火炎遮蔽板6を介して浸漬ノズル1に輻射熱を照射する効果も加わって、段落番号0016で説明した加熱時に満たすべき4条件を満足させるのである。その結果、加熱開始から1時間の間に900℃まで緩やかに加熱するとともに、加熱末期においては、吐出部1a近傍温度を1300℃以下に抑制しつつ、浸漬ノズル1全体を前述した所定の昇温プロファイル通りに加熱することができる。
また、本発明の実施の形態に係る浸漬ノズル1の加熱方法は、前記火炎遮蔽板6として、ステンレス鋼、チタンおよびタングステンのような耐酸化性を有する材料のうちの1種または2種以上の材料で構成された板であるのが好ましい。あるいはまた、前記火炎遮蔽板6としては、耐酸化性を有する前記材料のうち1種または2種以上の材料で表面を被覆した板を使用するのが好ましい。
このように、前記火炎遮蔽板6として鉄製の場合では、加熱バーナ5aの火炎を直接受け、その酸化力により前記火炎遮蔽板6が酸化溶融されて穴が開き、1回の鋳造毎に交換する必要があったが、耐酸化性に優れた材料で構成された板、あるいは耐酸化性に優れた材料で表面を被覆した板を使用することによって、8〜10回の鋳造回数に耐え得るようになった。
また、前記火炎遮蔽板6の厚さについては、少なくとも5mm以上とするのが好ましい。火炎遮蔽板6の厚さが5mm未満であると、上記のような耐酸化性を有する材料を用いても、溶損による開孔が生じるからである。このような火炎遮蔽板6は、図3に示すように、吊り棒6aによってハンガー6bに接続された構成をなしており、このハンガー6aを、予熱炉3の側壁3a上端の所定位置に懸架して使用する。
更に、図2に示したように、前記浸漬ノズル1の吐出孔1aと加熱バーナ5a間の距離Lは、60〜400mmであるのが好ましい。この距離Lが60mm未満であると、熱源である加熱バーナ5aと前記吐出孔1aの距離が近過ぎて、火炎遮蔽板6の効果が殆どない。また、この距離Lが400mmを越えると、前記加熱バーナ5aと浸漬ノズル1の距離が遠すぎて浸漬ノズル1に到達する熱量が不足し、結果的には浸漬ノズル1を所定の温度に昇温することが不可能となる。
更にまた、前記浸漬ノズル1の吐出孔1aと火炎遮蔽板6間の距離L、および前記火炎遮蔽板6と加熱バーナ5a間の距離Lが、共に30mm以上となるよう配置するのがより好ましい。距離Lが30mm未満であると、前記火炎遮蔽板6が吐出孔1aに近すぎて前記吐出孔1aへの熱流を遮断してしまい、浸漬ノズル1に加熱不足を生ずる。また、距離Lが30mm未満であると、加熱バーナ5aの火炎による熱流が前記火炎遮蔽板6に拡散されて、同様に浸漬ノズル1の加熱不足を生ずるからである。
<実施例>
次に、本発明に係る浸漬ノズルの加熱方法について、下記共通条件の基にテスト条件を種々変更し、浸漬ノズルを予熱して鋳造した鋳造結果について、以下表1を用いて説明する。
共通条件
・吐出孔と加熱バーナ間の距離L:105mm
・火炎遮蔽板の高さH:4.0×H
・昇温条件:段落番号0012記載の昇温プロファイル
表1において、先ず、火炎遮蔽板のない場合(比較例8)には、浸漬ノズルの異常溶損が発生した。次に、浸漬ノズルの吐出孔と火炎遮蔽板間の距離Lおよび前記火炎遮蔽板と加熱バーナ間の距離Lを、何れも30mm以上として配置した場合(実施例1〜7)では良好な鋳造結果が得られたが、前記LまたはLの何れかが30mm未満の場合(比較例9,10)では、加熱不足により浸漬ノズルに割れが発生した。
また、前記吐出孔と火炎遮蔽板間の距離Lおよび火炎遮蔽板と加熱バーナ間の距離Lを何れも50mm以上とし、火炎遮蔽板の幅Wを(1.1〜2.5)×Wとした場合(実施例3〜5)では、良好な結果であった。しかしながら、火炎遮蔽板の幅Wを0.9×Wとした場合(比較例11)では鋳造後の浸漬ノズルに異常溶損が発生し、2.6×Wとした場合(比較例12)には加熱不足による浸漬ノズル割れが発生した。
従って、今、火炎遮蔽板の幅Wについてのみ言うならば、浸漬ノズルの吐出孔幅Wの同一寸法以上で、かつ2.5倍以下とするとともに、前記吐出孔の外形を半径方向水平に延長した投影面に、100%以上覆うように設置するのが好ましいのである。
更に、火炎遮蔽板材質として、ステンレス鋼を使用した場合(実施例1〜5)、チタンを使用した場合(実施例6)あるいはタングステンを使用した場合(実施例7)には、何れも加熱終了後に火炎遮蔽板の損傷は認められなかったが、鉄板を使用した場合(比較例13)では鉄板に穴が開き、セラミックスを使用した場合(比較例14)にはセラミックス板に割れが夫々発生し、何れの浸漬ノズルにも異常溶損が発生した。
また、ステンレス鋼板を使用していても、火炎遮蔽板の厚さが4mmの場合(比較例15)には、孔開きが生じており、火炎遮蔽板の厚さとしては、少なくとも5mm以上とすることが好ましいのである。
次に、火炎遮蔽板を設置した本発明に係る浸漬ノズルの加熱方法の場合と、前記火炎遮蔽板を設置しない従来の加熱方法の場合とで、鋳造後に浸漬ノズルに生じた溶損状況の違いについて、以下図5および図6を用いて説明する。
図5は本発明の実施例に係る溶損状況を、図6は従来の浸漬ノズルの加熱方法による比較例に係る溶損状況を、夫々溶損指数に対する構成比で示している。ここで、前記溶損指数とは、浸漬ノズル1の吐出孔1aの高さH(図4参照)に対して、鋳造後の吐出孔1a高さ方向の平均損耗寸法をHとすると、{(H÷2)/H}×10の値として定義した。
そして、図5に示した通り、本発明に係る浸漬ノズルの加熱方法の場合では、溶損指数の最大値は0.45までに収まっており、かつ構成比の約60%までが溶損指数0.15以下である。これに対し、図6に示した通り、従来の加熱方法の場合では、溶損指数の最大値は0.66を越えており、かつ溶損指数0.15以下と溶損指数が0.16以上との各々の構成比の合計が、ほぼ50%ずつとなっている。
また、本発明に係る前記溶損指数の平均値は0.16であったが、従来例に係る溶損指数の平均値は0.27であった。即ち、従来の浸漬ノズルの加熱方法の場合では、吐出孔等に大きくダメージを与える溶損が多々生じたが、本発明に係る浸漬ノズルの加熱方式によって、鋳造時に生ずる溶損のレベルが大幅に改善されたのである。
以上のように、本発明に係る浸漬ノズルの加熱方法は、吐出孔との相対的な寸法関係において、特定された寸法を満足する形状の火炎遮蔽板を、加熱バーナと浸漬ノズルの吐出孔との間に、前記吐出孔を前記浸漬ノズルの半径方向に投影した投影面の100%以上を覆うように設置し、所定の温度プロファイルを保持しつつ浸漬ノズル全体を均一に昇温して、酸化防止剤の機能を阻害しないようにしたので、高品質の高清浄鋼を製造できるようになった。
また、本発明に係る浸漬ノズルの加熱方法は、前記火炎遮蔽板として、ステンレス鋼、チタンおよびタングステンのような耐酸化性を有する材料うちの1種または2種以上の材料で構成された板、あるいは前記材料のうち1種または2種以上の耐酸化性材料で表面を被覆した板を使用することとしたので、火炎遮蔽板の交換頻度を大幅に低減することができた。
本発明の実施の形態に係る浸漬ノズルの加熱方法を説明するため立断面で示した模式的構成図である。 図1の矢視A−Aを示す平面断面図である。 図1の矢視B−Bを示す図である。 図1の矢視C−Cを示す図である。 本発明の実施例に係る浸漬ノズルの溶損状況を、溶損指数に対する構成比で示した図である。 従来の浸漬ノズルの加熱方法による比較例に係る溶損状況を、溶損指数に対する構成比で示した図である。 従来例に係る予熱装置を浸漬ノズルに取り付けた状態の断面図である。 他の従来例に係る浸漬ノズルのカバー部材が予熱炉に収納された状態を示す断面図である。
符号の説明
1…浸漬ノズル,1a…吐出孔,
2…タンディシュ,
3…予熱炉,3a…側壁,3b…底部,3c…蓋部,
4…収納部,
5a,5b…加熱バーナ,
6…火炎遮蔽板,6a…吊り棒,6b…ハンガー,
7…スライドゲートプレート

Claims (2)

  1. 浸漬ノズルの加熱方法において、次式(1),(2)の両式と次式(3),(4)の何れか一方の式とを満足する形状の火炎遮蔽板を、浸漬ノズルの吐出孔とこの吐出孔に円周上対面して配置された加熱バーナとの間の、前記吐出孔の外形を半径方向水平に延長した投影面に、100%以上覆うように設置して加熱することを特徴とする浸漬ノズルの加熱方法。
    W≧1.1×W (1)
    H≧1.1×H (2)
    W≦2.5×W (3)
    H≦2.5×H (4)
    ここで、
    W:火炎遮蔽板幅、W:浸漬ノズル吐出孔幅、
    H:火炎遮蔽板高さ、H:浸漬ノズル吐出孔高さ
  2. 前記火炎遮蔽板として、ステンレス鋼、チタンおよびタングステンのうちの1種または2種以上の材料で構成された板、あるいは前記材料のうち1種または2種以上の材料で表面を被覆した板を使用することを特徴とする請求項1に記載の浸漬ノズルの加熱方法。
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