JP4358926B2 - 印刷方法、製版装置および印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷方法を含む印刷方法、製版装置および孔版印刷装置を含む印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特開平5−162429号公報に開示されているような用紙の片面に印刷を行なう片面印刷方式の孔版印刷装置が知られている。この孔版印刷装置では、その外周面全体にわたって多数の小孔が設けられた印刷ドラムとも呼ばれている円筒状版胴と、この円筒状版胴の内周面にインキを供給するインキ供給手段と、プレスローラによる用紙の押圧点より上流側における孔版原紙の移動経路の円筒状版胴に対向した位置に設けられ、円筒状版胴上の孔版原紙に接離可能な押えローラとを有していることによって、円筒状版胴とプレスローラとの離間距離を著しく狭くして、給紙中においては連続してプレスローラによる円筒状版胴への押圧動作を継続して印刷を行なうものである。
【0003】
そして、上記片面印刷方式を用いた技術によれば、版胴上にクランパを設ける必要がないので、版胴の構造が簡単になって安価であり、プレスローラが間欠的に版胴に押圧することがないので衝撃音を発生することがなく、これに加えてプレスローラがバウンドして用紙の画像先端部に濃度ムラを発生することがなく、また特開平3−136890号公報に開示されている技術のように、版胴の外周面に衝撃吸収部材を設ける必要がないので段差が生じることもなく、プレスローラによる押圧力のムラによって画像ムラを発生させることがないという作用効果を奏する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記技術では、上記作用効果を奏する反面、版胴上にクランパが設けられていないため、第1に、用紙が円筒状版胴の外周面から離れるときに、用紙に働いているインキの粘着力によって、円筒状版胴の外周面に巻装されている孔版原紙(以下、「マスタ」という)を円筒状版胴の回転遅れ側(回転方向の上流側)に引っ張る力が発生し、印刷を繰り返す度に円筒状版胴に巻装されているマスタの位置がズレる現象が発生してしまい、結果的に用紙に印字・転写される位置が後退したり、マスタにシワが発生したりするという問題点がある。
第2に、円筒状版胴とプレスローラとの離間距離が著しく狭く設定されているので、円筒状版胴の印刷装置本体からの着脱が容易に行なえないという問題点がある。
第3に、給紙中においてはプレスローラが連続押圧動作を実行するので、用紙がジャムした場合にはプレスローラがインキ等で汚れて、次に供給される用紙をプレスローラに付着したインキ等で汚してしまうという問題点もある。
第4に、円筒状版胴に巻装された製版済みのマスタの後端部に滲み出てきたインキが円筒状版胴の内部に戻ることができないため、いわゆるインキの尻漏れが発生し、そのインキが円筒状版胴の外部に飛び散りその周りの装置や用紙等を汚損したり、インキの無駄遣いをしたりするという問題点もある。
【0005】
なお、上記技術を、例えば特開平6−71996号および特開平6−135111号公報、あるいは本願出願人が特開平11−1057号公報(特願平9−154937号)で提案したような、用紙の両面に同時的に印刷を行ない1工程で両面印刷物を得る両面同時印刷方式の孔版印刷装置に適用した場合においては、上記した第1および第4と同様の問題点を生じてしまうことは明らかである。
【0006】
したがって、本発明の主な目的は、孔版印刷方法を含む印刷方法、孔版印刷装置を含む印刷装置、および製版装置において、上記技術を改良することにより、上記した第1ないし第4の問題点を解決することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、請求項ごとに記載された手段により上記した各課題を解決する。
請求項1記載の発明では、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられた少なくとも一つの版胴を有し、上記外周面にマスタを巻き付け、上記版胴の内部からインキを該版胴上のマスタに供給し、上記版胴上のマスタに用紙を押し付けて用紙に印刷を行なう印刷方法において、上記外周面に巻装するマスタの供給長さは、上記外周面の外周長よりも長く、かつ、上記外周面へのマスタ巻装後のマスタの後端が、マスタの先端部側に形成された穿孔画像領域の穿孔画像開始位置まで達しない長さに設定されており、上記供給長さに設定された設定マスタを上記外周面に巻装し、該設定マスタ巻装終了時に、該設定マスタの先端部の上に該設定マスタの後端部を重ね合わせたマスタ重合領域を形成した後、印刷を行なう印刷方法であって、上記マスタ重合領域に対応した上記設定マスタの先端部分に第1次穿孔領域が少なくとも1箇所形成されていると共に、上記設定マスタの先端と第1次穿孔領域の開始位置との間に第1未製版領域が、および第1次穿孔領域の終了位置と上記穿孔画像開始位置との間に第2未製版領域がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の印刷方法において、上記設定マスタ巻装開始時、マスタ押え手段により、第1および第2未製版領域が押圧され、第1次穿孔領域および上記穿孔画像領域では上記マスタ押え手段による押圧がそれぞれ回避されることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明では、請求項2記載の印刷方法において、上記設定マスタ巻装終了時、上記マスタ押え手段により、上記マスタ重合領域における第1次穿孔領域が押圧されることを特徴とする。
【0024】
請求項記載の発明では、版胴の外周面に巻き付けるマスタを製版する製版手段とマスタを所定の長さに切断する切断手段とを有する製版装置において、上記切断手段は、上記版胴の外周面に巻装するマスタの供給長さを、上記版胴の外周面の外周長よりも長く、かつ、上記版胴の外周面へのマスタ巻装後のマスタの後端が、上記製版手段によりマスタの先端部側に形成された穿孔画像領域の穿孔画像開始位置まで達しない長さに切断・設定した設定マスタを形成し、上記製版手段は、上記設定マスタの上記版胴の外周面への巻装終了時に形成されるマスタ重合領域に対応した上記設定マスタの先端部分を穿孔して、第1次穿孔領域を少なくとも1箇所形成することを特徴とする。
【0025】
請求項記載の発明は、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられ、上記外周面にマスタを巻き付ける少なくとも一つの版胴と、この版胴の内部からインキを該版胴上のマスタに供給するインキ供給手段と、上記版胴を回転する版胴駆動手段と、用紙を介して上記版胴上のマスタに相対的に押し付けられる押圧手段と、上記押圧手段および/または上記版胴による押圧動作を行なわせる押圧駆動手段と、上記版胴に対向して配設され、上記マスタを介して上記版胴に接離自在なマスタ押え手段と、このマスタ押え手段を接離自在に駆動する押え駆動手段とを具備する印刷装置において、上記外周面に巻装するマスタの供給長さは、上記外周面の外周長よりも長く、かつ、上記外周面へのマスタ巻装後のマスタの後端が、マスタの先端部側に形成された穿孔画像領域の穿孔画像開始位置まで達しない長さに設定されており、上記供給長さに設定された設定マスタの上記外周面への設定マスタ巻装終了時に形成されるマスタ重合領域に対応した該設定マスタの先端部分に第1次穿孔領域が少なくとも1箇所形成されていると共に、上記設定マスタの先端と第1次穿孔領域の開始位置との間に第1未製版領域が、および第1次穿孔領域の終了位置と上記穿孔画像開始位置との間に第2未製版領域がそれぞれ形成されており、上記設定マスタ巻装開始時、上記マスタ押え手段が第1および第2未製版領域を押圧し、上記マスタ押え手段が第1次穿孔領域および上記穿孔画像領域の上記設定マスタの押圧をそれぞれ回避するように上記押え駆動手段を制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0026】
請求項記載の発明では、請求項記載の印刷装置において、上記制御手段は、上記設定マスタ巻装終了時、上記マスタ押え手段が上記マスタ重合領域における第1次穿孔領域を押圧するように上記押え駆動手段を制御することを特徴とする。
【0028】
ここで、「押圧手段」としては、装置の小型化および静音化を図れる度合いがそれぞれ後述する圧胴よりも大きいという点からは版胴よりも小さなプレスローラが用いられ、さほど装置の小型化を望まなくてもよいのであれば版胴の外径と略同径の圧胴を用いて印刷レジスト精度の向上を図ってもよい。「用紙を介して上記版胴に対して押圧手段を相対的に押し付けて上記用紙に印刷を行なう印刷方法」には、「押圧手段」として圧胴を用いた場合では、版胴に対して圧胴を押し付けて印刷を行う圧胴接離方式と、圧胴に対して版胴を押し付けて印刷を行う版胴接離方式と、それらの併用方式とがある。圧胴接離方式の具体例としては、例えば特開平9−216448号公報の図1ないし図5等に示されている圧胴およびその接離手段が挙げられる。一方、版胴接離方式には、版胴が圧胴側へ移動(版胴内部のインキローラが圧胴側へ突出するタイプも含む)して印刷を行う周知のものが挙げられる。
【0030】
ここで、請求項1よび等に記載されている「外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられた版胴」とは、インキ通過性の開孔がその外周面の全体に亘って設けられた版胴を含む他、インキ通過性の開孔が版胴の少なくとも一方の側縁部を除きその外周面の全体に亘って設けられた版胴を含むことを意味する。
【0033】
上記した各マスタ押え手段の具体例としては、後述するようなマスタ押えローラを用いることが設定マスタの被押圧部の均一性およびそのローラの耐久性上から好ましいが、これに限らず、例えば特開平7−101135号公報の図7に示されているようなスポンジ部材57を備えた張力付与機構50Aであってもよく、これを用いた場合にはスポンジ部材57により設定マスタを版胴の外周面に押し付けると共に、圧接バネ52Aによって適度な張力を付与しつつ押圧力を与えることができる。また、上記した押え駆動手段の具体例としては、後述するようなソレノイドが用いられるが、これに限らず、電動モータであってもよい。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」という)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成部品等については、同一符号を付すことによりその説明をできるだけ省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成部品は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。
【0035】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態を示す印刷装置の一例としての孔版印刷装置の概要を表している。この孔版印刷装置は、同図に示すように、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔1a(図1には図示せず、図14に示す)が設けられ、マスタ61あるいは後述する設定マスタ61aを外周面に巻き付ける回動自在な版胴101と、この版胴101の内部に配設され、版胴101の内部からインキを版胴101上の設定マスタ61aに供給するインキ供給手段としてのインキ供給装置108と、版胴101を回転する版胴駆動手段としての版胴駆動モータ111と、版胴101の右側上方に配設され、版胴101の外周面に巻き付けるマスタ61を所定の供給長さに切断して設定マスタ61aを形成する切断手段としてのカッタ95および設定マスタ61aを穿孔製版する製版手段を有する製版装置90と、版胴101上の設定マスタ61aに用紙82(図1では仮想線で示す)を選択的に押圧する押圧手段としてのプレスローラ103と、プレスローラ103による版胴101への押圧動作を行なわせる押圧駆動手段としてのプレスローラ駆動モータ167と、設定マスタ61aの移動経路のプレスローラ103による用紙82の押圧点より版胴101の回転方向(時計回り方向)の上流側における版胴101の外周面に対向して配設され、設定マスタ61aを介して版胴101の外周面に接離自在なマスタ押え手段としてのマスタ押えローラ121と、このマスタ押えローラ121を接離自在に駆動する押え駆動手段としてのソレノイド125と、この孔版印刷装置の主な制御を行なう制御装置170(図1には図示せず図8に示す)とを具備している。
この孔版印刷装置は、製版装置90を内蔵した感熱デジタル製版印刷一体型の構成を採っている。
【0036】
以下、説明の便宜上からマスタ61および設定マスタ61aの用語の使い分け方を次のようにする。すなわち、上記製版手段により穿孔製版される前のマスタを単にマスタ61とし、上記製版手段により穿孔製版されたり、上記切断手段によって所定の供給長さに切断・設定されたりするマスタを設定マスタ61aとして使い分けるものとする。
【0037】
また、製版装置90に対向する版胴101の左側上方には版胴101の外周面に巻装されている使用済みの設定マスタ61aを剥離し排版する排版装置(図示せず)が、版胴101、上記排版装置および製版装置90の上方には原稿の画像を読み取るための原稿読取装置(図示せず)が、版胴101の右側の製版装置90の下方には版胴101とプレスローラ103との間に給紙台(図示せず)上に積載された用紙82を給送する給紙装置(図示せず)が、この給紙装置に対向する版胴101の左側には印刷済みの用紙82を版胴101の外周面から剥離し排紙する排紙装置(図示せず)がそれぞれ配置されている。上記原稿読取装置、上記排版装置、上記給紙装置および上記排紙装置は、例えば特開平5−229243号公報に記載の孔版印刷機のものと同様の構成を具備する。
【0038】
以下、図1および図14を参照して上記構成部品周りの構成を詳述する。
版胴101は、回転中心軸線方向に所定の幅を有し、その両側縁部を除き外周面の全体に亘ってインキ通過性の多数の開孔1aが設けられた金属製の支持円筒体1と、この支持円筒体1の外周面を覆うインキ通過性の樹脂もしくは金属製網体からなるメッシュスクリーン2とから主に構成されている。支持円筒体1は、ステンレススチール等の金属板にエッチングやプレス加工によって開孔1aを形成したものであり、その厚さ0.1〜1.0mmのものが好ましく用いられる。版胴101は、インキ供給管を兼ねる回転中心軸としての支持軸104の周りに回転可能に支持されていて、版胴駆動モータ111によって図中矢印で示す時計回り方向および反時計回り方向に回転される。支持軸104には、インキ供給装置108にインキを供給するインキ供給孔104aが開けられている。この第1の実施形態における版胴101には、従来の版胴のようにマスタの先端部を挾持・係止するマスタクランパ等の係止部材がその外周面に設けられていない特有の構造を有することにより、版胴101は、その外周面の如何なる位置であっても版胴101の内部からインキを供給して、設定マスタ61aの先端部をそのインキの粘性による粘着力によって保持させることができる。
【0039】
インキ供給装置108は、版胴101の回転方向と同一方向に同期して回転して支持円筒体1の内周面にインキを供給するインキ供給ローラ105と、インキ供給ローラ105とわずかな隙間をもって平行に配置されインキ供給ローラ105との間に断面楔状のインキ溜り107を形成するドクターローラ106と、インキ溜り107へインキをインキ供給孔104aから供給する支持軸104とから主に構成される。
【0040】
インキ供給ローラ105は、アルミニウム、ステンレスなどの金属またはゴム等により形成され、図示しないギヤ列により版胴101と共に時計回り方向に回転する。インキ供給ローラ105と版胴101との回転速度の比は、所定の値に設定されている。ドクターローラ106は、鉄やステンレスなどの金属で形成され、図示しないギヤ列により反時計回り方向に回転する。ドクターローラ106と版胴101との回転速度の比も所定の値に設定されている。インキ溜り107に供給されるインキの量は、インキ検知手段(例えば特開平5−229243号公報の図5参照)によって検知・測定され、図示しないインキポンプによってインキ圧送量をコントロールされる。
【0041】
プレスローラ103は、インキ供給ローラ105に対向する版胴101の外周面の下方近傍に上下に揺動自在に設けられている。プレスローラ103は、装置本体側に設けられた支持軸162を中心に揺動可能なブラケット161の一方の揺動端において回転自在に支持されている。版胴101に対するプレスローラ103の押圧力は、ブラケット161の他方の揺動端側に張設されたスプリング163(引張バネ)の付勢力によって発生するようになされており、また同スプリング163の付勢力によってブラケット161の他方の揺動端部にはプレスローラカム164の輪郭周面が選択的に圧接するようになっている。プレスローラカム164の軸には、ギア165が一体的に取り付けられている。
【0042】
一方、プレスローラカム164近傍の装置本体側には、その出力軸にギア165と噛合するギア166を有するプレスローラ駆動モータ167が配設されている。プレスローラ駆動モータ167の回転駆動により、プレスローラ103は、上記用紙を介して版胴101の外周面に圧接する印刷位置と、この印刷位置から離間する離間位置との間で揺動・昇降自在となっている。このように、プレスローラ103はプレスローラカム164を介してプレスローラ駆動モータ167によって回転されることから、従来装置のような版胴駆動系のメインモータに連結されて回転される方式とは相違している。プレスローラカム164は、上記給紙装置から上記用紙が給送されないときには、図1等に示すようにその大径部をブラケット161の他方の揺動端部に圧接し、図1および図6ないし図13のみに示す用紙検知手段としての用紙検出センサ102により上記給紙装置から給送された用紙82の先端が検知された時に、図6に示すように回転して、その小径部をブラケット161の他方の揺動端に非接触で対向させ、プレスローラ103を図において反時計回り方向に揺動・上昇させるようになっている。
【0043】
プレスローラ103が図1に示すような離間位置を占めている状態では、版胴101の外周面とプレスローラ103の外周面との間の距離は、特開平5−162429号公報に開示されているように著しく狭いものではなく、実施例的にいえば7〜10mm位の距離を保持するようになされている。したがって、従来のように版胴の印刷装置本体からの着脱が容易に行なえないという問題点を生じることはない。
【0044】
製版装置90は、マスタ61を芯管60aの周りに巻き付けてロール状に形成したマスタロール60からマスタ61を繰り出し可能に支持する支持部材60b(図1にのみ示す)と、マスタロール60から繰り出されたマスタ61を選択的に穿孔製版するサーマルヘッド91と、マスタロール60からマスタ61を引き出しながらこれをサーマルヘッド91に押圧しつつマスタ搬送方向Xの下流側に搬送するプラテンローラ92と、設定マスタ61aを形成する切断手段としてのカッタ95と、設定マスタ61aを搬送するマスタ送りローラ対93a,93bと、設定マスタ61aを版胴101の外周面に搬送する給版ローラ対94a,94bとから主に構成されている。上記のとおり、上記製版手段は、サーマルヘッド91とプラテンローラ92とから構成される。
【0045】
マスタ61としては、通常、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムに多孔質支持体(ベース)として和紙等を貼り合わせたもので、その厚さ100μm以下のマスタが用いられる。マスタロール60は、熱可塑性樹脂フィルム面の破損防止を図る目的でその内側にフィルム側を、外側に支持体側を向けた状態で巻成したものを用いている。
【0046】
マスタ61は、上記のものに限らず、非常に薄い実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものや、この実質的に熱可塑性樹脂フイルムのみからなるマスタ(その厚さが約1〜8μm)程ではないが、上記したマスタ61(その厚さが100μm以下であって通常使用される範囲が約40〜50μm程度)よりも厚さが薄く(厚さ20〜30μm)、かつ、ベースにおける合成繊維の混抄率が高いマスタ、例えば極端に合成繊維の混抄率が高いポリエチレンテレフタレート(PET)100%からなるベースを有する合成繊維ベースマスタ等を用いることも勿論可能である。このように、通常のマスタ61よりも薄くいわゆる腰のないマスタ61等を使用する場合には、プラテンローラ92等への静電吸着による貼り付き・巻き上り対策や、サーマルヘッド91へのスティック対策、あるいは版胴101の外周面への巻装時のシワ対策等を施した構成部品を装置に組み入れたり、該対策構成を付加したりすることが好ましい。
【0047】
プラテンローラ92は、その軸92aと一体的に取り付けられていて、軸92a方向に延在して設けられている。プラテンローラ92の軸92aは、図示しない孔版印刷装置の側板に回転自在に支持されている。プラテンローラ92は、軸92aの一端に取り付けられたプラテンローラプーリとモータプーリとの間に掛け渡された無端ベルト等の回転伝達部材(共に図示せず)を介してマスタ搬送モータ96に連結され、マスタ搬送モータ96により図示矢印方向に回転される。マスタ搬送モータ96は、ステッピングモータからなる。
【0048】
サーマルヘッド91は、プラテンローラ92の下方に位置し、プラテンローラ92の軸92aと平行に延在して設けられている。サーマルヘッド91は、上記した制御装置170からの指令により、プラテンローラ92による設定マスタ61aの搬送と協働して、版胴101の外周面への設定マスタ61aの巻装終了時に形成される、設定マスタ61aの先端部の上に設定マスタ61aの後端部が重ね合わさるマスタ重合領域69(図14に示す)に対応した設定マスタ61aの先端部分を穿孔して、第1次穿孔領域を少なくとも1箇所形成する機能を有する。また、サーマルヘッド91は、図示しないA/D変換部および製版制御部で処理されて送出される原稿画像に対応したデジタル画像信号に応じて、その発熱素子が選択的に発熱することにより設定マスタ61aの所定位置を加熱溶融し穿孔製版する周知の機能を有する。
【0049】
カッタ95は、図1に示すような可動刃としての回転刃95aが固定刃95bに対してマスタ搬送方向Xと直交するマスタ幅方向に回転移動するタイプのものが用いられている。すなわち、カッタ95としては、後述するカッタホルダを上記マスタ幅方向の一端から他端まで往復動自在に案内する上記マスタ幅方向に延在したレール(図示せず)と、このレールに転動可能なコロを介して回動するように設けられ、設定マスタ61aを切断する回転刃95aを備えたカッタホルダ(図示せず)と、上記マスタ幅方向の一端側の装置本体に設けられたカッタモータ98と、このカッタモータ98の出力軸に回転伝達部材を介して連結されたプーリおよび上記マスタ幅方向の他端側の装置本体に設けられたプーリ(共に図示せず)と、これらのプーリ間に掛け渡され上記カッタホルダを連結・固定しているタイミングベルトと、上記カッタホルダの位置を検出するための2個の位置センサ(図示せず)とを具備しているものが挙げられる。カッタ95は、例えば特開平7−172009号公報(特許第2718612号)の図1および図3に開示されているものと略同様の構造を具備している。
【0050】
カッタ95は、上記した制御装置170からの指令により、版胴101の外周面の外周長よりも長く、かつ、版胴101の外周面への設定マスタ61a巻装後の設定マスタ61aの後端が、上記製版手段により原稿画像に応じて設定マスタ61aの先端部側に形成された穿孔画像領域の穿孔画像開始位置まで達しない長さである所定の供給長さに切断する機能を有する。
切断手段は、上記したカッタ95に限らず、可動刃が固定刃95bに対して上下動するいわゆるギロチンタイプのもの、例えば特公平6−408号公報の図1ないし図4に示されているものでもよい。
【0051】
マスタ送りローラ対93a,93bおよび給版ローラ対94a,94bの各上側ローラは、駆動ローラとしてそれぞれ構成されており、複数のギアあるいはプーリおよびベルト等の回転伝達部材を介して上記したマスタ搬送モータ96に連結されている。
給版ローラ対94a,94bの出口には、設定マスタ61aの搬送の向きを鉛直下向きに変えるガイド板97が設けられている。また、カッタ95とマスタ送りローラ対93a,93bとの間、マスタ送りローラ対93a,93bと給版ローラ対94a,94bとの間の各マスタ搬送路上にも図示を省略したマスタガイド板が適宜配設される。なお、プラテンローラ92とカッタ95との間の距離、カッタ95とマスタ送りローラ対93a,93bとの間の距離、マスタ送りローラ対93a,93bと給版ローラ対94a,94bとの間の距離は、それぞれ図の簡明化を図るため適宜誇張されて描かれており、実際の距離寸法を示すものではないことを付言しておく。
【0052】
マスタ押えローラ121は、例えば低硬度のニトリルゴムや発泡材でできている。マスタ押えローラ121は、装置本体側の側板に設けられた軸124の周りに揺動自在に支持されていて、紙面手前側および奥側に設けられた支持アーム対126,126の一端に回転可能に取り付けられている。支持アーム対126,126の他端は、ピンを介してソレノイド125のプランジャ125aに連結されている。上記装置本体における支持アーム対126,126の他端寄りの部位には、図1にのみ示すように、支持アーム対126,126の他端が版胴101の外周面から離間するときの揺動を規制するストッパピン122が設けられている。また、支持アーム対126,126の他端側中央部には、図1にのみ示すように、上記装置本体側の側板にその一端が係止されたスプリング123(引張バネ)の他端が係止されていて、支持アーム対126,126の他端はスプリング123の付勢力によって常に版胴101の外周面から離間する向きの揺動習性が与えられている。ソレノイド125は、プル型のものを用いており、装置本体側の側板に固設されている。上記の構成により、マスタ押えローラ121は、ソレノイド125が印加・励磁されてオンされることによって、図1の仮想線で示す待機位置から実線で示す押圧位置へ変位することができ、待機位置と押圧位置との間で揺動自在になされている。
【0053】
上記給紙装置は、用紙82の先端を版胴101の外周面とプレスローラ103との間へ所定のタイミングで送るレジストローラ対112a,112bと、用紙82の先端をレジストローラ対112a,112bのニップ部および版胴101の外周面とプレスローラ103の外周面との間へ案内する一対のガイド板対83a,83bと、上記給紙台上に積載された最上位の用紙82を1枚ずつ分離してレジストローラ対112a,112bに向けて用紙82の先端を給送する給紙手段と、レジストローラ対112a,112bの用紙搬送方向の下流側に配置され、連続給紙中に用紙82の給送が途絶えたことを検知する用紙検知手段としての用紙検出センサ102とから主に構成されている。
【0054】
用紙検出センサ102は、用紙82の先端を検知することにより、上記給紙手段を含む用紙搬送方向の上流側で発生した用紙82のジャムを検知するジャム検知機能を有する。用紙検出センサ102は、発光部および受光部を具備した反射型の光学センサからなる。上側のガイド板83aには上記発光部からの出射光および用紙82の先端表面からの反射光を通す開口部(図示せず)が開けられている。上記給紙手段は、例えば特開平5−229243号公報の図8等に示されているような呼出しローラとも呼ばれている給紙コロ、上下一対の上分離ローラおよび下分離ローラから構成されている。なお、用紙検出センサ102は、反射型の光学センサに限らず、用紙82の先端に当接することにより揺動自在なフィラーと呼ばれている遮光片を備えた透過型の光学センサ等であってもよい。
【0055】
次に、図8を参照して、制御装置170周りの主要な制御構成について説明する。なお、後述するように、設定マスタ61aにそれぞれ形成される第1次穿孔領域63、第1および第2未製版領域65,66、穿孔画像領域68およびマスタ重合領域69、ならびに前記した各位置を示す第1次穿孔開始位置62、第1次穿孔終了位置64、穿孔画像開始位置67および穿孔画像終了位置70の詳細は、図の簡明化を図るため図14にまとめて拡大して示してあるので、以下、適宜それらを引用して説明するときがある。
【0056】
制御装置170は、図8に示すように、駆動回路や適宜の電子回路を介して、図示を省略した操作パネルに配置されている製版スタートキー71、テンキー(図示せず)および印刷スタートキー72と、用紙検出センサ102と、製版装置90のマスタ搬送モータ96、サーマルヘッド91およびカッタモータ98と、ソレノイド125と、版胴駆動モータ111と、プレスローラ駆動モータ167との間で、指令信号やオン/オフ信号あるいはデータ信号を送受信し、本孔版印刷装置の主要な各装置部における制御対象駆動部分の起動、停止およびタイミング等の動作全体に係るシステムを制御している。
【0057】
製版スタートキー71は、原稿画像の画像読み取りから給版に至る各動作の起動を設定・入力する機能を、上記テンキーは、印刷枚数等を設定・入力する機能を、印刷スタートキー72は、上記テンキーで設定・入力された印刷枚数の印刷動作の起動を行う機能をそれぞれ有する。
【0058】
制御装置170は、図示を省略したCPU(中央処理装置)、I/O(入出力)ポート、ROM(読み出し専用記憶装置)、RAM(読み書き可能な記憶装置)および内部タイマ(図示せず)等を備え、図示しない信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。
【0059】
上記CPUは、版胴101の外周面に巻装する設定マスタ61aを、版胴101の外周面の外周長よりも長く、かつ、版胴101の外周面への設定マスタ巻装後の設定マスタ61aの後端が、設定マスタ61aの先端部側に形成された穿孔画像領域の穿孔画像開始位置まで達しない長さに設定すべく、マスタ搬送モータ96およびカッタモータ98を制御すると共に、図14に示すように、設定マスタ巻装終了時に形成されるマスタ重合領域69に対応した該設定マスタ61aの先端部分に第1次穿孔領域63を少なくとも1箇所形成すべくサーマルヘッド91を制御する制御手段としての機能を有する。これにより、図14に示すように、設定マスタ61aには、設定マスタ61aの先端と第1次穿孔開始位置62との間に第1未製版領域65が、および第1次穿孔終了位置64と穿孔画像開始位置67との間に第2未製版領域66がそれぞれ形成される。そして、上記CPUは、設定マスタ巻装開始時、図14に示すように、マスタ押えローラ121が第1および第2未製版領域65,66を押圧し、第1次穿孔領域63および穿孔画像領域68の設定マスタ61aの押圧をそれぞれ回避するようにソレノイド125を制御する制御手段としての機能を有する。
なお、第1次穿孔領域63の形成数、その長さおよび面積、第1および第2未製版領域65,66の各長さおよび各面積、ならびにマスタ重合領域69の長さおよび面積等は、インキの種類や温・湿度等の環境条件をも考慮に入れながら本願発明の効果を最適に奏するように実験等により決められる事項であるため、その一々の実施例の説明については省略する。
【0060】
また、上記CPUは、設定マスタ巻装終了時、マスタ押えローラ121がマスタ重合領域69における第1次穿孔領域63を押圧するようにソレノイド125を制御する制御手段としての機能を有する。
【0061】
また、上記CPUは、プレスローラ103による版胴101に対する押圧動作が給紙中連続して継続可能である場合において、用紙検出センサ102から送信される、連続給紙中に用紙82の給送が途絶えた(例えば、所定時間経過しても用紙82が検出されない)ことを検知する信号に基づき、プレスローラ103による上記押圧動作を回避するようにプレスローラ駆動モータ167を制御する押圧制御手段としての機能を有する。
【0062】
上記RAMは、上記CPUの演算結果を一時記憶したり、上記各キーおよび上記センサから入力されたオン/オフ信号やデータ信号を随時記憶する。上記ROMには、後述する本孔版印刷装置の動作を実行するためのプログラムやデータ等が予め記憶されている。
【0063】
上述したように、本孔版印刷装置の動作は、上記CPU(以下、説明の便宜上から制御装置170というときがある)からの指令によりなされる、いわゆる一部条件制御を含むシーケンス制御の下に実行されるようになっている。
【0064】
次に、本孔版印刷装置の動作について以下に記す。
製版スタートキー71を押すと、そのスタート信号が制御装置170に送信されて、先ず、排版動作が行なわれる。すなわち、使用済みの設定マスタ61aが巻装された版胴101が、図1において反時計回り方向に回転しつつ、上記排版装置内の図示しない排版手段によって使用済みの設定マスタ61aが剥離され、上記排版装置内の図示しない排版ボックスに廃棄・排版されて、版胴101は所定の位置に停止する。
【0065】
上記排版動作と並行して画像読み取り動作および特有の製版動作が行なわれる。制御装置170からの製版指令がマスタ搬送モータ96に送信されることにより、プラテンローラ92が矢印方向に回転を始め、上記ROMに記憶されている、マスタ搬送モータ96を所定ステップ数回転駆動すると共にサーマルヘッド91を発熱駆動するデータ等に基づき、サーマルヘッド91の発熱素子が選択的に発熱されることで、プラテンローラ92にサーマルヘッド91により押圧されるマスタ61の先端部が加熱溶融・穿孔されて所定範囲の第1次穿孔領域63が形成される。
【0066】
次いで、マスタ搬送モータ96の所定ステップ数回転駆動後、原稿画像の読み取り信号に応じてサーマルヘッド91の発熱素子が選択的に発熱され、プラテンローラ92にサーマルヘッド91により押圧されるマスタ61の部分が選択的に加熱溶融・穿孔されて穿孔画像領域68が形成される。そして、このように穿孔製版された設定マスタ61aの先端部は、プラテンローラ92により送り出され、これと同時に、マスタ送りローラ対93a,93bおよび給版ローラ対94a,94bも設定マスタ61aをマスタ搬送方向Xに搬送すべくそれぞれ回転されることにより、設定マスタ61aにはその先端と第1次穿孔開始位置62との間に第1未製版領域65が、および第1次穿孔終了位置64と穿孔画像開始位置67との間に第2未製版領域66がそれぞれ形成される。
【0067】
次いで、マスタ搬送モータ96の所定ステップ数の回転駆動により、設定マスタ61aの先端が版胴101の外周面とマスタ押えローラ121との間の部分に到達したと制御装置170により判断されると、ソレノイド125がオンされることにより、図1に示すように、支持アーム対126,126がスプリング123の付勢力に抗して軸124を中心にして時計回り方向に揺動・変位して、マスタ押えローラ121が実線で示されている押圧位置を占める。これにより、設定マスタ61aの先端から第1次穿孔開始位置62との間の第1未製版領域65が版胴101の外周面に押圧され、これと同時に、版胴駆動モータ111がオンされ回転駆動されることにより、版胴101が設定マスタ61aの送り速度と同じ周速度で時計回り方向に回転することで、設定マスタ61aの第1未製版領域65が版胴101の内部からその外周面上に供給されるインキの粘着力で版胴101の外周面に貼り付けられながら、設定マスタ61aの巻装が開始される。
【0068】
そして、マスタ搬送モータ96のさらなる所定ステップ数の回転駆動により、設定マスタ61aが搬送されて、その第1次穿孔開始位置62が版胴101の外周面とマスタ押えローラ121との間の部分に到達する直前まで搬送されたと制御装置170で判断されると、ソレノイド125がオフされることにより、図1に示すように、スプリング123の付勢力によって支持アーム対126,126が軸124を中心にして反時計回り方向に揺動・変位して、マスタ押えローラ121が仮想線で示されている待機位置に復帰する。
待機位置に復帰したマスタ押えローラ121は、図2に示すように、版胴101の外周面とマスタ押えローラ121との間の部分に第1次穿孔終了位置64が到達するまで、その待機状態を継続する。
【0069】
待機状態を継続しているマスタ押えローラ121は、マスタ搬送モータ96のさらなる所定ステップ数の回転駆動により設定マスタ61aがさらに搬送されて、その第1次穿孔終了位置64が版胴101の外周面とマスタ押えローラ121との間の部分に到達したと制御装置170により判断されると、再びソレノイド125に通電されてソレノイド125がオンされることにより、上記したと同様の動作でマスタ押えローラ121が押圧位置を占める。これにより、第2未製版領域66が図3に示すように、版胴101の外周面に押圧され、この状態のまま版胴101が設定マスタ61aの送り速度と同じ周速度で時計回り方向に回転することで、設定マスタ61aの第2未製版領域66が版胴101の内部からその外周面上に供給されるインキの粘着力で版胴101の外周面に貼り付けられながら、設定マスタ61aの巻装が継続される。
【0070】
マスタ搬送モータ96のさらなる所定ステップ数の回転駆動により、設定マスタ61aがさらに搬送されて、その穿孔画像開始位置67が版胴101の外周面とマスタ押えローラ121との間の部分に到達する直前まで搬送されたと制御装置170で判断されると、ソレノイド125がオフされ、上記したと同様の動作によって、マスタ押えローラ121は図3に仮想線で示されている待機位置に復帰する。
【0071】
待機位置に復帰したマスタ押えローラ121は、図4に示すように、版胴101の外周面とマスタ押えローラ121との間の部分に穿孔画像終了位置70(図14に示す)が到達するまで、その待機状態を継続する。
【0072】
版胴101がさらに回転され、版胴101の外周面に巻装される設定マスタ61aが所定の供給長さになったことがマスタ搬送モータ96のステップ数に基づいて、制御装置170によって判断されると、制御装置170からカッタモータ98に切断信号が送信され、カッタモータ98がオンすることで、回転刃95aが回転しながらマスタ幅方向に移動して設定マスタ61aの後端部分が切断される。
【0073】
この設定マスタ61aの切断後に、マスタロール60からマスタ61がマスタ搬送モータ96により所定長搬送され、図5に示す状態で次の製版に備えた後、マスタ搬送モータ96の回転駆動が停止されることにより、プラテンローラ92の回転が停止され、上記したような特有の製版動作が完了する。この後も、版胴101は版胴駆動モータ111により上記したと同じ周速度で回転されている。そして、版胴101のさらなる回転により設定マスタ61aがさらに搬送されて、その穿孔画像終了位置70が版胴101の外周面とマスタ押えローラ121との間の部分に到達したと制御装置170により判断されると、待機状態を継続しているマスタ押えローラ121は、図5に示すように、再びソレノイド125に通電されてソレノイド125がオンされることによって、マスタ重合領域69における第1次穿孔領域63の部分を押圧する。そして、マスタ押えローラ121によるマスタ重合領域69における第1次穿孔領域63の押圧が終了したと制御装置170で判断される、穿孔画像開始位置67がマスタ押えローラ121に到達する直前に、マスタ押えローラ121は再び待機位置に復帰する。この後、版胴101がさらに回転し、マスタ重合領域69における第1次穿孔領域63の部分がプレスローラ103に対向する略真下の位置に到ると、版胴101の回転が停止される。
【0074】
これまでの一連の動作により、マスタ重合領域69における第1次穿孔開始位置62から第1次穿孔終了位置64までに亘る図5の黒塗色部で示す第1次穿孔領域63には、版胴101の内周面から供給されたインキが滲み出される。したがって、マスタ重合領域69における設定マスタ61aの先端部の上にその後端部が重ね合わさっている第1次穿孔領域63の周囲部分は、インキの粘性による粘着力によって密着保持され、版胴101の外周面上の適宜の位置にあたかも無端シートの状態が形成されることとなる。
版胴101の外周面への設定マスタ61aの巻装完了後、以下の給紙、印刷および排紙の各工程が順次行なわれる。
【0075】
上記給紙手段の作動により、最上位の1枚の用紙82だけがレジストローラ対112a,112bに向けて送られる。この時、レジストローラ対112a,112bは停止したままであり、用紙82の先端はレジストローラ対112a,112bのニップ部に衝突して所定範囲量の湾曲たわみが形成される。次いで、所定時間経過後、版胴駆動モータ111がオン(回転駆動)される。これと同時に、用紙82の先端は、版胴101の外周面とプレスローラ103との間に向けて、版胴101上の設定マスタ61aの穿孔画像開始位置67に対して用紙82の先端部が押圧されるような所定のタイミングをもってレジストローラ対112a,112bが回転される。このようなタイミングで精度の高い給紙制御を行なうためには、従来のような版胴側のメインモータと連動するような給紙駆動系ではなく、これとは独立したレジストローラ対112a,112bを回転する駆動手段が好ましく、このような駆動手段としてはステッピングモータを用いるとよい。
【0076】
そして、用紙検出センサ102により、用紙82の先端が検知されたときには、プレスローラ103による上記押圧動作が実行される。すなわち、プレスローラ駆動モータ167に通電が行なわれ、同モータ167が回転駆動されることにより、ギア166とギア165との回転力伝達を介してカム164が時計回り方向に回転されることで、スプリング163の付勢力によってブラケット161の反時計回り方向の揺動が許され、スプリング163の付勢力によってプレスローラ103は版胴101の外周面に対向するインキ供給ローラ105に向かって押圧する印刷位置を占めるようになる。ここへ所定のタイミングで用紙82の先端が給送され、回転する版胴101上の設定マスタ61aに用紙82がプレスローラ103で連続的に押圧されることにより、設定マスタ61aが版胴101の外周面に密着すると共に、版胴101の開孔部分から設定マスタ61aの穿孔画像部分へとインキが滲み出てきて用紙82の表面に転移され、孔版印刷が行なわれる(図6参照)。
【0077】
このとき、インキ供給ローラ105も版胴101の回転方向と同一方向に回転する。インキ溜り107のインキは、インキ供給ローラ105の回転によりインキ供給ローラ105の表面に付着され、インキ供給ローラ105とドクターローラ106との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴101における支持円筒体1の内周面に供給される。
【0078】
次いで、印刷された用紙82の先端部は上記排紙装置の剥離爪(図示せず)により版胴101の外周面から剥離され、排紙搬送装置(図示せず)によって搬送されて、図示しない排紙台上に排出積載される。こうして、設定マスタ61aにインキを充填するいわゆる版付けが行なわれると共に、プレスローラ103が版胴101から離間して初期状態に復帰し、印刷待機状態となる。
【0079】
印刷終了後、オペレーターは排出された印刷物を目視して、印刷画像品質の確認や印刷画像位置の確認等を行ない、これらがオーケーであれば、上記テンキーで印刷枚数を設定し、印刷スタートキー72を押すことにより、給紙、印刷および排紙の各工程が設定した印刷枚数分繰り返して行なわれ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0080】
上記したように、用紙82の供給が連続的に継続される場合には、プレスローラ103は版胴101の外周面から離れることなく印刷位置を維持するものである。ところが、図7に示すように、用紙82のジャムが用紙検出センサ102の配置位置よりも用紙搬送方向の上流側で生じ、用紙82の給送が停止した場合には、用紙検出センサ102が用紙82の先端を検知することができなくなるため、用紙82の存在を確認することができない。したがって、このような場合には、用紙検出センサ102から送信される、連続給紙中に用紙82の給送が途絶えたことを検知する信号に基づき、制御装置170はプレスローラ103による上記押圧動作を回避するようにプレスローラ駆動モータ167を制御する。すなわち、制御装置170からの指令により、プレスローラ駆動モータ167に通電が行なわれ、同モータ167が逆転駆動されることによってギア166とギア165との回転力伝達を介してカム164が反時計回り方向に回転されることで、スプリング163の付勢力に抗してブラケット161が軸162の周りに時計回り方向に揺動され、プレスローラ103が版胴101の外周面より離間する離間位置を占めることとなる。これにより、用紙82のジャム時にプレスローラ103が設定マスタ61aを押圧することによるプレスローラ103の表面の汚損が防止されることはもちろん、プレスローラ103に付着したインキによる設定マスタ61aを介して再転写されるプレスローラ103の表面の汚損およびこの汚損されたプレスローラ103が設定マスタ61aを押圧することによる設定マスタ61a表面の未製版部分の汚損も防止することができる。
【0081】
図5ないし図7では、マスタ重合領域69の部分にかなりの段差が認められるが、これは設定マスタ61aの厚さを誇張して描いているためであり、マスタ61や設定マスタ61aの厚さは上述したように0.1mm(100μm)以下であるので、プレスローラ103が該マスタ重合領域69の段差部分に乗り上げるときでもその衝撃音および振動は全く無視できる程度のものである。
【0082】
上述したことから、第1の実施形態により得られる利点をまとめると以下のとおりである。
第1に、設定マスタ61aの版胴101の外周面に対する位置ズレが防止されると共に、これにより設定マスタ61aのシワ発生が防止される。第2に、版胴101の印刷装置本体からの着脱が容易に行なえるようになる。第3に、用紙82のジャム時にプレスローラ103が設定マスタ61aを押圧することによるプレスローラ103の表面の汚損が防止されることはもちろん、プレスローラ103に付着したインキによる設定マスタ61aを介して再転写されるプレスローラ103の表面の汚損およびこの汚損されたプレスローラ103が設定マスタ61aを押圧することによる設定マスタ61a表面の未製版部分の汚損も防止することができる。第4に、版胴101の外周面に巻装されている設定マスタ61aの後端部に溜った印刷に供されない余剰インキは、第1次穿孔領域63の穿孔部分より版胴101の開孔部分を通って版胴101の内部に回収されるため、いわゆるインキの尻漏れ現象が回避され、これにより周りの装置や用紙等を汚損したり、インキの無駄遣いをしたりするということもなくなる。当然、インキの尻漏れによるプレスローラ103の表面の汚損も防止できる。
【0083】
また、従来の技術で述べたように、押圧手段としてプレスローラ103を用いたことによる特有の利点、すなわち版胴101上にクランパを設ける必要がないので、版胴101の構造が簡単になって安価であり、プレスローラ103が間欠的に版胴101に押圧することがないので衝撃音を発生することがなく、これに加えてプレスローラ103がバウンドして用紙82の画像先端部に濃度ムラを発生することがなく、また特開平3−136890号公報に開示されている技術のように、版胴101の外周面に衝撃吸収部材を設ける必要がないので段差が生じることもなく、プレスローラ103による押圧力のムラによって画像ムラを発生させることがないという利点が得られることはいうまでもない。
【0084】
また、従来の制御の仕方と同じになるように、仮りに給紙毎にプレスローラ103を間欠的に版胴101に押圧するようにしたとしても、クランパを回避するために必要な移動距離よりは小さい移動距離に設定できるので、それでも従来よりは衝撃音を小さくすることができる。
【0085】
上述したように、マスタロール60はその内側にフィルム側を、外側に支持体側を向けた状態で巻成したものであるため、例えば図1においては、マスタロール60から繰り出されるマスタ61および設定マスタ61aのフィルム側がサーマルヘッド91面に対向接触し、その支持体側がプラテンローラ92に対向接触し、また版胴101のスクリーンメッシュ2側に設定マスタ61aの支持体側が対向接触する状態で巻き付けられることとなる。このようなことから、製版装置90を図1における右側上方に配置すると共に、マスタ押えローラ121を設定マスタ61aの移動経路のプレスローラ103による用紙82の押圧点より版胴101の回転方向(時計回り方向)の上流側における版胴101の外周面に対向して配設したのであるが、マスタロールにおけるマスタのフィルムおよび支持体が上記したものと内外側逆向きに巻き付けられているような場合、あるいはマスタの先端を版胴の外周面近傍に搬送する手段を有しているような装置にあっては、マスタ押えローラ121の配設位置は上記位置に限定する必要はない。したがって、マスタ押え手段としてのマスタ押えローラ121は、設定マスタ61aを介して版胴101に接離自在に配設されていればよいといえる(請求項5等参照)。
【0086】
以上述べたように、第1の実施形態では、所定の供給長さに設定された設定マスタ61aを版胴101の外周面に巻装し、設定マスタ61a巻装終了時に、設定マスタ61aの先端部の上に設定マスタ61aの後端部を重ね合わせたマスタ重合領域69を形成した後、孔版印刷を行なう孔版印刷方法であって、設定マスタ61aには、マスタ重合領域69に対応した設定マスタ61aの先端部分に第1次穿孔領域63が少なくとも1箇所形成されていると共に、設定マスタ61aの先端と第1次穿孔開始位置62との間に第1未製版領域65が、および第1次穿孔終了位置64と穿孔画像開始位置67との間に第2未製版領域66がそれぞれ形成されている孔版印刷方法が用いられていた。
【0088】
また、設定マスタ61a巻装開始時には、マスタ押えローラ121により、第1および第2未製版領域65,66が押圧され、第1次穿孔領域63および穿孔画像領域68ではマスタ押えローラ121による押圧がそれぞれ回避され、設定マスタ61a巻装終了時には、マスタ押えローラ121により、マスタ重合領域69における第1次穿孔領域63が押圧される孔版印刷方法が用いられていた。
【0089】
また、プレスローラ103による版胴101に対する押圧動作は、給紙中連続して継続可能である場合において、連続給紙中に用紙82の給送が途絶えたときには、プレスローラ103による押圧動作が回避される孔版印刷方法が用いられていた。
【0090】
(第2の実施形態)
図9、図10および図14を参照して第2の実施形態を説明する。
図9は第2の実施形態を示す両面同時印刷方式の孔版印刷装置の主要部の概要を、図10は同孔版印刷装置の主要な制御構成をそれぞれ表している。この孔版印刷装置は、特開平6−71996号公報に開示された両面同時印刷方式の孔版印刷装置に本発明を適用したものである。
【0091】
この孔版印刷装置は、両図に示すように、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられた第1の版胴としての版胴201と、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられ、版胴201にその外周面を近接させて配設された第2の版胴としての版胴301と、版胴201の内部からインキを版胴201上の設定マスタ161aに供給する第1のインキ供給手段としてのインキ供給装置208と、版胴301の内部からインキを版胴301上の設定マスタ261aに供給する第2のインキ供給手段としてのインキ供給装置308と、版胴201を回転する第1の版胴駆動手段としての版胴駆動モータ211と、版胴301を回転する第2の版胴駆動手段としての版胴駆動モータ311と、版胴301に対する版胴201の押圧動作を行なわせる版胴押圧駆動手段500と、版胴201の図9で右側に配設され、版胴201の外周面に巻き付けるマスタを所定の供給長さに切断して設定マスタ161aを形成する切断手段および設定マスタ161aを穿孔製版する製版手段を有する製版装置190と、版胴301の図9で左側に配設され、版胴301の外周面に巻き付けるマスタを所定の供給長さに切断して設定マスタ261aを形成する切断手段および設定マスタ261aを穿孔製版する製版手段を有する製版装置290と、版胴201に対向して配設され、設定マスタ161aを介して版胴201に接離自在な第1のマスタ押え手段(図示せず)と、第2の版胴301に対向して配設され、設定マスタ261aを介して版胴301に接離自在な第2のマスタ押え手段(図示せず)と、第1のマスタ押え手段を接離自在に駆動する第1の押え駆動手段としてのソレノイド225と、第2のマスタ押え手段を接離自在に駆動する第2の押え駆動手段としてのソレノイド325と、各設定マスタ161a,261aの巻装開始時、第1のマスタ押え手段が設定マスタ161aの第1および第2未製版領域165,166を押圧すると共に、第2のマスタ押え手段が設定マスタ261aの第1および第2未製版領域265,266を押圧し、第1のマスタ押え手段が第1次穿孔領域163および穿孔画像領域168の押圧を回避すると共に、第2のマスタ押え手段が第1次穿孔領域263および穿孔画像領域268の押圧を回避するように、各ソレノイド225,325および各版胴駆動モータ211,311をそれぞれ制御する制御手段としての制御装置270とを具備している。
【0092】
この孔版印刷装置が、上記特開平6−71996号公報に開示された孔版印刷装置と主に相違する点は、各外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔(図示せず)が設けられていて、各外周面にクランパ(同公報では原紙クランパ12,22)を具備していない第1の版胴201と第2の版胴301とを近接した状態で有すること、2つの製版装置190,290を有すること、版胴201の外周面に巻装される設定マスタ161aおよび版胴301の外周面に巻装される設定マスタ261aを有すること、第1の実施形態と同様のマスタ押えローラ121からなる第1のマスタ押え手段(図示せず)および第2のマスタ押え手段(図示せず)をそれぞれ有すること、ソレノイド225およびソレノイド325を有すること、ならびに制御装置270を有することにある。
【0093】
上記した各構成部品中、第1の実施形態の孔版印刷装置の各構成部品と基本的に同様の構造および機能を有し、その形状や配設位置等が異なる構成部品については、次のように符号を設定することでその具体的内容の説明を省略する。すなわち、版胴201周りおよび製版装置190の各構成部品の符号は、第1の実施形態における孔版印刷装置の版胴101周りおよび製版装置90の各構成部品の符号に数字100を加えた符号をもって、版胴301周りおよび製版装置290の各構成部品の符号は、第1の実施形態における孔版印刷装置の版胴101周りおよび製版装置90の各構成部品の符号に数字200を加えた符号をもって表すものとする。また、サプライであるマスタおよび設定マスタについても上記と同様の符号を用いるものとする。
【0094】
インキ供給装置308には、インキ供給管を兼ねている支持軸304からのインキをインキ溜り307に供給する供給パイプ309が配設されている。版胴301に対する版胴201の押圧動作を行なわせる版胴押圧駆動手段500としては、特開平6−71996号公報の図2に示されている離接駆動手段と同様の構成のものを具備する。
【0095】
制御装置270は、各設定マスタ161a,261aの巻装終了時、第1のマスタ押え手段がマスタ重合領域169における第1次穿孔領域163を、第2のマスタ押え手段がマスタ重合領域269における第1次穿孔領域263をそれぞれ押圧するように第1および第2のソレノイド225,325および各版胴駆動モータ211,311をそれぞれ制御する機能を有する。制御装置270は、版胴301に対する版胴201の押圧動作が給紙中連続して継続可能である場合、用紙検出センサ102から送信される、連続給紙中に用紙82の給送が途絶えたことを検知する信号に基づき、版胴301に対する押圧動作を回避するように版胴押圧駆動手段500を制御する押圧制御手段としての機能を有する。
【0096】
図9に示すように、制御装置270からの指令により、版胴押圧駆動手段500が作動されることによって版胴201が版胴301に向けて変位され、接近し押圧状態にあるインキ供給ローラ205とインキ供給ローラ305とを介して、版胴201上の設定マスタ161aと版胴301上の設定マスタ261aとの間に用紙82を互いに押し付け合って、その用紙82の表面と裏面とに同時に印刷画像が形成されることとなる。片面印刷時において、例えば版胴201上の設定マスタ161aにより表面印刷を行なう場合には、版胴301上での設定マスタ261aの位置ズレは印刷品質上は全然問題とならないため、製版装置290のサーマルヘッド291を全く駆動させず無穿孔の設定マスタ261aを作製し、カッタモータ298による所定の供給長さの設定マスタ261aの形成だけで設定マスタ巻装を行ない印刷を実行してもよい。
【0097】
上記以外の本孔版印刷装置の主要な動作は、上記構成・動作および第1の実施形態から容易に類推して実施可能であるため、その説明を省略する。
したがって、第2の実施形態によれば、騒音、衝撃、振動や濃度ムラ等の発生を防止した状態で両面同時印刷が行なえると共に、マスタ重合領域169や269において重なり合っている設定マスタ161aや261a同士が第1次穿孔領域163や263から供給されるインキの粘性による粘着力によって密着保持され緊密に貼り合わされて、あたかも無端シートの状態が形成されるため、印刷を繰り返しても版胴201や301に対する設定マスタ161aや261aの位置ズレやシワの発生を防止することができる。また、設定マスタ161aや261aの後端部における印刷に供されない余剰インキが第1次穿孔領域163や263の穿孔部分より版胴201や301の開孔部分を通って版胴201や301の内部に回収されるため、いわゆるインキの尻漏れも防止できて、これによって周りの装置や用紙等を汚損したりインキの無駄遣いをしたりするということもなくなる。
さらに、マスタ重合領域169や269における第1次穿孔領域163や263が押圧されることによって、設定マスタ161aや261aを版胴201や301に確実に保持できるようになったため、クランパを不要にすることができ、例えば、版付け動作をしないで設定マスタ161aや261aを巻装しただけの状態の版胴201や301を、多色印刷装置に入れ替え装着するような時に移動したとしても、従来のようにクランパでマスタを保持しているのと何ら遜色なく、移動中の設定マスタ161aや261aの位置が第1の版胴201や第2の版胴301の周方向にずれるといったことがない。
制御装置270は、版胴301に対する版胴201の押圧動作が給紙中連続して継続可能である場合、用紙検出センサ102から送信される、連続給紙中に用紙82の給送が途絶えたことを検知する信号に基づき、版胴301に対する押圧動作を回避するように版胴押圧駆動手段500を制御するので、版胴301および/または版胴201がインキ等で汚れて、次に供給される用紙82を版胴301および/または版胴201に付着したインキ等で汚すことを防止できる。
【0098】
(第3の実施形態)
図11、図12および図14を参照して第3の実施形態を説明する。
図11は第3の実施形態を示す両面同時印刷方式の孔版印刷装置の主要部の概要を、図12は同孔版印刷装置の主要な制御構成をそれぞれ表している。この孔版印刷装置は、本願出願人が特開平11−1057号公報(特願平9−154937号)で提案した両面同時印刷方式の孔版印刷装置に本発明を適用したものである。
【0099】
この孔版印刷装置は、両図に示すように、支持軸82Aの周りに回動自在に配設され、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられた第1の版胴としての版胴79Aと、支持軸105Aの周りに回動自在に配設され、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられ、版胴79Aにその外周面を近接させて配設された第2の版胴としての版胴80Aと、版胴79Aの内部からインキを版胴79A上の設定マスタ161aに供給する第1のインキ供給手段としてのインキ供給装置84Aと、版胴80Aの内部からインキを版胴80A上の設定マスタ261aに供給する第2のインキ供給手段としてのインキ供給装置107Aと、版胴79Aを回転する第1の版胴駆動手段としての版胴駆動モータ146Aと、版胴80Aを回転する第2の版胴駆動手段としての版胴駆動モータ147Aと、支持軸82Aと支持軸105Aとの間の距離を変化させることなく、かつ、版胴79Aおよび版胴80Aを互いに膨出させて押し付け合うことにより押圧動作を行なわせる後述する版胴押圧駆動手段と、版胴79Aの図11で右側上方に配設され、版胴79Aの外周面に巻き付けるマスタを所定の供給長さに切断して設定マスタ161aを形成する切断手段および設定マスタ161aを穿孔製版する製版手段を有する製版装置190と、版胴80Aの図11で左側下方に配設され、版胴80Aの外周面に巻き付けるマスタを所定の供給長さに切断して設定マスタ261aを形成する切断手段および設定マスタ261aを穿孔製版する製版手段を有する製版装置290と、版胴79Aに対向して配設され、設定マスタ161aを介して版胴79Aに接離自在な第1のマスタ押え手段(図示せず)と、第2の版胴80Aに対向して配設され、設定マスタ261aを介して版胴80Aに接離自在な第2のマスタ押え手段(図示せず)と、第1のマスタ押え手段を接離自在に駆動する第1の押え駆動手段としてのソレノイド225と、第2のマスタ押え手段を接離自在に駆動する第2の押え駆動手段としてのソレノイド325と、各設定マスタ161a,261aの巻装開始時、第1のマスタ押え手段が設定マスタ161aの第1および第2未製版領域165,166を押圧すると共に、第2のマスタ押え手段が設定マスタ261aの第1および第2未製版領域265,266を押圧し、第1のマスタ押え手段が第1次穿孔領域163および穿孔画像領域168の押圧を回避すると共に、第2のマスタ押え手段が第1次穿孔領域263および穿孔画像領域268の押圧を回避するように、各ソレノイド225,325および各版胴駆動モータ146A,147Aをそれぞれ制御する制御手段としての制御装置370とを具備している。
【0100】
この孔版印刷装置が、上記した特開平11−1057号公報(特願平9−154937号)で提案した孔版印刷装置と主に相違する点は、各外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔(図示せず)が設けられていて、各外周面にクランパ(同公報では原紙クランパ12,22)を具備していない第1の版胴79Aと第2の版胴80Aとを近接した状態で有すること、2つの製版装置190,290を有すること、版胴79Aの外周面に巻装される設定マスタ161aおよび版胴80Aの外周面に巻装される設定マスタ261aを有すること、第1の実施形態と同様のマスタ押えローラ121からなる第1のマスタ押え手段(図示せず)および第2のマスタ押え手段(図示せず)をそれぞれ有すること、ソレノイド225およびソレノイド325を有すること、ならびに制御装置370を有することにある。
【0101】
上記した各構成部品中、上記公報の図10に示されている各構成部品と基本的に同様の構造および機能を有し、その形状や配設位置等が異なる構成部品については、次のように符号を設定することでその具体的内容の説明を省略する。すなわち、版胴79Aおよび版胴80A周りの各構成部品の符号は、上記公報の図10に示されている各構成部品の符号末尾に英字Aを加えた符号をもって表すものとする。また、製版装置190,290およびサプライであるマスタおよび設定マスタについては、第2の実施形態と同様の符号を用いるものとする。
【0102】
インキ供給装置107Aには、インキ供給管を兼ねている支持軸105Aからのインキをインキ溜り118aAに供給する供給パイプ132Aが配設されている。上記版胴押圧駆動手段は、インキ供給ローラ95Aを図11に示す作動位置に移動させるソレノイド98A、およびインキ供給ローラ117Aを図11に示す作動位置に移動させるソレノイド120Aからなる。
【0103】
制御装置370は、各設定マスタ161a,261aの巻装終了時、第1のマスタ押え手段がマスタ重合領域169における第1次穿孔領域163を、第2のマスタ押え手段がマスタ重合領域269における第1次穿孔領域263をそれぞれ押圧するように各ソレノイド225,325および各版胴駆動モータ146A,147Aをそれぞれ制御する機能を有する。制御装置370は、各インキ供給ローラ95A,117A同士の作動位置への移動動作が給紙中連続して継続可能である場合、用紙検出センサ102から送信される、連続給紙中に用紙82の給送が途絶えたことを検知する信号に基づき、各インキ供給ローラ95A,117A同士の作動位置への移動動作を回避するように各ソレノイド98A、120Aをそれぞれ制御する押圧制御手段としての機能を有する。
【0104】
図11に示すように、制御装置370からの指令により、各ソレノイド98A、120Aが作動されることによって各インキ供給ローラ95A,117A同士が作動位置へ移動され、これにより各インキ供給ローラ95A,117Aがそれぞれ各版胴79A,80Aの内周面を押圧し各版胴79A,80Aをそれぞれ膨出させ、押圧状態にあるインキ供給ローラ95Aとインキ供給ローラ117Aとを介して、版胴79A上の設定マスタ161aと版胴80A上の設定マスタ261aとの間に用紙82を互いに押し付け合って、その用紙82の表面と裏面とに同時に印刷画像が形成されることとなる。片面印刷時において、例えば版胴79A上の設定マスタ161aにより表面印刷を行なう場合には、第2の実施形態と同様にしてもよい。
【0105】
上記以外の本孔版印刷装置の主要な動作は、上記構成・動作および第1の実施形態から容易に類推して実施可能であるため、その説明を省略する。
したがって、第3の実施形態によれば、騒音、衝撃、振動や濃度ムラ等の発生を防止した状態で両面同時印刷が行なえると共に、マスタ重合領域169や269において重なり合っている設定マスタ161aや261a同士が第1次穿孔領域163や263から供給されるインキの粘性による粘着力によって密着保持され緊密に貼り合わされて、あたかも無端シートの状態が形成されるため、印刷を繰り返しても版胴79Aや80Aに対する設定マスタ161aや261aの位置ズレやシワの発生を防止することができる。また、設定マスタ161aや261aの後端部における印刷に供されない余剰インキが第1次穿孔領域163や263の穿孔部分より版胴79Aや80Aの開孔部分を通って版胴79Aや80Aの内部に回収されるため、いわゆるインキの尻漏れも防止できて、これによって周りの装置や用紙等を汚損したりインキの無駄遣いをしたりするということもなくなる。
さらに、マスタ重合領域169や269における第1次穿孔領域163や263が押圧されることによって、設定マスタ161aや261aを版胴79Aや80Aに確実に保持できるようになったため、クランパを不要にすることができ、例えば、版付け動作をしないで設定マスタ161aや261aを巻装しただけの状態の版胴79Aや80Aを、多色印刷装置に入れ替え装着するような時に移動したとしても、従来のようにクランパでマスタを保持しているのと何ら遜色なく、移動中の設定マスタ161aや261aの位置が版胴79Aや80Aの周方向にずれるといったことがない。
制御装置370は、各インキ供給ローラ95A,117A同士の作動位置への移動動作が給紙中連続して継続可能である場合、用紙検出センサ102から送信される、連続給紙中に用紙82の給送が途絶えたことを検知する信号に基づき、各インキ供給ローラ95A,117A同士の作動位置への移動動作を回避するように各ソレノイド98A、120Aをそれぞれ制御するので、版胴80Aおよび/または版胴79Aがインキ等で汚れて、次に供給される用紙82を版胴80Aおよび/または版胴79Aに付着したインキ等で汚すことを防止できる。
【0106】
(第3の実施形態の変形例)
図13および図14を参照して第3の実施形態の変形例を説明する。
図13は上記変形例を示す両面同時印刷方式の孔版印刷装置の主要部の概要を表している。
この変形例の孔版印刷装置は、図11および図12に示した孔版印刷装置と比較して次の諸点が主に相違する。すなわち、版胴80Aの上方に近接して配設された版胴79Aに代えて、2胴式のインキ供給ドラム400と従動ドラム410との間に掛け渡された第1の版胴としてのベルト状版胴420を有すること、インキ供給装置84Aに代えて、ベルト状版胴420の内部からインキをベルト状版胴420上の設定マスタ161aに供給する第1のインキ供給手段としてのインキ供給装置405を有すること、版胴駆動モータ146Aに代えて、インキ供給ドラム400に回転伝達部材を介して連結され、ベルト状版胴420を回転する版胴駆動モータ429を有すること、ソレノイド98Aを除去して、インキ供給ドラム400を装置本体側に回転可能に固定支持させたこと、製版装置190をベルト状版胴420の図13で右側上方に配設したこと、第1のマスタ押え手段(図示せず)を設定マスタ161aを介してベルト版胴420に接離自在にすべくベルト状版胴420の図13で右側近傍に配設したこと、制御装置370に代えて、各設定マスタ161a,261aの巻装開始時、第1のマスタ押え手段が設定マスタ161aの第1および第2未製版領域165,166を押圧すると共に、第2のマスタ押え手段が設定マスタ261aの第1および第2未製版領域265,266を押圧し、第1のマスタ押え手段が第1次穿孔領域163および穿孔画像領域168の押圧を回避すると共に、第2のマスタ押え手段が第1次穿孔領域263および穿孔画像領域268の押圧を回避するように、各ソレノイド225,325および各版胴駆動モータ429,147Aをそれぞれ制御する制御手段としての制御装置470(図12参照)とを有するものである。
【0107】
インキ供給ドラム400は、例えばアルミニウム製の引抜管からできていて、装置本体側に支持されている支持軸401の周りに回動自在に配設されている。従動ドラム410は、例えばアルミニウム製の引抜管からできていて、装置本体側に支持されていて、支持軸409の周りに回動自在に配設されている。ベルト状版胴420は、例えば小孔が開けられた薄板のステンレス板や、ポリエステル製の網材を張設したものからできていて、その周面にはその略全体に亘ってインキ通過性の開孔(図示せず)が設けられている。インキ供給装置405は、ベルト状版胴420の内周面にインキを供給するインキ供給ドラム400と、インキ供給ドラム400とわずかな隙間をもって平行に配置されインキ供給ドラム400との間に断面楔状のインキ溜り403を形成するドクターローラ402と、インキ供給ドラム400と従動ドラム410との間の本体側板側に配設され、インキ溜り403へインキを供給する供給パイプ408とから主に構成される。
【0108】
ベルト状版胴420の外周長は、版胴80Aのそれと同じとなるように、インキ供給ドラム400と従動ドラム410との外径が決められるため、これらの各外径を同じとした場合には必ずインキ供給ドラム400と従動ドラム410との外径は、版胴80Aのそれよりも小さいものとなる。したがって、印刷画像が形成された用紙82をベルト状版胴420および版胴80Aの外周面から剥離爪やエアーナイフ等の剥離手段で剥離する場合、その曲率の小さい上側のベルト状版胴420の方が容易に離れやすい傾向にある。この変形例では、この性質を利用し、用紙82の片面が比較的画像面積率の少ない文字物と反対に画像面積率の多いベタ物を同時に用紙82の両面に印刷する場合には、用紙82が離れやすい曲率の小さい上側のベルト状版胴420でベタ画像を、下側の版胴80Aで文字物を印刷するように各設定マスタ161a,261aを製版し巻装すると、版胴に用紙82がインキの付着力で巻き上がる不具合を防止できる利点がある。
【0109】
制御装置470は、各設定マスタ161a,261aの巻装終了時、第1のマスタ押え手段がマスタ重合領域169における第1次穿孔領域163を、第2のマスタ押え手段がマスタ重合領域269における第1次穿孔領域263をそれぞれ押圧するように各ソレノイド225,325および各版胴駆動モータ429,147Aをそれぞれ制御する機能を有する。制御装置470は、インキ供給ローラ117Aの作動位置への移動動作が給紙中連続して継続可能である場合、用紙検出センサ102から送信される、連続給紙中に用紙82の給送が途絶えたことを検知する信号に基づき、インキ供給ローラ117Aの作動位置への移動動作を回避するようにソレノイド120Aを制御する押圧制御手段としての機能を有する。なお、本孔版印刷装置の制御構成の主なる制御対象構成部品については、図12を借用して括弧を付して示している。
【0110】
この変形例においては、支持軸401と支持軸105Aとの間の距離を変化させることなく、かつ、版胴80Aのみを膨出させてインキ供給ドラム400に対向してベルト状版胴420に接触し押圧動作を行なわせるものである。
図12および図13に示すように、制御装置470からの指令により、ソレノイド120Aが作動されることによって、インキ供給ローラ117Aのみが作動位置へ移動され、これによりインキ供給ローラ117Aが版胴80Aの内周面を押圧して膨出させ、押圧状態にあるインキ供給ドラム400とインキ供給ローラ117Aとを介して、ベルト状版胴420上の設定マスタ161aと版胴80A上の設定マスタ261aとの間に用紙82を互いに押し付け合って、その用紙82の表面と裏面とに同時に印刷画像が形成されることとなる。片面印刷時において、例えばベルト状版胴420上の設定マスタ161aにより表面印刷を行なう場合には、第3の実施形態と同様にしてもよい。
上記以外の本孔版印刷装置の主要な動作は、上記構成・動作および第3の実施形態から容易に類推して実施可能であるため、その説明を省略する。
したがって、第3の実施形態の変形例によれば、騒音、衝撃、振動や濃度ムラ等の発生を防止した状態で両面同時印刷が行なえると共に、マスタ重合領域169や269において重なり合っている設定マスタ161aや261a同士が第1次穿孔領域163や263から供給されるインキの粘性による粘着力によって密着保持され緊密に貼り合わされて、あたかも無端シートの状態が形成されるため、印刷を繰り返してもベルト状版胴420や版胴80Aに対する設定マスタ161aや261aの位置ズレやシワの発生を防止することができる。また、設定マスタ161aや261aの後端部における印刷に供されない余剰インキが第1次穿孔領域163や263の穿孔部分よりベルト状版胴420や版胴80Aの開孔部分を通ってベルト状版胴420や版胴80Aの内部に回収されるため、いわゆるインキの尻漏れも防止できて、これによって周りの装置や用紙等を汚損したりインキの無駄遣いをしたりするということもなくなる。
さらに、マスタ重合領域169や269における第1次穿孔領域163や263が押圧されることによって、設定マスタ161aや261aをベルト状版胴420や版胴80Aに確実に保持できるようになったため、クランパを不要にすることができ、例えば、版付け動作をしないで設定マスタ161aや261aを巻装しただけの状態のベルト状版胴420や版胴80Aを、多色印刷装置に入れ替え装着するような時に移動したとしても、従来のようにクランパでマスタを保持しているのと何ら遜色なく、移動中の設定マスタ161aや261aの位置がベルト状版胴420や版胴80Aの周方向にずれるといったことがない。
制御装置470は、インキ供給ローラ117Aの作動位置への移動動作が給紙中連続して継続可能である場合、用紙検出センサ102から送信される、連続給紙中に用紙82の給送が途絶えたことを検知する信号に基づき、インキ供給ローラ117Aの作動位置への移動動作を回避するようにソレノイド120Aを制御するので、版胴80Aおよび/またはベルト状版胴420がインキ等で汚れて、次に供給される用紙82を版胴80Aおよび/またはベルト状版胴420に付着したインキ等で汚すことを防止できる。
【0112】
上述した第1ないし第3の実施形態およびその変形例等においては、図14を参照して説明したように、各実施形態の一連の動作により、各マスタ重合領域69,169,269における第1次穿孔開始位置62,162,262から第1次穿孔終了位置64,164,264までに亘る図14に示す各第1次穿孔領域63,163,263には、各版胴101,201,301,79A,79B,80A,420の内周面から供給されたインキが滲み出されることによって、各マスタ重合領域69,169,269における各設定マスタ61a,161a,261aの先端部の上にその後端部が重ね合わさっている各第1次穿孔領域63,163,263の周囲部分は、インキの粘性による粘着力によって密着保持され、各版胴101,201,301,79A,79B,80A,420の外周面上の適宜の位置にあたかも無端シートの状態が形成されることとなり、各設定マスタ61a,161a,261aの各版胴101,201,301,79A,79B,80A,420の外周面に対する位置ズレが防止されると共に、各設定マスタ61a,161a,261aのシワ発生が防止される。
したがって、クランパレスの各版胴101,201,301,79A,79B,80A,420へのマスタ巻装時および印刷時等における各版胴101,201,301,79A,79B,80A,420の外周面に対する各設定マスタ61a,161a,261aの位置ズレ防止効果および各設定マスタ61a,161a,261aのシワ発生防止効果としては十分と判断されるが、本願出願人は上記位置ズレ発生防止効果およびシワ発生防止効果をさらに高めることのできる最適で新規な版胴を着想したので、以下、その版胴に係る新規な技術について背景技術を含めて詳述する。この版胴に係る新規な技術は、以下のような背景技術の事情に鑑みてなされたものである。
【0113】
例えば、孔版印刷装置等の印刷装置に用いられ、外周面にマスタを巻き付け内周面側から多数の小さな開孔(小孔または開口と呼ばれることもある)を介してマスタにインキが供給される版胴の加工方法としては、生産性やコストなどの観点より、例えばステンレススチールのような金属製の薄板をエッチング加工に代表される化学的腐食加工によって多数の開孔を形成する方法や、電鋳加工によって母型に金属皮膜を形成する過程にて多数の開孔を形成する方法などが一般的に広く用いられている。
図22(a)は、その外周面からメッシュスクリーンを除去した従来の一般的な版胴501の一例を示している。この版胴501は、例えばステンレススチール製の薄板の素材を内周面505及び外周面506の両側からエッチング処理を施すことによって、図22(b)に破線で示すような多数の微小な開孔502を貫通・形成したものである。符号502’で示す開孔は、従来の通常のエッチング処理により開孔502’の内壁にテーパ面が残っている状態を表しているが、現在ではエッチング処理技術の発達によってほとんど破線で示すようなストレートの開孔502を明けることができるようになっている。符号tは、版胴501の素材の厚さである素材板厚を示す。
【0114】
そして、版胴は、上記した金属製の薄板からなる支持円筒体を基体とし、その支持円筒体の外周面上にさらにメッシュ状のインキ通過部を有するメッシュスクリーンを1層または複数層巻装したものが一般的である。以下、上記したような版胴の形成の仕方を前者の技術と呼ぶこととする。
また、特開平3−67682号(特許第2752711号)公報には、図23に簡略的に示すような断面を有する孔版印刷用版胴601が開示されている。孔版印刷用版胴601は、図23に示すように、版胴601の外周面606側だけにエッチング処理を施すいわゆるハーフエッチング処理により形成した凹溝部604の中に、さらに内周面605および外周面606の両側からエッチング処理を施す貫通エッチング処理によって貫通・形成した開孔602(同公報では開口部)があり、開孔602の開孔周縁部を含む周囲部は、版胴601の素材板厚tよりもハーフエッチング処理をされている分薄くなっており、これにより、インキの保持性および流動性を図ったものである。そして、ハーフエッチング処理をされないで残った部分が台形状の凸部603になっており、この凸部603によって版胴601の機械的強度を十分確保できるようにしたものである。以下、この技術を後者の技術と呼ぶこととする。
【0115】
しかしながら、前者の技術では、版胴の支持円筒体に巻装されるメッシュスクリーンやマスタは、版胴の支持円筒体の外周表面が平滑であり、さらに支持円筒体の外周面とメッシュスクリーンやマスタとの間には、インキが介在するために滑りが発生しやすかった。これを防止するために、支持円筒体とメッシュスクリーンの後端部との間に張設されたスプリング等によりメッシュスクリーンを支持円筒体に当接する向きに引っ張ったり、マスタの先端部を版胴上に確実に係止するために着磁したゴムシートなどを利用したクランパ等のマスタ先端係止手段にて挾持・係止したりする方式などが採られていた。マスタ先端係止機構に係る技術としては、例えば特開平6−127107号および特開平6−127108号公報に開示されたものを挙げることができる。
【0116】
版胴の外周面や支持円筒体上のメッシュスクリーン上に巻装されたマスタに対して、給送されてきた印刷用紙を、版胴内周面側に配設されたインキ供給ローラと押圧手段の一例としてのプレスローラとの間で押圧しながら印刷を実行する行為を繰り返す場合に、メッシュスクリーンが横方向(版胴の回転軸線方向)にスキューしたり、マスタがクランパから抜け出したり、さらにはこれらの不具合が誘因となってマスタの破れや伸びが発生してしまい、これにより画像品質の低下や排版不良、マスタの破れに伴うインキ飛散等による機械内部の汚損を引き起こしていたという不具合がある。
【0117】
一方、後者の技術では、同公報の第3図からも明白なように、前者の技術と同様に、マスタ先端係止手段(同公報ではクランプ片11)を必要としており、凸部603によるマスタの保持性についてはマスタの多孔質支持体に食い込み保持するような機能を有しておらず、マスタに接触してせいぜいインキの粘着によってマスタを保持する程度であり、上記した前者の技術と略同様の不具合がある。
【0118】
したがって、この版胴に係る新規な技術創出の目的は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、メッシュスクリーンの後端部をスプリングを介して張設したり、マスタの先端部をクランパ等のマスタ先端係止手段で係止したりせずとも、メッシュスクリーンが横にスキューしたり、マスタがクランパから抜け出したり、さらにはこれらによってマスタの破れや伸びが発生してしまい、画像品質の低下や排版不良、マスタの破れに伴うインキ飛散等による機械内部の汚損を引き起こしてしまうことのない版胴を提供することにある。
【0119】
そして、上記版胴に係る新規な技術は、上述した目的を達成するために、次のような技術構成を採っている。第1の技術構成では、外周面にマスタを巻き付け内周面側から開孔を介して上記マスタにインキが供給される版胴において、上記開孔の上記外周面側の開孔周縁部に、上記マスタを保持すべく該外周面から外方に向って突出した凸部を形成したことを特徴とする。
第2の技術構成では、第1の技術構成において、上記凸部の断面形状が山形であり、その頂部が鋭角であることを特徴とする。
第3の技術構成では、第1または第2の技術構成において、上記版胴の外周面上に、上記凸部とは別に上記マスタを保持すべく上記版胴の外周面から外方に向って突出した突起部を形成したことを特徴とする。
【0120】
第4の技術構成では、第3の技術構成において、上記突起部の先端部が、鋭角であることを特徴とする。
第5の技術構成では、第3または第4の技術構成において、上記突起部の軸芯を、上記版胴の回転中心を通る半径方向の半直線に対して上記版胴の回転方向の進み側に所定角度傾けたことを特徴とする。
第6の技術構成では、第1または第2の技術構成において、上記凸部の高さが、上記版胴を形成する素材の厚さの1/4〜1/2であることを特徴とする。
【0121】
第7の技術構成では、第3、第4または第5の技術構成において、上記突起部の高さが、上記版胴を形成する素材の厚さの1/4〜1/2であることを特徴とする。
第8の技術構成では、第1ないし第7の何れか一つの技術構成において、上記版胴の外周面には、インキ通過性のメッシュスクリーンが少なくとも一層巻き付けられていることを特徴とする。
第9の技術構成は、第1ないし第8の何れか一つの技術構成において、上記開孔が、上記外周面の略全体に亘って設けられていることを特徴とする。
【0122】
(第1の実施形態の変形例1)
図15(a),(b)に、第1の実施形態の変形例1に係る版胴10を示す。この版胴10は、図16に示すように、例えば素材がステンレススチール等からなる長方形の薄い平板27を円筒状に丸めて適宜の接合法、例えば突き当て溶接によってその両端縁部を接合・固定して成形したものであり、図15(a),(b)ではその一部を破断して示している。図15(a),(b)において、符号25は、後述するインキ供給ローラ等によりインキが供給される側の版胴10の内周面を示し、符号26は、マスタ61や設定マスタ61aを巻き付ける側である版胴10の外周面を示す。
なお、上述した図14を含む図15以降の各図において、開孔1aや開孔20、開孔周縁凸部23、側縁領域11、マスタ61や設定マスタ61aの厚さや素材板厚t等の図示については、その形状を分かりやすくするために、誇張拡大して示している。
【0123】
マスタ61や設定マスタ61aの概略的な構成については第1の実施形態で説明したが、さらに具体的に説明すると、図15(b)に部分的に示すように、例えばポリエステル等からなる1〜2μm程度の薄い熱可塑性樹脂フィルム61c(以下、単に「フィルム61c」という)に和紙繊維あるいは合成繊維、もしくはこれら両材料を混抄したものからなる厚さ100μm以下の多孔質支持体(ベース)61bを貼り付けてラミネート構造としたものが用いられる。
【0124】
図16において、平板27の長辺方向はマスタ搬送方向X(もしくは用紙搬送方向)に相当し、短辺方向はマスタ幅方向Y(もしくは用紙幅方向)に相当する。平板27のマスタ搬送方向Xには、その両側の側縁領域11を除き、インキ通過性の多数の開孔20を有するメッシュ模様で示す開口領域28が形成される。この開口領域28は、版胴10の実質的な印刷可能領域となる。つまり、開孔20は、版胴10の外周面26の略全体に亘って設けられている。開口領域28の外周面26側にマスタ61や設定マスタ61aが巻き付けられ、内周面25側から供給されたインキは、開孔20を吐出通過してハーフエッチング部24の外周面24a上に巻装されたマスタ61や設定マスタ61aに供給されることとなる。両側縁領域11は、インキ不通過性の非印刷可能領域であり、両側縁領域11には、後述するフランジの外周面に平板27を丸めて取付固定するための孔12が複数明けられる。
【0125】
開孔20は、図15(b)に括弧を付して示す平板27の段階で、後述するエッチング処理(エッチング加工)を施すことにより、図15(b)に示されている平板27において、版胴10の内周面25になる下面と版胴10の外周面26になる上面とを貫通し、内周面25側からのインキを外周面26側に吐出・供給すべく多数形成される。平板27の素材板厚tは、例えば0.1〜1.0mm程度のものが好ましく用いられる。開孔20は、素材板厚tに相当する長さをもって形成される。
【0126】
この版胴10の特徴は、第1の実施形態における版胴101の支持円筒体1に形成された開孔1aと比較すると、開孔20の外周面26側の開孔周縁部に、マスタ61や設定マスタ61aを強固に保持すべく外周面26(この変形例1では正確に言うと後述するハーフエッチング部24の外周面24aに相当する)から外方に向って突出した凸部としての開孔周縁凸部23を形成した点が相違しており、また、その開孔周縁凸部23の断面形状が山形をなし、その頂部が鋭角をなすように形成した点が相違している。さらに詳しく述べると、版胴10における開孔20の外周面26側の開孔周縁部は、断面形状が直角三角形状の山形に盛り上がって開孔周縁凸部23が形成され、その頂部の稜線部分が鋭角をなした先とがりエッジ状となっている。
【0127】
次に、版胴10の開孔20、開孔周縁凸部23、ハーフエッチング部24および側縁領域11の形成の仕方について述べる。ハーフエッチング部24は、平板27の外周面26側だけをエッチング処理することで形成され、これと同時に両側の側縁領域11も形成される。そして、ハーフエッチング部24での山形状の開孔周縁凸部23を形成するためには、平板27の素材の種類、溶剤、レジスト形状等の条件により異なってくるが、少なくともレジストの非マスキング部を最初小さくして、次いで徐々に大きくしていくようなハーフエッチング処理を施せば、マスキングの形状の調整により、上記のような所望の稜線をもつ山形の開孔周縁凸部23形状を得ることができる。また、開孔20は、平板27の内周面25および外周面26の両側からエッチング処理を施す貫通エッチング処理によって素材板厚t方向に貫通し形成する。
【0128】
版胴10の強度について言及すると、ハーフエッチング部24を形成することで、強度的低下が懸念されるが、平板27に対する開孔20の開孔率や素材板厚tの変更により版胴10の強度を確保することができる。
また、インキの保持性については、マスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bの部分で十分確保できると共に、多孔質支持体61b内でのインキの流動性に関してはマスタ61や設定マスタ61a側で十分対応できる。
【0129】
例えば平板27の素材板厚tが0.2mmの場合には、開孔20の開孔径21は、版胴剛性確保という点から、0.25〜0.27mm程度に形成される。開孔周縁凸部23の山形の麓の外輪径23aは、強度確保と加工性という点から、0.31〜0.37mm程度に形成され、また、開孔周縁凸部23の山の高さは、マスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bの厚さ部分に食い込んでマスタ61や設定マスタ61aを強固に保持する点から、素材板厚tの1/4t〜1/2t程度が好ましい。
なお、開孔周縁凸部23の山の高さは、使用するマスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bの厚さや、後述する実施形態のように版胴10の外周面26側にメッシュスクリーンをさらに巻装した場合等を考慮して最適なマスタ保持性を確保すべく設定されるが、使用するインキの種類等も副次的に考慮して設定される。
【0130】
この変形例1の版胴10によれば、上述したように、版胴10の強度、インキの保持性やインキの流動性を基本的に確保した上で、開孔20の外周面26側の開孔周縁部に、マスタ61を強固に保持すべくハーフエッチング部24の外周面24aから外方に向って突出した、その断面形状が山形でその頂部が鋭角をなす開孔周縁凸部23を形成したことにより、開孔周縁凸部23がマスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bの厚さ方向に食い込んでマスタ61や設定マスタ61aを機械的に強固に保持するので、第1の実施形態における版胴101を使用した場合よりもマスタ保持性がさらに向上して、クランパ等のマスタ先端係止手段を完全に不要とすることができる。換言すれば、版胴10の外周面26の略全体に亘って開孔20および開孔周縁凸部23を設けたことにより、版胴10の外周表面がマスタ保持に適する凹凸のある形状となり、マスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bに対して摩擦係数を高めた状態となって、版胴10とマスタ61や設定マスタ61aとが強固に結びつくことができるものである。
【0131】
図17に、変形例1の版胴10を適用した孔版印刷装置の一例を示す。この孔版印刷装置は、図1ないし図7に示した第1の実施形態における孔版印刷装置と比較すると、両側縁領域を除き外周面の全体に亘ってインキ通過性の多数の開孔1aが設けられた金属製の支持円筒体1とこの支持円筒体1の外周面を覆うインキ通過性の樹脂もしくは金属製網体からなるメッシュスクリーン2とを具備した版胴101に代えて、図17および図24に示すように、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔20と開孔周縁凸部23とが設けられた支持円筒体のみからなる版胴10を有することが主に相違する。
【0132】
図17では、図1ないし図7に示した第1の実施形態における孔版印刷装置の製版装置90、マスタ押えローラ121、ソレノイド125、プレスローラ駆動モータ167等周りの部材や構成部品の図示を省略しているが、版胴10周りの構成部品や部材を図24や図28に示したよりも一部詳しく示した部分があるので、補足説明する。すなわち、版胴10の両側縁領域11は、複数のフランジアーム41を介して支持軸104に回動自在に支持され版胴10の両端部に配設される端板とも呼ばれる一対のフランジ40の外周面にねじ等の締結手段により取付固定される。図17において、符号43は、3本のアーム41を結合しているドラムボス部であり、これら一対のドラムボス部43が支持軸104の両端部において図示しない軸受を介して回動自在に支持されることで、版胴10が回動自在になされる。一対のドラムボス部43の内側には、上記したインキ供給ローラ105およびドクターローラ106を回転自在に支持するインキ側板42が支持軸104に取り付け固定されている。
【0133】
この変形例1における孔版印刷装置においては、第1の実施形態における孔版印刷装置と同様の設定マスタ巻装動作がなされることにより、図24および図28に示すとおり、設定マスタ61aの後端部がその先端部の上に重ね合わされたマスタ重合領域69を形成するように、版胴10の外周面26上に巻装される。このマスタ重合領域69では、下側に位置する設定マスタ61aの先端部のフィルム61c部分が製版装置90のサーマルヘッド91により特有の穿孔パターンが形成された第1次穿孔領域63(図17では黒塗色部分で示されている)となっている。そのため、第1次穿孔領域63から滲み出てくるインキの粘着力により、マスタ重合領域69の上下の2枚の設定マスタ61a同士が密着保持されることとなる。このとき、内周面25側から供給されたインキは、開孔20を吐出通過して外周面26上に巻装されたマスタ61や設定マスタ61aに供給されるが、そのように滑りやすいインキが版胴10の外周面26上に充填され、印刷が継続されている場合でも、その断面形状が山形でその頂部が鋭角をなす開孔周縁凸部23がマスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bの厚さ方向に食い込んでマスタ61や設定マスタ61aを機械的に強固に保持するので、マスタ61や設定マスタ61aが版胴10の図中矢印回転方向(時計回り方向)の遅れ側(回転方向の上流側でもある)に引っ張られようとした場合でも、版胴10とマスタ61や設定マスタ61aとの位相ズレが確実に防止されている。
したがって、変形例1における孔版印刷装置では、上記した版胴10を具備していることにより、メッシュスクリーン2を有することによる利点を除き、設定マスタ61aの版胴10の外周面に対する位置ズレが第1の実施形態の場合よりも確実に防止されると共に、設定マスタ61aのシワ発生が第1の実施形態の場合よりも確実に防止されるので、クランパ等のマスタ先端係止手段を廃止することができる。
【0134】
(変形例2)
図18に、変形例1の変形例2を示す。この変形例2は、変形例1と比較すると、版胴10に代えて、版胴10Aを有することのみ相違する。版胴10Aは、版胴10と比較して、版胴10Aのハーフエッチング部24の外周面24a上に、版胴10の開孔周縁凸部23とは別に、マスタ61や設定マスタ61aをより一層強固に保持すべく版胴10Aのハーフエッチング部24の外周面24aから外方に向って突出した突起部としてのピン状突起29を形成付加したことのみ相違する。
【0135】
ピン状突起29は、細棒状をなしていて、開孔周縁凸部23と開孔周縁凸部23との間のハーフエッチング部24の外周面24a上に同様のエッチング処理によって一体形成される。ピン状突起29の高さは、マスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bの厚さ部分に食い込んでマスタ61や設定マスタ61aを強固に保持する点から、素材板厚tの1/4t〜1/2t程度が好ましい。ピン状突起29の外径29aは、強度確保と加工性という点から0.07〜0.12mmに形成される。
【0136】
この変形例2の版胴10Aによれば、開孔周縁凸部23に加えて、これとは別にマスタ61や設定マスタ61aをより一層強固に保持すべく版胴10Aにピン状突起29を形成したことにより、開孔周縁凸部23がマスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bの厚さ方向に食い込むと共に、ピン状突起29もマスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bの厚さ方向に食い込んでマスタ61や設定マスタ61aをより一層機械的に強固に保持するので、マスタ保持性がより一層向上して、クランパ等のマスタ先端係止手段を廃止することができる。
【0137】
(変形例3)
図19に、変形例1の変形例3を示す。この変形例3は、変形例1と比較すると、版胴10に代えて、版胴10Bを有することのみ相違する。版胴10Bは、版胴10と比較して、版胴10Bのハーフエッチング部24の外周面24a上に、版胴10の開孔周縁凸部23とは別に、マスタ61や設定マスタ61aをさらに一層強固に保持すべく版胴10Bのハーフエッチング部24の外周面24aから外方に向って突出した突起部としての円錐状突起30を形成付加したことのみ相違する。
【0138】
円錐状突起30は、円錐状をなし、その先端が鋭角にとがっていて、開孔周縁凸部23と開孔周縁凸部23との間のハーフエッチング部24の外周面24a上にエッチング処理によって一体形成される。
円錐状突起30は、円錐状突起30の中心である図20に一点鎖線で示す軸芯31が、版胴10Bの回転中心Oを通る半径方向の半直線HLに対して版胴10Bの回転方向の進み側に所定の角度θ分傾けて外周面24a上に形成されている。円錐状突起30の高さは、マスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bの厚さ部分に食い込んでマスタ61や設定マスタ61aを強固に保持する点から、素材板厚tの1/4t〜1/2t程度が好ましい。円錐状突起30の基部径30aは、強度確保と加工性という点から0.05〜0.2mm程度に形成される。円錐状突起30の軸芯31の傾き角度θは、マスタ保持性能確保と加工性という点から、5°〜30°に形成される。そして、円錐状突起30の先端形状は、マスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bとフィルム61cとの強度に応じて、適宜設計設定される。それ故に、版胴10Bが図17に示す孔版印刷装置に適用され、プレスローラ103で押圧された場合でも、マスタ61や設定マスタ61aのフィルム61cが破れ等の破損を生じるものではないため、その破損に伴うインキ付着・飛散等によって画像汚れなどは発生することはない。
【0139】
この変形例3の版胴10Bによれば、開孔周縁凸部23に加えて、これとは別にマスタ61や設定マスタ61aをさらに一層機械的に強固に保持すべく版胴10Bの回転方向の進み側に角度θ分傾いて突出した円錐状突起30を形成したことにより、開孔周縁凸部23がマスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bの厚さ方向に食い込むと共に、円錐状突起30もマスタ61や設定マスタ61aの多孔質支持体61bの厚さ方向に食い込んでマスタ61や設定マスタ61aをより一層強固に保持するので、マスタ保持性がより一層向上して、クランパ等のマスタ先端係止手段を廃止することができる。そして、図17および図24に示すように、マスタ61や設定マスタ61aが版胴10の図中矢印回転方向(時計回り方向)の遅れ側(回転方向の上流側でもある)に引っ張られようとした場合でも、図20に示すように、版胴10Bの回転方向の進み側に角度θ分傾いた円錐状突起30の先端部がマスタ61の多孔質支持体61bの移動を押さえるので、版胴10Bとマスタ61や設定マスタ61aとの位相がずれることが防止されている。
なお、説明が遅れたが、版胴10Aや版胴10Bが図17や図24に示す孔版印刷装置に適用されていることを表すために、それらの版胴の符号を同図に括弧を付して併記している。
【0140】
(変形例4)
図21に、変形例1の変形例4を示す。この図21に示されている孔版印刷装置は、変形例1の版胴10等を適用した図17および図24に示す孔版印刷装置と比較して、版胴10に代えて、非開口領域(非印刷可能領域)を備えた版胴10’を有すること、および版胴10’の開口領域(印刷可能領域)の外周面26に、インキ通過性のメッシュスクリーン2が少なくとも一層巻き付けられていることが主に相違する。
【0141】
版胴10’には、版胴10’の両端縁接合部の機械的強度等を考慮して、開孔20を明けていない非開口領域(非印刷可能領域)がフランジ40の継ぎ目40a外周面付近のスクリーン非巻装部13に設けられている。メッシュスクリーン2は、樹脂もしくは金属製の網体からなる。メッシュスクリーン2は、版胴10’の外周面26の画像形成を実行される箇所に巻かれていれば十分であるため、版胴10’の外周面26の非画像形成部に相当するスクリーン非巻装部13を除き、版胴10’の外周面26に巻装されている。スクリーン非巻装部13は、版胴10’のマスタ幅方向に延在して設けられた平面視で帯状領域をなす。
【0142】
版胴10’の外周面26に巻装されたメッシュスクリーン2には、内周面25側から供給されたインキが開孔20を吐出通過して外周面24aとメッシュスクリーン2との間に供給されるが、そのように滑りやすいインキが版胴10’の外周面24aとメッシュスクリーン2との間に充填され、印刷が継続された場合でも、その断面形状が山形でその頂部が鋭角をなす開孔周縁凸部23がメッシュスクリーン2に食い込んで、メッシュスクリーン2を機械的に強固に保持することにより、版胴10’とメッシュスクリーン2とが機械的に強固に結びつき、メッシュスクリーン2が版胴10’の図中矢印回転方向の遅れ側に引っ張られようとした場合でも、版胴10’とメッシュスクリーン2との位相がずれることが防止されている。
【0143】
また、メッシュスクリーン2の外周面に巻装されている設定マスタ61aは、その先端部が版胴10’の外周面24aのスクリーン非巻装部13にて、開孔周縁凸部23の鋭角状の稜線部分と強固に密着して保持されており、設定マスタ61aの後端部がその先端部の上に重ね合わされたマスタ重合領域69を形成するように、版胴10’の外周面26上に巻装される。このマスタ重合領域69では、下側に位置する設定マスタ61aの先端部のフィルム61c部分が第1の実施形態における製版装置90のサーマルヘッド91により特有の穿孔パターンが形成された第1次穿孔領域63(図21では黒塗色部で示されている)となっている。そのため、第1次穿孔領域63から滲み出てくるインキの粘着力により、マスタ重合領域69の上下の2枚の設定マスタ61a同士が密着保持されることとなる。したがって、版胴10’に対してメッシュスクリーン2のみならず、設定マスタ61aも位相ずれが防止されている。したがって、この孔版印刷装置でも、上記した版胴10’を具備していることにより、版胴10’に対してメッシュスクリーン2の位置ズレ防止が図られるのみならず、設定マスタ61aの版胴10の外周面に対する位置ズレが第1の実施形態の場合よりもさらに確実に防止されると共に、設定マスタ61aのシワ発生が第1の実施形態の場合よりもさらに確実に防止され、クランパ等のマスタ先端係止手段を廃止することができ、その他第1の実施形態と同様の各利点を有することは言うまでもない。
【0144】
各版胴10,10A,10B,10’,10A’,10B’の開孔周縁凸部23、ピン状突起29や円錐状突起30は、エッチング処理(エッチング加工)で形成したが、これに限らず、プレス加工や電鋳加工等によって形成することもできる。各版胴10,10A,10B,10’,10A’,10B’の開孔周縁凸部23、ピン状突起29や円錐状突起30をプレス加工で形成した場合、そのハーフエッチング部24を形成しなくてもよい。
【0145】
各版胴10,10A,10B,10’,10A’,10B’は、これに限らず、ピン状突起29と円錐状突起30との両方を適当な配置パターンで開孔周縁凸部23に付加するように構成することもできる。また、ピン状突起29および/または円錐状突起30を具備することで、鋭角状の稜線部分を有する開孔周縁凸部23に代えて、開孔周縁凸部23の強度や耐久性を向上するために、略台形状の開孔周縁凸部とすることもできる。
【0146】
版胴10を使用した第1の実施形態と同様の設定マスタ巻装に係る変形例1は、版胴10に限らず、版胴10Aや版胴10Bを使用しても勿論構成できるものであり、それらの版胴10Aや版胴10Bを使用した場合には、変形例1の上記した各利点に版胴10Aや版胴10Bを使用した場合の利点が加わることとなる。版胴10Aや版胴10Bが図17や図24に示す孔版印刷装置に適用されていることを表すために、図17や図24においてそれらの版胴の符号を括弧を付して併記している。
【0147】
図21に示した変形例4の孔版印刷装置の版胴10’とその外周面26上に巻装されたメッシュスクリーン2とに対しても、第1の実施形態と同様の設定マスタ巻装方式を適用することができる。このような版胴10’,10A’,10B’にあっては、その非開口領域が版胴の外周面の非画像形成部となるため、例えば図24に示すような孔版印刷装置において、上記版胴にメッシュスクリーン2を巻装したものを使用する場合には、図24において上記版胴の非開口領域が略右真横に位置して設定マスタ61aの先端部を保持・係止する給版位置を占めるように、上記版胴の回転位置を検出するセンサ構成等を追加し、上記版胴の回転位置を制御することが望ましいと言える。
【0148】
また、各版胴10’,10A’,10B’の外周面26に対するメッシュスクリーン2の巻装範囲は、上述したスクリーン非巻装部13を有するものに限らず、第1の実施形態の版胴101と同様に、各版胴10,10A,10Bの外周面26の全周に亘って巻装されているものでもよい。
【0149】
各版胴10,10A,10B,10’,10A’,10B’の何れか1つを有する孔版印刷装置の主要な動作は、上記構成・動作および第1の実施形態から容易に類推して実施可能であるため、その説明を省略する。
【0150】
(第2の実施形態の変形例5)
図10、図25および図28を参照して第2の実施形態の変形例5に係る孔版印刷装置を説明する。
変形例5は、図9および図10に示した第2の実施形態と比較して、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられた第1の版胴としての版胴201に代えて、変形例1の版胴10と同様の構成を備えた第1の版胴210を有すること、および外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられ、版胴201にその外周面を近接させて配設された第2の版胴としての版胴301に代えて、版胴210にその外周面を近接させて配設され変形例1の版胴10と同様の構成を備えた第2の版胴としての版胴310を有することのみ相違する。
【0151】
図10および図25に示すように、制御装置270からの指令により、版胴押圧駆動手段500が作動されることによって版胴210が版胴310に向けて変位され、接近し押圧状態にあるインキ供給ローラ205とインキ供給ローラ305とを介して、版胴210上の設定マスタ161aと版胴310上の設定マスタ261aとの間に用紙82を互いに押し付け合って、その用紙82の表面と裏面とに同時に印刷画像が形成されることとなる。片面印刷時において、例えば版胴210上の設定マスタ161aにより表面印刷を行なう場合には、版胴310上での設定マスタ261aの位置ズレは印刷品質上は全然問題とならないため、製版装置290のサーマルヘッド291を全く駆動させず無穿孔の設定マスタ261aを作製し、カッタモータ298による所定の供給長さの設定マスタ261aの形成だけで設定マスタ巻装を行ない印刷を実行してもよい。
【0152】
上記以外の本孔版印刷装置の主要な動作は、上記構成・動作、第1および第2の実施形態から容易に類推して実施可能であるため、その説明を省略する。
したがって、変形例5によれば、第2の実施形態よりも、版胴210や310に対する設定マスタ161aや261aの位置ズレやシワの発生をより確実に防止することができる。
【0153】
なお、第1の版胴や第2の版胴は、版胴10と同様の構成を有する版胴210,310に限らず、版胴10Aや版胴10Bを使用しても勿論構成できるものであり、それらの版胴10Aや10Bを使用した場合には、変形例5の利点に版胴10Aや版胴10Bを使用した場合の利点が加わることとなる。また、第1の版胴や第2の版胴は、版胴10と同様の構成を有する版胴210,310または版胴10Aや版胴10Bと同様の構成を有する版胴に限らず、図21に示した変形例4における孔版印刷装置の版胴10’,10A’,10B’とその外周面26上に巻装されたメッシュスクリーン2とを使用しても、上記した変形例5と同様の設定マスタ巻装方式を適用することができる。
【0154】
(第3の実施形態の変形例6)
図12、図26および図28を参照して第3の実施形態の変形例6に係る孔版印刷装置を説明する。
変形例6は、図11および図12に示した第3の実施形態と比較して、支持軸82Aの周りに回動自在に配設され、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられた第1の版胴としての版胴79Aに代えて、支持軸82Aの周りに回動自在に配設され、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔2および開孔周縁凸部3が設けられた第1の版胴としての版胴89Aを有すること、および支持軸105Aの周りに回動自在に配設され、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられ、版胴79Aにその外周面を近接させて配設された第2の版胴としての版胴80Aに代えて、支持軸105Aの周りに回動自在に配設され、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔2および開孔周縁凸部3が設けられ、版胴89Aにその外周面を近接させて配設された第2の版胴としての版胴90Aを有することのみ相違する。
【0155】
図12および図26に示すように、制御装置370からの指令により、各ソレノイド98A、120Aが作動されることによって各インキ供給ローラ95A,117A同士が作動位置へ移動され、これにより各インキ供給ローラ95A,117Aがそれぞれ各版胴89A,90Aの内周面を押圧し各版胴89A,90Aをそれぞれ膨出させ、押圧状態にあるインキ供給ローラ95Aとインキ供給ローラ117Aとを介して、版胴89A上の設定マスタ161aと版胴90A上の設定マスタ261aとの間に用紙82を互いに押し付け合って、その用紙82の表面と裏面とに同時に印刷画像が形成されることとなる。片面印刷時において、例えば版胴89A上の設定マスタ161aにより表面印刷を行なう場合には、変形例5と同様にしてもよい。
【0156】
上記以外の本孔版印刷装置の主要な動作は、上記構成・動作第1および第3の実施形態から容易に類推して実施可能であるため、その説明を省略する。
したがって、変形例6によれば、第3の実施形態よりも、版胴89Aや90Aに対する設定マスタ161aや261aの位置ズレやシワの発生をより確実に防止することができる。
【0157】
なお、第1の版胴や第2の版胴は、版胴10と同様の構成を有する版胴89A,90Aに限らず、版胴10Aや10Bを使用しても勿論構成できるものであり、それらの版胴10Aや10Bを使用した場合には、変形例6の上記利点に版胴10Aや10Bを使用した場合の利点が加わることとなる。また、第1の版胴や第2の版胴は、版胴10と同様の構成を有する版胴89A,90Aまたは版胴10Aや版胴10Bと同様の構成を有する版胴に限らず、図21に示した変形例4の孔版印刷装置の版胴10’,10A’,10B’とその外周面26上に巻装されたメッシュスクリーン2とを使用しても、上記した変形例6と同様の設定マスタ巻装方式を適用することができる。
【0158】
(第3の実施形態の変形例7)
図12、図27および図28を参照して第3の実施形態の変形例7に係る孔版印刷装置を説明する。
変形例7は、図12および図13に示した第3の実施形態の変形例と比較して、2胴式のインキ供給ドラム400と従動ドラム410との間に掛け渡された第1の版胴としてのベルト状版胴420に代えて、2胴式のインキ供給ドラム400と従動ドラム410との間に掛け渡された第1の版胴としての、例えば薄板のステンレス板を張設したものからできていて、その外周面にはその略全体に亘ってインキ通過性の開孔2および開孔周縁凸部3が設けられているベルト状版胴430を有すること、および外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられ、ベルト状版胴420にその外周面を近接させて配設された第2の版胴としての版胴80Aに代えて、支持軸105Aの周りに回動自在に配設され、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔2および開孔周縁凸部3が設けられ、ベルト状版胴430にその外周面を近接させて配設された第2の版胴としての版胴90Aを有することのみ相違する。
【0159】
ベルト状版胴430の外周長は、ベルト状版胴420と同様に形成されていて、版胴90Aのそれと同じとなるように、インキ供給ドラム400と従動ドラム410との外径が決められるため、これらの各外径を同じとした場合には必ずインキ供給ドラム400と従動ドラム410との外径は、版胴90Aのそれよりも小さいものとなる。したがって、印刷画像が形成された用紙82をベルト状版胴430および版胴90Aの外周面から剥離爪やエアーナイフ等の剥離手段で剥離する場合、その曲率の小さい上側のベルト状版胴430の方が容易に離れやすい傾向にある。この変形例7では、この性質を利用し、用紙82の片面が比較的画像面積率の少ない文字物と反対に画像面積率の多いベタ物とを同時に用紙82の両面に印刷する場合には、用紙82が離れやすい曲率の小さい上側のベルト状版胴430でベタ物を、下側の版胴90Aで文字物を印刷するように各設定マスタ161a,261aを製版し巻装すると、版胴に用紙82がインキの付着力で巻き上がる不具合を防止できる利点がある。
【0160】
図12および図27に示すように、制御装置470からの指令により、ソレノイド120Aが作動されることによって、インキ供給ローラ117Aのみが作動位置へ移動され、これによりインキ供給ローラ117Aが版胴90Aの内周面を押圧して膨出させ、押圧状態にあるインキ供給ドラム400とインキ供給ローラ117Aとを介して、ベルト状版胴430上の設定マスタ161aと版胴90A上の設定マスタ261aとの間に用紙82を互いに押し付け合って、その用紙82の表面と裏面とに同時に印刷画像が形成されることとなる。片面印刷時において、例えばベルト状版胴430上の設定マスタ161aにより表面印刷を行なう場合には、変形例6と同様にしてもよい。
【0161】
上記以外の本孔版印刷装置の主要な動作は、上記構成・動作、第1および第3の実施形態の変形例から容易に類推して実施可能であるため、その説明を省略する。
したがって、変形例7によれば、第3の実施形態の変形例よりも、ベルト状版胴430や版胴90Aに対する設定マスタ161aや261aの位置ズレやシワの発生をより確実に防止することができる。
【0162】
なお、ベルト状版胴430は、これに限らず、版胴10Aのピン状突起29や版胴10Bの円錐状突起30を利用して薄板ベルト状に構成することも勿論可能であり、それらの版胴10Aのピン状突起29や版胴10Bの円錐状突起30を利用した場合には、変形例7の上記利点に版胴10Aのピン状突起29や版胴10Bの円錐状突起30を利用した場合の利点が加わることとなる。
【0163】
上述した変形例1ないし7から、第1ないし第9の技術構成の各利点をまとめると以下のとおりである。
第1の技術構成によれば、版胴に形成された開孔の版胴の外周面側の開孔周縁部に、マスタを保持すべく版胴の外周面から外方に向って突出した凸部を形成したことにより、凸部がマスタの多孔質支持体部分に食い込みマスタを機械的に強固に保持するので、マスタの先端部をクランパ等のマスタ先端係止手段で係止したりせずとも、マスタがクランパから抜け出したり、さらにはこれによってマスタの破れや伸びが発生してしまい、画像品質の低下や排版不良、マスタの破れに伴うインキの付着・飛散等による機械内部の汚損等の発生を防止することができる。また、クランパ等のマスタ先端係止手段を不要とすることができたので、押圧手段として例えばプレスローラを用いた場合では、版胴の外周面からの一々の接離動作をすることなく、印刷中は常に版胴の外周面を押圧し続けることが可能となり、プレスローラの接離動作に伴う振動や騒音の低減にも大いに役立つようになった。
第2の技術構成によれば、凸部の断面形状が山形であり、その頂部が鋭角であることにより、凸部がマスタの多孔質支持体部分に食い込みマスタを機械的にさらに強固に保持するので、第1の技術構成の利点をさらに確実に得ることができる。
【0164】
第3の技術構成によれば、版胴の外周面上に、凸部とは別にマスタを保持すべく版胴の外周面から外方に向って突出した突起部を形成したことにより、上記各技術構成の利点をより一層確実に得ることができる。
第4の技術構成によれば、突起部の先端部が鋭角であることにより、突起部の鋭角状の先端部がマスタの多孔質支持体部分に確実に食い込みマスタを機械的にさらに一層強固に保持するので、上記各技術構成の利点をさらに一層確実に得ることができる。
第5の技術構成によれば、第3または第4の技術構成において、突起部の軸芯を、版胴の回転中心を通る半径方向の半直線に対して版胴の回転方向の進み側に所定角度傾けたことにより、マスタが版胴の回転方向の遅れ側に引っ張られようとした場合でも、版胴の回転方向の進み側に所定角度傾傾いている突起部の先端部がマスタの多孔質支持体部分の移動を押さえるので、版胴とマスタとの位相がずれることが防止され、上記各技術構成の利点をさらに一層確実に得ることができる。
第6の技術構成によれば、第1または第2の技術構成において、凸部の高さが版胴を形成する素材の厚さの1/4〜1/2であることにより、凸部がマスタの多孔質支持体の厚さ部分に食い込むのでマスタを機械的に強固に保持することができる。
【0165】
第7の技術構成によれば、第3、第4または第5の技術構成において、突起部の高さが版胴を形成する素材の厚さの1/4〜1/2であることにより、突起部がマスタの多孔質支持体の厚さ部分に食い込むのでマスタを機械的に強固に保持することができる。
第8の技術構成によれば、版胴の外周面にはインキ通過性のメッシュスクリーンが少なくとも一層巻き付けられていることにより、上記各技術構成の利点に加えて、メッシュスクリーンの後端部をスプリングを介して張設せずとも、メッシュスクリーンが横にスキューしたりするのを防止することができる。
第9の技術構成によれば、開孔が外周面の略全体に亘って設けられていることにより、上記各技術構成の利点に加えて、版胴の外周面の如何なる位置においてもマスタの先端部から巻装し始めることができる。
【0166】
以上述べた変形例1ないし7および第1ないし第9の技術構成やその利点から、版胴の外周面に上記凸部を有することにより、版胴回転時におけるマスタやメッシュスクリーンのズレ防止が確実にできるので、本発明におけるようなクランパレスによる設定マスタ巻装方式に最適な版胴を提供することができる。
【0167】
なお、各製版装置90,190,290のマスタ送りローラ対93a,93bと給版ローラ対94a,94bとの間で、設定マスタ61a,161a,261aに撓みを形成して製版・給版を行なえる装置にあっては、例えばマスタ押え手段としてのマスタ押えローラ121を支持アーム対126,126の揺動端部に2個設けて、設定マスタ61a,161a,261aの巻装開始時、マスタ押えローラ121が設定マスタ61a,161a,261aの第1および第2未製版領域65,165,265,66,166,266を張力を付与しながら略同時的に押圧するものでもよい。この場合、2個のマスタ押えローラ121の間隔は各設定マスタ61a,161a,261aにおける各第1次穿孔領域63,163,263の搬送方向の長さと同等以上とし、1回の押圧動作で各第1次穿孔領域63,163,263にインキを滲み出させることが可能となる。
【0168】
本発明の実施形態は、上述した各実施形態等に限らず、例えば製版装置90,190,290の何れかを備えている製版装置であってもよく、このような装置構成にあっては設定マスタのみを製作するものとして利用できる。(請求項参照)。また、これに限らず、上述した各実施形態等の構成から上記給紙装置、上記印刷装置および上記排紙装置を除去した装置構成であってもよく、このような装置構成にあっては、版胴が用紙搬送方向に複数並設された多色もしくは多版孔版印刷装置から各版胴を取り外して設定マスタを自動的に排版したり巻装したりするのに利用することができる。
【0169】
また、上述した各実施形態等では感熱デジタル製版印刷一体型の孔版印刷装置について述べたが、本発明の実施形態は、これらに限定されず、穿孔製版され予め所定の供給長さに切断された設定マスタを自動的に巻装して印刷を行なう装置、あるいは予め穿孔製版だけ施された設定マスタを連続ロール状に巻成したものを所定の供給長さに切断しながら自動的に巻装するような装置構成であってもよいといえる(請求項5、6参照)。
【0170】
上述したとおり、本発明は、外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられた少なくとも一つの版胴を有し、外版胴の外周面にマスタを巻き付け、版胴の内部からインキを該版胴上のマスタに供給し、版胴上のマスタに用紙を押し付けて用紙に印刷を行なう印刷方法において、版胴の外周面に巻装するマスタの供給長さは、版胴の外周面の外周長よりも長く、かつ、版胴の外周面へのマスタ巻装後のマスタの後端が、マスタの先端部側に形成された穿孔画像領域の穿孔画像開始位置まで達しない長さに設定されており、上記供給長さに設定された設定マスタを版胴の外周面に巻装し、該設定マスタ巻装終了時に、該設定マスタの先端部の上に該設定マスタの後端部を重ね合わせたマスタ重合領域を形成した後、印刷を行なう印刷方法であって、上記マスタ重合領域に対応した上記設定マスタの先端部分に第1次穿孔領域が少なくとも1箇所形成されていると共に、上記設定マスタの先端と第1次穿孔領域の開始位置との間に第1未製版領域が、および第1次穿孔領域の終了位置と上記穿孔画像開始位置との間に第2未製版領域がそれぞれ形成されている、という構成を有していればよく(請求項1参照)、従来装置の版胴構造においてマスタ巻装を行ない得るものならば、どのような装置にも適用することができるものである。
【0171】
したがって、例えば上記した装置適用例以外に、例えば特開平8−192564号公報に記載されているように、用紙搬送面を挟んだ片面印刷の版胴を搬送方向にずらして複数並べた両面印刷装置、あるいは特開平8−118774号公報に記載されているように、転写胴を用いて複数の版胴を配置した両面印刷装置にももちろん、適用することができる。
【0172】
以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の実施形態等について説明したが、本発明の構成は、上述した各実施形態等に限定されるものではなく、それらを適宜組合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性及び用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0173】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、従来の諸問題点を解決して新規な印刷方法、製版装置および印刷装置を提供することができ、請求項ごとの効果を挙げれば以下のとおりである。
請求項1、2および5記載の発明によれば、上記各構成により、マスタ重合領域において重なり合っている設定マスタ同士が第1次穿孔領域から供給されるインキの粘性による粘着力によって密着保持され緊密に貼り合わされて、あたかも無端シートの状態が形成されるため、印刷を繰り返しても版胴に対する設定マスタの位置ズレやシワの発生を防止することができる。また、設定マスタの後端部における印刷に供されない余剰インキが第1次穿孔領域の穿孔部分より版胴の開孔部分を通って版胴の内部に回収されるため、いわゆるインキの尻漏れも防止できて、これによって周りの装置や用紙等を汚損したり、インキの無駄遣いをしたりするということもなくなる。
【0174】
請求項および記載の発明によれば、さらに、マスタ重合領域における第1次穿孔領域が押圧されることによって、設定マスタを版胴に確実に保持できるようになったため、クランパを不要にすることができ、例えば、版付け動作をしないで本願のように設定マスタを巻装しただけの状態の版胴を、多色印刷装置に入れ替え装着するような時に移動したとしても、従来のようにクランパでマスタを保持しているのと何ら遜色なく、移動中の設定マスタの位置が版胴の周方向にずれるといったことがない。
【0183】
請求項記載の発明によれば、上記構成により、上記各効果を奏するための前提条件である設定マスタを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す孔版印刷装置の要部の概略正断面図である。
【図2】第1の実施形態における孔版印刷装置の設定マスタ巻装初期時の動作を表す概略正断面図である。
【図3】第1の実施形態における孔版印刷装置の設定マスタ巻装時の動作を表す概略正断面図である。
【図4】第1の実施形態における孔版印刷装置の設定マスタ巻装時の動作を表す概略正断面図である。
【図5】第1の実施形態における孔版印刷装置の設定マスタ巻装終了時の動作を表す概略正断面図である。
【図6】第1の実施形態における孔版印刷装置の印刷初期時の動作を表す概略正断面図である。
【図7】第1の実施形態における孔版印刷装置の印刷動作中に給紙ジャムを生じた状態を表す概略正断面図である。
【図8】第1の実施形態における孔版印刷装置の主要な制御構成を示す制御ブロック図図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を示す両面同時印刷方式の孔版印刷装置の要部の概略正断面図である。
【図10】第2の実施形態における孔版印刷装置の主要な制御構成を示す制御ブロック図図である。
【図11】本発明の第3の実施形態を示す両面同時印刷方式の孔版印刷装置の要部の概略正断面図である。
【図12】第3の実施形態およびその変形例における孔版印刷装置の主要な制御構成を示す制御ブロック図である。
【図13】第3の実施形態の変形例における両面同時印刷方式の孔版印刷装置の要部の概略正断面図である。
【図14】第1ないし第3の実施形態等における設定マスタの版胴の外周面への巻装状態を示す要部の拡大正断面図である。
【図15】(a)は第1の実施形態の変形例1における版胴の要部の斜視図であり、(b)は同版胴の要部の断面図である。
【図16】変形例1における版胴の組み付け前の平板状態の平面図である。
【図17】変形例1における版胴が適用された孔版印刷装置を一部破断して示す要部の正面図である。
【図18】第1の実施形態の変形例2における版胴の要部の斜視図である。
【図19】第1の実施形態の変形例3における版胴の要部の斜視図である。
【図20】変形例3における版胴の円錐状突起の傾きを説明する説明図である。
【図21】第1の実施形態の変形例4における版胴が適用された孔版印刷装置を一部破断して示す要部の正面図である。
【図22】(a)は従来の版胴の要部の斜視図であり、(b)は同版胴の要部の断面図である。
【図23】従来の他の版胴の要部の断面図である。
【図24】第1の実施形態の変形例1を示す孔版印刷装置の設定マスタ巻装初期時の動作を表す概略正断面図である。
【図25】第2の実施形態の変形例5を示す両面同時印刷方式の孔版印刷装置の要部の概略正断面図である。
【図26】第3の実施形態の変形例6を示す両面同時印刷方式の孔版印刷装置の要部の概略正断面図である。
【図27】第3の実施形態の変形例7を示す両面同時印刷方式の孔版印刷装置の要部の概略正断面図である。
【図28】変形例1ないし7等における設定マスタの版胴の外周面への巻装状態を示す要部の拡大正断面図である。
【符号の説明】
1 支持円筒体
2 メッシュスクリーン
61 マスタ
61a,161a,261a 設定マスタ
62,162,262 第1次穿孔開始位置
63,163,263 第1次穿孔領域
64,164,264 第1次穿孔終了位置
65,165,265 第1未製版領域
66,166,266 第2未製版領域
67,167,267 穿孔画像開始位置
68,168,268 穿孔画像領域
69,169,269 マスタ重合領域
70,170,270 穿孔画像終了位置
79A,89A 第1の版胴
80A,90A 第2の版胴
84A 第1のインキ供給手段としてのインキ供給装置
90,190,290 製版装置
91 製版手段を構成するサーマルヘッド
92 製版手段を構成するプラテンローラ
95 切断手段としてのカッタ
98A 版胴押圧駆動手段としてのソレノイド
101 版胴
102 用紙検知手段としての用紙検出センサ
103 押圧手段の一例であるプレスローラ
107A 第2のインキ供給手段としてのインキ供給装置
108 インキ供給手段としてのインキ供給装置
111 版胴駆動手段としての版胴駆動モータ
120A 版胴押圧駆動手段としてのソレノイド
121 マスタ押え手段としてのマスタ押えローラ
125,225,325 押え駆動手段としてのソレノイド
146A,211,429 第1の版胴駆動手段としての版胴駆動モータ
147A,311 第2の版胴駆動手段としての版胴駆動モータ
167 押圧駆動手段としてのプレスローラ駆動モータ
170,270,370,470 制御手段および押圧制御手段としての制御装置
201 第1の版胴
208 第1のインキ供給手段としてのインキ供給装置
301 第2の版胴
308 第2のインキ供給手段としてのインキ供給装置
405 第1のインキ供給手段としてのインキ供給装置
420 第1の版胴としてのベルト状版胴
500 版胴押圧駆動手段

Claims (6)

  1. 外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられた少なくとも一つの版胴を有し、上記外周面にマスタを巻き付け、上記版胴の内部からインキを該版胴上のマスタに供給し、上記版胴上のマスタに用紙を押し付けて用紙に印刷を行なう印刷方法において、
    上記外周面に巻装するマスタの供給長さは、上記外周面の外周長よりも長く、かつ、上記外周面へのマスタ巻装後のマスタの後端が、マスタの先端部側に形成された穿孔画像領域の穿孔画像開始位置まで達しない長さに設定されており、
    上記供給長さに設定された設定マスタを上記外周面に巻装し、該設定マスタ巻装終了時に、該設定マスタの先端部の上に該設定マスタの後端部を重ね合わせたマスタ重合領域を形成した後、印刷を行なう印刷方法であって、
    上記マスタ重合領域に対応した上記設定マスタの先端部分に第1次穿孔領域が少なくとも1箇所形成されていると共に、上記設定マスタの先端と第1次穿孔領域の開始位置との間に第1未製版領域が、および第1次穿孔領域の終了位置と上記穿孔画像開始位置との間に第2未製版領域がそれぞれ形成されていることを特徴とする印刷方法。
  2. 請求項1記載の印刷方法において、
    上記設定マスタ巻装開始時、マスタ押え手段により、第1および第2未製版領域が押圧され、第1次穿孔領域および上記穿孔画像領域では上記マスタ押え手段による押圧がそれぞれ回避されることを特徴とする印刷方法。
  3. 請求項2記載の印刷方法において、
    上記設定マスタ巻装終了時、上記マスタ押え手段により、上記マスタ重合領域における第1次穿孔領域が押圧されることを特徴とする印刷方法。
  4. 版胴の外周面に巻き付けるマスタを製版する製版手段とマスタを所定の長さに切断する切断手段とを有する製版装置において、
    上記切断手段は、上記外周面に巻装するマスタの供給長さを、上記外周面の外周長よりも長く、かつ、上記外周面へのマスタ巻装後のマスタの後端が、上記製版手段によりマスタの先端部側に形成された穿孔画像領域の穿孔画像開始位置まで達しない長さに切断・設定した設定マスタを形成し、
    上記製版手段は、上記設定マスタの上記外周面への巻装終了時に形成されるマスタ重合領域に対応した上記設定マスタの先端部分を穿孔して、第1次穿孔領域を少なくとも1箇所形成することを特徴とする製版装置
  5. 外周面の略全体に亘ってインキ通過性の開孔が設けられ、該外周面にマスタを巻き付ける少なくとも一つの版胴と、この版胴の内部からインキを該版胴上のマスタに供給するインキ供給手段と、上記版胴を回転する版胴駆動手段と、用紙を介して上記版胴上のマスタに相対的に押し付けられる押圧手段と、上記押圧手段および/または上記版胴による押圧動作を行なわせる押圧駆動手段と、上記版胴に対向して配設され、上記マスタを介して上記版胴に接離自在なマスタ押え手段と、このマスタ押え手段を接離自在に駆動する押え駆動手段とを具備する印刷装置において、
    上記外周面に巻装するマスタの供給長さは、上記外周面の外周長よりも長く、かつ、上記外周面へのマスタ巻装後のマスタの後端が、マスタの先端部側に形成された穿孔画像領域の穿孔画像開始位置まで達しない長さに設定されており、
    上記供給長さに設定された設定マスタの上記外周面への設定マスタ巻装終了時に形成されるマスタ重合領域に対応した該設定マスタの先端部分に第1次穿孔領域が少なくとも1箇所形成されていると共に、上記設定マスタの先端と第1次穿孔領域の開始位置との間に第1未製版領域が、および第1次穿孔領域の終了位置と上記穿孔画像開始位置との間に第2未製版領域がそれぞれ形成されており、
    上記設定マスタ巻装開始時、上記マスタ押え手段が第1および第2未製版領域を押圧し、上記マスタ押え手段が第1次穿孔領域および上記穿孔画像領域の上記設定マスタの押圧をそれぞれ回避するように上記押え駆動手段を制御する制御手段を有することを特徴とする印刷装置
  6. 請求項5記載の印刷装置において、
    上記制御手段は、上記設定マスタ巻装終了時、上記マスタ押え手段が上記マスタ重合領域における第1次穿孔領域を押圧するように上記押え駆動手段を制御することを特徴とする印刷装置。
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