JP4358759B2 - 自然循環型冷却装置の制御方法および自然循環型冷却装置 - Google Patents
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Description
冷媒自然循環型冷却装置は、室内温度と室外温度(外気温度)との温度差と、室内熱交換器と室外熱交換器との高低差とを利用するものであって、作動流体(以下「冷媒」と称す)を圧縮する圧縮機を使用しないため、通常の蒸気圧縮式の冷却装置よりも年間消費電力を大幅に低減することができるものである。
このため、蒸発器の入口側に該蒸発器で蒸発したガス状冷媒の逆循環を防ぐためのトラップ、あるいは、凝縮器の入口側に該凝縮器で凝縮した液状の冷媒(以下「液状冷媒」と称す)の逆循環を防ぐためのトラップを設ける発明が開示されている。これによれば、蒸発器内で発生したガス状冷媒の逆循環がトラップによって阻止され、あるいは、凝縮器内で発生した液状冷媒の逆循環がトラップによって阻止されるから、自然循環サイクルが実行される(例えば、特許文献1参照)。
前記作動流体が、前記熱源側熱交換器から前記ガス配管に向かって、または前記負荷側熱交換器から前記液配管に向かって流れようとする逆流発生条件にあるか否かを検出する逆流発生条件検出工程と、
該逆流発生条件検出工程において前記作動流体が逆流発生条件にあると判定した場合、前記熱源側熱交換器における熱交換量または前記負荷側熱交換器における熱交換量の一方または両方を変更する熱交換量変更工程と、
該熱交換量変更工程から所定時間が経過した後、前記熱交換量変更工程において変更した熱交換量を前記熱交換量変更工程の前の熱交換量に戻す熱交換量戻し工程と、を有し、
前記逆流発生条件検出工程において、前記熱源側熱交換器に供給されて前記作動流体と熱交換をする冷熱媒体の前記熱源側熱交換器の供給側における温度に基づいて、前記作動流体が逆流発生条件にあるか否かを検出することを特徴とする。
高低差を設けて配置された熱源側伝熱管を具備する熱源側熱交換器と、
高低差を設けて配置された負荷側伝熱管を具備し、前記熱源側熱交換器よりも低い位置に設置された負荷側熱交換器と、
前記熱源側伝熱管の最下部と前記負荷側伝熱管の最下部とを連通する液配管と、
前記負荷側伝熱管の最上部と前記熱源側伝熱管の最上部とを連通するガス配管と、
前記熱源側伝熱管および液配管および負荷側伝熱管およびガス配管に封入された作動流体と、
前記作動流体が、前記熱源側熱交換器から前記ガス配管に向かって、または前記負荷側熱交換器から前記液配管に向かって流れようとする逆流発生条件にあることを検出した場合、前記熱源側熱交換器における熱交換量または前記負荷側熱交換器における熱交換量の一方または両方を、所定の時間の間だけ変更する熱交換量変更手段と、を有し、
前記逆流発生条件にあるか否かが、前記熱源側熱交換器に供給されて前記作動流体と熱交換をする冷熱媒体の前記熱源側熱交換器の供給側における温度に基づいて、検出されることを特徴とする自然循環型冷却装置。
(自然循環型冷却装置その1)
図1は、本発明の実施形態1に係る自然循環型冷却装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、自然循環型冷却装置100は、冷熱媒体を空気としたプレートフィン(図示しない)および熱源側伝熱管11a、11b、11c、11d(以下「熱源側チューブ11」と総称する)を具備する熱源側熱交換器1と、熱源側熱交換器1よりも低い位置に配置され、温熱媒体を空気としたプレートフィン(図示しない)および負荷側伝熱管21a、22b、21c、21d、21e、21f(以下「負荷側チューブ21」と総称する)を具備する負荷側熱交換器2と、熱源側チューブ11の最下部と負荷側チューブ21の最下部とを連通する液配管3と、負荷側チューブ21の最上部と熱源側チューブ11の最上部とを連通するガス配管4と、を有している。
そして、熱源側チューブ11、液配管3、負荷側チューブ21、およびガス配管4には図示しない作動流体(以下「冷媒」と称す)、例えば、臨界温度(約31℃)以上で超臨界状態となる二酸化炭素が封入されている。
なお、図1において、熱源側熱交換器1では、4系列の熱源側チューブ11a、11b、11c、11dのそれぞれの上端部が熱源側流入管14a、14b、14c、14d(以下「熱源側流入管14」と総称する場合がある)によってガス配管4に連結され、それぞれの下端部が熱源側流出管13a、13b、13c、13d(以下「熱源側流出管13」と総称する場合がある)によって液配管3に連結されている。かかる状態は、ガス配管4の上部が複数の熱源側流入管14に分岐し、液配管3の上部が複数の熱源側流出管13に分岐したことに同じである。
なお、以上は、熱源側チューブ11が4系列に、負荷側チューブ21が6系列の場合を例示しているが、本発明はそれぞれその系列数を限定するものではない。また、熱源側チューブ11および負荷側チューブ21の形態が、平面視および側面視で蛇行(複数に屈曲)する形態を例示しているが、本発明はこれに限定するものではない。
また、熱源側熱交換器1には熱源側送風機15(冷熱媒体供給手段に相当する)が備えられ、熱源側熱交換器1の外表面、具体的には熱源側チューブ11および図示しないプレートフィンに向けて室外空気(外気)が強制的に供給される。このとき、室外空気(外気)は、下方から上方に向かって、すなわち、熱源側流出管13側から熱源側流入管14側に向かって供給されるから、熱源側チューブ11内では、より低い位置にある冷媒の方がより高い位置にある冷媒よりも、より先に、より低温の室外空気によって冷却されることになる。図1に、熱源側熱交換器1の供給側(下側)の室外空気の流れを白抜き矢印16で、排出側(上側)の室外空気の流れを白抜き矢印17で示している。
かかる状態は、冷熱媒体である室外空気の流れる方向と、熱源側チューブ11内の冷媒の流れる方向が、互いに対向(互いに反対)していると捉えることができる。このとき、冷媒は低い位置になるに従って冷却されて低温になるものの、室外空気は熱源側チューブ11に沿った低い位置ではまだ低い温度にあるから、熱源側チューブ11内の低い位置でも、両者には所定の温度差が確保され、十分な熱交換が可能になっている(これについては別途詳細に説明する)。
このとき、負荷側熱交換器2の外表面へ供給される室内空気は、上方から下方に向かって、すなわち、負荷側流出管24側から負荷側流入管23側に向かって供給されるから、負荷側チューブ21内では、より高い位置にある冷媒の方がより低い位置にある冷媒よりも、より先に、より高温の室内空気によって加熱されることになる。このため、負荷側チューブ21内のより高い位置にある冷媒はより低い位置にある冷媒よりも、先に蒸発したり低い密度になったりするため、重力によってスムーズに上方向(負荷側流出管24)に上昇することができる。
かかる状態は、温熱媒体である室内空気の流れる方向と、負荷側チューブ21内の冷媒の流れる方向が、互いに対向(互いに反対)していると捉えることができる。このとき、負荷側チューブ21内の冷媒は高い位置になるに従って温められて高温になるものの、室内空気は負荷側チューブ21に沿った高い位置ではまだ高い温度にあるから、負荷側チューブ21内の高い位置でも両者には所定の温度差が確保され、十分な熱交換が可能になっている。
次に、自然循環型冷却装置100の運転動作を説明する。自然循環型冷却装置100は例えば年間を通して冷却が必要な場所に利用され、室内温度が室外温度よりも高い場合に、室内温度と室外温度との温度差を利用して冷媒自然循環による冷却運転を行うものである。
自然循環運転では、熱源側熱交換器1において低温の室外空気によって冷却され凝縮した液状冷媒が、複数の熱源側流出管13より流出し、液配管3を下降する。液配管3を下降した液状冷媒は、液配管トラップ部32を通って複数の負荷側流入管23に分岐され、負荷側熱交換器2に流入する。そして、負荷側熱交換器2において高温の室内空気によって温められ蒸発したガス状冷媒は、負荷側流出管24より流出し、ガス配管4を上昇する。ガス配管4を上昇した冷媒は、ガス配管トラップ部41を通って複数の熱源側流入管14に分岐され、熱源側熱交換器1に戻ることで自然循環サイクルが形成される。
図2は、本発明の実施形態1に係る自然循環型冷却装置において冷媒としてR410A(HFC系冷媒)を用いた場合の圧力−エンタルピー線図である。例えば、HFC系冷媒であるR410Aを用いた場合、図2の圧力−エンタルピー線図に示すように、室内温度30℃、室外温度20℃の場合は、A1−A2間(●印を結ぶ線分)を、室内温度50℃、室外温度40℃の場合は、B1−B2間(▲印を結ぶ線分)を、それぞれ点線矢印方向に往復するサイクルとなる。これより、R410Aの場合、両条件とも冷媒は気液二相状態で循環していることがわかる。
すなわち、熱源側熱交換器1で放熱し(冷却されるに同じ)、温度の低下した(密度の増加した)冷媒が複数の熱源側流出管13より流出して液配管3を下降する。液配管3を下降した冷媒は、液配管トラップ部32を経由して複数の負荷側流入管23に分岐され、負荷側熱交換器2に流入する。
負荷側熱交換器2で吸熱し(加熱されるに同じ)、温度の上昇した(密度の減少した)冷媒は、負荷側流出管24より流出してガス配管4を上昇する。ガス配管4を上昇した冷媒は、ガス配管トラップ部41を経由して複数の熱源側流入管14に分岐され、熱源側熱交換器1に戻る。
ところが、超臨界状態となる冷媒では、液配管トラップ部32内に比較的密度の低いガス状冷媒が蓄積されたとしても、液配管3が閉塞されることはないから、液配管トラップ部32内が逆循環防止機能を有効に発揮しない場合が生じる。
図4は、本発明の実施形態1に係る自然循環型冷却装置の熱交換器出入口において測定した冷媒温度の温度変化図であって、 室外温度一定の条件で室内温度を低下および再上昇させている。図4の(a)は、当初、室内温度の方が室外温度よりも高かったものが、室内温度が低下して室外温度よりも低い温度になる状態が発生し、その後、再び室内温度が上昇して室内温度と室外温度が再び逆転している。
このとき、図4の(b)および(c)に示すように、熱源側熱交換器1の入口温度および出口温度、負荷側熱交換器2の入口温度および出口温度が、全て同一の温度になる領域(図中、「E」にて示す)が存在している。そして、その後に、熱源側熱交換器1の入口温度および出口温度が、負荷側熱交換器2の入口温度および出口温度の方が高い温度になって、高低の関係が逆転している。
図5は、二酸化炭素(CO2)の超臨界域における密度と温度との関係を示す密度−温度相関図である。なお、かかる関係は、圧力をパラメータとした温度に対する密度変化を示しているが、本発明の実施形態1に係る自然循環型冷却装置(冷媒の量が一定)において冷媒として二酸化炭素(CO2)を用いた場合を十分に説明できるものである。
すなわち、温度に対する密度の変化は圧力に依存するが、圧力を7.5MPa、8.5MPa、および9.5MPaの一定値にして温度を変更すると、温度に対して密度が大きく変化する領域が、概ね30℃近辺、35〜40℃、および35〜50℃の間に存在する。このことは、冷媒の温度が僅かに変動しても密度が大きく変化することを示している。
負荷側熱交換器2は室内空気(温熱媒体に同じ)を上方から下方に向かって供給しているから、負荷側チューブ21内の上方にある冷媒は、下方にある冷媒よりも、より先に、より高温の室内空気によって加熱され、より早期に高い温度になって密度が低くなる。したがって、負荷側チューブ21内の上方の冷媒は早期に軽くなってスムーズにガス配管4に向かって上昇すると共に、該上昇によって負荷側チューブ21内の下方にある冷媒をあたかも上方に吸引され、正の循環流れを形成することになる。
例えば、冷媒の温度が、温度に対して密度が大きく変化する領域(図5参照)にあって、負荷側熱交換器2の入口温度と出口温度との温度差が僅かの場合、冷媒の流速は小さいため、僅かの温度変動によって、確率的に冷媒の逆循環が発生することになる(これについては別途詳細に説明する)。このとき、冷媒は超臨界状態(気相のみの一相)であるから液配管トラップ部32は逆循環を阻止する機能を発揮することができない。
また、負荷側熱交換器2の負荷側チューブ21内を局所的に見た場合、より高い位置にある冷媒の密度(温度に対応している)が、これよりもより低い位置にある冷媒の密度よりも小さくなっている局所的な領域では「正循環要素ウ」が形成され、一方、これと密度の大小関係が反対になっている局所的な領域では「逆循環要素エ」が形成される。
したがって、正循環要素イおよび正循環要素ウが顕在化している場合は、局所的に逆循環要素ア、エが存在していたとしても、全体として冷媒は正循環を継続する。一方、何らかの理由により、逆循環要素アおよび逆循環要素エが顕在化すると、局所的に正循環要素イ、ウが存在していたとしても、全体で冷媒の逆循環が発生することになる。
本発明は、冷媒回路を全体で見たときに冷媒の逆循環が発生する条件を検知して、該逆循環の発生条件が検知された際、逆循環要素ア、エを潜在化(該要素の発生数量の減少、発生領域の縮小、局所的な流速の低下等)または逆循環要素ア、エを略消失させることによって、正循環要素イ、ウを顕在化(該要素の発生数量の増加、発生領域の拡大、局所的な流速の増大等)させることによって、全体として冷媒の正循環を維持しようとするものである。
具体的には、一定時間の間、熱源側熱交換器1への冷熱の供給または負荷側熱交換器2への温熱の供給の一方または両方を停止(熱源側送風機15または負荷側送風機25の運転停止)、もしくは、冷熱または温熱の一方または両方の供給量を大幅に低減する(熱源側送風機15または負荷側送風機25を大幅に低速回転にする)。そうすると、熱源側チューブ11内の冷媒と冷熱媒体との熱交換量(冷媒の放熱量に同じ)または負荷側チューブ21内の冷媒と温熱媒体との熱交換量(冷媒の吸熱量に同じ)が、ほとんど皆無、もしくは、大幅に変動するから、冷媒の温度変化が皆無もしくはほとんど無い状態になって、冷媒は単に重力の作用によって移動することになる。
そして、前記一定時間の熱交換の停止または熱交換量の低減が終了した後は、再度、熱源側熱交換器1への冷熱の供給または負荷側熱交換器2への温熱の供給を再開する。そうすると、前述のように、熱交換による温度変化によって、正循環要素イ、ウはさらに顕在化し、全体として正方向の循環が得られる。
なお、前記一定時間の間に、仮に、全体として正方向の循環が形成されない場合であっても、逆循環要素ア、エは潜在化しているから、かかる冷熱または温熱の供給を再開すれば、熱交換による温度変化によって全体として正方向の循環が得られる。
図7は、本発明の実施形態1に係る自然循環型冷却装置における冷媒の冷却性能を説明するための冷却性能図であって、冷媒として用いた二酸化炭素(CO2)が超臨界状態となる室内温度50℃、室外温度40℃における冷却能力を、冷媒流れ方向の影響を冷媒量に対して示したものである。
図7において、○印および実線は、正循環時(対向流に同じ)の実験結果と計算結果をそれぞれ示しており、△印および破線は、逆循環時(並行流に同じ)の実験結果と計算結果を示している。計算結果と実験結果はよく一致し、冷却能力が極大付近となる冷媒量1.2Kgにおいて、冷媒が流れる方向により冷却能力が約40%変化している。以上から、逆循環が生じた場合、正循環の場合に比べて冷却性能が40%程度減少することがわかる。
一方、冷媒が逆循環をしている場合は、前記対向流とは反対に、冷媒と室外空気とは、並行流(それぞれが略同一方向に流れる)となっている。このとき、冷媒と室外空気とは熱源側チューブ11に沿って上下方向で相違する温度勾配を有する。すなわち、熱源側チューブ11の上方では冷媒と室外空気との温度差が下方よりも小さくなり、前記のように冷却性能が低下することになる。
一方、冷媒が逆循環をしている場合は、前記対向流とは反対に、冷媒と室内空気とは並行流(それぞれが略同一方向に流れる)となっている。このとき、冷媒と室内空気とは負荷側チューブ21に沿った上下方向で相違する温度勾配を有する。すなわち、負荷側チューブ21の下方では冷媒と室内空気との温度差が上方よりも小さくなり、前記のように冷却性能が低下することになる。
図8は、本発明の実施形態1に係る自然循環型冷却装置の逆流防止制御を実施した場合の温度変化図である。図8において、室内温度50℃、室外温度10℃で逆循環が生じている場合に、負荷側送風機25および熱源側送風機15を一定時間の間だけ運転を停止し、その後運転を再開した場合の熱源側送風機15および負荷側送風機25の回転数の変化、負荷側熱交換器2の出入口温度の過渡変化を示したものである。
まず、負荷側送風機25および熱源側送風機15を停止した場合、負荷側熱交換器2の入口温度と出口温度とが、50℃と10℃の中間の温度である30℃程度で一致することから、冷媒自然循環が動作していることがわかる。
次に、負荷側送風機25および熱源側送風機15の運転を再開すると、大きな冷媒流速が生じ、正方向の循環が生じることが負荷側熱交換器2の出口温度の方が入口温度よりも高くなる「逆転現象」から確認できる。
なお、負荷側送風機25および熱源側送風機15の停止時間は、前記逆循環要素が潜在化する時間、つまり、重力の作用によって冷媒が移動し、冷媒量分布が安定する時間(例えば、10秒以上)とすれば、十分な効果が得られる。
図9は、本発明の実施形態1に係る自然循環型冷却装置の逆流防止制御を実施した場合の温度変化図である。図9は、室内外の温度差が小さい場合であって、室内温度50℃、室外温度43℃で逆循環が生じている場合に、負荷側送風機25および熱源側送風機15を一定時間の間だけ運転を停止し、その後運転を再開した場合の熱源側送風機15および負荷側送風機25の回転数の変化、負荷側熱交換器2の出入口温度の過渡変化を示したものである。
まず、第1ステップとして、負荷側送風機25および熱源側送風機15を停止した場合、負荷側熱交換器2の入口温度と出口温度とが、47℃程度で一致することから、該停止後も、冷媒自然循環が動作していることがわかる。
次に、第2ステップとして、負荷側送風機25および熱源側送風機15の運転を再開すると、大きな冷媒流速が生じ、正方向の循環が生じることが負荷側熱交換器2の出口温度の方が入口温度よりも高くなる「逆転現象」から確認できる。
図10は、本発明の実施形態1に係る自然循環型冷却装置における制御装置を説明する模式図である。なお、図1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。図10において、自然循環型冷却装置100は、熱源側熱交換器1に供給される室外空気の温度TH1(以下「室外吸い込み空気温度TH1」と称す)を検知する室外吸い込み空気温度検知手段61(冷熱媒体温度検知手段に相当する)と、負荷側熱交換器2に供給される室内空気の温度TH2(以下「室内吸い込み空気温度TH2」と称す)を検知する室内吸い込み空気温度検知手段62(温熱媒体温度検知手段に相当する)と、負荷側熱交換器2の入口における配管温度TH3(以下「負荷側熱交換器入口温度TH3」と称す)を検知する負荷側熱交換器入口温度検知手段63と、負荷側熱交換器2の出口における配管温度TH4(以下「負荷側熱交換器出口温度TH4」と称す)を検知する負荷側熱交換器出口温度検知手段64(例えば、サーミスター)と、かかる温度検知手段が検知した検知値に基づいて、逆循環発生条件や逆循環現象の実際の発生を判定し、かつ、該判定結果に基づいて、熱源側送風機15または負荷側送風機25の一方または両方の運転制御(運転の停止と再開、または、減速と増速)をする図示しない制御手段とを有している。
図11は、本発明の実施形態1に係る自然循環型冷却装置における制御の流れを説明するフロー図である。
まず、 負荷側熱交換器出口温度TH4と負荷側熱交換器入口温度TH3との温度差である負荷側出入口温度差(TH4−TH3)が、所定の正の値(ε1)未満であるか否かを判定する。かかる条件(TH4−TH3<ε1;ε1は正の値)が満たされるとき、冷媒の逆循環が起こり得るため、該条件を「逆循環条件」と称す(STEP1)。なお、逆循環条件が満たされない場合は、所定時間が経過した後、同様な判定を繰り返す。
図12は、本発明の実施形態1に係る自然循環型冷却装置における制御の流れを説明するフロー図である。図12において、制御フローその2では、負荷側熱交換器出口温度(TH4)および負荷側熱交換器入口温度(TH3)の配管温度を検知しないで、室内吸い込み空気温度(TH2)および室外吸い込み空気温度(TH1)を検知して、その検知結果に基づいて逆循環発生条件を判定するものである。したがって、制御フローその2を実行する制御装置では、図10に示す負荷側熱交換器出口温度検知手段64および負荷側熱交換器入口温度検知手段63の設置を省略することができる。
また、冷媒として二酸化炭素(CO2)を用いたため、地球温暖化係数の小さい冷媒自然循環冷却装置を提供することができる。
(自然循環型冷却装置その2)
図14は、本発明の実施形態2に係る自然循環型冷却装置の構成を示す模式図である。図14において、自然循環型冷却装置200は、通信基地局等における、電子機器等を収納する電子機器室300の壁310に取り付けられ、熱源側熱交換器1および負荷側熱交換器2が同一の筐体5に内蔵される一体構造である。なお、実施の形態1(図1、図10)と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
筐体5は壁310に設置され、仕切り板53によって、室外部51と室内部52とに仕切られている。そして、室外部51には、熱源側熱交換器1と熱源側送風機15とが配置され、室外側の側面には、室外空気を吸い込みむための開口部である室外空気吸い込み口54と、室外に室外部51内の空気を吹き出すための開口部である室外空気吹き出し口55とが設けられている。
なお、負荷機器320である電子機器などの発熱体は、電子機器室300に密に配置されると共に、負荷機器320の内部に実装される各電子機器(まとめて「電子機器330」と総称する)の発熱量が時間的に変化するため、室内空気温度TH2に温度分布が生じやすい構造となっている。
次に、自然循環型冷却装置200の動作を説明する。室外送風機15によって室外空気吸い込み口54から吸い込みまれた室外空気は、熱源側熱交換器1において冷媒と熱交換するから、冷媒は冷却され(冷媒が放熱するの同じ)、自らは凝縮・液化する。このとき、冷媒から凝縮潜熱を受けて温度の上昇した室外空気は、室外吹き出し口55から外気へ吹き出される。
一方、熱源側熱交換器1において液化した冷媒は、液配管3を下降して負荷側熱交換器2に至る。そして、室内送風機25によって室内空気吸い込み口56から吸い込みまれた室内空気は、負荷側熱交換器2において冷媒と熱交換するから、冷媒は温められ(冷媒が吸熱するに同じ)、自らは蒸発・気化する。このとき、冷媒に蒸発潜熱を奪われて温度の低下した室内空気は、室内空気吹き出し口57から電子機器室300へ吹き出され、電子機器室300内を冷却する。
一方、負荷側熱交換器2において室内空気の保有していた温熱を受け取って気化した冷媒は、ガス配管4を上昇し、熱源側熱交換器1に再び戻るから、冷媒自然循環のサイクルが形成される。
ここで、自然循環型冷却装置200における冷媒の逆循環を防止するための制御フローについて簡単に説明する。
まず、室内吸い込み空気温度TH2と室外吸い込み空気温度TH1の検知値に基づいて室内外温度差(TH2−TH1)を求め、これに基づいて逆循環発生条件の有無を検知する。そして、逆循環発生条件が満たされていることを検知した場合、実際に逆循環が発生しているか否かに関わらず熱源側送風機15と負荷側送風機25との双方の運転を停止し、その後、一定時間が経過した後に運転を再開する。
そして、無効温度差条件および有効温度差条件を満たす場合には、臨界点条件(TH1>Tcr;Tcrは例えば31℃)を検知する。そこで、臨界点条件も満たす場合には、逆循環発生のおそれがあるとして、熱源側送風機15および負荷側送風機25を停止し、一定時間ΔT2(例えば、10秒間)が経過した後に、両送風機1、2の運転を再開する。
なお、実施の形態1と同様に、臨界点条件が満たされているか否かを室内吸い込み空気温度TH2で判断してもよい。
なお、以上の実施形態1、2の説明から明らかなように、本発明に係る自然循環型冷却装置は、熱源側熱交換器と、負荷側熱交換器と、液配管と、ガス配管と、作動流体と、熱交換量変更手段と、を有するものであって、以下のように記載できるものである。
(その他の手段1)
作動流体が、二酸化炭素(CO2)であることを特徴とするもの。
作動流体と熱交換をする冷熱媒体を熱源側熱交換器に供給する冷熱媒体供給手段と、
熱源側熱交換器の冷熱媒体の供給側における該冷熱媒体の温度を検出する冷熱媒体温度検出手段とを有し、
熱交換量変更手段が、冷熱媒体温度検出手段が検出した検出結果に基づいて、冷熱媒体供給手段を制御して冷熱媒体の供給量を変更することを特徴とするもの。
作動流体と熱交換をする冷熱媒体を熱源側熱交換器に供給する冷熱媒体供給手段と、
熱源側伝熱管の最上部近傍における温度を検出する熱源側管上部温度検出手段と、
熱源側伝熱管の最下部近傍における温度を検出する熱源側管下部温度検出手段とを有し、
熱交換量変更手段が、熱源側管上部温度検出手段の検出した検出結果と熱源側管下部温度検出手段の検出した検出結果とに基づいて、冷熱媒体供給手段を制御して冷熱媒体の供給量を変更することを特徴とするもの。
熱交換量変更手段が、冷熱媒体供給手段を所定時間停止させることによって冷熱媒体の供給量を変更することを特徴とするもの。
冷熱媒体が空気であって、冷熱媒体供給手段が送風機であることを特徴とするもの。
作動流体と熱交換をする冷熱媒体を熱源側熱交換器に供給する冷熱媒体供給手段と、
熱源側熱交換器の冷熱媒体の供給側における該冷熱媒体の温度を検出する冷熱媒体温度検出手段と、
作動流体と熱交換をする温熱媒体を負荷側熱交換器に供給する温熱媒体供給手段と、
負荷側熱交換器の温熱媒体の供給側における該温熱媒体の温度を検出する温熱媒体温度検出手段とを有し、
熱交換量変更手段が、冷熱媒体温度検出手段が検出した検出結果と温熱媒体温度検出手段が検出した検出結果とに基づいて、温熱媒体供給手段を制御して温熱媒体の供給量を変更することを特徴とするもの。
作動流体と熱交換をする温熱媒体を負荷側熱交換器に供給する温熱媒体供給手段と、
負荷側伝熱管の最上部近傍における温度を検出する負荷側管上部温度検出手段と、
負荷側伝熱管の最下部近傍における温度を検出する負荷側管下部温度検出手段とを有し、
熱交換量変更手段が、負荷側管上部温度検出手段の検出した検出結果と負荷側管下部温度検出手段の検出した検出結果とに基づいて、温熱媒体供給手段を制御して温熱媒体の供給量を変更することを特徴とするもの。
熱交換量変更手段が、温熱媒体供給手段を所定時間停止させることによって温熱媒体の供給量を変更することを特徴とするもの。
温熱媒体が空気であって、温熱媒体供給手段が送風機であることを特徴とするもの。
Claims (8)
- 高低差を設けて配置された熱源側伝熱管を具備する熱源側熱交換器と、高低差を設けて配置された負荷側伝熱管を具備し、前記熱源側熱交換器よりも低い位置に設置された負荷側熱交換器と、前記熱源側伝熱管の最下部と前記負荷側伝熱管の最下部とを連通する液配管と前記負荷側伝熱管の最上部と前記熱源側伝熱管の最上部とを連通するガス配管と、前記熱源側伝熱管および液配管および負荷側伝熱管およびガス配管に封入された作動流体と、を有する作動流体自然循環型の冷却装置における自然循環型冷却装置の制御方法であって、
前記作動流体が、前記熱源側熱交換器から前記ガス配管に向かって、または前記負荷側熱交換器から前記液配管に向かって流れようとする逆流発生条件にあるか否かを検出する逆流発生条件検出工程と、
該逆流発生条件検出工程において前記作動流体が逆流発生条件にあると判定した場合、前記熱源側熱交換器における熱交換量または前記負荷側熱交換器における熱交換量の一方または両方を変更する熱交換量変更工程と、
該熱交換量変更工程から所定時間が経過した後、前記熱交換量変更工程において変更した熱交換量を前記熱交換量変更工程の前の熱交換量に戻す熱交換量戻し工程と、を有し、
前記逆流発生条件検出工程において、前記熱源側熱交換器に供給されて前記作動流体と熱交換をする冷熱媒体の前記熱源側熱交換器の供給側における温度に基づいて、前記作動流体が逆流発生条件にあるか否かを検出することを特徴とする自然循環型冷却装置の制御方法。 - 高低差を設けて配置された熱源側伝熱管を具備する熱源側熱交換器と、高低差を設けて配置された負荷側伝熱管を具備し、前記熱源側熱交換器よりも低い位置に設置された負荷側熱交換器と、前記熱源側伝熱管の最下部と前記負荷側伝熱管の最下部とを連通する液配管と前記負荷側伝熱管の最上部と前記熱源側伝熱管の最上部とを連通するガス配管と、前記熱源側伝熱管および液配管および負荷側伝熱管およびガス配管に封入された作動流体と、を有する作動流体自然循環型の冷却装置における自然循環型冷却装置の制御方法であって、
前記作動流体が、前記熱源側熱交換器から前記ガス配管に向かって、または前記負荷側熱交換器から前記液配管に向かって流れようとする逆流発生条件にあるか否かを検出する逆流発生条件検出工程と、
該逆流発生条件検出工程において前記作動流体が逆流発生条件にあると判定した場合、前記熱源側熱交換器における熱交換量または前記負荷側熱交換器における熱交換量の一方または両方を変更する熱交換量変更工程と、
該熱交換量変更工程から所定時間が経過した後、前記熱交換量変更工程において変更した熱交換量を前記熱交換量変更工程の前の熱交換量に戻す熱交換量戻し工程と、を有し、
前記逆流発生条件検出工程において、前記熱源側伝熱管の最上部近傍における温度と、前記熱源側伝熱管の最下部近傍における温度とに基づいて、前記作動流体が逆流発生条件にあるか否かを検出することを特徴とする自然循環型冷却装置の制御方法。 - 前記冷熱媒体が空気であることを特徴とする請求項1または2記載の自然循環型冷却装置の制御方法。
- 高低差を設けて配置された熱源側伝熱管を具備する熱源側熱交換器と、高低差を設けて配置された負荷側伝熱管を具備し、前記熱源側熱交換器よりも低い位置に設置された負荷側熱交換器と、前記熱源側伝熱管の最下部と前記負荷側伝熱管の最下部とを連通する液配管と前記負荷側伝熱管の最上部と前記熱源側伝熱管の最上部とを連通するガス配管と、前記熱源側伝熱管および液配管および負荷側伝熱管およびガス配管に封入された作動流体と、を有する作動流体自然循環型の冷却装置における自然循環型冷却装置の制御方法であって、
前記作動流体が、前記熱源側熱交換器から前記ガス配管に向かって、または前記負荷側熱交換器から前記液配管に向かって流れようとする逆流発生条件にあるか否かを検出する逆流発生条件検出工程と、
該逆流発生条件検出工程において前記作動流体が逆流発生条件にあると判定した場合、前記熱源側熱交換器における熱交換量または前記負荷側熱交換器における熱交換量の一方または両方を変更する熱交換量変更工程と、
該熱交換量変更工程から所定時間が経過した後、前記熱交換量変更工程において変更した熱交換量を前記熱交換量変更工程の前の熱交換量に戻す熱交換量戻し工程と、を有し、
前記逆流発生条件検出工程において、前記熱源側熱交換器に供給されて前記作動流体と熱交換をする冷熱媒体の温度と、前記負荷側熱交換器に供給されて前記作動流体と熱交換をする温熱媒体の温度とに基づいて、前記作動流体が逆流発生条件にあるか否かを検出することを特徴とする自然循環型冷却装置の制御方法。 - 高低差を設けて配置された熱源側伝熱管を具備する熱源側熱交換器と、高低差を設けて配置された負荷側伝熱管を具備し、前記熱源側熱交換器よりも低い位置に設置された負荷側熱交換器と、前記熱源側伝熱管の最下部と前記負荷側伝熱管の最下部とを連通する液配管と前記負荷側伝熱管の最上部と前記熱源側伝熱管の最上部とを連通するガス配管と、前記熱源側伝熱管および液配管および負荷側伝熱管およびガス配管に封入された作動流体と、を有する作動流体自然循環型の冷却装置における自然循環型冷却装置の制御方法であって、
前記作動流体が、前記熱源側熱交換器から前記ガス配管に向かって、または前記負荷側熱交換器から前記液配管に向かって流れようとする逆流発生条件にあるか否かを検出する逆流発生条件検出工程と、
該逆流発生条件検出工程において前記作動流体が逆流発生条件にあると判定した場合、前記熱源側熱交換器における熱交換量または前記負荷側熱交換器における熱交換量の一方または両方を変更する熱交換量変更工程と、
該熱交換量変更工程から所定時間が経過した後、前記熱交換量変更工程において変更した熱交換量を前記熱交換量変更工程の前の熱交換量に戻す熱交換量戻し工程と、を有し、
前記逆流発生条件検出工程において、前記負荷側伝熱管の最上部近傍における温度と、前記負荷側伝熱管の最下部近傍における温度とに基づいて、前記作動流体が逆流発生条件にあるか否かを検出することを特徴とする自然循環型冷却装置の制御方法。 - 前記温熱媒体が空気であることを特徴とする請求項4または5記載の自然循環型冷却装置の制御方法。
- 前記作動流体が、二酸化炭素(CO 2 )であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の自然循環型冷却装置の制御方法。
- 高低差を設けて配置された熱源側伝熱管を具備する熱源側熱交換器と、
高低差を設けて配置された負荷側伝熱管を具備し、前記熱源側熱交換器よりも低い位置に設置された負荷側熱交換器と、
前記熱源側伝熱管の最下部と前記負荷側伝熱管の最下部とを連通する液配管と、
前記負荷側伝熱管の最上部と前記熱源側伝熱管の最上部とを連通するガス配管と、
前記熱源側伝熱管および液配管および負荷側伝熱管およびガス配管に封入された作動流体と、
前記作動流体が、前記熱源側熱交換器から前記ガス配管に向かって、または前記負荷側熱交換器から前記液配管に向かって流れようとする逆流発生条件にあることを検出した場合、前記熱源側熱交換器における熱交換量または前記負荷側熱交換器における熱交換量の一方または両方を、所定の時間の間だけ変更する熱交換量変更手段と、を有し、
前記逆流発生条件にあるか否かが、前記熱源側熱交換器に供給されて前記作動流体と熱交換をする冷熱媒体の前記熱源側熱交換器の供給側における温度に基づいて、検出されることを特徴とする自然循環型冷却装置。
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