JP4358567B2 - 有機薄膜の成膜方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機薄膜の気相法による成膜方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機半導体を用いたデバイスの進歩は目覚しいものがあり、特に、π共役系有機半導体が新たな電子デバイス材料として注目されている。特に、電界効果移動度がアモルファスシリコンに匹敵するペンタセンを用いた有機電界効果トランジスタの研究が進められている。本発明者らは、分子線蒸着法による有機薄膜の製作方法において、原子レベル平坦性を持つサファイヤ基板を用いるとペンタセン薄膜の結晶性が向上し、グレインサイズが向上することを報告した(非特許文献1)。
【0003】
【非特許文献1】
明神紀勝ら、「第63回応用物理学会学術講演会講演予講集」、24p−ZE−12(2000)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
有機膜の結晶構造やグレインサイズは成膜条件に大きく影響される。有機半導体薄膜の製造法の一つとして真空蒸着法が知られているが、従来半導体であるシリコンや化合物半導体と比べると、その製造レベルは非常に低く、大きな問題となっている。特に、超格子構造を有するデバイスでは、原子レベルで、多数のわずかに分子構造が異なる薄膜を順次形成するため、2次元的な薄膜を作製する必要がある。
【0005】
しかしながら、有機薄膜の多くは、2次元的な成長をすることなく、3次元的な成長をすることや2次元的な成長(Fran−vanderMerwe型成長)から直ちに3次元的な成長(Volmer−Weber型成長)に変化して、非常に深い結晶粒界が形成されたりするので、半導体レーザーのような高性能デバイスの作製の隘路となっていた。
【0006】
また、基板温度Tgを高温にすれば、基板上に堆積する有機膜のグレインサイズが大きくなるため、相対的に2次元的にはなるが、ある選択した成膜条件において、ある有機材料と基板の組み合わせで決定される蒸着可能な最高基板温度より、基板温度が高温になりすぎると基板にほとんど付着しないため、成膜が不可能となる。これは、基板と薄膜有機材料の界面における結合エネルギーと薄膜有機材料の各層間の結合エネルギーはヘテロエピタキシーとホモエピタキシーによる違いがあるため、基板上への第一層は付着できなくなるためである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ある選択した有機材料と基板の組み合わせで決定される蒸着可能な最高基板温度より高い温度で成膜可能な方法を見出した。
すなわち、ある選択した成膜条件において、ある選択した有機材料が基板表面に付着し有機薄膜として成長可能な最高基板温度をToとするとき、前記選択した成膜条件と同一条件で、まず、Toより低い基板温度で前記有機材料を少なくとも1分子層堆積させる。この後、基板温度をToを超える温度に上昇させて、成膜を再開して主要層を堆積する。
【0008】
これによって、有機分子同士の結合エネルギーが大きいことに相応した熱エネルギーが与えられ、表面に吸着した有機分子が自在に動き回ることによって、これまでの3次元的な成長様式ではなく、より2次元的な結晶成長が可能となり、堆積した有機膜のグレインサイズが拡大する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の有機薄膜を基板に気相から堆積させる製造方法において、気相から堆積させる手段としては、真空蒸着法、分子線蒸着法及びレーザーアブレーション法等がある。
【0010】
基板としては、サファイヤ基板、ガラス基板、及び石英基板のような、有機材料が配向しやすい基板であれば、何でもよい。基板表面は可能な限り平坦な基板を使用するのが望ましいが、基板の表面荒さが有機材料の分子長程度以下、例えば、ペンタセンの場合15Å程度の基板であれば本発明の手法が適用可能である。また基板の上にデバイス構造を形成するのに必要な他の金属や絶縁体の薄膜を積層した基板に、成膜を行う場合でも、同様の面粗さが局所的に満たされていれば、適用可能である。
【0011】
本発明の方法が対象とする有機材料のアセン系芳香族及びその誘導体に属する有機材料は、分子量の違いなどに起因する最適温度の変化が大きいものであるが、膜の成長様式は同じであると考えられる。
【0012】
ある選択した有機材料が基板表面に付着し有機薄膜として成長可能な最高基板温度Toは、次のようにして定める。ある選択した成膜条件を予め決定し、その条件において、ある目的の膜厚の膜を成膜する場合に基板温度を変化させ、前記有機材料を基板表面に堆積させる。そのときに、前記有機材料が時間経過に伴って成長が進行する最高の温度をToとする。したがって、Toを超える温度では、前記有機材料は時間経過に伴って成長が進行しない。成長の進行の確認はAFM(原子間力顕微鏡)を用いて行う。
【0013】
例えば、π共役系有機材料ペンタセンの場合、酸化アルミニウム基板(100)との組み合わせで、薄膜の堆積可能な最高基板温度を求めると、100℃では有機薄膜としての成長が認められ成膜可能であるが、110℃では有機薄膜としての成長が認められない、すなわち、時間経過に伴って成長が進行しないため成膜不可能であると判断される。これは、成膜開始から1時間経過したとき、基板上の平均の膜厚が1分子を超えることがないことで判断される。これを100〜110℃の中間の温度で繰り返し行うことにより、堆積が認められる最高温度To=105℃と求めることができる。この温度Toは、有機材料、成膜装置内の真空状態、基板材料、基板表面処理、成膜速度、原料−基板間距離などの成膜装置固有の条件などによって、変更を受けるが、同一成膜条件下では、Toは一定の値をとる。
【0014】
この最高基板温度Toが決まれば、そのToより低い温度で先ず少なくとも前記有機材料の1分子層以上を堆積させる。Toより低い温度は、基板を加熱、冷却する必要がない室温でもよいが、少し温度を上げることによりマイグレーションを促進させる効果もあるが、温度が高すぎると成長速度が低下するため、50℃程度まで加熱すると好ましい。
この後に、基板温度を上昇させ、次の主要層の前記有機材料の分子層を堆積開始するまでに堆積済みの基板から少なくとも1分子層目の分子層の蒸発を防ぐ目的で分子層は10分子層程度まで多くしてもよい。このとき堆積させる分子層の厚さは、蒸着源からの前記有機材料の供給量との組み合わせで決まる。
【0015】
基板温度を低温として堆積した前記有機材料の分子層はバッファー層としての働きをし、このバッファー層を設けることによって、To温度を超えて、基板温度を、To+20℃程度以上に高めても成膜が可能となる。よって、このバッファー層を形成した後、同じ装置内で基板温度をTo温度を超える温度に上昇させたのち、バッファー層と同じ有機材料を主要層として堆積させる。To温度を超える温度で堆積させると主要層に深い結晶粒界は形成されず、2次元的な結晶成長が可能となるため有機膜結晶のグレインサイズが拡大する。
【0016】
【実施例】
実施例1
サファイヤ基板を1000℃でアニール処理することによって原子レベルで平坦なステップテラス構造を有する表面とした。この基板を5×10-8Torrより高い真空度にした分子線蒸着装置内に設置し、K−cell温度を235℃とし、蒸着源としてペンタセン薄膜を用いた。この成膜条件ではToは100℃と決定される。基板温度を25℃として、7分間蒸着することによりペンタセン1分子層からなる薄膜を堆積させた。その後、直ちに基板温度をToより十分大きい150℃に上げて10分間蒸着してペンタセン薄膜の2分子層目以降を主要層として堆積させペンタセンを計3分子層堆積させた。
【0017】
図1は、ペンタセンを計3分子堆積させた状態の薄膜表面を観察したAFM像を示す。このように基板温度を低温にして堆積したバッファー層を用いることで、ペンタセン薄膜を基板温度を高温にして堆積が可能となり、グレインサイズが拡大することが確認された。
【0018】
比較例1
実施例1と同様にペンタセンを堆積した。ただし、バッファー層を堆積しないで、基板温度を100℃で行った。90分堆積した。膜厚は約1000Åであった。図2は、堆積させた状態の薄膜表面を観察したAFM像を示す。非常に深い結晶粒界が存在しデバイス化が困難であった。
【0019】
比較例2
実施例1と同様にペンタセンを堆積した。ただし、バッファー層を堆積しないで、基板温度を150℃で行った。この場合、AFMによって基板を観察したが図3に示すように、堆積が認められなかった。
【0020】
【発明の効果】
本発明の方法によって、有機薄膜の成膜において、基板温度を従来の制約を超えて高くすることができ、これまでの3次元的な成長様式ではなく、より2次元的な結晶成長が可能となり、グレインサイズを拡大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で堆積したペンタセン薄膜表面のAFM像を示す図面代用写真である。
【図2】比較例1で堆積したペンタセン薄膜表面のAFM像を示す図面代用写真である。
【図3】比較例2で堆積したペンタセン薄膜表面のAFM像を示す図面代用写真である。
Claims (3)
- アセン系芳香族及びその誘導体に属する有機材料を基板、又はデバイス構造を形成するのに必要な他の薄膜を積層した基板に気相から堆積させる成膜方法において、ある選択した成膜条件において、前記有機材料が基板表面に付着し有機薄膜として成長可能な最高基板温度をToとしたとき、前記選択した成膜条件と同じ条件で、前記有機材料からなる1分子層以上10分子層以下のバッファー層をToより低い温度で堆積した後、基板温度をToを超える温度に上昇させた後、前記バッファー層と同じ前記有機材料を主要層として堆積させることを特徴とする有機薄膜の成膜方法。
- Toより低い温度が0℃以上105℃未満の範囲であることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜の成膜方法。
- Toを超える温度がTo+20℃以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の有機薄膜の成膜方法。
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