JP4357908B2 - 印刷機の運転時に見当ずれを補償する方法 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の前提項に記載したような、印刷機の運転時に見当ずれを補償する方法に関する。

各色分解像の互いの位置が正確であることが印刷ユニットの印刷品質を良好にするのに重要な必要条件である。この位置の正確さは、紙渡しにおける見当（Ubergabepasser）、または見当ずれによって特徴付けられる。紙渡しにおける見当はできるだけ一定に保つ必要があり、すなわち見当ずれは小さくする必要がある。この見当ずれは、印刷中断の後、また特にゴムブランケットを洗浄した後に深刻なものになることがある。これは、ゴムブランケットが何度も洗浄される場合、例えば埃がたつ紙を用いる場合や、非常に長い印刷ジョブの場合に特に深刻である。印刷中断後の見当ずれは機械の型式と印刷ユニットの数しだいで１００分の数mmになることがある。印刷工程を再開した後、見当ずれが中断前の本来の一定の値に再び戻るまでに数百枚の印刷用枚葉紙分がかかることがある。すなわち、印刷工が正常な枚葉紙を得るまでに、非常に長い時間がかかる。この際、見当ずれの原因は、特にゴムブランケットにおける刷りの環境が変化することにある。

上述のような方法は、ハイデルベルガードルツクマシーネン（Heidelberger Druckmashinen）社の、オートレジスタＣＰＣ４２（Autoregister ＣＰＣ４２）という名称の自動見当測定および制御装置において知られている。この装置の場合、各印刷ユニットで、各色分解像の、枚葉紙上での位置を示す測定マークが枚葉紙周縁部に一緒に印刷される。その後、見当ずれは、一緒に印刷されたこれらの測定マークに基づいて個々の色の像相互の見当ずれを測定し、これから、必要な見当修正のための調節指令を算出し、これを調節に用いることによって調整される。

枚葉紙輪転印刷機において、印刷速度が変化する場合、紙渡しにおける見当を制御する他の改良されたこのような方法が、特許文献1から知られている。
独国特許公開第１０１３２２６６号明細書

しかし、これら２つの補償方法は、調節技術上および機械技術上、手間のかかるものであり、さらに、印刷中断後の見当ずれは、ずれを測定システムによって検出し、制御システムに転送した後に始めて調節できる。

さらに、見当ずれをそのつど後から手動で修正するのが一般的な従来技術である。これは、各印刷中断の後、特に洗浄後に新たに実施する必要があるのはもちろんであり、自動化はされていない。

本発明の目的は、印刷中断後、特にゴムブランケット胴を洗浄した後の見当ずれを低減する簡単な方法を提供することにある。

上述の目的は、本発明により、請求項１の特徴を有する方法によって達成される。特に、測定フェーズにおいて、印刷中断後の見当ずれの推移が、複数の枚葉紙にわたって測定され、この見当ずれの推移は、記憶ユニットに見当修正値として記憶され、その後、印刷工程において、この見当修正値は、印刷中断後の再始動時に、印刷機において見当ずれを補償するのに用いられる。

印刷中断がゴムブランケットの洗浄を伴うか否かに依存して、明らかに異なる見当ずれが生じることを考慮して、異なる見当修正値が用いられる。この場合、本発明による、補償の制御は、高速で、かつ簡単である。

本発明の補償方法をより正確なものにするために、測定フェーズにおいて取得したデータ、または様々な影響量のばらつきを、見当修正値の生成時に考慮することができる。したがって、様々な運転温度、紙の等級、インキの種類、湿し水、洗浄剤、印刷画像、および印刷速度に対する、見当修正値の様々なセットを記憶ユニットに記憶することができ、また編集可能とすることができる。

見当ずれ（ＰＤ）の補償を、印刷中断後に最初に印刷される枚葉紙に対して開始できれば、印刷工が、時間遅れを伴うことなく最初の正常な枚葉紙を得ることができる。

次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。

図１に、給紙装置２、排紙装置３、４つの印刷ユニット４，５，６，７、および駆動モータ８を有する４色刷り枚葉紙オフセット印刷機１が示されている。４つ全ての印刷ユニット４，５，６，７の歯車列１０と、給紙装置２および排紙装置３が駆動モータ８によってベルト９を用いて駆動される。印刷ユニット４，５，６，７は、公知の手法で協働する版胴２２ａ，２３ａ，２４ａ，２５ａと、ゴムブランケット胴２２ｂ，２３ｂ，２４ｂ，２５ｂと、圧胴２２ｃ，２３ｃ，２４ｃ，２５ｃを有している。印刷速度が、特に調整のために、検出器１１によって計測され、駆動モータ８に接続されたモータ制御器１２に送られる。印刷機１は制御装置１３と記憶ユニット１５を備えている。各印刷ユニット４，５，６，７において、版胴２２ａ，２３ａ，２４ａ，２５ａのところで、制御装置１３によって見当調節用モータ１８，１９，２０，２１を介して、周方向または横方向に、制御された見当修正を行うことができる。

図２に、第１の印刷ユニット４に対する、個々の印刷ユニット５，６，７それぞれの見当ずれ（ＰＤ）ＤＷ２／１、ＤＷ３／１、およびＤＷ４／１の推移が原理的に示されている。見当ずれ（ＰＤ）は、第２から第４の印刷ユニット５、６、７毎に大きくなっていることがわかる。紙渡しにおける見当は最初は一定であり、すなわち見当ずれは生じていない。その後、時点ｔ_Ｕにおいて、印刷工程が、ゴムブランケット胴２２ｂ，２３ｂ，２４ｂ，２５ｂの洗浄工程によって中断されている。この洗浄工程によって、枚葉紙をゴムブランケットから引き離す力が変化する。さらに、駆動モータ８を再始動する際、印刷ユニット４，５，６，７間でトルクにずれが生じ、これによって、図示したような見当ずれＰＤが生じる。紙渡しにおける見当は、数百枚の枚葉紙の後で初めて部分的に再びその本来の一定の初期値になる。したがって、この間に印刷された枚葉紙には多少の大きさの見当誤差がある。

したがって、図３のように、各印刷ユニット４，５，６，７についての測定フェーズ中に、第１の印刷ユニット４の、後続の印刷ユニット５，６，７への紙渡しにおける見当が、測定機械によって、または視覚的に測定される。この場合、推移の、いくつかの参照値での、例えば枚葉紙が３０、５０、１００枚などの際の見当ずれＰＤが、最初の印刷ユニット４に対して計測され、枚葉紙上の全体画像の位置を修正する必要があれば、さらに参照用ユニット、ここでは最初の印刷ユニット４の色分解像の、枚葉紙外縁に対する位置も測定することができる。個々の各印刷ユニット４，５，６，７について、見当ずれ（ＰＤ）の複数の推移が測定フェーズ中にそれぞれ計測され、ばらつきのある測定データから平均値をとった見当ずれが測定される。さらに見当ずれのデータは制御装置１３に送られる。制御装置１３は、入力データから、各印刷ユニット４，５，６，７についての見当修正値Ｋ_ｉを求める。

印刷運転時、見当修正値Ｋ_ｉは、印刷中断後、調節のために、個々の印刷ユニット４，５，６，７の見当調節用モータ１８，１９，２０，２１を介して、該当する版胴２２ａ，２３ａ，２４ａ，２５ａを調節するのに用いられる。したがって、周方向の見当用の、また場合によっては該当する印刷ユニット４，５，６，７の側部および対角線の見当用の然るべき補償が印刷中断後の運転再開時に中央の制御装置１３によって行われ、または、見当の調節が、印刷フェーズにおいて、再始動後、紙渡しにおける見当の本来の一定の最終値に達するまで、一連の枚葉紙にわたって連続して変化させられる。

既知の、または、測定フェーズ中に記録された参照点間の、見当ずれの推移は、様々な方法で近似することができる。見当誤差の、枚葉紙数にわたる推移は、通常、双曲線関数の形状を有している。基準ユニットとしては第１の印刷ユニット４を用いるのが好適であるが、他の各印刷ユニット５，６，７とすることもできる。補償は、例えば特性曲線の形態で制御装置１３に編集可能に記憶することができる。

印刷中断後に見当修正値Ｋ_ｉを用いたにもかかわらず印刷運転中に見当ずれＰＤが発生した場合、これは適当な検出器(図示せず)によって自動的に計測でき、また、これから、実際の見当修正値Ｋ_ｉ’を求めることができる。その後、これらの修正された見当修正値Ｋ_ｉ’は、印刷工程の、次の中断の際に、残っている見当ずれＰＤを補償するのに用いられる。

印刷中断後の見当の推移は、影響量である印刷速度、紙、ゴムブランケット、インキ、印刷画像(面被覆)、ゴムブランケットの洗浄剤、温度、および中断時間に依存させて取得することもできる。したがって、この補償は、特定のジョブや状況に合わせることがきる。本実施形態の方法は、ゴムブランケットの洗浄を伴わない印刷中断に対しても用いることができるが、この場合には、紙渡しにおける見当の変化はずっと小さくなる。

枚葉紙オフセット印刷機の模式的な原理図である。 印刷工程中断後の、様々な印刷ユニットの見当ずれの推移を模式的に示すグラフである。 測定フェーズにおいて、選択された印刷ユニットの見当ずれを繰り返し取得したグラフである。

符号の説明

１ 印刷機
２ 給紙装置
３ 排紙装置
４，５，６，７ 印刷ユニット
８ 駆動モータ
９ ベルト
１０ 歯車列
１１ 検出器
１２ モータ制御器
１３ 制御装置
１５ 記憶ユニット
１８，１９，２０，２１ 見当調節用モータ
２２a，２３a，２４a，２５a 版胴
２２b，２３b，２４b，２５b ゴムブランケット胴
２２c，２３c，２４c，２５c 圧胴

Claims (8)

1. 発生する見当ずれを個々の印刷ユニットにて見当修正によって抑制する、印刷機の運転時に見当ずれを補償する方法において、
   測定フェーズ中に、印刷工程中断後の前記見当ずれ（ＰＤ）の推移を、複数の枚葉紙にわたって測定し、前記見当ずれの推移を記憶ユニット（１５）に見当修正値（Ｋ_i）として記憶し、印刷中断後に印刷工程を再開する際、前記見当修正値を前記印刷機にて前記見当ずれを補償するのに用いることを特徴とする、見当ずれを補償する方法。
2. 前記測定フェーズ中に、前記各印刷ユニットについて前記見当ずれ（ＰＤ）の、それぞれ複数の推移を測定し、ばらついたデータから平均値をとった見当修正値を生成する、請求項１に記載の、見当ずれを補償する方法。
3. 前記見当ずれ（ＰＤ）の推移を参照点式に記録する、請求項１または２に記載の、見当ずれを補償する方法。
4. 前記見当ずれの推移を双曲線関数によって近似し、見当ずれの値を複数の参照値間で相応の内挿法または外挿法によって算出する、請求項３に記載の、見当ずれを補償する方法。
5. 前記見当修正値（Ｋ_i）を、印刷工程における条件、すなわち、温度、印刷画像、洗浄剤、紙の等級、および／またはインキの種類に依存して、合わせて記憶する、請求項１から４のいずれか１項に記載の、見当ずれを補償する方法。
6. 前記見当ずれ（ＰＤ）の補償を、印刷中断後に最初に印刷する枚葉紙に対して開始する、請求項１から５のいずれか１項に記載の、見当ずれを補償する方法。
7. 印刷中断後に前記見当修正値（Ｋ_i）を用いたにもかかわらず、発生する前記見当ずれ（ＰＤ）が計測され、これから、印刷工程の、次の中断時に、残りの前記見当ずれ（ＰＤ）を補償するのに用いる、実際の見当修正値（Ｋ_i’）を算出する、請求項１から６のいずれか１項に記載の、見当ずれを補償する方法。
8. 前記中断の種類に応じて、すなわちゴムブランケットの洗浄を伴うかどうかに応じて、または前記中断時間の長さに応じて、異なる見当修正値（Ｋ_i）を用いる、請求項１から７のいずれか１項に記載の、見当ずれを補償する方法。

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