JP4356832B6 - 硬質表面の洗浄方法 - Google Patents

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Description

本発明は、部品加工時に使用する切削油・圧延油等の加工油、防錆油、潤滑油、切削金属粉、光学レンズに付着した固定剤(ワックス・ピッチ等)、電子部品に付着したフラックス、液晶パネルに付着した液晶等の汚れの付着した金属部品、光学レンズ、ガラス、電子部品、精密部品等の硬質表面の洗浄方法に関する。
一般に、部品加工時に付着した切削油等の加工油、光学レンズに付着した固定剤、及び電子部品に付着したフラックス、液晶パネルに付着した液晶等の洗浄には、従来、塩素・フロン系溶剤、代替フロン系溶剤、炭化水素等の非ハロゲン系溶剤、又は界面活性剤を含有した水系・準水系洗浄剤が使用されている。
塩素・フロン系溶剤については、オゾン層を破壊するため使用が制限されている。代替フロンについては洗浄性能に課題が多い。又炭化水素系溶剤は臭気の問題や引火性を示すため、安全上大きな課題がある。
一方、上記のような問題点の少ない水系・準水系洗浄剤については、各種界面活性剤等の利用により、高い洗浄性を有する洗浄剤製品が開発されている(特許文献1参照)。しかしながら、この水系・準水系洗浄剤は、基本的には水を用いてすすぎ(以後「リンス」という。)を行うため、リンス廃液・排水による環境負荷が最大の課題である。
一般的な水系・準水系の洗浄プロセスでは、洗浄槽で洗浄された被洗物に付着した洗浄剤及び残存する僅かな汚垢を除去するために水が用いられる。このリンス廃液には、これらの洗浄剤成分が含まれるため、河川等に放流するにはこれらの成分を除去する必要がある。この水系・準水系洗浄剤を使用する際の最大の問題点は、このリンス廃液・排水の処理である。
水系・準水系洗浄剤使用時に発生するリンス廃液・排水より、これらの洗浄剤成分等を除去し、清浄な水として放流・再利用する方法として、従来より、沈降分離法(代表例:凝集沈殿方法等)、膜処理法(代表例:UF、RO膜処理方法等)、生物分解法(代表例:活性汚泥方法等)、吸着法(代表例:活性炭吸着方法、泡沫分離方法等)、浮上分離法(代表例:加圧浮上方法、抽出方法等)等が用いられてきている。
沈降分離法については、盛んに研究がなされ、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ硫酸第二鉄等の無機凝集剤、ポリアクリルアミド等の高分子凝集剤等の優れた凝集剤が開発されてきている。
しかしながら、この沈降分離方法は、凝集薬剤の添加方法が煩雑、凝集物がフロック状に分離するため分離処理に時間がかかる、設備コストが嵩む等の課題を抱えている。
上記膜処理方法は、特にRO膜処理は除去率が高く効果的であるが、設備、ランニングコスト等に課題が多く、また、生物分解法も一般的に用いられるが、分解速度、設備規模、ランニングコスト等に難点がある。
更に、活性炭吸着法も効果的ではあるが、ランニングコスト、運用の煩雑さより限られた用途でしか適用されていない。また、泡沫分離方法は、界面活性剤の発泡性という特長を上手く活用した技術ではあるが設備規模・コスト、対象除去物が界面活性物質に限定される等の課題がある。
更にまた、浮上分離方法として、加圧浮上については比較的設備がシンプルではあるが除去率に難点がある。
また、抽出方法としては、排水に抽出物質を添加し分離させる方法として、フェノールによる抽出(特許文献2参照)、アミン系溶剤による抽出(特許文献3参照)、水不溶アニオン油による抽出(特許文献4参照)、ロウ状合成油による抽出(特許文献5参照)、C8以上の高級アルコールによる抽出(特許文献6参照)が知られている。
しかしながら、これらの文献等に記載される抽出法については、比較的高価な抽出物質をあえて排水に添加する必要が有り、ランニングコスト上問題が多い点に課題がある。
一方、非イオン界面活性剤の曇点を利用しリンス排液より洗浄剤等を簡便に除去する方法(特許文献7参照)も知られているが、この方法は曇点を利用し分離できる洗浄剤は洗浄剤そのものの水溶性が低く洗浄剤の残留、特に閉じ穴、隙間等に保持された洗浄剤がリンスできず、満足な洗浄品質を得ることができない点に課題があるものである。
特開平7−150192号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭48−94257号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭51−62558号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭52−69号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭55−94678号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平7−195065号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平4−122480号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、優れた基本洗浄能力(汚垢洗浄性、洗浄剤のリンス性)を備え、リンス廃液処理に多大な設備や処理費用を必要とせず、かつ、環境負荷(排水負荷、産廃量)を低減可能とする硬質表面の洗浄方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討した結果、水系洗浄剤使用時の、洗浄性・リンス性という基本性能とリンス排液処理という環境問題を一挙に解決すべく、鋭意研究を行った結果、特定の硬質表面の洗浄手段、及びそれに用いる洗浄剤組成物を組み合わせることにより、洗浄性・リンス性が共に良好で、かつ、リンス廃液から簡易な装置で、迅速で、かつ、低コストで洗浄剤成分等を除去でき、環境負荷を低減することができる上記目的の硬質表面の洗浄方法が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔5〕に存する。
〔1〕 アニオン界面活性剤と水難溶性有機溶剤を含む洗浄剤組成物を用いて硬質表面を有する被洗浄物を洗浄する(a)洗浄槽、次いで、被洗浄物を水でリンスする(b)溜リ ンス槽、さらに(b)溜リンス槽から排出される溜リンス廃液に多価金属塩を添加して混合・静置し、水難溶性有機溶剤を含む液体相と水相の二相に分離する(c)分離槽を含む洗浄プロセスによる硬質表面の洗浄方法であって、
該洗浄剤組成物に含まれるアニオン界面活性剤が下記(1)のアニオン界面活性剤であり 、水難溶性有機溶剤が下記(2)の水難溶性有機溶剤である洗浄剤組成物であり、
(c)分離槽における水相と水難溶性有機溶剤相の体積比率を、水相/水難溶性有機溶剤 相=80/20〜5/95とすることでW/O型乳化系を経由させた後に水難溶性有機溶 剤を含む液体相と水相の二相に分離して、水を排出することを特徴とする硬質表面の洗浄 方法。
(1) ジアルキルスルホコハク酸塩、パラフィンスルホン酸塩の少なくともいずれかで あるアニオン界面活性剤。
(2) 炭化水素系、エステル系、エーテル系、グリコールエーテル系、ケトン系から選 ばれる少なくとも1つの水難溶性有機溶剤。
〔2〕 水難溶性有機溶剤が、(3)少なくとも下記一般式(I)で示される水難溶性グ リコールエーテル系溶剤を含む上記〔1〕記載の硬質表面の洗浄方法。
Figure 0004356832
〔3〕 更に、洗浄剤組成物が(4)水を5〜70質量%含む上記〔1〕又は〔2〕記載 の硬質表面の洗浄方法。
〔4〕 洗浄剤組成物の組成が下記組成である上記〔2〕記載の硬質表面の洗浄方法。
(1)アニオン界面活性剤 :5〜30質量%
(2)水難溶性有機溶剤 :0〜70質量%
(3)水難溶性グリコールエーテル :10〜50質量%
(4)水 :5〜60質量%
〔5〕 洗浄剤組成物が、該洗浄剤組成物を水で10倍希釈した液に塩化カルシウム2000ppmを添加して混合後、25℃、24時間静置した際、水相と水難溶性有機溶剤を含む液体相の二相に分離する洗浄剤組成物である上記〔1〕乃至〔4〕の何れか一つに記 載の硬質表面の洗浄方法。
本発明によれば、優れた基本洗浄能力(汚垢洗浄性、洗浄剤のリンス性)を備え、リンス廃液処理に多大な設備や処理費用を必要とせず、且つ環境負荷(排水負荷、産廃量)を低減可能とする硬質表面の洗浄方法が提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の硬質表面の洗浄方法は、アニオン界面活性剤と水難溶性有機溶剤を含む洗浄剤組成物を用いて硬質表面を有する被洗浄物を洗浄し、次いで、被洗浄物を水でリンスした後、該リンス廃液に多価金属塩を添加して混合・静置し、水難溶性有機溶剤を含む液体相と水相の二相に分離して、水相を排出する洗浄後処理工程を含むことを特徴とするものである。
図1は、本発明の硬質表面の洗浄方法の実施形態の一例を示すプロセス図である。
本実施形態の硬質表面の洗浄方法は、図1に示すように、(a)洗浄槽にアニオン界面活性剤と水難溶性有機溶剤を含む洗浄剤組成物を入れ、該洗浄槽に硬質表面を有する被洗浄物(被洗物)を洗浄する工程、(b)洗浄直後に予備リンス槽(以降、「溜リンス槽」と言う)を設け、少量の水で効率的に洗浄剤成分をリンス、除去する工程と、(c)溜リンス廃液を定期的、又は連続的に清浄な水に交換し、排出された溜リンス廃液に多価金属塩を加え、洗浄剤成分を分離する工程とを含む構成であり、(d)のオーバーフローリンス槽及び(c)の分離槽より排水されるリンス排水負荷を従来の1/10〜1/100に低減可能な洗浄方法であり、準水系・水系洗浄剤の環境負荷を低減するものである。
本発明方法は、まず、アニオン界面活性剤と水難溶性有機溶剤を含む洗浄剤組成物を用いて硬質表面を有する被洗浄物を洗浄する。
本発明方法に用いる洗浄剤組成物としては、下記(1)と、(2)及び/又は(3)とを含むものであることが必要である。
(1) アニオン界面活性剤のアニオンに対する対イオンが多価金属イオンのとき、該アニオン界面活性剤多価金属塩が油溶性又は油分散性となるアニオン界面活性剤。
(2) 炭化水素系、エステル系、エーテル系、ケトン系から選ばれる少なくとも1つの水難溶性有機溶剤。
(3) 下記一般式(I)で示される水難溶性グリコールエーテル系溶剤。
Figure 0004356832
用いることができる上記(1)のアニオン界面活性剤としては、アニオン界面活性剤のアニオンに対する対イオンが多価金属イオンのとき、該アニオン界面活性剤多価金属塩が油溶性又は油分散性となるものであれば、特に限定されず、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、パラフィンスルホン酸塩等が挙げられる。
好ましいアニオン性界面活性剤としては、多価金属イオンと多価金属塩を形成して良好な液性を示すジアルキルスルホコハク酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤が好適である。
用いることができる上記(2)の水難溶性有機溶剤としては、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤から選ばれる少なくとも1つ(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
好ましくは、25℃における水への溶解度が3質量%(以下、質量%を「%」と略記する)以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である水難溶性有機溶剤であることが望ましい。
具体的な炭化水素系容剤としては、例えば、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、ドデセン、テトラデセン、イソパラフィンが挙げられる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸ベンジル、2−エチルヘキシルアセテート、ステアリン酸イソプロピルエステル、マロン酸ジエチル等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、例えば、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル系溶剤が挙げられる。ケトン系溶剤としては、例えば、アセトフェノンが挙げられる。
用いることができる上記(3)の水難溶性グリコールエーテル溶剤は、上記一般式(I)で示されるものが挙げられる。なお、該水難溶性グリコールエーテル溶剤も水難溶性有機溶剤の一種である。
好ましくは、25℃における水への溶解度が5%以下、更に好ましくは、2%以下、特に好ましくは、1%以下である水難溶性グリコールエーテルであることが望ましい。
具体的には、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルが挙げられる。
本発明の洗浄剤組成物には、上記(1)のアニオン界面活性剤と、(2)の水難溶性有機溶剤及び/又は(3)の水難溶性グリコールエーテル溶剤とを含有するものであるが、更に、極性汚垢の洗浄性向上、引火性低減のために水(精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等)を加えることも可能である。好ましくは、洗浄剤組成物全量に対して、5〜70%、更に好ましくは、5〜60%、特に好ましくは、10〜40%の水を含有することが望ましい。
本発明に用いる洗浄剤組成物としては、上述のアニオン界面活性剤、水難溶性有機溶剤、水難溶性グリコールエーテル、水を任意の比率で含有することができるが、洗浄性及び相分離性を考慮するとそれぞれ、
(1)アニオン界面活性剤 :3〜40%
(2)水難溶性有機溶剤 :0〜80%
(3)水難溶性グリコールエーテル :0〜80%
(4)水 :0〜60%
含有することが好ましい〔但し、上記(2)、(3)のどちらか一方は0%ではない。〕。
更に、分離性を高めるためそれぞれ、
(1)アニオン界面活性剤 :5〜30%
(2)水難溶性有機溶剤 :0〜70%
(3)水難溶性グリコールエーテル :10〜50%
(4)水 :5〜60%
含有することが更に好ましい。
また、本発明の洗浄剤組成物は、均一透明に一体化していることが安定した洗浄性・リンス性を得るためにより好ましい。更に、本発明の効果発現に影響を及ぼさない範囲内で、非イオン界面活性剤、有機キレート剤、防腐剤、アルカノールアミン等の有機アルカリ剤、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ剤を含有することができる。
本発明の洗浄対象は、硬質表面に付着している各種汚垢であり、例えば、金属加工部品、光学加工部品、ガラス版加工部品、樹脂加工品、半導体部品等に付着している各種汚垢である。
金属加工部品としては、電子機器等に用いられる、ビデオヘッド、ハードディスク駆動部品、複写機駆動部品、CRTの電子銃部品等の加工時に使用する加工油等が本発明の洗浄対象となる。
また、光学部品としては、カメラレンズ、CD、CD−R、DVDのピックアップレンズ、眼鏡レンズ、プリズム等の加工時に付着する固定剤(ピッチ、ワックス)、研磨剤等が本発明の洗浄対象となる。
更に、ガラス版加工部品としては液晶パネル、PDPパネル、HDDガラス基板等の加工時に付着する液晶、研磨剤、異物等が本発明の洗浄対象となる。また、樹脂加工品としては、樹脂レンズ、電子機器の駆動部に使用する歯車、治具等に付着しているレンズ切りくず、潤滑油等が本発明の洗浄対象となる。
本発明では、硬質表面を有する被洗浄物を上記構成となる洗浄剤組成物を用いて洗浄(洗浄工程)後、図1の(b)に示すように、洗浄直後に溜リンス槽を設け、少量の水で効率的に洗浄剤成分をリンス、除去し、溜リンス廃液を定期的、又は連続的に清浄な水に交換し、排出された溜リンス廃液に多価金属塩を加え、洗浄剤成分を分離するものである。
本実施形態では、(d)のオーバーフローリンス槽の前に、溜リンス槽を設置し、溜リンス槽で大部分の洗浄剤成分を除去し、オーバーフローリンス槽排水中への洗浄剤成分の持ち出しを大幅に削減するものである。
本発明で使用する上記多価金属塩としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄)、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等が適用可能である。なお、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアミジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート系のカチオン系高分子凝集剤を適宜併用することも可能である。
図1の(c)に示す溜リンス廃液を分離する方法としては、単純に多価金属塩を数十〜数千ppm加え攪拌・静置するだけでも水難溶性有機溶剤を含む液体相(この相には、水難溶性グリコールエーテル系溶剤、アニオン界面活性剤の多価金属塩、汚垢成分をも含む)と水相の液状に分離可能である。この場合、通常、O/W型乳化系となっている。好ましくは、水難溶性有機溶剤相を蓄積しておき、該水難溶性溶剤相の体積比率を高め、結果として水相/水難溶性有機溶剤相=80/20〜5/95、更に好ましくは、70/30〜50/50となるように調整し、W/O型乳化系を経由して分離を行うと、分離速度・分離精度が高まり実用上最も好ましい。
以上、バッチ式リンス廃液処理について具体的に本発明の硬質表面の洗浄方法について説明したが、図1に示すオーバーフローリンス排水の一部を連続的に溜リンス液に供給し、洗浄装置を連続稼働させることも可能である。
なお、洗浄剤組成物を水で10倍希釈後、塩化カルシウム2000ppmを添加し、混合後、25℃にて、24時間静置して、水相と水難溶性有機溶剤を含む液体相のニ相に分離するか否かを指標として、該洗浄剤組成物が本プロセスに適合するか否かを見極めることもできる。
本発明の硬質表面の洗浄方法は、比較的洗浄剤成分の濃い溜リンス廃液の分離に好適となるものである。すなわち、溜リンス槽の無い従来用いられている一般的な洗浄プロセスでは、洗浄槽から持ち出された洗浄剤組成物を大量の水で希釈しつつリンスを行うものであるので、その結果リンス排水が多量に発生するため、廃水処理設備も大型になる。しかし、本発明のプロセスの溜リンス水は1回/日程度清浄な水に交換するだけでよく、オーバーフローリンス槽及び分離槽から排出されるリンス排水に持ち込まれる洗浄剤成分も従来方式の1/10〜1/100に低減する効果があり、リンス排水負荷を大幅に低減できる。また、処理するリンス廃液が少量のため(溜リンス槽の容量:200kg程度)、分離プロセスも小型になり設備的な投資も抑制可能である。
なお、本発明方法は、上記図1のプロセスのみに限定されるものではなく、スプレー洗浄、ブラシ洗浄等にも適用可能である。また、溜リンス廃液の交換もバッチ式のみでなく、連続交換方式も可能である。
このように構成される本発明では、アニオン界面活性剤と水難溶性有機溶剤を含む洗浄剤組成物を用いて硬質表面を有する被洗浄物を洗浄し、次いで、被洗浄物を水でリンスした後、該リンス廃液に多価金属塩を添加して混合・静置し、水難溶性有機溶剤を含む液体相と水相の二相に分離して、水相を排出する洗浄後処理工程を含む構成となるので、優れた基本洗浄能力(汚垢洗浄性、洗浄剤のリンス性)を備え、リンス廃液処理に多大な設備や処理費用を必要とせず、且つ環境負荷(排水負荷、産廃量)を低減可能となる硬質表面の洗浄方法となるものである。
また、本発明方法に用いる洗浄剤組成物は、従来から用いられているアニオン界面活性剤、溶剤を含有する洗浄剤組成物に較べて、液体状態で相分離するため分離が容易であり、分離速度が速く容易に分離可能である。また、水難溶性有機溶剤の分離抽出率が高く、水相への混入率が極めて少ないので、排水への負荷が少なく環境にやさしいものとなる。
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〜7及び比較例1〜3〕
下記表1に示す組成の各洗浄剤組成物(全量100質量%)を調製した。
得られた各洗浄剤組成物を用いて、下記方法により硬質表面を有する被洗浄物である液晶パネル、光学レンズ、精密アルミ部品の洗浄試験を行い、下記方法により洗浄性、リンス性、分離性状・分離率を評価等した。
これらの結果を下記表1に示す。
1)洗浄試験
図1に示す超音波洗浄プロセスで下記部品の洗浄を繰り返し行った。
液晶パネル:パネルギャップ部、表面に液晶の付着したパネル
光学レンズ:表面にワックス系の固定剤が付着した光学レンズ
精密アルミ部品:切削油が付着したビデオヘッド(閉じたネジ孔のある精密部品)
2)評価
イ)洗浄性の評価
液晶パネル:5分洗浄・5分溜リンス後・5分オーバーフローリンス後、80℃で30分乾燥し、ギャップ部分、表面部分に残留した液晶(汚れ)を偏光顕微鏡で観察し下記評価基準で洗浄性を評価した。
光学レンズ:5分洗浄・5分溜リンス後・5分オーバーフローリンス後、80℃で30分乾燥し、表面部分に残留したワックス(汚れ)を目視により下記評価基準で洗浄性を評価した。
精密アルミ部品:5分洗浄・5分溜リンス後・5分オーバーフローリンス後、80℃で30分乾燥し、閉じたネジ孔に残留した切削油を偏光顕微鏡で観察し、下記評価基準で洗浄性を評価した。
評価基準:
○:汚れが認められない。
△:若干の汚れが認められる。
×:多量の汚れが認められる。
ロ)リンス性の評価
予め四塩化炭素で洗浄した液晶パネル、光学レンズ、精密アルミ部品を10個各々用意し、5分洗浄・5分溜リンス後・5分オーバーフローリンス後、80℃で30分乾燥させる。各部品別に、10個の部品を80℃、100ccの水で10分間超音波処理した後、この100ccの残留洗浄剤抽出水について、TOC(有機炭素:JIS K01202に準拠した。使用機器:島津製作所社製 TOC−500、以下同様)により残留洗浄剤を定量し、リンス性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:TOCが10ppm未満。
△:TOCが10〜50ppm。
×:TOCが50ppm超過。
ハ)分離性の評価
i)通常分離(O/W)
図1に示す溜リンス槽水中の洗浄剤成分及び汚れ成分によるTOCが約5%に上昇するまで洗浄を繰り返し、溜リンス廃液に多価金属塩としてCaC12を0.2%添加・攪拌し25℃で30分静置分離を行った。
分離してきた水難溶性有機溶剤及び汚れ成分等(切削油、液晶、ワックス)の混合物を含む上層の相分離性状(液体、フロック等)を確認すると共に、下層の分離水相のTOCを測定し、下記計算式により分離率を算出した。
分離率(%)=100×(分離前リンス廃液TOC−分離水相TOC)/分離前リンス排液TOC)
ii)W/O強制分離
上記i)の分離操作を繰り返し行い、分離水相は廃棄し水難溶性有機溶剤及び汚れ成分等(切削油、液晶、ワックス)の混合物の相を700cc作成した。そこに、TOC5%に上昇した溜リンス廃液にCaC12を0.2%添加・攪拌した溜リンス廃液300ccを流し込む。弱く攪拌し、W/O型乳化系を形成させたのち静置分離を行い、上記i)と同様に分離率を算出した。
Figure 0004356832
上記表1に示す結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜7は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べて、洗浄性・リンス性共に良好で、且つ洗浄剤成分が液状に分離し、高い分離率を示すことが判明した。特に、実施例2、4、6及び7のW/O乳化系で分離を行った場合分離速度が著しく向上し(10分以内に平衡分離)、かつ、90%以上の分離率を示すことが判った。
本発明の硬質表面の洗浄方法の実施形態の一例を示すプロセス図である。

Claims (5)

  1. アニオン界面活性剤と水難溶性有機溶剤を含む洗浄剤組成物を用いて硬質表面を有する被洗浄物を洗浄する(a)洗浄槽、次いで、被洗浄物を水でリンスする(b)溜リンス槽 、さらに(b)溜リンス槽から排出される溜リンス廃液に多価金属塩を添加して混合・静置し、水難溶性有機溶剤を含む液体相と水相の二相に分離する(c)分離槽を含む洗浄プ ロセスによる硬質表面の洗浄方法であって、
    該洗浄剤組成物に含まれるアニオン界面活性剤が下記(1)のアニオン界面活性剤であり 、水難溶性有機溶剤が下記(2)の水難溶性有機溶剤である洗浄剤組成物であり、
    (c)分離槽における水相と水難溶性有機溶剤相の体積比率を、水相/水難溶性有機溶剤 相=80/20〜5/95とすることでW/O型乳化系を経由させた後に水難溶性有機溶 剤を含む液体相と水相の二相に分離して、水を排出することを特徴とする硬質表面の洗浄 方法。
    (1) ジアルキルスルホコハク酸塩、パラフィンスルホン酸塩の少なくともいずれかで
    あるアニオン界面活性剤。 (2) 炭化水素系、エステル系、エーテル系、グリコールエーテル系、ケトン系から選
    ばれる少なくとも1つの水難溶性有機溶剤。
  2. 水難溶性有機溶剤が、(3)少なくとも下記一般式(I)で示される水難溶性グリコー ルエーテル系溶剤を含む請求項1記載の硬質表面の洗浄方法。
    Figure 0004356832
  3. 更に、洗浄剤組成物が(4)水を5〜70質量%含む請求項1又は2記載の硬質表面の 洗浄方法。
  4. 洗浄剤組成物の組成が下記組成である請求項2記載の硬質表面の洗浄方法。
    (1)アニオン界面活性剤 :5〜30質量%
    (2)水難溶性有機溶剤 :0〜70質量%
    (3)水難溶性グリコールエーテル :10〜50質量%
    (4)水 :5〜60質量%
  5. 洗浄剤組成物が、該洗浄剤組成物を水で10倍希釈した液に塩化カルシウム2000ppmを添加して混合後、25℃、24時間静置した際、水相と水難溶性有機溶剤を含む液体相の二相に分離する洗浄剤組成物である請求項1乃至4の何れか一つに記載の硬質表面 の洗浄方法。
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