JP4355467B2 - 櫛付き容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、酸化染毛剤、ヘアマニキュア(酸性染毛料)、脱色剤等の液状、クリーム状又はペースト状の毛髪用化粧料を充填して収容するとともに、その毛髪用化粧料を頭髪に直接塗布するために使用される櫛付き容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の櫛付き容器としては、例えば特開平10−137029号公報に開示されている櫛付きキャップが知られている。この櫛付きキャップは、スクイズ性を有する容器体の口筒部に、キャップ本体を組付けることによって構成されている。前記キャップ本体は、その上端に組付け孔が穿設された頂板が設けられているとともに、その頂板の下方には内容液である毛髪用化粧料の"溜まり"部分を形成するための起立筒が設けられている。さらに、前記頂板上には、ベース板に嵌着筒片と櫛歯片との組合せ物が立設された櫛歯体が、各嵌着筒片を組付け孔に密嵌着させることによって組付けられている。
【0003】
そして、容器体の胴部を指でスクイズする(押圧して絞り出す)ことによって、各櫛歯片間に毛髪用化粧料を均等に注出させることができることから、頭髪に対して毛髪用化粧料を自然で良好に塗布することができるようになっている。加えて、この櫛付きキャップは、キャップ本体に櫛歯片が設けられていることから、頭髪に対して櫛機能を無理なく適正に発揮させることができるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の櫛付きキャップでは、容器体の胴部をスクイズして毛髪用化粧料を注出し、スクイズを止めると注出口から空気が吸い込まれて毛髪用化粧料の注出が停止される。このため、容器体内の毛髪用化粧料が少なくなるにつれて容器体内上部に存在する空気量が増大する。その状態で容器体から毛髪用化粧料を注出しようとする場合、容器体の胴部をスクイズして容器体内の空気を抜き出してから毛髪用化粧料を注出するか、又は容器体を倒立させて毛髪用化粧料が注出口に達してから容器体の胴部をスクイズし毛髪用化粧料を注出する必要があった。
【0005】
しかも、容器体内の毛髪用化粧料の減少によって容器体内の空気量が増大すると、容器体の胴部をスクイズして毛髪用化粧料を注出するとき、空気の巻き込みにより毛髪用化粧料が塗布目的部位の範囲外に飛散するおそれがあるという問題があった。
【0006】
一方、上記のような問題を解決するために、可撓性外側層と該外側層に剥離自在に積層された内側層とで構成され、外側層に空気導入孔を備え、内側層に吐出口を連通してなる容器本体と、該容器本体の吐出口に接続される塗布具とを有してなる塗布具付き容器も提案されている(特開2000−16470)。しかしながら、この容器においては、塗布具の櫛歯が容器本体の軸線方向と直交する横方向に突設されている。このため、櫛歯に設けられた孔から吐出される塗布液は容器本体外に垂れ落ちやすく、また不使用時に容器本体を机上に置いたときに櫛歯側に傾きやすく安定性に欠けるという問題があった。
【0007】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、毛髪用化粧料の注出を容易に行うことができ、毛髪用化粧料の残存量が少なくなっても注出時に毛髪用化粧料の飛散を抑制することができるとともに、毛髪用化粧料の容器外への垂れ落ちを抑制でき、かつ机上に置いたときの安定性が良好な櫛付き容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の櫛付き容器は、可撓性を有するとともに上部に開口を有する外容器と、同じく可撓性を有するとともに上部に開口を有し、前記外容器と開口を共有するように外容器内に設けられ、内部に液状、クリーム状又はペースト状の毛髪用化粧料を収容する内容器と、外容器と内容器の共有開口を閉塞する蓋体とを備え、前記蓋体の上部には複数の櫛歯からなる櫛部を設けるとともに、その櫛歯を内容器の軸線方向の外方に向けて配置し、該櫛歯に吐出孔を穿設し、外容器をスクイズすることにより内容器に充填された毛髪用化粧料を櫛歯の吐出孔から吐出し、スクイズを止めることによりその吐出が止まるとともに、外容器と内容器との間の第1空間部に、蓋体の表面に設けられた空気流入孔と、該孔から流入した毛髪用化粧料が流入しないように空気流入孔から流入した毛髪用化粧料を受容する第2空間部を介して蓋体の内部に設けられた連通孔と、該連通孔と通じる連通路と、を通って空気が流入するように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の発明の櫛付き容器は、請求項1に記載の発明において、前記蓋体の櫛部の根元に首部を設けるとともに、その首部における櫛歯の並び方向に直交する前後方向の両側の外面には、滑らかに湾曲しながら膨出するガイド面を形成し、前記毛髪用化粧料の液だれをガイド面に沿ってガイドしながら毛髪用化粧料を頭髪に塗布するように構成したものである。
【0010】
請求項3に記載の発明の櫛付き容器は、請求項2に記載の発明において、前記空気流入孔を櫛部の首部のガイド面以外の領域に設けたものである。
請求項4に記載の発明の櫛付き容器は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記櫛部の首部における櫛歯の並び方向の両側の外面にくびれを形成することによって絞り部を設け、その絞り部の位置に空気流入孔を少なくとも1つ設けたものである。
【0011】
請求項5に記載の発明の櫛付き容器は、請求項4に記載の発明において、前記空気流入孔を両絞り部にそれぞれ設けたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1、図3及び図4に示すように、本実施形態における櫛付き容器11は全体が合成樹脂により形成されている。そして、可撓性を有するとともに開口を有する外容器12と、同じく可撓性を有するとともに開口を有し、外容器12と開口を共有するように同外容器12内に設けられた内容器13と、その共有開口を閉塞する蓋体14とから主に構成されている。
【0013】
外容器12は有底円筒状に形成され、その上端に開口が形成されている。外容器12の上端外周には雄ねじ部15が設けられており、さらに周方向に延びる一対の突条16a,16bがその雄ねじ部15を間に挟むようにして設けられている。この一対の突条16a,16bのうち上側の突条16aは外容器12の上端縁(開口端縁)に沿って設けられ、下側の突条16bは雄ねじ部15の下部に設けられている。また、外容器12の胴部12a外周面には、多数の凹凸で形成される一対の滑り止め部17が相対向する位置(図1では一方の滑り止め部17のみを示す。)に設けられ、把持する際の滑り止めとなっている。なお、各滑り止め部17は、外容器12の軸線方向に沿って設けられているが、外容器12の上端及び下端の部分には設けられず、中間部のみに設けられている。
【0014】
次に、内容器13はブロー成形法によって有底円筒状に形成され、その上端に開口が形成されている。内容器13の上部にはほぼ直角に細くくびれて形成されたくびれ部13aがあり、そのくびれ部13aの上には内容器13の開口を構成する口部13bが設けられている。そして、酸化染毛剤、ヘアマニキュア、脱色剤等の液状、クリーム状又はペースト状の毛髪用化粧料が、この内容器13の内部に収容されるようになっている。また、内容器13は前記外容器12に対して分離可能に収容されている。
【0015】
さらに、内容器13の口部13bの上端部には外方に突出するフランジ18が形成されており、内容器13を外容器12内に収容したときには、このフランジ18の下面が外容器12の上端面に係止されるようになっている。
【0016】
フランジ18の下面には、内容器13と外容器12との間の空間部19に空気を導入するための凹溝20が4つ(図3では一つの凹溝20のみを示す。)周方向に等間隔をおいて凹設されている。さらに口部13bの外側面には、周方向に延びる凹所21が設けられている。また、口部13bからくびれ部13aにかけての内周面は滑らかな段差状に形成されている。
【0017】
外容器12及び内容器13を形成する材料としては、具体的には高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル、ナイロン等の可撓性を有する合成樹脂が挙げられる。そして、これらの中から選ばれるいずれか一種又は二種以上を混合したもので、単層或いは積層形成される。なお、本実施形態の外容器12及び内容器13はともにポリエチレンで形成されており、このため使用後に廃棄処分する場合に外容器12と内容器13を分別する必要がない。
【0018】
また、上記した合成樹脂に樹脂改質剤などの添加剤を加えてもよく、本実施形態では樹脂改質剤としてα−オレフィン共重合体[三井石油化学工業(株)製の商品名タフマー(登録商標)]を添加した材料で外容器12が形成されている。樹脂改質剤の添加量は20〜30重量%の範囲が好ましく、24〜26重量%の範囲がより好ましい。この添加量が20重量%未満では樹脂改質剤の効果が弱く、逆に30重量%を超えると透明性が低下するため好ましくない。
【0019】
続いて蓋体14は、蓋本体22と毛髪用化粧料を塗布するための櫛部23とから一体的に構成されている。蓋体14の下部に形成された蓋本体22はほぼ円筒状をなし、その内周面には前記外容器12の雄ねじ部15に螺合される雌ねじ部24が設けられている。そして、この雄ねじ部15と雌ねじ部24の螺合関係により蓋体14は外容器12に着脱可能に構成され、外容器12と内容器13の共有開口を蓋体14で開閉できるようになっている。
【0020】
蓋体14を外容器12に装着させたときには、外容器12の一対の突条16a,16bのうち上側の突条16aが蓋本体22の内周面に当接し、これにより櫛付き容器11の内外がシールされるようになっている。また、蓋本体22の外周面には、上下方向に延びる滑り止め突条25が8本(図1では一部の滑り止め突条25を示す。)周方向に一定間隔をおいて突設されており、蓋体14を外容器12に着脱する際に滑り止めの役割をするようになっている。
【0021】
前記櫛部23は、蓋本体22に嵌め込まれるとともに、上方に向かって突設された複数の櫛歯23aを備えている。これらの櫛歯23aは左右方向に一定の間隔をおいて一列に並設され、中間に設けられた櫛歯23a(本実施形態では6つ)は別体で成形され、嵌め込まれている。中間部の各櫛歯23aの先端部には供給通路26に連通された吐出孔27が供給通路26と直交方向に貫通形成され、毛髪用化粧料が供給通路26を介して吐出孔27から吐出されるようになっている。
【0022】
なお、この隣接する櫛歯23a間の間隔は、毛髪用化粧料の頭髪へのなじみとのびを良好にするために、好ましくは3.0〜5.0mm、より好ましくは3.5〜4.5mm、特に好ましくは3.7〜4.3mmである。この櫛歯23a間の間隔が3.0mm未満の場合には、櫛歯23aと頭髪とが絡まりやすくなること等から、コーミングする際の頭髪への負荷が大きくなり、頭髪を傷めてしまうおそれがある。逆に、櫛歯23a間の間隔が5.0mmを越える場合には、コーミングするときの抵抗が少ないため、コーミングが適切に行われているかどうかが分かり難くなってしまう。
【0023】
図2(a)、(b)に示すように、蓋体14の櫛部23の根元、すなわち櫛部23の下部から蓋本体22の上部にかけて、櫛部23及び蓋本体22の下部より細径の首部28が設けられ、その首部28の外面には滑らかに湾曲しながら膨出するガイド面29が形成されている。このガイド面29は、毛髪用化粧料の液だれをガイドしながら毛髪用化粧料を頭髪に円滑に塗布できるようにしている。櫛部23の両端側に位置する首部28には、くびれを形成することによって絞り部30が設けられ、その絞り部30の位置に一対の空気流入孔31が設けられている。つまり、これらの空気流入孔31が前記ガイド面29を避けて、それ以外の領域に設けられている。
【0024】
また、蓋体14の内部は複数部材によって構成された隔壁32によって、二つの小室33a,33bに区画されている。一方の小室33aは連通路34、連通孔35などを介して、前記空気流入孔31から外部に連通するとともに、内容器13の凹溝20などを介して外容器12と内容器13との間の空間部19にも連通している。ただし、隔壁32には弁体36が突設されており、この弁体36が通常は実線で示すように小室33aを二分する位置にあるため、外容器12と内容器13の間の空間部19と櫛付き容器11の外部とは連通していない。しかし、外部から空気流入孔31、連通孔35、連通路34を介して櫛付き容器11内に空気が導入された場合にはその空気の圧力で弁体36が二点鎖線で示すように下方に変形をし、両者間が連通される。
【0025】
他方の小室33bは櫛部23にある前記供給通路26、吐出孔27を介して外部に連通するとともに、内容器13の内部に連通している。この小室33bにおいても隔壁32から突設された開閉弁37が通常実線で示すように小室33bを二分する位置にあり、このために内容器13の内部と櫛付き容器11の外部とは連通していない。しかし、内容器13から毛髪用化粧料が吐出された場合にはその圧力で開閉弁37が二点鎖線で示すように上方に変形をし、両者間が連通される。
【0026】
なお、本実施形態における櫛付き容器11は蓋体14を取り外してその代わりに図示しないキャップを装着させることができるほか、蓋体14やキャップを取り外してチューブ容器から毛髪用化粧料を内容器13の内部に供給できるようにも構成されている。
【0027】
次に、上記のように構成された櫛付き容器11の作用を説明する。
本実施形態における櫛付き容器11を使用して頭髪に毛髪用化粧料を塗布する場合には、内容器13の内部に毛髪用化粧料を充填した後、外容器12の胴部12aをスクイズしながら櫛部23で頭髪をコーミングすることによって、頭髪の表面に毛髪用化粧料を塗布することができる。このとき、図5に示すように、吐出孔27から吐出された毛髪用化粧料38は、櫛歯23aの外面を伝って、そこに摺接されている頭髪39の表面に直接塗布される。
【0028】
さらに、同じ部位の頭髪39を複数回コーミングすることによって、頭髪39に付着された毛髪用化粧料38が櫛歯23aの外面、首部28の上面及びガイド面29に付着され、その付着された毛髪用化粧料38が再度頭髪39の表面に拡散しながら塗布される。さらにこのとき、首部28の上面及びガイド面29に付着された毛髪用化粧料38は、図1に矢印で示されるように、ガイド面29に沿って拡散されながら、図5に示されるように、それらの面に摺接されている頭髪39の表面に再度塗布される。
【0029】
従って、この櫛付き容器11は、櫛歯23aの外面、首部28の上面及びガイド面29に摺接された頭髪39に対して、毛髪用化粧料38を様々な方向から同時に塗布することができることから、頭髪39の表面全体に薄く均一に毛髪用化粧料38を塗布することができる。加えて、毛髪用化粧料38がガイド面29に沿ってガイドされながら拡散されることから、首部28の絞り部30等に液だれするおそれがほとんどない。
【0030】
前記のように、外容器12をスクイズすると外容器12の内部が加圧され、内容器13が収縮して毛髪用化粧料が内容器13から蓋体14内の小室33bに吐出される。そして、内容器13から吐出された毛髪用化粧料の圧力で開閉弁37が変形をし、毛髪用化粧料は小室33b内を移動した後、櫛歯23aに設けられた、供給通路26、吐出孔27から外部に吐出される。このとき、弁体36は図3に実線で示す位置に移動し、小室33aが二分されて、外容器12と内容器13の間の空間部19と櫛付き容器11の外部とは連通が完全に閉鎖されている。
【0031】
スクイズを止めると内容器13の収縮が止まって毛髪用化粧料の吐出が止まるとともに、外容器12が元の形状に復元しようとするために外容器12の内部が減圧される。その結果、外部の空気が蓋体14の空気流入孔31から連通孔35、連通路34を介して小室33a内に流入し、流入された空気の圧力で弁体36が図3に二点鎖線で示す位置に移動し、その空気は凹溝20などを介して外容器12と内容器13の間の空間部19に流入する。よって、外容器12の形状は元の形状に復元され、その一方で内容器13の形状は収縮した状態のまま保持される。
【0032】
内容器13内の毛髪用化粧料が空になってその内部に毛髪用化粧料を充填する場合には、開放された状態の外容器12と内容器13の共有開口にチューブ容器の先端を嵌め合わせた後、チューブ容器を押し潰してその毛髪用化粧料を内容器13内に注入する。
【0033】
上記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態で説明した櫛付き容器11は、外容器12と内容器13とそれらの共有開口を閉塞する蓋体14とを備え、外容器12と内容器13との間の空間部19に蓋体14に設けられた空気流入孔31から空気が流入するように構成されている。このため、毛髪用化粧料の注出を容易に行うことができるとともに、毛髪用化粧料の残存量が少なくなっても注出時に毛髪用化粧料の飛散を抑制することができる。
【0034】
・ また、櫛歯23aは蓋本体22から横方向ではなく、内容器13の軸線方向の外方(上方)に向けて配置されている。このため、毛髪用化粧料の外容器12外への垂れ落ちを抑制することができる。しかも、櫛歯23aの重心が内容器13の軸線上に位置するように構成されていることから、櫛付き容器11を机上に置いたときの安定性が良好である。
【0035】
・ 前記蓋本体22の首部28外面には、滑らかに湾曲しながら膨出するガイド面29が設けられている。このため、櫛付き容器11の使用時において、毛髪用化粧料の液だれをガイド面29に沿って誘導することができ、液が空気流入孔31側に流れて空気流入孔31を塞ぐことを回避することができる。そして、毛髪用化粧料をガイド面29にガイドしながら頭髪に塗布することができる。さらに、毛髪用化粧料が蓋体14の外面に液だれして溜まるのを容易に防止することができ、毛髪用化粧料を有効に利用して無駄を少なくすることができる。
【0036】
・ 上記空気流入孔31は蓋体14のガイド面29以外の領域に設けられているため、空気流入孔31に毛髪用化粧料が流入するのを抑制することができる。
・ 櫛部23の両端側に位置する首部28にくびれを形成することによって絞り部30が設けられ、毛髪用化粧料がガイド面29の端縁から絞り部30へと液だれし難い形状に形成されている。さらに、その絞り部30の位置に一対の空気流入孔31が設けられている。このため、空気流入孔31に毛髪用化粧料が流入するのをより確実に抑制することができ、スクイズ後に外容器12が変形した状態から元の状態へ復元するのが速やかに行われ、櫛付き容器11の使い勝手を向上させることができる。
【0037】
さらに、空気流入孔31は櫛部23の両端側、すなわち180度対向する左右対称位置にそれぞれ設けられていることから、空気の流入効率が優れている。また、万一空気流入孔31の一方が塞がれても他方から空気が流入されるので、直ちに操作ができない状態に到るおそれはない。
【0038】
・ コーミング操作を行って内容器13が偏って収縮した場合、従来のように櫛歯が横向きのタイプのときにはその重心が櫛歯側に偏るため、内容器13内の毛髪用化粧料と櫛歯23aの位置が一致したとき、櫛付き容器11を机上に置くと倒れるおそれがあった。これに対し、本実施形態では櫛歯23aが上向きのタイプであることから、その重心が内容器13の中心軸線上に位置し、上記のような場合でも机上に安定した状態で置くことができる。
【0039】
・ 加えて、同じ部位の頭髪を複数回コーミングすることによって、頭髪の表面に対し毛髪用化粧料を様々な方向から同時に塗布することができることから、毛髪用化粧料を容易に頭髪の表面全体に薄く均一に塗布することが可能である。
【0040】
・ 櫛部23の両端側に位置する首部28には絞り部30が設けられていることから、蓋体14の製造に要する合成樹脂量を低減させることができるとともに、成形時のひけや空気溜まりの形成等を効果的に抑制することができる。
【0041】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 参考例として図6に示すように、実施形態の首部28に設けられた空気流入孔31を省略し、外容器12の雄ねじ部15及び上下の突条16a,16bに空気流入孔31aを設けてもよい。或いは、蓋本体22の雌ねじ部24に空気流入孔を設けてもよい。この場合、小室33aに設けられた弁体36を省略し、外容器12と内容器13の間の空間部19に弁体36を設ける。この構成によれば、外容器12と蓋本体22との間から弁体36を介して外容器12と内容器13の間の空間部19に空気を流入させることができる。
【0042】
・ 蓋体14の首部28に形成された絞り部30に空気流入孔31を1箇所のみ又は3箇所以上設けてもよい。また、空気流入孔31の形状を横長又は縦長の長孔にしてもよい。
【0043】
・ 蓋体14の首部28、その首部28の外面に設けられたガイド面29又は首部28に設けられた絞り部30を省略してもよい。
・ 蓋体14の蓋本体22と櫛部23を一体成形する構成にしてもよい。また、櫛部23全体を一体成形する構成を採用してもよい。その場合、吐出孔27は全ての櫛歯23aに一直線状に並ぶように設けられる。
【0044】
・ 外容器12と内容器13とを、それぞれ可撓性外側層と可撓性内側層とにより剥離自在に積層された構成とすることも可能である。
・ 櫛歯23a全体の数を変えたり、吐出孔27が設けられている櫛歯23aの数を変えたり、吐出孔27の大きさや位置を変えたりしてもよい。
【0045】
・ 外容器12及び内容器13を、例えば有底三角筒状、有底四角筒状、有底六角筒状、有底八角筒状等の有底多角筒状、又は有底楕円筒状に形成してもよい。
【0046】
・ 滑り止め部17又は滑り止め突条25を省略して構成することも可能である。このように構成した場合、櫛付き容器11の構成を簡略化することができる。
【0047】
・ 毛髪用化粧料として、例えば整髪料等を使用してもよい。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記櫛歯の重心は内容器の軸線上に位置するように構成することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の櫛付き容器。このように構成した場合、内容器内の毛髪用化粧料が偏って存在した場合でも、櫛付き容器を机上に安定した状態で置くことができる。
【0048】
・ 前記櫛歯を扁平状に形成し、櫛歯間の延びる方向にガイド面を設けることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の櫛付き容器。このように構成した場合、毛髪用化粧料を櫛歯の間からガイド面に円滑に誘導することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の櫛付き容器によれば、毛髪用化粧料の注出を容易に行うことができ、毛髪用化粧料の残存量が少なくなっても注出時に毛髪用化粧料の飛散を抑制することができるとともに、毛髪用化粧料の容器外への垂れ落ちを抑制でき、かつ机上に置いたときの安定性が良好である。
【0050】
請求項2に記載の発明の櫛付き容器によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、毛髪用化粧料の液だれをガイド面に沿ってガイドしながら毛髪用化粧料を頭髪に塗布することができる。
【0051】
請求項3に記載の発明の櫛付き容器によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、空気流入孔に毛髪用化粧料が流入するのを抑制することができる。
請求項4に記載の発明の櫛付き容器によれば、請求項2又は請求項3に記載の発明の効果に加えて、空気流入孔に毛髪用化粧料が流入するのをより確実に抑制することができる。
【0052】
請求項5に記載の発明の櫛付き容器によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、外容器と内容器との間の空間に空気を容易に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の櫛付き容器を示す斜視図。
【図2】 (a)は櫛付き容器の一部を示す正面図、(b)は同じく櫛付き容器の一部を示す側面図。
【図3】 櫛付き容器の上部を示す部分正断面図。
【図4】 櫛付き容器の上部を示す部分側断面図。
【図5】 櫛付き容器の使用時における作用を示す部分断面図。
【図6】 参考例としての櫛付き容器を示す部分断面図。
【符号の説明】
11…櫛付き容器、12…外容器、13…内容器、14…蓋体、23…櫛部、23a…櫛歯、27…吐出孔、28…首部、29…ガイド面、30絞り部、31a…空気流入孔、38…毛髪用化粧料。
Claims (5)
- 可撓性を有するとともに上部に開口を有する外容器と、
同じく可撓性を有するとともに上部に開口を有し、前記外容器と開口を共有するように外容器内に設けられ、内部に液状、クリーム状又はペースト状の毛髪用化粧料を収容する内容器と、
外容器と内容器の共有開口を閉塞する蓋体とを備え、
前記蓋体の上部には複数の櫛歯からなる櫛部を設けるとともに、その櫛歯を内容器の軸線方向の外方に向けて配置し、該櫛歯に吐出孔を穿設し、外容器をスクイズすることにより内容器に充填された毛髪用化粧料を櫛歯の吐出孔から吐出し、スクイズを止めることによりその吐出が止まるとともに、外容器と内容器との間の第1空間部に、蓋体の表面に設けられた空気流入孔と、該孔から流入した毛髪用化粧料が流入しないように空気流入孔から流入した毛髪用化粧料を受容する第2空間部を介して蓋体の内部に設けられた連通孔と、該連通孔と通じる連通路と、を通って空気が流入するように構成したことを特徴とする櫛付き容器。 - 前記蓋体の櫛部の根元に首部を設けるとともに、その首部における櫛歯の並び方向に直交する前後方向の両側の外面には、滑らかに湾曲しながら膨出するガイド面を形成し、前記毛髪用化粧料の液だれをガイド面に沿ってガイドしながら毛髪用化粧料を頭髪に塗布するように構成した請求項1に記載の櫛付き容器。
- 前記空気流入孔を櫛部の首部のガイド面以外の領域に設けた請求項2に記載の櫛付き容器。
- 前記櫛部の首部における櫛歯の並び方向の両側の外面にくびれを形成することによって絞り部を設け、その絞り部の位置に空気流入孔を少なくとも1つ設けた請求項2又は請求項3に記載の櫛付き容器。
- 前記空気流入孔を両絞り部にそれぞれ設けた請求項4に記載の櫛付き容器。
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