JP4354122B2 - 燃料電池用水素供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料電池へ燃料としての水素を供給する燃料電池用水素供給装置に関するものであり、特に、水素吸蔵合金を収納した水素吸蔵タンクと水素を圧縮貯蔵可能な水素タンクを併設した燃料電池用水素供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車等の移動体に搭載した燃料電池に水素を供給する水素供給装置には、予め水素を吸蔵させておいた水素吸蔵合金から水素を放出させて燃料電池に供給するようにしたものがある(特開2000−88196号公報等)。
【0003】
この水素吸蔵合金においては、水素の吸蔵・放出に熱の出入りを伴い、水素を吸蔵させる時には水素吸蔵合金から熱を除去してやらなければならず、水素を放出させる時には水素吸蔵合金に熱を供給してやらなければならない。ここで、水素放出に必要な熱量は、水素吸蔵合金の熱容量により賄われるため、外部から熱を加えない限り水素放出によって水素吸蔵合金の温度が低下する。
【0004】
そこで、この種の水素供給装置においては、水素吸蔵合金から水素を安定して放出することができるように、水素吸蔵合金を加熱するための加熱手段を備えている。この加熱手段には、燃料電池の発電時に生じる熱を回収してこの廃熱を加熱源とするものもあり、その際の熱媒体としては水等の液体や空気等の気体が用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の燃料電池用水素供給装置においては、前記加熱手段を備えていても、燃料電池の運転条件によっては、加熱手段で供給可能な熱量では水素吸蔵合金が要求する熱量に不足する場合があり、そのため、水素吸蔵合金の温度が低下して、水素吸蔵合金から燃料電池に要求量の水素を供給するのが困難になる場合があった。
【0006】
そこで、この発明は、水素吸蔵合金を収納した水素吸蔵タンクと水素を圧縮状態で貯蔵する水素タンクを併設し、水素吸蔵タンクからの水素供給量と水素タンクからの水素供給量を制御することにより、燃料電池の要求水素量を常に安定して供給することができる燃料電池用水素供給装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明に係る燃料電池用水素供給装置は、燃料電池(例えば、後述する第1、第2の実施の形態における燃料電池7)の燃料である水素を吸放出可能な水素吸蔵合金を収納した水素吸蔵タンク(例えば、後述する第1、第2の実施の形態における水素吸蔵タンク1)と、水素を圧縮状態で貯蔵可能な水素タンク(例えば、後述する第1、第2の実施の形態における水素タンク19)と、前記水素吸蔵合金から水素を放出させるために前記水素吸蔵タンクを加熱する加熱手段(例えば、後述する第1、第2の実施の形態におけるダクト3,合流ダクト21,外気ダクト23,冷気ダクト25,熱交換チューブ5,流量制御弁V4,V5,V6)と、前記水素吸蔵タンクから放出された水素と前記水素タンクから放出された水素を合流させて前記燃料電池へ供給可能にする水素流路(例えば、後述する第1、第2の実施の形態における水素供給管9,11,13,17)と、前記水素吸蔵タンクおよび水素タンクから放出される各水素流量を制御する流量制御手段(例えば、後述する第1、第2の実施の形態における流量制御弁V1,V2,V3)と、を備え、前記水素吸蔵合金の温度に応じて前記流量制御手段が前記各水素流量を制御する燃料電池用水素供給装置であって、前記流量制御手段は、前記水素吸蔵合金の温度が下限温度(例えば、後述する第1、第2の実施の形態における下限値t1)よりも低いときには前記水素吸蔵タンクから前記燃料電池へ水素を供給するのを停止して前記水素タンクから前記燃料電池へ水素を供給し、前記水素吸蔵合金の温度が上限温度(例えば、後述する第1、第2の実施の形態における上限値t2)よりも高いときには前記水素タンクから前記燃料電池へ水素を供給するのを停止して前記水素吸蔵タンクから前記燃料電池へ水素を供給し、前記水素吸蔵合金の温度が下限温度以上で上限温度以下のときには、前記水素吸蔵タンクから前記燃料電池へ水素を供給するとともに、前記水素吸蔵合金の温度変化率(例えば、後述する第1、第2の実施の形態における温度変化率dT/dt)に応じて前記水素タンクから前記燃料電池に供給する水素の流量を制御することを特徴とする。
【0008】
このように構成することにより、流量制御手段で水素流量を制御することにより、水素吸蔵タンクを加熱しつつ水素吸蔵タンクだけから水素を放出させて燃料電池に供給したり、水素タンクだけから水素を放出させて燃料電池に供給したり、水素吸蔵タンクと水素タンクの両方から水素を放出させこれらを合流させて燃料電池に供給することが可能となる。
【0009】
また、水素吸蔵タンクおよび水素タンクから放出される水素の各水素流量を水素吸蔵合金の温度に応じて最適に制御することができる。
【0010】
さらに、水素吸蔵合金の温度が該水素吸蔵合金からの水素放出量が低下する下限温度よりも低いときには、水素吸蔵タンクから燃料電池へ水素を供給するのを停止して、水素タンクから燃料電池に水素を供給することが可能になる。
【0011】
また、水素吸蔵合金の温度が上限温度よりも高いときには前記水素タンクから前記燃料電池へ水素を供給するのを停止して前記水素吸蔵タンクから前記燃料電池へ水素を供給するので、水素吸蔵タンクからの水素放出量が増大し、水素吸蔵合金の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0012】
また、水素吸蔵合金の温度が下限温度以上で上限温度以下のときには、水素吸蔵合金の温度変化率に応じて水素吸蔵タンクから放出される水素流量と水素タンクから放出される水素流量の流量比を最適に制御することが可能になる。
【0013】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記水素吸蔵合金の温度が下限温度以上で上限温度以下のときの前記温度変化率が上昇傾向にあるときには、前記水素タンクから前記燃料電池へ水素を供給するのを停止して前記水素吸蔵タンクから前記燃料電池へ水素を供給するように前記流量制御手段を制御し、前記温度変化率が下降傾向にあるときには、前記水素吸蔵タンクおよび前記水素タンクから前記燃料電池へ水素を供給するように前記流量制御手段を制御することを特徴とする。
このように構成することにより、燃料電池へ水素を安定供給しつつ、水素吸蔵合金の温度上昇および温度降下を抑制することが可能になる。
【0014】
【0015】
請求項3に記載した発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記流量制御手段は前記温度変化率が「0」(例えば、後述する第3の実施の形態におけるdT/dt=0)になるように制御することを特徴とする。
このように構成することにより、水素吸蔵合金の温度を一定温度に制御可能になる。
【0016】
【0017】
請求項4に記載した発明は、請求項2に記載の発明において、前記流量制御手段は、前記加熱手段によって加熱することで前記水素吸蔵タンクから放出される水素量に応じて前記水素タンクから放出する水素量を制御することを特徴とする。
このように構成することにより、水素吸蔵タンクから放出される水素量に応じて、水素タンクから放出すべき水素量を最適に制御することが可能になる。
【0018】
請求項5に記載した発明は、請求項4に記載の発明において、前記流量制御手段は、前記水素吸蔵タンクから放出される水素量と前記水素タンクから放出される水素量の和が前記燃料電池の要求する要求水素量になるように、前記水素タンクから放出する水素量を制御することを特徴とする。
このように構成することにより、燃料電池へ水素を過不足なく供給することが可能になる。
【0019】
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載の発明において、前記加熱手段によって前記水素吸蔵タンクを加熱する熱量を算出する加熱量算出手段(例えば、後述する第3の実施の形態におけるステップS317)と、前記加熱量算出手段で算出された加熱量に応じて前記水素吸蔵タンクから放出できる最大水素放出量を算出する最大水素放出量算出手段(例えば、後述する第3の実施の形態におけるステップS325)と、をさらに備え、前記流量制御手段は、前記最大水素放出量算出手段で算出された最大水素放出量に応じて前記水素タンクから放出する水素量を制御することを特徴とする。
このように構成することにより、水素吸蔵タンクから最大水素放出量の水素が放出されるので、水素吸蔵タンクの温度が変化しないようにすることができ、且つ、燃料電池の要求する要求水素量を満足させることが可能になる。
【0020】
請求項7に記載した発明は、請求項6に記載の発明において、前記流量制御手段は、前記最大水素放出量で前記要求水素量を賄える場合には前記水素タンクから水素を放出しないように制御することを特徴とする。
このように構成することにより、水素タンクの水素の使用量を減少させることが可能になる。
【0021】
請求項8に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記水素吸蔵タンクから放出される水素量から該水素吸蔵タンクが必要とする必要熱量を算出する必要熱量算出手段(例えば、後述する第1または第3の実施の形態におけるステップS108,S308)をさらに備え、前記必要熱量算出手段で算出した必要熱量に応じて前記加熱手段を制御することを特徴とする。
このように構成することにより、加熱手段から水素吸蔵タンクへ必要熱量を確実に供給することが可能になる。
請求項9に記載した発明は、請求項8に記載の発明において、前記加熱手段は、前記燃料電池の廃熱によって加熱された温度制御可能な熱媒体を供給して前記水素吸蔵タンクを加熱することを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載した発明は、請求項9に記載の発明において、前記水素吸蔵合金の温度に応じて前記熱媒体の目標温度を算出する目標温度算出手段(例えば、後述する第1または第3の実施の形態におけるステップS111,S121,S311,S321)を備え、前記熱媒体が目標温度になるように前記加熱手段を制御することを特徴とする。
このように構成することにより、水素吸蔵合金の温度を所望の温度に確実に制御することが可能になる。
【0023】
請求項11に記載した発明は、請求項10に記載の発明において、前記加熱手段によって前記水素吸蔵タンクを加熱する加熱量と前記必要熱量算出手段で算出した必要熱量に応じて前記熱媒体の目標温度を補正することを特徴とする。
このように構成することにより、加熱量と必要熱量に応じて熱媒体の目標温度を補正しているので、熱媒体の温度をより早く正確に制御することが可能になる。
【0024】
請求項12に記載した発明は、請求項11に記載の発明において、前記加熱量と前記必要熱量から前記水素吸蔵合金の温度変化率を算出し、この温度変化率が下降傾向にあるときは目標温度を前記目標温度算出手段で算出した目標温度よりも高く補正し、前記温度変化率が上昇傾向にあるときは目標温度を前記目標温度算出手段で算出した目標温度よりも低く補正することを特徴とする。
【0025】
このように構成することにより、水素吸蔵合金の温度が下がる傾向にあると熱媒体の目標温度を高く補正され、水素吸蔵合金の温度が上がる傾向にあると熱媒体の目標温度を低く補正されるので、水素吸蔵合金の温度変化を予測して熱媒体をより速く目標温度に収束させることが可能になり、水素吸蔵合金の温度を所望の温度に制御することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る燃料電池用水素供給装置の実施の形態を図1から図10の図面を参照して説明する。
〔第1の実施の形態〕
初めに、この発明に係る燃料電池用水素供給装置の第1の実施の形態を図1から図6の図面を参照して説明する。
図1は水素供給装置を備えた自動車用燃料電池システムの構成図である。水素供給装置は熱媒体としての空気が流通するダクト3を備え、ダクト3内の下流部位には、内部に水素吸蔵合金を収納した水素吸蔵タンク1が設置されている。水素吸蔵タンク1はステンレス製で、外周面に多数のフィン1aを備えている。
【0027】
ダクト3の内部であって水素吸蔵タンク1よりも上流側には熱交換チューブ5が設けられている。この熱交換チューブ5は、ダクト3の外部に設置された燃料電池(図1ではFCスタックと記す)7の冷却水回路(図示せず)に接続されていて、燃料電池7の冷却水が循環するようになっている。燃料電池7は固体高分子膜型燃料電池であって、水素と空気中の酸素とを電気化学反応させて電気を発生させるタイプのものであり、前記冷却水は燃料電池7が発電時に発生する熱を除去するためのものである。燃料電池7を冷却することによって加熱された冷却水が熱交換チューブ5に導入され、熱交換チューブ5を通過する際にダクト3を流れる空気と熱交換し、これにより冷却水は冷却され再び燃料電池7の冷却水回路に戻るようになっている。つまり、熱交換チューブ5は燃料電池7の冷却ラジエータと言うことができる。そして、冷却水と熱交換して加熱された空気はダクト3を水素吸蔵タンク1へと流れ、水素吸蔵タンク1を加熱する。
【0028】
水素吸蔵タンク1内において水素吸蔵合金から放出された水素は、水素供給管9,流量制御弁V1,水素供給管11,流量制御弁V2,水素供給管13を介して燃料電池7に供給されるようになっている。水素供給管9には調圧器27が設けられており、水素供給管13には流量計15が設けられている。調圧器27は、水素タンク19から水素吸蔵タンク1に水素を供給するときに水素の圧力を減圧するものであり、調圧器27の設定圧は水素吸蔵タンク1の常用耐圧と同一圧力に設定されている。流量計15は水素供給管13を流れる水素流量(すなわち、燃料電池7に供給される水素流量)に応じた出力信号を燃料電池用電子制御ユニット(以下、ECUと略す)37に出力する。
【0029】
また、ダクト3の外部には水素タンク19が設置されている。この水素タンク19は水素吸蔵タンク1よりも高圧で水素を圧縮して貯蔵可能になっている。水素タンク19に貯蔵された水素も、水素供給管17,流量制御弁V3,水素供給管11,流量制御弁V2,水素供給管13を介して、燃料電池7に供給可能になっており、水素タンク19は、低温のため水素吸蔵合金から水素を放出できず、若しくは、水素吸蔵合金から放出される水素だけでは燃料電池7が要求する水素量を賄えないときに、水素を燃料電池7に供給する。
【0030】
流量制御弁V1〜V3の弁体を駆動する駆動部(図示せず)はECU37に電気的に接続されており、ECU37からの指令信号に応じてそれぞれの弁体の開度制御が行われるようになっている。
【0031】
一方、ダクト3において水素吸蔵タンク1と熱交換チューブ5との間には、合流ダクト21が連結されており、この合流ダクト21には、外気を導入可能な外気ダクト23と、図示しないクーラーで冷却された冷気を導入可能な冷気ダクト25が接続されている。
【0032】
ダクト3内において水素吸蔵タンク1の下流にはファン29が設けられており、ファン29の駆動部(図示せず)はECU37に電気的に接続されていて、ECU37からの指令信号に応じて回転数制御されるようになっている。
【0033】
また、ダクト3内において、合流ダクト21との合流点と熱交換チューブ5との間には流量制御弁V4が設けられている。また、外気ダクト23,冷気ダクト25にもそれぞれ流量制御弁V5,V6が設けられている。これら流量制御弁V4〜V6の弁体を駆動する駆動部(図示せず)はECU37に電気的に接続されており、ECU37からの指令信号に応じてそれぞれの弁体の開度制御が行われるようになっている。
水素供給管9,水素供給管17には圧力センサP1,P2が設けられており、これら圧力センサP1,P2は検出圧力に応じた出力信号をECU37に出力する。
【0034】
水素吸蔵タンク1内には、内部に収容されている水素吸蔵合金の温度を検出するための温度センサTC1が設けられている。また、ダクト3内において、熱交換チューブ5と流量制御弁V4との間、および、合流ダクト21との合流点と水素吸蔵タンク1との間には、温度センサTC2,TC3が設けられている。また、外気ダクト23、冷気ダクト25にも温度センサTC5,TC4が設けられている。これら温度センサTC1〜TC5は検出温度に応じた出力信号をECU37に出力する。
【0035】
このように構成された燃料電池の水素供給装置においては、走行モードでは、流量制御弁V1,V2を開いて水素供給管9,11,13を連通し、流量制御弁V3を閉じて水素供給管17を閉塞し、水素吸蔵タンク1内の水素吸蔵合金から放出した水素を燃料電池7に供給して発電する。そして、水素吸蔵タンク1内の水素吸蔵合金が水素を放出する際に水素吸蔵合金に奪われる熱を補うために、ファン29によってダクト3内に導入した外気を、熱交換チューブ5を流れる燃料電池7の冷却水と熱交換することにより加熱し、加熱された外気を水素吸蔵タンク1の周囲に流すことにより、外気の熱をフィン1aから吸熱させる。
【0036】
また、燃料電池7への水素の安定供給を図るために、水素吸蔵タンク1内を所定の一定圧力となるように制御するが、そのために、水素吸蔵合金の温度、換言すれば水素吸蔵タンク1内の温度が、前記一定圧力を解離圧としたときに対応する温度(設定値t0)となるように制御する。
【0037】
そして、この水素供給装置における水素吸蔵合金の前記温度制御では、外気ダクト23から導入される外気と、冷気ダクト25から導入される冷気と、ダクト3の上流端から導入され熱交換チューブ5で加熱された外気(以下、加熱外気と称し、外気ダクト23から導入される外気と区別する)とを所定流量比で混合することにより、水素吸蔵合金を所定温度に制御するのに必要な熱量を水素吸蔵タンク1に供給するようにしている。
【0038】
しかしながら、燃料電池7の運転条件(すなわち、車両の運転条件)によっては、水素吸蔵タンク1を加熱する熱量が不足し、水素吸蔵合金から水素を全く放出することができなかったり、あるいは、水素放出可能であっても水素吸蔵タンク1(すなわち、水素吸蔵合金)が要求する熱量を満たさないため、燃料電池7が要求する水素要求量を水素吸蔵タンク1から供給することができない場合がある。
【0039】
このようなときに、この第1の実施の形態における水素供給装置では、水素吸蔵合金の温度が下限値(下限温度)t1よりも低いときには水素タンク19の水素だけを燃料電池7に供給し、水素吸蔵合金の温度が下限値t1以上であって上限値(上限温度)t2以下のときには、水素吸蔵タンク1だけから燃料電池7に水素を供給することによって、水素吸蔵タンク1が要求する熱量を該熱媒体(空気)で賄える場合(すなわち、水素を供給しても水素吸蔵タンク1の温度が低下しない場合)には水素吸蔵タンク1だけから水素供給を行い、水素吸蔵タンク1だけから燃料電池7に水素を供給したのでは水素吸蔵タンク1が要求する熱量を該熱媒体(空気)で賄えない場合(すなわち、水素を供給することで水素吸蔵合金の温度が低下してしまう場合)には水素吸蔵タンク1と水素タンク19の両方から所定流量比で水素を燃料電池7に供給し、水素吸蔵合金の温度が上限値t2よりも高いときには水素吸蔵タンク1の水素だけを燃料電池7に供給する。
【0040】
次に、図2の図面を参照して、第1の実施の形態の走行モードにおける燃料電池への水素供給処理を説明する。なお、図2のフローチャートでは、水素吸蔵タンクをMHタンクと表記し、水素タンクをガスタンクと表記している。また、この実施の形態では、走行モードにおいて水素吸蔵合金の温度を設定値t0となるように制御するものとする(下限値t1<t0<上限値t2)。
【0041】
水素供給装置は始動終了により走行モードに入り、ECU37は、まず、ステップS101において、温度センサTC1の出力信号を読み取りこれに基づき水素吸蔵タンク1に収納されている水素吸蔵合金の温度を算出する。
次に、ステップS102に進み、車両のアクセル開度および出力等から燃料電池7の必要水素流量を予測する。
【0042】
さらに、ステップS103に進み、水素吸蔵合金の温度が下限値t1よりも小さいか否か判定する。下限値t1は、水素吸蔵合金が水素放出可能か否かの閾値であり、水素吸蔵合金は、該合金温度が下限値t1以上のときには水素を放出可能であり、合金温度が下限値t1より低いと水素を放出することができない。
【0043】
ステップS103において肯定判定した場合、すなわち、水素吸蔵合金の温度が下限値t1よりも低いときには、水素吸蔵合金から水素を放出することができないので、ステップS104に進み、流量制御弁V1を全閉にして水素吸蔵タンク1から燃料電池7への水素供給を停止し、流量制御弁V3を全開にして水素タンク19から燃料電池7への水素供給を可能にする。
【0044】
次に、ステップS105に進み、ステップS102で予測した必要水素流量となるように流量制御弁V2の開度を制御し、さらに、ステップS106に進み、流量制御弁V5,V6を全閉にして外気ダクト23,冷気ダクト25からの外気および冷気の導入を停止し、流量制御弁V4を全開にしてダクト3から外気を導入して、加熱外気だけを水素吸蔵タンク1に送気するようにする。これにより、最も高い温度の加熱空気を水素吸蔵タンク1へ送気して、水素吸蔵合金の温度の回復を図る。
【0045】
次に、ステップS107に進み、運転停止指令があるか否か判定し、ステップS107において否定判定した場合にはステップS101に戻り、ステップS107において肯定した場合には本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0046】
一方、ステップS103において否定判定した場合、すなわち、水素吸蔵合金の温度が下限値t1以上であるときには、水素吸蔵合金から水素放出可能であるので、ステップS108に進み、水素吸蔵タンク1が必要とする必要熱量は水素吸蔵タンク1から放出される水素放出量に比例することから、ステップS102で予測した必要水素流量に基づき最大必要熱量を予測する。
【0047】
ここで、最大必要熱量とは、燃料電池7の要求水素流量の総てを水素吸蔵タンク1から放出させたときに水素吸蔵タンク1から奪われる熱量のことをいい、換言すれば、燃料電池7の要求水素流量の総てを水素吸蔵タンク1から放出させたときに水素吸蔵合金の温度を変化させないようにするために水素吸蔵タンク1に必要とされる供給熱量のことをいう。
【0048】
次に、ステップS109に進み、水素吸蔵合金の温度が上限値t2よりも大きいか否か判定する。上限値t2は、水素吸蔵タンク1を冷却すべきとする閾値である。
ステップS109において肯定判定した場合、すなわち、水素吸蔵合金の温度が上限値t2よりも大きい場合には、ステップS110に進み、水素吸蔵タンク1への熱供給がないものとして、水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)は必要熱量に比例することから、必要熱量に基づき水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)を予測する。換言すれば、水素吸蔵タンク1を加熱する加熱量(この場合はdT/dt=0)とステップS108で算出した最大必要熱量との差から水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)を算出する。
【0049】
次に、ステップS111に進み、水素吸蔵合金の温度とステップS110で予測した温度変化率(dT/dt)から、水素吸蔵タンク1に送気すべき空気の温度(以下、目標空気温度という)を設定する。詳述すると、図3に示す仮目標温度マップを参照して、水素吸蔵合金の温度に対応する仮目標温度を算出するとともに、図4に示す仮目標温度係数マップを参照して、予測した温度変化率(dT/dt)に対応する仮目標温度係数を算出し、算出した仮目標温度に仮目標温度係数を乗じて目標空気温度を算出する。すなわち、仮目標温度係数を乗ずることにより目標空気温度を補正するのである。
【0050】
ここで、図4に示す仮目標温度係数マップでは、温度変化率(dT/dt)が「0」のとき、すなわち水素吸蔵合金の温度変化がないときの目標空気温度を基準にして、温度変化率(dT/dt)が負の場合、すなわち、温度変化率が下降傾向にある場合には、目標空気温度が高くなるように仮目標温度係数が設定されており、温度変化率(dT/dt)が正の場合、すなわち、温度変化率が上昇傾向にある場合には、目標空気温度が低くなるように仮目標温度係数が設定されている。
このように目標空気温度の補正を行うことにより、水素吸蔵タンク1に送気される空気の温度を真の目標空気温度に迅速に収束するように制御することができることとなる。
【0051】
また、水素吸蔵合金の温度の下降速度が大きいほど目標空気温度をより高く、水素吸蔵合金の温度の上昇速度が大きいほど目標空気温度をより低くなるように前記仮目標温度係数を設定している。このように設定することで、水素吸蔵合金の温度を常に安定した状態に維持でき、水素を放出することができるようになる。
なお、図3において温度t3は、水素吸蔵タンク1の常用耐圧値を解離圧としたときに対応する温度であり、水素吸蔵合金の温度はt3以下に制御する必要がある。
【0052】
次に、ステップS112に進み、温度センサTC4,TC5の出力信号を読み取りこれに基づき冷気ダクト25から導入される冷気の温度および外気ダクト23から導入される外気の温度を算出する。
次に、ステップS113に進み、前記目標空気温度になるように流量制御弁V4,V5,V6の開度を制御する。
【0053】
次に、ステップS114に進み流量制御弁V3を全閉にして水素タンク19から燃料電池7への水素供給を停止し、流量制御弁V1を全開にして水素吸蔵タンク1から燃料電池7への水素供給を可能にする。
次に、ステップS115に進み、ステップS102で予測した必要水素流量となるように流量制御弁V2の開度を制御して、ステップS107に進む。ステップS107以降の処理については前述した通りであるので説明を省略する。
【0054】
一方、ステップS109において否定判定した場合、すなわち、水素吸蔵合金の温度が上限値t2以下である場合には、ステップS116に進み、温度センサTC2,TC4,TC5の出力信号を読み取りこれに基づき熱交換チューブ5の直ぐ下流における加熱空気の温度、冷気ダクト25から導入される冷気の温度、外気ダクト23から導入される外気の温度を算出するとともに、ファン29の回転数を読み取りこれに基づき水素吸蔵タンク1に送気される空気量を算出する。
【0055】
次に、ステップS117に進み、水素吸蔵合金の温度と熱交換チューブ5の直ぐ下流における加熱空気の温度と水素吸蔵タンク1に送気される空気量に基づき、現時点で水素吸蔵タンク1に供給可能な最大加熱量を予測する。水素吸蔵タンク1に供給可能な最も高い加熱空気の温度は熱交換チューブ5の直ぐ下流の加熱空気の温度であり、この加熱空気だけを水素吸蔵タンク1へ送気したときが最大加熱量となる。最大加熱量は、熱交換チューブ5の直ぐ下流の加熱空気の温度と水素吸蔵合金の温度の温度差に比例するので、これから予測することができる。
【0056】
次に、ステップS118に進み、ステップS117で予測した最大加熱量はステップS108で予測した最大必要熱量以上か否か判定する。ここで、最大加熱量が最大必要熱量以上であるときには水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)は正になる(温度上昇する)と予測され、最大加熱量が最大必要熱量よりも小さいときには水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)は負になる(温度降下する)と予測される。
【0057】
ステップS118において肯定判定した場合、すなわち、最大加熱量が最大必要熱量以上である場合には、ステップS119に進み、温度センサTC4,TC5の出力信号を読み取りこれに基づき冷気ダクト25から導入される冷気の温度および外気ダクト23から導入される外気の温度を算出する。
次に、ステップS120に進み、温度変化率(dT/dt)は最大加熱量と最大必要熱量との熱量差に比例することから、最大加熱量と最大必要熱量に基づいて水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)を予測する。
【0058】
次に、ステップS121に進み、水素吸蔵合金の温度とステップS120で予測した温度変化率(dT/dt)から、水素吸蔵タンク1に送気すべき空気の温度(すなわち、目標空気温度)を設定する。目標空気温度の設定方法はステップS111における方法と同じである。すなわち、図4に示す仮目標温度係数マップを参照して、予測した温度変化率(dT/dt)に対応する仮目標温度係数を算出するとともに、図3に示す仮目標温度マップを参照して、水素吸蔵合金の温度に対応する仮目標温度を算出し、この仮目標温度に前記仮目標温度係数を乗じて目標空気温度を算出する。すなわち、仮目標温度係数を乗ずることにより目標空気温度を補正しており、これにより、水素吸蔵タンク1に送気される空気の温度を真の目標空気温度に迅速に収束するように制御することができることとなる。
【0059】
次に、ステップS122に進み、前記目標空気温度になるように流量制御弁V4,V5,V6の開度を制御する。
次に、ステップS123に進み、流量制御弁V3を全閉にして水素タンク19から燃料電池7への水素供給を停止し、流量制御弁V1を全開にして水素吸蔵タンク1から燃料電池7への水素供給を可能にする。
【0060】
次に、ステップS124に進み、ステップS102で予測した必要水素流量となるように流量制御弁V2の開度を制御して、ステップS107に進む。ステップS107以降の処理については前述した通りであるので説明を省略する。
【0061】
一方、ステップS118において否定判定した場合、すなわち、最大加熱量が最大必要熱量よりも小さい場合には、ステップS125に進み、温度変化率(dT/dt)は最大加熱量と最大必要熱量との熱量差に比例することから、最大加熱量と最大必要熱量に基づいて水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)を予測する。
【0062】
次に、ステップS126に進み、流量制御弁V5,V6を全閉にして外気ダクト23,冷気ダクト25からの外気および冷気の導入を停止し、流量制御弁V4を全開にしてダクト3から外気を導入して、加熱外気だけを水素吸蔵タンク1に送気するようにする。これにより、最も高い温度の加熱空気を水素吸蔵タンク1へ送気して、水素吸蔵合金の温度低下の抑制を図る。
【0063】
次に、ステップS127に進み、水素吸蔵合金の温度とステップS125で予測した水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)に基づいて、図5に示す放出割合マップを参照して、全水素供給流量に対する水素吸蔵タンク1から放出すべき水素流量の割合(以下、水素吸蔵タンク1の放出割合という)を算出し、この放出割合をステップS102で予測した必要水素流量に乗じて、水素吸蔵タンク1から放出する水素流量を設定する。
なお、図5に示す放出割合マップは、水素吸蔵合金の温度が設定値t0に接近する方向に推移するように放出割合が設定されており、放出割合は、負の温度変化率(dT/dt)の絶対値が大きくなるほど小さくなり、水素吸蔵合金の温度が低くなるほど小さくなるように設定されている。
【0064】
次に、ステップS128に進み、流量制御弁V2を全開にし、さらに、ステップS129に進み、ステップS127で設定した水素流量で水素吸蔵タンク1から水素が放出されるように流量制御弁V1の開度を制御するとともに、これでは不足する水素流量を水素タンク19から放出されるように流量制御弁V3の開度を制御する。すなわち、水素吸蔵タンク1から放出される水素の流量と水素タンク19から放出される水素の流量の和が、燃料電池7に必要とされる水素の流量となるように、流量制御弁V1,V3の開度を制御する。これにより、水素吸蔵タンク1から放出された水素と水素タンク19から放出された水素が水素供給管11で合流した後、燃料電池7に供給されることになる。
この後、ステップS107に進む。ステップS107以降の処理については前述した通りであるので説明を省略する。
【0065】
図6は、前述した水素供給処理による制御パターンを示す図であり、縦軸に水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)をとり、横軸に水素吸蔵合金の温度をとっている。これについて、以下に説明する。
【0066】
水素吸蔵合金の温度が下限値t1よりも低いときには、温度変化率(dT/dt)にかかわらず、水素タンク19の水素だけを燃料電池7に供給し、ダクト3の上流側開口端から導入されて熱交換チューブ5で加熱された加熱外気だけを水素吸蔵タンク1に送気して、水素吸蔵タンク1の早期加熱を図る。
【0067】
また、水素吸蔵合金の温度が上限値t2よりも高いときには、温度変化率(dT/dt)にかかわらず、水素吸蔵タンク1の水素だけを燃料電池7に供給し、また、水素吸蔵タンク1を冷却するように流量制御弁V4,V5,V6を制御する。これにより、水素吸蔵タンク1からの水素放出量を増大させて、水素吸蔵合金の温度上昇を抑制することができるので、水素吸蔵タンク1内の圧力上昇を抑制することができる。
【0068】
また、水素吸蔵合金の温度が下限値t1以上であり且つ上限値t2以下のときには、温度変化率(dT/dt)の正負によって制御パターンが異なる。
温度変化率(dT/dt)が正の場合には、水素吸蔵タンク1の水素だけを燃料電池7に供給し、また、水素吸蔵タンク1に送気される空気の温度が目標空気温度となるように流量制御弁V4,V5,V6を制御する。これにより、水素吸蔵合金の温度上昇を抑制することができる。
一方、温度変化率(dT/dt)が負の場合には、水素吸蔵タンク1と水素タンク19の両方から水素を所定流量比で燃料電池7に供給し、ダクト3の上流側開口端から導入されて熱交換チューブ5で加熱された加熱外気だけを水素吸蔵タンク1に送気して、水素吸蔵タンク1を加熱する。これにより、水素吸蔵合金の温度降下を抑制することができる。
【0069】
この第1の実施の形態における燃料電池用水素供給装置によれば、水素吸蔵合金の温度状態によらず燃料電池へ水素を安定供給することができる。
また、水素吸蔵合金の温度とその温度変化率(dT/dt)に応じて、水素吸蔵タンク1および水素タンク19から放出される各水素流量を制御しているので、水素吸蔵合金の温度を所望の温度に迅速に収束させることができる。
【0070】
次に、上述した第1の実施の形態における燃料電池への水素供給処理に関連する技術であって、第1の実施の形態の燃料電池用水素供給装置と同じ装置構成の水素供給装置を用いて実施が可能な燃料電池への水素供給処理の参考例について説明する。
水素供給装置の構成については前述した第1の実施の形態と全く同じであるので、図1の図面を援用して説明を省略し、図7のフローチャートを参照して参考例の走行モードにおける燃料電池への水素供給処理を説明する。
【0071】
この参考例では、燃料電池7への水素供給源を、水素吸蔵合金の温度が下限値t1よりも低い場合には水素タンク19にし、水素吸蔵合金の温度が下限値t1以上の場合には水素吸蔵タンク1に切り替え制御するだけである。
なお、この参考例の場合も、第1の実施の形態の場合と同様に、走行モードにおいて水素吸蔵合金の温度を設定値t0となるように制御するものとする(下限値t1<t0<上限値t2)。
【0072】
水素供給装置は始動終了により走行モードに入り、ECU37は、まず、ステップ2101において、温度センサTC1の出力信号を読み取りこれに基づき水素吸蔵タンク1に収納されている水素吸蔵合金の温度を算出する。
次に、ステップS202に進み、車両のアクセル開度および出力等から燃料電池7の必要水素流量を予測する。
【0073】
さらに、ステップS203に進み、水素吸蔵合金の温度が下限値t1よりも小さいか否か判定する。
ステップS203において肯定判定した場合、すなわち、水素吸蔵合金の温度が下限値t1よりも低いときには、水素吸蔵合金から水素を放出することができないので、ステップS204に進み、流量制御弁V1を全閉にして水素吸蔵タンク1から燃料電池7への水素供給を停止し、流量制御弁V3を全開にして水素タンク19から燃料電池7への水素供給を可能にする。
【0074】
次に、ステップS205に進み、ステップS202で予測した必要水素流量となるように流量制御弁V2の開度を制御し、さらに、ステップS206に進み、流量制御弁V5,V6を全閉にして外気ダクト23,冷気ダクト25からの外気および冷気の導入を停止し、流量制御弁V4を全開にしてダクト3から外気を導入して、加熱外気だけを水素吸蔵タンク1に送気するようにする。これにより、最も高い温度の加熱空気を水素吸蔵タンク1へ送気して、水素吸蔵合金の温度の回復を図る。
【0075】
次に、ステップS207に進み、運転停止指令があるか否か判定し、ステップS207において否定判定した場合にはステップS201に戻り、ステップS207において肯定した場合には本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0076】
一方、ステップS203において否定判定した場合、すなわち、水素吸蔵合金の温度が下限値t1以上であるときには、水素吸蔵合金から水素放出可能であるので、ステップS208に進み、水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)を計測する。
【0077】
次に、ステップS209に進み、水素吸蔵合金の温度とステップS208で計測した温度変化率(dT/dt)から、水素吸蔵タンク1に送気すべき空気の温度(目標空気温度)を設定する。この目標空気温度の設定方法は、第1の実施の形態における目標空気温度の設定方法と同様であり、図3および図4の図面を援用して説明すると、図4に示す仮目標温度係数マップを参照して、温度変化率(dT/dt)に対応する仮目標温度係数を算出するとともに、図3に示す仮目標温度マップを参照して、水素吸蔵合金の温度に対応する仮目標温度を算出し、この仮目標温度に前記仮目標温度係数を乗じて目標空気温度を算出する。すなわち、仮目標温度係数を乗ずることにより目標空気温度を補正しており、これにより、水素吸蔵タンク1に送気される空気の温度を真の目標空気温度に迅速に収束するように制御することができることとなる。
仮目標温度マップ、および、仮目標温度係数マップについては、図3および図4に示す第1の実施の形態のものと同様であるので説明を省略する。
【0078】
次に、ステップS210に進み、温度センサTC4,TC5の出力信号を読み取りこれに基づき冷気ダクト25から導入される冷気の温度および外気ダクト23から導入される外気の温度を算出する。
【0079】
次に、ステップS211に進み、前記目標空気温度になるように流量制御弁V4,V5,V6の開度を制御する。
次に、ステップS212に進み、流量制御弁V3を全閉にして水素タンク19から燃料電池7への水素供給を停止し、流量制御弁V1を全開にして水素吸蔵タンク1から燃料電池7への水素供給を可能にする。
【0080】
次に、ステップS213に進み、ステップS202で予測した必要水素流量となるように流量制御弁V2の開度を制御する。
次に、ステップS207に進み、運転停止指令があるか否か判定し、ステップS207において否定判定した場合にはステップS201に戻り、ステップS207において肯定した場合には本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0081】
図8は、前述した水素供給処理による制御パターンを示す図であり、縦軸に水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)をとり、横軸に水素吸蔵合金の温度をとっている。これについて、以下に説明する。
【0082】
水素吸蔵合金の温度が下限値t1よりも低いときには、温度変化率(dT/dt)にかかわらず、水素タンク19の水素だけを燃料電池7に供給し、ダクト3の上流側開口端から導入されて熱交換チューブ5で加熱された加熱外気だけを水素吸蔵タンク1に送気して、水素吸蔵合金の早期加熱を図る。
【0083】
また、水素吸蔵合金の温度が下限値t1以上のときには、水素吸蔵タンク1の水素だけを燃料電池7に供給する。ただし、このときには、供給温度変化率(dT/dt)の正負によって空気の制御パターンが異なる。温度変化率(dT/dt)が正の場合(すなわち、温度上昇時)には、水素吸蔵タンク1に送気される空気の温度が目標空気温度になるように流量制御弁V4,V5,V6の開度を制御するが、温度変化率(dT/dt)が負の場合(すなわち、温度低下時)には、流量制御弁V4だけを全開にして熱交換チューブ5で加熱された加熱外気だけを水素吸蔵タンク1に送気し、水素吸蔵合金の温度回復を図る。
【0084】
この参考例における燃料電池への水素供給処理によれば、水素吸蔵合金の温度状態によらず燃料電池へ水素を安定供給することができる。
また、水素吸蔵合金1の温度とその温度変化率(dT/dt)に応じて、水素吸蔵タンク1から放出される水素流量を制御しているので、水素吸蔵合金の温度を所望の温度に迅速に収束させることができる。
【0085】
〔第2の実施の形態〕
次に、この発明に係る燃料電池用水素供給装置の第2の実施の形態を説明する。水素供給装置の構成については前述した第1の実施の形態と全く同じであるので、図1の図面を援用して説明を省略し、図9のフローチャートを参照して第2の実施の形態の走行モードにおける燃料電池への水素供給処理を説明する。
【0086】
この第2の実施の形態における水素供給処理が第1の実施の形態における水素供給処理と相違する点は、水素吸蔵合金の温度が下限値t1以上且つ上限値t2以下のときであって温度変化率(dT/dt)が負の場合の制御パターンにあり、この場合の第2の実施の形態における制御パターンは、最大加熱量を水素吸蔵タンク1に供給したときに水素吸蔵タンク1から放出可能な最大水素放出量を水素吸蔵タンク1から放出させ、これにより水素吸蔵合金が温度変化しないようにし、そして、水素吸蔵タンク1から最大水素放出量を放出しただけでは燃料電池7の必要水素流量に足りない分の水素流量を水素タンク19からの放出量で補うように制御している。
【0087】
なお、この第2の実施の形態の場合も、第1の実施の形態の場合と同様に、走行モードにおいて水素吸蔵合金の温度を設定値t0となるように制御するものとする(下限値t1<t0<上限値t2)。
【0088】
ステップS301からステップS324は、第1の実施の形態におけるステップS101からステップS124に対応し、その処理内容は全く同じであるので説明を省略し、ステップS325以降の処理について説明する。
【0089】
ステップS318において否定判定した場合、すなわち、最大加熱量が最大必要熱量より小さい場合には、ステップS325に進み、ステップS317で予測した最大加熱量を水素吸蔵タンク1に供給した場合に水素吸蔵タンク1から放出される水素流量(以下、これを最大水素放出量という)を予測する。
【0090】
ステップS326に進み、流量制御弁V5,V6を全閉にして外気ダクト23,冷気ダクト25からの外気および冷気の導入を停止し、流量制御弁V4を全開にしてダクト3から外気を導入して、加熱外気だけを水素吸蔵タンク1に送気するようにする。これにより、最大加熱量を水素吸蔵タンク1に供給可能にする。
【0091】
次に、ステップS327に進み、流量制御弁V2を全開にし、さらに、ステップS328に進み、ステップS325で予測した最大水素放出量で水素吸蔵タンク1から水素が放出されるように流量制御弁V1の開度を制御するとともに、これだけでは不足する水素流量を水素タンク19から放出されるように流量制御弁V3の開度を制御する。すなわち、水素吸蔵タンク1から放出される水素の流量と水素タンク19から放出される水素の流量の和が、燃料電池7に必要とされる水素の流量となるように、流量制御弁V1,V3の開度を制御する。これにより、水素吸蔵タンク1から放出された水素と水素タンク19から放出された水素が水素供給管11で合流した後、燃料電池7に供給されることになる。
この後、ステップS107に進む。ステップS107以降の処理については前述した通りであるので説明を省略する。
【0092】
図10は、前述した水素供給処理による制御パターンを示す図であり、縦軸に水素吸蔵合金の温度変化率(dT/dt)をとり、横軸に水素吸蔵合金の温度をとっている。これについて、以下に説明する。
【0093】
水素吸蔵合金の温度が下限値t1よりも低いときと、水素吸蔵合金の温度が上限値t2よりも高いときと、水素吸蔵合金の温度が下限値t1以上且つ上限値t2以下であって温度変化率(dT/dt)が正のときは、第1の実施の形態と同じである。
すなわち、水素吸蔵合金の温度が下限値t1よりも低いときには、温度変化率(dT/dt)にかかわらず、水素タンク19の水素だけを燃料電池7に供給し、ダクト3の上流側開口端から導入されて熱交換チューブ5で加熱された加熱外気だけを水素吸蔵タンク1に送気して、水素吸蔵合金の早期加熱を図る。
【0094】
また、水素吸蔵合金の温度が上限値t2よりも高いときには、温度変化率(dT/dt)にかかわらず、水素吸蔵タンク1の水素だけを燃料電池7に供給し、また、水素吸蔵タンク1を冷却するように流量制御弁V4,V5,V6を制御する。これにより、水素吸蔵タンク1からの水素放出量を増大させて、水素吸蔵合金の温度上昇を抑制することができるので、水素吸蔵タンク1内の圧力上昇を抑制することができる。
【0095】
また、水素吸蔵合金の温度が下限値t1以上且つ上限値t2以下のときであって温度変化率(dT/dt)が正の場合には、水素吸蔵タンク1の水素だけを燃料電池7に供給し、水素吸蔵タンク1に送気される空気の温度が目標空気温度となるように流量制御弁V4,V5,V6を制御する。これにより、水素吸蔵合金の温度上昇を抑制することができる。
【0096】
しかしながら、この第2の実施の形態では、水素吸蔵合金の温度が下限値t1以上且つ上限値t2以下のときであって温度変化率(dT/dt)が負の場合には、第1の実施の形態の場合と制御パターンを異にする。すなわち、この場合に、第2の実施の形態では、最大加熱量で放出可能な最大水素放出量の水素を水素吸蔵タンク1から放出させて(換言すれば、水素吸蔵合金の温度変化率dT/dt=0になるようにして)燃料電池7に供給し、それだけでは燃料電池7の要求水素流量に足りない場合、すなわち最大水素放出量<燃料電池7の要求水素量の場合は要求水素量に足らない分を水素タンク19から燃料電池7に供給し、ダクト3の上流側開口端から導入されて熱交換チューブ5で加熱された加熱外気だけを水素吸蔵タンク1に送気して、水素吸蔵タンク1を加熱する。これにより、燃料電池7へ水素を過不足なく供給することができるので、燃料電池7の適正な運転を実現することができるとともに、エネルギー損失を低減することができる。また、水素吸蔵合金の温度を変化させず一定温度に制御することができる。さらに、水素タンク19の水素の使用量を少なくすることができ、水素タンクの容量を小さくすることができる。
【0097】
この第2の実施の形態における燃料電池用水素供給装置によれば、水素吸蔵合金の温度状態によらず燃料電池へ水素を安定供給することができる。
また、水素吸蔵合金の温度とその温度変化率(dT/dt)に応じて、水素吸蔵タンク1および水素タンク19から放出される各水素流量を制御しているので、水素吸蔵合金の温度を所望の温度に迅速に収束させることができる。
【0098】
【発明の効果】
以上説明するように、請求項1に記載した発明によれば、流量制御手段で水素流量を制御することにより、水素吸蔵タンクを加熱しつつ水素吸蔵タンクだけから水素を放出させて燃料電池に供給したり、水素タンクだけから水素を放出させて燃料電池に供給したり、水素吸蔵タンクと水素タンクの両方から水素を放出させこれらを合流させて燃料電池に供給することができるので、加熱手段による水素吸蔵タンクの加熱状態を考慮して前記水素流量を制御することができるという優れた効果が奏される。
【0099】
また、水素吸蔵タンクおよび水素タンクから放出される水素の各水素流量を水素吸蔵合金の温度に応じて最適に制御することができるので、燃料電池へ水素を安定供給することができるという効果がある。
【0100】
さらに、水素吸蔵合金の温度が該水素吸蔵合金からの水素放出量が低下する下限温度よりも低いときには、水素吸蔵タンクから燃料電池へ水素を供給するのを停止して、水素タンクから燃料電池に水素を供給することができるので、水素吸蔵タンクから燃料電池への水素供給が困難なときにも、燃料電池に水素を安定供給することができるという効果がある。
【0101】
また、水素吸蔵合金の温度が上限温度よりも高いときには水素タンクから燃料電池へ水素を供給するのを停止して水素吸蔵タンクから燃料電池へ水素を供給するので、水素吸蔵タンクからの水素放出量が増大し、水素吸蔵合金の温度上昇を抑制することができるので、水素吸蔵タンク内の圧力上昇を抑制することができる。
【0102】
また、水素吸蔵合金の温度が下限温度以上で上限温度以下のときには、水素吸蔵合金の温度変化率に応じて水素吸蔵タンクから放出される水素流量と水素タンクから放出される水素流量の流量比を最適に制御することができるので、水素吸蔵合金の温度を所望の温度に制御することができるという効果がある。
【0103】
請求項2に記載の発明によれば、燃料電池へ水素を安定供給しつつ水素吸蔵合金の温度上昇および温度降下を抑制することができるので、燃料電池への水素の安定供給と水素吸蔵合金の適正な温度制御を両方同時に実現することができるという効果がある。
【0104】
【0105】
請求項3に記載の発明によれば、水素吸蔵合金の温度を一定温度に制御することができるという効果がある。
【0106】
請求項4に記載の発明によれば、水素吸蔵タンクから放出される水素量に応じて、水素タンクから放出すべき水素量を最適に制御することができる。
請求項5に記載の発明によれば、燃料電池へ水素を過不足なく供給することができるので、燃料電池の適正な運転を実現することができるとともに、エネルギー損失の低減を実現することができるという効果がある。
【0107】
請求項6に記載の発明によれば、水素吸蔵タンクから最大水素放出量の水素が放出されるので、水素吸蔵合金の温度が変化しないようにすることができ、且つ、燃料電池の要求する要求水素量を満足させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、水素タンクの水素の使用量を減少させることができるので、水素タンクの容量を小さくすることができるという効果がある。
【0108】
請求項8,9に記載の発明によれば、加熱手段から水素吸蔵タンクへ必要熱量を確実に供給することができるので、水素吸蔵合金の温度を適正に制御することができ、水素吸蔵タンクから水素を安定して放出することができるという効果がある。
【0109】
請求項10に記載の発明によれば、水素吸蔵合金の温度を所望の温度に確実に制御することができるので、水素吸蔵タンクから燃料電池への水素供給量を適正に制御することができるという効果がある。
【0110】
請求項11に記載の発明によれば、加熱量と必要熱量に応じて熱媒体の目標温度を補正することにより、熱媒体の温度をより早く正確に制御することができ、水素吸蔵タンクから燃料電池へ水素を安定供給することができるという効果がある。
【0111】
請求項12に記載の発明によれば、水素吸蔵合金の温度が下がる傾向にあると熱媒体の目標温度を高く補正され、水素吸蔵合金の温度が上がる傾向にあると熱媒体の目標温度を低く補正されて、熱媒体をより速く目標温度に収束させることができるので、水素吸蔵合金の温度を所望の温度に制御することができ、水素吸蔵タンクから燃料電池へ水素を安定供給することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る第1の実施の形態における水素供給装置を備えた自動車用燃料電池のシステム構成図である。
【図2】 前記第1の実施の形態における水素供給処理を示すフローチャートである。
【図3】 前記第1の実施の形態において使用される仮目標温度マップである。
【図4】 前記第1の実施の形態において使用される仮目標温度係数マップである。
【図5】 前記第1の実施の形態において使用される放出割合マップである。
【図6】 前記第1の実施の形態における水素供給処理による制御パターン図である。
【図7】 参考例における水素供給処理を示すフローチャートである。
【図8】 前記参考例における水素供給処理による制御パターン図である。
【図9】 この発明に係る第2の実施の形態における水素供給処理を示すフローチャートである。
【図10】 前記第2の実施の形態における水素供給処理による制御パターン図である。
【符号の説明】
1 水素吸蔵タンク
3 ダクト(加熱手段)
5 熱交換チューブ(加熱手段)
7 燃料電池
9,11,13,17 水素供給管(水素流路)
19 水素タンク
21 合流ダクト(加熱手段)
23 外気ダクト(加熱手段)
25 冷気ダクト(加熱手段)
V1,V2,V3 流量制御弁(流量制御手段)
V4,V5,V6 流量制御弁(加熱手段)
t1 下限値(下限温度)
t2 上限値(上限温度)
S108,S308 必要熱量算出手段
S121,S321 目標温度算出手段
S317 加熱量算出手段
S325 最大水素放出量算出手段
Claims (12)
- 燃料電池の燃料である水素を吸放出可能な水素吸蔵合金を収納した水素吸蔵タンクと、
水素を圧縮状態で貯蔵可能な水素タンクと、
前記水素吸蔵合金から水素を放出させるために前記水素吸蔵タンクを加熱する加熱手段と、
前記水素吸蔵タンクから放出された水素と前記水素タンクから放出された水素を合流させて前記燃料電池へ供給可能にする水素流路と、
前記水素吸蔵タンクおよび水素タンクから放出される各水素流量を制御する流量制御手段と、を備え、
前記水素吸蔵合金の温度に応じて前記流量制御手段が前記各水素流量を制御する燃料電池用水素供給装置であって、
前記流量制御手段は、
前記水素吸蔵合金の温度が下限温度よりも低いときには前記水素吸蔵タンクから前記燃料電池へ水素を供給するのを停止して前記水素タンクから前記燃料電池へ水素を供給し、
前記水素吸蔵合金の温度が上限温度よりも高いときには前記水素タンクから前記燃料電池へ水素を供給するのを停止して前記水素吸蔵タンクから前記燃料電池へ水素を供給し、
前記水素吸蔵合金の温度が下限温度以上で上限温度以下のときには、前記水素吸蔵タンクから前記燃料電池へ水素を供給するとともに、前記水素吸蔵合金の温度変化率に応じて前記水素タンクから前記燃料電池に供給する水素の流量を制御することを特徴とする燃料電池用水素供給装置。 - 前記水素吸蔵合金の温度が下限温度以上で上限温度以下のときの前記温度変化率が上昇傾向にあるときには、前記水素タンクから前記燃料電池へ水素を供給するのを停止して前記水素吸蔵タンクから前記燃料電池へ水素を供給するように前記流量制御手段を制御し、前記温度変化率が下降傾向にあるときには、前記水素吸蔵タンクおよび前記水素タンクから前記燃料電池へ水素を供給するように前記流量制御手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用水素供給装置。
- 前記流量制御手段は前記温度変化率が「0」になるように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池用水素供給装置。
- 前記流量制御手段は、前記加熱手段によって加熱することで前記水素吸蔵タンクから放出される水素量に応じて前記水素タンクから放出する水素量を制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池用水素供給装置。
- 前記流量制御手段は、前記水素吸蔵タンクから放出される水素量と前記水素タンクから放出される水素量の和が前記燃料電池の要求する要求水素量になるように、前記水素タンクから放出する水素量を制御することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用水素供給装置。
- 前記加熱手段によって前記水素吸蔵タンクを加熱する熱量を算出する加熱量算出手段と、
前記加熱量算出手段で算出された加熱量に応じて前記水素吸蔵タンクから放出できる最大水素放出量を算出する最大水素放出量算出手段と、
をさらに備え、前記流量制御手段は、前記最大水素放出量算出手段で算出された最大水素放出量に応じて前記水素タンクから放出する水素量を制御することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池用水素供給装置。 - 前記流量制御手段は、前記最大水素放出量で前記要求水素量を賄える場合には前記水素タンクから水素を放出しないように制御することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池用水素供給装置。
- 前記水素吸蔵タンクから放出される水素量から該水素吸蔵タンクが必要とする必要熱量を算出する必要熱量算出手段をさらに備え、
前記必要熱量算出手段で算出した必要熱量に応じて前記加熱手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用水素供給装置。 - 前記加熱手段は、前記燃料電池の廃熱によって加熱された温度制御可能な熱媒体を供給して前記水素吸蔵タンクを加熱することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池用水素供給装置。
- 前記水素吸蔵合金の温度に応じて前記熱媒体の目標温度を算出する目標温度算出手段を備え、前記熱媒体が目標温度になるように前記加熱手段を制御することを特徴とする請求項9に記載の燃料電池用水素供給装置。
- 前記加熱手段によって前記水素吸蔵タンクを加熱する加熱量と前記必要熱量算出手段で算出した必要熱量に応じて前記熱媒体の目標温度を補正することを特徴とする請求項10に記載の燃料電池用水素供給装置。
- 前記加熱量と前記必要熱量から前記水素吸蔵合金の温度変化率を算出し、この温度変化率が下降傾向にあるときは目標温度を前記目標温度算出手段で算出した目標温度よりも高く補正し、前記温度変化率が上昇傾向にあるときは目標温度を前記目標温度算出手段で算出した目標温度よりも低く補正することを特徴とする請求項11に記載の燃料電池用水素供給装置。
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