JP4354083B2 - 車椅子運搬具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車椅子の走行に支障のある箇所、例えば、階段や段差のある箇所で、人が乗っている車椅子を人力で運搬するための車椅子運搬具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車椅子利用者が車椅子に乗ったまま階段等の段差のある場所を昇降する場合、現在は数人がかりで車椅子を持ち上げたり、鉄道の駅に設置されている電動式の車椅子用階段昇降装置を利用したりしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
人が乗った車椅子はかなり重いため、人力で車椅子を持ち上げるためには大人の男性が3〜4人必要となる。しかし、車椅子を持ち上げる必要のあるときに必要な人数の人を一度に集めることは意外と難しい。又、車椅子用階段昇降装置は高価であるため全ての駅に用意されているとは限らない。用意されている大きな駅でも台数が限られており、常に利用できるわけではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は高価な階段昇降装置を使用することなく、車椅子を大人二人で手軽に肩に担いで吊下げた状態で運搬することができ、しかも担いでいる人が段差のある階段を歩いても車椅子が常に水平に保持されるようにした車椅子運搬具を提供することにある。
【0005】
本発明の請求項1記載の車椅子運搬具は、運搬具本体1と、運搬具本体1に取り付けられて車椅子2を吊り下げ可能な吊り下げ体3とを有し、運搬具本体1は二本の担ぎ棒4が横に間隔をあけて連結され、夫々の担ぎ棒4に回動子5が取り付けられ、回動子5は担ぎ棒4の前後への傾斜角度の変化に拘らず常に所定の向きになるように夫々の担ぎ棒4へ回転可能に取り付けられ、吊り下げ体3は回動子5に巻付け・取り外し可能な索条6の一端に車椅子2へ着脱可能な係止具7が取り付けられ、索条6の他端に車椅子2のハンドル8へ被せたり・取り外したりできるキャップ9が取り付けられたものである。
【0006】
本発明の請求項2記載の車椅子運搬具は、運搬具本体1と、運搬具本体1に取り付けられて車椅子2に係止可能な吊り下げ体10とを有し、運搬具本体1は請求項1における運搬具本体1と同じ構成であり、吊り下げ体10は回動子5に取り付けて吊り下げられる縦材11の下部に、車椅子2の下に差込んで車椅子2を支持する支持部12が横向きに形成されたものである。
【0007】
本発明の請求項3記載の車椅子運搬具は、請求項1の車椅子運搬具に、請求項2の車椅子運搬具における吊り下げ体10を付加したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の車椅子運搬具の実施形態の一例を図面に基づいて詳細に説明する。この車椅子運搬具は図1に示す様に、運搬具本体1に、車椅子2を吊り下げ可能な第1の吊り下げ体3と、第2の吊り下げ体10が取り付けられたものである。
【0009】
運搬具本体1は横に間隔をあけて平行に並べた二本の担ぎ棒4と、それに取り付けられた肩あて20と、回動子5とから構成される。二本の担ぎ棒4はその間に配置した連結材21に溶接固定して平行に連結されている。夫々の担ぎ棒4の両端部に下向き円弧状の肩あて20が取り付けられている。二本の担ぎ棒4には車椅子の前後長よりも長い角パイプが使用されている。前記担ぎ棒4には丸パイプとか他の形状のパイプや棒等を使用することもできる。前記肩あて20は図2に示す様に担ぎ棒4から下方に突設された孔あき支持片22を、肩あて20の上面に突設された二つの支持リング23間に挟んで孔あき支持片22の通孔24と支持リング23の通孔25とを位置合せし、それら通孔24、25に連結ピン26を貫通させて担ぎ棒4に吊り下げて、肩あて20が図1の矢印方向に回動できるようにしてある。肩あて20はこの様に回動することにより担ぎ棒4の傾斜角度が変化しても担ぐ人の肩にフィットし易くなるようにしてある。
【0010】
回動子5は図1に示す様に夫々の担ぎ棒4の長手方向中央部よりもやや一端寄りに回動可能に取り付けられている。回動子5は図3に示す様に、同形、同サイズの二枚の板片27を間隔をあけて対向させ、両板片27間に間隔保持筒28を配置し、一方の板片27の外側から間隔保持筒28内にビス29を差込んで、その先端部を他方の板片27の外側まで突出させ、突出した先端部をかしめて両板片27を所定間隔離して連結してある(図5)。また、図4、図5、図6に示す様に二枚の板片27に開口された通孔30内にガイド筒31を配置し、そのガイド筒31を溶接やカシメ等により板片27に固定し、同ガイド筒31内に円筒状のカラー32(図5)を差込んで回転可能とし、一方の板片27の外側からカラー32内にボルト33を差込んでボルト33の先端部を他方の板片27の外側まで突出させ、その突出した先端部にナット34を螺合して締めつけてある(図5)。
【0011】
前記回動子5を担ぎ棒4に取り付けるには、ボルト先端部35を担ぎ棒4の外面に溶接とか他の固定手段により固定されているナット36にねじ込んで担ぎ棒4に固定するが、この場合、図5に示す様にボルト先端部35を第2の吊り下げ体10の上端の連結部37の通孔38を貫通させ、その通孔38から突出したボルト先端部35を前記ナット36にねじ込んで、回動子5を担ぎ棒4に取り付けると同時に第2の吊り下げ体10を担ぎ棒4に取り付ける。回動子5及び第2の吊り下げ体10を前記取付け構造とすることにより、カラー32がガイド筒31内で回転できるようになり、担ぎ棒4が前後へ傾斜して傾斜角度が変化してもカラー32の回転により回動子5は板片27の幅の細い方(ボルト33による止め位置よりも長い方)が常に下向きになるようにしてある。
【0012】
第1の吊り下げ体3は図3に示す様に回動子5のガイド筒31(図6)の外周に巻付け・取り外し可能な索条6の一端に、車椅子のフレームへ着脱可能な係止具7が取り付けられ、索条6の他端に車椅子のハンドルへ被せたり・取り外したりできるキャップ9が取り付けられている。索条6には人が乗った車椅子を吊り下げることができる強度のものが使用される。例えば、鋼材製とか他の強度に優れた材料製のワイヤーとかチェーン等が使用される。図6に示す様に索条6はガイド筒31の外周に一回転あるいは二回転といった所望回数巻付けて、一端側を二つの間隔保持筒28の間を通して下向きに引き出し、他端側を上方に引き出してあり、索条6の両端又は一端を引くと索条6がガイド筒31の外周に巻きつくようにしてある。
【0013】
図3に示す係止具7には金属製の鉤が使用され、その上端のリング39が索条6の一端に取り付けてあるフック40に係止されている。フック40には開閉可能な可動片41が取り付けられており、可動片41は図3に示す様に通常は自動的に閉じており、指で内側に押すと開いてリング39を出し入れできるようにしてある。指での押しを解除すると可動片41は自動的に戻って閉じる機構となっている。
【0014】
図3に示すキャップ9には円形のパイプが使用されており、その一端に蓋42を溶接して閉塞し、他端を開口したまま開口部43とし、その開口部43から図8の様に車椅子2のハンドル8に被せることができ、深く被せると蓋42がハンドル8の端部に突き当たってそれ以上深く被さらないようにしてある。キャップ9の外周面にはリング上の係止環44が溶接されており、それに索条6の一端を通し、リング状にした索条6を留め具45で留めて係止環44から抜けないようにしてある。
【0015】
第2の吊り下げ体10は図1に示す様に、上部を縦材11とし、その下に車椅子の下に差込んで車椅子を支持する支持部12を横向きに形成した2本の長尺材46を間隔をあけて平行に配置し、両長尺材46の間に連結及び補強用の連結材47を配置し、それを両長尺材46に溶接することにより、両長尺材46を平行に連結してある。夫々の縦材11の上部は図3の様に押し潰して扁平な連結部37とし、そこに通孔38(図5)が開口され、連結部37の下方をく字状に曲げ、更に下方を多少上向き傾斜のL字状に横向きに曲げて横材48とし、夫々の横材48の横に幅の広い支持板49を溶接により固定して支持部12としてある。長尺材46には丸パイプ、角パイプ、角棒等を使用することもできる。連結部37は前記したように、担ぎ棒4に回動子5を取り付ける時に、図5の様に担ぎ棒4に前後方向に回動可能なるように取り付ける。
【0016】
(使用例1)
本発明の車椅子運搬具は担ぎ棒4に第1の吊り下げ体3だけを取り付けて使用することも、第2の吊り下げ体10だけを取り付けて使用することも、第1と第2の両吊り下げ体3、10を取り付けて両者を併用して使用することもできる。以下に両吊り下げ体3、10を併用して使用する場合の使用例を説明する。
1.図7、図8の様に第2の吊り下げ体10の支持板49を車椅子2の座50の下に差込む。
2.キャップ9を車椅子2の2本のハンドル8に被せる。
3.夫々の係止具7を車椅子2の前方側の適当な箇所に係止する。
4.担ぎ棒4の担ぎ手が両肩の上に肩あて20を載せ、車椅子2の後ろ側を前にして階段の昇り降りを行う。
この場合、回動子5が担ぎ棒4の前後への傾斜角度の変化に拘らず常に所定の向きになるので、車椅子2は図8のように常に水平となるので安全であると共に車椅子使用者に不安感を与えることもない。
【0017】
(使用例2)
次に第1の吊り下げ体3のみを担ぎ棒4に取付けた場合の使用例を説明する。
1.キャップ9を車椅子2の2本のハンドル8に被せる。
2.夫々の係止具7を車椅子2の前方側の適当な箇所に係止する。
3.担ぎ棒4の担ぎ手が両肩の上に肩あて20を載せ、車椅子2の後ろ側を前にして階段の昇り降りを行う。
この場合も、前記使用例1と同様に車椅子2は常に水平となる。
【0018】
(使用例3)
第2の吊り下げ体10のみを担ぎ棒4に取付けた場合は、同吊り下げ体10の支持板49を車椅子2の座50の下に差込み、担ぎ棒4の担ぎ手が両肩の上に肩あて20を載せ、車椅子2の後ろ側を前にして階段の昇り降りを行う。この場合も、前記使用例1と同様に車椅子2は常に水平となる。
【0019】
【発明の効果】
本発明の請求項1の車椅子運搬具は次のような効果を有する。
1.複雑、高価な装置を用いなくても人力で手軽に車椅子を運搬することができる。
2.吊り下げ体により、車椅子を常に水平に保ちながら運搬することができるので、車椅子に座っている人(車椅子利用者)を安全に運搬でき、車椅子利用者に不安感を与えることもない。
【0020】
本発明の請求項2の車椅子運搬具は次のような効果を有する。
1.吊り下げ体を請求項1記載の車椅子運搬具に比べて容易に車椅子にセットすることができる。
【0021】
本発明の請求項3の車椅子運搬具は次のような効果を有する。
1.第1の吊り下げ体と第2の吊り下げ体の双方を備えたので、車椅子を運搬する際、同車椅子がより安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車椅子運搬具の一例を示す斜視図。
【図2】肩あての担ぎ棒への取付け方法を示す斜視図。
【図3】第1の吊り下げ体と第2の吊り下げ体を示す斜視図。
【図4】回動子を示す説明図。
【図5】回動子及び第2の吊り下げ体の担ぎ棒への取り付け方法を示す断面図。
【図6】索条の回動子への巻付け方法を示す説明図。
【図7】第2の吊り下げ体の車椅子への差込み方法を示す斜視図。
【図8】本発明の車椅子運搬具の一使用例を示す説明図。
【符号の説明】
1 運搬具本体
2 車椅子
3 第1の吊り下げ体
4 担ぎ棒
5 回動子
6 索条
7 係止具
8 ハンドル
9 キャップ
10 第2の吊り下げ体
11 縦材
12 支持部

Claims (3)

  1. 運搬具本体(1)と、運搬具本体(1)に取り付けて車椅子(2)を吊り下げる吊り下げ体(3)とを有し、運搬具本体(1)は二本の担ぎ棒(4)が横に間隔をあけて連結され、夫々の担ぎ棒(4)に回動子(5)が取り付けられ、回動子(5)は担ぎ棒(4)の前後への傾斜角度の変化に拘らず常に所定の向きになるように夫々の担ぎ棒(4)へ回転可能に取り付けられ、吊り下げ体(3)は回動子(5)に巻付け・取り外し可能な索条(6)の一端に車椅子(2)へ着脱可能な係止具(7)が取り付けられ、索条(6)の他端に車椅子(2)のハンドル(8)へ被せたり・取り外したりできるキャップ(9)が取り付けられたことを特徴とする車椅子運搬具。
  2. 運搬具本体(1)と、運搬具本体(1)に取り付けられて車椅子(2)を吊り下げ可能な吊り下げ体(10)とを有し、運搬具本体(1)は二本の担ぎ棒(4)が横に間隔をあけて連結され、夫々の担ぎ棒(4)に回動子(5)が取り付けられ、回動子(5)は担ぎ棒(1)の前後への傾斜角度の変化に拘らず常に所定の向きになるように夫々の担ぎ棒(4)へ回転可能に取り付けられ、吊り下げ体(10)は回動子(5)に取り付けて吊り下げられる縦材(11)の下部に、車椅子(2)の下に差込んで車椅子(2)を支持する支持部(12)が横向きに形成されたことを特徴とする車椅子運搬具。
  3. 運搬具本体(1)と、運搬具本体(1)に取り付けられて車椅子(2)を吊り下げ可能な第1の吊り下げ体(3)及び第2の吊り下げ体(10)とを有し、運搬具本体(1)は二本の担ぎ棒(4)が横に間隔をあけて連結され、夫々の担ぎ棒(4)に回動子(5)が取り付けられ、回動子(5)は担ぎ棒(1)の前後への傾斜角度の変化に拘らず常に所定の向きになるように夫々の担ぎ棒(4)へ回転可能に取り付けられ、第1の吊り下げ体(3)は回動子(5)に巻付け・取り外し可能な索条(6)の一端に車椅子(2)へ着脱可能な係止具(7)が取り付けられ、索条(6)の他端に車椅子(2)のハンドル(8)へ被せたり・取り外したりできるキャップ(9)が取り付けられ、第2の吊り下げ体(10)は回動子(5)に取り付けて吊り下げられる縦材(11)の下部に、車椅子(2)の下に差込んで車椅子(2)を支持する支持部(12)が横向きに形成されたことを特徴とする車椅子運搬具。
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