JP4353724B2 - 徐放化農薬製剤及びそれを用いた水稲病害虫防除方法 - Google Patents

徐放化農薬製剤及びそれを用いた水稲病害虫防除方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農作物に害を与える害虫及び病気からの農作物の保護を図ることのできる薬剤を含有する農薬製剤に関するものであり、さらに詳しくは、有効成分の溶出性を制御し、田植え時以前の処理にもかかわらず移植直後から出穂期以降の害虫防除が可能な農薬製剤及びそれを用いた水稲病害虫防除方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
農薬は、対象とする農作物を雑草、害虫、病気などから保護する目的で使用され、製剤の種類やその処理時期は有効成分の特徴や使用目的に応じて様々である。
近年、農業従事者の減少或いは高齢化の問題から、農薬散布の省力化が求められている。そのような状況のもと、病害虫防除の分野では育苗箱処理に代表される田植え時以前の処理に対応した薬剤が数多く開発されており、その結果、多大な労力を必要とする本田散布が求められる場面は以前に比べて減少している。しかしながら、最近、東日本を中心にカメムシによる出穂期以降の水稲への被害が増加しており、一方で、市販製剤による田植え前処理では同害虫を防除できないことから、田植え前の薬剤処理を行った水田においても適当な薬剤の生育後期の本田散布によるカメムシ防除が余儀なくされているのが実状である。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−104906号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水稲の病害虫に対して防除効果を有する農薬活性成分の溶出性を制御し、既存の市販製剤では困難である出穂期以降の害虫も防除可能とすることにより、田植え時以前の1回の薬剤処理で水稲栽培期間を通じて主要な病害虫の防除が可能な薬剤を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは数多くの溶出制御型農薬製剤について、その溶出性及び防除効果を鋭意研究した結果、有効成分を含有する芯材を水難溶性の膜で被覆した形の農薬製剤とすることにより、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(1)農薬活性成分を含有する芯材を水不溶性或いは水難溶性の膜で被覆して得られる徐放化被覆製剤、及びそれを水稲育苗培土混和処理、播種時処理或いは乳苗期から田植え時までの間の育苗箱処理に使用することによって水田初期から出穂後までに発生する水稲病害虫を防除する方法、(2)水田初期から中期の害虫に加えて出穂期以降の害虫であるカメムシ類の防除に有効な(1)に記載の徐放化被覆製剤及びそれを用いた病害虫防除方法に関するものである。
【0006】
また、本発明は、被覆膜の成分としてゴム及びワックスを用い、25℃における水溶解度が10ppm以上の化合物を農薬活性成分として被膜内に配合し、さらには式1:
【化3】
Figure 0004353724
[式中XはCHまたはNを示し;
Yはニトロ基またはシアノ基を示し;
はハロゲンで置換されていてもよい3−ピリジル基、ハロゲンで置換されていてもよい5−チアゾリル基、またはメチル基で置換されていてもよい3−テトラヒドロフリル基を示し;
は水素またはC1−4アルキル基を示し;
はNR、SR、OR、またはRで表される基(ここでRは水素またはC1−4アルキル基を示し、R、R、R及びRはC1−4アルキル基を示す)を示し;
またはRとR、R、RまたはRとがいっしょになってエチレン基、トリメチレン基、CHOCHで表される基、またはCHN(R)CHで表される基(ここでRはC1−4アルキル基を示す)を示す]
で表される(ネオニコチノイド剤)の化合物、
【0007】
式2:
【化4】
Figure 0004353724
[式中Z及びZは同一または相異なり水素、ナトリウム、カリウム、シアノ基、C1−3アルキル基で1〜2個置換されていてもよいカルバモイル基、C1−3アルキル基で置換されていてもよいベンゼンスルホニル基、スルホ基(SOH)、SOMで表される基(Mはナトリウムまたはカリウムを示す)、スルフィノ基(SOH)、またはSOMで表される基(Mは前記と同意義を示す)で示される基を示し;
またはZとZとが一緒になって結合またはSを示し;
またはZはOを示し、その時ZはZの結合している硫黄原子との結合を示す]で表される(ネライストキシン剤)の化合物またはその塩を農薬活性成分として被膜内に配合することを特徴とする徐放化被覆製剤及びそれを用いた病害虫防除方法に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、農薬活性成分を含有する芯材を、水に対する親和性の低い材料を主成分とする皮膜で被覆したことを特徴とする徐放化被覆製剤、及びそれを田植え時以前に処理することによって水田初期から出穂後までに発生する病害虫の防除方法である。
本発明の製剤の基本的な構造を図1に示す。本発明の製剤は、有効成分を含有する芯材を水に対する親和性の低い材料を主成分とする皮膜で被覆したものであり、皮膜の組成及び量を調節することにより、目的とする病害虫防除に適した溶出性を実現したものである。
本発明で使用する皮膜材料としては特に限定されるものはなく、医薬、農薬、食品、化粧品などの分野で一般的に用いられるものであれば問題はないが、効果、コスト、製造の際の操作性などの点から、ゴム及びワックスを使用することが好ましい。ゴムは天然ゴムでも合成ゴムでもよく、合成ゴムがより好ましい。また、合成ゴムラテックスがさらにより好ましく、後記のブタジエンを主体とした合成ゴムラテックスが最も好ましい。また、ワックスはワックスエマルジョンがより好ましい。合成ゴムラテックス及びワックスエマルジョンを使用した場合、固形分重量比で合成ゴムラテックス8に対してワックスエマルジョンを少なくとも1以上の割合で用いるのが好ましい。
本発明で使用する合成ゴムラテックスとしては任意の合成ゴムラテックスを使用することができる。代表的な例として、スチレン-ブタジエンゴムラテックス、メチルメタクリレート-スチレン-ブタジエンゴムラテックス、エチレン-プロピレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、シリコンゴムラテックスなどが挙げられ、これらは単独または2種以上の混合物であってもよい。
本発明で使用するワックスエマルジョンは動植物或いは石油樹脂系から得られるワックスのエマルジョン、例えばパラフィンワックスエマルジョン、マイクロクリスタリンワックスエマルジョン、ポリオレフィンワックスエマルジョンなどをあげることができる。
【0009】
本発明を適用しうる被膜内に配合する農薬活性成分としては特に限定されないが、例えばクロチアニジン、ニテンピラム、チアメトキサム、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアクロプリド、アセタミプリド、カルタップ塩酸塩、ベンスルタップ、チオシクラム、フィプロニル、エチプロール、アセトプロール、スピノサド、ピメトロジン、ベンフラカルブ、カルボスルファン、フラチオカルブ、ダイアジノン、エチルチオメトン、プロパホス、PHCなどの殺虫剤、オリサストロビン、アゾキシストロビン、メトミノストロビン、チアジニル、カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル、アシベンゾラルSメチル、プロベナゾール、トリシクラゾール、ピロキロン、イソプロチオラン、フラメトピル、チフルザミド、シメコナゾールなどの殺菌剤を挙げることができる。中でも、25℃での水溶解度が10ppm以上の化合物が好ましく、特にクロチアニジン、ニテンピラム、チアメトキサム、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアクロプリドなどのネオニコチノイド剤、カルタップ塩酸塩、チオシクラムなどのネライストキシン剤、オリサストロビン、プロベナゾール、トリシクラゾール、ピロキロン、イソプロチオラン、フラメトピルなどの殺菌剤がより好ましく、それらは単独または2種以上を同時に用いてもよい。さらに、本発明の徐放化被覆製剤はその防除目的に応じて被膜内に配合した農薬活性成分と同一または異なる活性成分を被膜外に配合してもよく、農薬としての活性のない各種助剤を配合することもできる。前記の皮膜内に配合できる化合物は、被膜外に配合して使用し、水田初期に発生する病害虫に対する防除効果を増強することができる。また、被膜内および被膜外に配合する成分として、ダイムロンなどの薬害軽減作用を有する化合物を使用することもでき、カスガマイシンなどを被膜外に配合して育苗期間の病害防除に使用することもできる。
【0010】
本発明の徐放化被覆製剤は、それを田植え時以前に処理することにより、イネミズゾウムシ、イネゾウムシ、イネドロオイムシなどの甲虫目害虫、イネヒメハモグリバエ、イネハモグリバエ、イネキモグリバエイネクキミギワバエなどの双翅目害虫、ツマグロヨコバイ、イネズマヨコバイ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、イネクロカメムシなどの半翅目害虫、コブノメイガ、ニカメイチュウ、サンカメイチュウ、イネツトムシ、フタオビオヤガ、イネヨトウ、アワヨトウ、イネキンウワバなどの鱗翅目害虫、イネアザミウマなどのアザミウマ目害虫、コバネイナゴ、ハネナガイナゴなどの直翅目害虫スクミリンゴガイなどの水田初期から中期に発生する害虫及びいもち病、紋枯病、ごま葉枯れ病、白葉枯病などの水稲病害を防除することができ、特に徐放化製剤であることにより出穂期以降に問題となる斑点米カメムシを防除することができることから、水稲栽培期間を通じて主要な病害虫防除が可能となる。対象となる斑点米カメムシとしては、ナカグロカスミカメ、ブチヒゲクロカスミカメ、ハナグロミドリカスミカメ、マダラカスミカメ、マキバカスミカメ、アカスジカスミカメ、ムギカスミカメ、アカミャクカスミカメ、ナカムギカスミカメ、アカヒゲホソミドリカスミカメなどのカスミカメムシ科、メダカナガカメムシなどのメダカナガカメムシ科、ヒメヒラタナガカメムシ、モンシロナガカメムシ、ウスグロシロヘリナガカメムシ、シロヘリナガカメムシ、アムールシロヘリナガカメムシ、チャイロナガカメムシ、ヒメナガカメムシ、ミナミホソナガカメムシ、クロアシホソナガカメムシ、キベリヒョウタンナガカメムシ、ヒラタヒョウタンナガカメムシ、サビヒョウタンナガカメムシ、ヒゲナガカメムシ、ヨツボシヒョウタンナガカメムシ、マダラナガカメムシ、コバネヒョウタンナガカメムシなどのナガカメムシ科、フタモンホシカメムシなどのホシカメムシ科、アズキヘリカメムシ、ヒメハリカメムシ、ハリカメムシ、ホソハリカメムシ、ホシハラビロヘリカメムシなどのヘリカメムシ科、ヒメクモヘリカメムシ、クモヘリカメムシ、タイワンクモヘリカメムシ、ホソヘリカメムシなどのホソヘリカメムシ科、アカヒメヘリカメムシ、ブチヒゲヘリカメムシなどのヒメヘリカメムシ科、チャイロカメムシなどのキンカメムシ科、エビイロカメムシ、ウズラカメムシ、トゲカメムシ、ムラサキカメムシ、ブチヒゲカメムシ、ハナダカカメムシ、ムラサキシラホシカメムシ、マルシラホシカメムシ、オオトゲシラホシカメムシ、トゲシラホシカメムシ、シラホシカメムシ、クサギカメムシ、イネカメムシ、ツマジロカメムシ、アオクサカメムシ、ミナミアオカメムシ、エゾアオカメムシ、イチモンジカメムシ、チャバネアオカメムシ、アカカメムシ、イネクロカメムシなどが挙げられ、これらカメムシ類の吸汁による斑点米の発生を抑制することができる。
また、田植え前に薬剤処理することによって、育苗期に発生するいもち病などの病害防除も可能である。
田植え時以前の処理の具体例としては、育苗培土混和処理、播種時処理及び乳苗期から田植え時までの間の育苗箱処理などが挙げられる。これら各処理法における徐放化被覆製剤の処理量に特に制限はないが、通常のイネ育苗箱(約30cm×約60cm)あたり30g〜150g程度が好ましい。本発明の徐放化被覆製剤は育苗培土の種類、イネの品種及びそのイネが遺伝子組み替えであるか否かに関係なく使用することができ、籾伝染性病害および育苗培土から感染する病害を防除するための種籾処理あるいは育苗期処理、他製剤による本田処理や生物的防除、あるいは物理的防除などの他の方法による防除と組み合わせてもよい。また、水稲栽培において一般的に行われる除草剤による雑草防除や施肥を組み合わせることなど、通常の水稲栽培において本発明を使用することに何ら問題はない。
本発明の徐放化被覆製剤を製造する際には、ゴム、ワックス及び農薬活性成分の他に農薬製剤に一般的に用いられる各種助剤(例えば担体、界面活性剤、結合剤、流動助剤、安定化剤など)を加えることができる。担体としては、植物性粉末(例えば大豆粉、木粉など)、鉱物性粉末(例えばカオリン、ベントナイト、酸性白土などのクレー類、滑石粉、ロウ石粉などのタルク類、珪藻土、雲母粉などのシリカ類など)、硫酸アンモニウム、重曹などの水溶性担体、炭酸カルシウム、活性炭などがあげられる。前記担体は単独または2種以上を同時に用いてもよい。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられ、結合剤としてはアルファデンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどが、流動助剤としてはホワイトカーボンなどが挙げられる。
【0011】
本発明の徐放化被覆製剤は農薬活性成分を含有する芯材にゴム及びワックスを通常の方法で被覆する方法で製造され、特にあらかじめ活性成分を含有する粒状組成物を製造し、この組成物を核としてゴム及びワックスの混合物を被覆する方法が適している。
製剤の形状については様々な形態があり得る。球状、円筒型、ペレット型、直方体型、円盤型、紐状のタイプなど、様々な形態を挙げることができる。構造的には農薬活性成分を含有する芯材をゴム及びワックスで被覆した構造を有したものであればよい。
前記粒状組成物は一般的な方法を用いて製造することができる。例えば、各種助剤と農薬活性成分を混合し、適量の水を加え、混合、練合の後、スクリーンを通して押し出す方法(押し出し造粒法)、粉体を転動させながら結合剤溶液を噴霧して造粒する方法(転動造粒法)、撹拌翼などを用いて原料粉体に流動運動を与え、結合剤溶液を噴霧して造粒する方法(撹拌造粒法)などを挙げることができる。
粒状組成物を被覆するゴム及びワックスの混合物には、必要に応じて粒状組成物中に配合した農薬活性成分と同一または異なる活性成分を配合してもよく、農薬としての活性のない各種助剤を配合することもできる。その場合、ゴム及びワックスの混合物に農薬活性成分や助剤を加え、均一な懸濁液としたものを前記粒状組成物に被覆して製造する方法が好都合である。
さらに、被覆後の製剤についても、必要に応じて粒状組成物中に配合した農薬活性成分と同一または異なる活性成分を配合してもよく、農薬としての活性のない各種助剤を配合することもできる。その場合、被覆製剤にそれら成分を混合した懸濁液を噴霧し、それを乾燥する方法、それら成分の混合粉体を水または結合剤溶液を噴霧しながら被覆製剤に付着させる方法などが好都合である。
本発明の徐放化被覆製剤は、その技術により、一般的な製剤では農薬活性成分の特性或いは製剤中の含有量等の問題からイネに対する薬害が問題になる製剤についても、それらを効果的に抑制し、田植え時以前の処理に適応した製剤として提供される。
本発明の徐放化被覆製剤中の各成分の配合割合は、製剤全体を100重量部として、農薬活性成分が1〜50重量部、好ましくは1〜30部、ゴムとワックスが混合物として5〜50重量部、好ましくは5〜30重量部、担体が0〜94重量部、好ましくは40〜85重量部である。
【0012】
前記式1で表される化合物〔I〕は通常ネオニコチノイド剤として理解されている。化合物〔I〕の記号中、ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示し、特に塩素が好ましい。C1-4アルキル基とはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチルを示し、メチル基及びエチル基が好ましく、中でもメチル基が好ましい。
式1で表される化合物〔I〕としては、クロチアニジン、ニテンピラム、チアメトキサム、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアクロプリドが好ましい。
式2で表される化合物〔II〕の記号中、C1-3アルキル基とはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルを示す。
式2で表される化合物〔II〕またはその塩は通常ネライストキシン剤として理解されている。化合物〔II〕としては、カルタップ、チオシクラムが好ましく、その塩の酸部分としては化合物〔II〕と塩を形成するものであれば、特に限定されないが塩酸、硫酸、シュウ酸などが好ましい。
【0013】
【実施例】
次に実施例及び試験例を挙げ、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
実施例1
クロチアニジン5.2部、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー0.8部、アルファデンプン3.5部、クレー90.5部を混合した後、15部の水を加えて練合し、穴の直径が0.9mmのスクリーンを用いて造粒する。造粒物を乾燥、篩過して得られるクロチアニジン核粒剤60部をとり、複合型造粒コーティング装置グラニュレックス(GX20)を用いて、スチレン-ブタジエンゴムラテックスとパラフィンワックスを固形分比で4:1に混合したものを固形分として9部被覆して徐放化クロチアニジン粒剤を得る。
【0014】
試験例1
ポットでの育苗箱処理におけるカメムシ類への効果
試験方法
ペーパーポット植えのイネ(日本晴)2.5葉苗の株元土壌表面に上記実施例1で示した製剤を相当量散布し、移植した。出穂約7日後にイネ株全体をゴースで覆い、ゴースの中にアカヒゲホソミドリカスミカメ成虫10頭を放飼した。放飼6日後に生死判定を行い、さらに収穫時に斑点米の調査を行った。
試験結果
表1に示すように、該当製剤の育苗箱施用は、本害虫に高い殺虫活性を示し、かつ吸汁害による斑点米の発生を抑制することがわかった。
【0015】
【表1】
Figure 0004353724
【0016】
試験例2
圃場での育苗箱処理におけるイネミズゾウムシへの効果
試験方法
通常の育苗箱植えのイネ(ヒノヒカリ)2.5葉苗の株元土壌表面に上記実施例1で示した製剤を相当量散布し、移植した。水田に移植後、処理イネ約45株をナミ板で囲みその中にイネミズゾウムシ成虫10頭を週2回の割合で放飼した。処理8日後,15日後および22日後にイネ20株についてイネミズゾウムシ成虫による被害葉率を調査し、処理42日後には処理イネを掘り取り、次世代幼虫密度を調査した。
試験結果
表2に示すように、該当製剤の育苗箱施用は、本種成虫による食害を抑制し、かつ次世代密度も抑制することがわかった。
【0017】
【表2】
育苗箱処理によるイネミズゾウムシに対する薬効
Figure 0004353724
【0018】
試験例3
圃場での育苗箱処理におけるセジロウンカへの効果
試験方法
通常の育苗箱植えのイネ(ヒノヒカリ)2.5葉苗の株元土壌表面に上記実施例1で示した製剤を相当量散布し、移植した。処理24日後,31日後,38日後,45日後および50日後にイネ20株について払い落とし調査を行い,寄生しているセジロウンカ虫数を調査した。
試験結果
表3に示すように、該当製剤の育苗箱施用は、本害虫密度を抑制することがわかった。
【0019】
【表3】
育苗箱処理によるセジロウンカに対する薬効
Figure 0004353724
【0020】
実施例2
実施例1で得られるクロチアニジン核粒剤60部をとり、複合型造粒コーティング装置グラニュレックス(GX20)を用いて、スチレン-ブタジエンゴムラテックスとパラフィンワックスを固形分比で4:1に混合したものを固形分として6部被覆して徐放化クロチアニジン粒剤を得る。
【0021】
試験例4
ポットでの育苗箱処理におけるカメムシ類への効果
試験方法
ペーパーポット植えのイネ(日本晴)2.5葉苗の株元土壌表面に上記実施例2で示した製剤を相当量散布し、移植した。出穂約7日後にイネ株全体をゴースで覆い、ゴースの中にアカヒゲホソミドリカスミカメ成虫10頭を放飼した。放飼6日後に生死判定を行い、さらに収穫時に斑点米の調査を行った。
試験結果
表4に示すように、該当製剤の育苗箱施用は、本害虫に対し高い殺虫活性を示し、かつ吸汁害による斑点米の発生を抑制することがわかった。
【0022】
【表4】
育苗箱処理による斑点米カメムシに対する薬効
Figure 0004353724
【0023】
試験例5
圃場での育苗箱処理におけるイネミズゾウムシへの効果
試験方法
通常の育苗箱植えのイネ(ヒノヒカリ)2.5葉苗の株元土壌表面に上記実施例2で示した製剤を相当量散布し、移植した。水田に移植後、処理イネ約45株をナミ板で囲みその中にイネミズゾウムシ成虫10頭を週2回の割合で放飼した。処理8日後,14日後および21日後にイネ20株についてイネミズゾウムシ成虫による被害葉率を調査し、処理42日後には処理イネを掘り取り、次世代幼虫密度を調査した。
試験結果
表5に示すように、該当製剤の育苗箱施用は、本種成虫による食害を抑制し、かつ次世代密度も抑制することがわかった。
【0024】
【表5】
育苗箱処理によるイネミズゾウムシに対する薬効
Figure 0004353724
【0025】
実施例3
実施例1で得られるクロチアニジン核粒剤60部をとり、複合型造粒コーティング装置グラニュレックス(GX20)を用いて、スチレン-ブタジエンゴムラテックス、パラフィンワックス及びシリカ微粉末を固形分比で80:20:5に混合したものを固形分として9部被覆して徐放化クロチアニジン粒剤を得る。
【0026】
試験例6
ポットでの育苗箱処理におけるカメムシ類への効果
試験方法
ペーパーポット植えのイネ(日本晴)2.5葉苗の株元土壌表面に上記実施例3で示した製剤を相当量散布し、移植した。出穂約7日後にイネ株全体をゴースで覆い、ゴースの中にアカヒゲホソミドリカスミカメ成虫10頭を放飼した。放飼6日後に生死判定を行い、さらに収穫時に斑点米の調査を行った。
試験結果
表6に示すように、該当製剤の育苗箱施用は、本害虫に対し高い殺虫活性を示し、かつ吸汁害による斑点米の発生を抑制することがわかった。
【0027】
【表6】
育苗箱処理による斑点米カメムシに対する薬効
Figure 0004353724
【0028】
試験例7
圃場での育苗箱処理におけるイネミズゾウムシへの効果
試験方法
通常の育苗箱植えのイネ(ヒノヒカリ)2.5葉苗の株元土壌表面に上記実施例3で示した製剤を相当量散布し、移植した。水田に移植後、処理イネ約45株をナミ板で囲みその中にイネミズゾウムシ成虫10頭を週2回の割合で放飼した。処理8日後,14日後および21日後にイネ20株についてイネミズゾウムシ成虫による被害葉率を調査し、処理42日後には処理イネを掘り取り、次世代幼虫密度を調査した。
試験結果
表7に示すように、該当製剤の育苗箱施用は、本種成虫による食害を抑制し、かつ次世代密度も抑制することがわかった。
【0029】
【表7】
育苗箱処理によるイネミズゾウムシに対する薬効
Figure 0004353724
【0030】
【発明の効果】
以上記載したごとく、本発明によれば、水稲の病害虫に対して防除効果を有する農薬活性成分の溶出性を制御し、既存の市販製剤では困難である出穂期以降の害虫も防除可能とし、田植え時以前の1回の薬剤処理で水稲栽培期間を通じて主要な病害虫の防除が可能な薬剤が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の製剤の基本的な構造を示す模式図である。

Claims (4)

  1. 農薬活性成分を含有する芯材を、ゴム及びワックスで被覆して得られる徐放化被覆製剤であって、
    農薬活性成分が、25℃における水溶解度が10ppm以上の化合物である徐放化被覆製剤
  2. 25℃における水溶解度が10ppm以上の化合物が、
    式1:
    Figure 0004353724
    [式中、XはCHまたはNを示し;
    Yはニトロ基またはシアノ基を示し;
    はハロゲンで置換されていてもよい3−ピリジル基、ハロゲンで置換されていてもよい5−チアゾリル基、またはメチル基で置換されていてもよい3−テトラヒドロフリル基を示し;
    は水素またはC 1−4 アルキル基を示し;
    はNR 、SR 、OR 、またはR で表される基(ここでR は水素またはC 1−4 アルキル基を示し、R 、R 、R 及びR はC 1−4 アルキル基を示す)を示し;
    またはR とR 、R 、R またはR とが一緒になってエチレン基、トリメチレン基、CH OCH で表される基、またはCH N(R )CH で表される基(ここでR はC 1−4 アルキル基を示す)を示す]
    で表される化合物〔I〕である請求項1記載の徐放化被覆製剤。
  3. 式1で示される化合物〔I〕が、クロチアニジン((E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン)である請求項2記載の徐放化被覆製剤。
  4. 農薬活性成分を含有する芯材を、ゴム及びワックスで被覆して得られる徐放化被覆製剤であって、
    農薬活性成分が、
    式2:
    Figure 0004353724
    [式中、Z 及びZ は同一または相異なり水素、ナトリウム、カリウム、シアノ基、C 1−3 アルキル基で1〜2個置換されていてもよいカルバモイル基、C 1−3 アルキル基で置換されていてもよいベンゼンスルホニル基、スルホ基(SO H)、SO Mで表される基(Mはナトリウムまたはカリウムを示す)、スルフィノ基(SO H)、またはSO Mで表される基(Mは前記と同意義を示す)で示される基を示し;
    またはZ とZ とが一緒になって結合またはSを示し;
    またはZ はOを示し、その時Z はZ の結合している硫黄原子との結合を示す]
    で表される化合物またはその塩である徐放化被覆製剤。
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