JP4353169B2 - 耐熱疲労特性にすぐれたエンジン用排気系部品 - Google Patents
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Description
(1)1050℃における引張強さ
σTS at 1050℃(MPa)=68.73−11.82Si+9.35[MC]
+4.38[M23C6]
(2)室温から1050℃までの温度範囲における平均熱膨張係数
αRT-1050℃×10-6(1/℃)=21.281−0.046Ni−0.044Cr
−0.135W+1.656Nb−0.192[MC]−0.082[M23C6]
高温強度の向上と熱膨張係数の低下には、MC型およびM23C6型炭化物がとくに重要な役割を担っていること、また、これまでWはオーステナイト鋳鋼において高温強度の向上に対して寄与するだけであると考えられていたが、熱膨張係数を低下させる上でも有用であることを見出した。
(1)Si:0.1〜2.0%およびMn:0.1〜2.0%からなるグループの一方または両方。
(2)S:0.05〜0.2%およびSe:0.001〜0.50%からなるグループの一方または両方。
(3)Mo:5.0%以下、Ti:1.0%以下、Ta:1.0%以下およびZr:1.0%以下の1種または2種以上。ただし、[C−0.13Nb−0.25Ti−0.13Zr−0.07Ta]:0.05〜0.95%であることを必要とする。
(4)B:0.001〜0.01%、N:0.01〜0.3%およびCa:0.10%以下の1種または2種以上。
MC型炭化物のMは、主に前記したNbおよびTi,Taであり、M23C6型炭化物のMは、これも前記したCrおよびWのほかに、Moがある。これらの炭化物は高温強度の改善に有効であり、さらに炭化物自身の熱膨張係数が小さいため、系全体の熱膨張を低下させる作用がある。こうした作用は、どちらも0.5%に満たない存在では得られない。一方、MC型炭化物は3.0%、M23C6型炭化物は10%を超えて過剰に存在させると、靭延性が低下して、逆に熱疲労特性を低下させてしまう。これら炭化物は、二つの型の両方が生成されるようにする必要がある。
C:0.2〜1.0%
Cは、NbおよびWと結合して炭化物を形成し、高温強度を上昇させ、かつ、熱膨張係数を低下させ、その結果、耐熱疲労特性を向上させるのに有効である。この効果は、少なくとも0.2%のCが存在しないと得られない。過剰な添加は靭延性を低下させ、かえって熱疲労特性を低下させるから、1.0%を上限とする。
Niは、母相のオーステナイトを安定化させる元素であり、合金の耐熱性および耐酸化性を高める。また、熱膨張係数を低下させる。この効果を確実にするにためには、26.1%以上の添加を必要とする。しかし、過剰に添加しても、効果が飽和する上にコスト上昇を招くから、45.0%を最大限の添加量とする。
Crは、Cと結合して主にM23C6型炭化物を形成し、高温強度の向上と熱膨張係数の低下に役立つ。母相中のCrは耐酸化性を確保し、耐熱性を高める。15.0%の添加で、これらの効果が確実になる。30.0%を超える過剰な添加は、脆化相であるσ相を析出させ、熱疲労特性および耐酸化性を低下させる。
Wは、Cと結合して主にM23C6型炭化物を形成し、高温強度の向上と、熱膨張係数の低下に役立つ。母相中に含有される場合でも、熱膨張係数の低下に非常に有効に作用する。過剰の添加はコストの上昇を招くだけでなく、脆化相であるμ相の増加を招き、熱疲労特性を低下させるから、10%を上限とする。
Nbは、Cと結合して、前述のように主としてMC型炭化物を形成し、高温強度の向上と熱膨張係数の低下に役立つ。こうした役割を期待するには、少なくとも0.5%の添加を要する。多量の添加は靭延性を低下させるから、3%をその上限とする。Nb量はC量との関係が問題であって、これも前述したように、C量に対してMC型炭化物を形成するのに必要な量を超えてNbを添加すると、Nbが母相中に含有されるようになり、高温強度の低下および熱膨張係数の増大を招き、ひいては熱疲労特性を低下させる。そこで、[C−0.13Nb]の量を、0.05〜0.95%の範囲に収める。
Si:0.1〜2.0%
Siは、耐酸化性および溶湯の湯流れ性を向上させるから、それを所望であれば、添加してもよい。その効果は、0.1%以上の添加で得られる。しかし、前記した(1)式からわかるように、高温強度を低下させるから、過剰添加はよくない。2.0%を上限とする。
Mnは脱酸剤として作用し、またSやSeと結合して、被削性を向上させる介在物を形成する。これらの効果は0.1%程度の添加で得られるが、この量はまた、原料に由来して、通常は鋼中に存在するレベルである。過剰な添加は耐酸化性を低下させるので、2.0%までの添加に止める。
SもSeも、Mnと結合してMnSやMnSeを形成し、被削性を向上させるのに役立つ。効果は、それぞれの下限である、S:0.05%およびSe:0.001%以上の添加により得られる。上限の、それぞれS:0.20%およびSe:0.50%を超える過剰な添加は、靭延性を低下させ、熱疲労特性を低下させる。
Wと同様、Cと結合しM23C6型炭化物を形成する。過剰に添加すると、コスト上昇を招くだけでなく、耐酸化性を低下させる。
これらの元素も、Nbと同様にCと結合して、MC型炭化物を形成する。過剰な添加は靭延性を低下させるから、1.0%以下の添加に止める。母相中に存在しては好ましくないことは、Nbの場合と同じであって、それぞれの存在量の合計を、上記の式の範囲に収める必要がある。
Bは炭化物を微細にして高温強度を向上させ、耐熱疲労特性をよくする。この効果は、0.001%程度の少量の添加から認められる。過剰な添加は、粒界にホウ化物の析出を招き、粒界を弱化させて高温強度を低下させるから、0.01%を超えて添加すべきでない。
Nは、オーステナイト相を安定にする。また炭化物の粗大化を抑制し、耐熱疲労特性の低下を抑制する作用もある。そうした効果は0.01%という少量の存在で認められる。添加が多量になると、窒化物が形成して靭延性が低くなるから、0.3%以内の添加量を選ぶ。
Caは酸化物を形成して、被削性を向上させる。多量に添加すると、靭延性を低下させるので、0.10%以下までの添加に止める。
表1(実施例および参考例)および表2(比較例)に示した合金組成(炭化物量は原子%、合金成分元素は質量%、残部Fe)の耐熱鋼を高周波誘導炉で溶解した。これらの表において、「X」は、[C−0.13Nb−0.25Ti−0.13Zr−0.07Ta]の値である。溶鋼を、JIS−H5701A号舟型および外径65mm、底面径31mm、エッジ角30o、厚さ15mmの円盤型に鋳造した。
高温引張試験:評点間距離30mm、平行部6mm、1050℃で引張強さを評価
熱膨張係数測定:示差膨張分析装置を用い、アルミナを標準試料として、昇温速度10℃/minで 膨張量を測定し、室温からの平均熱膨張係数を算出
熱疲労試験:JIS−Z2278に準拠し、1050℃の高温流動層に3分間浸積後、150℃の低温流動層に4分間浸積するサイクルを、200サイクル繰返した後、割れ長さの総和を測定
Claims (5)
- 質量%で、C:0.2〜1.0%、Ni:26.1〜45.0%、Cr:15.0〜30.0%、W:10%以下およびNb:0.5〜3.0%を含有し、ただし、[C−0.13Nb]:0.05〜0.95%であり、残部は不可避の不純物およびFeからなる合金組成を有し、鋳造組織中に、原子%で、MC型炭化物が0.5〜3%、M23C6型炭化物が0.5〜10%の範囲の量で分散して存在し、母相はFe−Ni−Crを主体とするオーステナイト相からなり、室温から1050℃までの温度領域における平均熱膨張係数が20.0×10-6以下であり、かつ、1050℃以下の温度領域において50MPa以上の引張強さを有する耐熱鋳鋼から製造した排気系部品。
- 耐熱鋳鋼が、請求項1に規定した成分に加えて、さらに、Si:0.1〜2.0%およびMn:0.1〜2.0%の一方または両方を含有する請求項1の排気系部品。
- 耐熱鋳鋼が、請求項1または2に規定した成分に加えて、さらに、S:0.05〜0.20%およびSe:0.001〜0.50%の一方または両方を含有する請求項1または2の排気系部品。
- 耐熱鋳鋼が、請求項1ないし3のいずれかに規定した成分に加えて、さらに、Mo:5.0%以下、Ti:1.0%以下、Ta:1.0%以下およびZr:1.0%以下の1種または2種以上を含有し、ただし、[C−0.13Nb−0.25Ti−0.13Zr−0.07Ta]:0.05〜0.95%である請求項1ないし3のいずれかの排気系部品。
- 耐熱鋳鋼が、請求項1ないし4のいずれかに規定した成分に加えて、さらに、B:0.001〜0.01%、N:0.01〜0.3%およびCa:0.10%以下の1種または2種以上を含有する請求項1ないし4のいずれかの排気系部品。
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