以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の通信システムを示す模式図であり、本発明の通信方法を導入した携帯可能な通信端末(以下「通信端末」と略記する)と、各通信設備の接続形態を例示したものである。
図1に概略的に示すように、本実施形態では、通信端末101と、通信端末101に対して通信回線を割り当てることが可能な、それぞれ異なる複数の接続形態が存在している。具体的には、例えば、いわゆる携帯端末通信網S1と、公衆コードレス通信網(以下、「PHS(Personal Handy-Phone System)通信網」と略記する)S2と、固定通信網S3を利用して通信端末101との接続が行える。携帯端末通信網S1の制御装置201には、サーバ901を介して4つの局所的接続手段(光通信手段902、赤外線通信手段903、有線LAN手段904、無線LAN手段905)が接続されている。これらの局所的接続手段は、任意の公知の方法によって通信端末101と接続可能であり、サーバ901と制御装置201の間は既存のIP網等を利用して有線接続されている。
通信端末101は、無線通信サービスを享受するための端末であり、通常は使用者に所持されて移動可能であり、無線通信網がカバーするサービス地域内で使用可能なものである。この通信端末101は、主に通話のために用いられるいわゆる携帯電話機に限られず、主にデータ通信を行うための携帯型通信装置や、サービス地域内で通信接続を行なうためのアダプタ装置(カード型通信手段)を有する各種の電子機器、例えば無線インタフェース回路を装着したパーソナルコンピュータや、主に自動車等の乗物に固定される通信装置等であってもよい。本実施形態では、この通信端末101は携帯端末通信網S1の利用契約を結んだ携帯電話端末であり、後述するように他の通信網S2,S3を用いる場合にも、他の通信網S2,S3の制御装置320や有線用交換装置330から携帯端末通信網S1の制御装置301に接続されて、携帯端末通信網S1の制御装置201によって制御され携帯端末通信網S1の交換装置401を用いて通信される。
携帯端末通信網S1とPHS通信網S2は無線通信網であり、通信端末101と無線接続可能な複数の基地局(図1には複数の基地局のうちの1つのみをそれぞれ図示)201,210をそれぞれ含んでいる。また、携帯端末通信網S1とPHS通信網S2はそれぞれ、制御装置301,320と、交換装置401,410と、加入者データベース501,510と、課金装置601,610を有している。さらに、携帯端末通信網S1とPHS通信網S2の制御装置301,320はそれぞれ、複数の基地局を連携させて通信端末101の移動に対応可能な移動モード通信形態と、単一の基地局のみ(または特定の複数の基地局のみ)を用い通信端末101の当該基地局のカバレッジエリア外への移動に対応不可能な固定モード通信形態とを選択的に設定できるように、移動モード用インタフェース回路311,321と、固定モード用インタフェース回路312,322を有している。移動モード通信形態と固定モード通信形態は、通信端末101からの宣言信号に従って選択される。その詳細については後述する。
固定通信網S3は、既設の有線通信網であり、通信端末101との間の接続のために固定通信網S3の端子(モジュラージャック)が流用できる。
本実施形態では、通信端末101が、携帯端末通信網S1を用いて通信を行うために携帯端末通信網S1の通信事業者との契約を交わされている例を示しているが、この通信端末101は、PHS通信網S2や固定通信網S3を利用して通信回線を割り当てることもできる構成である。PHS通信網S2との無線通信に関しては、携帯端末通信網S1と使用周波数や無線プロトコル等が異なるだけであるので、PHS通信網S2とも接続可能にするために、通信端末101を、ハードウェアに関しては、両通信網S1,S2のいずれの使用周波数や無線プロトコルもカバーできるアンテナや回路を設け、ソフトウェアに関しては使用周波数や無線プロトコル等の設定を任意に変更可能な構成にすればよい。また、通信端末101を固定通信網S3に接続可能にするためには、通信端末101のハードウェアに関してはモジュラーコード等を用いて固定通信網S3の端子と接続可能な接続端子を設ければよく、ソフトウェアに関しては通信プロトコル等の設定を任意に変更可能な構成にすればよい。通信端末101をこのように構成することは、技術的には当業者にとってごく容易なことであるので、ここではその具体例は示さない。
なお、図1に示す実施形態は、説明を簡略化するために3つの通信網のみを例示し、本願出願時点の日本国内の状況を鑑みて最も一般的に普及している携帯端末通信網S1とPHS通信網S2と固定通信網S3を挙げているが、これに限定されるわけではない。例えば、いわゆる携帯端末通信網S1とPHS通信網S2に加えて、それ以外の無線通信網を、図1に示す構成に追加してもよいし、携帯端末通信網S1とPHS通信網S2のいずれか一方または両方を取り除いてもよいし、さらにそれに代わる通信網を加えてもよい。また、実際には、多数の通信事業者が互いに類似した複数の携帯端末通信網やPHS通信網を独立して設置しているため、各通信事業者間で協議し、かつ制度上の問題が解決されれば、異なる通信事業者の通信網のうちのいずれかを任意に選択して通信回線を割り当てるようにして、図1に示す例よりもさらに多くの通信網を利用できる。このようにすることは、技術的には全く困難ではなく、理論上は無数の通信網を利用することが考えられるが、便宜上ここでは3つの通信網S1,S2,S3のみを図示している。
次に、本実施形態の通信端末101が移動モードと固定モードのいずれかを選択可能である点について、図2〜3を参照して詳細に説明する。
図2には、理解し易くするために、通信端末101ともう1つの通信端末102と、無線通信可能な携帯端末通信網S1の複数の基地局201〜203と、各基地局201〜203を介して通信端末101,102の通信を制御する基地局制御装置301と、移動通信交換装置401と、加入者データベース501と、課金装置601が示されている。この例では、通信端末101,102は携帯端末通信網S1の通信事業者と契約を結んでおり、加入者データベース501に登録されて課金装置601によって課金処理が行われ、基地局制御装置301によって制御される。この図2では、図1に示す他の通信網S2,S3とサーバ901および局所的接続手段902〜905は省略している。
無線基地局201〜202は、それぞれのカバレッジエリア内の各通信端末と通信接続を行なう(通信回線を割り当てる)機能を有し、各通信端末101,102への信号の送信と、各通信端末101,102からの信号の受信を行う。
基地局制御装置301は、複数の無線基地局201〜202に接続されており、各通信端末と、対応する適切な無線基地局201〜202とを接続させる機能を有している。本実施形態の基地局制御装置301は、異なる機能を有する2つのインタフェース回路、すなわち移動モード用インタフェース回路311と固定モード用インタフェース回路312を有している。これらは、後述するように、通信端末の通信形態として考慮されている、通信端末の移動中の通信(移動モード)と、非移動中すなわち静止状態、または基地局のカバレッジエリア内での移動状態における通信(固定モード)にそれぞれ対応するものである。移動モード用インタフェース回路311は、移動モードを選択している通信端末101,102が移動すると、それに対応する適切な無線基地局を選択してその無線基地局と各通信端末とを接続させるように、適宜に接続を切り替える機能を有している。
移動モード用インタフェース回路311は、移動しながら通信を行なう通信端末に割り当てられるインタフェース回路であって、通信端末の移動に合わせて接続先の無線基地局を逐次変更することによって移動モード無線通信を可能にするものである。この移動モード用インタフェース回路311の動作に関しては別途後述する。一方、固定モード用インタフェース回路312は、その基地局のカバレッジエリア内にとどまった状態で通信を行なう通信端末に割り当てられるインタフェース回路であって、通信端末が通信中に移動しないことを前提にしており、通信が確立した後に接続先の基地局を変更する機能を有していない。通信端末の通信時には、移動モード用インタフェース回路311および固定モード用インタフェース回路312のどちらか一方が使用される。なお、インタフェース回路の機能上、移動モード用インタフェース回路311は固定モード用インタフェース回路312の機能を含んでいるので、固定モードであっても移動モード用インタフェース回路311を用いてもよい。これは基地局制御装置内のリソース管理上の要因で一時的に固定モード用インタフェース回路312が不足していたという状況によって生じ得ることであるが、通信端末の宣言に基づく接続形態は遵守される。この場合、固定モードの通信端末が使用している移動モード用インタフェース回路311は、他の通信端末が開放されて、それまで使用されていた固定モード用インタフェース回路312が使用可能となった場合にはそれを使用するように切り換えてもよい。
移動通信交換装置401は、基地局制御装置301に接続されており、通信端末の通信先との接続を行なう。加入者データベース501は各通信端末の固有の情報を有するデータベースであり、各通信端末の位置や状態と、契約内容等を蓄積している。また、課金装置601は、通信端末の通信料金の集計を行なう装置である。
次に、移動モード通信形態と固定モード通信形態について説明する。
本実施形態では、各通信端末の使用者は、通信端末を操作することによって、複数の基地局のカバレッジエリアに亘って移動しながら通信可能である移動モード通信形態と、1つの基地局のカバレッジエリア内のみで通信可能である固定モード通信形態のいずれかを選択する宣言信号を送信する。この宣言信号は、基地局を介して基地局制御装置に受信される。
図2(a)〜(c)は、本実施形態の移動モード通信動作とその際の接続形態を説明する図である。図2(a)において、通信端末101は、移動モードを選択する宣言信号を送信し、移動モード通信を行なうものであると基地局制御装置301に認識されている端末であり、基地局201のカバレッジエリア内に存在している。このとき、基地局制御装置301の移動モード用インタフェース回路311は基地局201のみを移動通信交換装置401に接続しており、通信端末101は、基地局201を介して割り当てられた通信回線によって通信可能である。なお、各図面において、移動モード用インタフェース回路311内の実線は、物理的に接続されていることを示し、破線は物理的に接続されていないことを示す。
図2(b)に示すように、通信端末101が基地局201のカバレッジエリアと基地局202のカバレッジエリアとの境界付近に移動すると、移動モード用インタフェース回路311は、基地局201と基地局202の両方を移動通信交換装置401に接続する。これによって、通信端末101は、基地局201,202のいずれを用いても通信可能である。
さらに通信端末101が移動して、図2(c)に示すように、基地局201のカバレッジエリアから出て基地局202のカバレッジエリアに入ると、移動モード用インタフェース回路311は、基地局202のみを移動通信交換装置401に接続し、通信端末101は基地局202を介して割り当てられた通信回線によって通信可能である。
以上説明した移動モード通信形態は、従来の携帯電話等の一般的な無線通信形態と同様であり、通信端末が複数の基地局のカバレッジエリアに亘って移動しながら通信を継続可能にすることを前提としている。この構成によると、移動モードを選択した通信端末101は、隣接するカバレッジエリアをカバーする基地局201,202と連携して無線媒体の切り換え制御を行なうことによって、移動しながら通信を継続して行なうことができる。すなわち、通信端末101は、移動に応じて、図2(a)〜(c)に示すように接続すべき基地局201,202を適宜選択して切り換えていきながら、通信が継続される。
これに対し、図3(a)〜(b)は、本実施形態の固定モード通信動作とその際の接続形態を説明する図である。図3(a)において、通信端末102は、固定モードを選択する宣言信号を送信し、固定モード通信を行なうものであると基地局制御装置301に認識されている端末であり、基地局201のカバレッジエリア内に存在している。このとき、固定モード用インタフェース回路312が基地局201のみを移動通信交換装置401に接続しており、通信端末102は、基地局201を介して割り当てられた通信回線によって通信可能である。通信端末102が無線基地局201のカバレッジエリア内にとどまって通信している限り、図3(a)に示すように固定モード用インタフェース回路312による基地局201の接続状態が維持される。
しかしながら、図3(b)に示すように通信端末102が移動して基地局201のカバレッジエリアを脱出した場合、通信端末102と基地局201との間の通信回線が維持できず、通信は切断される。このとき、通信端末102は、例えば隣の基地局202のカバレッジエリア内にあったとしても、この通信端末102に割り当てられている固定モード用インタフェース回路312は、基地局201以外の新たな無線基地局との接続を行なうことができず、基地局202との間で通信回線を割り当てられないため、通信は継続できない。
以上説明した通り、宣言信号によって移動モードを選択した通信端末101は、移動通信に必要な基地局切り替え機能を有する移動モード用インタフェース回路311と接続され、基地局制御装置301は、通信端末101の移動に際し継続して通信を行なうことが可能になるように、移動に対応して複数の基地局を逐次割り当てていくことが必要である。
一方、宣言信号によって固定モードを選択した通信端末102は、固定モード用インタフェース回路312と接続され、基地局制御装置301は、通信端末102の位置する場所をカバーするカバレッジエリアを有する基地局を割り当てればよい。固定モードにおいても、移動端末102は完全に静止していなければならないわけではなく、基地局のカバレッジエリア内であれば移動可能である。
ただし、通常、通信端末102の使用者は、通信端末が接続されている基地局のカバレッジエリアを正確には把握していない。従って、従来の通信方法および通信システムでは、ごく近距離の移動しか行わないつもりでいるために固定モードを選択している通信端末102の使用者が、たまたま、ある基地局のカバレッジエリアの境界付近に位置している場合、ごく僅かな距離移動しただけで当該基地局のカバレッジエリア外に出て、通信接続が遮断されることもあり得る。また、従来の通信方法および通信システムでは、固定モードを選択している通信端末102の使用者が基地局のカバレッジエリアの境界付近に位置しており、電波状況が悪く通信状態が不良であった場合に、いずれの方向に移動すれば電波状況が良くなり通信状態が改善するのかが判らず、簡易な電波強度表示のみを頼りに不確かな移動を行ってみるか、通信状態の悪さを我慢して同じ位置で通信し続けるしかない。
そこで本実施形態では、このような不都合を解消するために、基地局制御装置301から通信端末102に、通信状況に関する地域情報を送信する。すなわち、一例としては、現在選択されている接続形態、例えば携帯端末通信網S1の基地局201との無線接続によって、通信端末102が良好な通信状態が確保できる地域を、基地局制御装置301から通信端末102に通知する。例えば通信端末102のディスプレイに地図を表示して良好な通信状態が確保できる地域あるいは通信端末102の通信接続ポイントを示すことによって、使用者は、現在の位置において、携帯端末通信網S1の基地局201を用いた固定モード通信によって良好な通信状態が得られるかどうかが判り、さらに、通信状態を改善するためには通信端末102がどの方向へ移動すればよいかが判る。
また、本実施形態では、図1に示す他の通信網S2,S3とも連携して、通信端末の存在する位置において、仮にPHS通信網S2の基地局210を用いて通信回線を割り当てると通信状態が良好であるか否か、また、通信端末102の存在する位置の付近に、光通信手段902、赤外線通信手段903、有線LAN手段904、無線LAN手段905、あるいは他の代替通信手段(図示せず)などの局所的接続手段や、固定通信網S3の有線用交換装置330に接続される接続端子が存在するか否かを、基地局制御装置301から通信端末101,102に通知して、通信端末101,102のディスプレイに表示する。例えば、携帯端末通信網S1の基地局201からの電波状況が悪い場合には、PHS通信網S2の基地局210との無線接続に変更したり、携帯端末通信網S1の基地局201からの電波状況もPHS通信網S2の基地局210からの電波状況も悪い場合には、固定通信網S3を用いた有線接続や、光通信手段902、赤外線通信手段903、有線LAN手段904、無線LAN手段905などの局所的接続手段を用いた接続に変更することができるように案内する。なお、通信端末101,102が、固定通信網S3や局所的接続手段902〜905に接続できる位置にあるか否かは、基地局制御装置301から通信端末101,102に通知される地域情報によって知ることもできる。
このように、本実施形態では、基地局制御装置301から通信端末101,102に対して、通信端末101,102の存在する位置に基づいて、通信状態の良好な地域を示す地域情報や、他の接続形態を用いた場合の通信状態などの情報が提供され、通信端末101,102のディスプレイに表示される。従って、使用者は、その位置でその時点での通信状態や自分の都合などを考慮して、通信端末101,102の通信形態について適切な選択を行うことができる。すなわち、基地局制御装置301から通信端末101,102に対して通知される情報を参照して、そのまま固定モード無線通信を続行するか移動モードに変更するか、接続形態(通信回線を割り当てる手段)を変更するか否か、通信状態が良好なところへ移動するか否かなどを判断し、その後の通信形態を決定することができる。なお、モードの変更や接続形態の変更は、通信端末101,102を操作して宣言信号を送信することによって、基地局制御装置301の設定を変えさせることができる。
前記した通信端末101,102を用いた通信方法、具体的には、通信端末101,102からの宣言信号の送信や通信資源(通信設備や通信媒体等)の選択および接続などを含む手順を以下に説明する。
図4〜13には、通信端末UEと、アクセス装置ASと、加入者データベースDBと、課金装置BSの間の信号の送受信を示している。なお、アクセス装置ASとは、図1〜3に示す基地局、基地局制御装置、および移動通信用交換装置を一体として総称するものである。
図4において、まず、通信端末UEを所持する使用者は、自らの位置する場所や都合や置かれた環境を考慮して移動属性(通信モード)、すなわち1つの基地局(または特定の複数の基地局)のカバレッジエリア外への移動を想定しているかどうかを決定し、通信端末UEを操作して移動モードまたは固定モードを選択して宣言信号を送信する。例えば、移動中の交通機関に搭乗した状態や徒歩等により移動しながら通信を行ないたい場合には、通信端末から「移動モード」を選択する宣言信号を送信する。静止した状態、すなわち会議室の椅子や駅のベンチ等に腰掛けている状態や、現在は移動中であるがその場所に立ち止まって通信を行なおうとする場合には、通信端末から「固定モード」を選択する宣言信号を送信する。また、「移動モード」の付加的情報として「高速移動(列車や自動車に搭乗中等)」や「低速移動(歩行中等)」等の情報を移動属性に加えて宣言信号に含めて伝達してもよい。なお、特殊なケースとして、交通機関内に基地局が設けられており、この交通機関による移動中に通信を行うことが「固定モード」と判断できる場合もある。この特殊なケースについては後述する(図23参照)。また、この宣言信号は、使用者が接続形態の変更を望んで然るべき操作を行った場合には、接続形態の変更を通知する内容も含んでいる。
通信端末UEから、移動属性を選択する宣言信号がアクセス装置ASに送られると、アクセス装置ASは宣言信号を送出した通信端末UEを特定し、その宣言信号を加入者データベースDBに転送する。加入者データベースDBは、宣言信号を受信すると、宣言信号の内容に従って移動属性を設定または修正すべき通信端末UEを特定し、その通信端末UEに対応する加入者データベースDBの記憶領域に、新たな移動属性を記録する。加入者データベースDBは移動属性を記録すると、アクセス装置ASに宣言信号の応答信号を返送し、応答信号を受信したアクセス装置ASは、通信端末UEに応答信号を送る。通信端末UEは、応答信号を受信すると、使用者の手動動作によって行なわれた、あるいは通信端末UE自体が自動的に行なった宣言信号の送信が正常に受け付けられ、移動属性の選択が正常に受け付けられたことが確認される。宣言信号により接続形態の変更が通知された場合にも、同様に処理される。
また、アクセス装置ASから通信端末UEに対して、通信状態に関する情報が提供される。具体的には、例えば、良好な通信が行える地域を示す地域情報が、通信端末UEの表示部に地図を表示する形態や、その地域の境界部までの距離を表示する形態などで示される。また、他の接続形態を選択した場合に良好な通信状態が得られるかどうかを知らせる情報が、通信端末UEに伝えられる。これらの情報は、使用者がモードの選択を検討するための参考になるとともに、より良い通信状態を求めるために移動したり接続形態を変更する時の案内になる。なお、地域情報は、宣言信号において選択されたモードが固定モードである場合に特に有用であり、移動モードの時には省略しても構わない。
なお、このような宣言信号は、使用者が通信しようとする直前、または移動を開始したり停止したりする際に送信される。また、通信端末UEの使用者の手動操作によってではなく、通信端末UE自体が、例えば通信端末UEの周囲にある装置からの信号を受信したり、通信端末UE内部にある加速度計等の動き検出機構によって使用者の移動を検出して、移動属性を選択する宣言信号を自動的に送出する構成であってもよい。
応答信号を受信した通信端末UEは、ディスプレイ上に、選択して受け付けられた移動属性(固定モードまたは移動モード)を表示してもよく、例えば、移動モードを選択して受け付けられた場合には「移動可能」と表示し、固定モードを選択して受け付けられた場合には「移動不可」ないしは「静止要」と表示してもよい。また、選択して受け付けられた移動属性に応じて表示装置の色彩を変えてもよく、例えば、移動モードを選択して受け付けられた場合には青色に、固定モードを選択して受け付けられた場合には赤色に、それぞれディスプレイを点灯させてもよい。あるいはディスプレイが、移動モードと固定モードとで異なる状態に点滅する構成であってもよい。
図5を参照して、前記した宣言信号および応答信号の送受信に続く、通信端末からの発信動作について説明する。まず、通信端末UEは使用者の発信動作に従ってアクセス装置ASに発信信号を送出する。発信信号を受信したアクセス装置ASは、その発信信号を送出した通信端末UEの選択している移動属性等の情報を入手するために、加入者データベースDBに移動属性要求信号を送出する。加入者データベースDBは、発信信号を送出した通信端末UEに対応する移動属性等の情報を読み出し、その情報を含む移動属性応答信号をアクセス装置ASへ返送する。アクセス装置ASは、受信した移動属性応答信号に含まれる移動属性により、発信信号を送信した通信端末UEが宣言信号によって「移動モード」を選択していたか「固定モード」を選択していたかを識別し、その選択内容によって移動モード通信形態と固定モード通信形態のいずれに設定するかを判断する。この判断によって、アクセス装置ASは、通信端末UEの通信接続のために、図1に示す基地局制御装置301内にある移動モード用インタフェース回路311と固定モード用インタフェース回路312のどちらを割り当てるべきかを判断し、移動モード用インタフェース回路311と固定モード用インタフェース回路312のうち適切な方を、通信端末UEが存在するエリアをカバーする基地局201を制御する基地局制御装置301と接続させる。
この接続処理によって、宣言信号によって「移動モード」を選択していた通信端末UEの接続は図2に示す接続形態になり、宣言信号によって「固定モード」を選択していた通信端末UEの接続は図3に示す接続形態になる。これにより、宣言信号によって「移動モード」を選択していた通信端末UEは、図2を参照して説明した通り、異なる基地局のカバレッジエリアに跨って移動しながら継続して通信接続を維持でき、すなわち移動モード通信が可能になる。一方、宣言信号によって「固定モード」を選択していた通信端末UEは、図3を参照して説明した通り、接続されている基地局のカバレッジエリア外へ移動した場合には通信接続が切断されてしまうため広い範囲に移動しながら通信を継続させることは不可能で、少なくともその基地局のカバレッジエリア内にとどまった状態で通信を行なわなくてはならない。すなわちこれが固定モードである。
前記した処理によって通信端末UEの通信回線を設定した後に、アクセス装置ASは課金装置BSに対して、選択された通信モード(移動属性)を通知する通信モード通知信号を送出する。通信モード通知信号は、通信端末の通信接続形態が、移動モード通信を可能にする、図2に示す移動モード用インタフェース回路311を用いた接続形態、または、移動モード通信が不可能な、図3に示す固定モード用インタフェース回路312を用いた接続形態であることが、その時点の時刻と共に記録される。この通信モード通知信号により伝えられた情報と、後述する通信モード変更時に報告される情報とによって、通信端末UEが移動モード用インタフェース回路311および固定モード用インタフェース回路312を使用していたそれぞれの時間が判明し、その使用状態に応じた課金計算を算出するデータとして用いることができる。その後、アクセス装置ASは、例えば電話通信サービスの場合には、図示しないが、通信端末UEが接続を要求した相手先が応答したことを検出すると、課金装置BSに対し通信開始通知信号を送出する。
図6は、図5に示す場合と同様に、移動属性が設定された後で通信端末UEの使用者が発信動作を行なう際に、以前の宣言信号で選択されて既に受け付けられている移動属性と異なる移動属性に変更する例を示している。すなわち、移動属性を選択する宣言信号が発信信号に重畳して送出される例を示している。
アクセス装置ASは、発信信号と同時に移動属性を選択する宣言信号を送ってきた通信端末の移動属性を設定するために、加入者データベースDBに宣言信号を転送し、加入者データベースDBは、その通信端末UEの移動属性を変更し、正常に移動属性が変更された場合には、アクセス装置ASに宣言信号の応答信号を返送し、アクセス装置ASは応答信号を通信端末UEに転送する。また、アクセス装置ASは、加入者データベースDBより送られた応答信号に含まれている移動属性に従って、発信を行なった通信端末UEが「移動モード」と「固定モード」のどちらを選択しているかを識別し、その選択内容に従って移動モード通信形態と固定モード通信形態のどちらに設定するかを判断する。これ以降の動作は図5と同一である。
なお、移動属性を選択する宣言信号は、通信端末UEの使用者が、予め宣言信号によって選択したモードを認識できないか、また忘れてしまった場合に、移動属性の選択を確実にするために送信されてもよい。その場合、予め宣言信号によって選択したモードと同一のモードを選択する宣言信号が、発信信号と同時に再送信され、加入者データベースDBおよびアクセス装置ASは設定を変更することなく、発信処理が行われる場合がある。通信端末UEの内部に設けられている機構によって、通信端末UEが発信信号と同時に送信した宣言信号によって選択された通信モードが、予め送信された宣言信号で選択された通信モードと一致しているか否かを判断する構成であってもよく、一致している場合には、宣言信号が送信されない仕組みになっていてもよいし、前記したように通信端末の宣言信号が転送されてもよい。
図7は、図4または6に示すように、移動属性を選択する宣言信号が送信されて受け付けられた後、通信端末UEに対し着信があった状況を例示するフローチャートである。図7において通信端末UEに対する着信信号は、携帯可能な、または固定型の他の通信端末からアクセス装置ASに送信され、その着信信号が通信端末UEに対するものであると判断されると、アクセス装置ASは、その通信端末UEが宣言信号によって選択した通信モード等の情報を得るため、加入者データベースDBに移動属性要求信号を送出する。加入者データベースDBは、着信信号が指定する通信端末UEに対応する移動属性情報を読み出し、その情報を含む移動属性応答信号をアクセス装置ASへ応答する。アクセス装置ASは、受信した移動属性応答信号に含まれる移動属性により、着信信号が指定する通信端末UEが宣言信号によって選択した通信モードを識別し、その選択内容によって移動モード通信形態と固定モード通信形態のいずれに設定するかを判断する。この判断によって、アクセス装置ASは、通信端末UEの通信接続のために、図1に示す基地局制御装置301内にある移動モード用インタフェース回路311と固定モード用インタフェース回路312のどちらを割り当てるべきかを判断し、移動モード用インタフェース回路311と固定モード用インタフェース回路312のうち適切な方を、通信端末UEが存在するエリアをカバーする基地局201を制御する基地局制御装置301と接続させる。
この接続処理によって、宣言信号によって「移動モード」を選択していた通信端末UEの接続は図2に示す接続形態になり、宣言信号によって「固定モード」を選択していた通信端末UEの接続は図3に示す接続形態になる。これにより、宣言信号によって「移動モード」を選択していた通信端末UEは、図2を参照して説明した通り、異なる基地局のカバレッジエリアに跨って移動しながら継続して通信接続を維持でき、すなわち移動モード通信が可能になる。一方、宣言信号によって「固定モード」を選択していた通信端末UEは、図3を参照して説明した通り、接続されている基地局のカバレッジエリア外へ移動した場合には通信接続が切断されてしまうため広い範囲に移動しながら通信を継続させることは不可能で、少なくともその基地局のカバレッジエリア内にとどまった状態で通信を行なわなくてはならない。すなわちこれが固定モード通信形態である。
前記した処理によって通信端末UEの通信回線を設定した後に、アクセス装置ASは課金装置BSに対して、選択された通信モード(移動属性)を通知する通信モード通知信号を送出する。通信モード通知信号は、通信端末UEの通信接続形態が、移動モード通信を可能にする、図2に示す移動モード用インタフェース回路311を用いた接続形態、または、移動モード通信が不可能な、図3に示す固定モード用インタフェース回路312を用いた接続形態であることが、その時点の時刻と共に記録される。この通信モード通知信号により伝えられた情報と、後述する通信モード変更時に報告される情報とによって、通信端末UEが移動モード用インタフェース回路311および固定モード用インタフェース回路312を使用していたそれぞれの時間が判明し、その使用状態に応じた課金計算を算出するデータとして用いることができる。その後、アクセス装置ASは、例えば電話通信サービスの場合には、図示しないが、通信端末UEが応答したことを検出すると、課金装置BSに対し通信開始通知信号を送出する。この通信開始信号は、場合によっては、通信端末UEに着信を要求した他の通信端末を管理する図示しない課金装置に転送される。
図8は、図7に示す場合と同様に、移動属性が設定された後で通信端末UEの使用者が着信動作を行なう際に、以前の宣言信号で選択されて既に受け付けられている移動属性と異なる移動属性に変更する例を示している。すなわち、移動属性を選択する宣言信号が着信時に送出される例を示している。
アクセス装置ASは、発信信号と同時に移動属性を選択する宣言信号を送ってきた通信端末UEの移動属性を設定するために、加入者データベースDBに宣言信号を転送し、加入者データベースDBは、その通信端末UEの移動属性を変更し、正常に移動属性が変更された場合には、アクセス装置ASに宣言信号の応答信号を返送し、アクセス装置ASは応答信号を通信端末UEに転送する。また、アクセス装置ASは、加入者データベースDBより送られた応答信号に含まれている移動属性に従って、着信を受けた通信端末UEが「移動モード」と「固定モード」のどちらを選択しているかを識別し、その選択内容に従って移動モード通信形態と固定モード通信形態のどちらに設定するかを判断する。これ以降の動作は図7と同一である。
なお、移動属性を選択する宣言信号は、通信端末UEの使用者が、予め宣言信号によって選択したモードを認識できないか、また忘れてしまった場合に、移動属性の選択を確実にするために送信されてもよい。その場合、予め宣言信号によって選択したモードと同一のモードを選択する宣言信号が、発信信号と同時に再送信され、加入者データベースDBおよびアクセス装置ASは設定を変更することなく、発信処理が行われる場合がある。通信端末UEの内部に設けられている機構によって、通信端末UEが発信信号と同時に送信した宣言信号によって選択された通信モードが、予め送信された宣言信号で選択された通信モードと一致しているかを判断する構成であってもよく、一致している場合には、宣言信号が送信されない仕組みになっていてもよいし、前記したように通信端末UEの宣言信号が転送されてもよい。
図9は、通信端末UEが図7または図8に示すような経緯を経て通信を開始した後に、移動属性を変更する例のフローチャートである。図9において、通信端末UEの移動属性を変更しようとする際、例えば、固定モードを選択する宣言信号を送信した通信端末UEを所持している使用者が、通信を継続しながら広い範囲に(現在通信端末UEと接続されている基地局のカバレッジエリアの外まで)移動しようとする時や、移動モードを選択する宣言信号を送信した通信端末UEを所持している使用者が、停止して通信を行なう時などに、宣言信号を送信するフローチャートを示している。
一例として、固定モードを選択する宣言信号を送信した通信端末UEを所持している使用者が、前記した通信端末UEのディスプレイ上の何らかの表示や使用者自身の記憶によって、現在固定モードを選択していることを認識しており、通信を継続しながら移動することを行なうことを望む場合には、通信端末UEに設けられているボタン等のスイッチ機構を操作して、移動モードに変更するための宣言信号を送信する。すなわち、通信端末UEは、使用者によるスイッチ機構の操作によって、アクセス装置ASに対し移動モードを選択する宣言信号を送出する。
通信端末UEから、移動モードを選択する宣言信号がアクセス装置ASに送られると、アクセス装置ASは宣言信号を送出した通信端末UEを特定し、その宣言信号を加入者データベースDBに転送する。加入者データベースDBは、宣言信号を受信すると、宣言信号の内容に従って移動属性を設定または修正すべき通信端末UEを特定し、その通信端末UEに対応する加入者データベースDBの記憶領域に、新たな移動属性を記録する。加入者データベースDBは移動属性を記録すると、アクセス装置ASに宣言信号の応答信号を返送し、応答信号を受信したアクセス装置ASは、通信端末UEに応答信号を送る。通信端末UEは、応答信号を受信すると、使用者の手動動作によって行なわれた移動属性の選択が正常に受け付けられたことが確認される。
なお、このような宣言信号は、通信端末UEの使用者の手動操作によって送信される場合に限られず、通信端末UE自体が、例えば通信端末UEの周囲にある装置からの信号を受信したり、通信端末UE内部にある加速度計等の動き検出機構によって使用者の移動を検出して、移動属性を選択する宣言信号を自動的に送出する構成であってもよい。
応答信号を受けたアクセス装置ASは、通信端末UEの通信接続のために、図1に示す基地局制御装置301内の移動モード用インタフェース回路311を割り当てるべきと判断し、移動モード用インタフェース回路311を、通信端末UEが存在するエリアをカバーする基地局を制御する基地局制御装置と接続させる。この接続処理によって、以前に固定モードを選択する宣言信号を送信していた通信端末UEの接続形態が、図2に示す移動モード通信形態となる。これにより、固定モードであった通信端末が、図2を参照して説明した通り、異なる基地局のカバレッジエリアに跨って移動しても継続して通信接続を維持できるようになり、すなわち移動モード通信に変更される。
前記した処理によって通信端末UEとの通信回線を設定した後に、アクセス装置ASは課金装置BSに対して、選択された通信モード(移動属性)を通知する通信モード通知信号を送出する。通信モード通知信号は、通信端末UEの通信接続形態が移動モード通信を可能にする、図2に示す移動モード用インタフェース回路311を用いた接続形態であることが、その時点の時刻と共に記録される。この通信モード通知信号により伝えられた情報と、通信モード変更時に報告される情報とによって、通信端末UEが移動モード用インタフェース回路311および固定モード用インタフェース回路312を使用していたそれぞれの時間が判明し、その使用状態に応じた課金計算を算出するデータとして用いることができる。
なお、宣言信号によって移動モード通信を選択した通信端末UEを所持する使用者が、移動することなく、または少なくとも単一の基地局(または特定の複数の基地局)のカバレッジエリア外に出ることなく通信を行なうときに、移動モードから固定モードに変更する場合にも、以上説明したのと実質的に同様の処理が行われ、移動モード用インタフェース回路311を使用する通信形態(図2参照)から固定モード用インタフェース回路312を使用する通信形態(図3参照)に変更して通信が行える。ただし、固定モードに変更しようとした際に、アクセス装置AS内で固定モード用インタフェース回路312が使用可能でない場合(空きがない場合)には、移動モード用インタフェース回路311と、通信端末UEが存在するエリアをカバーする基地局制御装置との接続を変更せずに、課金装置BSに対して通信モードを通知する通信モード通知信号のみを送出する。このことによって使用者が固定モードを選択する宣言信号を送出したこと、すなわち、使用者が移動モード通信形態を行なえない固定モード用インタフェース回路312の使用を望んだことを課金装置BSが記録できる。
図10は、固定モードを選択する宣言信号を送出した通信端末UEが、図5〜図8のいずれかに示す処理によって通信を開始した後に、移動属性を変更しないまま移動した例を示すフローチャートである。図10において、使用者が通信中に移動属性を変更せずに移動した場合、具体的には、固定モードを選択する宣言信号を送出した通信端末UEを所持する使用者が、通信を継続しながら移動しようとしたときに、通信端末UEに対し、モードを変更する宣言信号なしに移動することが不可能であることを警告し、移動属性を固定モードから移動モードに変更することを促すためのフローチャートを示している。アクセス装置ASは、固定モードを選択する宣言信号を送出している通信端末UEが移動した場合に、その通信端末UEが使用しているインタフェース回路が、図1に示す移動モード用インタフェース回路311ではなく固定モード用インタフェース回路312であることを認識し、使用者がこのまま移動動作を続ければ通信端末UEと基地局との接続が切断され、かつ新たな基地局と接続することが不可能であり、使用者が通信を継続できなくなることを認識する。この認識に基づいて、アクセス装置ASは、現在選択中の移動属性(固定モード)では移動しながら通信を行なうことが不可能であることを警告する移動不能警告信号を通信端末UEに送出する。通信端末UEは、移動不能警告信号を受信して、ディスプレイ等に現在の移動属性では移動しながら通信を行なうことが不可能であることを通知するメッセージを表示する。このメッセージによって、使用者に対し、通信を行いたい場合には、停止するか、あるいは移動属性を固定モードから移動モードに変更することを促す。使用者が、移動モードに変更して通信を継続する場合の処理は、図9に示したのと同様である。
また、他の例として、通信端末UEが移動不能警告信号を受信した場合、以下に記載する処理を行うことも考えられる。すなわち、通信端末UEがアクセス装置ASからの移動不能警告信号を受信すると、通信端末UE自身の内部機構によってそれを検出し、自動的に、通信端末UEの移動属性を固定モードから移動モードに変更するための移動属性宣言信号をアクセス装置ASに送出する。この場合、通信端末UEは、使用者に対して直接警告を促すメッセージを表示はしないが、自動的に対処して使用者の手を全く煩わすことなく通信継続可能にすることができる。なお、通信端末UEは、アクセス装置ASへの移動属性宣言信号の送出と並行して、移動属性の固定モードから移動モードへの自動変更を使用者に対して通知する機構を持っていてもよい。
図11は、通信端末UEが発信を行なったときあるいは通信端末UEへの着信があったときに、通信端末UEが予め選択している移動属性で通信を行なうことが不可能であることを通知する例のフローチャートである。なお、簡略化のため、発信動作と着信動作については図11に示していない。
例えば、移動モードを選択している通信端末UEが、アクセス装置AS(特に基地局)の利用状況によって、すなわち図1に示す移動モード用インタフェース回路311が使用不可能である場合(インタフェース回路に空きがない場合)や、無線通信媒体の利用状況によって実行できないと判断された場合(無線通信媒体に空きがない場合)に、使用者に対して現在選択中の移動属性(移動モード)で通信を行なうことが不可能であることを警告する。図11に示す例では、アクセス装置ASが通信端末UEに通信不能警告信号を送出し、それを受信した通信端末UEがディスプレイ等に通信不可能であることを通知するメッセージを表示する。それに応じて、使用者が通信端末UEを操作して移動属性を固定モードに変更する宣言信号を送出すると、通信端末UEが固定モードに変更されて通信が可能になる。ただし、使用者が通信端末UEの移動属性を変更するか否かは、使用者自身の判断に委ねられる。
なお、図10,11において、前記した通信不能警告信号の送信とともに、図4において説明したような通信状態に関する情報が、アクセス装置ASから通信端末UEに対して提供される。この情報とは、良好な通信が行える地域を示す地域情報や、他の接続形態を選択した場合に良好な通信状態が得られるかどうかを知らせる情報である。従って、通信端末UEが通信不能警告信号を受けたときに、前記したように移動属性(モード)を変更する以外に、地域情報に基づいて良好な通信が可能な位置まで移動する使用者が移動することによって通信可能にすることや、他の接続形態に関する情報に基づいて良好な通信が可能な接続形態に変更する宣言信号を送出することによって通信可能にすることもできる。接続形態の変更とは、例えば、携帯端末通信網S1を利用した無線接続形態から、PHS通信網S2を利用した無線接続形態や有線通信網S3を利用した有線接続形態に変更したり、また、光通信手段902、赤外線通信手段903、有線LAN手段904、無線LAN手段905等の局所的接続手段を用いて基地局まで接続する局所的接続形態に変更したり、管轄する通信事業者の異なる無線または有線の通信網を利用した接続形態に変更することなどが考えられる。なお、有線接続形態と局所的接続形態に関しては、通信端末UEが、有線通信網の接続端子が存在する場所や、局所的接続手段の接続端子または受信部が存在する場所にある必要がある。従って、これらの接続端子や受信部の存在する位置も、前記した地域情報に含まれて通信端末UEに通知され、それがディスプレイ等に表示されて使用者に教えられる。使用者は、これらの地域情報や他の接続形態に関する情報を全て確認することができ、その上で最も望ましい方法で通信端末UEを通信可能にすることができる。
また、他の例として、通信端末UEが通信不能警告信号を受信した場合、自動的に、通信端末UEの移動属性を移動モードから固定モードに変更するための移動属性宣言信号をアクセス装置ASに送出するように設定してもよい。この場合、通信端末UEは、使用者に対して直接警告を促すメッセージを表示はしないが、自動的に対処して使用者の手を全く煩わすことなく通信継続可能にすることができる。その場合、通信端末UEは、アクセス装置ASへの移動属性宣言信号の送出と並行して、移動属性の移動モードから固定モードへの自動変更を使用者に対して通知するメッセージを表示して、1つの基地局(または特定の複数の基地局)のカバレッジエリア外への移動が不可能であることを認識させるように設定されるのが好ましい。
なお、固定モードを選択している通信端末UEが、アクセス装置ASや無線通信媒体の利用状況のために通信不能であると判断された場合も、図11に示し、以上説明した処理と実質的に同様な処理が行われる。
図12は、図9と同様に通信端末UEの通信中に移動属性を変更しようとして、変更後の移動属性では通信不能であると判断された例のフローチャートである。例えば、通信端末UEの通信中に固定モードから移動モードに変更しようとして宣言信号を送出したときに、アクセス装置AS(特に基地局)の利用状況によって、すなわち図1に示す移動モード用インタフェース回路311が使用不可能である場合(インタフェース回路に空きがない場合)や、無線通信媒体の利用状況によって実行できないと判断された場合(無線通信媒体に空きがない場合)に、使用者に対して変更を希望した移動属性(移動モード)で通信を行なうことが不可能であることを警告する。この例でも、アクセス装置ASが通信端末UEに通信不能警告信号を送出し、それを受信した通信端末UEがディスプレイ等に移動属性を変更すると通信不可能であることを通知するメッセージを表示する。それに応じて、使用者は、移動属性をせず固定モードのままにするか、通信の継続を諦めて移動する。また、前記したのと同様に、図4において説明したような通信状態に関する情報(地域情報および他の接続形態に関する情報)が、アクセス装置ASから通信端末UEに対して提供され、それに従って移動先を決定したり、他の接続形態に変更するための宣言信号を送出することによって、通信を継続可能にすることも考えられる。
なお、移動モードを選択している通信端末UEが、固定モードに変更しようとして通信不能であると判断された場合も、図12に示し、以上説明した処理と実質的に同様な処理が行われる。
図13は移動モードを選択している通信端末UEが、通信しながら移動する例を示すフローチャートである。通信端末UEが広い範囲に移動すると、図1に示す移動モード用インタフェース回路311と接続される基地局が変更されながら、通信端末UEの通信が維持される。この接続変更(基地局の変更)の度に、移動モード用インタフェース回路と基地局の通信回線を変更したことを通知する通信回線変更通知信号が、課金装置BSに対して送られる。
なお、図4において説明した地域情報や他の接続形態の通信状態に関する情報は、図4〜13に示す様々な処理の中で、常に通信端末UEに通知および表示され続けていてもよいし、定期的に、または所定のタイミングで間欠的に通知および表示されてもよい。ただし、前記した通り移動不能警告信号が通信端末UEに送信される際にこれらの情報が通知および表示されると、特に有効である。
以上、通信端末UEが通信を開始する際や、通信中や、移動属性(通信モード)を変更する際の、通信端末UE、アクセス装置AS、加入者データベースDB、および課金装置BSの間で相互に送受信される様々な信号と、それぞれの装置内で行なわれる処理を例示した。次に、具体的な通信例毎に、通信端末UEとアクセス装置ASの接続形態、すなわち、通信端末UEと、無線基地局と、移動モード用インタフェース回路311および固定モード用インタフェース回路312の接続形態を、一連の図面を参照して説明する。
通信開始時に移動モードを選択している通信端末UEが、移動しながら通信を継続する場合には、図2(a)から図2(c)に至る接続形態の推移を繰り返す。この際に、図2(b)に示す接続形態を経ることもあるし、経ないこともある。接続処理として、図5〜図8のいずれかに示す処理が行われて通信が開始され、その後、図13に示す処理が行われる。このような通信の具体例は、使用者自身が移動中、または交通機関に搭乗して移動中の状態で通信を開始し、移動中にその通信を終了する場合である。この例で、通信端末UEの通信を継続させるためには、異なる無線基地局と通信端末UEとの通信回線が確保されて維持され、アクセス装置ASは、関連する無線基地局との接続を変更するために、図1における移動モード用インタフェース回路311の接続を変更する。
通信開始時に固定モードを選択している通信端末UEが、基地局のカバレッジエリア外へ出ることなく通信を継続する場合には、図3(a)に示す接続形態で通信が開始され、その状態のままである。接続処理として図5〜図8のいずれかに示す処理が行われて通信が開始され、接続状態は変化しない。このような通信の具体例は、使用者が例えば職場や家庭等で通信を開始し、そこに留まった状態で通信を行なう場合である。この例では、通信端末UEの通信を維持するために無線基地局を変更する必要が無く、アクセス装置ASは図1に示す固定モード用インタフェース回路312を用いるだけでよい。
通信開始時に移動モードを選択している通信端末UEが、その後固定モードに変更する場合には、図2(a)から図2(c)に至る接続形態の推移を繰り返した後に、図3(a)に示す接続形態に移る。接続処理として図5〜図8のいずれかに示す処理が行われて通信が開始され、図13に示す処理を経た後に、図9に示す処理が行われ、その後接続状態は変化しない。このような通信の具体例は、使用者自身が移動しながら通信を開始し、その後目的地等に到着してその場所に留まり通信を継続し、その場所で通信を終える場合である。また、もう一つの具体例は、移動中の交通機関、例えば列車に使用者が搭乗している状態で通信を開始し、その交通機関が停止した時点、例えば最寄りの駅等に停車した時点で交通機関から降りて静止した状態で通信を継続し、そこに留まった状態で通信を終了する場合である。この例では、通信端末UEの通信を維持するために、当初は図1に示す移動モード用インタフェース回路311との接続を行い、停止した時点で図1に示す固定モード用インタフェース回路312との接続を行なう。
通信開始時に固定モードを選択している通信端末UEが、その後移動モードに変更する場合には、図3(a)に示す接続形態で通信を開始し、そのままの状態に留まった後に、図2(a)に示す接続形態に移り、図2(a)から図2(c)に至る接続形態に推移する形態を繰り返す。接続処理として図5〜図8のいずれかに示す処理が行われて通信が開始され、図13に示す処理が行われる。このような通信の具体例は、使用者が停止した状態で通信を開始し、その後移動を開始して通信を継続する場合である。また、もう一つの具体例は、使用者が停止した状態、例えば駅のホーム等で通信を開始し、その後、交通機関、例えば列車等の到着に従いその交通機関と共に移動して通信を継続し、その状態で通信を終える場合である。この例では、通信端末UEの通信を維持するために、当初は図1に示す固定モード用インタフェース回路312との接続を行い、停止した時点で図1に示す移動モード用インタフェース回路311との接続を行なう。
移動モードでの通信と固定モードでの通信を繰り返して行なう場合には、図2(a)〜図2(c)に示す接続形態と図3(a)に示す接続形態を繰り返す。接続処理として図5〜図8のいずれかに示す処理が行われて通信が開始され、図9,10に示す処理が行われる。このような通信の具体例は、比較的長時間に亘って通信を継続し、その間に移動と停止を繰り返す状況である。この例では、通信端末UEの通信を維持するために、図1に示す固定モード用インタフェース回路312と、移動モード用インタフェース回路311とを交互に切り換えて使う。
次に、通信端末UEの通信が開始され、通信端末UEの移動に伴ってネットワークシステム内の接続形態が変化する状況と、通信端末UEの通信に対する課金計算処理を詳細に説明する。
図14(a)に示す表701は通信端末UEが通信を開始し、宣言信号によって移動属性(通信モード)を変更しながら通信を行なった状況を示している。表701の第1列には通信モードを変更した時刻が記録され、第2列にはそれぞれの時刻において選択された通信モードが記録されている。表701は、該当する通信端末UEの通信の課金計算を行なうために使用されるものであり、図1における課金装置401により作成されている。表701に含まれる「変更した時刻」および「選択された通信モード」は、通信端末UEからの宣言信号をアクセス装置ASが受信した際に、課金装置BSに通知する信号に基づいて記録され蓄積されていく。例えば、図5あるいは図7に示す通信モード通知信号および通信開始信号によって、通信端末UEがある通信モードで通信を開始したことが記録され、それ以後、例えば図9あるいは図10に示す通信端末UEの通信モードを変更する宣言信号が送出されて接続が変更されるたびに送られる通信モード通知信号によって、課金装置に記録され蓄積されていく。
表701の内容を、通信端末UEの具体的な移動例に沿って詳細に説明する。まず、時刻T1に、通信端末UEが固定モードを選択する宣言信号を送出して、通信を開始し、時刻T2に、低速の移動モードに変更する宣言信号を送出して通信を継続する。さらに、時刻T3に、固定モードに変更する宣言信号を送出して通信を継続し、時刻T4に、低速の移動モードに変更する宣言信号を送出して通信を継続し、時刻T5に、高速の移動モードに変更する宣言信号を送出して通信を継続し、時刻T6に固定モードに変更する宣言信号を送出して通信を継続し、そして時刻T7に、通信を終了したと記録されている。
図15は、この状況に関し、各通信モードの推移を示したタイムチャートである。これによると、それぞれの通信モードを選択している時間が判る。この例では、固定モードはこの期間中に3度、低速の移動モードは期間中に2度、そして高速の移動モードはこの期間中に1度選択されている。それぞれの通信モード毎に、通信端末UEが通信接続を行なうために必要な、ネットワークシステムが提供する装置および通信資源が設定されており、それぞれの通信モード毎に設定されている対価と、それぞれの選択時間とから、通信料金が算出される。この例では、固定モードの選択時間は(時刻T2−時刻T1)+(時刻T4−時刻T3)+(時刻T7−時刻T6)であり、低速の移動モードの選択時間は(時刻T3−時刻T2)+(時刻T5−時刻T4)であり、高速の移動モードの選択時間は(時刻T6−時刻T5)である。これを集計したものが図14(b)に示す表702であり、表702に、固定モード、低速の移動モード、および高速の移動モードのそれぞれの選択時間がまとめられている。なお当然のことながら、実際には、計算された数値が表702に記憶される。
図14および図15に示す例では、課金計算の開始および終了が通信端末の通信開始と終了に従って行なわれているが、図16に示すように、予め決められた時間範囲T内で通信端末UEの通信の有無に関わらず課金計算を行なってもよい。その場合、通信が比較的短時間に終了する電話サービスなどの通信形態ではなく、パケット通信のような間欠的に通信が行なわれるサービスや、長期間に亘ってコンテンツが配信されるサービスにおいて、課金装置による課金計算処理の負荷を低減したり、発信および着信の有無に関わらず課金計算処理を独立に行なうことができるという利点を有する。
次に、移動モードを選択している通信端末UEが、複数の無線基地局のカバレッジエリア間を移動して無線通信媒体を切り換えた時の、当該通信端末UEの通信に対する課金計算処理を詳細に説明する。
図17(a)に示す表731は、通信端末UEが通信に際し移動モードを選択しており、接続する無線基地局を変更した(ハンドオーバー処理を行った)状況を示している。表731の第1列には接続する基地局を変更した(ハンドオーバー処理を行った)時刻が記録され、第2列にはそれぞれの時刻において選択されている通信モードが記録されている。表731は、該当する通信端末UEの通信の課金計算を行なうために使用されるものであり、図1における課金装置401により作成されている。表731に含まれる時刻および通信モードは、接続する無線基地局が変更された際に、課金装置BSに通知される信号に基づいて記録され蓄積されていく。例えば、図13に示すように通信端末UEの接続が変更される度に送られる通信回線変更通知信号によって、課金装置に記録され蓄積されていく。
表731の内容を、通信端末UEの具体的な移動例に沿って詳細に説明する。時刻T11〜T13は低速の移動モードであり、時刻T14〜T17は高速の移動モードであり、それぞれの移動モードにおいて、接続される基地局が適宜変更されている。図18は、この状況に関し、接続される基地局の変更を示したタイムチャートである。図18では、基地局の変更処理はドットで示している。この例では、図17(b)に示すように、時刻T11〜T13の低速の移動モード中に3回、時刻T14〜T17の高速の移動モード中に4回、基地局の変更が行われている。それぞれの通信モード毎に、通信端末UEが接続される基地局の切り替えによって、通信接続を行なうために必要な、ネットワークシステムが提供する装置および通信資源が設定されており、それぞれの通信モード毎に設定されている対価と、それぞれの選択時間とから、通信料金が算出される。言うまでもないが、固定モードが選択されているときには、接続する基地局の変更(ハンドオーバー処理)は行われない。
以上述べた様々な通信形態は、1つの携帯端末通信網を用いた無線接続形態を基本として説明したが、本発明の1つの特徴として、様々な接続形態を利用することによって良好な通信状態を維持可能にしている。その点について以下に説明する。
本実施形態は、前記した通り、複数の接続形態のうちのいずれかを任意に選択することができるものである。この複数の接続形態の例について改めて説明する。通信端末101が移動モードの場合には、図1に示す携帯端末通信網S1の基地局とPHS通信網S2の基地局を自由に使用できる構成にすることができる。そうすると、通信端末101を接続する対象を、単純に携帯端末通信網S1内の基地局から基地局へ移行させるのみならず、他の通信網、すなわちPHS通信網S2の基地局へ移行させることもできる。従って、移動モードでは、通信端末101がある基地局のカバレッジエリアから出る際に、通信端末101の位置とその位置における電波状況とカバレッジエリア内の通信端末数などに応じて、どの基地局を用いて通信回線を割り当てるのが好ましいかが制御装置401によって適宜判断されて選択される。または、各通信網の通信状態に関する情報が、制御装置から通信端末に送信されて、その情報を基に使用者が自由に選択する。
図19には、異なる大きさのカバレッジエリアを有する基地局を含む複数の通信網が例示されている。例えば、携帯端末通信網S1の基地局のカバレッジエリア251と、それより小さいPHS通信網S2の基地局のカバレッジエリア252と、局所的接続手段の接続端子253が存在する。固定モードの通信端末102は、制御装置401および固定モード用インタフェース回路312によって、通信端末102の位置に応じたカバレッジエリアを有する基地局を用いて通信回線が割り当てられる。複数のカバレッジエリアが重なった位置に通信端末102が存在する場合には、最も電波強度の高い基地局と接続するようにしてもよいが、各基地局のカバレッジエリアの面積を考慮して接続する基地局を選択してもよい。そして、このカバレッジエリアの外に出ない限り、接続される基地局を変更することなく、通信端末102の通信が継続できる。なお、本明細書中では固定モード等という表現を用いているが、カバレッジエリア内にとどまる範囲であれば通信端末102は移動しながら通信を継続することができる。
場合によっては、どの通信網の基地局を用いてもあまり良好な無線通信状態が得られない地域が存在する。その場合には、固定通信網S3を用いて、または図1に示す光通信手段902や赤外線通信手段903や有線LAN手段904や無線LAN手段等905の局所的接続手段を用いて携帯端末通信網S1(他の実施形態ではPHS通信網S2であってもよい)に接続して通信回線を割り当てるように選択される。逆に言うと、携帯端末通信網S1とPHS通信網S2のいずれの基地局を用いても良好な無線通信状態が得られにくい地域には、固定通信網S3に接続するための端子や、局所的接続手段を予め整備しておくことが好ましい。
前記した説明では、良好な通信状態が得られるか否かに応じて、通信端末101の使用者が3つの通信網S1,S2,S3のうちのいずれか、および局所的接続手段の使用の有無を選択する例を示した。しかし、使用者が接続形態を自由に選択する場合には、いずれの通信網を選択するか、また局所的接続手段を用いるかどうかは、必ずしも通信状態によって決められるとは限らず、その他のいかなる要因(例えば使用料金やサービス内容など)によって選択されても構わない。どのような根拠で接続形態の選択を行うかは、使用者が全く自由に判断できる。
異なる接続形態S1,S2,S3を任意に選択して通信を行うことについて、図1を参照して説明したが、固定通信網S3を用いる有線接続形態の場合には、当然、移動モードを選択することはできない。また、携帯端末通信網S1を用いる場合であっても、局所的接続手段を用いる局所的通信形態においては、やはり移動モードを選択することはできない。ただし、使用者が意識して移動モードから固定モードに変更しなくても、通信端末を固定通信網S3や局所的接続手段に接続した時点で自動的に固定モードに切り替える宣言信号を送出するように設定されていても良い。
通信端末101と固定通信網S3の接続に関しては、具体的には、既存の固定通信網S3の端子(モジュラージャック)が設けられている個所の近くに通信端末101を運び、モジュラーコードによって有線接続する方法がある。この通信形態には、例えば、モジュラージャックを備えている公衆電話が利用でき、それ以外にも、様々な公共施設や商業施設等に、固定通信網S3に接続されているモジュラージャックを設けておけば、固定通信網S3を用いる通信形態が利用しやすくなる。
また、通信端末101と携帯端末通信網S1との他の接続方法として、光通信接続、赤外線通信接続、有線LAN接続、および無線LAN接続等が挙げられる。これらの接続方法の場合、光通信手段902や赤外線通信手段903や有線LAN手段904や無線LAN手段905を予め設けておく必要がある。例えば、様々な公共施設や商業施設の内部に、またはビル単位や会社単位で、これらの接続手段のうちのいずれかを予め整備しておき、使用者が通信端末101,102をこれらの接続手段を介して携帯端末通信網S1の基地局に接続可能な環境が整備されていれば、これらの接続手段のうちのいずれかを任意に選択することができる。なお、光通信手段902や赤外線通信手段903や有線LAN手段904や無線LAN手段905の接続可能な範囲は、無線接続形態に比べて狭いため、ここでは便宜上、局所的接続手段および局所的接続形態と呼んでいる。また、局所的接続手段と基地局の間は、既設のIP網等を用いて接続されている。なお、局所的接続手段としては、前記した光通信手段902、赤外線通信手段903、有線LAN手段904、無線LAN手段905以外にも様々な代替通信手段が考えられ、例えば超音波を用いた通信手段など、将来的に実用化されると思われる様々な接続手段も適宜に採用することができる。
本実施形態では、図1に示すように、大まかに言うと合計9つの接続形態のうちのいずれかを任意に選択して、通信端末101の通信が行える。9つの通信形態とは、携帯端末通信網S1の移動モード用インタフェース回路311を用いる移動モードの無線接続形態と、携帯端末通信網S1の固定モード用インタフェース回路312を用いる固定モードの無線接続形態と、PHS通信網S2の移動モード用インタフェース回路321を用いる移動モードの無線接続形態と、PHS通信網S2の固定モード用インタフェース回路322を用いる固定モードの無線接続形態と、固定通信網S3の有線用交換装置330とコード(有線)で接続する有線接続形態と、携帯端末通信網S1と光通信手段902で接続する光通信接続の局所的接続形態と、携帯端末通信網S1と赤外線通信手段903で接続する赤外線通信接続の局所的接続形態と、携帯端末通信網S1と有線LAN手段904で接続する有線LAN接続の有線接続形態と、携帯端末通信網S1と無線LAN手段905で接続する無線LAN接続の有線接続形態である。基本的に、有線接続形態と局所的接続形態は、固定モードしか選択できない。本実施形態では、通信端末101から、使用者の任意の操作によって、または自動的に、前記した9つの接続形態のうちのどの接続形態を選択するかを示す宣言信号を送信し、その宣言信号で選択された接続形態を用いて通信端末101に対して通信回線を割り当てるように設定されている。
本実施形態において、接続形態を選択する意義について説明する。図19に模式的に示すように、携帯端末通信網S1の複数の基地局201とPHS通信網S2の複数の基地局210の配置は一致しておらず、当然それらのカバレッジエリア251,252はずれている。一般的に、携帯端末通信網S1よりもPHS通信網S2の方が、1つの基地局のカバレッジエリアが狭く、基地局の密度が高い。従って、通信端末101が同じ位置にあるとしても、携帯端末通信網S1の電波状況とPHS通信網S2の電波状況は異なり、例えば、同じ位置において、携帯端末通信網S1では良好な通信状態が得られないが、PHS通信網S2では良好な通信状態が得られるといった現象が起こり得る。また、ある基地局のカバレッジエリア内で非常に多数の通信端末が通信状態または通信待機状態にあると、基地局の処理能力を超えるため、新たな通信回線が割り当てられず、いわゆる繋がらない現象が生じたり、良好な通信が維持できず通信速度が遅くなる現象が生じる場合がある。具体的には、同じ位置を管轄する携帯端末通信網S1の基地局のカバレッジエリア内には多数の通信端末が存在し、PHS通信網S2の基地局のカバレッジエリア内には少数の通信端末しか存在しない場合には、その位置にある通信端末は、携帯端末通信網S1を用いて通信回線を割り当てると繋がりにくかったり通信速度が遅くなったりするが、PHS通信網S2を用いて通信回線を割り当てると良好な通信状態が得られるといった現象が起こり得る。
そこで本実施形態では、電波状況やカバレッジエリア内の通信端末数などを考慮した上で、携帯端末通信網S1とPHS通信網S2のうちいずれか好ましい方を任意に選択して、良好な通信状態を確保できるようにしている。また、場合によっては、携帯端末通信網S1でもPHS通信網S2でも良好な通信状態が得られないという可能性もある。その場合には、固定通信網S3を利用して良好な通信状態を確保することができる。固定通信網S3を用いた有線通信形態は、通信状態を変動させる電波状況などの要因が存在しないため、固定通信網S3の端子への接続さえ確保できれば、良好な通信状態で通信が行える。または、光通信手段902、赤外線通信手段903、有線LAN手段904、無線LAN手段905等の局所的接続手段を利用して携帯端末通信網S1に接続して良好な通信状態を確保することもできる。この場合も、局所的接続手段との接続さえ確保できれば、良好な通信状態で通信が行える。
このように、本実施形態では、通信端末101の使用者が、携帯端末通信網S1とPHS通信網S2と固定通信網S3のいずれかを任意に選択することによって、良好な通信環境を確保できる。ここで、本実施形態を実施する上では、通信端末101が携帯端末通信網S1とPHS通信網S2と固定通信網S3のいずれとも接続可能であり、通信回線が割り当てられるような構成である必要がある。携帯端末通信網S1とPHS通信網S2の無線通信に関しては、使用周波数や無線プロトコル等の問題だけであるので、両通信網S1,S2のいずれとも接続可能にするためには、通信端末101を、ハードウェアに関しては、両通信網S1,S2のいずれの使用周波数や無線プロトコルもカバーできるアンテナや回路を設け、ソフトウェアに関しては使用周波数や無線プロトコル等の設定を任意に変更可能な構成にすればよい。また、通信端末101を固定通信網S3に接続可能にするためには、通信端末のハードウェアに関してはモジュラーコード等を用いて固定通信網S3の端子と接続可能な接続端子を設ければよく、ソフトウェアに関しては通信プロトコル等の設定を任意に変更可能な構成にすればよい。通信端末101をこのように構成することは、技術的には当業者にとってごく容易なことであるので、ここではその具体例は示さない。また、通信端末101を局所的接続手段に対して接続可能な構成にすることも、当業者にとってごく容易なことであるので、その具体例は省略する。
なお、図1に示す実施形態は、説明を簡略化するために3つの通信網のみを例示し、本願出願時点の日本国内の状況を鑑みて最も一般的に普及している携帯端末通信網S1とPHS通信網S2と固定通信網S3を挙げているが、これに限定されるわけではない。例えば、いわゆる携帯端末通信網S1とPHS通信網S2に加えて、それ以外の無線通信網が整備された場合には、図1に示す構成にその新たな通信網を追加してもよいし、携帯端末通信網S1とPHS通信網S2のいずれか一方または両方を取り除いてもよいし、さらにそれに代わる通信網を加えてもよい。また、実際には、多数の通信事業者が互いに類似した複数の携帯端末通信網やPHS通信網を独立して設置しているため、各通信事業者間で協議して、制度上の問題が解決されれば、異なる通信事業者の通信網のうちのいずれかを任意に選択して通信回線を割り当てるようにして、図1に示す例よりもさらに多くの通信形態を選択可能にすることができる。このようにすることは、技術的には全く困難ではない。
このことについてさらに説明する。図20は通信端末101の無線接続形態に関し、複数の無線通信網を利用する例を示している。図20において、無線基地局201および基地局制御装置301はある無線通信網に属するものであり、無線基地局203および基地局制御装置351は他の無線通信網に属するものである。ここでいうそれぞれの無線通信網とは、異なる通信事業者が所有する同一の無線プロトコルを使用するシステムを例に挙げることができる。同一の地理的領域をオーバーラップしてカバーしている状況である場合、例えば、広範な公衆エリアをカバーする通信事業者が無線基地局201および基地局制御装置301を有する無線通信網を管理し、デパート等の建造物内や会社施設等の私設エリア内をカバーする通信事業者が無線基地局203および基地局制御装置351を有する無線通信網を管理しているとする。例えば、移動モードを選択している通信端末101が移動して、無線基地局203のカバレッジエリア内に移った時には、通信モードを切り換えて通信を継続することができる。
また、ここでいうそれぞれの無線通信網とは、通信事業者の如何にかかわらず異なる無線プロトコルを有するシステムを例に挙げることもできる。同一の地理的領域をオーバーラップしてカバーしている状況である場合、異なる無線プロトコルの例として、第二世代セルラー型移動通信システム(PDC)と第三世代セルラー型移動通信システム(WCDMA)、異なる地域間、すなわち欧州、日本、および北米地域で使用されている各々のセルラー型移動通信システム(GSM、PDC、USDC)、セルラー型移動通信システムと公衆コードレス移動通信システム(PDC、PHS)、さらに移動通信システムと無線LAN接続の様な固定無線通信システム等を挙げることができる。
このうち、局所的接続形態として前記した無線LAN接続は、狭い領域において使用された場合に、無線使用効率およびデータ送受信の速度と言う観点から有用である。これは、これまで移動通信システムの通信媒体として使用されにくい状況であったが、通信端末が移動しない、あるいは非常に狭い範囲内に留まるという条件下であれば、移動体使用者が同時に通信を行い得るという観点からも、また高い通信速度が可能である観点からも有用である。これもまた、両システムのカバレッジエリアがオーバーラップしている場合に、通信端末からの宣言信号によって選択可能である。
図21は、異なる無線媒体を用いた複数の無線通信網を用いた他の例を示している。図21において、無線基地局201および基地局制御装置301はある通信網に属するものであり、無線基地局204および固定モード用インタフェース回路352は他の無線通信網に属するものである。例えば、無線基地局204で用いられている無線通信媒体は現行の移動通信システムで用いられている2GHz帯の通信媒体ではなく、他の帯域、例えば60GHz帯あるいはそれより遥かに高い赤外線およびそれ以上の光波帯域の通信媒体である。これらの超高周波数帯域の通信媒体は直進性が高く、かつ移動しながら通信を継続させることは制御上困難であるが、通信端末が移動しないか、あるいはある範囲内に留まるという条件下では、非常に高い情報転送速度を提供できるという観点から有用である。これもまた、無線通信網のカバレッジエリアがオーバーラップしている場合に、通信端末からの宣言信号によって選択することができる。この際、通信モードや接続形態を選択する宣言信号や、複数の通信媒体を切り換えるための制御信号は、基地局201を介して送受信されることが想定されるが、基地局204を介して送受信されてもよい。
図22は、通信端末との通信において無線媒体と有線媒体とを用いる例を示している。図22において、無線基地局201および基地局制御装置301はある通信網に属するものであり、基地局205および固定モード用インタフェース回路352は他の通信網に属するものである。基地局205で用いられている通信媒体は有線通信媒体であって、例えば、通常の加入者電話機あるいは公衆電話機に接続端子を有するものであってもよいし、施設内に張り巡らされた通信用接続ケーブルの端子であってもよい。これらの有線通信媒体は、接続ケーブルの制約上、通信端末および使用者の移動に著しく制約を与えるものの、開放された伝播空間を経ないため雑音に対する耐性が高く、かつ安定した通信品質を提供できるという観点から有用である。これもまた、両通信網のカバレッジエリアがオーバーラップしている場合に、通信端末からの宣言信号によって選択することができる。
なお、図20〜22に示す構成において、同一の通信網が異なる複数の通信媒体を利用可能な構成になっていてもよい。
図23は、本発明で提案しているインタフェース回路を交通機関内に設けた例を示している。図23に示すように、交通機関、例えば列車内に、基地局制御装置301が設けられ、基地局制御装置301は、内部に移動モード用インタフェース回路311と固定モード用インタフェース回路312を有し、またその交通機関から外部装置に接続するための無線接続手段を有している。交通機関の移動状況はその外部にある基地局制御装置361によって把握されており、それらの間の通信接続が維持されている。この通信接続は、交通機関内の通信端末の移動とは独立して行なわれる。交通機関内には、移動モードで通信を継続する通信端末101と、固定モードで通信を継続する通信端末102とがある。例えば、交通機関が列車である場合には、移動モードは車両間を移動しながら通信を行なうものと想定でき、固定モードは座席に座った状態で通信を行なうものと想定できる。
ここで、交通機関内における通信に対する課金処理の例を挙げる。交通機関内で通信を行っている固定モードの通信端末および移動モードの通信端末は、移動している交通機関内で通信を行っているという観点から見ると、外部にある基地局制御装置361の制御処理としては、交通機関外の移動モードの通信端末と同一とみなすことができる。しかし、交通機関内の通信端末の通信モードの違いに対して、異なる課金処理を適用することもできる。具体的には、移動している交通機関内にあることに対する料金と、通信端末が交通機関に対して相対的に移動するか否かに応じて課せられる料金との合計を課すように設定することができる。すなわち、交通機関内の固定モードの通信端末には、交通機関に関する料金(移動)+固定モード通信に関する料金(固定)が課され、交通機関内の移動モードの通信端末は、交通機関に関する料金(移動)+移動モード通信に関する料金(移動)が課される。これは、固定モードの通信端末102は、基地局制御装置361内の移動モード用インタフェース回路311と基地局制御装置301内の固定モード用インタフェース回路312とを用いていることに対する対価に相当し、移動モードの通信端末101は、基地局制御装置361内の移動モード用インタフェース回路311と基地局制御装置301内の移動モード用インタフェース回路311とを用いていることに対する対価に相当するという原則に基づいた課金処理である。ただし、このような課金処理は一つの例証にすぎず、この課金処理に従うものであってもよいし、あるいは、異なる課金処理、例えば交通機関内の移動属性に関わらない課金処理や、交通機関の移動に関わらない課金処理が行われてもよい。
なお、交通機関としては、列車に限られず、航空機あるいは船舶等もその例として挙げられる。特に船舶の場合には、床面積の広さや施設の階層等を考慮して、船舶内でも、使用する通信媒体を切り換える必要性が高い。この方法を用いると、従来行なわれているように交通機関内にある通信端末が、その通信端末自体が有するアンテナ設備を用いて外部の基地局と個々に通信回線の選択および維持を行なうよりも、交通機関に配備された、より送受信特性の高いアンテナ設備を用いて、安定した通信品質を確保することが可能な状況が生じ得る。
次に、固定モードを選択して通信している通信端末101の使用者が、別の場所に移動したい場合について説明する。
ある位置において固定モードで通信を行っている通信端末101が移動する場合、同一基地局のカバレッジエリア内であれば、固定モードであっても通信を継続しながら移動することができる。しかし、その通信端末101が接続している基地局のカバレッジエリア外に移動する場合には、通信を継続しながら移動することができない。従って、一旦移動モードに切り換えて移動し、移動先で停止してから再度固定モードに切り替えることが考えられる。これは、移動中にも通信し続ける場合には有効であるが、通信中には通信を一時中断してもよい場合には、不必要な処理を行うことになる。そのような場合には、移動の前後で固定モードの通信を行い、移動中は通信を中断して通信モードの切り換えも行わないことが合理的である。
ここで考慮すべきなのは、移動前に行っていた通信を完全に切断して、移動先の場所で全く新たに通信を開始すると、通信の切断および開始のための処理に手間と時間がかかることである。特に、いわゆる通話(会話)ではなく、パケット通信などのデータ通信の場合、一時的な中断を挟んでも通信(いわゆるセッション)自体は継続することが望ましい。その理由は、ある特定の通信先とデータの送受信を行っている場合、移動前にその通信先との接続を完全に切断してしまうと、移動後に、その通信先を呼び出して再度接続し、データ送受信のための処理をやり直してからでないと、移動前の続きのデータ通信処理が行えないからである。しかし、移動前にその通信先との接続自体は切断せずに一時待機状態にさせておき、移動先で通信を再開できるようにすると、移動先で直ちに続きのデータ通信処理が行えるため、非常に効率がよい。
そこで本実施形態では、固定モードを選択している通信端末101が、移動前に移動先を指定できるようにしている。制御装置301は、その通信端末101が、指定した移動先で固定モードの通信を再開したいことを確認すると、移動先で固定モード通信を行うために必要な通信設備や通信媒体を、その通信端末101用に予め確保しておく。それと同時に、通信先との接続を解除せず一時停止状態に保持させる。そこで、通信端末101が移動して移動先で通信を再開しようとすると、予め確保されている通信設備や通信媒体を使用することができるため、移動先の回線の混雑具合等を気にすることなく確実に通信が行え、また、再度はじめから接続処理を行わなくても、移動前の通信の続きを即座に行える。
以上の説明は、無線接続形態に限られず、有線接続形態や局所的接続形態においても有効である。すなわち、例えば、有線通信網S3に接続して固定モードで通信を行っている通信端末101が移動先を指定すると、制御手段301は、移動先の付近に存在する有線通信網S3の接続端子(モジュラージャック)を調べ、その位置を通信端末101に通知して使用者に知らせるとともに、移動先の接続端子を、移動前にその通信端末101が行っていた通信の通信先に接続された状態にして待機させる。通信端末101が移動すると、移動先で通信端末101を、制御装置301から通知された接続端子に接続することによって、前記したように確実かつ容易に移動前の通信の続きを即座に行える。局所的接続形態においても、有線接続形態と実質的に同様である。局所的接続形態においてこのような処理を行う具体例としては、例えば、同じビル内の別室に移動して通信の続きを行いたい場合などが挙げられる。このことは、有線通信網から無線通信網、無線通信網から有線通信網等、任意の通信網間で、再接続処理およびそのための手段を伴うことなく通信を継続させることができることを含んでいる。
なお、以上の説明において、固定モードは1つの基地局あるいは特定の複数の基地局のカバレッジエリア内でのみ通信可能な通信形態であると説明しているが、これは、前記した具体例のように1つの基地局のカバレッジエリア内でのみ通信可能に設定される場合に加えて、例えばCDMA通信システムのように、単一の通信端末の接続を、複数の基地局を同時に用いて行う場合を含むことを意味している。ただし、後者の場合であっても、固定モードの通信に使用される基地局は、限られたごく少数の基地局のみであり、継続的に通信可能な範囲はごく狭い地域であることに変わりはない。これに対し、移動モードの通信は、実質的に全ての基地局を適宜使用して、それら全ての基地局のカバレッジエリア全体に亘って継続的に通信可能なものである。