JP4351984B2 - 自動ドア - Google Patents

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Description

本発明は、建物等に設けられる自動ドアに関するものである。
従来、マンションなど24時間出入が必要で、セキュリティを重視する建物の出入口に設けられた自動ドアは、ドアの屋外側に配設された照合装置による認証や、ドアの屋内側に配設されたセンサがドアに接近する人を検知することにより、ドアを開閉するようになっている。しかしながら、近年、前記センサを悪用した不正手段によってドアを開放させて建物内に侵入する者があり、例えば下記特許文献1に開示されているように、ドアと床面との隙間からビラ等を差し込むことにより屋内側センサを検知状態にさせるという不正手段によるドアの開放を防止できるようにしたものが知られている。具体的に、同文献に開示されたものでは、赤外線反射式センサからなる屋内側センサによる監視領域を、ドアからの距離に応じて複数列(例えば4列)に設定し、各監視領域での検知がドアに近づく順序でなされた場合にだけドアを開放する制御を行うようにしている。これにより、屋内の人が屋外に出るための制御を確保しつつ、ドアと床面との隙間からビラ等を差し込むことにより屋内側センサをオンさせてドアを開けてしまうという不正手段によるドア開放を防止できるようになっている。
特開平11−311060号公報
しかしながら、前記特許文献1に開示された自動ドアにおいても屋内側センサを悪用してドアを開放できる余地が残っている。すなわち、ロータリーメジャーや針金の先にビラ等を取り付け、ドアと床面との隙間から屋内へ深く差し込んだ後、ロータリーメジャーを巻き取る等してビラをドアに近づく方向に移動させるようにすれば、各監視領域での検知がドアに近づく順序でなされることとなり、ドアを開けることができる。このような不正手段によれば、前記特許文献1のものでもドア開放が行われる虞がある。
また各監視領域での検知がドアに近づく順序で無い場合には、所定時間、閉鎖し続けることも考えられるが、時間設定が短い場合は所定時間経過後にロータリーメジャーを巻き取る等してビラをドアに近づく方向に移動させれば、他人に見つかることなくドアを開けることが可能であり、時間設定が長い場合は、屋内から人が出ることができず、通行性が悪くなってしまう。更に適切な時間設定は時間帯や周囲状況によって変化するものであり、決定が困難である。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、屋内の人が屋外に出るのときの通行性が悪化するのを抑制しつつ、屋内側センサを悪用した不正手段によってドアが開放されるのを有効に防止することにある。
前記の目的を達成するため、本発明は、ドアの屋内側の人又は物体を検知する検知エリアを有する屋内側検知手段の検知状態に応じて、前記ドアを開閉する自動ドアを前提として、前記検知エリアは、起動エリアと、この起動エリアと前記ドアとの間の近傍エリアとを有し、前記起動エリアで人又は物体を検知すると前記ドアを開ける制御を行う開閉制御手段と、前記ドアが閉じている場合に、前記起動エリアでの検知を有効又は無効に切り換える切換制御手段と、前記無効にされた起動エリアでの検知を有効にできる復帰可能状態にあるか否かを検出する復帰用検出手段とが設けられ、前記切換制御手段は、人又は物体が前記起動エリアで検知されずに前記近傍エリアで検知された異常状態となった場合には前記起動エリアでの検知を無効にし、前記復帰用検出手段によって復帰可能状態が検出されると無効とされている前記起動エリアでの検知を有効にするように構成されている。
この構成では、屋外の不審者が例えばロータリーメジャーの先にビラ等を取り付けてそれをドアと床面の隙間から屋内へ奥深く差し込むような不正手段が行われた場合には、起動エリアが検知状態になる前に近傍エリアが検知状態となることから前記異常状態となる。この結果、起動エリアでの検知が無効にされるので、ドアが開放されることはない。また、起動エリアでの検知を有効にできる復帰可能状態が検出されると起動エリアによる検知が有効とされるので、その後に屋内の人が起動エリアに進入したときにはドアは開放される。したがって、不審者の侵入を有効に防止しつつ、屋内の人が屋外に出るときの通行性が悪化するのを抑制することができる。
前記復帰用検出手段が、前記ドアの屋外側の人又は物体を検知する検知エリアを有する屋外側検知手段によって構成される場合には、前記切換制御手段は、前記異常状態となった場合には、前記屋外側検知手段によって人又は物体が検知されている間は前記起動エリアでの検知を無効にし、前記屋外側検知手段によって人又は物体が検知されなくなると無効とされている前記起動エリアでの検知を有効にするように構成することができる。
この構成では、屋外側に不審者がいる間は起動エリアが無効にされるので、この間はドアが開放されることはない。したがって、屋外の不審者が屋内に侵入するのを有効に防止することができる。しかも、自動ドアに一般的に設けられている屋外側検知手段によって復帰用検出手段を構成するようにしたので、センサ等を新たに追加する必要も無い。
この構成において、前記屋外側検知手段が、前記検知エリア内の人又は物体の有無を判断するための基準値を、所定の条件のときに更新する背景学習制御手段を備えている場合には、前記切換制御手段は、前記異常状態となった場合には、前記復帰用検出手段によって復帰可能状態が検出されるまで前記背景学習制御手段による前記基準値の更新を停止させる構成とされていてもよい。
この構成では、異常状態となったときには復帰可能状態になるまで屋外側検知手段の検知エリアでの前記基準値の更新を停止するようにしたので、例えば前記屋外側検知手段によって検出された値が所定時間、ほぼ一定となっており、かつ設定されている基準値と異なっていることを前記所定の条件としている場合において、不審者が当該検知エリア内で所定時間動かないような場合でも、前記基準値の更新により不審者が非検知となるのを防止することができる。この結果、屋外側検知手段が基準値の学習を行う場合であっても、不審者の侵入を有効に防止することができる。
一方、前記復帰用検出手段が、屋内側の人又は物体を検知する検知エリアを有する遠隔検知手段によって構成される場合には、前記切換制御手段は、前記異常状態となった場合には、前記遠隔検知手段によって人又は物体が検知されない間は起動エリアでの検知を無効にし、前記遠隔検知手段によって人又は物体が検知されると無効とされている前記起動エリアでの検知を有効にするように構成されていてもよい。
この構成では、遠隔検知手段の検知エリアで人が検知されるまでは起動エリアが無効にされるので、屋内から屋外へ出ようとする人が現れるまでドアが開放されることはない。したがって、屋外の不審者が屋内に侵入するのを有効に防止することができる。しかも、遠隔検知手段を屋内側検知手段とは別個に設け、この検知手段によって復帰可能状態を検出するようにしたので、通行性や安全性から位置や範囲が決定される起動エリアとは独立して、遠隔検知手段の検知エリアを設定することが可能となる。この結果、遠隔検知手段の検知エリアを、屋外の不審者が不正を働きにくい位置に設定することが出来る。
また、屋内から屋外へ出ようとする人が遠隔検知手段の検知エリアで検知されると起動エリアの無効を解除して有効にするので、この人が屋外に出るときの通行性が悪化するのを抑制できる。
この構成において、前記遠隔検知手段の検知エリアを床面よりも上方で水平方向に延びるように形成すれば、ドアと床面の間の隙間を通して屋外側から復帰用検出手段の検知エリアにアクセスするのが困難になる。この結果、復帰可能状態か否かについての検出精度を高い状態に維持することができる。
以上説明したように、本発明によれば、復帰可能状態が検出されるまで起動エリアでの検知を無効にするとともに、復帰可能状態になると前記無効を解除するようにしたので、屋内の人が屋外に出るときの通行性が悪化するのを抑制しつつ、かつドアが不正に開放されるのを有効に防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
《実施形態1》
図1は、本実施形態1に係る自動ドア10の全体構成を示している。同図に示すように、本自動ドア10は、マンションなど24時間出入が必要で、セキュリティを重要する建物において、人が通るための出入口12を開閉するものであり、この出入口12を開閉するための引戸式のドア14を備えている。
出入口12は、建物の壁部に矩形状に形成された開口に三方枠を嵌め込むことによって構成されている。そして、この出入口12の上側には細長形状の無目18が出入口12の上縁部に沿って延びるように配設されている。この無目18には、図示省略するが、ドア14を開閉駆動させるための開閉駆動機構が収納されている。この開閉駆動機構は、例えばベルト駆動方式のものであり、モータ19(図3参照)と、このモータ19の駆動によって周回するエンドレス状のベルトと、このベルトとドア14を連結しているドアハンガとを備えている。そして、ドア14は、ベルトの周回に伴って壁部に沿って水平方向に開き位置と閉じ位置との間を往復移動する構成となっている。
本自動ドア10は、照合装置26と、起動センサとしての屋内側センサ28と、屋外側センサ30と、閉じ位置検出センサ32と、補助センサ34と、コントローラ40とを備えている。
照合装置26は、建物内に所定の関係者のみが入れるようにドア14の開閉制御をするためのものであり、例えば暗証番号を入力するための図略の入力装置を備えている。照合装置26は、入力装置に所定の暗証番号を含む所定の入力がなされると検知信号を出力するように構成されている。
屋内側センサ28は、無目18の屋内側面に取り付けられており、出入口12の屋内側の所定領域(屋内側検知エリア)51内の人又は物体を検知する屋内側検知手段を構成している。屋内側センサ28は、例えば赤外線を投光する図略の投光器と、この投光器からの反射光を受光する図略の受光器とを備えた反射式の赤外線センサによって構成されている。投光器は多数の投光素子からなり、受光器は多数の受光素子からなる。
屋内側検知エリア51は、出入口12の上方に配置された投光器の各投光素子から下方に向かって出射された赤外線の通過領域の集合体として形成されるものであり、屋内側の所定の領域である起動エリア52と、この起動エリア52とドア14との間の領域である近傍エリア53とからなる。図2に示すように、近傍エリア53は、出入口12のすぐ屋内側に近接して形成されるものであり、この近傍エリア53は、出入口12の幅とほぼ同等またはそれ以上の幅を有し、かつ、通行方向と交差する方向に延びる形状の領域として構成されている。一方、起動エリア52は、近傍エリア53よりも出入口12から離れたところに形成されるものであり、近傍エリア53に対して出入口12とは反対側で近傍エリア53に隣接する位置に形成され、かつ通行方向と交差する方向に延びる領域と、この領域の両端に形成され、かつ通行方向と交差する方向の近傍エリア53の両側に形成される領域とからなる。起動エリア52及び近傍エリア53がこのように設定されることにより、人が屋内から屋外へ出るときには、人はまず起動エリア52を通過し、その後近傍エリア53を通過することとなる。そして、屋内側センサ28は、起動エリア52で人又は物体を検知すると信号を出力するように構成されている。
屋外側センサ30は、図1に示すように、無目18の屋外側面に取り付けられており、この屋外側センサ30は、出入口12の屋外側の所定領域(屋外側検知エリア)55で検知対象としての人又は物体を検知する屋外側検知手段を構成している。屋外側センサ30は、例えば赤外線を投光する図略の投光器と、この投光器からの反射光を受光する図略の受光器とを備えた反射式の赤外線センサによって構成されている。投光器は多数の投光素子からなり、受光器は多数の受光素子からなる。
前記赤外線センサは、受光器に入射された赤外線量に応じた値を出力するように構成されている。すなわち、屋外側検知エリア55内の人又は物体、あるいはそれ以外の背景に応じた赤外線が受光器に入射されるので、赤外線センサがそれに応じた値を出力することにより、検知エリア55内で人又は物体が検知されたのか、あるいは検知エリア55内には背景のみが検知されたのかを判別できるようになっている。なお、屋外側センサ30は、投光器を備えない受光型の赤外線センサによって構成されていてもよい。
また赤外線を用いたセンサの代わりに、電波を検知エリア内に出射し、人などからの反射波を検知する電波センサを用いても良い。この場合、反射波に応じた値が出力される。更にカメラで検知エリア内の画像を取り込み、人等の存在の有無を検知する画像センサを用いてもよい。この場合、取り込まれた画像に応じた値が出力される。なお背景とは、動いている人や物体が所定時間以上、無い状態のことを示している。
屋外側検知エリア55は、出入口12の上方に配置された投光器の各投光素子から下方に向かって出射された赤外線の通過領域の集合体として形成されるものであり、図2に示すように、出入口12のすぐ屋外側で出入口12を覆うように通行方向と直交する方向に延びる領域によって構成されている。そして、屋外側センサ30は、屋外側検知エリア55内で人又は物体を検知すると信号を出力するように構成されている。
閉じ位置検出センサ32は、ドア14の閉じ位置を検出するためのセンサであり、例えば近接スイッチが用いられ、ドア14が閉じ位置にあるときに信号を出力するように構成されている。なお、出入口12に対するドア14の位置を検出するためのエンコーダ(図示省略)によって閉じ位置を検出するようにしてもよい。
補助センサ34は、ドア14の軌道上を通行する人又は物体を検知して人等がドア14に挟まれないようにするためのものであり、ドア14の軌道上の所定領域を検知エリア(補助検知エリア)57としている。補助センサ34は、図示省略した投光器と受光器を備えた光電管によって構成されている。これら投光器及び受光器は、前記三方枠を構成する方立47,48に互いに対向するように埋め込まれており、投光器からの出射光が受光器に入射されるようになっている。そして、補助センサ34は、投光器から出射された光が遮断されて受光器で前記出射光が検知できないときに信号を出力するように構成されている。
コントローラ40は、周知のマイコン回路及び外部機器との入出力インターフェイスを備えたものであって、マイコンプログラムに従って制御動作を行うものである。図3に示すように、コントローラ40には、屋内側センサ28、屋外側センサ30、閉じ位置検出センサ32、補助センサ34及び照合装置26からの各信号が入力されるようになっている。コントローラ40には、開閉制御手段としてのモータ制御手段41と、屋外側センサ制御手段42と、補助センサ制御手段43と、照合装置制御手段44と、切換制御手段45と、背景学習制御手段46とが機能的に含まれている。
本実施形態1では、この背景学習制御手段46が本発明でいう学習制御手段を構成している。
モータ制御手段41は、モータ19を駆動制御するものであり、起動エリア52で人又は物体が検知されて屋内側センサ28から信号が入力されるとドア開き信号をモータ19へ出力する一方、信号が入力されなくなって所定時間が経過すると、モータ19へドア閉じ信号を出力するように構成されている。モータ19は、ドア開き信号が入力されるとドア14が開き方向に移動するように駆動され、またドア閉じ信号が入力されるとドア14が閉じ方向に移動するように駆動される。
屋外側センサ制御手段42は、屋外側センサ30による検知を、通常、無効にしている。ここでいう通常とは、ドア14が閉じており、出入口12を通過しようとする正当な者がいない状態をいい、具体的には、屋内側センサ28によって人又は物体が検知されない非検知状態にあり、かつ照合装置26に所定の暗証番号が入力されない状態を意味している。また、無効とは、屋外側センサ30による屋外側検知エリア55内での検知を行わないか、屋外側センサ30による屋外側検知エリア55内での検知を行うが検知信号を出力しないか、そのエリア内で人等を検知して信号を出力してもコントローラ40においてこの検知信号を受け付けない処理を行うことを意味している。ここでは、屋外側センサ30が常時検知を行うが、コントローラ40において屋内側センサ28が人等を検知するまで屋外側センサ30からの信号を受け付けない構成とした場合について説明する。
屋外側センサ制御手段42は、屋内側センサ28からの信号が入力されたときに屋外側センサ30による検知を有効にするように構成されている。つまり、屋外側センサ30による検知は、屋内側センサ28によって起動エリア52で人又は物体が検知されないときには無効にされており、起動エリア52で人又は物体が検知されたときに有効にされる。そして、屋外側センサ制御手段42は、屋外側センサ30による検知が有効となった後、屋外側センサ30からの信号が入力されると、所定時間だけドア14を開き位置に維持すべく、モータ制御手段41によるドア閉じ信号の出力を制限するように構成されている。
補助センサ制御手段43は、屋外側センサ制御手段42と同様に、補助センサ34による検知を通常、無効としており、起動エリア52で人又は物体が検知されると、補助センサ34による検知を有効にするように構成されている。
補助センサ制御手段43は、モータ制御手段41がドア開き信号を出力し、かつその後に補助センサ34からの検知信号が入力されている間、モータ制御手段41によるドア閉じ信号の出力を制限するように構成されている。つまり、屋内側にいる人が屋内側センサ28によって検知され、その人が出入口12を通過する間、ドア14が閉じ動作を行うのを制限するようになっている。
照合装置制御手段44は、照合装置26から照合成功の信号が入力されると、屋外側センサ30から出力された信号を受け付けるように屋外側センサ制御手段42を制御するように構成されている。また、照合成功の信号が入力されるとすぐにドア14を開けるようにすることも出来る。
切換制御手段45は、人又は物体が前記起動エリア52で検知されずに前記近傍エリア53で検知された異常状態となった場合には前記起動エリア52での検知を無効にするようにモータ制御手段41を制御するとともに、屋外側センサ30による検知を有効にするように屋外側センサ制御手段42を制御するように構成されている。なおこのとき、屋外側センサ制御手段42は屋外側センサ30から信号が入力されてもドア14の閉鎖状態を維持するように動作している。またここで、起動エリア52での検知を無効にするとは、モータ制御手段41が屋内側センサ28からの信号を受け付けないようにすることをいう。
そして、切換制御手段45は、屋外側センサ30によって人又は物体が検知されている間は起動エリア52での検知を無効に維持し、屋外側センサ30によって人又は物体が検知されなくなると起動エリア52での検知無効を解除して有効にするとともに、屋外側センサ30による検知を無効にするように切換制御を行うように構成されている。つまり、本実施形態1では、無効にされた起動エリア52での検知を有効にできる復帰可能状態にあるか否かが屋外側センサ30によって検出されるようになっており、本実施形態1では、この屋外側センサ30が本発明でいう復帰用検出手段を構成している。
背景学習制御手段46は、屋外側センサ30の検知エリア55で背景のみが検知されている場合に受光器に入射される赤外線量に相当する値を基準値とし、受光器に入射される赤外線量に相当する値が所定時間以上、ほぼ一定であり、かつその値が所定値以上、基準値よりも大きいか小さい状態のときに、その基準値を更新する背景学習処理を行うように構成されている。この学習処理は、降雨などにより検知エリア内の状況が施工時よりも大きく変化したことを、人又は物体が検知エリア内に入ってきたものとしてセンサが誤検知するのを防止するために設けられるものである。
なお、背景学習制御手段46は、屋内側センサ28についても同様に背景学習処理を行うように構成されている。
そして、切換制御手段45は、前記異常状態となった場合には背景学習制御手段46による基準値の更新を停止する一方、復帰可能状態になるとその更新を開始するように構成されている。
ここで、本実施形態1に係る自動ドア10の制御動作について、図4〜図6に示すフロー図を参照しながら説明する。
図4に示すように、まずステップST1において、所定の初期状態に設定する。この初期状態とは、ドア14が閉じ位置にあり、屋外側センサ30による検知が無効とされており、屋内側センサ28による検知が起動エリア52及び近傍エリア53ともに有効とされており、補助センサ34による検知が無効とされている状態をいう。次にステップST2では、上記初期状態において、近傍エリア53で人又は物体が検知されたか否かが判定され、このステップにおいて近傍エリア53で人等が検知されたと判定されるとステップST3の侵入阻止処理ルーチンへ移る。このとき、人又は物体が起動エリア52で検知されずに近傍エリア53で検知された異常状態に該当する。
一方、近傍エリア53で人又は物体が検知されないと判定されたときにはステップST4へ進み、起動エリア52で人又は物体が検知されたか否かが判定される。このステップにおいて起動エリア52で人等が検知されたと判定されるとステップST5のドア開処理ルーチンへ移る。つまり、この場合は屋内の人が起動エリア52及び近傍エリア53を通過して出入口12から屋外へ出る場合に該当する。
一方、起動エリア52で人等が検知されないと判定されたときには、ステップST6へ進み、照合成功したか否かが判定される。このステップにおいて照合成功と判定されたときにはステップST5のドア開処理ルーチンへ移る一方、照合装置26を操作していないときや照合が失敗したときにはリターンされる。ここで、照合成功とは、所定の暗証番号を含む所定の入力がなされて照合装置26から照合成功の信号が出力され、この照合成功の信号がコントローラ40の照合装置制御手段44へ入力されたことを意味している。
前記侵入阻止処理ルーチンでは、図5に示すように、まず、ステップST11において屋外側センサ30による検知を有効にし、ステップST12において起動エリア52での検知を無効にするとともに屋外側検知エリア55での背景学習処理を停止する。そして、ステップST13に移り、屋外側検知エリア55で人又は物体が検知されたか否かが判定され、屋外側検知エリア55で人等が検知されたときはステップST12に戻る。つまり、屋外側検知エリア55で人等が検知されている限り、起動エリア52での検知が無効にされている。このため、屋外側検知エリア55で人等が検知されている限り、処理が侵入阻止処理ルーチンから抜け出すことはないので、ドア14は開かれない。
そして、屋外側検知エリア55で人等が検知されなくなるとステップST13での判定がNOとなり、ステップST14に進む。このステップST14では、起動エリア52での検知を有効にするとともに、屋外側検知エリア55での背景学習処理を再開する。そして、ステップST15に移り、屋外側検知エリア55での検知を無効にしてリターンする。
前記ドア開処理ルーチンでは、図6に示すように、まず、ステップST21において、屋外側検知エリア55での検知を有効にするとともに、補助検知エリア57での検知を有効にする。そして、ステップST22に移り、ドア14を開く動作を行う。そして、ステップST23において、各検知エリアでの人等の検知状態を確認し、何れかの検知エリアにおいて人等が検知されている間はステップST22に戻り、ドア14を開放し続ける。そして、何れの検知エリアにおいても人等が検知されなくなると、ステップST24に進み、ドア14を閉じるとともに屋外側検知エリア55での検知と補助検知エリア57での検知を無効にしてリターンする。
以上説明したように、本実施形態1の自動ドア10では、屋外の不審者が例えばロータリーメジャーの先にビラ等を取り付けてそれをドア14と床面の隙間から屋内へ奥深く差し込むような不正手段が行われた場合、屋外側検知エリア55が検知状態となるとともに、起動エリア52が検知状態になる前に近傍エリア53が検知状態となる異常状態となる。このため、起動エリア52での検知が無効にされるので、前記不正手段によってドア14が開放されることはない。したがって、このような不正手段によってドア14が開放されるのを有効に防止することができる。しかも、屋外側検知エリア55で不審者が検知されなくなると起動エリア52による検知が有効とされるので、その後に屋内の人が起動エリア52に進入したときにはドア14は開放される。したがって、不審者の侵入を有効に防止しつつ、屋内の人が屋外に出るときの通行性が悪化するのを抑制することができる。
また、本実施形態1では、自動ドア10に一般的に設けられている屋外側センサ30を復帰用検出手段として利用しているので、センサ等を追加することなく不審者の侵入を有効に防止しつつ、屋内の人が屋外に出るときの通行性が悪化するのを抑制することができる。
また、本実施形態1では、屋外側検知エリア55で不審者が検知されなくなるまでは起動エリア52での検知が無効に維持されるので、偶然に屋内の人が起動エリア52に進入することがあってもドア14は開かれず、屋内の人が屋外に出るときにドア14が開放されるのを利用して不正侵入を試みる、ということを未然に防止することができるとともに、ドア14が開かないことから、屋外に出ようとする人が、屋外にいる者が不正開放を試みた者か否かがすぐに分かる。
また、本実施形態1では、異常状態となったときに復帰可能状態になるまで屋外側センサ30の背景の更新を停止するようにしたので、例えば前記屋外側検知手段によって検出された値が所定時間、ほぼ一定となっており、かつ設定されている基準値と異なっていることを前記所定条件としている場合において、不審者が屋外側検知エリア55内で所定時間動かないような場合でも、前記基準値の更新により不審者が非検知となるのを防止することができる。
なお、本実施形態1では、引戸式のドア14に構成したものについて説明したが、これに代え、開き戸式のドアに構成したものとしてもよい。
《実施形態2》
本発明の実施形態2では、図7に示すように、実施形態1と異なり、起動エリア52よりもドア14から離れた領域に検知エリア(遠隔検知エリア)59を有する遠隔検知手段36が設けられている。なお、ここでは、実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
前記遠隔検知手段36は、通行方向と略直交する方向に光を出射する図略の投光器と、この投光器からの出射光が入射される位置に配置された図略の受光器とを備えた光電管によって構成されている。この投光器及び受光器は、建物の壁等に埋め込まれている。そして、この遠隔検知手段36の遠隔検知エリア59は、出入口12から外へ出ようとする人が必ず横切るようなエリアであって、出入口12からある程度離れたところに設定された水平方向に延びるように形成されたエリアとされている。遠隔検知手段36は、投光器から出射された光が途中で遮断されて受光器で検知できないときに信号を出力するように構成されている。
コントローラ40は、遠隔検知手段36から出力された信号が入力されるように構成されている。
なお本実施例では、屋外側センサ30は設けられていない。
切換制御手段45は、人又は物体が起動エリア52で検知されずに近傍エリア53で検知された異常状態となった場合には起動エリア52での検知を無効にするようにモータ制御手段41を制御ように構成されている。そして、切換制御手段45は、遠隔検知エリア59で人又は物体が検知されるまで起動エリア52での検知を無効に維持し、遠隔検知エリア59で人又は物体が検知されると起動エリア52での検知を有効にするように切換制御を行うように構成されている。つまり、本実施形態2では、無効にされた起動エリア52での検知を有効にできる復帰可能状態にあるか否かが遠隔検知手段36によって検出されるようになっており、本実施形態2では、遠隔検知手段36が本発明でいう復帰用検出手段を構成している。
本実施形態2に係る自動ドア10の制御動作について説明する。本実施形態2では、屋外側センサ30に関する処理と、侵入阻止処理ルーチンとが前記実施形態1と異なるが、屋外側センサ30に関する処理は無いものとして扱えばよいので、ここでは侵入阻止処理ルーチンのみについて説明する。
侵入阻止処理ルーチンでは、図8に示すように、まずステップST31において起動エリア52での検知を無効にする。そして、ステップST32に移り、遠隔検知エリア59で人又は物体が検知されたか否かが判定され、遠隔検知エリア59で人等が検知されたときはステップST31に戻る。つまり、遠隔検知エリア59で人等が検知されるまで、起動エリア52での検知が無効にされている。このため、遠隔検知エリア59で人等が検知されない限り、処理が侵入阻止処理ルーチンから抜け出すことはないので、ドア14は開かれない。
そして、遠隔検知エリア59で人等が検知されるとステップST32の判定がNOとなり、ステップST33に進み、このステップST33において、起動エリア52での検知を有効にしてリターンする。
したがって、本実施形態2では、異常状態となった場合であっても、遠隔検知エリア59で人が検知されるまでは起動エリア52での検知が無効にされるので、屋内から屋外へ出ようとする人が現れるまでドア14が開放されるのを阻止することができる。そして、屋内から屋外へ出ようとする人が遠隔検知エリア59で検知されると起動エリア52の無効を解除して有効にするので、この人が屋外に出るときの通行性が悪化するのを抑制でき、しかも屋外の不審者が屋内に侵入するのを有効に防止することができる。
また、起動エリア52から離れた遠隔検知エリア59で復帰可能状態を検出できるので、屋外側からこの検知エリア59にアクセスし難くすることができる。しかも、遠隔検知エリア59を床面よりも上方で且つ水平方向に延びるように形成したので、ドア14と床面との隙間から針金やロータリーメジャーを差し込むような不正手段によっても遠隔検知エリア59にアクセスするのは困難であり、不正手段によって復帰可能状態が検出されてしまうのを防止することができ、復帰可能状態か否かについての検出精度を高い状態に維持することができる。この結果、不正手段によるドア開放をより確実に防止することができる。また、本実施形態のように遠隔検知手段36を光電管で構成した場合には、検知エリアを狭くできるので、検知エリアが床面近傍に設定されないようにする場合に特に有効である。
また、本実施形態2では、遠隔検知手段36を設けてこの検知結果に基づいて起動エリア52での検知の有効及び無効を切り換えるようにしたので、屋外側センサを備えずに照合装置26のみを屋外側に備えた自動ドアの場合に特に有効である。また、起動エリア52とは別個に検知エリアが形成されるように遠隔検知手段36が設けられる構成なので、屋内側センサ28による制約を受けることなく遠隔検知手段36を配置することができ、設置の自由度を向上することができる。
実施形態1では、不正を働いた後に屋外側検知エリア55に物体が置かれたりして、屋外側センサ30が検知した状態のままになっている場合に起動エリア52での検知を有効にできなくなってしまい、その結果、ドア14を開放できなくなる可能性がある。これに対し、本実施形態2のように、起動エリア52よりも更に屋内側の遠隔検知エリア59が検知状態となったときに起動エリア52での検知を有効にする構成とすれば、上記のような事態を回避することができる。
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが前記実施形態1と同様である。
本発明の実施形態1に係る自動ドアの全体構成を概略的に示す図である。 前記自動ドアによる検知エリアの構成を概略的に示す図である。 前記自動ドアの制御ブロック図である。 前記自動ドアの制御動作の全体構成を示すメインフロー図である。 前記自動ドアの侵入阻止処理ルーチンの構成を示すフロー図である。 前記自動ドアのドア開処理ルーチンの構成を示すフロー図である。 本発明の実施形態2に係る図1相当図である。 前記自動ドアの侵入阻止処理ルーチンの構成を示すフロー図である。
符号の説明
14 ドア
28 屋内側センサ(屋内側検知手段の一例)
30 屋外側センサ(屋外側検知手段の一例)
36 遠隔検知手段
41 モータ制御手段(開閉制御手段の一例)
45 切換制御手段
46 背景学習制御手段
52 起動エリア
53 近傍エリア
55 屋外側検知エリア
59 遠隔検知エリア

Claims (5)

  1. ドアの屋内側の人又は物体を検知する検知エリアを有する屋内側検知手段の検知状態に応じて、前記ドアを開閉する自動ドアであって、
    前記検知エリアは、起動エリアと、この起動エリアと前記ドアとの間の近傍エリアとを有し、
    前記起動エリアで人又は物体を検知すると前記ドアを開ける制御を行う開閉制御手段と、
    前記ドアが閉じている場合に、前記起動エリアでの検知を有効又は無効に切り換える切換制御手段と、
    前記無効にされた起動エリアでの検知を有効にできる復帰可能状態にあるか否かを検出する復帰用検出手段とが設けられ、
    前記切換制御手段は、人又は物体が前記起動エリアで検知されずに前記近傍エリアで検知された異常状態となった場合には前記起動エリアでの検知を無効にし、前記復帰用検出手段によって復帰可能状態が検出されると無効とされている前記起動エリアでの検知を有効にするように構成されていることを特徴とする自動ドア。
  2. 前記復帰用検出手段は、前記ドアの屋外側の人又は物体を検知する検知エリアを有する屋外側検知手段によって構成され、
    前記切換制御手段は、前記異常状態となった場合には、前記屋外側検知手段によって人又は物体が検知されている間は前記起動エリアでの検知を無効にし、前記屋外側検知手段によって人又は物体が検知されなくなると無効とされている前記起動エリアでの検知を有効にするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動ドア。
  3. 前記屋外側検知手段は、前記検知エリア内の人又は物体の有無を判断するための基準値を、所定の条件のときに更新する学習制御手段を備え、
    前記切換制御手段は、前記異常状態となった場合には、前記復帰用検出手段によって復帰可能状態が検出されるまで前記学習制御手段による前記基準値の更新を停止させる構成とされていることを特徴とする請求項2に記載の自動ドア。
  4. 前記復帰用検出手段は、屋内側の人又は物体を検知する検知エリアを有する遠隔検知手段によって構成され、
    前記切換制御手段は、前記異常状態となった場合には、前記遠隔検知手段によって人又は物体が検知されない間は起動エリアでの検知を無効にし、前記遠隔検知手段によって人又は物体が検知されると無効とされている前記起動エリアでの検知を有効にするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動ドア。
  5. 前記遠隔検知手段の検知エリアは、床面よりも上方で水平方向に延びるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の自動ドア。
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