JP4351027B2 - 樹脂成型品の表面処理方法 - Google Patents
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Description
この表面処理は、従来、サンドペーパー処理等の機械的表面処理では十分な塗料等の密着強度が得られないため、コロナ放電処理、短波長紫外線処理、プラズマエッチング処理、フレーミング処理等の、表面を化学的に改質させる処理が行われている(例えば、非特許文献1参照)。
Polyplastics、技術サポート、[on line] 、2002年、〔2003年 8月20日検索〕、インターネット<URL : http://www.polyplastics.com/jp/support/tech/treat/Tecin _treat.html>
また、従来の処理方法は、樹脂成型品が円柱状や円筒状などの曲面を有するような複雑な形状の場合、均一な表面処理状態を得るのが困難であり、また、処理条件の制御が難しく、所望する十分な塗料等の密着強度が得られないという欠点がある。
さらに、処理中に発生する熱により、成型品が変形するおそれがある。特に高い寸法精度が要求される精巧な成型品に、従来の化学的改質処理方法を適用することは不可能である。
従って、難印刷性又は難塗装性の樹脂成型品に対して、印刷・塗装密着強度を向上させることができ、変形や反り等の変形を伴わせることがなく、精度の良い完成品を得ることができる。
また、樹脂成型品の主成分をポリオキシメチレン樹脂とすることで、綺麗な印刷又は塗装が施された寸法精度の高い製品を得ることができる。
難印刷性又は難塗装性の樹脂成型品とは、脱脂やサンドペーパー処理のような単純な機械的表面処理では、良好な密着強度の印刷又は塗装ができない樹脂成型品を言う。
例えば、疎水性分子構造により表面エネルギーが低いため、印刷性や塗装性が劣るポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、結晶化度が高く、耐溶剤性が優れているため印刷性、塗装性が芳しくないポリオキシメチレン系樹脂等の樹脂成型品が挙げられる。
さらに、ポリオキシメチレン樹脂は、単独で、又は、他の樹脂と合わさって(ブレンドして)成型品として成型されるが、ポリオキシメチレン樹脂を50%以上含有するもの───ポリオキシメチレン樹脂を主成分とする樹脂材料───を対象とするのが、より顕著に密着強度を向上させることができるという点で、好ましい。
つまり、ポリオキシメチレン樹脂が50%未満のものでも、当然、本発明の表面処理方法が適用でき、優れた効果が発揮されるが、合わされる他の樹脂が、印刷性又は塗装性の優れたものであれば、本発明の独自の作用による効果が評価されにくくなる。
そして、回転処理槽が鉛直軸心廻りに回転することで、回転処理槽内に投入された内容物(樹脂成型品、研磨石、水)が、渦巻き状に流動する。この流動による樹脂成型品と研磨石との相対運動差により相互が衝突し、樹脂成型品の表面を均一に粗面化(活性化)し、印刷性又は塗装性を向上させる。
投入される樹脂成型品は、例えば、射出成型や圧縮成型等にて仕上げられたものであり、その形状は特に限定されず、平板状、立方体、円柱、円筒、多角柱、球形、楕円形、歯車状、これらが組み合わされた形状に加工された物がある。
そして、樹脂成型品の投入量は、投入する槽(回転処理槽)の容量(容積)の 1〜25%が好ましい。
また、研磨石の投入量は、投入する槽(回転処理槽)の容量(容積)の15%〜35%が好ましい。
なお、樹脂成型品と研磨石との投入量が上記上限値を越えると、流動性が悪くなって所望の表面の粗さが得られず、また、不均一となるおそれがあり、また、下限値未満となると、処理量が少なく、非効率的である。
また、水の投入量は、投入する槽(回転処理槽)の容量(容積)の10%〜25%が好ましい。
また、コンパウンドの投入量は、投入する槽(回転処理槽)の容量(容積)の0.01%〜0.25%が好ましい。
また、本発明は、従来の機械的処理方法よりも能率的でありかつ全ての樹脂成型品の粗度を均一にすることができる。さらに、従来の化学的方法よりも勝る密着強度を有する表面状態を得ることが、安価でできる。
このように、極めて優れた密着強度が得られるのは、新しい活性な表面を機械的に形成する作用が、従来の機械的処理方法に比べてはるかに優れているからである。
さらに、十分に硬化させるための乾燥硬化工程の時間は、印刷インキ又は塗料の種類にもよるが、室温20℃では40〜55時間程度、70℃では 10min〜60min 程度とすればよい。
なお、研磨石は、SiO2、Al2O3 、TiO2、Fe2O3 、CaO を主成分とし、一辺の長さ寸法が10mmで高さが 7mmの偏平三角柱体としている。
一方、比較例1は 5.8μmであり、比較例2は 8.0μmのものであり、比較例3は42.0μmのものである。
また、比較例4は、樹脂成型品の表面をエタノールにて拭き取る脱脂のみを行ったものである。
比較例7は、塗装前処理に使用されるサンドブラスト装置を用いて表面処理したものである。処理時間は10分で、樹脂成型品10個を樹脂製ボール25ダースと共にバケットに投入し、バケット回転数を 10rpm〜20rpm とし、 200〜300 メッシュの砂(瑞浪珪砂)を20〜70 vol%含む水懸濁液をエアー圧 4〜7 kgf/cm2 で吹き付け処理した場合である。
その他の比較例及び実施例1〜実施例6については、十条ケミカル社製の2液型パッド印刷用黒色インキで、主剤と硬化剤とが10:1 のものであり、インキ硬化条件を40℃で60分とした。
また、印刷密着強度は、JIS K 5400 8.5.1、8.5.2 に規定される碁盤目テープ法に準じて行った。
一方、比較例1及び比較例2は、十点平均粗さが10未満であり、粗度が不足したため印刷密着強度の評価が低い。この結果から、十点平均粗さの下限を、10μmとする必要があることがわかる。
比較例4は、エタノールにて表面が拭き取られたのみであるため、表面が粗面化(活性化)されておらず、十分な密着強度が得られなかった。
比較例7は、樹脂成型品の表面状態が印刷面としては不適当であり、印刷密着強度の評価が悪い。
さらに、表面状態は全体にわたって均一であり、また、表面処理により、樹脂成型品を高い温度まで温度上昇させることがないため、熱変形により樹脂成型品の寸法精度を損なうことがない。
従って、難印刷性又は難塗装性の樹脂成型品において、印刷・塗装密着強度を極めて高くすることができ、変形や反り等の変形を伴わせることがなく、精度の良い完成品を得ることができる。
つまり、綺麗な印刷又は塗装が施された寸法精度の高い製品を得ることができる。
Claims (1)
- 難印刷性又は難塗装性のポリオキシメチレン樹脂を主成分とした樹脂成型品と、角柱形状及び/又は錐体形状の研磨石と、水とを、処理槽内に投入し、渦巻き状に流動させ、該樹脂成型品と該研磨石とを衝突させ、該樹脂成型品の表面の十点平均粗さを10μm〜40μmに粗面化して、印刷又は塗装の密着強度を向上させることを特徴とする樹脂成型品の表面処理方法。
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