JP4350198B2 - 楽音演奏装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、曲の演奏を早送りあるいは早戻しすることができる楽音演奏装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、楽音を演奏する装置において、演奏を早く進行させる早送りや、演奏を逆行させる早戻しを行う技術が知られている。
例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)規格などに基づいて作成された曲データに基づいて楽音を演奏する装置においては、曲データに含まれた各拍毎の演奏内容を示すイベントデータ(演奏情報)を順次実行することによって演奏を行っているので、早送りを行う場合には、1拍間の時間間隔を短縮してテンポを早くすることによって演奏時間を短縮する。また、イベントデータの実行順序を逆行させることによって早戻しを行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術においては、早送りや早戻しを行った場合は、曲の内容が把握できない程テンポが早くなってしまうという不都合があった。また、早戻しを行う場合も、時間軸が逆になってしまうので本来の曲とは全く異なった曲となってしまうという不都合があった。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、早送りあるいは早戻しを行う場合でも曲の内容を認識できる楽音演奏装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、曲の演奏情報を含む曲データを記憶する記憶手段と、前記曲データの演奏単位となる単位演奏区間を設定する演奏区間設定手段と、曲の演奏の基準となる基準演奏速度を設定する基準速度設定手段と、曲の早送りまたは早戻しの速さを設定する送り速度設定手段と、曲の早送りまたは早戻しの時に前記基準演奏速度で演奏する前記単位演奏区間の数を前記送り速度設定手段で設定された速さに応じて設定する第1設定手段と、曲の早送りまたは早戻しの時にスキップする前記単位演奏区間の数を前記送り速度設定手段で設定された速さに応じて設定する第2設定手段と、前記記憶手段に記憶された曲データを読み出し、読み出した曲データについて前記第1設定手段で設定された数の単位演奏区間を前記基準演奏速度で演奏した後、前記第2設定手段で設定された数の単位演奏区間をスキップし、該演奏と該スキップとを繰り返す、送り演奏手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の楽音演奏装置において、早送りの方向は、前記演奏の順方向であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の楽音演奏装置において、前記送り演奏手段は、前記演奏の順方向に向かって単位演奏区間をスキップすることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の楽音演奏装置において、早戻しの方向は、前記演奏の逆方向であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の楽音演奏装置において、前記送り演奏手段は、前記演奏の逆方向に向かって単位演奏区間をスキップすることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1記載の楽音演奏装置において、前記単位演奏区間は、拍あるいは小節であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1記載の楽音演奏装置において、前記基準演奏速度は、テンポによって設定されることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0007】
1.実施形態の構成
図1は、実施形態の構成を示すブロック図である。本実施形態は、早送りおよび早戻しを行うことができるカラオケ装置100に本発明を適用したものであり、CPU101、ROM102、RAM103、ハードディスクドライブ(HDD)104、音源105、サウンドシステム106、表示制御部107、ディスプレイ108、パネルインターフェイス(I/F)109、およびパネル110を備えて構成されている。
【0008】
CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムに基づいて、バスを介して接続された各部の動作を制御する。RAM103は、読み書き可能なメモリであり、本実施形態においては、後述する各種設定内容を示すデータや、演奏する曲データなどが記憶される。HDD104には、カラオケ装置100において演奏可能な曲データが多数記憶されており、リクエストに応じて曲データがRAM103展開される。
音源105は、CPU101の制御の下において、曲データに基づく楽音を生成するものである。CPU101は、RAM103に記憶された曲データ中のイベントデータを音源105に順次送信し、音源105は受信したイベントデータを順次実行して楽音を生成する。サウンドシステム106は、音源105において生成された楽音を増幅して放音するものである。これらによりカラオケ装置100は楽音演奏を行うようになっている。
表示制御部107は、ディスプレイ108における映像表示を制御するためのものであり、ディスプレイ108には、歌詞に対応する文字がスーパーインポーズされた背景映像を表示する。
【0009】
パネル110は、図2に示すような各種操作子を備えており、各操作子における操作は適宜検出され、パネルインターフェイス109を介してCPU101によって操作が認識される。
図2は、パネル110の外観構成を示す図であり、図示するようにパネル110は、曲番号やカラオケ装置100の状態を表示する表示部111、数値や記号などを入力するためのテンキー112、曲の通常演奏を指示するための再生キー113、曲の早送りを指示するための早送りキー114、および、曲の早戻しを指示するための早戻しキー115を備えて構成されている。
【0010】
2.実施形態の動作
2−1.概要動作
まず、図3および図4に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の概要動作について説明する。図3は、ROM102に記憶されたプログラムに基づいてCPU101が実行する処理のメインルーチンを示すフローチャートであり、図4は、1拍分の周期で実行される割り込みルーチンを示すフローチャートである。
【0011】
(1)メインルーチン
図3は、カラオケ装置100に電源が投入されると、CPU101は初期設定を行ってシステム状態を所定の状態に設定した後(S101)、パネル処理を行い(S102)、その他の処理を行って(S103)、再度パネル処理(S102)に移行させる。このステップS102およびS103の処理は、カラオケ装置100の電源が遮断されるまで繰り返される。
【0012】
パネル処理(S102)においては、パネル110の各操作子112〜115の操作状態を検出して、操作のあった操作子に対応した処理を行う。
例えば、テンキー112の操作によってリクエスト曲番号が入力された場合には、当該曲番号をキューイングする処理を行う。その他処理(S103)では、キューイングされた曲番号を曲の演奏を終了する毎に順次読み出して、当該曲番号に対応した曲データをHDD104から読み出してRAM103に展開する。
【0013】
ここで、図5は、曲データの構成の概要を示す図である。図示するように、曲データは演奏動作を示すイベントデータと、各イベントデータを実行する時間間隔を示すΔtデータとを備えている。イベントデータには、発音を指示するノートオンメッセージや、消音を指示するノートオフメッセージなどがあり、ノートオンメッセージには、発音すべき音高や拍の強さなどを示す情報が含まれている。テンポを示す情報も、曲データに含まれており、これによりCPU101は1拍当たりの時間間隔を設定する。
図6は、曲データに基づいて楽音を生成した場合に対応する楽譜を例示したものである。すなわち、図5に示すようなイベントデータおよびΔtデータを含むシーケンスデータを曲の拍子(図6に示す例では4/4拍子)に対応した演奏内容を示す情報として扱うことができる。具体的には、例えば、設定されたテンポが120であれば、1拍当たりの時間は0.5秒分のイベントデータ(ノートオン、ノートオフなど)が1拍に対応する演奏情報となる。なお、本実施形態においては、説明を簡略化するため、すべての音が4分音符1拍ずつで構成された4/4拍子の曲に対応した曲データを例として説明する。
【0014】
本実施形態では、早送りおよび早戻しについては小節単位の処理を行い、早送りおよび早戻しのいずれの処理においても、1小節内の処理は本来の拍の進行の順序に従い、1拍当たりの時間(テンポ)も通常と同様のテンポで演奏を行う。これにより、曲の内容を把握し易い態様で早送りあるいは早戻しを行うが、早送りおよび早戻し処理の態様には、以下に示す4種類の態様がある。
早送り処理の態様としては、各小節毎に1小節当たりの拍数内の所定拍数分に対応するイベントデータの実行をスキップする態様(第1の態様)と、所定の小節内の全拍に対応するイベントデータの実行をスキップする態様(第2の態様)がある。
同様に早戻し処理の態様としては、各小節毎に1小節当たりの拍数内の所定拍数分に対応するイベントデータの実行をスキップしながら、演奏を実行する小節を逆行する態様(第3の態様)と、所定の小節内の全拍に対応するイベントデータの実行をスキップしながら、演奏を実行する小節を逆行する態様(第4の態様)がある。各態様における動作については、後に詳しく説明する。
【0015】
このように、本実施形態では通常演奏における拍の進行順序を特定する必要があるので、各拍に対して曲の冒頭から通し番号(拍番号)を付与し、この拍番号を用いて、次に実行すべきイベントデータの組(演奏情報)を特定する。具体的には、図7に示すように、次に実行すべき拍番号を示す変数であるポインタSPと、次に実行すべき拍番号は演奏中の小節内において何拍目であるかを示す変数であるカウンタSCとを用いる。従って、ポインタSPおよびカウンタSCの値は、曲の冒頭においては、SP=1、SC=1となる。そしてポインタSPおよびカウンタSCの値は、後述するように1拍の時間間隔毎に実行される割り込み処理において変更され、これにより、次に実行すべき拍を特定しながら演奏を進行させることができるようになっている。
【0016】
また、本実施形態では、処理モードを示す変数Mを用いて、上述した第1〜第4の態様のいずれの態様における処理を行うかを特定する。変数Mの値は、パネル処理において検出された、再生キー113、早送りキー114、あるいは早戻しキー115のいずれかの操作に応じて設定される。例えば、再生キー113を操作した場合は、通常の演奏態様を示すM=0に設定し、早送りキー114を操作した場合は第1あるいは第2の態様を示すM=1〜5のいずれかを選択的に設定し、早戻しキー115を操作した場合は第3あるいは第4の態様を示すM=6〜9のいずれか選択的にを設定する。早送りキー114あるいは早戻しキー115が操作された場合にいずれのモードを設定するかについては、曲の特徴により適する態様が異なるので、曲データによって予め指定されている。
【0017】
本実施形態においては、通常の演奏態様である1倍速(M=0)、上記第1の態様である4/3倍速早送り(M=1)および2倍速早送り(M=2)、上記第2の態様である2倍速早送り(M=3)、3倍速早送り(M=4)、および4倍速早送り(M=5)、上記第3の態様である1倍速早戻し(M=6)、4/3倍速早戻し(M=7)および2倍速早戻し(M=8)、上記第4の態様である2倍速早戻し(M=9)のうちのいずれか一つのモードが設定可能である。
本実施形態では、各モードにおける拍の進行パターンが図8に示すように予め設定されており、拍の進行パターンは、後述する割り込み処理における算出に用いる変数xおよびyによって示されている。変数xは、1小節内において実行すべき拍数であり、変数yは、1小節内においてx拍分の実行を終了した後に進行させる拍数を示す変数である。
【0018】
(2)割り込み処理
次に、上述した変数を用いて順次イベントデータの実行を行うことによって演奏を進行させる割り込み処理について説明する。図4は、割り込み処理を示すフローチャートである。なお、CPU101は、タイマなどにより1拍毎の時間間隔を計時しており、これにより割り込み処理は上述した1拍毎に実行される。
割り込み処理が開始すると、CPU101はポインタSPに対応するイベントデータを音源105に送信して、演奏を実行する(S201)。
上述したように、1拍の時間間隔毎に実行され割り込み処理毎にポインタSPの値は変更されるので(S204、S206参照)、割り込み処理を開始した際にポインタSPに対応するイベントデータを実行すれば、演奏が進行あるいは逆行することになる。
【0019】
拍ポインタSPに対応するイベントの実行を開始した後、カウンタSC=xであるか否かを判別する(S202)。カウンタSC=xであると判別した場合は(S202;YES)、演奏中の小節内の拍に対応するイベントデータの実行は終了したと判別できるので、カウンタSC=1として(S203)、ポインタSP=SP+yを実行して(S204)、処理をメインルーチンに戻す。これにより、次に実行すべき拍番号は演奏中の小節内において何拍目であるかを示す変数であるカウンタSCは、新たな小節内のカウントを開始する。
ところで、図6に示すように本実施形態では、各小節の冒頭に強拍があり、強拍部分はその小節の特徴をを示すようになっているので、早送りや早戻しなどを行う場合には強拍部分が必ず演奏されるようにする。従ってx分の拍に対応するイベントデータの実行は小節の冒頭から行うようにする。従って、ステップS204の演算P=SP+yにおけるyは、次の小節における拍の開始位置が必ず小節の冒頭の拍になるように設定されている。
【0020】
ところで、ステップ202の判別において、SC≠xであると判別した場合は(S202;NO)、実行中の小節における処理を続行すると判別できるので、1小節内の実行拍数を示すカウンタSC=SC+1を実行してSCの値を1インクリメントする(S205)。また、次の拍において割り込み処理を実行する際には、当該小節内の次拍に対応するイベントを実行するように、拍ポインタSP=SP+1を実行してポインタSPの値を1インクリメントして(S206)、処理をメインルーチンに戻す。
【0021】
2−2.具体的動作
次に、上述した各処理を循環することによる実施形態の具体的動作を説明する。図9は、各拍タイミングにおけるカウンタSCおよびポインタSPの値の変化を各モード毎に示したものである。
【0022】
(1)通常演奏態様(M=0)
通常演奏態様(M=0)においては、図9に示すように、拍番号は1拍ずつ進行するので(101、102、……120)、曲データが指示する通りの演奏となる。なお、図10に示した楽譜は、通常演奏態様(M=0)における各拍のうちの拍番号101〜112に対応する演奏を示したものである。
【0023】
(2)第1の態様
▲1▼4/3倍速の早送り(M=1)
4/3倍速の早送り(M=1)においては、図9に示すように、各小節内において1拍ずつ進行し、3拍分のイベントデータの実行が終了すると、2拍進行して次の小節の冒頭の拍に移行する。具体的には、1小節目の拍番号101、102、103を実行すると、拍番号104をスキップして2小節目の拍番号105、106、107を実行する。図11に示した楽譜は、通常演奏態様(M=1)における各拍のうちの拍番号101〜112に対応する演奏を示したものである。このように、1小節4拍中のうち3拍分のイベントデータしか実行されないようになるので、1拍当たりの時間間隔を通常演奏(1倍速)と同様にしても、演奏時間は3/4に短縮される(4/3倍速)。これにより、内容を確認しやすい速度でありながら4/3倍速で早送りすることができるようになる。
【0024】
▲2▼2倍速の早送り(M=2)
2倍速の早送り(M=2)においては、図9に示すように、各小節内において1拍ずつ進行し、2拍分のイベントデータの実行が終了すると、3拍進行して次の小節の冒頭の拍に移行する。具体的には、1小節目の拍番号101、102を実行すると、拍番号103、104をスキップして2小節目の拍番号105、106を実行する。このように1小節4拍中のうち2拍分のイベントデータしか実行されないようになるので、1拍当たりの時間間隔を通常演奏(1倍速)と同様にしても、演奏時間は1/2に短縮される(2倍速)。これにより、内容を確認しやすい速度でありながら2倍速で早送りすることができるようになる。なお、このモードは、小節当たりのイベントデータ数が多い曲データに適している。
【0025】
(3)第2の態様
▲1▼2倍速の早送り(M=3)
2倍速の早送り(M=3)においては、図9に示すように、各小節内において1拍ずつ進行し、4拍分のイベントデータの実行が終了すると、5拍進行して1小節分スキップした小節の冒頭の拍に移行する。具体的には、1小節目の拍番号101、102、103、104を実行すると、拍番号105〜108をスキップして3小節目の拍番号109、110、111、112を実行する。図12に示した楽譜は、通常演奏態様(M=3)における各拍のうちの拍番号101〜112に対応する演奏を示したものである。このように、1小節中の全4拍中分のイベントデータを1小節おきに実行するようになるので、1拍当たりの時間間隔を通常演奏(1倍速)と同様にしても、演奏時間は1/2に短縮される(2倍速)。これにより、内容を確認しやすい速度でありながら2倍速で早送りすることができるようになる。なお、このモードは、小節当たりのイベントデータ数の少ない曲データに適している。
【0026】
▲2▼3倍速の早送り(M=4)
3倍速の早送り(M=4)においては、図9に示すように、各小節内において1拍ずつ進行し、4拍分のイベントデータの実行が終了すると、9拍進行して2小節分スキップした小節の冒頭の拍に移行する。具体的には、1小節目の拍番号101、102、103、104を実行すると、拍番号105〜112をスキップして4小節目の拍番号113、114、115、116を実行する。このように、1小節中の全4拍中分のイベントデータを2小節おきに実行するようになるので、1拍当たりの時間間隔を通常演奏(1倍速)と同様にしても、演奏時間は1/3に短縮される(3倍速)。これにより、内容を確認しやすい速度でありながら3倍速で早送りすることができるようになる。
【0027】
▲3▼4倍速の早送り(M=5)
4倍速の早送り(M=5)においては、図9に示すように、各小節内において1拍ずつ進行し、4拍分のイベントデータの実行が終了すると、13拍進行して3小節分スキップした小節の冒頭の拍に移行する。具体的には、1小節目の拍番号101、102、103、104を実行すると、拍番号105〜116をスキップして4小節目の拍番号117、118、119、120を実行する。このように、1小節中の全4拍中分のイベントデータを3小節おきに実行するようになるので、1拍当たりの時間間隔を通常演奏(1倍速)と同様にしても、演奏時間は1/4に短縮される(4倍速)。これにより、内容を確認しやすい速度でありながら4倍速で早送りすることができるようになる。
【0028】
(4)第3の態様
▲1▼(1倍速の逆再生(M=6))
1倍速の逆再生(M=6)においては、図9に示すように、拍番号は1拍ずつ進行し、4拍分のイベントデータの実行が終了すると、7拍逆行して1小節前の冒頭の拍に移行する。具体的には、1小節目の拍番号101、102、103、104を実行すると、次に、1小節前の拍番号97、98、99、100を実行する。図13に示した楽譜は、1倍速の逆再生(M=6)における各拍のうちの拍番号96〜104に対応する演奏を示したものである。このように、各小節単位では正方向に演奏しながら小節は逆行するので、内容を把握しながら逆再生が可能となる。
【0029】
▲2▼4/3倍速の早戻し(M=7)
4/3倍速の早戻し(M=7)においては、図9に示すように、各小節内において1拍ずつ進行し、3拍分のイベントデータの実行が終了すると、6拍逆行して1小節前の冒頭の拍に移行する。具体的には、1小節目の拍番号101、102、103を実行すると、次に、1小節前の拍番号97、98、99を実行する。図14に示した楽譜は、4/3倍速の早戻し(M=7)における各拍のうちの拍番号93〜104に対応する演奏を示したものである。このように、各小節単位では正方向に演奏しながら小節は逆行し、かつ1小節4拍中のうち3拍分のイベントデータしか実行されないようになるので、1拍当たりの時間間隔を通常演奏(1倍速)と同様にしても、演奏時間は3/4に短縮される(4/3倍速)。これにより、内容を確認しやすい速度でありながら4/3倍速で早戻しすることができるようになる。
【0030】
▲3▼2倍速の早戻し(M=8)
2倍速の早戻し(M=8)においては、図9に示すように、各小節内において1拍ずつ進行し、2拍分のイベントデータの実行が終了すると、5拍逆行して1小節前の冒頭の拍に移行する。具体的には、1小節目の拍番号101、102を実行すると、次に、1小節前の拍番号97、98を実行する。このように、各小節単位では正方向に演奏しながら小節は逆行し、かつ1小節4拍中のうち2拍分のイベントデータしか実行されないようになるので、1拍当たりの時間間隔を通常演奏(1倍速)と同様にしても、演奏時間は1/2に短縮される(2倍速)。これにより、内容を確認しやすい速度でありながら2倍速で早戻しすることができるようになる。なお、このモードは、小節当たりのイベントデータ数の多い曲データに適している。
【0031】
(5)第4の態様(2倍速の早戻し(M=9))
2倍速の早戻し(M=9)においては、図9に示すように、各小節内において1拍ずつ進行し、4拍分のイベントデータの実行が終了すると、11拍逆行して2小節前の冒頭の拍に移行する。具体的には、1小節目の拍番号101、102、103、104を実行すると、次に、2小節前の拍番号93、94、95、96を実行する。図15に示した楽譜は、2倍速の早戻し(M=9)における各拍のうちの拍番号93〜104に対応する演奏を示したものである。このように、各小節単位では正方向に演奏しながら1小節おきに小節が逆行するので、1拍当たりの時間間隔を通常演奏(1倍速)と同様にしても、演奏時間は1/2に短縮される(2倍速)。これにより、内容を確認しやすい速度でありながら2倍速で早戻しすることができるようになる。なお、このモードは、小節当たりのイベントデータ数の少ない曲データに適している。
【0032】
3.変形例
なお、本発明は既述した実施形態に限定されるものではなく、以下のような各種の変形が可能である。
【0033】
上記実施形態においては、所定の時間単位を拍あるいは小節としたが、これに限定されるもではなく、例えば拍とは異なる音符単位や任意の単位で分割するようにしてもよい。なお、上記実施形態においては、拍および小節を用いた説明として4/4拍子の曲を例としたが、曲の拍子はこれに限定されるものではなく、例えば4/3拍子や6/8拍子などであっても構わない。
また、上記実施形態においては、第1の演奏速度として、単位演奏区間当たり(1拍当たり)の時間間隔を示すテンポを用いたが、例えば、曲全体の絶対時間を設定するようにしても構わない。なお、上記実施形態においては曲データ中にテンポ情報が含まれているものとして説明したが、これに限らず例えばパネル110に備えられたキーによって設定するようにしてもよいし、外部からテンポ情報を入力できるようにしてもよい。
第2の演奏速度として上記実施形態において説明した早送りおよび早戻し速度は、あくまでも例示であって、その他の速度であっても構わない。また、図8に示したテーブルのように、予め選択可能なモード毎に変数の値が記憶されていてもよいし、曲データの内容を解析して、曲毎に設定するようにしてもよい。
【0034】
第1の演奏速度と第2の速度との対比に基づいて演奏の順方向あるいは逆方向に向かって間欠的に順次単位演奏区間を指示する手段として、上記実施形態において示した例を一般化すると、以下のように表すことができる。
上記第1の態様においては、1小節当たりの拍数をA(Aは正の整数)とし、A/B倍速(Bは正の整数、A>B)で早送りするものとすると、1拍分の演奏がなされる毎に1拍分だけ前記拍指示情報を進行させ、B拍毎に(A−B)+1拍分だけ前記拍指示情報を進行させればよい。
また、上記第2の態様においては、1小節当たりの拍数をA(Aは正の整数)とし、C倍速(Cは正の整数)で早送りするものとすると、1拍分の演奏がなされる毎に1拍分だけ前記拍指示情報を進行させ、A拍毎に(A×(C−1)+1拍分だけ前記拍指示情報を進行させればよい。
【0035】
上記第3の態様においては、1小節当たりの拍数をA(Aは正の整数)とし、A/B倍速(Bは正の整数、A>B)で早戻しするものとすると、1拍分の演奏がなされる毎に1拍分だけ前記拍指示情報を進行させ、B拍毎に(A−B)+1拍分だけ前記拍指示情報を逆行させればよい。
そして、上記第4の態様においては、1小節当たりの拍数をA(Aは正の整数)とし、C倍速(Cは正の整数)で早戻しするものとすると、1拍分の演奏がなされる毎に1拍分だけ前記拍指示情報を進行させ、A拍毎に(A×(C+1)−1拍分だけ前記拍指示情報を逆行させればよい。
【0036】
上記実施形態においては、早送りキー114および早戻しキー115が操作された場合に設定されるモードには、曲データ中に予め含まれた情報に基づくものとしたが、その他の基準によって設定するようにしても構わない。例えば、1小節当たりの平均イベントデータ数を算出することによって設定してもよいし、ユーザが任意に選択できるようにしてもよい。
あるいは、早送りキー114を1回操作すると第1の態様のモード設定になり、2回操作すると第2の態様のモード設定となるというように、キーの操作回数に応じてモード設定を変更するようにしてもよい。この場合において、曲データにおいて設定できるモードに制限情報を含めておくようにしてもよい。これにより、例えば小節当たりのイベントデータ数の多い曲に適さないM=2が選択されることを防ぐことができるようになる。
【0037】
また、上記実施形態においては、各拍に対応する演奏内容を示す演奏情報としては、イベントデータとして発音および消音を示すノートオンおよびノートオフのみをあげて説明したが、イベントデータには、音色設定を示すプログラムチェンジや音程変化を示すピッチベンド、音色設定を示すコントロールチェンジなどが含まれている場合もある。早送りおよび早戻しとともにポインタSPを変更するときは、このような演奏情報を復帰させなくてはならないので、割り込み処理のステップS201においては、曲の先頭から前回のポインタSPまでに音源105が受信したはずの演奏情報の差分データを音源105に送信する。
なお、上記実施形態においては、イベントデータは拍単位にまとめることができることを前提として説明したが、例えば、複数小節にまたがって発音することを指示するイベントデータが存在しても構わない。このような場合には、複数拍に分割して扱ってもよいし、1拍分の長さに短縮して扱うようにしてもよい。
【0038】
上記実施形態では、強拍は必ず小節の冒頭にあるものとして説明したが、曲の制作者が任意の位置に設定するようにしてもよく、このような場合は、強拍の位置に応じて、割り込み処理のステップS203における演算を変形すればよい。例えば、強拍が小節の2拍目にある場合には、SC=2とすればよい。
また、強拍や重要なフレーズであることを示す演奏マークを予め曲データ中に含めておき、早送りあるいは早戻し時には、演奏マークに同期してポインタSPの値を変更するようにしてもよい。例えば、上記実施形態において例示した速度よりも早く早送りあるいは早戻しをさせるような場合は、曲の内容が把握できる部分に演奏マークを含めておけばいよい。このようにすれば、演奏マークは倍速設定情報としてあつかうことができるようなる。
【0039】
上記実施形態において曲データはMIDI規格に基づいて作成されていたが、これに限らず、音楽情報をデジタル信号によって扱うことができる規格であればどのようなものでもよく、独自の規格のデータであってもよい。
また、上記実施形態においては、本発明をカラオケ装置に適用したが、曲データに基づいて楽音演奏を行う装置であれば、これに限らず、例えばシーケンサや電子楽器などに適用しても構わない。
【0040】
なお、上記実施形態では、プログラムはROM102に記憶されているが、これに限らず、不揮発性メモリカード、CD−ROM、フロッピーディスク、光磁気ディスク、および磁気ディスク等の可搬型の記録媒体に記録されたデータをハードディスク等の記憶装置に転送できるように構成してもよい。このようにすれば、制御情報や制御プログラム等の追加(インストール)や更新(バージョンアップ)の際に便利である。また、可搬型の記録媒体から直接RAM103へデータを転送するようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、早送りあるいは早戻しを行う場合でも曲の認識が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】 パネルの外観構成を示す図である。
【図3】 実施形態の概要動作を示すフローチャートである。
【図4】 割り込み処理を示すフローチャートである。
【図5】 曲データの概要構成を示す図である。
【図6】 曲データに態様する楽譜を示す図である。
【図7】 各種変数を説明する図である。
【図8】 実施形態において設定可能なモードを説明する図である。
【図9】 実施形態の具体的動作を示す図である。
【図10】 実施形態の具体的動作を示す図である(通常演奏態様)。
【図11】 実施形態の具体的動作を示す図である(第1の態様)。
【図12】 実施形態の具体的動作を示す図である(第2の態様)。
【図13】 実施形態の具体的動作を示す図である(第3の態様)。
【図14】 実施形態の具体的動作を示す図である(第3の態様)。
【図15】 実施形態の具体的動作を示す図である(第4の態様)。
【符号の説明】
101……CPU、102……ROM、103……RAM、104……HDD、105……音源、106……サウンドシステム、107……表示制御部、108……ディスプレイ、109……パネルインターフェイス、110……パネル、111……表示部、112……テンキー、113……再生キー、114……早送りキー、115……早戻しキー。

Claims (7)

  1. 曲の演奏情報を含む曲データを記憶する記憶手段と、
    前記曲データの演奏単位となる単位演奏区間を設定する演奏区間設定手段と、
    曲の演奏の基準となる基準演奏速度を設定する基準速度設定手段と、
    曲の早送りまたは早戻しの速さを設定する送り速度設定手段と、
    曲の早送りまたは早戻しの時に前記基準演奏速度で演奏する前記単位演奏区間の数を前記送り速度設定手段で設定された速さに応じて設定する第1設定手段と、
    曲の早送りまたは早戻しの時にスキップする前記単位演奏区間の数を前記送り速度設定手段で設定された速さに応じて設定する第2設定手段と、
    前記記憶手段に記憶された曲データを読み出し、読み出した曲データについて前記第1設定手段で設定された数の単位演奏区間を前記基準演奏速度で演奏した後、前記第2設定手段で設定された数の単位演奏区間をスキップし、該演奏と該スキップとを繰り返す、送り演奏手段と
    を有する楽音演奏装置。
  2. 請求項1記載の楽音演奏装置において、
    早送りの方向は、前記演奏の順方向であることを特徴とする楽音演奏装置。
  3. 請求項2記載の楽音演奏装置において、
    前記送り演奏手段は、前記演奏の順方向に向かって単位演奏区間をスキップすることを特徴とする楽音演奏装置。
  4. 請求項1記載の楽音演奏装置において、
    早戻しの方向は、前記演奏の逆方向であることを特徴とする楽音演奏装置。
  5. 請求項4記載の楽音演奏装置において、
    前記送り演奏手段は、前記演奏の逆方向に向かって単位演奏区間をスキップすることを特徴とする楽音演奏装置。
  6. 請求項1記載の楽音演奏装置において、
    前記単位演奏区間は、拍あるいは小節であることを特徴とする楽音演奏装置。
  7. 請求項1記載の楽音演奏装置において、
    前記基準演奏速度は、テンポによって設定されることを特徴とする楽音演奏装置。
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