JP4349935B2 - 太陽電池モジュールを載置・固定するための屋根瓦 - Google Patents

太陽電池モジュールを載置・固定するための屋根瓦 Download PDF

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Description

本発明は、傾斜した屋根において連結金具を介して太陽電池モジュールを取り付ける屋根瓦に関するものである。
近年、石油資源の節約や環境破壊を憂慮し、太陽電池を利用して太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する技術が徐々に実用化されてきている。そしてその中に住宅の傾斜した屋根に葺かれた屋根瓦の上に太陽電池モジュールを固定して電気エネルギーを得る技術がある。
ところが、太陽電池モジュールから実用的な電力を得るためには、現段階では比較的重量感のある太陽電池モジュールを屋根に広く設置しなければならないのみならず、暴風雨に曝されても太陽電池モジュールが吹き飛ばされないように屋根に設置しなければならないという問題がある。そのため、従来からわが国の住宅の屋根に幅広く葺かれている屋根瓦の形状・大きさを実質上変えることなく、太陽電池モジュールを屋根瓦の上に直接設置することは困難であるとして、太陽電池モジュールに合わせた形状・大きさの屋根瓦を特別に製造し、それらを完全に一体化して得た屋根材を屋根に使用する技術(従来技術1)がある。さらには、従来の屋根瓦を使用する技術もあるが、それは太陽電池モジュールを屋根瓦に直接固定するのではなく、その屋根瓦が固定される野地板に連結金具を介して固定する技術(従来技術2)である(特開2000−213116号公報)。
しかしながら、従来技術1においては太陽電池モジュールの形状・大きさに合致した屋根瓦を製造する必要から屋根瓦の生産性が制約されるだけでなく、太陽電池モジュールの受光面積を屋根瓦の表面積に近づけるには限度があるという問題がある。また、従来技術2においては前記連結金具を貫通させるための特定の屋根瓦、すなわち連結金具を貫通させるための貫通孔を屋根瓦の中央部に透設した屋根瓦が必要となり、その結果、施工が煩雑になるのみならず、前記貫通孔から雨水が浸入するのを防止する対策が必要になるという問題がある。
そこで、本出願人は、わが国において幅広く使用されている、いわゆる陶器製の屋根瓦の形状・構造及び機能を略維持した屋根瓦と、それに隣接する他の屋根瓦との間に特定の係合関係が付与された屋根瓦を使用するとともに、屋根瓦の表面中央付近に特定の係止突起を設けて、それに太陽電池モジュールを直接固定すれば、屋根瓦に太陽電池モジュールを半ば直接設置できるという事実を見出し、その技術(先行技術)を既に提案した(特開2003−172005号公報)。
特開2000−213116号公報 特開2003−172005号公報
前記先行技術は、屋根瓦の形状・大きさを大幅にかえることなく受光面積を最大限に発揮させ得る状態で屋根瓦に太陽電池モジュールを固定することができるとともに、暴風雨時にも太陽電池モジュールが吹き飛ばされないようにできるという効果を発揮しているが、本出願人は、その後、この先行技術をベースにして屋根瓦に対する太陽電池モジュールの施工効率をより向上させるには、前記先行技術にさらなる改良が必要であるということに気付いた。すなわち、屋根瓦に対して太陽電池モジュールを施工するには、建物の屋根となる野地板に屋根瓦を葺くステップと、その屋根瓦に太陽電池モジュールから集電するための配線を予め敷設するステップと、前記太陽電池モジュールを屋根瓦に固定するステップとが必要で、これらのステップを順序良くかつ効率的に進める必要があることが判明した。
そこで本発明者は上記ステップを効率化するには、先行技術の屋根瓦と太陽電池モジュールとを別個に独立した連結金具により連結するとともに、前記屋根瓦と連結金具との間にそれらを係合させる第一係合部、同じく前記屋根瓦との係合関係を維持するとともに前記第一係合部の係脱が起こらないように係脱抑制部を兼備する第二係合部、太陽電池モジュールと係合関係を維持する第三係合部及び同じく太陽電池モジュールと係合関係を維持し、前記第三係合部の係脱が起こらないように係脱抑制部を兼備する第四係合部等を前記連結金具に具備させる必要があることを見出し、本発明を完成した。従って本発明の課題は、暴風雨に曝されても吹き飛ばされないような機能を有した屋根瓦であって、太陽電池モジュールを、連結金具を介して傾斜した屋根に施工効率よく固定できる屋根瓦を提供することにある。
本発明は前記の課題を解決するために、太陽電池モジュールが連結金具を介して固定される屋根瓦であって、その上面中央部付近に前記連結金具が係止される係止突起を有し、同じく頭部に前記連結金具の端部が係合される被係合部を有する構造の屋根瓦とする。そして好適には、前記被係合部として、屋根瓦の差込部と桟部との間において頭部から尻部にかけて所定の長さを以って幅方向に延びる平坦部の頭部端を使用する。さらに前記頭部端にアンダーカットを施して前記連結金具が係止され易くする。
また、前記平坦部の係止突起の周囲に、前記連結金具を下方から四点で支持する支持突起を設ける。そしてその支持突起の上面を面一にして前記連結金具を下方から支える作用面にすることにより、前記連結金具の上下方向への変位を抑制するだけでなく、屋根瓦の表面精度に左右されることなく連結金具を屋根瓦上に支承させる。
また、本発明において上記の作用・効果を発揮させるには、屋根瓦は、暴風雨時に吹き飛ばされないように、屋根の野地板に固定されることが前提になるから、本発明において、かかる屋根瓦としては、その斜め上下位置に千鳥葺きされる隣接屋根瓦と相互に係合して暴風雨時に単独で吹き飛ばされないようにした耐暴風雨瓦が使用され、好適には、前記耐暴風雨瓦の頭部寄りの差込部に、斜め下方位置に葺かれる下葺き屋根瓦の尻部上に突設されている係止突起を係止させ、同じく前記暴風雨瓦の尻部に突設・形成した係止突起を、斜め上方位置に葺かれる上葺き屋根瓦の頭部寄りの差込部に係止させる構造の屋根瓦が使用される。
その結果、従来から我が国の建物に幅広く使用されている屋根瓦に対して太陽電池モジュールを半ば直接、確実かつ安全に固定することが可能になる。
次に本発明の実施形態を屋根の野地板に葺かれる屋根瓦、その屋根瓦に係止・固定される連結金具及び該連結金具を介して太陽電池モジュールを前記屋根瓦に固定する施工方法について、順次、詳述する。
(屋根瓦の形状・構造)
図1〜図9に示すように、本発明に係る屋根瓦1は、平面が略正方形をなす陶板からなり、わが国において幅広く使用されている屋根瓦と基本的に同じ形状・構造をなしている。そして、その屋根瓦が屋根の野地板2上に施工されたとき軒先側に位置する下側部が屋根瓦の頭部Aになっており、棟側に位置する上側部が屋根瓦1の尻部Bになっている。また、屋根瓦1の左側において、同じ高さ位置において野地板2上で葺かれる他の屋根瓦の右側部{桟部(後述)}により被覆される差込部Cになっている。さらに、屋根瓦1の右側において前記同様に隣接して葺かれる他の屋根瓦の左側部(差込部)を被覆する桟部Dになっている。なお、前記屋根瓦の構造と異なり、その左側部が桟部Dになっており、右側部が差込部Cになる構造の屋根瓦も当然本発明の対象にすることができる。
また通常の屋根瓦1であると、下地材である野地板2又はその上に所定間隔をおいて敷設される桟木2aに、尻部B寄りに透設されている釘穴3に釘を打ち込んで固定するだけでは、暴風雨に曝されると頭部が浮き上がり吹き飛ばされる虞があるが、本発明に係る屋根瓦1においては、尻部B、特にその尻部Bにある城壁状の尻部水返し4の上にフック状の係止突起5が突設・形成されているとともに、頭部A寄りの差込部Cに、特にその差込部Cに突条の差込部側縁に設けられた水返し6aを回折させて他の部位より一段低くした段差部に、被係止部7が形成され、屋根面上に施工されたとき、前記係止突起と被係止部とが係止して吹き飛ばされることを防止するという点において、従来技術の屋根瓦と相違している。
次に、本発明に係る屋根瓦1において前記水返し6aの内方において、該水返し6aから所定距離だけ平行に離れた位置で、後述する雨曝し部Eより一段高く水返し6bが形成されている。そして、前記水返し6bと前記尻部水返し4及び前記桟部Dに帯状に突出形成されている水返し8によって三方から包囲される上面部が降雨を受ける雨曝し部Eを構成し、従来技術に係る屋根瓦と同様に略平らになっている。しかしながら、本発明に係る屋根瓦1において前記雨曝し部Eのうち、前記差込部Cと桟部Dとの間における頭部Aから尻部Bにかけて所定の幅Wを以って平坦部A1が頭部端まで延びて中央端部9cを構成している点において、従来技術に係る屋根瓦と相違している。なお、前記雨曝し部Eにおいて他の左右側頭部9a、9bは緩やかに下方に下がる曲面になっている。
さらに、本発明に係る屋根瓦1において前記中央頭部9cは、アンダーカットされて他の部位より肉薄になっており、後述する連結金具が係止され易いようになっている。
また、前記雨曝し部Eの略中央には側面から見てフック状をなす係止突起10がその開口10aを前記尻部B側に向けて突設され、後述する連結金具と共働して本発明に係る第一係合部を構成する。さらに前記係止突起10の周囲には上面が略同一高さの支持突起11が4個設けられており、前記連結金具を下方から四点で安定に支持して、前記連結金具の上下方向への変位を抑制するだけでなく、連結金具の押圧力が、前記雨曝し部Eの表面レベル精度のばらつきに影響されないようになっている。
(連結金具の形状・構造)
次に前記屋根瓦1に固定される連結金具の形状と構造について説明する。図10〜図14に示すように、本発明に係る連結金具20は、屋根瓦1の上にそれ自体が係止・固定され、太陽電池モジュールを係止・固定するために使用される舟形状をなす金具である。なお、前記において「係止・固定」とは、連結金具20が屋根瓦1の係止突起10にまず係止されてから後述する係脱抑制部の作用により屋根瓦1の上に固定されるという意味であり、前記連結金具20に太陽電池モジュールが係止・固定される場合も同様の意味で使用される。
前記連結金具20は、弾性を有する1枚の鋼材を所定の大きさ・形状に切断及び切欠き加工した後、曲げ加工することにより、平面が長方形をなし断面が略逆門形の金具として製作される。従って、本発明に係る連結金具20は、長方形をなす底面部30と、その底面部30から立ち上がる二つの長辺側壁部40と、第一、第二短辺側壁部50、60とからなる上蓋を有しない箱のように構成されている。
そして、前記連結金具20の中央部、すなわち前記底面部30の中央付近には方形の開口31が透設されており、その開口31に前記屋根瓦1の雨曝し部Eに突設されている係止突起10を挿入して係止させることにより本発明に係る第一係合部が構成される。また、前記底面部30において前記短辺側壁部50、60寄りの部位は略コ字形に切り欠かれて、先端部32a、33aが互いに外方を向く第一、第二舌片状弾性部32、33になっているとともに、前記先端部32a、33aが前記底面部30より下位になるように、若干曲げられて弾性材としての機能が付加されている。
従って、前記先端部32a、33aは、連結金具20の長手方向において相反する向きに外方を向いて延びていると同時に前記底面部の下方に位置するので、前記連結金具20が屋根瓦1上で太陽電池モジュールをその下方から支承するとき、第一、第二舌片状弾性部32、33は太陽電池モジュールの荷重を受けて変形するが、連結金具20自体が弾性材料から作られているので、第一、第二舌片状弾性部32、33は弾性変形の範囲で変形して屋根瓦1上で広角状に太陽電池モジュールを支えるとともに、前記屋根瓦1上に取り付けられた連結金具のがたつきを防止している。
また、第二舌片状弾性部33の先端部33aは、図15に示すように、屋根瓦1と接触するとき屋根瓦1の表面を損傷しないように、再び底面部30側に僅かに屈曲している。一方、第一舌片状弾性部32の先端部32aも第二舌片状弾性部33の先端部33aと同様に平らになっているが、断面がコ字形又はフック状に屈曲している点で第二舌片状弾性部33と相違している。そして、屋根瓦1の係止突起10の開口10aに連結金具20の開口31の一辺を嵌め込みながら、連結金具20を屋根瓦1側に十分押圧させて第一舌片状弾性部32を水平方向に伸張させると、前記先端部32aが屋根瓦1の中央頭部9cから外方に外れるように、第一舌片状弾性部23の長さも正確に調節されている。前記先端部32aが前記中央頭部9cから外れた状態で、前記連結金具20を尻部B側に僅かにスライドさせると、前記先端部32aも相応して変位し、図16に示すように、前記中央頭部9cを係止する。その結果、屋根瓦1の中央頭部9cと連結金具20の第一舌片状弾性部32とが共働して本発明に係る第二係合部を構成するとともに、前記先端部32aが連結金具20を屋根瓦1の尻部B側に変位するのを抑制して、前記第一係合部の係脱を抑制している。
このように本発明においては、屋根瓦1枚につき連結金具が2箇所において屋根瓦と係合することになり、前記連結金具20の開口31と屋根瓦1の係止突起10とが第一係合部を構成し、連結金具20の第一舌片状弾性部32と屋根瓦1の中央頭部9cとが第二係合部兼第一係合部の係脱抑制部を構成している。
さらに連結金具20について、再度、図10〜図13に基づいて説明すると、二つの平行な前記長辺側壁部40は先端が外方を向き、断面が逆L字状に形成されており、その水平面部41は太陽電池モジュールが当接しても損傷しないようになっている。そして前記水平面部41の第二短辺側壁部60寄りの部位が一部分切り落とされて、屋根への施工時に後述する太陽電池モジュールの配線をこのスペースへ挿入することで、前記配線が前記太陽電池モジュール70や連結金具20と干渉することなく効率的に敷設可能になっている。さらに長手方向に切欠かれた垂直面部42の上端部は、前記水面部41と同様に外方に折り曲げられて、前記配線が損傷しないように配線支え43になっている。
次に第一短辺側壁部50に移ると、同側壁部50は、前記底面部30を外方に延長して形成された金属板が略直角に曲げ加工されてできた連結金具20の立上げ壁であると同時に、図17に示すように、太陽電池モジュール70の構成要素の一部分を係止させ、固定する機能を備えている。
具体的には、前記側壁部50は、壁面部本体51と、その壁面部本体51の外側中央に突設した係止爪52とからなり、連結金具20の後述する第二短辺側壁60に太陽電池モジュール70の一つの側縁把持部72を係止させた(第三係合部を形成させた)後、他の側縁把持部71を前記第一短辺側壁部50の上に重ねると、図18に示すように、前記他の側縁把持部71の内側に設けられている係止突起71aは、前記係止爪52の曲表面を滑動して、図19に示すように、前記側壁本体51を圧縮させ、最終的に前記係止爪52を乗り越えて、図17に示すように、係止爪52に係止される。すなわち、太陽電池モジュール70は、第一短辺側壁部50に係止され、連結金具20に完全に係止・固定される(第四係合部が形成される)。
また、第三係合部の一要素である第二短辺側壁部60は、図10〜図13及び図14から明白なように、前記底面部30を外方に延長して形成された金属板が略直角に曲げ加工されてできた連結金具20のもう一つの立上げ壁であると同時に、図17に示すように、太陽電池モジュール70の構成要素の一部分を嵌め込んで固定する嵌め殺し部材としての機能を備えている。具体的に説明すると、第二短辺側壁部60も、第一短辺側壁部50の構造・形状と同様に、前記立上げ壁に相当する壁面部本体61と、その壁面部本体61の外側中央に突設した係止爪62とからなっている。従って、前記係止爪62を太陽電池モジュール70の一つの側縁把持部72の内側に形成してある係止突起72aに係止させる(第三係合部を形成させる)と、前記第二短辺側側壁60と太陽電池モジュール60とが係合するが、その係合過程は前述した第一短辺側壁部50と太陽電池モジュール70の側縁把持部71との係合過程と同じである。なお、本発明に係る連結金具20と太陽電池モジュール70とを係合させる場合、前記第三係合部を第四係合部より先に形成してもよいし、後に形成してもよい。さらに同時に形成してもよい。
(太陽電池モジュールの施工法)
上記のように構成される連結金具20を使用して、建物の屋根となる野地板2の上に屋根瓦1及び太陽電池モジュール70を取付ける施工法について説明する。まず、図1に示す構造の屋根瓦1を、図9に示すような野地板2の上に施工する場合において、いま任意の屋根瓦1sが野地板2の上に釘孔3に釘(図示なし)を打ち込んで施工されたとする。そして、続いてその屋根瓦1sの差込部Cに対して、同じ高さ位置(同段位置)において左側に隣接して葺かれる屋根瓦(図示なし)の桟部を被せることにより、該屋根瓦が野地板2に前記同様に葺かれる。以下、同様にして同段位置の屋根瓦が野地板2上に葺かれる。なお、図9において全ての屋根瓦1には連結金具20が、そして一部の屋根瓦1には前記連結金具20を介して太陽電池モジュール70が係止・固定されている様子が描かれているが、野地板2の上に最初に屋根瓦を葺くときは、それらの屋根瓦には連結金具20や太陽電池モジュール70は固定されていない。また、前記態様に代えて任意の屋根瓦1sの桟部Dに同様にして右側に葺かれる隣接屋根瓦(図示なし)の差込部を差し込むようにして隣接屋根瓦を葺く態様を採用することもできる。
次に、前記任意の屋根瓦1sの斜め上に葺かれる上葺き屋根瓦1uを野地板2上で葺くとき、その上葺き屋根瓦1uの被係止部7に対して前記任意の屋根瓦1sの係止突起5を係止させる。すると、斜めに隣接する二つの前記屋根瓦1s、1uは、野地板2に釘で固定される他に、係止突起5と被係止部7との係合により、相互に連結される。同様にして前記任意の屋根瓦1sの被係止部7は、野地板2上の斜め下で葺かれる下葺き屋根瓦1dの係止突起5により係止される。このように千鳥葺きされた3個の屋根瓦1u、1s、1d同士は野地板2上で確固として固定されるとともに連携し、暴風雨に曝されても、吹き飛ばされることはない。ここでは、千鳥葺きされる屋根瓦について詳述しているが、筋葺きされる屋根瓦について同様の態様を採用することももちろん可能である。
このようにして施工された屋根瓦1に対して、図9、図20及び図21に示すように、連結金具20を係止・固定するに際して、図15に示すように、屋根瓦1の上に連結金具20を載せて屋根瓦1側に押圧すると、屋根瓦1の係止突起10が連結金具20の底面部30に形成されている開口31から突出するとともに、同時に前記底面部30に設けてある第一、第二舌片状弾性部32、33が屋根瓦1の雨曝し部E上の支持突起11に当接して弾性変形し、それらの先端部32a、33aが互いにより離間するように開いて前記雨曝し部Eに着地する。しかもそれらの着地点は雨曝し部Eにおいて中央頭部9cを含む平らな領域になっているとともに、第一、第二舌片状弾性部32、33の先端部32a、33aも平らになっているので、第一段階としては連結金具20を屋根瓦1の所定位置において確実に初期的設置が可能になる。
ところが、第一舌片状弾性部32は所定の長さに設定されており、かつその先端部32aの断面がコ字状になっているので、連結金具20を屋根瓦1側に所定量押圧すると、前記先端部32aが屋根瓦1の中央頭部9cから外れてその先端面側に移る。この状態で第二段階として、図16に示すように、連結金具20を尻部B側に僅かに変位させると、連結金具20の底面部30に形成されている開口31の一辺が、屋根瓦1の係止突起10に形成されている開口10aの中に嵌入する(第一係合部が完成する)とともに、同じくアンダーカットされている前記中央頭部9cの先端部が、第二舌片状弾性部32の先端部32aの中に嵌入する(第二係合部が完成する)。従って、本発明においては屋根瓦1と連結金具20とは複数箇所、特に2箇所で係合されるので、両者は所定位置において安定して連結可能になる。また、前記連結金具20を屋根瓦1側に押圧することにより弾性変形した第一、第二舌片状弾性部32、33はその下方で所定高さの支持突起11により上方に付勢され、その結果、連結金具20には屋根瓦1から絶えず離間する作用が働くので、前記第一係合部の係合作用が確実に保持される。
次に、このようにして連結金具20が係止・固定された屋根瓦1の上に太陽電池モジュール用の配線を敷設する。最初に複数枚の太陽電池モジュールを用意するとともに、それらの太陽電池モジュールからどのように集電するかを決め、その集電方式に則ったユニット配線を準備する。そしてそのユニット配線を屋根瓦1が葺かれた屋根の上に広げ、図22に示すように、各屋根瓦1上を這う配線を屋根瓦1に係止・固定された連結金具20の配線支え43の上に保持させる。このように配線80を屋根の上に敷設することにより、次の工程である太陽電池モジュールの施工時に前記配線80が縺れて施工効率が低下することはないし、太陽電池モジュールに接合する端子を所定位置に確保して、太陽電池モジュールの端子と迅速に接合できるという効果を発揮する。なお、図22に記載の配線80には太陽電池モジュールに接合する端子は省略されている。
最後に、配線80が敷設された屋根の同一高さ位置において葺かれている屋根瓦の複数枚につき1枚の割合の太陽電池モジュールを被覆・固定する。本発明においては既に耐暴風雨性のある1枚の特定の屋根瓦1枚に対して1個の割合の連結金具20が固定されているので、1枚の太陽電池モジュールをその下方から所定の間隔をおいて複数本の連結金具20が支承するとともに、各連結金具20の両端部を太陽電池モジュール70に係止・固定させることにより、太陽電池モジュールを屋根瓦に半ば直接支持させる。すなわち、図17〜図19及び図23に示すように、前記配線80と太陽電池モジュール70を接合した後、太陽電池モジュール70の一つの側縁把持部72の係止突起72aを前記連結金具20の一端部に相当する第二短辺側壁部60の係止爪係止爪62に係止させた(第三係合部を完成させた)後、太陽電池モジュール70の他の側縁把持部71を連結金具20のもう一つの端部に相当する第一短辺側壁部50側に被さるように下方に押圧すれば、前記側縁把持部71の内側に設けられている係止突起71aが前記係止爪52の曲表面を乗り越えて係止爪52に係止される(第四係合部が完成する)。従って、太陽電池モジュール70の側縁把持部72と前記第二短辺側壁部60とを共働させて本発明における第三係合部にし、同じく他の側縁把持部71と第一短辺側壁部50とを共働させて第四係合部としたので、太陽電池モジュール70は、屋根瓦の上に半ば直接係止・固定されることになる。
よって、太陽電池モジュール70は、屋根瓦1に対し連結金具20を介して実質上直接固定されることになり、その結果、屋根に太陽電池モジュールを設置する施工効率を著しく向上させることが可能になり、従来技術1と異なり太陽電池モジュール一体型の屋根瓦を形成する必要がないのみならず、1枚の太陽電池モジュールが複数枚の屋根瓦を同時に覆うので前記一体型の屋根瓦に比して受光面積が大幅に向上する。また、従来技術2と異なり特定の取付け金具を使用して野地板に太陽電池モジュールを取り付ける複雑な工法を採用する必要もない。さらに、本発明においては屋根瓦の施工とその屋根に対して太陽電池モジュールを設置する施工とを時期的に分離することも可能で、本発明に係る屋根瓦を使用して屋根の施工を先行させて行ない、太陽電池モジュールがより低廉になった時点にそれを屋根に設置することもできる。
本発明は、従来から幅広く使用されてきた屋根瓦を以って葺かれる建物の屋根に対して広く利用することが可能である。
本発明に係る屋根瓦の斜視図である。 同屋根瓦の平面図である。 屋根瓦の背面図である。 同じく左側面図である。 同じく右側面図である。 屋根瓦の正面図である。 同じく裏面図である。 図2におけるY―Y断面図である。 本発明に係る屋根瓦が屋根の野地板上に葺かれた状態を示す部分破断斜視図である。 本発明に係る連結金具の斜視図である。 前記連結金具の平面図である。 同じく背面図である。 正面図である。 左又は右側面図である。 屋根瓦に対して本発明に係る連結金具を係止・固定する直前の状態を示す部分破断縦断面図である。 屋根瓦に対して前記連結金具を係止・固定した直後の状態を示す部分破断縦断面図である。 本発明に係る連結金具に対して太陽電池モジュールを係止・固定した状態を示す部分破断縦断面図である。 連結金具に対して太陽電池モジュールを重ねた状態の要部を示す部分破断縦断面図である。 連結金具に対して太陽電池モジュールを重ねる途中の過程の要部を示す部分破断縦断面図である。 屋根瓦に連結金具を係止・固定した状態を示す平面図である。 図20におけるZ−Z断面図である。 屋根瓦上に配線を敷設した状態を示す部分破断斜視図である。 屋根瓦上に太陽電池モジュールを設置した状態を示す部分破断斜視図である。
符号の説明
1:屋根瓦、1d:下葺き屋根瓦、1s:任意の屋根瓦、1u:上葺き屋根瓦、2:野地板、2a:桟木、3:釘孔、4:尻部水切り、5:係止突起、6a:差込部外側水切り、6b:差込部内側水切り、7:被係止部、8:桟部水切り、9a:左側頭部、9b:右側頭部、9c:中央頭部、10:係止突起、10a:開口、11:支持突起、20:連結金具、30:底面部、31:開口、32:第一舌片状弾性部、32a:先端部、33:第二舌片状弾性部、33a:先端部、40:長辺側壁部、41:水平面部、42:垂直面部、43:配線支え、50:第一短辺側壁部、51:側壁本体、52:係止爪、60:第二短辺側壁部、61:側壁本体、62:係止爪、70:太陽電池モジュール、71:側縁把持部、71a:係止突起、72:側縁把持部、72a:係止突起、80:配線、A:頭部、B:尻部、C:差込部、D:桟部、E:雨曝し部、W:幅

Claims (7)

  1. 太陽電池モジュールが連結金具を介して固定される屋根瓦であって、その上面中央部付近に前記連結金具が係止される係止突起を有し、同じく頭部に前記連結金具の端部が係合される被係合部を有する太陽電池モジュールを載置・固定するための屋根瓦。
  2. 前記被係部は、屋根瓦の差込部から桟部の間において、頭部から尻部にかけて所定の長さを以って幅方向に延びる平坦部の頭部端である請求項1記載の太陽電池モジュールを載置・固定するための屋根瓦。
  3. 前記平坦部が頭部端まで延びて形成される中央頭部は、アンダーカットされている請求項2記載の太陽電池モジュールを載置・固定するための屋根瓦。
  4. 前記平坦部は、前記係止突起の周囲に、前記連結金具を下方から四点で支持する支持突起を備えている請求項1記載の太陽電池モジュールを載置・固定するための屋根瓦。
  5. 前記支持突起は、それらの上面が面一になるように略同一高さに形成されている請求項4記載の太陽電池モジュールを載置・固定するための屋根瓦。
  6. 前記屋根瓦は、その周囲に葺かれる隣接瓦と相互に係合して暴風雨時に単独で吹き飛ばされないようになっている耐暴風雨瓦である請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の太陽電池モジュールを載置・固定するための屋根瓦。
  7. 前記耐暴風雨瓦は、その頭部寄りの差込部に、斜め下方位置に葺かれる下葺き屋根瓦の尻部上に突設されている係止突起を係止させ、同じく前記暴風雨瓦の尻部に突設・形成された係止突起を、斜め上方位置に葺かれる上葺き屋根瓦の頭部寄りの差込部に係止させる構造になっている請求項6記載の太陽電池モジュールを載置・固定するための屋根瓦に対する太陽電池モジュールの固定構造。
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