本発明は、区分けされる複数のロケーションを備えるロケーション管理領域におけるロケーションの位置判定に関する。
従来、区分けされる複数のロケーションを備えるロケーション管理領域である倉庫内などでフォークリフトに入出庫作業を行わせる無線LANシステムにおけるフォークリフトの位置検出装置が知られている(特許文献1参照)。このフォークリフトの位置検出装置は、倉庫内に複数のアンテナが配置され、このアンテナとフォークリフトの車上機との間で無線通信を行うようにした無線LANシステムである。そして、各々のアンテナにより受信したフォークリフト車上機からの信号の強度を比較して、その結果に基づいてフォークリフトの位置を各アンテナの配置位置との関係で判別するものである。
特開平7−154848号公報(第2−3頁、第1図)
しかしながら、特許文献1に記載のフォークリフトの位置検出装置は、複数のアンテナにより受信したフォークリフト車上機からの無線信号に基づいてフォークリフトの位置を検出するものであるため、十分な位置検出精度を確保することが難しい。例えば、ロケーション管理領域が、物品が1m四方程度のパレットごとフォークリフトで搬送されて平置きで載置される平置き地番(ロケーション)を複数備える倉庫のような場合、通常、アンテナが50m程度の間隔で配置される。この場合、フォークリフトの位置を特定できる位置検出精度は、1〜3m程度であると考えられ、1m四方程度のパレットが載置される平置き地番のうち、隣り合うもの同士の位置を特定できるほどの精度を確保することが難しい。隣り合う平置き地番を適切に判別して各平置き地番を特定するには、少なくともその平置き地番の半分の大きさの精度が必要と考えられる。また、必要な精度に応じてアンテナの配置ピッチを細かくして位置検出を行うことも、理論的には考えられるが、現実的には極めて困難である。
本発明は、上記実情に鑑みることにより、区分けされる複数のロケーションを備えるロケーション管理領域において、隣り合うロケーション同士の位置を特定できる精度でロケーションの位置判定を可能にすることを目的とする。
課題を解決するための手段及び効果
本発明のロケーション判定装置は、区分けされる複数のロケーションを備えるロケーション管理領域におけるロケーションの位置判定を行うものに関する。
そして、本発明のロケーション判定装置は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。即ち、以下の特徴を単独で、もしくは、適宜組み合わして備えている。
上記目的を達成するための本発明のロケーション判定装置における第1の特徴は、移動体に設けられて、当該移動体の周囲のロケーションにおける物品の有無を検出する検出手段と、前記ロケーション管理領域内の各ロケーションにおける物品の有無を記憶する記憶手段と、前記検出手段での検出結果及び前記記憶手段での記憶内容に基づいて、前記移動体が到達しようとするロケーションの位置を判定する判定手段と、を備えていることである。
この構成によると、検出手段で移動体の周囲のロケーションにおける物品の有無を検出できる。そして、この検出結果と記憶手段に記憶されている各ロケーションにおける物品の有無についての記憶内容とに基づいて、即ち、検出結果と記憶内容とを照合することで、移動体が到達しようとするロケーションの位置を判定することができる。これにより、各ロケーション単位で到達目標のロケーションの位置を特定することが可能になる。即ち、隣り合うロケーション同士の位置を特定できる精度でロケーションの位置判定が可能になる。
本発明のロケーション判定装置における第2の特徴は、前記移動体は、物品を搬送するための搬送手段であり、前記判定手段は、前記検出手段での検出結果及び前記記憶手段での記憶内容に基づいて、前記搬送手段が到達して搬送対象の物品を搬出し又は搬送してきた物品を搬入しようとするロケーションの位置を判定することである。
この構成によると、複数のロケーションを備えるロケーション管理領域において搬送手段により物品を所望のロケーションに搬入したり又は所望のロケーションから搬出したりする場合に、隣り合うロケーション同士の位置を特定できる精度でロケーションの位置判定が可能になる。即ち、搬送手段によって所望のロケーションで正確に搬送対象の物品を搬出しまたは搬入したことを確認することができる。
本発明のロケーション判定装置における第3の特徴は、前記移動体は、車両であり、前記判定手段は、前記検出手段での検出結果及び前記記憶手段での記憶内容に基づいて、前記車両が到達して進入しようとするロケーションの位置を判定することである。
この構成によると、複数のロケーションを備えるロケーション管理領域において所望のロケーションに車両を進入させようとする場合に、隣り合うロケーション同士の位置を特定できる精度でロケーションの位置判定が可能になる。即ち、所望のロケーションで正確に車両が進入したことを確認することができる。
本発明のロケーション判定装置における第4の特徴は、前記検出手段は、複数のロケーションにおける物品の有無を検出し、前記判定手段は、前記検出手段によって検出された当該複数のロケーションにおける物品の有無の検出パターンに基づいてロケーションの位置を判定することである。
この構成によると、複数のロケーションにおける物品の有無を検出して、その検出パターンを記憶手段での記憶内容と照合することができるため、より正確なロケーションの位置判定が可能になる。
本発明のロケーション判定装置における第5の特徴は、前記検出パターンには、前記移動体の左右斜め前方それぞれにおける物品の有無及びその検出された物品までの距離の組み合わせのパターンが含まれることである。
この構成によると、到達目標のロケーションに対する左右斜め前方それぞれのロケーションにおける物品の有無及びその検出された物品までの距離の組み合わせのパターンを検出して、その検出パターンを記憶手段での記憶内容と照合することができるため、より正確なロケーションの位置判定が可能になる。
本発明のロケーション判定装置における第6の特徴は、前記移動体の位置を計測する位置計測手段をさらに備え、前記判定手段は、当該位置計測手段での計測結果にも基づいて、到達しようとするロケーションの位置を判定することである。
この構成によると、位置計測手段での計測結果を利用することで、到達目標のロケーションの付近に移動体が位置しているか否かを速やかに判断することができ、最終的なロケーションの位置判定をより容易で迅速に行うことができる。また、検出手段での検出結果及び記憶手段での記憶内容に加えて位置計測手段での計測結果にも基づいて到達目標のロケーションが判定されるため、より正確なロケーションの位置判定が可能になる。
本発明のロケーション判定装置における第7の特徴は、前記位置計測手段は、無線通信機を介して前記移動体から受信された無線信号に基づいて、1つのロケーションが占める範囲以上の広さ範囲で位置を計測することである。
この構成によると、無線通信によって到達目標のロケーションの付近に移動体が位置しているか否かを速やかに計測することができ、最終的なロケーションの位置判定をより容易で迅速に行うことができる。また、検出手段での検出結果及び記憶手段での記憶内容に加えて無線通信によっても到達目標のロケーションが判定されるため、より正確なロケーションの位置判定が可能になる。
本発明のロケーション判定装置における第8の特徴は、前記検出手段は、配置された方向における物品の有無を検出するレーダであることである。
この構成によると、移動体にレーダを取り付けるという簡易な構成で移動体の周囲のロケーションにおける物品の有無を容易且つ正確に検出することができる。
本発明のロケーション判定装置における第9の特徴は、前記検出手段は、周囲をレーダで走査して得られた走査結果に基づいて物品の有無を検出する走査型レーダであることである。
この構成によると、レーダで周囲を走査して物品の有無を検出するため、周囲の広範囲にわたって物品の有無を検出することができる。
本発明のロケーション判定装置における第10の特徴は、前記判定手段は、前記走査型レーダで走査された走査範囲中から選択される複数の方向における検出結果に基づいてロケーションを判定することである。
この構成によると、ロケーションの位置判定に必要な信号を選択して無駄なく効率良く周囲のロケーションにおける物品の有無を検出することができる。
本発明のロケーション判定装置における第11の特徴は、前記移動体の位置を計測する位置計測手段をさらに備え、前記搬送手段は、当該搬送手段が搬送対象の物品を搭載しているか否かを検知する在荷センサを備え、前記判定手段は、前記在荷センサで信号が検知された時点で、前記位置計測手段での計測結果にも基づいて到達しようとするロケーションの位置を判定することである。
この構成によると、位置計測手段での計測結果も利用することで、より正確なロケーションの位置判定が可能になる。そして、搬送手段が到達して搬送対象の物品を搬出し又は搬入したタイミングを在荷センサにより検知することができ、搬送手段がロケーションに到達した適切なタイミングで位置計測手段での計測結果に基づいてロケーションの位置を判定して確認することができる。
本発明のロケーション判定装置における第12の特徴は、前記ロケーション管理領域は、物品が平置きで載置される平置き地番としての複数のロケーションを備える倉庫であることである。
この構成によると、物品が平置きで載置される倉庫において、隣り合う平置き地番同士の位置を特定できる精度で平置き地番の位置判定が可能になる。
本発明のロケーション判定装置における第13の特徴は、前記物品は車両であり、前記ロケーション管理領域は駐車スペースとしての複数のロケーションを備える駐車場であることである。
この構成によると、駐車場で所望の駐車スペースに車両を駐車する場合に、隣り合う駐車スペース同士の位置を特定できる精度で駐車スペースの位置判定が可能になる。
本発明のロケーション判定装置における第14の特徴は、前記判定手段で判定されたロケーションの位置が、到達しようとするロケーションと一致していなかった場合に、ロケーションの不一致を作業者に対して報知する報知手段をさらに備えていることである。
この構成によると、移動体が到達目標のロケーションと異なるロケーションに到達してしまった場合に、報知手段により作業者に速やかに報知することができる。
本発明のロケーション判定装置における第15の特徴は、前記判定手段で判定されたロケーションの位置が、到達しようとするロケーションと一致していた場合に、前記記憶手段の記憶内容を前記移動体の到達後の状態に応じて更新する記憶更新手段をさらに備えていることである。
この構成によると、移動体が到達目標のロケーションに到達した場合に速やかに到達後の状態に応じた記憶内容に更新することができる。
また、前述の目的を達成するための本発明のロケーション管理システムは、前述した本発明のロケーション判定装置を備えるロケーション管理システムであって、前記移動体に搭載される制御装置と、無線通信機を介して当該制御装置と通信可能なロケーション管理装置と、を備え、前記検出手段は前記制御装置に備えられ、前記記憶手段及び前記判定手段は前記ロケーション管理装置に備えられていることを特徴とする。
この構成によると、移動体に搭載される制御装置と、移動体コントローラと通信可能なロケーション管理装置と、を備えるロケーション管理装置において、本発明に係るロケーション判定装置を構成することができ、隣り合うロケーション同士の位置を特定できる精度でロケーションの位置判定が可能になる。
また、前述の目的を達成するための本発明のロケーション判定方法は、区分けされる複数のロケーションを備えるロケーション管理領域において、ロケーション判定装置にてロケーションの位置判定を行うロケーション判定方法であって、前記ロケーション判定装置にて、前記ロケーション管理領域内の各ロケーションにおける物品の有無を記憶する記憶ステップと、前記ロケーション判定装置にて、移動体に設けられて周囲の物品の有無を検出する検出センサでの検出信号に基づいて、当該移動体の周囲のロケーションにおける物品の有無を検出する検出ステップと、前記ロケーション判定装置にて、前記検出ステップでの検出結果及び前記記憶ステップで記憶された記憶内容に基づいて、前記移動体が到達しようとするロケーションの位置を判定する判定ステップと、を備えていることを特徴とする。
また、前述の目的を達成するための本発明のプログラムは、区分けされる複数のロケーションを備えるロケーション管理領域において、ロケーション判定装置にてロケーションの位置判定を行うロケーション判定に用いられ、前記ロケーション管理領域内の各ロケーションにおける物品の有無を記憶する記憶ステップと、前記ロケーション判定装置に、移動体に設けられて周囲の物品の有無を検出する検出センサでの検出信号に基づいて、当該移動体の周囲のロケーションにおける物品の有無を検出する検出ステップと、前記検出ステップでの検出結果及び前記記憶ステップで記憶された記憶内容に基づいて、前記移動体が到達しようとするロケーションの位置を判定する判定ステップと、を実行させることを特徴とする。
本発明のロケーション判定方法、及びプログラムによると、検出手段で移動体の周囲のロケーションにおける物品の有無を検出できる。そして、この検出結果と記憶手段に記憶されている各ロケーションにおける物品の有無についての記憶内容とに基づいて、即ち、検出結果と記憶内容とを照合することで、移動体が到達しようとするロケーションの位置を判定することができる。これにより、各ロケーション単位で到達目標のロケーションの位置を特定することが可能になる。即ち、隣り合うロケーション同士の位置を特定できる精度でロケーションの位置判定が可能になる。
なお、本発明に係るプログラムは、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、FD(Flexible Disk)、MO(Magneto-Optic)などのリムーバブル型記録媒体やハードディスクなどの固定型記録媒体に記録して配布可能である他、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して配布可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の実施形態に係るロケーション判定装置、ロケーション管理システム、ロケーション判定方法、及びプログラムは、区分けされる複数のロケーションを備えるロケーション管理領域におけるロケーションの位置判定において、広く適用することができる。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るロケーション判定装置、ロケーション判定方法、及びロケーション管理システムが適用されるロケーション管理領域である倉庫1を例示した平面図である。倉庫1は、図2に示すようなパレットごと搬送される荷W(物品)が平置きで載置される平置き地番としての複数のロケーションLを備えている。倉庫1内では、荷Wは、搬送手段(移動体)であるフォークリフト2によって各ロケーションLまで搬送されて搬入(入庫)される。出庫の際は、所定のロケーションLから搬送対象の荷Wがフォークリフト2によって搬出されて、そのまま搬送されていくことになる。また、倉庫1には、無線通信機(固定局)3が複数配置されており、この無線通信機3を介して、管理コンピュータとフォークリフト2に搭載された車載コントローラとの間で無線通信を行えるようになっている。
図3は、第1実施形態に係るロケーション管理システムを示す模式図である。このロケーション管理システムは、フォークリフト2に搭載される制御装置10と、倉庫1における入出庫管理等を行うための管理コンピュータ11とを備えている。
制御装置10は、車載コントローラ12、無線通信機(移動局)13、レーダ14、及び在荷センサ15を備えている。車載コントローラ12は、無線通信機13により、複数の無線通信機3を介して管理コンピュータ11と無線通信可能になっている。また、車載コントローラ12は、レーダ14と接続されており、管理コンピュータ11からの指示に従って、レーダ14等からの信号の入出力処理等を行う。
レーダ14は、フォークリフト2に設けられてこのフォークリフト2の周囲のロケーションLにおける荷Wの有無を検出する検出手段(検出センサ)を構成している。このレーダ14は、走査型レーダであって、フォークリフト2の周囲をこのレーダ14で走査して得られた走査結果に基づいて荷Wの有無を検出することができるようになっている。なお、このレーダ14によって本実施形態に係るロケーション判定方法の検出ステップが実行されることになる。なお、レーダ14は、フォークリフト2のマスト17に昇降自在に設けられるフォーク18が荷Wを搬送する際に、フォーク18及び荷Wの下側となるような比較的下方の位置に取り付けられている。これにより、フォーク18及び荷Wに遮られることなく、周囲のロケーションLにおける荷Wを検出することができる。
また、車載コントローラ12は、フォークリフト2に設けられているバッテリ16や在荷センサ15に接続されている。車載コントローラ12の電源はバッテリ16から供給される。また、在荷センサ15は、フォークリフト2のマスト17に昇降自在に設けられるフォーク18に荷Wが載置されているときにその荷重を検出するセンサであり、フォークリフト2が搬送対象の荷Wを搭載しているか否かをこの在荷センサ15により検知することができるようになっている。
管理コンピュータ11は、無線通信機19を備えており、この無線通信機19により、複数の無線通信機3を介して車載コントローラ10と通信可能になっている。また、管理コンピュータ11は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory))などをそれぞれ備えて構成されている。メモリには、管理コンピュータ11を作動させるために用いられる各種プログラムや、本実施形態のロケーション管理システムに本実施形態に係るロケーション判定方法の各ステップを実行させるためのプログラムを含む各種ソフトウェアが格納されている。また、このメモリには、ロケーション判定方法を実施する際などに入力、設定、演算等される各種データ等も格納される。
上述したハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、図4の機能ブロック図に示す各部(20〜27)が管理コンピュータ11内に構築され、また、本実施形態に係るロケーション判定方法の各ステップが実行される。
図4は、管理コンピュータ11の構成を示す機能ブロック図を例示したものである。管理コンピュータ11は、倉庫1内の在庫管理(入出庫される荷Wの管理)を行う在庫管理部20と倉庫1内の各ロケーションLの位置判定等を行うロケーション管理部21とを備えている。
なお、管理コンピュータ11は、ロケーション管理部21を備えることで、本実施形態に係るロケーション管理システムにおけるロケーション管理装置を構成している。また、レーダ14を備える制御装置10と管理コンピュータ11とによって本実施形態に係るロケーション判定装置が構成されている。
ロケーション管理部21は、パターン識別部22、記憶更新部(記憶更新手段)23、パターン判定部(判定手段)24、記憶部(記憶手段)25、2次元座標識別部(位置計測手段)26、報知部(報知手段)27を備えている。なお、記憶部25及びパターン判定部24の作動により、本実施形態に係るロケーション管理方法の記憶ステップ及び判定ステップがそれぞれ実行される。
記憶部25は、倉庫1内の各ロケーションLにおける荷Wの有無を記憶する。図5は、倉庫1内のロケーションLの配置構成の一部を示した模式図である。各ロケーションLは、格子状に配置されており、それぞれのロケーションLは、連方向の番号(連番号)と列方向の番号(列番号)との組み合わせからなるロケーション番号によって特定される。例えば、図5中における濃い網掛けのロケーションLのロケーション番号は「2−2」となる。記憶部25では、図6(a)に示すように、各ロケーション番号ごとに荷Wの有無(パレットが載置されているかどうか)が記憶される(即ち、現時点でのパレット配置マップが記憶されている)。なお、記憶部25では、図6(b)に示すように、倉庫1内における位置を2次元座標で特定する場合における各ロケーションLの2次元座標(X座標及びY座標)も記憶されている(即ち、倉庫内地図データも記憶されている)。
パターン識別部22は、レーダ14で検出されて車載コントローラ12を介して無線通信により送信される荷Wの検出信号(物品有無検出信号)に基づいて、その検出パターンを識別する。なお、レーダ14では複数のロケーションLにおける荷Wの有無が検出され、パターン識別部22では、この検出信号の組み合わせにより検出パターンが特定される。即ち、検出パターンは、レーダ14で走査された走査範囲中から選択される複数の方向における検出結果により特定されることになる。
図7は、入庫作業の際における複数の荷Wの検出パターンを説明する図であって、フォークリフト2とその周囲の複数の荷Wとを示す平面図(図7(a))及び側面図(図7(b))である。なお、図7では、フォークリフト2が、荷W1を搬送してきてロケーションL1の位置にこの荷W1を入庫しようとしている場合を示しており、レーダ14による走査範囲(レーダ検出エリア)は網掛けで示している。
フォークリフト2がロケーションL1に接近してP1の位置まで達すると、レーダ14によって、フォーク上の荷W1がロケーションL1に到達したことが検出される。即ち、レーダ14で検出される前方の荷Wまでの距離Xcが、ロケーションLの大きさに応じて予め設定されている距離(ロケーション1個分手前に相当する距離)に達すると、フォーク上の荷W1がロケーションL1に到達したことが検出される。フォークリフト2が前方の荷Wに接近したことが検出されると、レーダ14によって、その時点でのフォークリフト2の左右斜め前方それぞれにおける荷Wの有無及びその検出された荷Wまでの距離が検出される。従って、フォークリフト2がP1に位置している状態では、左斜め前方の荷Wまでの距離Xlと右斜め前方の荷Wまでの距離Xrが、レーダ14によって検出されることになる。なお、レーダ走査範囲中における荷Wの有無及びその荷Wまでの距離(Xl、Xr)が検出されることになる左右斜め前方の方向については、制御装置10の車載コントローラ12が選択するものであっても管理コンピュータ11のパターン識別部22が選択するものであってもいずれでもよい。
また、図8は、出庫作業の際における複数の荷Wの検出パターンを説明する図であって、フォークリフト2とその周囲の複数の荷Wとを示す平面図(図8(a))及び側面図(図8(b))である。なお、図8では、フォークリフト2が、出庫対象の荷W2をロケーションL2の位置から搬出して出庫しようとしている場合を示している。図7と同様、レーダ14による走査範囲(レーダ検出エリア)は網掛けで示している。なお、図8では、2段積みの上段に積まれている荷Wが出庫対象の荷W2である場合を例示している。
フォークリフト2がロケーションL2に接近してP2の位置まで達すると、図7の場合と同様に、レーダ14によって、フォークリフト2がロケーション1個分だけ手前の位置に到達したことが検出される。フォークリフト2が前方の荷Wに接近したことが検出されると、入庫作業の場合と同様に、レーダ14によって、その時点でのフォークリフト2の左右斜め前方それぞれにおける荷Wの有無及びその荷Wまでの距離(Xl、Xr)が検出される。
入庫又は出庫の際にレーダ14で周囲の荷Wの有無及びその距離が検出されると、パターン識別部22では、この検出結果から検出パターンを識別する。この検出パターンは、左右斜め前方における荷Wの有無の検出結果及び検出された荷Wまでの検出距離(Xl、Xr)をクラス分けすることなどにより特定される。クラス分けをする場合は、例えば、基準位置に対する右前方及び左前方のそれぞれの方向での検出結果に基づいて、左右方向それぞれに関して、基準位置の側方に荷Wがある場合のクラス「側方ワーク有:N」、基準位置の斜め前方に荷Wがある場合のクラス「斜め前方ワーク有:M」、基準位置の斜め前方にワークが無い場合の「斜め前方ワーク無:F」の3クラスに分類することができる。なお、基準位置については、例えば、入庫時はフォーク上の荷Wが到達したロケーションの位置とし、出庫時はフォーク上に仮想の荷Wがあると仮定した場合のその仮想の荷Wが到達したことになるロケーションの位置とすることができる。また、この3つのクラス分けは、検出距離Xl及びXrを予め定めた所定の閾値と比較することで分類することができる。Xl及びXrについてそれぞれ3クラスに分類されるため、組み合わせとしては9通りのパターンが想定されることになる。なお、図7の場合は(Xl、Xr)=(N、M)、図8の場合は(Xl、Xr)=(M、F)の検出パターンにそれぞれ識別されることになる。
2次元座標識別部26は、フォークリフト2の位置を計測する位置計測手段を構成しており、無線通信機13を介してフォークリフト2の制御装置10から受信された無線信号に基づいて、フォークリフト2の位置を倉庫1内での2次元座標として計測する。位置計測方法としては、例えば、フォークリフト2から送信されて複数の無線通信機3にてそれぞれ受信された無線信号の電波強度の違いを利用する方法を用いることができる。即ち、フォークリフト2が位置している位置に応じてそれぞれの無線通信機3にて受信される無線信号の電波強度は異なるので、各無線通信機3で受信された無線信号の電波強度の組み合わせによってフォークリフト2の2次元座標を特定する計測を行うことができる。各無線通信機3で受信されたフォークリフト2からの無線信号の電波強度についての各信号は、管理コンピュータ11で受信されて、2次元座標識別部26によりフォークリフト2の2次元座標が計測されることになる。なお、2次元座標識別部26において、1つのロケーションLが占める範囲以上の広さ範囲で位置を計測するものであっても、到達目標のロケーションLの付近にフォークリフト2が位置しているか否かを速やかに計測することができ、最終的なロケーション位置判定をより容易で迅速に行うことができる。
パターン判定部24は、フォークリフト2が到達して搬送対象の荷Wを搬出し又は搬送してきた荷Wを搬入しようとする到達目標のロケーションL(図8の場合のL2又は図7の場合のL1)の位置を判定する。このとき、パターン判定部24は、レーダ14での検出結果に基づく検出パターンと記憶部25に記憶された記憶内容(図6(a)に示す現時点パレット配置マップ)とに基づいてロケーションLの位置判定を行う。
具体的には、例えば、パターン判定部24において、まず、到達目標のロケーションLの周囲のロケーションにおける荷Wの有無、即ち、前述した基準位置に対する左右側方及び左右斜め前方のロケーションにおける荷Wの有無を、記憶部25に記憶された現時点パレット配置マップより求め、予想検出パターンを作成する。そして、レーダ14での検出結果に基づいてパターン識別部22にて作成された検出パターンと上記予想検出パターンとを比較することでロケーションの位置判定を行うことができる。両パターンを比較して一致していれば、到達目標のロケーションLに到達していると判断し、一致していなければ、誤ったロケーションLに到達していると判断することができる。なお、レーダ14での検出結果と記憶部25の記憶内容とに基づくロケーション位置判定は、前方の荷Wとの距離Xcが所定の値になった時点を基準のタイミングとして行われる。
また、パターン判定部24では、2次元座標識別部26での計測結果にも基づいて、到達しようとするロケーションLの位置が判定される。2次元座標識別部26ではフォークリフト2に搭載されている無線通信機13の2次元座標が識別される。このため、この2次元座標から所定の距離X1だけずれた位置の2次元座標を算出し(図9参照)、この2次元座標を記憶部25に記憶された構内地図データより求まる到達しようとするロケーションLの2次元座標と比較することができる。所定の距離X1の値としては、例えば、無線通信機13の位置とフォーク18の中心位置(フォーク18に荷Wが載置されている場合のその荷Wの中心位置)との距離の値を用いることができる。
ロケーション位置判定における2次元座標の用い方としては、例えば、2次元座標識別部26での計測結果に基づいて算出されたフォーク18の中心位置の2次元座標と、到達目標のロケーションLの2次元座標とを比較して、ずれている距離に相当する両座標のずれ量が所定の閾値以下であれば、到達目標のロケーションLに到達していると判断することができる。また、両座標のずれ量が所定の閾値を超えていれば、誤ったロケーションLに到達していると判断することができる。なお、2次元座標識別部26での計測結果に基づくロケーション位置判定は、在荷センサ15で信号が検知された時点(荷役線さ5により荷役完了が検出されたタイミング)で行われる。これにより、フォークリフト2がロケーションLに到達して搬送対象の荷Wを搬出又は搬入した適切なタイミングで、2次元座標識別部26での計測結果に基づくロケーション位置判定を行うことができる。そして、パターン判定部24においては、荷Wの有無の検出パターンによるロケーション位置判定と、2次元座標識別部26での計測結果によるロケーション位置判定とが、順次行われる。このため、両方の位置判定の結果を反映させたより正確なロケーション位置判定が可能になり、位置判定精度を向上させることができる。
報知部27は、パターン判定部24で位置判定されたロケーションLの位置が、フォークリフト2が到達しようとするロケーションLの位置と一致していなかった場合に、フォークリフト2を運転している作業者に対してロケーションLの不一致を報知する。即ち、パターン判定部24にて、ロケーションLの位置が一致していないと判定された場合、報知部27は、ロケーションLの位置が不一致であることを作業者に報知するための報知指令を無線通信機3を介して制御装置10に送信する。制御装置10は、例えば、ブザー、サイレン、パトライトなど種々の手段(図示せず)備えており、報知部27から受信した報知指令に従って、これらのブザー等の手段を作動させる。
記憶更新部23は、パターン判定部24で位置判定されたロケーションLの位置が、フォークリフト2が到達しようとするロケーションLの位置と一致していた場合に、記憶部25の記憶内容をフォークリフト2の到達後の状態に応じて更新する。即ち、記憶部25に記憶された現時点パレット配置マップの内容の更新を行う。
次に、上述した本実施形態に係るロケーション判定装置での処理(本実施形態に係るロケーション判定方法の各ステップを実行する処理)について、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図10は、ロケーション判定装置での処理フローの一例を示したものである。
まず、入庫又は出庫作業が発生すると、フォークリフト2に搭乗した作業者は、管理コンピュータ11から無線通信により制御装置10へと指示された到達目標のロケーションLまでフォークリフト2を運転して移動させる。作業者が到達目標と認識しているロケーションLにフォークリフト2を近づけていくと、前方の荷Wの存在がレーダ14で検出される。そして、まず、ステップ101(以下、「S101」という。他のステップも同様)において、その検出されたレーダ前方距離Xcが、ロケーション1個手前分の距離に相当する所定の値Lp以下となったか否かが判断される。
レーダ前方距離Xcが所定の値Lp以下となるまでステップ101の処理が継続され(S101、No)、距離XcがLp以下となると(S101、Yes)、レーダ14で右斜め前方距離Xl及び左斜め前方距離Xrが検出される(S102)。即ち、距離XcがLp以下となったこのタイミングが、レーダ14での検出結果及び記憶部25での記憶内容に基づいたロケーション位置判定を行う際の基準のタイミングとなる。そして、レーダ14でのその検出結果が管理コンピュータ11に送信されて、パターン識別部22にて左右斜め前方距離Xl、Xrに応じた前述の3つのクラス分け(N、M、Fのいずれかにクラス分け)が行われ、検出パターンが作成される(S103)。
そして、ステップ104において、パターン判定部24により、記憶部25に記憶された現時点パレット配置マップに基づいて、到達目標である指示ロケーションLの周囲のロケーションにおける荷Wの配置状況を示す予想検出パターンの作成処理が行われる。図11は、この予想検出パターンの作成処理のフローの一例を示したものである。
図11の処理では、まず、指示ロケーションLの右側方、左側方、右斜め前方、及び左斜め前方に位置している各ロケーションLのロケーション番号が求められる(S201)。そして、各ロケーション番号に基づいて、これらの各ロケーションLにおける荷Wの有無に関する情報が現時点パレット配置マップから求められる(S202)。ステップ202にて指示ロケーションLの周囲における荷Wの有無が求められると、その情報に基づいて、ステップ203以降では、指示ロケーションLの右側及び左側における検出パターン(左右両側それぞれにおけるN、M、Fのクラス分類)が特定される。
まず、ステップ203にて、右側方のロケーションLに荷Wが存在しているか否かが判断される。右側方に荷Wが有ると判断された場合は(S203、Yes)、右側の検出パターンは「N」と特定される(S204)。一方、右側方のロケーションLに荷Wが無いと判断された場合は(S203、No)、右斜め前方のロケーションLに荷Wが存在しているか否かが判断される(S205)。ここで右斜め前方のロケーションLに荷Wが有ると判断された場合は(S205、Yes)、右側の検出パターンは「M」と特定される(S206)。ステップ205にて右斜め前方のロケーションLに荷Wが無いと判断された場合は(S205、No)、右側の検出パターンは「F」と特定される(S207)。
右側の検出パターンが特定されると(S204、S206、S207)、次いで、左側の検出パターンが特定される。まず、ステップ208にて、左側方のロケーションLに荷Wが存在しているか否かが判断される。左側方に荷Wが有ると判断された場合は(S208、Yes)、左側の検出パターンは「N」と特定される(S209)。一方、左側方のロケーションLに荷Wが無いと判断された場合は(S208、No)、左斜め前方のロケーションLに荷Wが存在しているか否かが判断される(S210)。ここで左斜め前方のロケーションLに荷Wが有ると判断された場合は(S210、Yes)、左側の検出パターンは「M」と特定される(S211)。ステップ210にて左斜め前方のロケーションLに荷Wが無いと判断された場合は(S210、No)、左側の検出パターンは「F」と特定される(S212)。
左側の検出パターンも特定され(S209、S211、S212)、予想検出パターンの作成が完了して図11の処理を終了すると、図10の処理に戻ることになる。即ち、ステップ104の予想検出パターン作成処理が終了すると、次いで、ステップ105にて、レーダ検出パターンと予想検出パターンとが比較され、両パターンが一致しているか否かが判断される。
レーダ検出パターンと予想検出パターンとが一致していないと判断された場合(S105、No)、両パターンが不一致であって荷役位置が間違っているとの警告が報知部27により無線通信を介して作業者に報知され、荷役(入出庫)作業のやり直しが指示される(S112)。
レーダ検出パターンと予想検出パターンが一致していると判断された場合は(S105、Yes)、荷役完了か否か、即ち、在荷センサ15からの信号の変化(検出状態の変化)があったか否かが判断される(S106)。荷役完了までステップ106の判断が繰り返され、荷役完了と判断されると(S106、Yes)、次いで、フォークリフト2に搭載されている無線通信機13の位置座標が2次元座標識別部26によって計測される(S107)。即ち、2次元座標識別部26での計測結果に基づいたロケーション位置判定は、荷役完了タイミングで行われることになる。
フォークリフト2の無線通信機13の位置座標が求まると(S107)、この位置座標をもとに、パターン判定部24にて、当該フォークリフト2のフォーク18上における荷Wの中心位置である荷役位置の座標(X、Y)が求められる(S108)。そして、まず、求められた荷役位置のX座標(X)と到達目標のロケーションLのX座標(X0)とのずれ量(即ち、(X−X0)の絶対値|X−X0|)が閾値Wp以下であるか否かが判断される(S109)。閾値Wpの値は2次元座標識別部26の位置計測精度による計測誤差の大きさから決まる値であり、例えば、1つのロケーションのX座標軸方向における長さの値等を用いることができる。2次元座標のずれ量|X−X0|の値が閾値Wpを超えていれば(S109、No)、報知部27により無線通信を介して荷役位置間違いの警告が作業者に対して報知される(S112)。
一方、X座標軸方向における2次元座標のずれ量|X−X0|の値が閾値Wp以下である場合は(S109、Yes)、次いで、求められた荷役位置のY座標と到達目標のロケーションLのY座標(Y0)とのずれ量(即ち、(Y−Y0)の絶対値|Y−Y0|)の値が閾値Wp以下であるか否かが判断される(S110)。Y座標軸方向における2次元座標のずれ量|Y−Y0|の値が閾値Wpを超えていれば(S110、No)、報知部27により無線通信を介して荷役位置間違いの警告が作業者に対して報知される(S112)。
ステップ110にて、2次元座標のずれ量|Y−Y0|の値が閾値Wp以下である場合は(S110、Yes)、パターン判定部24により、荷役位置のロケーションLが到達目標のロケーションLと一致していると最終的に判定されることになる。このように、荷Wの有無の検出パターンによるロケーション位置判定と、2次元座標識別部26での計測結果によるロケーション位置判定とが、順次行われ、両方の位置判定の結果を反映させたより正確なロケーション位置判定が行われることになる。そして、記憶更新部23によって、記憶部25の記憶内容である現時点パレット配置マップが荷役完了後の状態に対応して更新されることになる(S111)。
現時点パレット配置マップに関する記憶内容の更新処理(S111)、及び荷役位置間違いの警告報知処理(S112)が完了すると、ロケーション判定処理は終了し、図10に示す処理が終了することになる。なお、引き続き荷役作業が発生すると、再び、図10に示す処理が開始されることになる。
以上説明したように、第1実施形態に係るロケーション判定装置、ロケーション管理システム、ロケーション判定方法、及びプログラムによると、レーダ14でフォークリフト2の周囲のロケーションLにおける荷Wの有無を検出できる。そして、この検出結果と記憶部25に記憶されている各ロケーションLにおける荷Wの有無についての記憶内容とに基づいて、即ち、検出結果と記憶内容とを照合することで、フォークリフト2が到達しようとするロケーションLの位置を判定することができる。これにより、各ロケーション単位で到達目標のロケーションLの位置を特定することが可能になる。即ち、隣り合うロケーションL同士の位置を特定できる精度でロケーションLの位置判定が可能になる。そして、所望のロケーションLで正確に搬送対象の荷Wを搬出し又は搬入したことを確認することができる。
(第2実施形態)
第1実施形態においては、物品が平置きで載置される平置き地番としての複数のロケーションを備える倉庫に適用される場合について説明したが、ロケーション管理領域が、ラック内で区分けされて物品が収納される棚としての複数のロケーションを備える倉庫である場合にも、本発明を適用することができる。
図12は、第2実施形態に係るロケーション判定装置、ロケーション判定方法、及びロケーション管理システムが適用されるロケーション管理領域である倉庫30の一部を示す概略図である。倉庫30は、第1実施形態に係る倉庫1と同様に、パレットごと搬送される荷(物品)Waが収納される複数のロケーション(棚)Laを備えるラック31が配設された倉庫として構成されている。ラック31は複数配列されており(1つでもよい)、各ラック31における各ロケーションLaに対して、第1実施形態の場合と同様の図示しないフォークリフト(移動体、搬送手段)によって荷Waが搬入され又は搬出される。
第2実施形態に係るロケーション管理システムは、図示しないフォークリフトに搭載される制御装置(図示せず)と、無線通信機を介して制御装置と通信可能なロケーション管理装置(図示せず)とを備えている。
制御装置は、第1実施形態の場合と同様に構成され、フォークリフトの周囲のロケーションLaにおける荷Waの有無を検出する検出手段を構成するレーダ(図示せず)を備えている。このレーダは、複数備えられており、各レーダがそれぞれ配置された方向における荷Waの有無を検出することで、複数のロケーションLaにおける荷Waの有無を検出するようになっている。例えば、複数のレーダは、フォークリフトのフォーク先端に取り付けられ、フォークが対向する正面のロケーションLaとその周囲のロケーションLaにおける荷Waの有無を検出することができるように配置されている。例えば、キャリッジ31の正面とその上下左右、左右斜め上方、及び左右斜め下方の9つのロケーションLaなどを検出するようにするなど、種々の検出パターンの組み合わせを選択するようにレーダを配置することができる。
上記ロケーション管理装置は、第1実施形態に係るロケーション管理システムの管理コンピュータ11と同様に、記憶部(記憶手段)、パターン判定部(判定手段)、パターン識別部、記憶更新部、報知部などを備えている。記憶部では、倉庫30内の各ロケーションLaにおける荷Waの有無を記憶し、パターン判定部では、レーダでの検出結果及び記憶部での記憶内容に基づいてフォークリフトが到達しようとするロケーションLaの位置を判定する。なお、第2実施形態に係るロケーション判定装置は、このロケーション管理システム内に構築され、また、第1実施形態の場合と同様に、このロケーション判定装置が作動することで、第2実施形態に係るロケーション判定方法が実施されることになる。
第2実施形態に係るロケーション判定装置、ロケーション判定方法、及びロケーション管理システムによると、第1実施形態の場合と同様に、レーダでフォークリフトの周囲のロケーションLaにおける荷Waの有無を検出できる。そして、この検出結果と記憶部に記憶されている各ロケーションLaにおける荷Waの有無についての記憶内容とに基づいて、即ち、検出結果と記憶内容とを照合することで、フォークリフトが到達しようとするロケーションLaの位置を判定することができる。これにより、各ロケーション単位で到達目標のロケーションLaの位置を特定することが可能になる。即ち、隣り合うロケーションLa同士の位置を特定できる精度でロケーションLaの位置判定が可能になる。そして、所望のロケーションLaで正確に搬送対象の荷Waを搬出し又は搬入したことを確認することができる。
(第3実施形態)
第1及び第2実施形態においてはロケーション管理領域が倉庫である場合について説明したが、ロケーション管理領域が、物品としての車両が駐車される駐車スペースとして区分けされる複数のロケーションを備える駐車場である場合にも、本発明を適用することができる。
図13は、第3実施形態に係るロケーション判定装置、ロケーション判定方法、及びロケーション管理システムが適用されるロケーション管理領域である駐車場40を示す平面図である。駐車場40では、駐車スペースである各ロケーションLbに対して移動体であるとともに物品でもある車両Wbが到達して進入し、駐車される。
第3実施形態に係るロケーション管理システムは、駐車場40内を移動する車両Wbに搭載される制御装置(図示せず)と、無線通信機を介してこの制御装置と通信可能なロケーション管理装置(図示せず)とを備えている。制御装置は、無線通信機及びレーダを備えており、例えば、駐車場40の入り口で各車両Wbの前部のボンネット上などに磁石で吸着させること等によって取り付けられる。
この制御装置のレーダによって、所定のロケーションLbに進入しようとする車両Wbの周囲のロケーションLbにおける既に駐車されている車両Wbの有無を検出する検出手段が構成される。このレーダとしては、例えば、第1実施形態における走査型レーダを用いることができる。また、第2実施形態のように、配置された方向における駐車車両Wbの有無をそれぞれ検出する複数のレーダであってもよい。
ロケーション管理装置は、第1実施形態における管理コンピュータ11と同様に、記憶部(記憶手段)、パターン判定部(判定手段)、パターン識別部、記憶更新部、報知部などを備えている。記憶部では、駐車場40内の各ロケーションLbにおける車両Wbの有無を記憶し、パターン判定部では、レーダでの検出結果及び記憶部での記憶内容に基づいて移動中の車両Wbが到達して進入しようとするロケーションLbの位置を判定する。なお、第3実施形態に係るロケーション判定装置は、このロケーション管理システム内に構築され、また、第1実施形態の場合と同様に、このロケーション判定装置が作動することで、第3実施形態に係るロケーション判定方法が実施されることになる。
第3実施形態に係るロケーション判定装置、ロケーション判定方法、及びロケーション管理システムによると、第1実施形態の場合と同様に、レーダで移動中の車両Wbの周囲のロケーションLbにおける駐車車両Wbの有無を検出できる。そして、この検出結果と記憶部に記憶されている各ロケーションLbにおける駐車車両Wbの有無についての記憶内容とに基づいて、即ち、検出結果と記憶内容とを照合することで、移動中の車両Wbが到達して進入しようとするロケーションLbの位置を判定することができる。これにより、各ロケーション単位で到達目標のロケーションLbの位置を特定することが可能になる。即ち、隣り合うロケーションLb同士の位置を特定できる精度でロケーションLbの位置判定が可能になる。そして、所望のロケーションLbで正確に車両Wbが進入したことを確認することができる。
以上、本発明の第1〜第3実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
(1)検出手段は、移動体に設けられてその移動体の周囲のロケーションにおける物品の有無を検出するものであれば、レーダ以外のものであってもよい。また、第1実施形態において、レーダは走査型のものに限らず、配置された方向における物品の有無をそれぞれ検出する複数のレーダを備えるものであってもよい。また、第2実施形態において、走査型のレーダによるものであってもよい。
(2)第1実施形態において、検出手段としてのレーダをフォークリフトに取り付ける場合、フォークリフトの中心線上に走査型レーダを1つ配置するものに限らなくてもよい。例えばリーチタイプのフォークリフトの場合、左右のリーチレグ先端にそれぞれ走査型レーダを取り付けるものであってもよい。これにより、左右それぞれのレーダ走査範囲をより確保し易くなる。
(3)第1実施形態においては、レーダ走査範囲中の左右斜め前方における検出結果を3つのクラスに分類することで検出パターンの識別を行う場合について説明したが、レーダの走査信号(スキャン信号)をそのまま利用して、予め設定した基準のパターンとの1次元のパターン認識処理を利用する方法を用いるもの等であってもよい。
(4)移動体の位置を計測する位置計測手段としては、無線通信によるもの以外のものであってもよい。例えば、ジャイロと距離計による推測航法を利用した位置検出装置を用いるもの等であってもよい。
(5)ロケーション判定装置については、本実施形態で例示したような、移動体に搭載される制御装置と無線通信機を介してこの制御装置と通信可能なロケーション管理装置とからなるロケーション管理システムに備えられるものでなくてもよい。
(6)図10、図11に示す処理のフローは、あくまで一例であって、本実施形態に係る各ステップが実行可能でさえあれば、各処理の順番や組み合わせ方、また各処理での判断ロジック等を適宜変更して実施することができる。
本発明の第1実施形態に係るロケーション判定装置、ロケーション判定方法、及びロケーション管理システムが適用されるロケーション管理領域である倉庫を例示した平面図である。
パレットごと搬送される荷がロケーションである平置き地番に載置されている様子を示す斜視図である。
第1実施形態に係るロケーション管理システムを示す模式図である。
図3に示す管理システムにおける管理コンピュータの構成を例示した機能ブロック図である。
図1に示す倉庫内のロケーションの配置構成の一部を示した模式図である。
図4に示す管理コンピュータにおける記憶部に記憶される記憶内容を説明する図である。
入庫作業の際における複数の荷の検出パターンを説明する図であって、フォークリフトとその周囲の複数の荷とを示す平面図及び側面図である。
出庫作業の際における複数の荷の検出パターンを説明する図であって、フォークリフトとその周囲の複数の荷とを示す平面図及び側面図である。
図4に示す管理コンピュータのパターン判定部における、フォークリフトの無線通信機の2次元座標からフォークの中心位置の2次元座標を算出する処理を説明する図である。
第1実施形態に係るロケーション判定装置における処理手順を例示したフローチャートである。
図10における予想検出パターンの作成処理の手順を例示したフローチャートである。
本発明の第2実施形態に係るロケーション判定装置、ロケーション判定方法、及びロケーション管理システムが適用されるロケーション管理領域である倉庫を例示した概略図である。
本発明の第3実施形態に係るロケーション判定装置、ロケーション判定方法、及びロケーション管理システムが適用されるロケーション管理領域である駐車場を例示した平面図である。
符号の説明
1 倉庫(ロケーション管理領域)
2 フォークリフト(移動体、搬送手段)
10 制御装置
11 管理コンピュータ
14 レーダ(検出手段)
21 ロケーション管理部
24 パターン判定部(判定手段)
25 記憶部(記憶手段)
L ロケーション
W 荷(物品)