JP4348507B2 - パイプの固定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は接着剤が塗布された長尺状のテープによりパイプを貼付け固定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば最近の冷凍冷蔵庫においては、冷凍サイクルの一部を成す凝縮器は、本体を構成する外箱の内側にパイプ(以下、凝縮パイプという)を取り付けたものが多用されている。
図6に、従来の一般的な冷凍冷蔵庫における冷凍サイクルの一部を成す凝縮パイプが冷凍冷蔵庫本体に設置された斜視図を示す。
図において、1は冷凍冷蔵庫本体、2は扉、3は冷凍冷蔵庫の冷凍サイクルの一部を成す例えば銅管などの凝縮パイプである。前記凝縮パイプ3は前記本体1の外箱を構成する例えば鋼板などの外板4の側面内側に、貼付け面に接着剤が予め塗布されている例えばアルミなどの金属製のテープ5により貼付け固定され配置されている。
【0003】
尚、前記凝縮パイプ3などにより構成される冷凍サイクルや該冷凍サイクルの冷媒の流れ及び作用等については周知の技術であり、また、本発明の趣旨に関係しないので説明を省略する。
【0004】
上記のように、前記凝縮パイプ3は、冷蔵庫本体1を構成する外板4の側面内側にアルミなどの金属製テープ5により貼付け固定さているが、以下に、前記凝縮パイプ3の貼付け方法について説明する。
【0005】
図7は凝縮パイプ3の貼付け工程における自動テープ貼付け装置の概略構成を示す図である。
尚、図において上記図6と同一または相当部分には同一符号を付し説明を省略する。
図において、6は円柱形状をなした周面が平坦な例えば天然ゴム、シリコンなどの材質からなる柔軟性をもった前記テープ5貼付け用の前ローラー、7は同じく円柱形状をなした周面が平坦な例えば天然ゴム、シリコンなどの材質からなる柔軟性をもった前記テープ5貼付け用の後ローラー、11は前記テープ5が巻かれているローラー、12は前記凝縮パイプ3の横方向へのずれを防ぐ位置規制用のパイプガイドローラー、13、14、15は前記テープ5のガイドローラー、16、17は一端に前記前ローラー6および前記後ローラー7を回転自在に取付けたアームで、他端が回動自在に支持されている。18、19は前記アーム16、17を回動するエアシリンダー、20は後ローラー7を有するアーム17に取付けた前記テープ5を切断するカッター、21はテーブル、22は一端に前記パイプガイドローラー12を回転自在に取付けたアームで、他端が回動自在に支持されている。23は前記アーム22を回動するエアシリンダーである。
【0006】
図8は、上記図7に示す自動テープ貼付け装置概略構成図のテープ貼付け用ローラー部の要部拡大図である。図8(a)はテープ貼付け用ローラー部を上方向から見た図、(b)は横方向から見た図である。尚、図8において、上記図7と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0007】
図9はテープ貼付け工程を示すフロチャートであり、上記図7、8を用いて以下に凝縮パイプのテープ貼付け工程について説明する。
まず、S1において冷凍冷蔵庫本体1の外箱を構成する外板4へ、冷凍サイクルの凝縮器としての役割を担う凝縮パイプ3を所定の位置にセットし、S2において、テープなどを用いて前記凝縮パイプ3の仮位置固定を行う。次に、S3において前記外板4を自動テープ貼付け装置の所定位置まで、前記テーブル21の両サイドに配置された外板移動用のベルトコンベアー(図示せず)で移動する。
尚、この移動の際には、前記外板移動用のベルトコンベアーによりテーブル21上を移動することになるが、前記テーブル21には外板4への傷つき防止のために多数の小孔(図示せず)が設けられており、該小穴から吹出すエアにより若干浮上した状態で移動する。
【0008】
続いて、前記外板4を所定位置で固定した状態でテープ自動貼り付け装置が、例えば上記図7の左方向に移動することによりテープ自動貼り付け工程が行なわれる。
S4において、テープ自動貼り付け装置が外板4上を移動の際に、まず始めに前記パイプガイドローラー12にて前記凝縮パイプ3の位置を適切な位置に修正し、次に、S5、S6において、テープ貼付け用の前ローラー6とテープ貼付け用の後ローラー7により、凝縮パイプ3がテープ5の貼付け面の接着剤の粘着力にて外板4に貼付けられる。その際、前記テープ貼付け用の前ローラー6は主にテープ5を凝縮パイプ3に貼付けて固定する役割、前記テープ貼付け用の後ローラー7は主にテープ5を外板4に貼り付ける役割を担っている。
【0009】
続いて、S7で前ローラー6を鉛直上方へ持上げることにより、テープ5が持ち上がり、テンションが掛かっているテープ5が前記カッター20に触れてテープ5が切断される。以上でテープ自動貼付け工程が終了し、そして、S8でテープ貼付けが終了した外板4をベルトコンベアーで移動し、次工程へと移る。
【0010】
尚、図7に示す自動貼付け装置が1台として、上記S4からの自動貼付け工程を説明しているが、実際上は外板4に配置された凝縮パイプ3の列数分の自動貼付け装置が装備され、凝縮パイプ3の列数分の貼付けを同時に行うものである。
【0011】
また、前記パイプガイドローラー12、テープ貼付け用の前ローラー6およびテープ貼付け用の後ローラー7は、それぞれエアシリンダー23、18、19の空気圧により各々の押付け圧力を調整することが可能である。
【0012】
図10は外板4に凝縮パイプ3を配置し自動貼付け工程により、テープ5で貼付け固定された状態の一例を示している。
このように、凝縮パイプ3が貼付けられた外板4は、1点鎖線部分で凝縮パイプ3が内側になるよう凹状に折り曲げられ、例えば冷凍冷蔵庫本体1の右側面部、天面部(凝縮パイプなし)および左側面部を有する外箱構成品を形成する。そして、図示しないが該外箱と内箱との間に発泡断熱材を発泡させるなどして上記図6に示すような冷凍冷蔵庫が製造されていく。
【0013】
図11は従来の自動貼付け装置によるテープ貼付け状態を示した断面図である。尚、図中のL1は貼付け後のテープ5の幅、L2はテープ貼付けの際にテープ5が外板4から浮いて接触していない部分の幅、φPは凝縮パイプ3の外径を表している。
図11に示すように、L2がPよりも大きくなり、テープ5と外板4の一部が貼り付かないテント形状となる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の凝縮パイプ3のテープ貼付け方法においては、テープ貼付け用のローラー形状が円柱状で周面が平坦であり、この円柱状ローラーを凝縮パイプ3の上から押し付けるようにしているため、上記図11に示すようにパイプ3付近のテープ5が外板4に貼付かないで浮いた状態のテント状となり、テープ5から外板4へと伝わる熱伝導距離が長くなってしまう。このため、外板4への伝熱効果が低下してしまい、冷凍冷蔵庫であれば冷凍サイクルの凝縮温度(凝縮圧力)が上昇し、圧縮機運転における高低圧力差が大きくなり圧縮機の消費電力が大きくなってしまうという問題があった。
【0015】
本発明は上記の問題点を解消するためになされたもので、テープと外板の貼付け状態を良くして伝熱効果を向上させることができるパイプの固定方法を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る請求項1記載のパイプの固定方法は、外板の内面にパイプを配設し、接着剤が塗布された長尺状の金属製テープを該パイプの上から外板に貼付けて固定するようにしたものにおいて、前記パイプの表面に周面が平坦な前ローラーを前記金属製テープの上から押し付けて該テープを貼り付ける工程と、周面に前記パイプが挿入される凹状の溝部を有する後ローラーを金属製テープの上から押し付けて該凹溝により金属製テープをパイプの両側面に沿って折り曲げるとともにその周面により該テープを前記外板に貼り付ける工程とを具備したものである。
【0017】
また、請求項2記載のパイプの固定方法は、外板の内面にパイプを配設し、接着剤が塗布された長尺状の金属製テープを該パイプの上から外板に貼付けて固定するようにしたものにおいて、前記パイプの表面に周面が樽状に形成された前ローラーを前記金属製テープの上から押し付けて該テープを貼り付ける工程と、周面に前記パイプが挿入される凹状の溝部を有する後ローラーを金属製テープの上から押し付けて該凹溝により該テープをパイプの両側面に沿って折り曲げるとともにその周面により該テープを前記外板に貼り付ける工程とを具備したものである。
【0018】
また、請求項3記載のパイプの固定方法は、外板の内面にパイプを配設し、接着剤が塗布された長尺状の金属製テープを該パイプの上から外板に貼付けて固定するようにしたものにおいて、前記パイプに一端にのみ径大部が形成された前ローラーを前記金属製テープの上から押し付けて該テープをパイプに貼り付けるとともに該径大部によりパイプの側面に沿って該テープを折り曲げてその周面により前記外板に貼り付ける工程と、周面に前記パイプが挿入される凹状の溝部を有する後ローラーを金属製テープの上から押し付けて該凹溝により該テープをパイプの両側面に沿って折り曲げるとともにその周面により該テープを前記外板に貼り付ける工程とを具備したものである。
【0019】
また、請求項4記載のパイプの固定方法は、前記パイプを挟んで前記前ローラーの径大部とは反対側の端部に位置して径大部を形成した後ローラーを用い、この後ローラーを金属製テープの上から押し付けて該径大部により該テープをパイプの側面に沿って折り曲げるとともにその径大部の周面により該テープを前記外板に貼り付ける工程を具備したものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1におけるテープ貼付け用ローラー部の要部拡大図で、(a)はローラー部を上方向からみた図、(b)は横方向からみた図である。尚、図1において、従来例図8に示すテープ貼付け用ローラー部の要部拡大図と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。また、自動テープ貼付け装置においては、図7に示す自動テープ貼付け装置の概略構成図と同様であるため、ここでの説明を省略する。
図1において、7´はローラー貼付け周面の中央部付近に例えばパイプ外径に相当する凹状の溝部を設けた例えば天然ゴム、シリコンなどの材質からなる柔軟性をもったテープ5貼付け用の後ローラーである。
【0021】
尚、上記構成部品の各寸法は、例えば凝縮パイプ3の直径はφ4mm程度であり、アルミなどの金属製のテープ5の幅は、パイプ直径の10倍から20倍程度の範囲である。また、ローラーの幅はテープ幅よりも若干(数センチ程度)大きな幅、ローラーの直径はパイプ直径の10倍から20倍程度の範囲である。尚、前記寸法例から外れる範囲であっても本発明の趣旨を満たすものであれば問題はない。
【0022】
上記において、テープ貼付け工程は、従来例の図9に示したフローチャートの説明と同様であるので、ここでの説明を省略し、ここでは、本実施の形態の特徴であるテープ貼付け用の後ローラー7´について主に説明する。
【0023】
テープ貼付け装置は、前述したように従来と同様の構成となっており、凝縮パイプ3の外板4へのテープの貼付けは、前ローラー6と後ローラー7´にて行われる。前ローラー6は主にテープ粘着面を凝縮パイプ3に貼付け固定する目的で設けられており、前ローラー6に加えられる押し付け力としては、前ローラー6の変形による貼付け面が例えば凝縮パイプ3の外径の上半分程度の範囲となるように、エアシリンダー18の空気圧にて調整されている。貼付け動作は、テープ貼付け装置が上記図7において左方向に移動する際に、前ローラー6が下方向にテープを押え付ける力が加えられ、そして前ローラー6が回転しながらテープ5を凝縮パイプ3に貼り付けていく。
【0024】
また、テープ貼付け用の後ローラー7´は主にテープ5を外板4に貼付ける役割を担っており、前ローラー6にて凝縮パイプ3に貼付けられたテープ5を、周面に凹状の溝部を有する前記後ローラー7´で上から押し付けて前記凹状の溝により凝縮パイプ3の両側面に沿って折り曲げるとともにその周面により前記外板4に貼付け固定する。前記後ローラー7´では、テープ5を外板4に貼付けることを主目的としているため、後ローラー7´に加えられる押し付け力としては、例えば押付け力が強すぎて凝縮パイプ3や外板4に変形が生じない程度に、後ローラー7´の貼付け面がテープ5を外板4および凝縮パイプ3に密着する位の状態で貼付け動作を行うように、エアシリンダー19の空気圧にて調整され、アーム17を通して加えられる。そして、上記前ローラー6と同様に回転しながらテープ5を外板4に貼付ける。
【0025】
図2は、前記後ローラー7´を用いた自動貼付け装置によるテープ貼付け状態を示した断面図である。尚、図中のL1は貼付け後のテープ5の幅、L2はテープ貼付けの際にテープ5が外板4から浮いて接触していない部分の幅、φPは凝縮パイプ3の外径を表している。
後ローラー7´は貼付け周面の中央部付近に凝縮パイプ3の外径に相当する凹状の溝部が設けられた形状となっているため、図2に示すように、テープ5と外板4のなす角度が直角に近い状態に貼付けることが可能となる。したがって、従来のローラーが円柱形状をしたものにおいては、貼付け断面のL2部分がPよりも大きくなってテント形状になっていたが、本実施の形態の後ローラー7´によりL2部分がPと同等くらいになり理想的な状態に貼付けすることができる。
【0026】
尚、上記実施の形態においては、後ローラー7´の溝部の形状を凹状としたが、これに限定されるものではなく、例えばパイプ断面にあわせた半円形状にするなど、その他形状としてもよい。
【0027】
また、溝の深さは、パイプ外径程度やパイプの押付け力強化を狙ってパイプ外径よりも小さめにしてもよい。例えば、溝の深さはパイプ外径と同程度から外径の半分程度までの範囲である。
【0028】
溝の幅は、パイプとのクリアランスを取ってパイプ貼付けの際パイプの位置が多少ずれても対応することが可能なように、パイプ外径よりも若干大き目としてもよいし、パイプの横方向のテープ貼付け力の強化を狙ってパイプ外径よりも小さくしてもよい。例えば、溝の幅はパイプ外径と同程度もしくは若干小さい幅からパイプ外径の2倍程度までの範囲である。
【0029】
続いて、図2のようにテープを貼付けた場合の放熱効果について説明する。
外板4にテープ5で固定される凝縮パイプ3から外板4への放熱経路は、大きく分けて▲1▼テープ5の熱伝導によるもの、▲2▼凝縮パイプ3と外板4との接触部の熱伝導によるもの、▲3▼凝縮パイプ3と外板4間に介在する空気を介した熱伝導によるものの3つに分けることができる。
尚、上記▲1▼のテープ5の熱伝導による放熱経路とは図2中のX部のことであり、パイプ3と外板4間を接続するテープ5の部分を伝わる放熱経路を表している。Y部のテープ5から接着剤を介して外板4へと伝わる放熱経路については、放熱面積が大きく、接着剤厚みも薄く、密着状態も良いと仮定しているため、上記▲1▼〜▲3▼の放熱経路に比較して熱抵抗が大幅に小さく、凝縮パイプ3から外板4へ伝わる放熱経路中の熱抵抗としては、▲1▼〜▲3▼の影響に比べて無視できる程度の大きさとなるため、以下の説明では▲1▼〜▲3▼の熱伝導経路について比較を行なっている。
一般に熱伝導による放熱量の大きさは次の(1)式で与えられる。
Q=λ÷L×A×ΔT――――――――――(1)
ここで、Q:放熱量(熱伝導)[W]
λ:熱伝導率[W/mK]
L:熱伝導部長さ[m]
A:熱伝導部面積[m2]
ΔT:熱伝導部両端の温度差
(1)式を用いて、上記▲1▼、▲2▼、▲3▼それぞれの放熱経路における凝縮パイプ3の軸長手方向単位長さ当りの放熱量の概略値を比較計算してみると、▲1▼25[W/m]、▲2▼0.26[W/m]、▲3▼1.21[W/m]となる。
【0030】
尚、上記計算において各パラメータは従来の冷蔵庫の条件に合せて、パイプ直径は4mm、テープの材質はアルミ(λ=200[W/mK])、厚みは50μm、空気の熱伝導率は0.026[W/mK]とし、また、▲1▼の計算におけるL=2mm(テープ接続部長さはパイプ直径の半分(X部)とした)、Aはテープ厚み×1m(単位長さ当り)、▲2▼の計算ではパイプと外板間の接触状態が一様ではないため平均50μm(=L)の空気層が介在すると仮定し、Aはほとんど点接触であると考えられるが0.1mm幅で接触していると仮定した。そして、▲3▼の計算ではパイプと外板間に介在する空気層厚さはパイプ幅に渡った積分平均値、Aはパイプ直径に同じと仮定して算出した値である。また、ΔTはパイプ側と外板側の温度差をΔT=5℃と仮定して算出している。
【0031】
上記▲1▼、▲2▼、▲3▼における放熱量比較結果から分かるように、▲1▼のアルミテープを通した熱伝導による放熱が支配的であり、▲1▼のテープ熱伝導による放熱効果を上げることが、放熱量アップに有効であることがわかる。
【0032】
次に、▲1▼のテープ接続長さLを変化させた場合の放熱量を計算してみると、3mmでは16.7[W/m]、4mmでは12.5[W/m]と大きく変化する。一方、従来の図11に示すような貼付け状態においてはL≒2.8mm(=2÷cos45度)で、このときの放熱量は17.9[W/m])であるのに対し、本実施の形態の図2の貼付け状態では上記L=2mm(放熱量25[W/m])なので、両者の放熱量には約28%の差が生じることになる。このことからも、本実施の形態における凝縮パイプ3の外板4へのテープの貼付け固定方法が放熱量のアップに大きく影響を及ぼすことが分かる。
【0033】
このように、従来の凝縮パイプのテープ貼付け方法においては、凝縮パイプから外板への放熱性能が低いため、凝縮パイプの温度、すなわち冷蔵庫の冷凍サイクルにおける凝縮温度が高くなったが、本実施の形態のテープの貼付け固定方法により凝縮パイプから外板への放熱性能が向上することにより、凝縮温度(凝縮圧力)を低くすることができ、ひいては、冷蔵庫の圧縮機運転における高低圧力差を従来よりも低く抑えることができるので、これにより圧縮機の低消費電力運転が実現可能となる。
【0034】
以上のように、外板への凝縮パイプのテープ貼付け固定方法において、従来はパイプを挟んでテープが外板にテント状に貼付けされていたが、本実施の形態におけるテープ貼付け用の後ローラー部の形状を貼付け周面中央部付近にパイプ外径に相当する凹状の溝部を設けた形状としたので、図2に示すようにパイプを挟んでテープと外板のなす角度が直角に近い状態に貼り付けることができ、よって凝縮パイプから外板への放熱性能を向上させることができ、ひいては、凝縮温度を低くすることができるため、冷蔵庫の圧縮機運転における高低圧力差を従来よりも低く抑えることができるので、これにより圧縮機の低消費電力運転が実現可能となる。
【0035】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2におけるテープ貼付け用ローラー部の要部拡大図で、(a)はローラー部を上方向からみた図、(b)は横方向からみた図である。尚、図3において上記図1と同一または相当部分には同一符号を付し説明を省略する。6´は前ローラーであり、ローラー貼付け周面の軸方向両端部の直径がローラー貼付け周面の中央部直径より小となるような貼付け面が曲面をなす樽状のローラー形状となっている。尚、前記前ローラー6´の形状においては、ローラー貼付け周面の軸方向両端部の直径は、貼付け周面中央部直径の半分程度から中央部直径よりも若干小さい程度の範囲であり、貼付け周面中央と軸方向両端を結ぶ曲面のRは、テープ貼付けに支障のない範囲で任意に設定する。
【0036】
自動貼付け装置による貼付け動作などは上記実施の形態1に同様であり、本実施の形態においては前記前ローラー6´が上記実施の形態1と異なる。
【0037】
上記実施の形態1の円柱形状の貼付け周面が平坦な前ローラー6では、テープ貼付け工程において前ローラー6でテープ両端部の一部が外板4に貼付いてしまう可能性があるため、後ローラー7´でテープ5を外板4にさらに押付けて貼付ける工程を経ても、アルミなどの金属製テープ5ではテープが延びないため、一部中央部付近が外板4に貼付けられず少しテント状の貼付け状態になってしまう可能性がある。従って、本実施の形態のおける前記ローラー貼付け周面の軸方向両端部の直径がローラー貼付け周面の中央部直径より小となるような貼付け面が曲面をなす樽状の前ローラー6´を用いることにより、前ローラー6´の軸方向両端側が中央部よりも外板4に対して高い位置となるため、テープ5の両端部が外板4へ貼付いてしまうことを防ぐことができ、より確実に上記図2に示すような貼付け状態とすることができる。
【0038】
以上のように本実施の形態においては、テープ貼付け用の前ローラーをローラー貼付け周面の軸方向両端部の直径がローラー貼付け周面の中央部直径より小となるような貼付け面が曲面をなす樽状のローラー形状としたので、前記前ローラーの軸方向両端側が中央部よりも外板に対して高い位置となるため、テープの両端部が外板へ貼付いてしまうことを防ぐことができ、より確実に図2に示すような貼付け状態とすることができ、上記実施の形態1同様の効果が得られるものである。
【0039】
実施の形態3.
図4は本発明の実施の形態3におけるテープ貼付け用ローラー部の要部拡大図で、(a)はローラー部を上方向からみた図、(b)は横方向からみた図である。尚、図4において上記図1と同一または相当部分には同一符号を付し説明を省略する。
8は軸方向の一端に径大部を一体に設けた前ローラーであり、径大部の外径は径小部に対し凝縮パイプ3の外径を加えた寸法に略等しくなっている。
【0040】
自動貼付け装置による貼付け動作などは上記実施の形態1に同様であり、本実施の形態においては前記前ローラー8が上記実施の形態1、2と異なる。
【0041】
本実施の形態における前ローラー8を用いることにより、前ローラー8による貼付け工程において、図5の貼付け断面図に示すように、径小部が凝縮パイプ3に沿ってテープ5を貼付けるとともに、径大部が凝縮パイプ3の一方の側方に位置したテープ5を折り曲げて外板4に対しテープ5が直角に近い状態となるように貼付けを行い、そして、凝縮パイプ3の外径に相当する凹状の溝部が設けられた形状の後ローラー7´で、凝縮パイプ3の他方の側方に位置したテープ5を折り曲げて外板4に同様に貼付け工程を行う。これにより、テープは片側ずつの確実な貼付けが可能で、上記図2に示すような理想的な貼付け状態を実現できる。
【0042】
以上のように、本実施の形態においては、テープ貼付け用の前ローラーの一端に径大部を設けた形状としたので、まず凝縮パイプの半分をテープの片側で確実に外板とテープが直角に近い状態となるように貼付けをすることができ、そして、凹状の溝部が設けられた形状の後ローラーで、テープを外板にさらに押付けて貼付けを行うようにしたので、図2に示すような貼付け状態とすることができ、上記実施の形態1同様の効果が得られるものである。
【0043】
尚、上記実施の形態においては、図4に示すように前ローラーの一方の側にのみ径大部を設け、後ローラーには凹状の溝部を設けるようにしたが、後ローラーを前ローラーと同様な形状のものとして、前ローラーとは対称の位置、すなわち前ローラーとは凝縮パイプを挟んで反対側に径大部を設けたものとしてもよい。このようなローラーを有するものにおいても、対称形状の前ローラーと後ローラーで凝縮パイプの両側を交互にテープを貼り付ける工程を経ることにより、図2に示すような理想的なテープの貼付けが実現できる。
【0044】
また、上記実施の形態1〜3にそれぞれのローラー形状によるテープ貼付け固定方法について説明を行なったが、上記実施の形態1〜3のローラー形状を組合わせたテープ貼付け工程とするようにしてもよい。例えば実施の形態1〜3で示したローラー貼付け周面の一部にパイプ外径に相当する凹状の溝部を設けた形状のローラーを前後とも同一にして、貼付け工程を行うようにすることも可能である。また、例えばローラーを増加して、貼付けをさらに確実に行なうようにすることも可能である。
【0045】
また、本発明による上記実施の形態1〜3においては、一例として冷凍冷蔵庫の凝縮パイプのテープ貼付け固定方法について説明したが、凝縮パイプに限られるものではなく、例えば蒸発パイプの貼付けや、その他水や温水などを熱媒体とするパイプの貼付け方法にも適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る請求項1のパイプの固定方法は、外板の内面にパイプを配設し、接着剤が塗布された長尺状の金属製テープを該パイプの上から外板に貼付けて固定するようにしたものにおいて、前記パイプの表面に周面が平坦な前ローラーを前記金属製テープの上から押し付けて該テープを貼り付ける工程と、周面に前記パイプが挿入される凹状の溝部を有する後ローラーを金属製テープの上から押し付けて該凹溝により金属製テープをパイプの両側面に沿って折り曲げるとともにその周面により該テープを前記外板に貼り付ける工程とを具備したので、パイプを挟んでテープと外板のなす角度が直角に近い状態に貼り付けることができるため、パイプから外板への放熱性能が向上し、例えば冷凍冷蔵庫の凝縮パイプにおいては凝縮熱の放熱性能が向上することで、ひいては、冷凍サイクルにおける圧縮機の消費電力を低減することができる。
【0047】
また、請求項2のパイプの固定方法は、外板の内面にパイプを配設し、接着剤が塗布された長尺状の金属製テープを該パイプの上から外板に貼付けて固定するようにしたものにおいて、前ローラーを周面が樽状に形成されたローラーとしたので、テープ両端部の外板への貼付きを防ぐことができ、凹状の溝部を有する後ローラーで確実にパイプを挟んでテープと外板のなす角度が直角に近い状態に貼り付けることができるため、上記請求項1同様の効果が得られる。
【0048】
また、請求項3のパイプの固定方法は、外板の内面にパイプを配設し、接着剤が塗布された長尺状の金属製テープを該パイプの上から外板に貼付けて固定するようにしたものにおいて、前ローラーを一端にのみ径大部が形成されたローラーとし、該径大部によりパイプの一方の側方に位置したテープを折り曲げて外板に対しテープが直角に近い状態となるように貼付けを行い、凹状の溝部が設けられた形状の後ローラーでパイプの他方の側方に位置したテープを折り曲げて外板に同様に貼付けるようにしたので、片側ずつの確実な方法でテープと外板のなす角度が直角に近い状態に貼り付けることができるため、上記請求項1同様の効果が得られる。
【0049】
また、請求項4のパイプの固定方法は、パイプを挟んで前ローラーの径大部とは反対側の端部に位置して径大部を形成した後ローラーを用いて、前記前ローラーの径大部によりパイプの一方の側方に位置したテープを折り曲げて外板に対しテープが直角に近い状態となるように貼付けを行い、前記後ローラーの径大部によりパイプの他方の側方に位置したテープを折り曲げて外板に同様に貼付けるようにしたので、片側ずつのより確実な方法でテープと外板のなす角度が直角に近い状態に貼り付けることができるため、上記請求項1同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における貼付け用ローラー部の要部拡大図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係るテープ貼付け状態を示した断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態2における貼付け用ローラー部の要部拡大図である。
【図4】 本発明の実施の形態3における貼付け用ローラー部の要部拡大図である。
【図5】 本発明の実施の形態3に係る前ローラーによるテープ貼付け状態を示した断面図である。
【図6】 従来の冷凍冷蔵庫における本体外板に凝縮パイプを配設しテープで固定された状態を示した斜視図である。
【図7】 従来の自動テープ貼付け装置の概略構成を示した図である。
【図8】 従来のテープ貼付け用ローラー部の要部拡大図である。
【図9】 従来のテープ貼付け工程を示したフロチャートである。
【図10】 外板に凝縮パイプを配設しテープで貼付け固定された状態の一例を示した図である。
【図11】 従来のテープ貼付け用ローラーによるテープ貼付け状態を示した断面図である。
【符号の説明】
3 凝縮パイプ、 4 外板、 5 テープ、 6、6´、8 前ローラー、
7´ 後ローラー。
Claims (4)
- 冷蔵庫本体を構成する外板の内側に取り付けられた銅などの材質からなる金属パイプを前記外板に金属テープで貼り付け固定する装置であって、第1のローラーで前記金属テープを前記金属パイプに貼りつけて、第2のローラーで前記金属テープを前記外板に貼りつける際に、前記第1のローラーおよび前記第2のローラーとも天然ゴムなどの材質からなる柔軟性をもったローラーを使用し前記金属テープと前記金属パイプを密着させるとともに、前記金属テープを前記外板と前記第2のローラーを用いて略直角に貼付け、前記金属パイプの径および前記金属テープの間の貼付け断面の長さL2を略同等にし、且つ前記金属テープは長尺状であることを特徴とするパイプの固定装置。
- 前記第1のローラーの周面が樽状に形成されたことを特徴とする請求項1記載のパイプの固定装置。
- 前記第1のローラーの一端にのみ径大部が形成されたことを特徴とする請求項1記載のパイプの固定装置。
- 前記第1のローラーの一端にのみ径大部が形成され、且つ前記第1のローラーの反対側の端部に径大部を形成した前記第2のローラーを用いたことを特徴とする請求項1記載のパイプの固定装置。
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