JP4347947B2 - レーダー装置及び類似装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーダー装置、ソナー装置など、極座標形で受信される探知信号を一旦直交座標に変換して画像メモリに記憶した後、ラスター走査方式の表示器に表示する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
極座標形で受信される探知信号を直交座標に変換してラスター表示する装置においては、探知信号は幾何学上中心付近が密で周辺ほど粗となる。したがって、直交座標(X−Y座標)に座標変換する時、スイープ始点付近の画素になるほど、同一画素に対して多くの受信データが対応することになる。この場合、1つの画素に対して単に受信データを順次上書きするだけでは、常に、最後に書かれたデータのみがその画素のデータとなるために、より信号レベルの大きなデータが途中で受信された場合に、その情報が残らないという不都合を生じる。また、同じ物標からの受信信号であっても、受信信号は短時間で微妙に変動するために、アンテナ回転毎に映像の形が変化したり、同じ物標であっても中心付近に近づくにつれアンテナ回転毎に表示されたりされなかったりする不安定なものとなる。
【0003】
上記の不都合を解決するために、例えば、同一画素に対応するすべての受信データのうち、1番大きなデータを書き込む処理(以下、この処理をMAX処理とする。)が従来から実施されている。MAX処理については、例えば特公平3−11669号や特公平3−582号公報に示されている。この方法では、画像メモリに受信データを書き込む際に、同一画素に対しての初めてのアクセスを検出する回路(以下、この回路をFIRST回路という)を設け、FIRST回路がFIRSTを検出した場合には今回受信された新データを書き込み、そうでない場合(2度目以降の場合)には、すでに書き込まれているデータと今回受信された新データとの大小を比較し、大きい方のデータを再書き込みする。その結果、同一画素に対応するすべてのデータを常時参照するから安定したものとなり、最終的に最大値データが抽出されて記憶されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記MAX処理の場合には、受信信号は上書き処理の場合よりも確実に安定して表示されるが、海面反射、雨、ノイズなどの不要信号も強調表示され、また、近接した2つの物標が分離して表示できない場合があるという問題がある。
【0005】
そこで、同一画素に対応するすべての受信データのうち、1番小さなデータを書き込むMIN処理が考えられる。ところが、このMIN処理についても以下の不都合が生じる。
【0006】
すなわち、MIN処理においても、MAX処理と同様に同一画素に対応するすべての受信データを参照する処理であるから、処理結果は安定するという利点があり、また、海面反射、雨、ノイズなどの不要信号が強調表示されることはないために、MAX処理のような欠点は生じないが、画素の大きさよりも小さい映像が表示されなかったり、表示していた物標であっても中心付近に近づくと表示されなくなる欠点を備えている。このように、表示したい受信信号が表示されない可能性が非常に高くなるために、MIN処理単独での使用も不適当である。
【0007】
本発明の目的は、上記MAX処理やMIN処理の持つ表示の安定性という利点を取り入れつつ、それらの処理の欠点をなくすことのできるレーダー装置及び類似装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
図1は、この発明の構成を示す。なお、ここではレーダー装置を例示しているが、他のソナー装置など、極座標を直交座標に変換して表示する類似装置でも同様である。
【0009】
θn はアンテナ方向のスイープを示し、ここではこのスイープを先行スイープという。また、先行スイープの1つ前のスイープを後行スイープといい、θn-1 で表す。現在の先行スイープθn の方向が、次回の後行スイープθn-1 の方向となる。各スイープ上のサンプル点に対する処理はスイープライン方向に順番にRクロック毎に行われていく。同図において、FIRST検出部5は先行スイープθn 上の任意のサンプル点jがそのサンプル点jが対応する画像メモリ1上の画素に最初にアクセスするかどうかを検出する。この検出は、先行スイープθn 上のE点について注目すると、同じ先行スイープθn 上の上流側の隣接のサンプル点Dと後行スイープθn-1 上のA〜Cのサンプル点との対応画素に対してE点の対応画素が一致するかどうかで行う。一致しない場合はE点がFIRSTサンプル点と検出し、一致する場合はFIRSTサンプル点として検出しない。E点がFIRSTサンプル点かどうかを検出する場合、このD点及びA〜C点の4サンプル点とE点との対比判断を行うことが必要十分な条件となる。すなわち、E点がFIRSTサンプル点として検出される必要十分条件は、E点の対応画素がA〜D点の各対応画素のすべてと一致しない場合である。
【0010】
MAX処理部は、このFIRST検出部5とMAX抽出部6とで構成される。MAX抽出部6は、1スイープ分の各サンプル点における対応する画素での最大値データ(以下、MAXデータ)を求めてMAX抽出メモリ6aに記憶する。アンテナが先行スイープθn に切り替わると、この抽出メモリ6aには先行スイープθn の各サンプル点でのMAXデータが順次記憶されていき、それまでに記憶していた後行スイープθn-1 の各サンプル点のMAXデータが順次出力されていく。なお、各サンプル点でのMAXデータとは、そのサンプル点がFIRSTサンプル点の場合は該サンプル点の新たな受信データがMAXデータであり、また、FIRSTサンプル点でない場合には、該サンプル点の新たな受信データと、該サンプル点の対応画素と同じ対応画素を持つ他のサンプル点のMAX抽出メモリ6a上のデータとを比較して大きい方のデータがMAXデータとされる。
【0011】
MIN処理手段は、上記FIRST検出部5とMIN抽出部9とで構成される。MIN抽出部9はMIN抽出メモリ9aを備えている。MIN抽出部9は、先行スイープθn 上の各サンプル点における最小値データ(MINデータ)を求めてMIN抽出メモリ9aに記憶する。アンテナが先行スイープθn に切り替わると、この抽出メモリ9aには先行スイープθn の各サンプル点でのMINデータが順次記憶されていき、それまでに記憶していた後行スイープθn-1 の各サンプル点のMINデータが順次出力されていく。MIN抽出メモリ9aも1スイープ分の記憶容量を持つ。また、MIN抽出メモリ9aは、先行スイープθn 上のサンプル点がFIRSTサンプル点の場合には、該サンプル点の新たな受信データをMINデータとして記憶し、FIRSTサンプル点でない場合には、該サンプル点の新たな受信データと、該サンプル点の対応画素と同じ対応画素を持つ他のサンプル点のMIN抽出メモリ9a上のデータとを比較して小さい方のデータを選択して記憶する。
【0012】
上記MAX抽出部6で抽出された先行スイープθn 上の各サンプル点におけるMAXデータとMIN抽出部9で抽出された先行スイープθn 上の各サンプル点におけるMINデータとはそれらのデータの平均処理を行うMIX処理部8に入力する。平均処理は単純な平均処理であってもよく、MAXデータまたはMINデータに荷重をつけてもよい。このMIX処理部8では、各サンプル点毎に上記MAXデータとMINデータとの平均値を求め、この値を座標変換部4で指定される画像メモリ1上の対応の画素に書き込む。表示器7は、画像メモリ1に記憶されているレーダー画像を濃淡画像またはカラー画像で表示する。
【0013】
なお、図1において、E点はFIRSTサンプル点かどうかを検出する時に、A〜Dの合計4個の各サンプル点との対比が必要十分条件である。なぜなら、同一スイープ上では各サンプル点の対比が当然にスイープライン上流方向に行われるから、先行スイープθn 上では1つ後ろの近接サンプル点であるF点との対比を行う必要がなく、またD点よりもさらに上流方向のサンプル点との対比を行う必要がない。D点との対比でそれぞれの対応画素が一致していなければ当然にD点より上流のサンプル点の対応画素とも一致していないからである。また、後行スイープθn-1 上では、A点、C点のスイープライン上流方向、下流方向のサンプル点との対比を行う必要がない。C点の対応画素とE点の対応画素が一致していなければ、C点よりも下流方向のサンプル点とE点との対応画素が一致しないし、同様にE点とA点の各対応画素が一致していなければ、A点よりも上流側のサンプル点とE点の各対応画素も当然に一致しないからである。このように、E点については先行スイープθn 上の上流方向の隣接サンプル点であるD点と、後行スイープn-1 上のE点と同じサンプル位置のサンプル点B点及びその前後の2つのサンプル点であるA点とC点の合計4サンプル点が、E点がFIRSTサンプル点であるかどうかを検出する時の必要十分な比較サンプル点である。
【0014】
図1に示す構成では次のように動作する。
【0015】
今アンテナ方向がθn (先行スイープ)にあって、サンプル点がE点にあるとすると、FIRST検出部5は、先行スイープθn と後行スイープθn-1 のA〜Dの各サンプル点とE点のサンプル点との対比判断を行う。すなわち、各サンプル点の対応画素の一致判断を行う。E点のサンプル点の対応画素がA〜Dの各サンプル点の対応画素のすべてと一致しない場合には、このE点がFIRSTサンプル点である。FIRST検出部5においてE点がFIRSTサンプル点であることを検出すると、MAX抽出部6及びMIN抽出部9が、このE点での受信データをMAX抽出メモリ6a、MIN抽出メモリ9aにそれぞれそのまま書き込む。E点がFIRSTサンプル点でない場合には、E点の受信データと、A〜D点の中でE点の対応画素と同じ対応画素を持つ他のサンプル点(例えばA、B、D点)のMAX抽出メモリ6a上のデータとを比較して、大きい方のデータを選択してMAX抽出メモリ6aに再書き込みし、また、E点の受信データと、E点の対応画素と同じ対応画素を持つ他のサンプル点(例えばA、B、D点)のMIN抽出メモリ9a上のデータとを比較して、小さい方のデータを選択してMIN抽出メモリ9aに再書き込みする。このようにして、MAX抽出メモリ6a、MIN抽出メモリ9aには、先行スイープθn 上の各サンプル点のMAXデータ、MINデータが記憶される。
【0016】
MAX抽出メモリ6a、MIN抽出メモリ9aのデータはMIX処理部8に入力し、ここで先行スイープθn 上の各サンプル点の平均処理が行われる。平均処理の典型的な方法は、MAXデータとMINデータの単純平均をとる方法である。MIX処理部8でこの平均処理をしたデータがMIXデータとして画像メモリ1の所定の位置、すなわち座標変換部4で座標変換された画素の位置に記憶される。表示器7は、画像メモリ1に記憶されているレーダー画像を濃淡画像でまたはカラー画像でラスター表示する。
【0017】
上記MIX処理部8においては、MAXデータとMINデータとの平均処理を行うが、この処理は、同一画素に対応するすべての受信データを参照するMAX抽出部6及びMIN抽出部9の出力の平均処理であるために、この平均処理の結果は、MAX抽出部6のみを単独に用いた場合やMIN抽出部9を単独に用いた場合と同様に安定である。また、MAX抽出部6だけを用いた場合のように不要信号が強調表示されることもなく、また、MIN抽出部9だけを用いた場合のように表示したい受信信号が表示されなくなるという不都合も回避することができる。また、近接した2つの物標の間のスイープにおいて、データがない場合が1回でもあれば、2つの物標を分離して表示することができる。また、MAX抽出部6だけを用いた場合やMIN抽出部9だけを用いた場合には、処理結果の良否は入力信号のレベルに大きく依存することになり、状態によっては微妙なゲイン調整操作を行うことが必要になるが、MIX処理部8を設けることによって、信号レベルの大小にそれほど依存することなく、したがってゲイン調整操作を頻繁に行うことなく最適な表示を得られるようになる。
【0018】
なお、図1に示す構成において、MAX処理部をFIRST検出部5及びMAX抽出部6で構成し、MIN処理部をFIRST検出部5及びMIN抽出部9で構成したが、MAX処理部、MIN処理部共、これらの構成に限定されることはない。MAX処理部は、表示画面の各画素に対応する受信データの中から最大値、または精度を多少下げてもいいなら最大値付近の値をMAXデータとして求める機能を持てばよいし、MIN処理部は、表示画面の各画素に対応する受信データの中から最小値、または精度を多少下げてもいいなら最小値付近の値をMINデータとして求める機能を持てばよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
図2は本発明の実施形態であるレーダー装置の制御部のブロック図である。
【0020】
アンテナ10からの探知アナログ信号が、受信回路11、A/D変換器12でデジタル値に変換され、探知レンジに対応した周期の図示しないサンプル用クロックでサンプルされる。サンプルされた1スイープ分のデータは実時間で一次メモリ13に記憶される。この一次メモリ13は、サンプル速度が高速なために設けられるものであり、一旦、受信データを実時間で記憶し、その後、Rクロックで同一次メモリ13に記憶したデータを読み出して後段の画像メモリに書き込む。なお、画像メモリへの描画効率を向上させるため、二次メモリ14を設ける場合がある。二次メモリ14により、一次メモリへ受信データを記憶する間においても、二次メモリ14から読み出したデータを使用して連続して画像メモリに描画することができる。
【0021】
探知信号は極座標形で得られるが、画像メモリは直交座標形であるために、極座標から直交座標(X−Y座標)に変換するための座標変換回路15が設けられる。座標変換回路15は、例えば船首方向を基準とした、その時点のアンテナの角度θと、一次メモリ13(または二次メモリ14)の読み出し位置R(Rクロックで決められる)から、直交座標で配列された画像メモリの画素を示すアドレスを作成する。具体的には次式を実現するハードウェアにより構成される。
【0022】
X=Xs+R・sinθ
Y=Ys+R・cosθ
ただし、X、Y:直交座標
Xs、Ys:中心座標
R:中心からの距離
θ:変換座標の角度
FIRST検出回路16は、図1において説明したように、あるサンプル点が対応画素を初めてアクセスしたのか、2度目以降のアクセスであるのかを検出する回路であって、スイープ上のそのサンプル点の位置を表すRクロックと、先行スイープθn と、ラッチ回路22から得られる後行スイープθn-1 とに基づいて検出動作を行う。
【0023】
上記FIRST検出回路16の出力はMAX抽出回路17(図1のMAX抽出部6に対応)、及びMIN抽出回路18(図1のMIN抽出部9に対応)に入力する。MAX抽出回路17では、図1において説明したように、1スイープ分の容量を持つ各サンプル点でのMAXデータを記憶するMAX抽出メモリ100を持ち、毎サイクル毎に各サンプル点でのMAXデータを出力する。同様にMIN抽出回路18は、1スイープ分の容量を持つ各サンプル点でのMINデータを記憶するMIN抽出メモリ200を持ち、毎サイクル毎に各サンプル点でのMINデータを出力する。MIX処理回路19(図1のMIX処理部8に対応)は、MAX抽出回路17の出力とMIN抽出回路18の出力の平均値を求める。画像メモリ20(図1の画像メモリ1に対応)は、1画面分の表示用データを記憶し、これをラスター走査型の表示器であるCRT21(図1の表示器7に対応)に表示する。
【0024】
図3は、同一画素におけるFIRSTとそれ以外の関係を示す。図の画素Iにはサンプル点a、b、cが対応しているが、スイープ回転方向を図のように時計方向(右回り)とすると、a点がFIRSTサンプル点として検出され、b点及びc点が2度目以降のサンプル点として検出される。今、各サンプル点のデータの大きさが、仮にa=4、b=3、c=6とすると、アンテナがスイープラインθn-1 を向いている時にはa点がFIRSTとして検出された時、MAX抽出メモリ100のa点に対応する位置にはデータ4がまず記憶される。また、MIN抽出メモリ200のa点に対応する位置にもデータ4が記憶される。その1サイクル後には、b点が同じ画素への2度目以降のアクセスとして検出されるから、データ4とデータ3とが比較される。この比較の結果、データ4が大きいために、MAX抽出メモリ100のb点の対応位置にはデータ4が記憶され、MIN抽出メモリのb点の対応位置にはデータ3が記憶される。続いて、アンテナがスイープラインθn 上を向いた時には、c点のデータ6が比較される。MAX抽出メモリ100のa点とb点の位置にはデータ4が記憶されているために(MAX抽出メモリ100は1スイープ分の容量を持ち、c点のデータ6を比較するときには、b点のデータとa点のデータがシフト回路を経て出力される。このうちb点のデータとc点のデータが比較される。これについては後述する。)、b点のデータ4とc点のデータ6が比較され、4よりも6の方が大きいから、MAX抽出メモリのc点に対応する位置に6が記憶される。また、MIN抽出メモリ200のa点とb点の位置にはデータ3が記憶されており、この3の方が6よりも小さいから、MIN抽出メモリのc点の位置にもデータ3が記憶される。
【0025】
この結果、図2のMIX処理回路19では、
a点:(4+4)/2=4
b点:(4+3)/2=3.5
c点:(6+3)/2=4.5
となる。
【0026】
画像メモリ20の上記a〜c点の対応画素は同じであるから、同画素には、上記4と3.5と4.5とが順に上書き処理され、最終的には4.5が書き込まれる。
【0027】
図4は、MAX抽出回路17のブロック図を示している。MAX抽出メモリ100は、先行スイープθn 上の各サンプル点の最大値データを記憶する。図1のE点がFIRSTサンプル点であることを検出された場合には、無条件に一次メモリ13(図2参照)の出力である新データを記憶し、FIRSTサンプル点でない場合には、セレクタ104で選択されたデータと新データの大きい方を記憶する。比較器105は、セレクタ104で選択されたデータと一次メモリ13から出力される新データとを比較し、新データの方が大きければセレクタ106に1を出力する。セレクタ106は、比較器105の出力とFIRSTの論理和が1の時にセレクタ106のB端子を選択し、そうでない場合にはセレクタ104の出力が接続されているA端子を選択する。従って、図1のE点がFIRSTサンプル点であれば新データがセレクタ106によって選択され、抽出メモリ100に出力されるが、E点がFIRSTサンプル点でない場合には、比較器105によってセレクタ104の出力と新データとの比較が行われ、大きい方のデータがセレクタ106によって選択されて抽出メモリ100に出力される。セレクタ106の出力はラッチ107で1サイクル分遅延させることにより、ラッチ107の出力はD点で抽出メモリ100に書き込んだデータ(D点での最大値)を出力する。このラッチ107の出力はD点での最大値データとしてセレクタ104に入力する。
【0028】
MAX抽出メモリ100では、1サイクルの前半で読出を行い、後半でMAXデータの書込を行う。MAX抽出メモリ100の出力はラッチ101〜103でシフトされ、後行スイープθn-1 上のA点、B点、C点でのMAX値を出力する。これらの値はセレクタ104に入力される。
【0029】
セレクタ104は、A〜D点の各データのうち1番大きな値のデータを出力するものであって、E点がFIRSTでない場合のみ有効である。どのデータを出力するかは、プライオリティエンコーダ109で決定される。このプライオリティエンコーダ109は、セレクタ104の選択信号を発生させる機能を持つ。今、E点において、A〜Dのすべてが同一座標になると仮定すると、E点において、一次メモリ13からの新データと、A〜D点の合計5つのデータの中から最大値が決定される。従って、A〜D点のうち1番大きな値は、常に最後に決定されたデータである。決定する順番は、サンプル点の処理の順番であるA、B、C、Dの順番であるから、D点のデータが最後に決定されるデータである。従って、A〜D点のうち1番大きなデータはD点のデータとなる。このことは、比較器105において、新データと他の4つのデータをすべて比較する必要がないことを意味する。そこで、FIRST検出部16からの4つの一致データを、A、B、C、Dの順にプライオリティ(D点が1番のプライオリティを持つ)を持たせたプライオリティエンコーダ109によって、A〜D点のうちE点と同じ画素となる点の中で1番大きなデータを選択する信号をセレクタ104に与えることができる。なお、プライオリティエンコーダ109は、FIRSTでない時にのみ有効であって、FIRSTの時には無条件に新データが最大値として抽出メモリ100に書き込まれる
図5は、MIN抽出回路18の構成図を示す。構成において、図4に示すMAX抽出回路と相違する点は、比較器105が、A〜D点のデータの中の最も小さなデータと新データとを比較して、小さい方のデータを選択している点である。その他は同一である。
【0030】
図6は、MIX処理回路19の構成例である。この回路はMAX抽出回路とMIN抽出回路の出力を2進数で加算して下位方向に1ビットシフトする加算器300で構成される。この処理によって、MAXデータとMINデータとの加算値の1/2の値を得ることができる。
【0031】
図7以下は、上記の構成による効果を説明するための図である。
【0032】
今、同一画素に対応するサンプル点でのサンプルデータが「ある」場合を1、「ない」場合を0と表現すると、必ず1、または必ず0の場合には、MAX処理、MIN処理、MIX処理はどれも同じ結果となる。ところが、1と0が混合する場合は、従来の上書き処理を行うと最後に書いたデータにより決まるため1または0となり安定しない。MAX処理だけを行った場合には1となって安定するが、ゲインが大きい場合には不要信号が強調表示されて画像が見ずらくなってしまう。また、MIN処理だけの場合には0となって安定するが、0は表示されないことを意味し、ゲインが小さいと表示したい受信信号が表示されなくなる。しかしMIX処理を行う場合には0.5となって、ゲインが大きくても強調表示を和らげることができ、また表示したい受信信号が表示されなくなるということもなくなる。以上の説明は、データを1または0の場合を例としたが、受信レベルを複数段階の値で処理する場合にも同様である。
【0033】
図7(A)はゲイン小に設定された場合の信号受信状態の例を示し、同図(B)はゲイン大に設定された場合を示す。ハッチングは受信信号の存在を示し、ゲイン小の場合に比べてゲイン大の場合は方位方向に広がった信号となっている。なお、ここでは信号は「あり」「なし」の2値としている。また、スイープの方向は無数にあると仮定する(アンテナ回転速度が低い場合に相当している)。また、中心から等間隔にある距離(Rn、Rn+1、....)をサンプル点としている。従ってサンプル点は無数にあるが、図中○印はその画素を最後にアクセスするサンプル点を意味している。
【0034】
図8はMAX処理を行った場合の表示例を示している。図の網点で示す画素はすべて1を表示する画素である。MAX処理ではゲイン大に設定されると、受信信号が存在しなかった領域も強調表示されて画像は非常に見ずらくなる。
【0035】
図9はMIN処理をした場合の表示例である。この場合は、ゲイン小に設定されると表示したい受信信号が表示されない。
【0036】
図10は単に上書き処理を行った場合のある時点の表示例である。上書き処理の場合には表示画素がスイープ毎に1となったり0となったりして安定しない。
図11はMIX処理部を設けた場合の表示例である。同図で網点で示す画素は1を表示し、ハッチングで示す画素は0.5を表示する。この場合は、ゲイン小に設定されている場合でもゲイン大に設定されている場合でも表示が安定すると共に、ゲイン小の場合に表示したい受信信号が表示されなくということがなく、また、ゲイン大の場合にも受信信号が存在する部分としない部分のデータに差があるため受信信号を識別出来る。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、MAX処理とMIN処理は同一画素に対応するすべての受信データを参照する処理であるから、両者の結果の平均処理(MIX処理)の結果も安定である。したがって、従来の上書き処理のような不安定な表示画像とならない。
【0038】
また、MAX処理だけを行う場合には不要信号が強調表示され、またMIN処理だけを行う場合には表示したい受信信号が表示されなくなるが、本発明ではそのような不都合がない。
【0039】
また、近接した2つの物標の間においてデータがない場合が1回でもあれば、2つの物標が分離して表示できる可能性が高くなる。また、図8〜図10からわかるように、従来の処理方法では処理結果の良否は入力信号レベルや設定ゲインに依存することになるため、状態によっては微妙なゲイン調整操作を行うことが必要であるが、MIX処理を行う本発明で信号のレベルの大小や設定ゲインに従来ほどには依存することなく、したがってゲイン調整操作を頻繁に行わなくても最適な表示を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】FIRST検出部とMAX抽出部の動作説明図
【図2】本発明の実施形態であるレーダー装置の構成図
【図3】同一画素におけるFIRST、それ以外の関係を示す図
【図4】MAX抽出回路の構成図
【図5】MIN抽出回路の構成図
【図6】MIX処理回路の構成図
【図7】(A)(B)ゲイン小とゲイン大の場合の信号状態を示す図
【図8】(A)(B)MAX処理だけを行う場合のゲイン小、ゲイン大の場合の表示例
【図9】(A)(B)MIN処理だけを行う場合のゲイン小、ゲイン大の場合の表示例
【図10】(A)(B)上書き処理だけを行う場合のゲイン小、ゲイン大の場合の表示例
【図11】(A)(B)MIX処理を行う場合のゲイン小、ゲイン大の場合の表示例

Claims (3)

  1. 極座標形で受信される各サンプル点の受信データを極座標から表示画面上の直交座標に座標変換する座標変換手段と、
    各サンプル点に対応する表示画面の各画素における受信データの略最大値をMAXデータとして求めるMAX処理手段と、
    各サンプル点に対応する表示画面の各画素における受信データの略最小値をMINデータとして求めるMIN処理手段と、
    MAXデータとMINデータとの加算値の1/2の値を表示画面の各画素のMIXデータとして求めるMIX処理手段と、
    MIXデータを画素データとして記憶する画像メモリと、を備えてなるレーダー装置及び極座標形で受信される受信データを直交座標に変換してラスター表示する類似装置。
  2. 前記MAX処理手段は、下記(1)〜(3)で構成され、前記MIN処理手段は下記(1)、(4)、(5)で構成される、請求項1記載のレーダー装置及び類似装置。
    (1)先行スイープθn 上の任意のサンプル点jと、先行スイープθn 上および後行スイープθn-1 上の複数の近接サンプル点との各対応画素の一致判断を行い、サンプル点jの対応画素が他のサンプル点の各対応画素の全てと一致しない場合に、該サンプル点jをFIRSTサンプル点として検出するFIRST検出手段
    (2)1スイープ分の各サンプル点における最大値データを記憶する最大値抽出メモリ
    (3)先行スイープθn 上の任意のサンプル点jがFIRSTサンプル点の場合は該サンプル点の受信データを書き込み、FIRSTサンプル点でない場合は、該サンプル点の対応画素と同じ対応画素を持つ他のサンプル点の最大値抽出メモリ上のデータと該サンプル点の受信データとを比較して大きい方のデータを選択して最大値抽出メモリに書込むことにより、最大値抽出メモリ上の各サンプル点のデータをMAXデータとするMAX抽出手段
    (4)1スイープ分の各サンプル点における最小値データを記憶する最小値抽出メモリ
    (5)先行スイープθn 上の任意のサンプル点jがFIRSTサンプル点の場合は該サンプル点の受信データを書き込み、FIRSTサンプル点でない場合は、該サンプル点の対応画素と同じ対応画素を持つ他のサンプル点の最小値抽出メモリ上のデータと該サンプル点の受信データとを比較して小さい方のデータを選択して最小値抽出メモリに書込むことにより、最小値抽出メモリ上の各サンプル点のデータをMINデータとするMIN抽出手段
  3. 先行スイープθn および後行スイープθn-1 上の複数の近接サンプル点は次の4つのサンプル点である、請求項2記載のレーダー装置及び類似装置。
    (1)任意のサンプル点jの前方(スイープライン上流方向)の隣接サンプル点
    (2)スイープ始点からの距離が、サンプル点jと同じ距離となる後行スイープθn-1 上のサンプル点
    (3)上記(2)のサンプル点の前後の2つのサンプル点
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