JP4346079B2 - 天然塩製造装置、およびそれを使用した天然塩の製造方法 - Google Patents
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Description
従来より製塩工場において大量生産されてきた人工調味料としての食塩は、海から汲み上げられた海水をイオン交換膜法によって濃縮し、その濃縮済み鹹水を複数の密閉釜中で強く攪拌しながら順次、減圧および加熱する真空式製塩法により、最終的に微少サイコロ状の結晶を析出させるという製塩方法によって製造されているが、イオン交換膜法による膜透析によって得られた鹹水は、その製造方法の故に塩化ナトリウムの純度が高く、ミネラル成分に乏しいという問題を抱えていたが、大量生産による市場価格の安定化のために国策として塩専売法による統制が戦後以来永らく続き、最近まで消費者には選択の余地がなかった。
こうした市場ニーズに答える為に、例えば特開2003−212537号公報に開示された、海水を高圧逆浸透法により水を分離することにより濃縮し、この濃縮された鹹水を、カルシウム濃度1重量パーセント以下、マグネシウム濃度が2重量パーセント以上の塩化ナトリウム含有の苦汁に加えて、蒸発濃縮して、鹹水中のカルシウムおよび塩化ナトリウムを析出分離し、この析出した結晶を含む溶液を遠心脱水して水分を含有する塩を製造する「海水からの塩の製造方法および装置」太田発明や、また、特開2002−80219号公報の、強制通風される濃縮塔内に、加熱された塩水を散水することにより、ミネラル成分を減少させることなく、塩水を効率よく濃縮可能とする「製塩装置」三山発明等が既に開発されている。
この発明は、以上のように従来までの製塩技術によって海水または鹹水を加熱濃縮し、脱水析出させることにより、ミネラル成分等を豊富に含む天然塩を製造することは十分に可能となっていたが、古くから行われてきた伝統的な塩田法による天然塩と同等もしくはそれ以上の結晶の形状およびその大きさを、実現することは不可能なものとされ、塩田によって得られた自然塩特有の旨味や食感を再現し、あるいはそれを越える風味を実現することができず、昔ながらの天然塩の食感や味わいを求める高齢者や、調味の質に拘る人々、ならびに高級食材を求める食品業界等からの高まる要請に十分に応え、品質に秀れた天然塩を提供することができなかったというのが実情であった。
そこで、この発明は、伝統的な塩田法によって生成された塩と同等か、それ以上に豊富なミネラル成分を含有し、しかも結晶粒の大きさや形状、およびその食感や味わいまでを塩田法による塩に勝るとも劣らない天然塩を、効率的に製造することはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の天然塩製造装置、およびそれを使用した新規な天然塩の製造方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明に包含される天然塩製造装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、海水または鹹水を略均質に散水し得る散布管の直下には、蒸発ドラムを一段か上下複数段とするかして水平状に横設すると共に、その下に回収槽を設置し、該回収槽に蓄えた海水または鹹水は順次前記散布管に戻されて循環するようにした予備濃縮設備と、該予備濃縮設備に近接すると共に、衛生管理されるようにした特定施設内において、前記予備濃縮設備で濃縮済の鹹水の所定量を収容可能とし、その底面全面には隔絶した加熱空間部が形成されてなる天面開放型の天然塩析出槽を一台ないし複数台並列配置するようにした天然塩精製設備とを有し、ボイラの蒸気または熱湯の供給管路を、それら天然塩精製設備の天然塩析出槽加熱空間部で所定温度の高温放熱用となるよう配管すると共に、その余熱利用用に、特定施設外に近接、設置してある少なくとも蒸発ドラムを経由するよう引導、連続配管してなるものとした構成を要旨とする天然塩製造装置である。
上記した天然塩製造装置に関連し、この発明には、それを使用した天然塩の製造方法も包含している。
即ち、清浄な沖合から汲み上げた海水を、予備濃縮設備散布管の散布可能幅全幅に渡って略均質に散布し、直下に横設され、ボイラからの熱を帯びた蒸発ドラム外周面を伝って膜状に落下させ、回収槽に貯溜する過程で海水または鹹水中の水分を次第に蒸発させ、該回収槽の貯留部分に蓄えられた海水または鹹水を、順次前記散布管に戻して循環、蒸発させる予備濃縮工程を行った後に、該予備濃縮工程で10ないし15パーセント程度までに濃縮済みの鹹水の所定量を、天然塩精製設備の天然塩析出槽中に移動して、前記予備濃縮工程よりも高温となる所定温度に加熱、維持しながら蒸発を進行させ、天然塩を静かに沈殿、析出させる天然塩精製工程を行うものとした構成を要旨とする、この発明の基本をなす天然塩製造装置を使用した天然塩の製造方法である。
予備濃縮設備は、天然塩精製設備による天然塩の析出、精製に先立って行う予備濃縮工程を、効率的に行うものであり、海水または鹹水を薄膜化するよう散布すると共に比較的弱い加熱を行って連続的な流動と蒸発とを可能とし、最終的に10ないし15パーセント程度まで次第に海水または鹹水濃度を高めて行くという機能を果たすものであり、散水可能幅全幅に渡って海水または鹹水を略均質に散布可能な散布管と、その直下に水平状に横設され、散布された海水または鹹水が外周面を伝って膜状に落下するものとした蒸発ドラムとを有するものとしなければならず、複数の蒸発ドラムを上下複数段に配して落下の過程で所望の濃度まで海水または鹹水を濃縮処理可能とするか、または、一段もしくは二、三段程度の蒸発ドラムを設け、その下方に配した回収槽に蓄えた海水または鹹水を、再度散布管に供給し、循環させることにより、蒸発ドラム外周面に石膏等の不要物を析出させながら、所望する濃度の鹹水を製造可能とするもの等とすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
残留塩回収装置部7は、天然塩析出槽6内で析出した天然塩Sを収容可能な容量を有し、底面適所に、天然塩Sから自然に滴る海水母液S2を、分離可能とする海水母液排出口72を形成した分離用容器71を有し、該分離用容器71から分離された海水母液S2を回収する回収容器73と、該回収容器73中の海水母液S2を受けてコンロ等による直火加熱による加熱、濃縮を可能とする加熱容器74とを設けたものとなっており、作業性を考慮すれば、特定施設である製塩工場屋内の天然塩精製設備5付近に併設するのが望ましいが、製塩工場屋外の何れの場所にも良好な作業性を確保できる所に設置することが可能である。
以上のとおりの構成からなるこの発明の天然塩製造装置は、この発明に包含される天然塩の製造方法に好適に使用することができるものであり、以下ではこの発明の天然塩の製造装置の利用を、この発明の天然塩の製造方法に従って順次示すこととする。
タンクおよびポンプを搭載した船舶で清浄な沖合まで行き、所定量の海水を汲み上げて来るか、もしくは、天然塩製造装置が設置された製塩工場から清浄な沖合までの海底に給水パイプを敷設し、海岸付近に設置された図示しないポンプによって清浄な海水を汲み上げるかして、図1中の天然塩製造装置のタンク11中に、3.4ないし3.5パーセント前後程度の海水を約2,000リットル程度貯溜すると、タンク11の設置高さによる貯溜海水の位置エネルギーと、大気圧差とにより、図2中に示すように、散布管2の各散水孔21,21,……から海水まが、自動的且つ均等に噴出されることとなる。
散布管2による散水の開始と略同時に、ボイラ8の供給管路81から、図1中に白抜き矢印で示すように、天然塩精製設備5加熱空間部61の蒸気管62を通じて上段の蒸発ドラム3に、余熱利用程度となる蒸気または熱湯を供給することにより、順路を追うように上段蒸発ドラム3、下段蒸発ドラム3および加熱管42の夫々が、次第に低温の加熱状態となるよう加熱され、予備濃縮工程が開始されることとなる。
なお、加熱管42の末端側から排出された、余熱利用済みの湯は、図1中の白抜き矢印に示されるように、ボイラ8の給水管路82に直接戻されるか、あるいは図示しない予備貯溜槽を介在させて間接的に戻されかして再加熱され、循環利用されることとなる。
十分に結晶が析出した天然塩Sは、図7中に示すように、天然塩精製設備5付近に併設された残留塩回収装置部7の分離用容器71に、網状または笊状のショベルを用いる等して移動することにより、苦汁天然塩精製工程を開始することが可能であり、分離用容器71に投入された天然塩Sからは、ミネラル成分を豊富に含む海水母液S2が排出され、分離用容器71の海水母液排出口72下に配した回収容器73に回収した後に、同図中に斜線矢印で示すように、加熱容器74に移動してコンロ等による直火加熱を行い、十分に濃縮させる。
以上のような構成からなる実施例の天然塩製造装置は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、予備濃縮設備1のタンク11を所定の高さに設置し、その落差を利用して散布管2から海水または鹹水を散布可能とするようにしたことにより、タンク11の設置高さを調節することにより、最適な海水または鹹水散布圧力に設定することが可能となり、微妙な散布量を調節可能とした散布用ポンプ等を設置する必要がなく、該散布管2周壁面の真上に複数の散水孔21,21,……を形成したものとすることによって散布管2基端側から先端側へ向けて低下してしまう海水または鹹水の供給圧力を、略全長に渡り、一定にすることが可能となり、結果として直下に配設された蒸発ドラム3,3の外周面には、略全長に渡って海水または鹹水が均質な膜状を形成するよう供給され、効率的な蒸発を得るものとなる。
叙述の如く、この発明の天然塩製造装置、およびそれを使用した天然塩の製造方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、比較的簡潔な構造の天然塩製造装置は組み立ておよび設置が容易で、従前からの比較的大掛かりな製塩装置等に比較して遥かに経済的なものとすることができる上、天然塩を効率的に生産することができるものであり、しかも当該製造方法を経て精製された天然塩は、ミネラル成分が豊富であり、結晶が大きく、形状が複雑で表面積も広いので調味の際にも水等に速やかに溶け込み、調理用にも最適で、一粒毎の体積が大きいので通常の食卓塩に比較して振りかけ過ぎを防いで、減塩を可能とすることができ、特有のサクサクとした食感や深い風味をもつものとなるので、健康的な食生活や、食事に豊かな味わいを求める人々に大いに歓迎されるものとなり、このような市場ニーズに答えようとする製塩業界および食品販売業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
11 同 タンク
12 同 循環用ポンプ
2 散布管
21 同 散水孔
3 蒸発ドラム
4 回収槽
41 同 流出口
42 同 加熱管
43 同 貯溜槽(貯留部分)
5 天然塩精製設備
6 天然塩析出槽
61 同 加熱空間部
62 同 蒸気管
63 同 蒸気噴出孔
7 残留塩回収装置部
71 同 分離用容器
72 同 海水母液排出口
73 同 回収容器
74 同 加熱容器
8 ボイラ
81 同 供給管路
82 同 給水管路
S 天然塩
S1 同 鹹水
S2 同 海水母液
Claims (12)
- 海水または鹹水を略均質に散水し得る散布管の直下には、蒸発ドラムを一段か上下複数段とするかして水平状に横設すると共に、その下に回収槽を設置し、該回収槽に蓄えた海水または鹹水は順次前記散布管に戻されて循環するようにした予備濃縮設備と、該予備濃縮設備に近接すると共に、衛生管理されるようにした特定施設内において、前記予備濃縮設備で濃縮済の鹹水の所定量を収容可能とし、その底面全面には隔絶した加熱空間部が形成されてなる天面開放型の天然塩析出槽を一台ないし複数台並列配置するようにした天然塩精製設備とを有し、ボイラの蒸気または熱湯の供給管路を、それら天然塩精製設備の天然塩析出槽加熱空間部で所定温度の高温放熱用となるよう配管すると共に、その余熱利用用に、特定施設外に近接、設置してある少なくとも蒸発ドラムを経由するよう引導、連続配管してなるものとしたことを特徴とする天然塩製造装置。
- 散水可能幅全幅に渡って海水または鹹水を略均質に散水するようにした散布管の直下には、当該散水可能幅を充足するに足る全長、配置具合とした蒸発ドラムを一段か上下複数段とするかして水平状に横設すると共に、その下に当該蒸発ドラム外周面を伝って膜状に落下する海水または鹹水が貯留可能となる大きさ、配置具合とした回収槽を設置し、該回収槽に蓄えた海水または鹹水は順次前記散布管に戻されて循環するようにした予備濃縮設備と、該予備濃縮設備に近接すると共に、衛生管理されるようにした特定施設内において、前記予備濃縮設備で10ないし15パーセントまでに濃縮済の鹹水の所定量を収容可能とし、その底面全面には隔絶した加熱空間部が形成されてなる天面開放型の天然塩析出槽を一台ないし複数台並列配置するようにした天然塩精製設備とを有し、ボイラの蒸気または熱湯の供給管路を、それら天然塩精製設備の天然塩析出槽加熱空間部で所定温度の高温放熱用となるよう配管すると共に、その余熱利用用に、特定施設外に近接、設置してある少なくとも蒸発ドラムを経由するよう引導、連続配管してなるものとしたことを特徴とする天然塩製造装置。
- 所定量の海水または鹹水を所定高さ位置に貯溜可能とするタンクを設け、同タンクの底部付近に接続され、散水可能幅全幅に渡って海水または鹹水を略均質に散水するようにした散布管の直下には、当該散水可能幅を充足するに足る全長、配置具合とした蒸発ドラムを一段か上下複数段とするかして水平状に横設すると共に、その下に当該蒸発ドラム外周面を伝って膜状に落下する海水または鹹水が貯留可能となる大きさ、配置具合であって貯留された液面に接するか、もしくは一部または全部を没するよう加熱管を平面蛇行状に配した回収槽を設置し、該回収槽の貯留部分に蓄えられた海水または鹹水を、前記タンクに循環供給可能とする循環用ポンプを設け、回収槽に蓄えた海水または鹹水が順次前記タンクに戻されて循環するようにした予備濃縮設備と、該予備濃縮設備に近接すると共に、衛生管理されるようにした特定施設内において、前記予備濃縮設備で10ないし15パーセントまでに濃縮済の鹹水の所定量を収容可能とし、その底面全面には隔絶した加熱空間部が形成されてなる天面開放型の天然塩析出槽を一台ないし複数台並列配置するようにした天然塩精製設備とを有し、ボイラの蒸気または熱湯の供給管路を、それら天然塩精製設備の天然塩析出槽加熱空間部で所定温度の高温放熱用となるよう配管すると共に、その余熱利用用に、特定施設外に近接、設置してある少なくとも蒸発ドラムを経由するよう引導、連続配管してなるものとしたことを特徴とする天然塩製造装置。
- 所定量の海水または鹹水を所定高さ位置に貯溜可能とするタンクを設け、同タンクの底部付近に接続され、散水可能幅全幅に渡って海水または鹹水を略均質に散水するようにした散布管の直下には、当該散水可能幅を充足するに足る全長、配置具合とした蒸発ドラムを一段か上下複数段とするかして水平状に横設すると共に、その下に当該蒸発ドラム外周面を伝って膜状に落下する海水または鹹水が貯留可能となる大きさ、配置具合であって貯留された液面に接するか、もしくは一部または全部を没するよう加熱管を平面蛇行状に配した回収槽を設置し、該回収槽の貯留部分に蓄えられた海水または鹹水を、前記タンクに循環供給可能とする循環用ポンプを設け、回収槽に蓄えた海水または鹹水が順次前記タンクに戻されて循環するようにした予備濃縮設備と、該予備濃縮設備に近接すると共に、衛生管理されるようにした特定施設内において、前記予備濃縮設備で10ないし15パーセントまでに濃縮済の鹹水の所定量を収容可能とし、その底面全面には隔絶した加熱空間部が形成されてなる天面開放型の天然塩析出槽を一台ないし複数台並列配置するようにした天然塩精製設備とを有し、ボイラの蒸気または熱湯の供給管路を、それら天然塩精製設備の天然塩析出槽加熱空間部で所定温度の高温放熱用となるよう配管すると共に、その余熱利用用に、特定施設外に近接、設置してある蒸発ドラムおよび加熱管を経由するよう引導、連続配管してなるものとしたことにより、ボイラからの蒸気または熱湯を、天然塩析出槽の加熱空間部、蒸発ドラムおよび加熱管に順次、通過させ、各段階で海水または鹹水液、海水母液を加熱可能とするよう構成したことを特徴とする天然塩製造装置。
- 散水可能幅全幅に渡って海水または鹹水を略均質に散水するようにした散布管の直下には、当該散水可能幅を充足するに足る全長、配置具合とした蒸発ドラムを一段か上下複数段とするかして水平状に横設すると共に、その下に当該蒸発ドラム外周面を伝って膜状に落下する海水または鹹水が貯留可能となる大きさ、配置具合とした回収槽を設置し、該回収槽に蓄えた海水または鹹水は順次前記散布管に戻されて循環するようにした予備濃縮設備と、該予備濃縮設備に近接すると共に、衛生管理されるようにした特定施設内において、前記予備濃縮設備で10ないし15パーセントまでに濃縮済の鹹水の所定量を収容可能とし、その底面全面には隔絶した加熱空間部が形成されてなる天面開放型の天然塩析出槽を一台ないし複数台並列配置するようにした天然塩精製設備とを有し、ボイラの蒸気または熱湯の供給管路を、それら天然塩精製設備の天然塩析出槽加熱空間部で所定温度の高温放熱用となるよう配管すると共に、その余熱利用用として、特定施設外に近接、設置してある少なくとも蒸発ドラムを経由するよう引導、連続配管したものとする一方、天然塩精製設備に附随し、該天然塩精製設備の天然塩析出槽から残留する海水母液の収容、煮沸用とする残留塩回収装置部を併設してなるものとしたことを特徴とする天然塩製造装置。
- 所定量の海水または鹹水を所定高さ位置に貯溜可能とするタンクを設け、同タンクの底部付近に接続され、散水可能幅全幅に渡って海水または鹹水を略均質に散水するようにした散布管の直下には、当該散水可能幅を充足するに足る全長、配置具合とした蒸発ドラムを一段か上下複数段とするかして水平状に横設すると共に、その下に当該蒸発ドラム外周面を伝って膜状に落下する海水または鹹水が貯留可能となる大きさ、配置具合であって貯留された液面に接するか、もしくは一部または全部を没するよう加熱管を平面蛇行状に配した回収槽を設置し、該回収槽の貯留部分に蓄えられた海水または鹹水を、前記タンクに循環供給可能とする循環用ポンプを設け、回収槽に蓄えた海水または鹹水が順次前記タンクに戻されて循環するようにした予備濃縮設備と、該予備濃縮設備に近接すると共に、衛生管理されるようにした特定施設内において、前記予備濃縮設備で10ないし15パーセントまでに濃縮済の鹹水の所定量を収容可能とし、その底面全面には隔絶した加熱空間部が形成されてなる天面開放型の天然塩析出槽を一台ないし複数台並列配置するようにした天然塩精製設備とを有し、ボイラの蒸気または熱湯の供給管路を、それら天然塩精製設備の天然塩析出槽加熱空間部で所定温度の高温放熱用となるよう配管すると共に、その余熱利用用に、特定施設外に近接、設置してある少なくとも蒸発ドラムを経由するよう引導、連続配管したものとすることにより、ボイラからの蒸気または熱湯を、天然塩析出槽の加熱空間部に供給、通過させて鹹水または天然塩析出槽中の海水母液温を、摂氏80度の一定温度に加熱可能とし、続いて蒸発ドラムに接した海水または鹹水を摂氏60ないし40度に、続いて加熱管に接した海水または鹹水を摂氏40度以下の温度に夫々加熱可能とするよう構成したことを特徴とする天然塩製造装置。
- 所定量の海水または鹹水を所定高さ位置に貯溜可能とするタンクを設け、同タンクの底部付近に接続され、散水可能幅全幅に渡って海水または鹹水を略均質に散水するようにした散布管の直下には、当該散水可能幅を充足するに足る全長、配置具合とした蒸発ドラムを一段か上下複数段とするかして水平状に横設すると共に、その下に当該蒸発ドラム外周面を伝って膜状に落下する海水または鹹水が貯留可能となる大きさ、配置具合であって貯留された液面に接するか、もしくは一部または全部を没するよう加熱管を平面蛇行状に配した回収槽を設置し、該回収槽の貯留部分に蓄えられた海水または鹹水を、前記タンクに循環供給可能とする循環用ポンプを設け、回収槽に蓄えた海水または鹹水が順次前記タンクに戻されて循環するようにした予備濃縮設備と、該予備濃縮設備に近接すると共に、衛生管理されるようにした特定施設内において、前記予備濃縮設備で10ないし15パーセントまでに濃縮済の鹹水の所定量を収容可能とし、その底面全面には隔絶した加熱空間部が形成されてなる天面開放型の天然塩析出槽を一台ないし複数台並列配置するようにした天然塩精製設備とを有し、ボイラの蒸気または熱湯の供給管路を、それら天然塩精製設備の天然塩析出槽加熱空間部で所定温度の高温放熱用となるよう配管すると共に、その余熱利用用に、特定施設外に近接、設置してある少なくとも蒸発ドラムを経由するよう引導、連続配管し、同配管の末端側をボイラの吸水管路に接続して閉じた循環型の管路を形成したものとすることにより、ボイラからの蒸気または熱湯を、天然塩析出槽の加熱空間部に供給、通過させて鹹水または天然塩析出槽中の海水母液温を、摂氏80度の略一定温度に加熱可能とし、続いて蒸発ドラムに接した海水または鹹水を摂氏60ないし40度に、加熱管に接した海水または鹹水を摂氏40度以下の温度に夫々加熱可能とすると共に、加熱管を通過して冷めた蒸気または熱湯は、再びボイラに供給して加温され、再加熱して循環、利用可能とするよう構成したことを特徴とする天然塩製造装置。
- 予備濃縮設備の散布管は、真上または殆ど真上方向への散水可能な散水孔が形成されてなるものとした、請求項1ないし7何れか一項記載の天然塩製造装置。
- 天然塩精製設備の天然塩析出槽加熱空間部は、その内部空間中に、一端をボイラからの供給管路に接続し、蒸気または熱湯の通過速度を高めるよう、該ボイラ側の供給管路よりも縮径された流路内径に設定すると共に、管路略全長に渡る外周壁面上側に沿って略均等配置となる複数の蒸気噴出孔を穿孔してなる蒸気管を設けたものとしてなる、請求項1ないし8何れか一項記載の天然塩製造装置。
- 清浄な沖合から汲み上げた海水を、予備濃縮設備散布管の散布可能幅全幅に渡って略均質に散布し、直下に横設され、ボイラからの熱を帯びた蒸発ドラム外周面を伝って膜状に落下させ、回収槽に貯溜する過程で海水または鹹水中の水分を次第に蒸発させ、該回収槽の貯留部分に蓄えられた海水または鹹水を、順次前記散布管に戻して循環、蒸発させる予備濃縮工程を行った後に、該予備濃縮工程で10ないし15パーセントまでに濃縮済みの鹹水の所定量を天然塩精製設備の天然塩析出槽中に移動し、前記予備濃縮工程よりも高温となる所定温度に加熱、維持しながら蒸発を進行させ、天然塩を静かに沈殿、析出させる天然塩精製工程を行うものとした、請求項1ないし9何れか一項記載の天然塩製造装置を使用した天然塩の製造方法。
- 清浄な沖合から汲み上げた海水を、予備濃縮設備散布管の散布可能幅全幅に渡って略均質に散布し、直下に横設され、ボイラからの熱を帯びた蒸発ドラム外周面を伝って膜状に落下させ、回収槽に貯溜する過程で摂氏60度ないし40度に加熱して水分を次第に蒸発させ、該回収槽の貯留部分に蓄えられた海水または鹹水を、順次前記散布管に戻して循環、蒸発させる予備濃縮工程を行った後に、該予備濃縮工程で10ないし15パーセントまでに濃縮済みの鹹水の所定量を天然塩精製設備の天然塩析出槽中に移動し、摂氏77度ないし83度の範囲に加熱、維持しながら蒸発を進行させ、天然塩を静かに沈殿、析出させる天然塩精製工程を行うものとした、請求項1ないし9何れか一項記載の天然塩製造装置を使用した天然塩の製造方法。
- 清浄な沖合から汲み上げた海水を、予備濃縮設備散布管の散布可能幅全幅に渡って略均質に散布し、直下に横設され、ボイラからの熱を帯びた蒸発ドラム外周面を伝って膜状に落下させ、回収槽に貯溜する過程で海水または鹹水中の水分を次第に蒸発させ、該回収槽の貯留部分に蓄えられた海水または鹹水を、順次前記散布管に戻して循環、蒸発させる予備濃縮工程を行い、該予備濃縮工程で10ないし15パーセントまでに濃縮済みの鹹水の所定量を、天然塩精製設備の天然塩析出槽中に移動して、前記予備濃縮工程よりも高温となる所定温度に加熱、維持して蒸発を進行させ、天然塩を静かに沈殿、析出させる天然塩精製工程を行った後に、天然塩精製設備の天然塩析出槽から残留する海水母液を、残留塩回収装置部に移して煮沸、濃縮し、次回もしくはそれ以降に行う新たな天然塩精製工程の初期段階における天然塩析出槽の濃縮済みの鹹水中に投入、均質化して25パーセントまで濃度を高めてから、摂氏77度ないし83度の範囲に加熱、維持して次第に蒸発させ、天然塩を静かに沈殿、析出させる苦汁天然塩精製工程を行うものとした、請求項1ないし9何れか一項記載の天然塩製造装置を使用した天然塩の製造方法。
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