JP4345360B2 - 4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類のシス/トランス異性体混合物の分離方法 - Google Patents

4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類のシス/トランス異性体混合物の分離方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類のシス/トランス異性体混合物の分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類は、有用な医薬、農薬等の中間体として知られている。
【0003】
原料である4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類の製造方法としては、例えば、p−アミノ安息香酸エチルを酸化白金触媒又は酸化ルテニウム触媒存在下、核水素化して4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチルを得る方法が知られている(非特許文献1、2参照)。
【0004】
このようにして得られる4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチルは、通常シス/トランス異性体の混合物であり、医薬、農薬等の用途にはトランス異性体が必要とされるため、シス/トランス異性体の混合物から目的とするトランス異性体を分離する必要がある。
【0005】
しかしながら、これらの方法では、シス異性体が優先的に生成するため目的とするトランス異性体を製造するには経済面での問題があり、しかも、これらの立体異性体は、沸点差が小さいため蒸留による分離が困難である。
【0006】
また、トランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチルの製造方法として、(i)p−アミノ安息香酸ナトリウム塩をニッケル/レニウム触媒存在下、核水素化後、塩酸を用いて酸性化し、(ii)得られた塩酸塩を直接エチルエステル化後、トランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチル塩酸塩を得、アンモニア中和して目的物を得る方法が知られている(非特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、上記トランス異性体の製造方法では、シス/トランス異性体混合物からトランス異性体を分離するまでの工程数が多く、しかもこれらの各工程は煩雑な操作を必要とする等の問題があり、工業的に有利な方法とは言えないのが現状である。
【0008】
【非特許文献1】
“ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)”, 1960年, 第55巻, 19826i
【非特許文献2】
“ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)”, 1962年, 第27巻, p.3568−3572
【非特許文献3】
“イズベスチャ・アカデミー・ナウク・SSSR・セリヤ・キミケスカヤ(Izvestiya Akademii Nauk SSSR Seriya Khimicheskaya)”, 1977年, 第1号,p.195−197
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類のシス/トランス異性体混合物からトランス異性体を工業的に有利に高純度でしかも高収率で分離する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討の結果、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類のシス/トランス異性体混合物をラクタム化反応に供することにより、高純度のトランス異性体を容易に分離できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、以下の4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類のシス/トランス異性体混合物のトランス異性体を分離する方法を提供するものである。
【0012】
項1 一般式(1)
Figure 0004345360
[式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又は炭素数4〜10の飽和環状アルキル基を表す。]
で表わされる4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類のシス/トランス異性体混合物をラクタム化反応して、次いでトランス異性体を分離する方法。
【0013】
項2 ラクタム化反応を温度130〜250℃に加熱して行うことを特徴とする上記項1に記載の方法。
【0014】
項3 4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類がトランス異性体含量50重量%以上の4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類である上記項1又は2に記載の方法。
【0015】
項4 (i)p−アミノ安息香酸アルキルエステル類を有機溶媒中、核水素化触媒存在下、反応温度130〜220℃、水素分圧0.5〜20MPaで核水素化してトランス異性体含量が50重量%以上の4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類を得る工程、及び(ii)該4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類をラクタム化反応してトランス異性体を得る工程を包含することを特徴とするトランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類の製造方法。
【0016】
項5 上記工程(i)のトランス異性体含量が50重量%以上の4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類の製造方法。
【0017】
項6 上記工程(i)の核水素化触媒が、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム及びオスニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる金属系触媒である上記項4又は5に記載の製造方法。
【0018】
項7 金属系触媒がルテニウム系触媒である上記項6に記載の製造方法。
【0019】
項8 金属系触媒が担体担持型触媒である上記項6又は7に記載の製造方法。
【0020】
項9 金属系触媒の担体がアルミナである上記項8に記載の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
〔4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類〕
本発明で用いられる一般式(1)で表わされる4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類のシス/トランス異性体混合物において、Rで表される炭素数1〜10、好ましくは1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又は炭素数4〜10、好ましくは5〜8の飽和環状アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec-ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。これらのうち特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が好ましい。
【0022】
本発明の方法で分離可能な4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類のシス/トランス異性体混合物(以下、「異性体混合物」と称する。)としては、シス/トランス異性体混合物のいずれの構成比のものも用いることができるが、トランス異性体含量が50重量%以上の異性体混合物を用いることが推奨される。かかるトランス異性体含量が50重量%以上の異性体混合物の製造方法としては、例えば、p−アミノ安息香酸アルキルエステル類を有機溶媒中、核水素化触媒存在下、反応温度130〜220℃、水素分圧0.5〜20MPaで核水素化する方法が好ましい。
【0023】
また、従来公知の製造方法により得られるシス異性体含量の多い異性体混合物も用いることができる。かかる製造方法としては、例えば、i)p−アミノ安息香酸アルキルエステル類を核水素化する方法、ii)p−アミノ安息香酸を核水素化して4−アミノシクロヘキサンカルボン酸を得て、これとアルコール類とのアルキルエステルとする方法、iii)p−ニトロ安息香酸アルキルエステルを水素化する方法、iv)p−ニトロ安息香酸を水素化して4−アミノシクロヘキサンカルボン酸を得て、これとアルコール類とのアルキルエステルとする方法等が挙げられる。さらに、これらi)〜iv)の方法により得られる異性体混合物中のシス異性体を異性化してトランス異性体含量を多くした異性体混合物も用いることができる。
【0024】
ここで、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類の異性体に関しては、そのシクロヘキサン環上で、アミノ基とエステル基がシス配置のものがシス異性体であり、アミノ基とエステル基がトランス配置のものがトランス異性体である。
【0025】
〔4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類の製造方法〕
核水素化反応原料のp−アミノ安息香酸アルキルエステル類としては、特に限定されないが、炭素数1〜10、好ましくは1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコール、又は炭素数4〜10、好ましくは5〜8の飽和環状のアルコール類とp−アミノ安息香酸とのエステル類が挙げられる。
【0026】
p−アミノ安息香酸アルキルエステル類の具体例としては、p−アミノ安息香酸メチル、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸n−プロピル、p−アミノ安息香酸イソプロピル、p−アミノ安息香酸n−ブチル、p−アミノ安息香酸tert−ブチル、p−アミノ安息香酸n−ペンチル、p−アミノ安息香酸n−ヘキシル、p−アミノ安息香酸n−ヘプチル、p−アミノ安息香酸n−オクチル、p−アミノ安息香酸n−ノニル、p−アミノ安息香酸n−デシル、p−アミノ安息香酸シクロヘキシル、p−アミノ安息香酸4−メチルシクロヘキシル等が挙げられ、このうち特に、工業的に入手容易なp−アミノ安息香酸メチル、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸n−プロピル、p−アミノ安息香酸n−ブチル等が好ましい。
【0027】
核水素化触媒としては、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム及びオスニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属系触媒が例示されるが、反応性や選択性の点からルテニウム系触媒が好ましい。
【0028】
本発明に係る金属系触媒としては、具体的には、0価の金属、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物、酸化物、水酸化物などの各種該金属含有無機化合物、アセチルアセトナート化合物などの各種該金属含有有機化合物、アミン錯体、ホスフィン錯体、カルボニル化合物などの各種該金属含有錯体化合物などが例示される。これらは、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0029】
上記金属系触媒は、そのままで使用することもできるが、通常、担体担持触媒として使用することが好ましい。担体担持型触媒としては、従来公知或いは市販されているものでもよく、芳香族環を水素化できる触媒であれば特に限定されるものではない。具体的には、珪藻土、軽石、活性炭、シリカゲル、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン及びこれらの混合物などが例示される。これらのうち特に、アルミナ担持触媒が反応性や選択性の点で好ましい。
【0030】
該担体担持型触媒の金属成分の担持量は、特に限定されないが、触媒の総重量に対して、金属として、通常、0.1〜10重量%程度、好ましくは0.5〜5重量%である。担持量が0.1重量%未満では、触媒重量あたりの活性が低下し、触媒を多量に使用する必要が生じて設備的にも経済的にも不利である。また、10重量%越えて担持しても、担持した金属量に相当する反応速度の向上は得られず好ましくない。
【0031】
これら水素化触媒の形態は、特に限定されず、選択される反応方式に応じて粉末状、タブレット状など適宜選択して使用される。具体的には、回分或いは連続の懸濁床反応には粉末触媒が、また、固定床反応にはタブレット触媒が使用される。
【0032】
水素化反応に使用される溶媒としては、水素化反応に不活性な溶媒であれば特に限定されないが、分離精製工程を考慮すると、ジエチレングリコールジメチルエーテル(以下、「ジグライム」と称する。)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(以下、「トリグライム」と称する。)、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の鎖状及び環状のエーテル類が好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上混合して用いることもできる。その溶媒の使用量としては、原料のp−アミノ安息香酸アルキルエステル類に対して、通常0.1〜30倍重量程度、特に0.5〜20倍重量程度が好ましい。
【0033】
反応温度としては、通常130〜220℃程度、特に150〜200℃程度が好ましい。反応温度が130℃未満では十分な反応速度が得られず、また、シス異性体の生成が優先するためトランス異性体含量が50重量%以上のシス/トランス異性体混合物が得られない。一方、反応温度が220℃を超えると、副反応や分解反応など起こり易くなる傾向が見られ、収率が低下して、経済的に不利である。
【0034】
反応圧力としては、反応系の水素分圧で通常0.5〜20MPa程度の範囲、特に1〜10MPa程度の範囲が好ましい。0.5MPa未満では工業的に十分な反応速度が得られず、一方、20MPaを越える範囲では顕著な有意性は認められず、経済的に不利である。
【0035】
反応時間は、触媒量や諸条件によって異なるが、通常0.5〜50時間程度、工業的な観点からは1〜20時間になるように条件などを適宜選択することができる。
【0036】
上記方法により得られるシス/トランス異性体混合物は、触媒を濾過、遠心分離などの慣用方法により除去することによりトランス異性体含量50重量%以上の目的物が得られるため次の異性体混合物分離工程の原料としてそのまま用いることができる。また、必要に応じて、蒸留、再結晶などの公知の方法により精製してもよい。
【0037】
〔シス/トランス異性体混合物のトランス異性体を分離する方法〕
本発明のシス/トランス異性体混合物から高純度のトランス体を分離する方法は、具体的には以下のようにして実施される。
【0038】
即ち、シス/トランス異性体混合物を無溶媒又は溶媒中、加熱するとシス異性体のみがラクタム化反応(分子内エステル−アミド交換反応)を起こすため、高純度のトランス異性体が未反応物として得られる。従って、ラクタム化反応混合物からトランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類を単離精製するのは極めて容易である。例えば、得られたラクタム化反応粗液を、必要に応じて溶媒を留去及び/又はラクタムを濾過後、トランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類を常圧又は減圧下、蒸留して単離精製する方法等が挙げられ、特に蒸留して単離精製する方法が工業的観点から好ましい。
【0039】
上記加熱は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、常圧、減圧又は加圧下で実施することができる。また、生成するアルコールを系外に留出させながら実施してもよい。加熱温度としては、通常130〜250℃の範囲、好ましくは150〜200℃の範囲が好ましい。130℃未満の場合は、ラクタム化反応速度が低下するため十分なラクタム化が行われないことがあり、一方、250℃を越えた場合、トランス異性体含有率が低下する傾向が見られる。
【0040】
ラクタム化反応は、無溶媒でも溶媒中でも実施することができる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の鎖状及び環状の炭化水素類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の鎖状及び環状のエーテル類が挙げられる。これらのうち特に、上記核水素化反応工程と共通の溶媒を用いることにより、水素化反応粗液をそのままラクタム化反応原料として使用できることからジグライム、トリグライムが好ましい。
【0041】
反応後、ラクタム化反応粗液から、例えば、溶媒を単蒸留により除去後、蒸留して単離精製することにより高純度のトランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類を得ることができる。また、加熱により生成したラクタムを濾過等で除去後、蒸留して単離精製することもできる。
【0042】
蒸留は、常圧下でも減圧下でも行うことができるが、トランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類の分解を抑制する観点から、蒸留温度は、150℃以下、好ましくは120℃以下である。そのため、通常は減圧下で蒸留することが好ましい。減圧で蒸留を行う場合、その圧力としては、特に限定されないが、該エステル類の分解を抑制する観点からは、例えば、0.1〜20kPa程度、特に0.5〜15kPa程度が好ましい。蒸留は、通常用いられている方法でよく、単蒸留や多段の精留塔を用いる蒸留が挙げられる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、各例における反応率(%)、シス/トランス異性体比、純度(%)及びトランス異性体含量(重量%)はガスクロマトグラフ分析により算出した。
【0044】
(4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類の製造)
実施例1
電磁攪拌子付きの内容積5Lのステンレス製オートクレーブに、p−アミノ安息香酸エチル600g、ジグライム1400g、5%ルテニウム/アルミナ触媒30gを仕込み、水素ガスで系内を置換後、水素圧5MPa、反応温度170℃で、2時間還元反応を行った。反応終了後、触媒を濾過し、得られた濾液をガスクロマトグラフ分析した結果、反応率は100%であり、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチルのシス/トランス異性体比は31.8/69.2、反応生成物中のトランス体含量は62.2重量%であった。
【0045】
実施例2
反応温度を150℃、反応時間を4時間とした外は実施例1と同様に反応を行い、得られた濾液をガスクロマトグラフ分析した結果、反応率は100%であり、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチルのシス/トランス異性体比は37.2/62.8、反応生成物中のトランス体含量は58.9重量%であった。
【0046】
(シス/トランス異性体混合物のトランス異性体を分離する方法)
実施例3
電磁攪拌子付きの内容積1.5Lのステンレス製オートクレーブに、実施例1で得た核水素化反応粗液600gを仕込み、窒素ガスで置換後、密閉した。反応温度200℃で5時間加熱を行った。冷却後、得られたラクタム化反応粗液を分析した結果、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチルのシス/トランス異性体比は0.4/99.6であり、反応生成物中のトランス体含量は54.9重量%であった。尚、ラクタム化反応粗液中の析出した白色固体は、FT−IR(ATR法)分析の結果、エステル結合1725cm−1の吸収は見られず、アミド結合1670cm−1の吸収が観測されることからラクタムであることを確認した。
【0047】
得られたラクタム化反応粗液500gを、溶媒を減圧留去後、1.1〜1.2kPaの減圧下、沸点102〜106℃で蒸留を行い、トランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチル80g(純度99.4%)を得た。
【0048】
実施例4
攪拌機、冷却管を備えた内容積1Lの三口フラスコに、実施例1で得られた核水素化反応粗液600gを仕込み、冷却管を装着後、窒素ガスで置換し、還流下で20時間加熱を行った。冷却後、得られたラクタム化反応粗液をガスクロマトグラフ分析した結果、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチルのシス/トランス異性体比は0.5/99.5であり、反応生成物中のトランス体含量は52.1重量%であった。
【0049】
ラクタム化反応粗液500gを、溶媒を減圧留去後、実施例3と同様の条件で蒸留を行いトランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチル76g(純度99.3%)を得た。
【0050】
実施例5
実施例2で得た反応粗液600gを用いた以外は実施例3と同様に処理を行った。冷却後、得られたラクタム化反応粗液をガスクロマトグラフ分析した結果、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチルのシス/トランス異性体比は0.7/99.3であり、反応生成物中のトランス体含量は51.3重量%であった。
【0051】
ラクタム化反応粗液500gを、溶媒を減圧留去後、実施例3と同様の条件で蒸留を行いトランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチル75g(純度99.3%)を得た。
【0052】
【発明の効果】
ラクタム化反応を利用することにより、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類のシス/トランス異性体混合物から、医薬、農薬中間体として有用なトランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル類を容易に分離できる。

Claims (1)

  1. (i)p−アミノ安息香酸エチルを有機溶媒中、アルミナ担体にルテニウムを担持させた触媒存在下、反応温度150〜200℃、水素分圧0.5〜20MPaで核水素化してトランス異性体含量が50重量%以上の4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチルを得る工程、及び(ii)該4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチルのシス異性体150〜200℃に加熱してラクタム化反応し、該ラクタム化反応粗液から蒸留にてトランス異性体を得る工程を包含することを特徴とするトランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチルの製造方法。
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