JP4345269B2 - 高分子積層膜、その製造方法およびその用途 - Google Patents

高分子積層膜、その製造方法およびその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質膜に関し、詳しくは高分子電解質の積層膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
電解質膜は、一次電池、二次電池、あるいは固体高分子型燃料電池等の電気化学デバイスの隔膜として用いられている。例えば、側鎖に超強酸としてパーフルオロアルキルスルホン酸を有し、主鎖がパーフルオロアルカンである脂肪族系高分子電解質膜が、燃料電池としての特性に優れることから従来主に使用されてきている。
【0003】
近年、上記電解質膜に替わり得る安価な電解質膜の開発が活発化してきている。なかでも耐熱性に優れフィルム強度の高い芳香族ポリエーテルにスルホン酸基を導入した高分子電解質膜、すなわちスルホン酸基を有し主鎖が芳香族系である芳香族系高分子電解質膜が有望視されており、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン系(特表平11−502249号公報)、スルホン化ポリエーテルスルホン系(特開平10−45913号公報、特開平10−21943号公報)等の高分子電解質膜が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの電解質膜を用いた燃料電池は、いずれも発電特性等の点で充分満足できるものではなく、電解質膜の改善が求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の電解質膜の上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、高分子電解質膜と主鎖中にビス(アリールスルホニル)イミドという特定の重合単位を有する高分子の膜とを積層してなる積層膜が、その目的を達成し得、燃料電池のプロトン伝導膜等として優れた特性を示すことを見出すとともに、さらに種々の検討を加えて本発明を完成した。
すなわち本発明は、(イ)高分子電解質膜と(ロ)主鎖中に下記式(1)
−[Ar1−(SO2−N-(X+)−SO2−Ar2)m−SO2−N-(X+)−SO2−Ar1−O−Ar 3 −O]− (1)
(式中、Ar1、Ar2は、それぞれ独立に下記の群から選ばれる置換基を有していても良い2価の芳香族基を表し、mは、0〜3の整数を、X+は、水素イオン、アルカリ金属イオン及びアンモニウムから選ばれるイオンを表す。Ar 3 は、下記の群から選ばれる置換基を有していても良い2価の芳香族基を表す。
[置換基群]
炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10の炭化水素オキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、ニトリル基、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ハロゲン原子
で示される繰り返し単位を有する高分子の膜とを積層してなることを特徴とする積層膜、その製造方法、その用途を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層膜は、高分子電解質膜(イ)と上記のような高分子の膜(ロ)とを積層してなることを特徴とする。
【0007】
ここで、高分子電解質膜(イ)は、高分子電解質からなるものであり、該電解質はイオン交換基として、例えば、−SO3H、−COOH、−PO(OH)2、−POH(OH)、−SO2NHSO2−、−Ph(OH)(Phはフェニル基を表す)等の陽イオン交換基、−NH2、−NHR、−NRR'、−NRR'R''+、−NH3 +等(R:アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等を表す)等の陰イオン交換基を有する高分子から構成される。イオン交換基は、その一部または全部が対イオンとの塩を形成していても良い。
【0008】
かかる高分子電解質の代表例としては、例えば(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(B)主鎖の一部または全部の水素原子がフッ素で置換された脂肪族炭化水素からなる高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(C)主鎖が芳香環を有する高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(D)主鎖に実質的に炭素原子を含まないポリシロキサン、ポリホスファゼンなどの高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(E)(A)〜(D)のスルホン酸基および/またはホスホン酸基導入前の高分子を構成する繰り返し単位から選ばれるいずれか2種以上の繰り返し単位からなる共重合体であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質;(F)主鎖あるいは側鎖に窒素原子を含み、硫酸やリン酸等の酸性化合物がイオン結合により導入された形の高分子電解質等が挙げられる。
上記(A)の高分子電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸、等が挙げられる。
【0009】
また上記(B)の高分子電解質としては、Nafion(デュポン社の登録商標、以下同様)に代表される側鎖にパーフルオロアルキルスルホン酸を有し、主鎖がパーフルオロアルキルである高分子、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた主鎖と、スルホン酸基を有する炭化水素系側鎖とから構成されるスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE、例えば特開平9−102322号公報)や、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた膜に、α,β,β-トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホン酸基を導入して固体高分子電解質膜とした、スルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFE膜(例えば、米国特許第4,012,303号及び米国特許第4,605,685号)等が挙げられる。
【0010】
上記(C)の高分子電解質としては、主鎖が酸素原子等のヘテロ原子で中断されているものであってもよく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4-フェノキシベンゾイル)-1,4-フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン等の単独重合体または共重合体にスルホン酸基、アルキルスルホン酸基、フルオロアルキルスルホン酸基、ホスホン酸基、アルキルホスホン酸基、パーフルオロアルキルホスホン酸基が導入されたもの、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベンズイミダゾール(例えば、特開平9−110982)、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)(例えば、J. Appl. Polym. Sci., 18, 1969 (1974) )等が挙げられる。
【0011】
また上記(D)の高分子電解質としては例えば、ポリホスファゼンにスルホン酸基が導入されたもの、Polymer Prep., 41, No.1, 70 (2000) に記載の、ホスホン酸基を有するポリシロキサン等が挙げられる。
上記(E)の高分子電解質としては、ランダム共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、交互共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、ブロック共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでもよい。ランダム共重合体にスルホン酸基が導入されたものとしては、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン-ジヒドロキシビフェニル共重合体が挙げられる(例えば、特開平11−116679号公報。)
【0012】
また上記(F)の高分子電解質としては例えば、特表平11−503262号公報に記載の、リン酸を含有せしめたポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
上記(E)の高分子電解質に含まれるブロック共重合体において、スルホン酸基および/またはホスホン酸基を持つブロックの具体例としては、例えば特開2001−250567号公報に記載のスルホン酸基および/またはホスホン酸基を持つブロックが挙げられる。
本発明に使用される高分子電解質の重量平均分子量は、通常1000〜1000000程度であり、イオン交換基当量重量は、通常500〜5000g/モル程度である。
上記(A)〜(F)の高分子電解質の中でも(C)の主鎖が芳香環を有する高分子であり、スルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入された形の高分子電解質が好ましく用いられる。
【0013】
本発明の高分子電解質膜(イ)は、上記のような高分子電解質からなるものであるが、その製法としては、例えば溶媒キャスト法等を使用することができる。具体的には、上記のような高分子電解質の溶液を基材に流延製膜した後、溶媒を除去することにより、高分子電解質膜を製造し得る。
ここで、基材としては、溶媒への耐性があり、製膜後に膜が剥離できるものであれば特に制限はなく、通常ガラス板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ステンレス板、ステンレスベルト、シリコンウエハ等が用いられる。これらの基材は、必要に応じて、表面が離型処理、エンボス加工、つや消し加工がされてるものも使用し得る。高分子電解質膜の厚みは、特に制限はないが10〜300μmが好ましい。実用に耐える膜の強度を得るには10μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには300μmより薄い方が好ましい。かかる膜厚は溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御できる。
【0014】
高分子電解質の溶液は、通常、高分子電解質を溶解可能であり、その後に除去し得る溶媒を用いて調製される。係る溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、ジメチルアセトアミド、塩化メチレン・メタノール混合溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが溶解性が高く好ましい。
【0015】
流延塗布する方法としては、スプレー法を用いても良いが、バーコーター法やスピンコーター法を用いると均一な層ができるためこれらの方法が好ましい。
【0016】
本発明の積層膜は、上記のような高分子電解質膜(イ)と、主鎖中に前記式(1)で示される重合単位を有する高分子の膜(ロ)とを積層してなることを特徴とするものである。
前記式(1)におけるAr1、Ar2は、それぞれ独立に置換基を有していても良い2価の芳香族基を表すが、置換基を有していても良い2価の芳香族基としては、例えば次の基等が挙げられる。
【0017】
Figure 0004345269
(式中、R1は、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10の炭化水素オキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、ニトリル基、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基またはハロゲン原子を表し、aは0〜4の整数であり、b、cは0〜4の整数であり、bとcの合計は0〜6となる整数である。R1が複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。Yは、直接結合、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、または−C(R)−を表わす。Rは水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基または炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基を表し、2個のRは同一でも異なっていても良く、環を形成していても良い。Yが複数ある場合は、これらは同一であっても異なっていてもよい。)
【0018】
ここで、炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素数1〜10の炭化水素オキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素が挙げられる。
また、Rの炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基としてはトリフルオロメチル基等が挙げられる。2個のRで環を形成しているものとして、例えばシクロヘキサン環、フルオレン環等が挙げられる。
ジスルホニルイミド基のイオン解離度は隣接する芳香族基、Ar、Ar2の置換基によって変化し、置換基の電子吸引性が高いほどイオン解離度が高くなる。従って、Ar、Ar2としては電子吸引性の高い置換基で置換されているもの、例えばハロゲン原子が置換されているものが好ましく、フッ素原子が置換されているものがより好ましい。中でもAr、Ar2が、テトラフルオロフェニレンである場合には、ジスルホニルイミド基のイオン解離度が高いことからとりわけ好ましい。
またX+としては、水素イオン、アルカリ金属イオン及びアンモニウムイオンが挙げられるが、積層膜を燃料電池に用いる場合、X+は水素イオンであることが望ましい。
【0019】
膜(ロ)における高分子は、通常、この重合単位とこれ以外の重合単位とを有するものであり、交互共重合体であっても、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても良い。
ここで、式(1)示される重合単位以外の好ましい重合単位としては、例えば下記式(2)で示される重合単位等挙げられる。さらに式(2)の重合単位の他にこれとは異なる重合単位を有していても良く、そのような重合単位としては、特に限定はないが、例えば下式(2’)で示される重合単位等が挙げられる。
−[Ar3−O]− (2)
−[Ar−O]− (2’)
(式中、Ar3、Arは、それぞれ独立に置換基を有していても良い2価の芳香族基をす。)
ここで、置換基を有していても良い2価の芳香族基としては、例えば前記と同じものが挙げられる。
【0020】
次に膜(ロ)における高分子の製造方法について説明する。
前記式(1)及び(2)で示される重合単位を有する高分子は、例えば下式(3)で示される化合物、(4)で示される芳香族ジオール等を原料として、これらを重合させることにより製造し得る。
Z−Ar1−(SO2−N-(X+)−SO2−Ar2)m−SO2−N-(X+)−SO2−Ar1−Z (3)
HO−Ar3−OH (4)
(式中、Ar1、Ar2、Ar3、m及びX+は、前記と同じ意味を表し、Zは、ハロゲン
原子またはニトロ基を表す。)
【0021】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。好ましくは、フッ素、塩素が挙げられ、より好ましくは、フッ素である。
【0022】
また芳香族ジオール(4)の代表例としては、例えばハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール、2−メチルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、2−メトキシハイドロキノン、2−フェニルハイドロキノン、2,6−ジフェニルハイドロキノン、2−スルホハイドロキノン、2、6-ジスルホハイドロキノン、2−メチルレゾルシノール、2,4−ジメチルレゾルシノール、2−フェニルレゾルシノール、2,4−ジフェニルレゾルシノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸、
【0023】
2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジスルホビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルビフェニル、2,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
【0024】
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジスルホジフェニルスルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、これらのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩)等が挙げられる。これらは2種以上使用することもできる。
中でもハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、これらのアルカリ金属塩等が反応性が高く、好ましく用いられる。
【0025】
もう一方の原料である式(3)で示される化合物は、次のようにして製造できる。
m=0のものは、例えば、対応するスルホニルクロリド化合物であるZ−Ar1−SOClと、スルホンアミド化合物であるZ−Ar−SONHとを反応させることにより容易に製造することができる。 通常、系内のpH値を7〜8に調整しながら2倍当量以上の塩基を添加し、溶媒中で反応させる。
溶媒としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、これら2種以上の混合物等が用いられる。塩基としては、水素化ナトリウム、水素化リチウム、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等が用いられる。反応温度は0℃〜150℃程度が好ましく、より好ましくは20℃〜80℃程度である。反応時間は、通常1時間〜20時間程度である。
なお、ここで用いられるスルホンアミド化合物は、例えば対応するスルホニルクロリド化合物であるZ−Ar−SOClを溶媒中、2倍当量以上の塩基存在下で、アンモニアまたは塩化アンモニウム等と反応させることにより製造することができる。
【0026】
また式(3)で表される化合物のうちでm=1のものは、例えば、スルホンアミド化合物であるZ−Ar−SONHと対応するビススルホニルクロリド化合物であるClSO−Ar−SOClとの反応、またはスルホニルクロリド化合物であるZ−Ar−SOClと対応するビススルホンアミド化合物であるNHSO−Ar−SONHとの反応により容易に製造することができる。反応は、例えばm=0の場合と同様な条件で実施される。ここで用いられるビススルホンアミド化合物もまた、対応するビススルホニルクロリド化合物をアンモニアまたは塩化アンモニウム等と反応させることにより製造することができる。
【0027】
また式(3)で表される化合物のうちでmが2及び3のものは、例えば、ビススルホニルクロリド化合物およびビススルホンアミド化合物と、スルホニルクロリド化合物またはスルホンアミド化合物との3元系で反応させることにより製造することができる。オリゴマーの鎖長はこれらのモル比率で制御できるが、鎖長に分布が生じ、化合物(3)の段階での精製が困難である場合が多く、最終的なポリマーの分子量を上げることが難しい場合があるので、m=0またはm=1の化合物(3)を用いることが好ましい。
【0028】
化合物(3)の製造に用いるスルホニルクロリド化合物の代表例としては、例えば4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド、3−フルオロベンゼンスルホニルクロリド、2−フルオロベンゼンスルホニルクロリド、ジフルオロベンゼンスルホニルクロリド、トリフルオロベンゼンスルホニルクロリド、テトラフルオロベンゼンスルホニルクロリド、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリド、4−クロロベンゼンスルホニルクロリド、3−クロロベンゼンスルホニルクロリド、2−クロロベンゼンスルホニルクロリド、ジクロロベンゼンスルホニルクロリド、トリクロロベンゼンスルホニルクロリド、4−ブロモベンゼンスルホニルクロリド、3−ブロモベンゼンスルホニルクロリド、2−ブロモベンゼンスルホニルクロリド、ジブロモベンゼンスルホニルクロリド、4−ニトロベンゼンスルホニルクロリド、3−ニトロベンゼンスルホニルクロリド等が挙げられる。これらは2種以上使用することもできる。また、これらのスルホニルクロリド化合物の代わりにスルホニルフルオライド化合物を用いてもよい。
【0029】
化合物(3)の製造に用いるビススルホニルクロリド化合物の代表例としては、例えば1,4−ベンゼンジスルホニルクロリド、1,3−ベンゼンジスルホニルクロリド、1,2−ベンゼンジスルホニルクロリド、4,4’−ビフェニルジスルホニルクロリド、ナフタレンジスルホニルクロリド等が挙げられる。これらは2種以上使用することもできる。また、これらのビススルホニルクロリド化合物の代わりにビススルホニルフルオライド化合物を用いてもよい。
【0030】
膜(ロ)における高分子は、上記のような式(3)で示される化合物、式(4)で示される芳香族ジオール等を原料として、それらを重合させることにより製造し得る。その具体的製法としては、特に限定はないが、例えばアルカリの共存下に、▲1▼前記式(3)で示される化合物と前記式(4)で示される芳香族ジオールとを反応させる方法、▲2▼前記式(3)で示される化合物と前記式(4)で示される芳香族ジオールと下式(5)で示される化合物を反応させる方法、▲3▼前記式(3)で示される化合物と前記式(4)で示される芳香族ジオールとを反応させた後、下式(6)で示される水酸基を有する化合物を反応させる方法、▲4▼前記式(3)で示される化合物と前記式(4)で示される芳香族ジオールとを反応させた後、下式(7)で示される化合物を反応させる方法、▲5▼前記式(3)で示される化合物と前記式(4)で示される芳香族ジオールとを反応させた後、下式(5)で示される化合物及び下式(6)で示される水酸基を有する化合物を反応させる方法、▲6▼前記式(3)で示される化合物と前記式(4)で示される芳香族ジオールとを反応させた後、前記式(4)で示される芳香族ジオール及び下式(7)で示される化合物を反応させる方法等が挙げられる。
【0031】
W−Ar4−W (5)
HO−[Ar5−O]−H (6)
W−[Ar6−O]−Ar6−W (7)
(式中、Ar4は、前記と同じ意味を表し、Ar5、Ar6は、それぞれ独立に置換基を有していても良い2価の芳香族基を、Wは、ハロゲン原子またはニトロ基を表す。)
【0032】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。
式(5)で示される化合物の代表例としては、例えば4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジブロモベンゾフェノン、3,4’−ジニトロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロ−3,3’−ジスルホジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロ−3,3’−ジスルホジフェニルスルホン二カリウム塩、4,4’−ジフルオロ−3,3’−ジスルホジフェニルスルホン二ナトリウム塩、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロ−3,3’−ジスルホジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロ−3,3’−ジスルホジフェニルスルホン二カリウム塩、4,4’−ジクロロ−3,3’−ジスルホジフェニルスルホン二ナトリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジニトロジフェニルスルホン、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,6−ジクロロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、オクタフルオロナフタレン等が挙げられる。これらは2種以上使用することもできる。
中でも4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、デカフルオロビフェニル等が好ましく用いられる。
【0033】
式(6)で示される水酸基を有する化合物におけるAr5としては、例えば前記と同じ置換基を有していても良い2価の芳香族基が挙げられる。Ar5は、Ar3、Ar4等と同一であっても異なっていても良い。かかる水酸基を有する化合物(6)としては、特に限定はないが、例えば末端に水酸基を有するポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の芳香族高分子が挙げられる。これらは2種以上使用することもできる。
また式(7)で示される化合物におけるAr6としては、例えば前記と同じ置換基を有していても良い2価の芳香族基が挙げられる。Ar6は、Ar3、Ar4、Ar5等と同一であっても異なっていても良い。かかる化合物(7)としては、特に限定はないが、例えば末端にハロゲンまたはニトロ基を有するポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の芳香族高分子が挙げられる。これらは2種以上使用することもできる。
上記の化合物(6)及び(7)の数平均分子量は2000〜500000が好ましく、より好ましくは5000〜200000であり、さらに好ましくは、8000〜100000である。数平均分子量が2000より小さいとブロック共重合体のフィルム強度や耐熱性が低下する場合があり、数平均分子量が500000より大きいと溶解性が低下する場合がある。
【0034】
重合反応は、アルカリの共存下に実施する公知の方法に準拠して実施し得る。アルカリとしては、重合活性を有する公知のものが使用できる。好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが使用される。中でも炭酸カリウムが好適に用いられる。
また重合反応は、溶媒を用いない溶融状態でも行うことは可能であるが、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒などを用いることが出来るが、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ジフェニルスルホン等が好ましく用いられる。重合反応の反応温度は、通常20℃〜300℃、好ましくは50℃〜200℃である。
【0035】
膜(ロ)における高分子は、反応終了後、例えば溶液を高分子電解質の非溶媒中へ滴下することにより析出させ、これを濾過、デカンテーションすることにより取出すことができる。非溶媒としては、例えばメタノール、水、塩酸、ジエチルエーテル、アセトンなどが挙げられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上を混合して用いることもできる。とくに、水、メタノール、塩酸とメタノールの混合物、塩酸と水の混合物などが好ましく用いられる。なお、重合後に芳香環に置換基を導入してもよい。例えば、得られた高分子電解質と濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等を反応させることにより、スルホン酸基を導入することもできる。
【0036】
上記のようにして、膜(ロ)における高分子が製造し得、該高分子を製膜することにより、膜(ロ)を製造し得る。
その製法としては、例えば溶媒キャスト法等を使用することができる。具体的には、主鎖中に前記式(1)で示される重合単位を有する高分子の溶液を基材に流延製膜した後、溶媒を除去する方法、例えば、前記(イ)の高分子電解質で示したと同様な方法が挙げられる。
【0037】
本発明の積層膜は、上記のような高分子電解質膜(イ)と膜(ロ)とを積層してなることを特徴とするものであるが、その方法としては、膜(イ)と膜(ロ)を接合させる方法の他に、例えば膜(イ)に膜(ロ)の原料の高分子溶液すなわち主鎖中に前記式(1)で示される重合単位を有する高分子の溶液を塗布・乾燥する方法、膜(ロ)に高分子電解質の溶液を塗布・乾燥する方法、膜(イ)を膜(ロ)の原料の高分子溶液に浸漬し乾燥させる方法、膜(ロ)を高分子電解質の溶液に浸漬し乾燥させる方法等があげられる。
これらの中では、(イ)の膜に(ロ)の原料の高分子溶液を塗布・乾燥する方法が好ましく用いられる。塗布・乾燥する方法としては、前記溶媒キャスト法が通常用いられ、特にスピンコーター法を用いると均一な薄膜が形成できるために好ましく用いられる。
【0038】
なお、高分子電解質や膜(ロ)の原料高分子を含む溶液には、必要に応じ、高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤等の添加剤を、プロトン伝導能を著しく妨げない範囲内で含有しているものも使用し得る。また、高分子電解質や膜(ロ)の原料の高分子は、機械的強度向上等の目的で任意の多孔膜と複合化して用いることもできる。さらに、膜の機械的強度の向上などを目的として、電子線・放射線などを照射して架橋する方法が知られており、膜(イ)や膜(ロ)、およびこれらの積層膜に対してこの方法をも使用することが可能である。
【0039】
本発明の積層膜は前記のように膜(イ)と膜(ロ)とを積層してなることを特徴とするものであるが、上記の積層方法を任意に組み合わせることによって三層以上積層させることもできる。具体的には(イ)と(ロ)の層が交互に三層以上積層された膜、2種類以上の(イ)を積層させた層と(ロ)の層からなる積層膜、2種類以上の(ロ)を積層させた層と(イ)の層からなる積層膜、2種類以上の(イ)の層と2種類以上の(ロ)の層からなる積層膜、およびこれらを組み合わせた積層膜などが挙げられる。
また、本発明の積層膜を燃料電池用の高分子電解質膜として使用する場合には、発電性能を向上させる観点から、膜(ロ)が少なくとも片面において表層となっていることが好ましく、両面において表層となっていることがさらに好ましい。
本発明の積層膜において、膜(ロ)の積層量は、全体の複合膜の重量に対して通常0.1wt%〜50wt%であり、好ましくは0.2wt%〜40wt%であり、特に好ましくは0.3wt%〜30wt%である。
【0040】
次に本発明の燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、積層膜の両面に、集電体として、触媒が固定された電極材料を接合することにより製造することができる。
電極材料としては公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
【0041】
触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金の微粒子を用いることが好ましい。白金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられ、好ましく用いられる。また、カーボンに担持された白金をパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂のアルコール溶液と共に混合してペースト化したものを、電極材料および/または高分子電解質膜に塗布・乾燥することにより、電極材料、高分子電解質、および燃料気体の三者が接触する、いわゆる三相界面が効率よく構築されるために好ましく用いられる。具体的な方法としては例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、特に断りのない限り膜の特性評価は以下の方法で行った。
燃料電池特性評価
カーボンに担持された白金触媒をNafion(デュポン社の登録商標)の低級アルコール溶液(10wt%含水)(Aldrich社製)と混合してペースト状とし、電極材料としての多孔質性のカーボン織布に塗布・乾燥し、触媒が固定された電極材料としての集電体を得た。この集電体を膜の両面に重ね合せ、集電体−膜接合体を得た。該接合体の一面に加湿酸素ガス、他面に加湿水素ガスを流し、該接合体を80℃に保ち、その発電特性を測定することによって行った。
接合特性評価
燃料電池特性評価後、集電体−膜接合体を取出し、カーボン織布と膜を剥離させて触媒層がカーボン織布に接合しているか、膜に接合しているかを調べた。
【0043】
参考例1(ジスルホニルイミドの製造例)
室温下、塩化アンモニウム水溶液に、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドのアセトン溶液を滴下し、その間水酸化ナトリウム水溶液でpH=7に調整した。析出した生成物をろ過し、トルエンから再結晶することにより、ペンタフルオロベンゼンスルホンアミドを得た。H−NMR、19F−NMRおよびIRにより構造を確認した。
ペンタフルオロベンゼンスルホンアミドのテトラヒドロフラン溶液に2倍モルのNaHを加え、引き続いて等モルのペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドをゆっくり添加し、60℃で反応させた。反応マスを濾過した後、濾液を濃縮し、メタノールに溶解させこれにKOHメタノール溶液を加え、目的のジスルホニルイミドのカリウム塩(a)を得た。アセトン−メタノール混合溶媒から再結晶精製した。19F−NMR(ppm):−130、−142、−154
Figure 0004345269
【0044】
参考例2((a)とヒドロキノンからなる交互共重合体)
フラスコに、窒素気流下に(a)を2.58g、ヒドロキノンを0.551g、炭酸カリウム0.795g、ジメチルスルホキシド12mlを加え80℃にて19時間加熱撹拌した。反応終了後、反応液を10%塩酸メタノール溶液中に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、メタノールで洗浄した後、60℃にて減圧乾燥した。ジスルホニルイミドポリマー(b)が褐色の固体として3.00g得られた。
【0045】
参考例3 スルホン化芳香族系高分子の合成
無水塩化第一銅99mgと2−メチルベンズオキサゾール266mgをトルエン1ml中で大気下室温で15分撹拌した。これに2−フェニルフェノール8.5gとトルエン30mlを加え、酸素雰囲気下50℃で5時間撹拌した。反応終了後、塩酸を含むメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ過、乾燥してポリ(2−フェニルフェニレンエーテル)(c)を得た。
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、スミカエクセルPES5003P(住友化学工業製、水酸基末端ポリエーテルスルホン)を3.0g、(c)を0.75g、炭酸カリウム0.04g、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと呼ぶ)15mlおよびトルエン3mlを加え、加熱撹拌してトルエンと水の共沸条件下にて脱水後、トルエンを蒸留除去した。ここに4,4’−ジフルオロベンゾフェノン0.05gを添加し、160℃にて5時間加熱攪拌した。反応液を大量の塩酸酸性メタノールに滴下し、得られた沈殿物をろ過回収し、80℃にて減圧乾燥して3.8gのブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体2gを98%硫酸20mlとともに室温下にて攪拌し、均一溶液とした後さらに2時間攪拌を継続した。得られた溶液を大量の氷水中に滴下し、得られた沈殿物をろ過回収した。さらに洗液が中性になるまでイオン交換水によるミキサー洗浄を繰り返した後、40℃にて減圧乾燥してスルホン化した芳香族系高分子(d)を得た。(d)を15質量%の濃度でDMAcに溶解し、ガラス板上に塗布した。常圧下で溶媒を乾燥させ、スルホン化した芳香族系高分子膜(e)を得た。膜厚は27μmであった。
【0046】
実施例1 スピンコーターを用いた積層膜の製造および燃料電池特性試験
(e)を4cm四方に切り出し、スピンコーターのガラス板上に固定した。ガラス板を回転させながら、上記(b)の塩化メチレン/メタノール(15vol%/85vol%)溶液(3wt%)2mlを2秒間かけて回転の中心に滴下してスピンコートした。60℃で10分間乾燥させた後に残りの面も同様にスピンコートし、目的の積層膜(f)を得た。膜厚は29μmであった。膜の特性評価結果を表1に示す。燃料電池特性試験結果は電流密度が0.50(A/cm)の時のセル電圧を示した。
【0047】
比較例1 積層を行わない膜の燃料電池特性試験
(e)の膜の特性評価結果を表1に示す。燃料電池特性試験結果は電流密度が0.50(A/cm)の時のセル電圧を示した。
【0048】
表1
膜の特性評価結果
Figure 0004345269
主鎖中に前記式(1)で示される重合単位を有する高分子を高分子電解質膜の表層にコートすることにより集電体と電解質膜界面の接合性が改善され、燃料電池の発電特性が向上する。
【0049】
【発明の効果】
本発明の積層膜は、高分子電解質膜と主鎖中にビス(アリールスルホニル)イミドという特定の重合単位を有する高分子の膜とを積層することにより、発電性能等に優れた電解質膜となり得る。

Claims (11)

  1. (イ)高分子電解質膜と(ロ)主鎖中に下記式(1)
    −[Ar1−(SO2−N-(X+)−SO2−Ar2)m−SO2−N-(X+)−SO2−Ar1−O−Ar3−O]− (1)
    (式中、Ar1、Ar2は、それぞれ独立に下記の群から選ばれる置換基を有していても良い2価の芳香族基を表し、mは、0〜3の整数を、X+は、水素イオン、アルカリ金属イオン及びアンモニウムから選ばれるイオンを表す。Ar3は、下記の群から選ばれる置換基を有していても良い2価の芳香族基を表す。)
    で示される繰り返し単位を有する高分子の膜とを積層してなることを特徴とする積層膜。
    [置換基群]
    炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10の炭化水素オキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、ニトリル基、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ハロゲン原子
  2. 置換基を有していても良い2価の芳香族基が、下記から選ばれる少なくとも1種の基である請求項1に記載の積層膜。
    Figure 0004345269
    (式中、R1は、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10の炭化水素オキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、ニトリル基、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基またはハロゲン原子を表し、aは0〜4の整数であり、b、cは0〜4の整数であり、bとcの合計は0〜6となる整数である。R1が複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。Yは、直接結合、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、または−C(R)−を表わす。Rは水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基または炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基を表し、2個のRは同一でも異なっていても良く、環を形成していても良い。Yが複数ある場合は、これらは同一であっても異なっていてもよい。)
  3. Ar1が、テトラフルオロフェニレンである請求項1または2に記載の積層膜。
  4. mが、0または1である請求項1〜3いずれかに記載の積層膜。
  5. 膜(ロ)における高分子が、式(1)で示される繰り返し単位からなるブロックを少なくとも1つ以上含むブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の積層膜。
  6. が水素イオンであることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の積層膜。
  7. 膜(ロ)が、少なくとも片面の表層として存在することを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の積層膜。
  8. 積層膜中に、膜(ロ)が、0.1wt%〜50wt%存在することを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の積層膜。
  9. 高分子電解質膜(イ)が、芳香族系の高分子電解質からなる膜であることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の積層膜。
  10. 高分子電解質膜(イ)に、主鎖中に請求項1記載の式(1)で示される重合単位を有する高分子の溶液を塗布し、これを乾燥することを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の積層膜の製造方法。
  11. 請求項1〜9いずれかに記載の積層膜を用いてなることを特徴とする燃料電池。
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